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コイゴコロミズゴコロ3-37《最終話》 - 04/06 Thu

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幸せな日々。全て吹っ切れたような但馬が何故か急にモテるようになって新井の心配事は増えたけれど、一緒にいるときの但馬の表情を見ていたら不安なんて不思議と消えてしまう

「なぁなぁー、恋人できると垢抜けるとか言うだろー?」
「うん。えー?但馬のことぉ?」
「・・・いや、なんかムカついたからもうイイや」

江口は幸せそうな新井の姿を見てため息を吐き出して机へ突っ伏す

「・・・新井さんのメシ作るっつーのは付き合うとか付き合わないとかそれ以前の問題だったけれど、最近ほぼ毎日のように江口さんがいるのはなんでなんですかね・・・」
「ほーぅ?言うようになったなぁ?但馬ぁー。イイだろー。食材持って来てやってんだし」
「そういう問題・・・なんですかね」
「んなもん瑞貴が但馬ん所行くっつったから瑞貴の親友のオレもついて行こう。そんだけだろ」

但馬ができたハンバーグをテーブルへと乗せると首を傾げる

「ま、邪魔しに来るに決まってんだろ」
「え!江口って邪魔しに来てたの?!」
「んーん?瑞貴が幸せかなーって確認しにきてんだよ」
「ふふー。幸せ」

語尾にハートマークでもついていそうな新井の返事に苦笑する
ずっと恋心を隠し持っていた相手。同じ気持ちだったと知ったのに知るのが遅すぎて目の前で奪われた親友・・・でも、自分たちにはこの関係がやっぱり向いている。そう思いながら

「あー、そーいえばさぁ?オレってどんな職種が向いてるかなぁ?」
「んー?」

但馬の作った料理を口へと運びながら新井が江口にそう尋ねる
就職先も面倒見るから自分といるべきだと言われたけれど、別れたのだから就職活動もふりだし。色々考えなくてはいけないこともたくさんある

「瑞貴はうちの会社くるんだろ?」
「「え?!」」
「・・・いや、なんだよお前ら声揃えて」
「や、だって・・・オレ」
「バーカ・・・ホントバカだなぁ・・・瑞貴ぃー」

江口が笑いながら自分の皿から新井の皿へとブロッコリーを乗せていく

「お前は目を離すと怖ぇからずーっとオレの目の届くところー」
「・・・や・・・でも」
「大体なぁ?今までもそうだっただろ?進学先もバイトも部活も」
「・・・え」
「オレが目を光らせられる所にしかお前呼んでねぇっつーの」

あの時から決めていたこと。新井をもう放っておけない。そう思って常に自分の傍へと置いた

「・・・バイト代わってもらえるからとかじゃないんですね」
「あ、オレもそう思ってた!」
「おい・・・」
「江口、オレのコトそんな考えてくれてたんだね・・・」

じわりと胸が熱くなる
でももう判っている。間違えない。これは恋ではない

「おう。惚れ直したか?」
「うん!」

新井の返事にも但馬はもう動揺したり胸を痛めたりなんてしない
そっと隠れるように但馬に触れてくるこの指先があるから

「あー、でも江口の会社行くとなると・・・但馬ぁ・・・」
「・・・一緒には住めなくなりますね」
「だよねぇー・・・あー、うーん・・・そうだよなぁ・・・江口ぃ・・・オレやっぱりさぁ」
「あぁ?瑞貴はうちの会社来る。これはもう決定事項だぞ?」
「でも」
「但馬が諦めてこっちで就職活動するか就職先の間で住むところ決めて2人早起きして出勤するかだなー」
「・・・オレ、早起きできるかなぁ」

但馬はひとつ小さくため息を吐く

「まぁ、まだ時間も多少はあるんで、色々とそれまでに詰めていきましょ。大丈夫ですよ。遠距離になっても。休みは新井さんに全部捧げますし」
「はっはー!甘いなー?甘いなぁ?但馬めー。社会人になったらまーた色々出てくるもんだぜ?弊害っつーもんはー」
「そうなんですか・・・」
「まぁ、別れても瑞貴はオレが大事にしてやるから安心しろ」
「いや、それは結構です」
「瑞貴ー、お前はなーんにも心配しなくていいからなぁ?」

新井は笑いながら親友と恋人に感謝する
失わずにすんだ親友
諦めずにいてくれた恋人
どちらも新井にとって大事で、かけがえのない相手

「将来は早期退職してうちの親の喫茶店継ぎましょう」
「わー!素敵ー!っていうか江口の所行かずに最初からそれでもいいなぁー」
「おい、それどういうことだよ。お前の実家ってなんなんだよ」

まさか江口とこんな風に話せるようになるだなんて思いもしなかった
部活の先輩で憧れの選手の親友、そして想い人
恐れていた相手。強くて早くて怖くて敵うわけないと思っていた相手
大事な新井をずっと守って来てくれたことを知り、これからもきっと守り続けてくれるやっぱり敵わない相手

複雑な関係だけれど、きっと3人にベストの関係

これからもきっと・・・ずっと







コイゴコロミズゴコロ  完っ!









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コイゴコロミズゴコロ3-36 - 04/05 Wed

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目を開けて腕の中に小さな頭があることに微笑み、あまりにも幸せでこみ上げてきた笑いが思わず口から小さく漏れだす

「ん・・・おはよ」
「起こした。ごめん」
「んーん?あー、まだ昼間だぁー!朝からコトに及んで昼寝してまだ昼間ー!ぜーんぶサボりって超だらけるー」
「っすね・・・腹、減りません?」

新井は少し考えて但馬の胸に頭を押し付ける

「たーじまぁー」
「はい?」
「オレら付き合ってるー」
「・・・はい」

再確認。新井からも確認されて但馬自身も再確認する。代わりでもない。敵わない相手もいない。もう、諦めなくてイイ相手

「あー、どーしよ。但馬と付き合うの2回目だけど前よりもなんかなんだろー・・・恥ずかしい?違うなー、ドキドキ?違うー・・・判んないなー・・・難しいなぁー」

新井がうーんうーんと唸っているのをそのまま抱きしめる

「イイよ。判ったから」
「え!?じゃあ但馬も一緒?!」
「一緒・・・好きって気持ちからもう逃げない。譲ることもしない。言っておくけど、オレ、結構しつこいよ?」
「えー?但馬ってそういうタイプじゃないでしょー?」

ニヤリと笑った但馬の顔が見える
どこか子どもっぽい表情・・・あまり見たことがない顔

「父さんたちに聞かなかった?実家のオレの部屋のコト」
「グラビアじゃなくてオレの雑誌の切り抜き貼ってあったってことぐらいしか」
「そう。あの人たちはオレがストーカーやってんじゃないかってずっと不安だったから新井さん連れてって付き合って、ホッとしてたと思う」
「ストーカー!」
「まぁ、その気質は結構あったんだと思うよ・・・なんせ、インハイであんたの泳ぎ見て大学まで追いかけて来ちゃうくらいだし」
「アハハ!じゃあずーっとオレのコト見ててねー?もう離さないでよー?」

ぎゅっと抱き返されて回している腕に力を込めながら「離さない」と囁く・・・

泳ぐ姿を見て一目惚れした
憧れて憧れて、出ている雑誌を買って部屋に貼った
一緒に泳ぎたい。もっと近くで泳ぎを見ていたい・・・そして追いかけた
あんなに美しい泳ぎをするのだから人魚か何かだと信じて

でも、実際に見て、同じ人間だと判った
しかも大分手の掛かるタイプの人間だと

いや、もしかしたら水の中では美しく速く泳ぎまわれる人魚が陸に上がると人間と同じように生活するのには不自由なのかもしれない。そう思った日もある

恋をした。でも信じたくない恋
自信のない恋

叶わない想いを抱えた心の寂しさを少しでも埋められればよかったのに
人には欲がある

1度得てしまった知ってしまった欲は彼を変えた

弱く、諦めることが1番だと逃げて波風を立てない人生がベストだと信じていた彼の心をも

「なぁ、但馬ー」
「はい」
「オレ、今ねー、幸せー」

そう言う彼の笑顔こそが彼を幸せにしてくれる

「でもねー、お腹も空いたー!」
「はい」

叶わぬ恋をしていた
それは突然、そして必然
窮地から救ってくれた相手に寄せた想い。叶わない想い

親友という立場を手に入れてズルさを学んだ
手に入らない親友。心に空いた寂しさを埋めるように自らの美貌を武器にし、手当たり次第に遊び、遊ばれた
どんどん大きくなっていく穴・・・埋めても埋めても広がるばかり

家族には罵られ、見放され、優秀な弟を守るためにほぼ勘当された

穴は広がっていく・・・傷つく度に身を守るようにそれに気付かなくなっていく

そして光・・・差し伸べられた光に縋ると初めて知った人の愛。本当の人の愛
闇に差した光に吸い寄せられるようにして惹かれ、新しく芽生えた本当の恋

流されていく人生が1番楽で傷つかない。そう信じていたのに知ってしまった光・・・
親友の想いを知って付き合っても光で埋められた記憶を心が覚えていて新しい光を感じることなんてできなくて親友への想いがもう恋ではなくなっていたことを体中が訴えた

そして流されるまま楽な生き方を、親友と決別することになってもやめようと思えた

「洋服を着てこの間行きたいって言ってた店行ってデートするか、コンビニで何か適当に買ってきて食べてまた洋服脱ぐかどっちがいーい?」
「!・・・また難しい選択ーーーーっ!」







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コイゴコロミズゴコロ3-35 - 04/04 Tue

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キスをすると口の中に広がる鉄の味
そして、自分で噛みついた傷口の痛み

「痛い?」
「ん。ちょっとしみる」
「痛そう・・・」
「但馬のほうが痛そうだよ?あ!!!手当てとか先にした方がよかった?!」
「・・・今、それに気付いてそれ聞いちゃいますか・・・」

但馬が苦笑しながら新井の髪をそっと掻き上げる

「だって・・・うーん・・・」
「痛いけど、こっちも結構限界かも」

そっと新井の手を下肢へと導くと昂ぶりを手で感じて新井が甘い溜息を漏らす

「但馬・・・ねぇ、ジンジンするのはホントだよ?奥、熱いの。江口に中途半端に弄られてたけど萎えないの?もう、ヤじゃない?」
「ん・・・もう、多分目の前で何してても平気・・・新井さんが目の前で江口さんに言ってたの聞いたから・・・オレを選んだの見てたから」
「うん・・・但馬、但馬がね、好き。オレバカだから全然自分でも判ってなかったみたい。ごめんね?但馬、ごめんね?」

顔じゅうにキスをされてくすぐったくてクスクス笑うと新井の乳首に手を伸ばし、優しく触れる

「ふ・・・ぁ・・・もっと強く抓って。吸って?噛んで」
「すっげぇ煽って来るね・・・」

但馬の手が優しすぎて自分の手で但馬が触れていない方を抓り上げると潤んだ瞳で但馬を見上げ、懇願する

「待って・・・とりあえず、ここ床・・・」
「イイよ」
「いや、オレも体痛いの嫌だから」

口を尖らせながら体を起こすとすぐにベッドへと寝かされる
遠慮がちに体に触れてくる但馬が少しもどかしいけれど可愛くも思えて但馬の胸へと手を伸ばす

「ドキドキしてる」
「そりゃ・・・」
「していい?」
「・・・え?」

但馬の返事を待たずに但馬の下着を下ろすとうっとりした表情で口を開いて口に含む

「っ・・・新井さん・・・」
「んっ・・・うんっ・・・但馬の熱い」
「っ・・・は・・・オレもっ、したい・・・新井さんっ、ちょっ・・・そ、れっ」
「出して・・・但馬の、出して」

ずっと新井が欲しかった。ずっと我慢してきた・・・そんな中、加えられる激しい刺激に、押し寄せてくる快感に歯を食いしばりながら耐えるけれど耐えられそうにもなくて自分でも情けない声が漏れ出してしまう

「っ・・・ふっ・・・ぁ・・・無理、出る・・・新井さんっ・・・もう、出ちゃうって」
「らひて」

もごもごと口に含んだまま喋られて変則的な刺激が与えられて、新井の頭を掴むと精を吐き出す

「っ・・・はぁ・・・ん・・・はぁ・・・ごめ・・・大丈夫?」

新井が顔を上げて微笑みながら頷く
口の中に吐き出された精を嚥下すると口を開いて舌を出す

「飲まなくてイイ・・・って」
「ううん・・・好きなの」
「え・・・オレの・・・それ・・・が?」

新井は笑いながら首を振る

「但馬のだからね、但馬から出されたって思ったら欲しくて・・・もったいなくて」

嬉しくて顔がにやけてしまう。またこうして但馬をこの手で、体中で感じさせられ、感じることができるのが嬉しくて

「江口のはね、飲んでって言われても無理だったの・・・」
「っ・・・あんたはっ!!!もうっ」

体が浮いて、体勢を変えられるとすぐに重量あるものが挿入されて息を吐き出す

「ごめ・・・怒った?!怒ったの?!江口の話したからっ?んっ・・・んあ、但馬っ・・・すごっ」
「怒ってない・・・しっ・・・」
「じゃあっ・・・なんで?!但馬っ・・・すごいっ・・・出したばっかりなのに大きっ」
「判んなくてイイっ・・・」

そう。新井が判らないのなら判らなくてイイ・・・

「オレだけ判ってればイイ・・・新井さん、好きだよ」

新井が気付いていないけれどこれは新井の愛情表現だから・・・体中で好きだと言われているようでうれしくて幸せだから・・・但馬だけ判っていればイイ。もう疑うことなんてない・・・疑うわけがない

「オレもっ・・・好き・・・好きっ」

キスを強請られキスを落とすと腕を背中に回されて抱きしめられる

「新井さん、涙」
「え・・・」

目の端に溜まった涙にキスすると塩味が広がる

「嬉しい・・・からかな・・・あと、すっごい気持ちイイっ・・・」
「うん・・・うん・・・」
「もっと、もっと中、擦って。いっぱいいっぱい但馬ので擦って。但馬でいっぱいにして」

涙が浮かんでいるのなんて気付いてなかった。でも胸がいっぱいで苦しいわけじゃなくて幸せで・・・嬉しくて・・・
江口のときに流していた涙とは違う・・・こんな気持ちは但馬とだけ




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コイゴコロミズゴコロ3-34 - 04/03 Mon

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ぐるりと指で内壁を撫でまわされて息を詰める
聞く気はやっぱりないのか・・・言わせるつもりがないのだ・・・そう思うと唇に歯を立て、痛みを感じると口の中に血の味が広がる
鉄の味が不味いけれどその不味さが新井の意識をはっきりとさせてくれる

「新井・・・さん?口・・・新井さんっ!」
「但馬にいっぱい初めてのモノ貰ったから。江口のことは大好きだけどっ・・・オレ、但馬にたくさん初めて貰って気付いたんだよ。オレ、ずっと・・・ずっと江口が自慢できるような親友になりたかった。いつも隣にいて優越感をオレは感じてたけど江口にもそうなってほしかった!オレは江口にオレが友達でよかったって思ってほしかった!大好きで、これからも大好きだけど但馬への気持ちとは違う好きっ!オレはっ・・・オレはっ・・・江口に彼女いても諦めつくのに但馬は無理だもんっ!但馬が彼女作るって知ったらヤダっ!ヤダ・・・江口ぃ・・・オレ、いっつも迷惑かけてごめん。傷つけてごめん。裏切るようなことしてごめん・・・」

江口の指は埋められたままだけれど、それでも動かさないのは話を聞いてくれているのかと江口を見上げる
俯いていて表情は見えないけれど、傷つけたのかもしれない・・・

「バカだって笑うかもしれない・・・でも、オレ、バカだから仕方ないよ・・・っ・・・んっ」

ずるりと体内から指が引き抜かれると中に入れられているローションが少し漏れて内股を伝ってくる

「但馬・・・お前、このエロい体はオレのために作られたようなもんだ。オレのせいで。お前のためでもなんでもない。それでもこいつがイイって言えるか?」
「・・・体とか、ホント関係ないっ!新井さんの泳ぐ姿が好きで、新井さん自身が愛しいからっ!」
「こいつを裏切らないって約束するか?」
「・・・江口さん・・・?」
「あー・・・ホントお前らバカ・・・2人ともバカだ・・・」

突然くしゃくしゃの顔で笑い出した江口は新井の尻をペチペチ叩きながら床の上にあぐらをかく

「江口・・・?」
「もうオレは必要ないんだな・・・」
「・・・ぇ?」
「バカだよ・・・ホントお前バカ。オレにずーっと流されてさ・・・お前が言う自慢の親友?バカじゃね?ずっとお前はオレの自慢だったっつーの」

落ちていた新井の下着で垂れたローションを拭う江口に「それは雑巾じゃないよ」と言いかけたけれどそれは江口に抱きしめられて飲み込んだ

「自分のダメなところくらい判ってんだよ・・・でも、治らない。瑞貴に言われたら治ったかもしれねぇのにお前は全部オレを包み込んで甘やかす・・・単位だってそうだ・・・泣きついたらホントにお前自分のレポート出すとかさ・・・大体、オレとすんのだってそうだろ・・・お前、いつも泣くし・・・」
「あぁ、あれは」
「気持ちイイからとかお前、それ違うからな?あん時と同じ顔してたっつーの。そもそも悦くて泣くならあんな泣き方じゃねぇし。んな苦痛なら断りゃイイんだっつーの・・・」
「・・・え・・・や、え?!いやー・・・流石にあれとは全く違うっていうかー」
「じゃあ、こいつと寝てた時は泣いたことあんのかよ」
「それはない」

断言されればされただけなんだか何とも言えない気分の但馬だったが目の前に来た江口に睨みながらも身構える

「おいおい、いつまでビビってんだよ。ほら、こっち手出せ。外してやるから」

江口に手を掴まれ、乱暴にガムテープを剥がしていく江口
だが、適当に巻き付け、それを無理矢理剥がそうともがいた但馬のせいでなかなかスムーズには剥がれていかない

「瑞貴ー、はさみかカッターかなんか持って来いよ」
「え・・・あ、うん」

新井が机の上のペン立てに入っていたカッターナイフを手にすると江口に渡そうとして手を止める

「・・・何?オレがそれで但馬を刺すとか考えてる?」

江口の笑った顔に何故か胸が痛くて首を振る
但馬を殴った・・・でも、江口が但馬をこれ以上に傷つけないことが判って素直にカッターナイフを渡すとすぐにそれで但馬の手足の拘束をとっていく

「謝んねぇぞ・・・お前も殴られるくらいは覚悟してただろ?な?」

但馬はひとつ息を吐き出すと「はい」と頷く

「だよなー・・・オレから瑞貴奪っちゃうんだもんなぁ・・・そりゃー、これくらい覚悟してねぇとおかしいわー」
「でも、薬は・・・やりすぎです」
「あー?あぁ・・・あー・・・これ?」

ポケットに手を入れて出したのはミントタブレットのケース

「・・・え?」
「バーカ。うっわっ!バーカ!バカ2人じゃんっ!ちょいと一部じゃあ名前の知れちゃってるアスリートだぜ?オレら。んなバカなことするわけねぇし」
「・・・じゃ、じゃあお尻に入れたのは何?!なんかジンジンはホントにしてたけど!」
「あー?そりゃあれだ。お前が毎回ホント泣くからちょっとでも悦くなるように一応ラブグッズっつーやつ?媚薬とか謳ってるけど効果は眉唾モンだろうなぁ?瑞貴はアレだ。思い込み激しいから。プラシーボ効果的なのもあんじゃね?」

勘違いしていた。本当に・・・本当に・・・江口は江口なりに新井に本気で、ちゃんとした想いを抱えていたのだと判ってしまった・・・自分と同じように同じ人を本気で好きなのだと判ってしまった

「江口・・・」
「まぁ、んじゃフラれたオレは帰りますかー・・・あ、但馬、今日は部活来んなよ?その顔は色々聞かれるだろうしなぁ?」
「・・・江口さん、すいませんでしたっ!ありがとうございますっ!」
「バーカ・・・別にお前のことを許したわけじゃねぇし。お前のことは大嫌いだ。前も今もこれからも」

手を振る江口を2人が黙って見送るとドアが閉まり、同時にため息を吐き出す

「・・・大丈夫?」
「新井さんこそ」
「オレはー・・・うーん・・・エッチしたい!」
「・・・」
「ねぇ、部活休めって言われたじゃん?イイよね?ねぇ。イイよね?殴られたところ痛むから嫌?それともオレが江口に触られてたから嫌?あ、じゃあちゃんとシャワー浴びて中に入れられたローションも掻きだしてくるし!ね?!ね?!但馬言ったよね?別れたらめちゃくちゃエッチするって」
「・・・めちゃくちゃするって言いました?」
「うん。言った!多分!言ったっ!」

今、重い空気だったことなんてなかったように笑顔を見せる新井の手を引いて抱きしめると優しく床へと押し倒す

「ホントに抱いちゃうよ?イイの?」

その言葉にNOという選択肢なんて新井にはない。ただ、満面の笑みで頷き但馬のキスを受け入れた






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コイゴコロミズゴコロ3-33 - 04/02 Sun

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結局、最寄りの駅でもなく、2人の住むマンションまで高田に車で送ってもらうとほかほかと温かい気持ちで階段を登っていく

「・・・但馬・・・」
「ん?」

新井の階で手を振ろうとした但馬が呼び止められて足を止める
新井の部屋の前に1人の男・・・それはそこにいるとは思わなかった相手・・・

「・・・話、早くできるかもしれないね」

新井が強がってそう言っているのは震える声で判ること。感じているのは恐怖・・・但馬もひとつ深呼吸すると新井の背中を押して男へと近付くために足を踏み出した

「よぉ?おはよーさん」

にっこりと笑った江口が手を挙げて新井に言った直後、その手が但馬の頬へと向けられ、突然のことで避けることも身構えることもできなかった但馬がよろけて数歩後ろへと下がる

「瑞貴ー、オレお前に連絡取れなくてすっげぇ心配してたのに何?お泊りデート?但馬、お前、どういうことだ?あ?」
「・・・すいませ・・・」

謝罪の言葉を言い終わる前にもう1回殴られた但馬は痛みとくらくらする頭を押さえる

「やめ、江口っ!やめてっ!」
「瑞貴、部屋開けろ」
「・・・」

但馬の胸倉を掴んでいる江口に逆らえなくて江口の言う通り部屋の鍵を開けるとすぐに投げ入れられる但馬

「但馬っ!」

すぐに駆け寄った新井を引き剥がし、馬乗りになった江口は但馬を何回も殴る。新井が腕を掴み止めても振り払われてしまう。怖い。江口が・・・怖い・・・

「瑞貴ー、脱げ」
「え?」
「イイから脱げ。じゃないとこいつ殴る」
「っ!!!」

但馬の口元から流れる血を見て新井はすぐに服を脱ぎ捨てた

「・・・なぁ、瑞貴、誰と付き合ってんの?」
「・・・但馬っ・・・」
「・・・は?」

江口の声にビクリと震える。但馬の腕と足がぐるぐるとガムテープでまとめられていくのを見ながらこれからこの体を差し出して但馬に暴力をふるわないというのならばいくらでも差し出す・・・もう逃げたくない・・・怖いけれど、但馬も頑張ってくれたのだから自分のために頑張ってくれたのだからこれ以上逃げたくない・・・自分の気持ちからも。この状況からも・・・

「オレ・・・江口とはやっぱり付き合えないっ!」
「なんで?」
「・・・ずっと江口が好きだったけどっ・・・でもっ」
「じゃあ付き合えるだろ。オレのコト好きなら」
「違っ・・・オレはっ」
「瑞貴、オレはお前に好きだっつったよな?お前もオレが好き。じゃあそれで充分だろ」
「江口さん・・・新井さんの話、聞くって件は」
「黙れ」

但馬は口の中に広がっている鉄の味を拭いたいのにそれができず、少し嚥下した後、江口の言葉に逆らって口を開く

「話、聞くイイ彼氏っつってやっぱり聞いてないでしょ・・・新井さんだって言いたいことあるはずだっ!」
「・・・まぁ、イイよ。うるさいやつはそこで鳴いてろ。瑞貴、お尻こっち出して」

笑顔の江口が逆に怖い。戸惑っている新井に「じゃあ但馬をー」但馬が殴られるとすぐに判った新井は江口の言う通り尻を江口へと向ける
すぐに異物が入って来ることが判って振り返ると次は口を開けるように言われて舐めろと言われるのだと思い、すぐに口を開く

「?!」
「はい、ごっくん」
「・・・え・・・江口?」
「なーんのお薬だろうねぇ?」
「・・・江口・・・」
「すーぐ欲しくなるよー」

頭を撫でられると何を飲まされたのかと震える新井。江口の前で抱かれ、乱れる自分を見ても但馬は愛してくれるだろうか・・・変わらないだろうか・・・

「あぁ、後ろ、溶けてきた・・・どう?媚薬入りーっつーのは・・・ホントかなぁ?って疑ってんだけどさー」
「江口・・・オレ」
「何。もーひくついてんだけど・・・相変わらずエッロいねぇ?」
「っ・・・ヤ・・・ヤダ・・・」

何か判らないものを飲まされたし、体内へは訳の分からないものを入れられたし、じわじわ腹が熱くなってくる気がする
但馬を見ると但馬は必死にガムテープを外そうとしていて、この拘束を解いて新井を助けようと必死になっている所

「瑞貴はなんで但馬と付き合ってるっつったの?昨日、但馬に優しくしてもらったから?」
「っ・・・優しいよ・・・但馬はいつも優しいっ!」
「瑞貴はこれからもオレとずーっと一緒だろ?就職してもずーっとずーっと」
「・・・オレは江口の会社、行かない。但馬といる」
「あいつに何を吹き込まれた?」

新井は頭を振る。吹き込まれたわけじゃない。ただ、自分が「普通じゃない」と家族に決めつけられたのと同じように但馬とずっと一緒になんていられないと決めつけていた。江口の言う未来の話だけが本物だと信じ、そうなるしかないと決めつけていたのだ。でも、但馬の実家へ行き、温かい家族に触れ、自分の考えの愚かさ、浅はかさを知った。但馬とも確かに不確かな未来しかないけれど、それは江口にも言えること。但馬とダメになるかもしれない。でも、江口とだって突然江口が自分の手を離す時が来るかもしれないという未来・・・決まっていない。不確かだからこそ今、自分の気持ちに正直になりたい・・・

但馬と一緒に過ごしていつか但馬の家族の一員になりたい・・・それが新井の今の望み

「但馬ー、大丈夫。そんな顔しないで?ただ、目、瞑ってて?見ないで?」

腫れた痛々しい顔で泣きそうな但馬を見上げてそう微笑むと頭を床に押し付けられる

「あー、指当てただけで自分で飲み込んでく・・・瑞貴をこんなエロく開発したのが他の男だって思うと癪だけどそれがオレを想いながらって考えたら許せるよなー・・・オレのためにここまでエロくなっちゃったんだよなぁ」
「そうだよ・・・江口がずっと好きだったよっ・・・っ・・・待って・・・待ってっ」
「で、何で瑞貴は大好きなオレじゃなくてこいつ選ぶわけ?」










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