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恋して落ちて閉じ込められて8《最終話》 - 03/18 Mon

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「待った・・・って?」
「あーあーもーホントTシャツしわくちゃだしなんか臭いしとりあえずそれ脱いで。ほら、こっち着て!ホントイイ顔が台無しなくらいやつれたしなんだよその無精ひげ!汚い!」

島原が取り出したシャツに視線を移すといつか忘れて行った、いや、もしかしたら洗濯してもらったままになっていた久野のもの

「もう1回言ってくれたらお前の部屋行って今から掃除してやる」
「・・・何を」
「オレの事どう思っててなんでごめんなさいしてんの?」
「お前いないと生きていけない」
「違う!やり直し」

島原の顔に「あ」と理解し「好きだから」と真っ直ぐに答えた。今度は小さくも震えてもいない声で

「ん・・・そ、か・・・そっか・・・うん。好きか・・・うん・・・うん。コピーも無駄にならなくてよかった」

そして久し振りに見る島原の笑顔

「っ・・・ごめんっ・・・ごめん・・・も、合コンとか行かないから!女の子と遊びに行ったりもしないからっ!」
「まぁ、そこは今約束したところで守れないと思うわけだ」
「いや!オレは」

ポンっと肩を叩かれ「お前の部屋、片付けに行く」と言われた久野は島原の後を歩きながら何度も謝った








「クッソ汚かった!どうやったらあんなにゴミ溜められるんだよ!」
「・・・まぁ、それは・・・オレがダメな人間なのは自覚してるから」

島原が来て片付けてくれた部屋は以前のような部屋になって久野はこれが日常だと呼吸が楽になった気がした

「んで、これからの事!」
「あ、はい」

思わず正座した久野に島原は笑う

「合コン行くのダメとかうるさい事言わない。女の子と遊びに行ったりするのもまぁ、構わない」
「え?」
「オレ、心広いわけよ。っつか、まぁ、女の子好きなお前にも目の保養とか?まぁ、なんか癒しみたいなの必要だと思うし。オレには女の何がいいのか理解はできないけど、目の保養とか考えたら少しは判る気もするし」

じゃあ、なんで怒っていたのか・・・なんで別れる事になっていたのか

「オレが怒ってんのはお前、何も言ってくれないし、嘘吐いて合コン行くし」
「・・・合コン行くって言えばよかったのか?」
「いいよ。まぁ、そんな毎週末行く!とかだと流石に嫌だけど。でも、嘘吐いてまで行くのはナシ。マジで疾しいことあんじゃないかって思ってオレがキツイから」

久野は理解できなくて首を傾げ、そしてふと気付き首を振る

「それ!お前もなんかどっか行くっつーことだろ?!中林か!中林だな?!」
「あ?なんで中林が出てくるんだよ」
「だからオレも許すみたいな・・・お前、中林と仲イイし!旅行だって!」
「バーカ。ホントバカ。でも、そんなお前を甘やかしたいオレもバカだけど・・・中林とは友達だろ。お前もオレも。旅行なんて中林と2人で行くかっつーの。大勢の中のひとりならまだしも中林と2人?きっついっつーの」

笑った島原がおいでおいでと手をこまねいて久野は立ち上がると抱き締められる

「オレがお前のことタイプっつったの覚えてねぇの?」
「・・・覚えてるけど」
「オレ、お前といりゃそんだけで目の保養してるし結構癒されてんの。中林とお前全然違うだろ?オレのタイプはお前なんだから中林なんてただの友達でしかない。オレ、誰でもいいわけじゃないって言っただろ」
「・・・うん?」
「だから・・・バカだなぁ。まぁ、オレなしで生きていけなくしたのはオレだけどあのまま立ち直って女の子と付き合ったらそのまま手離してやれたかもしれないのに・・・バカだ・・・バカだなぁ・・・」
「いや、意味判んないし、なんでお前オレのコトバカっつーのに、んな嬉しそうな顔してんだよ」

島原の唇が久野の耳元へ寄せられる

「お前みたいな優良物件逃すわけねぇだろ。バーカ。中林にヤキモチ妬いてるお前可愛すぎだっつーの」

その声は酷く色っぽく、そして久野の心を虜にした











「あー!やっべぇ!もうこんな時間!ってわけでー!オレはお先に失礼ー!」
「えー?もう帰るの?」
「そ!もー帰るの!」

合コンの誘いがあれば相変わらずそれに乗る久野。背も高く顔も悪くなくて明るい久野はその気になればいつだって出会った女の子といい仲になれただろう

「あ、ああ?アイス買ってきてとか・・・ね!今、アイスの新作なんかある?オススメは?!」
「えー?あ、コンビニ限定のやつ!中に生チョコ入ってるやつでー」
「お!それ!いーね!あんがとー!」

そして周りに手を振って家路に急ぐ久野の背中を見送った女の子の1人が「なーんだつまんないー」と呟くのを見て笑う久野の友人

「あいつ本命いるからオレにしとこーよ」
「なにそれー!本命とかいるなら合コン来んなっつーの」

本人は悪口を言われているのなんて知らない。ただ、理解があってなんでもしてくれる恋人のためにアイスを買って甘えるために部屋へ急ぐのだ

島原がいないと生きていけない。もう地獄だと思った。でも掬い上げられて今がある。島原がいるから楽しく生活できる。息ができる。もうここは地獄じゃない



でも、それはもしかしたら島原と言う名の監獄の中なのかもしれない

久野にとって幸せに満ちた監獄・・・誰にも理解されないとしても、2人の幸せな監獄の中







恋して落ちて閉じ込められて  おしまいおしまい






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恋して落ちて閉じ込められて7 - 03/17 Sun

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「そこで土下座され続けても迷惑なだけだから・・・」

迷惑・・・そう言われて顔を上げると開いたドアにハッとする

「入れてくれるの?」
「お前このまま帰りそうもないし・・・変な噂立てられるのも困る・・・もう遅いかもしれないけど」

島原の部屋に入るときにドキドキなんてしたことなかったけれど、久々の島原の部屋には何故かドキドキした

「あー、暴力とか変なことしたらすぐ警察呼ぶから」
「しない」

暴力をふるうと思われているのも寂しい・・・確かに突然大学で友人に飛びかかって殴りつけたのはついこの間のような気がするけれど島原を殴ろうだなんて殴りたいだなんて思っていない

殴りたいのは自分だけ

「・・・お前いないと生きていけない」

かっこ悪い

かっこ悪いかっこ悪いかっこ悪い

でもなんとか糸一本でも繋がれたら生きていける気がするから。もっと息ができる気がするから

「ごめん。オレが悪かった」
「もう何百回も聞いた気がする」
「ん・・・ごめんなさい」

再び頭を下げると距離をとったままの島原の足が見えてもう隣で笑ってはくれないのだと隣で優しく背中を叩いてはくれないのだと寂しくて心が千切れそうだった

「もう絶対にやり直せないって言うなら・・・これでもダメって言うなら・・・消えろって言って・・・お前からオレに最終宣告して・・・」
「・・・そしたら・・・消えるわけ?」

久野は小さく頷く。もうダメなんだ・・・日常は崩壊した

「消して・・・くれ・・」
「っ!!!警察っ・・・呼ぶっ!」

久野が取り出した果物ナイフを見てそう叫ぶと久野は果物ナイフを床に置く

「本当に消して。オレを。もう無理。生きていけない」
「・・・な・・・はぁ?」
「ぁ・・・でも、オレを殺したらお前が悪者にされるか・・・じゃあ、じゃあ・・・ごめん。ナイフ、怖いよな・・・それ危ないから捨てて下さい。オレはお前を傷つけたいとかじゃないから・・・」
「・・・意味わかんねぇ・・・」

こんなにかっこ悪くてダメな人間、やり直してもらえるはずもない。でも、島原がかっこいいと言ってくれた自分はどう取り戻せばいいのかすら判らない

何も判らない

真っ暗な道をただ歩いているようで、いや、進んでいるのかも立ち止まったまま置いていかれてるのかも判らない

「大体、オレの事便利屋かなんかとしか思ってないだろ。そりゃ便利屋がいなくなったら不便だろうよ」
「そんなっ・・・」
「便利屋とか家政婦とかなら他を当たれよ。オレは違う」
「っ・・・そんなんじゃないっ!」

久野は拳を握りしめて口を開くと震える声で呟く

「好きだから」

多分初めて言った。付き合って1年半、言ったことはなかった言葉。でも心に秘めていた言葉

「・・・オレも好きだよ」
「え?」

島原の言葉が判らなくて、聞き間違いだと思って顔を上げると久野に背を向けて整理されている部屋のカラーボックスからガサガサ何かを取り出した

「はい」
「・・・え?」

判らない。出された紙束が何かも、島原の真意も何も判らない

「簡単な言葉。どんだけ待たせるんだよ!ったく・・・ナイフ出した時はホントにやばいって思ったけどお前がお前で安心した」
「待って・・・え?何?どういうこと?これは?」
「お前が出られなかった授業のノートのコピー。代返も一応ほぼしてあるから。あとはテストで変な点数取らなきゃ単位落とさないだろ」
「な、え?なんで」

島原がため息を吐き出してベッドへ腰を下ろすのを見て「えぇ?」とノートのコピーを握りしめたまま島原を見つめる

「オレにばっか言わせんな・・・オレはずっと待ってやーっと聞けたっつーの。2年くらい待ったっつーの・・・」






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恋して落ちて閉じ込められて6 - 03/16 Sat

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殴った友人とは疎遠になった。ゼミ内でも、いや、大学へ行けば皆腫れ物に触るみたいに接してきたし、居場所なんていよいよ本当にどこにもなかった

あんなに嘘を吐いてでも言い訳してでも行きたかった合コンだって楽しくなかったし、溜まっていく洗濯物も朝起きられなくて捨てられないゴミも不快で部屋にもいたくない。居場所のない大学にも行きたくない

寂しさは人を殺せるとまで思いながら過ごす日常



「やった!予約取れた!」

夏休み前、期末試験の頃、中林がテンション高く友人らに見せている雑誌を横目で盗み見た







「何?お前そこ行きたいの?こないだもそこ見てたよな」
「んー?あぁ、綺麗だろ?憧れてるだけ」

そう雑誌を見ながら笑った島原にできもしない約束をした

「じゃあ金貯めて行くかー」
「え?」
「ん?来年の夏休み」
「ホント?」
「おう」

島原が「楽しみ」と笑ったのが美しいと思った。ただ、純粋に美しいと思った





島原が行きたがった場所。それは中林の持った雑誌に映っているところ

自分と約束したあの場所へ中林と・・・

もう別れを告げられてだいぶ経つのにまだ吹っ切れていない。日常は戻らないのに変わっていく季節。自分だけが世界に取り残されて進んでいく時間

「・・・だ」

もうダメだと周りも聞こえない声で呟いて久野は日常を取り戻したくて島原の部屋へ向かう

時間が巻き戻ればいいのに。楽しかった、充実した日々のあの頃に

「・・・ホントに学生課報告しにいくけど」
「ごめ・・・なさい」

ただ謝ることしかできない。島原がいないと生きていけない。独りぼっちのこの世界では生きていけない

久野が額を地面につけて再び「ごめんなさい」というのを聞いて流石にギョッとする島原

「や、やめろ」
「お前なしじゃムリ・・・生きていけない」
「な・・・んなこと言ってお前すぐに浮気すんだろ」
「中林と行くんだろ」
「あ?」
「も、ムリ・・・お前が他の男に優しくしたり尽くしたり遊びに行ったり!見てるのキツい」
「関係ないだろ・・・んな・・・引きずってかっこ悪」

また言われた関係ない・・・関係、ない・・・?今もこんなに苦しいのに?関係ない?

苦しくて寂しくて仕方ないのに、日常がどんなだったのか、こんなに苦しいのが日常だったのかも思い出せないのに。前へ踏み出せばいいのに前への踏み出し方も判らない

かっこ悪い・・・判っている。そんなの言われなくても判っている。でもかっこ悪くても今の久野には縋ることしかできない

島原は優しくて、面白くて、、甘やかしてくれて、初めてをたくさん教えてくれて・・・あぁ、こんな苦しみも初めてだったと気付いた。今までみたいに驚きはしないけれど失ってこんなにも苦しいのは初めてのこと









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恋して落ちて閉じ込められて5 - 03/15 Fri

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翌日もそのまた翌日もその翌日もやっぱり起きられなくてボーッと時計を見つめた

慣れなくちゃいけない。この生活に、島原がいない現実に慣れなくちゃいけない。大学で見かける島原はダメージも受けていない様子だったのだから自分も慣れるべきだとは判っている。でも、甘やかされ続けた日常は簡単に慣れてはくれない

授業は学友たちに聞きまくって時間割を作ったし、飲み会も合コンも罪悪感を感じることなく入れられるようになった

でもまだ慣れない
寂しさも埋まらない

コンビニで買う弁当も、翌朝に食べるためのパンも、1人でやる課題も1人で見るテレビも全部全部慣れてくれない

寂しさが襲う。寂しくて気が狂いそうだから詰め込んだバイトのシフトも全部全部久野を余計に苦しめる








「・・・何?それ」
「え?何が?」

友人に聞いた昨晩の飲み会の話。ゼミの飲み会。行っていない。誘われてすらない

「オレ、誘われてねぇけど」
「あ?だって島原来るって言うし気まずいんじゃね?お前別れたっつってたじゃん?それに最近お前やたらとバイトだしさぁ!」
「それでも」

誘われてないのと誘われたけれど行かないのとはだいぶ違う

どちらを誘うか考えた時に島原の方が優先度が高いと言われているようで寂しさが増す
友達まで島原に奪われたようで、ここに自分の居場所なんて島原と別れた自分の居場所なんてどこにもないと言われているようで寂しくて辛い

「ま、なんだ?お前とは別でも飲みすんじゃん?島原って結構レアだしさ!」
「何だよ・・・それ」
「拗ねんなってぇー!あ、来週井川たちと飲みやるけどお前来る?来るよな?バイト空けとけよ?」

日常がこんなに苦しいものだなんて知らなかった。忘れていた。大学に入りたての頃に感じたあのホームシック。寂しくて何もできなくてどうにかなりそうだったあの時と同じ

「あ、中林ー!お前も来る?来週さー飲み会あんだけどー」
「いつ?」
「水曜ー!」
「あ、水曜ダメだー!島原と約束してる」

血が沸騰しそうだった

グラグラ煮え立って何もかも燃やしたくなる。燃やして溶かしてしまいたくなる

「中林、最近島原にべったりだよなぁ?お前の次の彼氏ー?なーんて」

友人の言葉を最後まで聞く前に何もしていない友人の頬を拳で殴っていた。ケンカっ早い方じゃない。寧ろ温厚な平和主義だと思っていた久野の初めてのこと













何度目かの抜き合いの後、口で奉仕してくれる島原の腰が揺れていることに気付いた。多分付き合って半年くらい

「なぁ、腰、揺れてる。オレのしながら感じてんの?それ」

単純な興味だった。でも、島原のバツの悪そうな顔を見てハッとし、嫌がる島原を押さえつけながらデニムと下着を剥ぎ取った

「・・・え?」
「見るなっ!・・・気持ち悪いだろ・・・離せ・・・萎えたなら謝るから。見なかったことにして。忘れろ」
「いや、何?これ」

後孔に付けられたプラグを見てただ、純粋にまた驚かされたと思った

島原と付き合って男同士でそこを使うという知識はついた。でも、島原がそれを望んでいるだなんて知らなかった。タイプだと言われて好きだと言われていたからてっきり自分をそうしたいのだと、それはどうにも踏み込めなくて聞けなくて。聞いたら丸め込まれて自分でも見たこともないそこを曝け出すのだと躊躇していた場所に自らプラグを入れている島原に興奮を覚えた

「オレの、挿れてほしかったの?」
「っ・・・」
「何で付けてんの?」
「もしっ・・・お前が平気そうならっ・・・って・・・思って・・・でもっ」
「オレのためにそれ、付けてきたの?挿れて欲しいって思ってたの?」
「・・・くれるか?ここに、お前の・・・大丈夫そう?」
「言えよ・・・お前言わないとオレは判んないよ。男同士のそういうこと、オレは判んねぇもん」

島原と付き合って半年、島原にとってはずっと我慢していたのかもしれない半年・・・やっと本当に付き合っている実感をしたその日・・・男がそこで感じることを知った








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恋して落ちて閉じ込められて4 - 03/14 Thu

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どうにか謝りたい久野は島原の部屋の前で家主を待ち伏せすることにした
授業の予定は判らなくても島原のバイトの日、大抵の帰宅時間は判るのはなぜなのか久野にも判らない

「アハハっイイよ。じゃあ今度貸すよ」
「マジで?!」
「あぁ」
「・・・っと・・・じゃあまた明日な!」
「ん、じゃあな」

島原が帰ってきたけれどひとりじゃなくてどうしようかと思っていたら久野の姿に気付いた相手が気を利かせて帰ってくれる・・・これも公認の仲だった証拠。もしかしたら島原はまだ周りに別れたと公言していないのかもしれない。そんな希望でそっと微笑むが、島原の冷たい表情で一気にそんな希望は吹き飛んだ

「何?」

久野がいてもその存在なんて気にならないかのようにそう言いながら鍵を開ける島原

「・・・ごめん」
「もうイイ。関係ない」

関係ない・・・その言葉にカチンときて島原の腕を掴み、無理矢理部屋へ上がる
授業の予定も判らないのに島原の予定は把握できている。関係あるから、関係あったからそれは覚えているのに関係があったことすら否定するような島原の態度にキレたのだ

「関係ないってなんだよ!」
「言葉の通り」
「っ・・・中林とデキてんのか?!一緒に帰ってきてっ!あいつのこともタイプなのかよ!」
「・・・関係ないだろ」

大学でも楽しそうだった。今も楽しそうだった・・・自分と別れた翌日に当て付けのようにもう相手を見つけたというのか・・・それとも、自分と同時進行だったのかとも疑ってしまう。合コンへ行ったことを怒って別れを切り出して来たのに、本当は自分よりもイイ相手がいたからなんじゃないかと疑ってしまう

「あいつと穴兄弟とか勘弁してほしいからな!大体っ」
「だから、関係ないだろ。悪いけどオレ、別れてからも友達とか無理だから・・・あんまりしつこいと学生課に相談することになる」

そう部屋から追い出されるとすぐドアを叩こうとしてやめた。ただ、拳を握りしめたまま自分の部屋へと戻る

確かに悪いのは自分。今まで許されていたからといって甘えて過ちを犯し続けた自分が悪い・・・でも、許してほしい。もう一度チャンスが欲しい・・・もう一度だけ許してほしい






「なぁ」
「うん?」

付き合ってから3ヶ月くらい過ぎた時だったと思う。確か、映画か何かを一緒に見ていて、テレビの画面を見ながら適当に返事をした

「・・・お前ってさ・・・」
「んー?」
「・・・溜まったりして・・・ねぇの?」
「・・・何を?」
「何って・・・だから」

何の話かわからなくてちょうどCMに切り替わった時、島原の顔を見てやっと気付いた言葉の真意

「え?!そういう話?!」
「っ・・・」
「何?オレが溜まってたらもしかしてお前抜いてくれたりすんの?」
「だ・・・」
「え?」

冗談のつもりだった。でも島原の顔を見て「あ」と呟くとテレビを消す

「もし、よかったら・・・口で、させてくんね?」
「え?!」
「や!もしよかったら・・・お前が気持ち悪くないなら・・・だけど・・・お前の、したい・・・なって」
「お、お願いします」

なんとも間抜けな解答だったと今でも思う。でも、慣れた手つきでファスナーを下ろす島原に生唾を飲み込んだのを覚えている

薄くて小さいと思っていた口が思ったよりも拡がるのを知った

勝手に低そうだと思っていた島原の体温が高いことも知った

男の口でも、もしかしたら島原のだからかもしれないけれど達することを知った

「気持ちよかったか?」
「気持ちよかった・・・です」
「ん、よかった」
「よかった・・・ってお前は?!」
「え?」

そして、島原のなら他の男のなんて見たくもないし当然触りたくもないけれど触って達かせられることも、島原の感じている顔はいつもよりもさらに色っぽいことも知った

「・・・平気?」
「ん?」
「・・・だってお前」
「いや、付き合ってんじゃん?オレら」

そう言ってキスをした時島原が嬉しそうな顔をしたのを覚えている








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