つれないキミと売れてる僕12-59《最終話》 - 01/30 Wed
里見がケガをした後、里見の姿を見た山口は里見のオーラの変化にきっと誰よりも早く気付き、須野の仕事を削ろうと仕事を減らす努力に力を注いだ
しかし、なんとかあけたスケジュールを埋めるように事務所が須野の予定を詰めていくのを見て山口は社長に苦言を申し出たのだ
「このままじゃ寛人は潰れます」
けれど事務所は潰れるまでは使うとそう言い放ち、更には方針に逆らうばかりの山口を解雇したのだった
須野は驚き、怒った。里見に関する以外のことで珍しく怒った。そして自分も事務所を退所することを申し出たのだ。山口がいなければ仕事はしない。と・・・でも、そこに絡んでくる契約とか違約金
多額の違約金を払ってでも退所しようとする金の卵を生み続ける須野を離したくない事務所は山口の解雇を取り消そうとしたが事務所をもう信じられないと山口がそれを拒否し、須野の退所も保留になったまま今に至る
とりあえず山口が減らしてくれた最後の仕事はこなすけれど、それ以外のものは決して受けない。それが須野の意思。大抵のことは、言いなりだった須野の初めての事務所への反抗
「須野、お前は無職にならない。オレがそうさせないし、なにより世間がそうさせない」
「・・・でも、僕、今までみたいに仕事で長く家空けてるの怖いし、僕自身やっぱり里見に会えないのキツい・・・」
「おーおー判ってますよぉー」
「それに・・・僕と里見、離れてたらダメなんだ・・・どうしても伝えられな部分があるから」
「まぁ、うん。大船に乗った気分でいろってぇー!葛西くんを舐めちゃダメですっ!・・・そう言ってオレいつも乗り越えてきただろ?たまにはオレに頼ってよ」
「いつも頼ってるじゃん・・・僕無職になるし、違約金払ったらお金なくなりそうだし・・・それも助けてくれる?」
「バーカー!あ!そん時は須野ちゃんも受け取るの拒否したオレが返す予定になってるお金あんじゃんー?それ使えばいーしー!」
「えー?あれは里見にあげたものだから里見のだよぉ・・・」
「あぁ、光がお前に貰ってオレにくれた金な・・・だからオレは須野に返す」
「・・・うん・・・そっか・・・」
微笑んだ須野の頭を撫でる
里見に助けてもらった人生。でも、それは里見だけじゃなくて須野に助けてもらった人生でもあるから。里見と須野がいたから今の自分がいると思っているから
「・・・葛西」
「んー?」
「僕、まだ残ってる仕事あるからそれ行くときね・・・あと少しだとは思うんだけど、その時、里見からできるだけ目を離さないでほしい」
「お?おー!いーよー!べったりくっついてる!」
軽く笑った葛西だったけれど真剣な表情の須野に気付いて笑った口を閉じてまっすぐ須野を見つめ「判った」と頷く
勘のいい葛西。昨晩須野がケガをしていた理由も、里見の様子がここ最近おかしかったこともそこにあるのだと察したから
「・・・里見、飛び降りようとしてた」
「・・・は?!」
「僕は一緒に里見と死ねるならって思った。でも、里見ひとりで逝かせない。そんなことダメ」
「や!待って?待って!」
「・・・だからね、葛西、里見を見張ってて。多分今日は大丈夫。暫く大丈夫かも。仕事モードだったし。なんか、判んないけど里見、思いついたみたい」
突然思いもしなかった言葉に葛西は動揺するけれど落ち着いている須野に溜息を吐き出した
この親友は里見が死ぬことよりも死ぬのならば一緒に。ということで見張っていろと言っている事が判ったから
「須野ー」
「うん?」
「光が死ぬのもなー、もちろんお前が死ぬのもオレは阻止するよ?」
「?」
「例えそれが病魔相手だったとしてもオレがなんとしてでも成敗してやる!」
「何それ」
おかしなことを言っていると笑った須野に「本気だよ」と心で呟いた葛西は笑って親友の頭をぐちゃぐちゃに撫でた
「須野ー」
「うん?」
「じゃあー、阻止できないんならさー!じゃあさー!じゃあさぁー!オレはさー、お前らが死ぬならそれを見届けるー」
「?」
「ほらー、オレお前らのこと世界で1番大事だけどそれ以外にも大事なものあんじゃんー?ユリちゃんとかー?それにお前らのことその後も伝えていかなきゃいけないからオレがお前ら見届ける」
葛西の言葉の意味は判らなかったけれどとりあえず頷く須野
「だーからー」
葛西は判っていない須野のことも判っているという顔で須野の体を抱き寄せる
「オレのいないところで2人で逝くとか禁止ー」
「・・・ふふ。難しい事言ってる」
「難しくないだろー?一緒に飛び降りる前にオレを呼べばいーんだよ」
須野は「あぁ」と頷き笑ったけれど、葛西を呼んだら素直に逝かせてくれるわけがないだなんて思いもしない。須野は里見とどこまでも一緒に着いていくために死をも選ぶ。葛西は里見と須野と共にいるために生を選ぶ
真逆に思えるけれどどちらも愛の形
どちらも里見 光を愛している男の愛のカタチ
つれないキミと売れてる僕12幕
おしまい おしまい

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しかし、なんとかあけたスケジュールを埋めるように事務所が須野の予定を詰めていくのを見て山口は社長に苦言を申し出たのだ
「このままじゃ寛人は潰れます」
けれど事務所は潰れるまでは使うとそう言い放ち、更には方針に逆らうばかりの山口を解雇したのだった
須野は驚き、怒った。里見に関する以外のことで珍しく怒った。そして自分も事務所を退所することを申し出たのだ。山口がいなければ仕事はしない。と・・・でも、そこに絡んでくる契約とか違約金
多額の違約金を払ってでも退所しようとする金の卵を生み続ける須野を離したくない事務所は山口の解雇を取り消そうとしたが事務所をもう信じられないと山口がそれを拒否し、須野の退所も保留になったまま今に至る
とりあえず山口が減らしてくれた最後の仕事はこなすけれど、それ以外のものは決して受けない。それが須野の意思。大抵のことは、言いなりだった須野の初めての事務所への反抗
「須野、お前は無職にならない。オレがそうさせないし、なにより世間がそうさせない」
「・・・でも、僕、今までみたいに仕事で長く家空けてるの怖いし、僕自身やっぱり里見に会えないのキツい・・・」
「おーおー判ってますよぉー」
「それに・・・僕と里見、離れてたらダメなんだ・・・どうしても伝えられな部分があるから」
「まぁ、うん。大船に乗った気分でいろってぇー!葛西くんを舐めちゃダメですっ!・・・そう言ってオレいつも乗り越えてきただろ?たまにはオレに頼ってよ」
「いつも頼ってるじゃん・・・僕無職になるし、違約金払ったらお金なくなりそうだし・・・それも助けてくれる?」
「バーカー!あ!そん時は須野ちゃんも受け取るの拒否したオレが返す予定になってるお金あんじゃんー?それ使えばいーしー!」
「えー?あれは里見にあげたものだから里見のだよぉ・・・」
「あぁ、光がお前に貰ってオレにくれた金な・・・だからオレは須野に返す」
「・・・うん・・・そっか・・・」
微笑んだ須野の頭を撫でる
里見に助けてもらった人生。でも、それは里見だけじゃなくて須野に助けてもらった人生でもあるから。里見と須野がいたから今の自分がいると思っているから
「・・・葛西」
「んー?」
「僕、まだ残ってる仕事あるからそれ行くときね・・・あと少しだとは思うんだけど、その時、里見からできるだけ目を離さないでほしい」
「お?おー!いーよー!べったりくっついてる!」
軽く笑った葛西だったけれど真剣な表情の須野に気付いて笑った口を閉じてまっすぐ須野を見つめ「判った」と頷く
勘のいい葛西。昨晩須野がケガをしていた理由も、里見の様子がここ最近おかしかったこともそこにあるのだと察したから
「・・・里見、飛び降りようとしてた」
「・・・は?!」
「僕は一緒に里見と死ねるならって思った。でも、里見ひとりで逝かせない。そんなことダメ」
「や!待って?待って!」
「・・・だからね、葛西、里見を見張ってて。多分今日は大丈夫。暫く大丈夫かも。仕事モードだったし。なんか、判んないけど里見、思いついたみたい」
突然思いもしなかった言葉に葛西は動揺するけれど落ち着いている須野に溜息を吐き出した
この親友は里見が死ぬことよりも死ぬのならば一緒に。ということで見張っていろと言っている事が判ったから
「須野ー」
「うん?」
「光が死ぬのもなー、もちろんお前が死ぬのもオレは阻止するよ?」
「?」
「例えそれが病魔相手だったとしてもオレがなんとしてでも成敗してやる!」
「何それ」
おかしなことを言っていると笑った須野に「本気だよ」と心で呟いた葛西は笑って親友の頭をぐちゃぐちゃに撫でた
「須野ー」
「うん?」
「じゃあー、阻止できないんならさー!じゃあさー!じゃあさぁー!オレはさー、お前らが死ぬならそれを見届けるー」
「?」
「ほらー、オレお前らのこと世界で1番大事だけどそれ以外にも大事なものあんじゃんー?ユリちゃんとかー?それにお前らのことその後も伝えていかなきゃいけないからオレがお前ら見届ける」
葛西の言葉の意味は判らなかったけれどとりあえず頷く須野
「だーからー」
葛西は判っていない須野のことも判っているという顔で須野の体を抱き寄せる
「オレのいないところで2人で逝くとか禁止ー」
「・・・ふふ。難しい事言ってる」
「難しくないだろー?一緒に飛び降りる前にオレを呼べばいーんだよ」
須野は「あぁ」と頷き笑ったけれど、葛西を呼んだら素直に逝かせてくれるわけがないだなんて思いもしない。須野は里見とどこまでも一緒に着いていくために死をも選ぶ。葛西は里見と須野と共にいるために生を選ぶ
真逆に思えるけれどどちらも愛の形
どちらも里見 光を愛している男の愛のカタチ
つれないキミと売れてる僕12幕
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