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つれないキミと売れてる僕12-59《最終話》 - 01/30 Wed

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里見がケガをした後、里見の姿を見た山口は里見のオーラの変化にきっと誰よりも早く気付き、須野の仕事を削ろうと仕事を減らす努力に力を注いだ

しかし、なんとかあけたスケジュールを埋めるように事務所が須野の予定を詰めていくのを見て山口は社長に苦言を申し出たのだ

「このままじゃ寛人は潰れます」

けれど事務所は潰れるまでは使うとそう言い放ち、更には方針に逆らうばかりの山口を解雇したのだった

須野は驚き、怒った。里見に関する以外のことで珍しく怒った。そして自分も事務所を退所することを申し出たのだ。山口がいなければ仕事はしない。と・・・でも、そこに絡んでくる契約とか違約金

多額の違約金を払ってでも退所しようとする金の卵を生み続ける須野を離したくない事務所は山口の解雇を取り消そうとしたが事務所をもう信じられないと山口がそれを拒否し、須野の退所も保留になったまま今に至る

とりあえず山口が減らしてくれた最後の仕事はこなすけれど、それ以外のものは決して受けない。それが須野の意思。大抵のことは、言いなりだった須野の初めての事務所への反抗









「須野、お前は無職にならない。オレがそうさせないし、なにより世間がそうさせない」
「・・・でも、僕、今までみたいに仕事で長く家空けてるの怖いし、僕自身やっぱり里見に会えないのキツい・・・」
「おーおー判ってますよぉー」
「それに・・・僕と里見、離れてたらダメなんだ・・・どうしても伝えられな部分があるから」
「まぁ、うん。大船に乗った気分でいろってぇー!葛西くんを舐めちゃダメですっ!・・・そう言ってオレいつも乗り越えてきただろ?たまにはオレに頼ってよ」
「いつも頼ってるじゃん・・・僕無職になるし、違約金払ったらお金なくなりそうだし・・・それも助けてくれる?」
「バーカー!あ!そん時は須野ちゃんも受け取るの拒否したオレが返す予定になってるお金あんじゃんー?それ使えばいーしー!」
「えー?あれは里見にあげたものだから里見のだよぉ・・・」
「あぁ、光がお前に貰ってオレにくれた金な・・・だからオレは須野に返す」
「・・・うん・・・そっか・・・」

微笑んだ須野の頭を撫でる
里見に助けてもらった人生。でも、それは里見だけじゃなくて須野に助けてもらった人生でもあるから。里見と須野がいたから今の自分がいると思っているから

「・・・葛西」
「んー?」
「僕、まだ残ってる仕事あるからそれ行くときね・・・あと少しだとは思うんだけど、その時、里見からできるだけ目を離さないでほしい」
「お?おー!いーよー!べったりくっついてる!」

軽く笑った葛西だったけれど真剣な表情の須野に気付いて笑った口を閉じてまっすぐ須野を見つめ「判った」と頷く

勘のいい葛西。昨晩須野がケガをしていた理由も、里見の様子がここ最近おかしかったこともそこにあるのだと察したから

「・・・里見、飛び降りようとしてた」
「・・・は?!」
「僕は一緒に里見と死ねるならって思った。でも、里見ひとりで逝かせない。そんなことダメ」
「や!待って?待って!」
「・・・だからね、葛西、里見を見張ってて。多分今日は大丈夫。暫く大丈夫かも。仕事モードだったし。なんか、判んないけど里見、思いついたみたい」

突然思いもしなかった言葉に葛西は動揺するけれど落ち着いている須野に溜息を吐き出した

この親友は里見が死ぬことよりも死ぬのならば一緒に。ということで見張っていろと言っている事が判ったから

「須野ー」
「うん?」
「光が死ぬのもなー、もちろんお前が死ぬのもオレは阻止するよ?」
「?」
「例えそれが病魔相手だったとしてもオレがなんとしてでも成敗してやる!」
「何それ」

おかしなことを言っていると笑った須野に「本気だよ」と心で呟いた葛西は笑って親友の頭をぐちゃぐちゃに撫でた

「須野ー」
「うん?」
「じゃあー、阻止できないんならさー!じゃあさー!じゃあさぁー!オレはさー、お前らが死ぬならそれを見届けるー」
「?」
「ほらー、オレお前らのこと世界で1番大事だけどそれ以外にも大事なものあんじゃんー?ユリちゃんとかー?それにお前らのことその後も伝えていかなきゃいけないからオレがお前ら見届ける」

葛西の言葉の意味は判らなかったけれどとりあえず頷く須野

「だーからー」

葛西は判っていない須野のことも判っているという顔で須野の体を抱き寄せる

「オレのいないところで2人で逝くとか禁止ー」
「・・・ふふ。難しい事言ってる」
「難しくないだろー?一緒に飛び降りる前にオレを呼べばいーんだよ」

須野は「あぁ」と頷き笑ったけれど、葛西を呼んだら素直に逝かせてくれるわけがないだなんて思いもしない。須野は里見とどこまでも一緒に着いていくために死をも選ぶ。葛西は里見と須野と共にいるために生を選ぶ

真逆に思えるけれどどちらも愛の形

どちらも里見 光を愛している男の愛のカタチ







つれないキミと売れてる僕12幕
  おしまい おしまい








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つれないキミと売れてる僕12-58 - 01/29 Tue

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葛西は少し緊張しながら里見の部屋を訪れる

里見がこの部屋を出て行くと言ったのは何かの間違いだと信じていたけれどやっぱり怖くて。そして一緒に仕事をするのも最後だと言われたことも忘れられない

「光ぃー!あのさぁー!」
「バカ。貸せよ」
「えー!里見僕にやらせてくれるって言ったじゃん!それに僕作ったことあるんだよ?!」

でも里見の部屋に入って粉まみれの親友2人を見たらそんな不安は吹き飛んだ

「なーに楽しそうなこと2人でやってんのー?!」
「あ、葛西ー!里見が僕にふわふわパンケーキ任せてくれないー」
「ふはっ!パンケーキ!」
「違ぇ!ふわふわのスフレパンケーキだっつーの」

ふわふわでももちもちでもどうだっていい。大の男がパンケーキ作りで粉まみれになっているだなんてやっぱり2人の親友は面白いと頷き、葛西は笑顔で「オレも混ぜてー」と一緒に粉まみれになったのだった







なんとか完成したスフレパンケーキを3人で食べると里見が口を開く

「イベント、あいつのおかげでなんとかなったわけだな」
「え?」
「里見ね、朝早くからパソコンでなんかしてると思ったらコレ、気になって検索してたみたい。それでなんでか脱線してふわふわパンケーキの作り方になったみたいだけど」
「ふわふわスフレパンケーキ」
「こだわるな!光ちゃんスフレにこだわるな?!」

須野が幸せそうな笑顔でトゥルーエンド達成者のみもらえる冊子を自慢げに掲げ、葛西は里見も自分との仕事を気にしてくれていたことに目を細めると口を尖らせる

「オレから光に全部話したかったのにー!」
「期間延長とかあいつのおかげみてぇになってるのが解せない」
「アキラはホントに里見のファンなんだってばー・・・」

里見が検索した結果、出だしは好調とは言えなかったこと、それが里見をライバル視している作家、西野 晶のSNSへの投稿で盛り返したこと、そしてトゥルーエンドになんとか辿り着きたいリピーター達がたくさんいること、期間延長を熱望する声が多く出て期間延長していることを知った

『謎解き自体は稚拙で皐月光もこんなものかと思ったけれど彼が仕掛けた謎はもしかしたらひとつだけなのかもしれない。その謎が解けてこそ彼の作った物語だと納得できるだろう。少なくともボクはそう感じた』

『皐月光を好きだと言いながら、トゥルーエンドに辿り着けず、物語も大したことなかったと言っている人はファンを名乗るのを止めた方がイイだろう。彼を理解し、彼の物語を本当に愛しているのならばそこへたどり着くことは安易ではなくとも難しくもないはずだ』

西野が書いたその投稿。それは里見のファンだという人間達の闘志に火を点け、西野はその後も度々トゥルーエンドに辿り着けないファン達を焚き付ける発言をしたことがここまで来場者数が伸びた要因だろう




「あ、そうだ。僕まだ褒めてもらってないよ?僕すごい?トゥルーエンド到達1人目だよ?!」

そう。それも検索したことで読んだ。そして親友にヒントや答えを貰っていたのではないかと言われているのも知っている

「お前はオレを判ってるだろ」
「え?!もちろん!誰よりも里見を愛してるからね!」
「何?!なんかすっごい仲良し!」
「あ、コーヒー飲む?新しいの淹れるね?」

須野が席を立つと葛西は「オレのはカフェオレにしてー!」とキッチンへ向かった須野へ叫んだ

「・・・光、も、大丈夫っつーことだよな?」
「あいつはオレを愛してる」
「うん・・・知ってる」
「オレはこのキズで信じられなくなった」
「・・・んなのあるわけないじゃん」
「まぁ、このキズでオレがあいつに愛されねぇとかねぇわな・・・でも、まぁ、なんだ・・・」

里見が口籠るのを葛西は首を傾げて里見の顔を覗き込む

「お前にも多少は迷惑かけた」
「!!!」
「多少だ!多少!」
「光がオレにデレたぁぁぁ!!!やっべ!超嬉しい!レア光!」
「うっせぇ!多少っつってんだろ!」
「やっだー!光ちゃんたら照れてるぅー!やだぁー可愛いー」
「僕がいないところであんまり仲良しだと妬くよ?」

新しいコーヒーとカフェオレを持って戻ってきた須野のコーヒーのマグカップを引っ手繰ると里見は仕事するから出て行けと背を向け、葛西は須野から受け取ったカフェオレを持って須野の部屋へ移動した








「・・・須野ちゃん、もー光大丈夫なんだよな?」
「うん・・・でも今回やっぱり僕は里見の傍離れちゃいけないって痛感した」

里見の愛を信じられるようになったから舞台の仕事やロケが多いものも受けられるようになった。でも、やっぱり離れてはいけない。近くで里見を支えないとまたベランダから飛び降りられる羽目になるかもしれない

「で、どーすんの?」

葛西の言葉に須野は黙り込む

「っつかバレるじゃん?すぐだよ?」
「社長にも恩はあるよ?でも、僕はそれ以上に山口さんに恩がある」
「判ってる。そこはオレも動くつもり。でも、光には?」
「・・・言うよ?もちろん。でも、今はまだ早い・・・」

須野は弱々しく葛西に微笑む

「無職の僕、何もない僕でも、里見を支えられるかな」







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つれないキミと売れてる僕12-57 - 01/28 Mon

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「あれ?里見寝ちゃった?シャワー行かないの?明日辛いんじゃない?」

優しく声をかける須野だったけれど反応がない里見の肩の傷にそっと口付けをした

里見の全てが美しい。新しくできたこのキズすら愛おしい

「 ごめんね?里見、里見が何か悩んでたのって僕のせいだよね。里見は本当に優しい」


須野は里見の肩を撫で、自分が放った精で汚れた里見の下肢へ視線を移し少し考えたあと里見の頬にキスをして「ごめんね」と呟きながらまだ柔らかい里見の後孔へと指を這わせ拓かせる

「わぁ・・・」

出てきた白濁の量に驚きながら溢れてくる白濁をタオルで拭う。これが自分の放ったものだと思うと里見を汚したのは自分なのだと罪悪感に襲われる

「里見ー?お腹痛くなるよー?」

このまま抱えてバスルームまで運んだ方がいい気がする。でも里見を起こすのも気がひけた須野は小さく深呼吸をした

「じゃあ里見、寝ててね・・・起きないで。お願い」

里見の体を弄り回していたのもあって再び力を取り戻した自身を充てがうとゆっくりと内部をかき混ぜるようにし、引き抜く

須野がやってみたかったことのひとつ

「っ・・・んぅ・・・気持ちよくなっちゃダメなのにっ・・・里見の中・・・気持ちイっ・・・」
「・・・何してやがる」
「え?あ、起きた?!ええっ!?あのね!あの・・・」
「寝てるオレにしかできねぇことでもすんの?っつかまだ足りてねぇのかよ。マジかよ」
「違っ!だって!だって里見だって書いてたじゃん・・・おかしいな・・・本じゃ起きなかったのに・・・やっぱり違うのかな・・・」
「あ?」
「男性器はどうしてこの形なのかって。他の男の精を掻き出して自分の精で孕ませる為って」
「て・・・めっ・・・なっ・・・何読んでんだよ!」
「え?」
「だっ・・・お前・・・はぁ?」

動揺した様子の里見に須野は微笑んで里見を抱きしめる

「何?」
「・・・なんで知ってんだよ」
「何がー?」
「あれは」
「あぁ、皐月 光じゃなかったよね」
「・・・クソ。あの担当絶対バレねぇっつったのに」
「あ、やっぱり内緒だったの?」
「うっせぇ!」
「なんで別名で出してたの?」

いたずらがバレた子どものようにバツの悪そうな顔をしながら里見は須野の頭を叩いた

「んなもん・・・いつもの名前じゃ出せねぇ内容だろうが」
「そうかなぁ・・・でも、名前変えてでも書きたかったの?ちょっとエッチだった・・・いや、すごくかも・・・僕、ドキドキしちゃったよ」
「小銭稼ぎになりゃいいと思った」
「え?何か欲しいものあったら僕に言ってよ!なんでも買うよ?」
「違ぇよ!お前に貢がせたいわけじゃない」
「・・・そっか・・・」
「それにどんなんでも書く仕事は天職だと思ってる。好きなことして金稼げるんだから書く他にないだろ」
「うん!判るー!僕里見以外の本読めないから比べられないけど、里見の書く本は僕大好きだよ?」
「くっそ・・・そりゃお前が気付くんだからユリさんなんて当然知ってるに決まってるな・・・」

里見の言葉にキョトンとした顔をした須野はすぐにふふっと笑って里見を抱きしめた

「僕はバカだけど大人だし、鈍感でもないよ?里見の部屋、僕に片付けさせてくれてるの里見でしょ」

里見はぐしゃりと髪を引っ張りながら悪態を吐くと須野の頭を再び叩く

「風呂、用意しろ」
「うん!」

幸せそうに笑った須野に再び里見は悪態を吐いたのだった









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つれないキミと売れてる僕12-56 - 01/12 Sat

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「え・・・」

須野の驚いた顔が里見の頭を冷静にする。でも止まらないよくも知らない男への嫉妬

「お前オレが全てっつっただろ!なのに他のやつ褒めるとかなんなんだよ!オレはお前が自慢できるような趣味もねぇけど」

頭では冷静に昔、浮気する度にこんな風に彼女たちがキャンキャン吠えてめんどくさかったのにその女どもと同じだなんてと自分を軽蔑している。おかしい。狂っている。須野の愛が狂っている?狂っているのは自分なんじゃないかと思う。でも止まらない。止められない・・・この感情がどうしたら止められるのか判らない。醜くて恥ずかしい感情なのに止まらない・・・

「里見」
「お前はっ」
「うん。里見だけ見てる」

でも、そんな里見を全部判っているかのように優しくへにゃりと幸せそうに笑った須野に開いていた口を閉じた

「ねぇ、里見、僕里見以外に反応しないって話はしたよね」
「あ?あぁ」

聞いた。こんな有名で人気のある男が自分でしか反応しない優越感を感じていたから

「それね、ぜーんぶのことに対してっていうのは流石に気持ち悪いかなって言えなかった。だって、里見、引いてたもんね、僕が里見にしか、里見想像してしかできないとか・・・僕にもちょっと里見を愛しすぎてておかしいのかもって自覚あるし」
「・・・全部ってなんだよ」
「僕さ、小さいとき・・・例えば春子さんがケーキ買ってくれたときとかね、昔よくあったんだよね。それでお母さんは美味しいね?寛人って言うから僕はなんかよく分からないけどあぁ、これが美味しいっていうんだって思って笑って美味しいねって言ってたんだ」
「味覚ねぇのか?でも、お前よく旨いから食えとかオレに寄越すだろ」
「うん。味は判る。でも美味しいとか空が綺麗とか風が気持ちいいとかなんか全然分かんなかった。普通に赤とか青い空の色、風が吹いてるってのは理解できるのにね。多分僕普通じゃなかったんだろうなぁ・・・」

そして、回想していた須野の目が里見をまっすぐ捉えると須野はキラキラと目を輝かせる

「でもね、里見に会ったの!産まれて初めて最高にキレイなものに出会ったの!そしたらね、ケーキ食べてもハンバーガー食べても里見と食べたいって思ったら美味しいとかこれは里見の口には合わないかなーって判るようになったんだっ!食べ物食べるとね、あ、これ里見に食べさせたい!って思えるの!」
「・・・何だそれ・・・」
「里見が夕焼けの下を歩いてたらあぁ、夕焼けってキレイって思ったし、全部全部里見が僕に与えてくれたキレイなんだよ?だからね、僕、里見が全てって言うけどそういうことなんだよ?里見がいない世界は僕なにひとつ楽しいことない。美味しいとかもないし星空に感動することだってない。恐怖もないし喜びもない。里見がいるから僕は毎日幸せに生きていられるの」

重い。重すぎる愛・・・でも、須野の言葉はきっと全部事実なのだろう

「悠介くんはね、僕が撮影中に勧めた里見の本読んで会いたいって言うからあの日一緒に行ったんだよ。ホントはね、里見に誰も近づけたくないけどみんなに里見を自慢したい気持ちもあるんだ。僕・・・でね、アロマのこと全然興味なかったけどアロマオイルのマッサージの話聞いたら里見にマッサージしてあげられるかもって興味出て、悠介くんと色々話しできたの!里見は僕に世界を与えるだけじゃなくて世界をすっごく広くしてくれるの」
「須野」
「愛してる。里見・・・大好き・・・里見は僕にとって存在するだけで自慢なんだよ・・・愛してる。愛してるっ・・・里見しかいないの。僕の世界は里見だけなの・・・里見だけでできてるの。愛してるんだ」

里見は急に泣き出しそうな顔になった須野を抱き寄せると背中を撫でて「オレも」と聞こえないほど小さな声で呟いた

聞こえなくたって平気。抱きしめたことで伝わっているから

里見のこの体温が鼓動が言葉よりも須野に伝えてくれているはずだから

「・・・須野」
「うん?」
「オレは・・・短気だけど確かにキレてるけどお前はもう我慢しなくていい」
「我慢?」
「お前がぶつけてくれないとオレはお前みたいに言えないからまたそのうちこうなる」
「・・・それはイヤかも」
「だから」

須野が小さく頷くと里見の体から顔を上げると息を吸い込んで口を開く

「浮気はイヤ!僕だけのになってて!余所見なんてしないで、僕だけの里見でいて!頑張るから!なんでもするからずっとずっと傍にいて!僕だけの傍にいて!里見が女の人の方がいいの判ってる!でも僕は里見がいい!だから、お願い。どこにも行かないで。女の人とエッチなことしたくなっても我慢・・・して」

だんだんと小さくなっていく声は須野の自信のなさ。里見は須野の額にデコピンを飛ばすと「バカか」と吐き出す。やっぱり下らない事だと思われたと須野が俯くと里見に顎を掴まれる

「背中丸めるな、俯くなっつってんだろ」
「ごめんなさい」
「そういや、お前が好きって主張すんのオレくらいだな」
「うん」

長く一緒にいるのに須野の好きな食べ物も好きな曲も何も知らないのは須野の「好き」が全て里見だから。誰よりも好き、誰も見ないどころか全ての好きを全力で注いでくれる須野が愛しているのは里見だけだという事実に里見の自信はみるみる復活していく

下らない嫉妬だとかそんなのもう関係ない。どうでもよくて里見の中でもう丸めて捨てたもの。少し前に癇癪を起こしたかのようにヤキモチを焼いた自分はもう忘れた

「オレはホントダメになった」
「そんなことないよー」
「お前がいねぇとダメだっつーの」
「・・・っ・・・」

照れ臭くなって須野の頭を叩き背を向けて寝転がった里見を見つめながら須野はポロポロと温かい涙を零しながら里見の背中を抱きしめる

「それならもっともっとダメになって。僕がいないと生きていけないくらいになって」

須野の言葉にもうなっている。と思いながら里見は重い瞼を閉じたのだった

今回、自信を失くし、誰からももう求められないのだと絶望したのは須野がいなかったから。須野が里見の全てを独占したいと望むように里見も須野の全てを独占したいと想っているから









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つれないキミと売れてる僕12-55 - 01/11 Fri

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「僕は女の人みたいに柔らかい体もないし、イイ匂いもしないから里見を気持ちよくだけしたいんだよ・・・なのに僕は僕ばっかり気持ちよくなること考えちゃう・・・里見を気持ちよくしたいのに」

息の上がった声でそう申し訳なさそうに言いながらも動きを止めないのは矛盾しているじゃないか。と思いながらも須野の想いを体中で受け止め続ける里見

口に出せないだけで里見だって須野を大事に想っているし、須野を気持ちよくさせたい。今回、自分の中で須野の存在がどれだけ大きいか身を以て知ったから

須野がいないと、須野の愛がないと自分を保てない

里見の体についたキズは小さなものだったけれどそこからたくさんのことを知った。だからよかった・・・とは言わないけれどこれから世界が広がるような気がした
須野のせいで、須野のおかげで、須野がいるからまだまだこれからも変わっていく里見

「気持ちいい?ね、里見、気持ちいい?」
「っ・・・イイっ・・・からっ・・・早くっ・・・達けっ」
「もっと速くがイイの?ね、もっと?」
「っ・・・違っ」
「違う?ココ?もっと?」
「やっ・・・」

須野を愛している。気持ちいい。でも、それ以上に嬌声を上げるのはプライドがあって恥ずかしい

須野に対していつだって優位にいたい里見は須野から与えられる快楽に屈したくない。特に今日はそんな気分じゃない

「奥?いいの?」
「ダメっ!ダメだっ!」

首を振る里見に唇を寄せると耳元で「欲しそうに拓いてる」と囁く

違う。違う。でも、体が須野の形を覚えている。奥の奥まで暴かれる快感を覚えている

「っ・・・きっつい・・・けどっ・・・ヤバい。すごっ・・・出ちゃう・・・」
「ぅ・・・んっ・・・イイっ!イイからっ!達けっ」

須野を達かせようと快感に震える体で力を振り絞って腰を押し付ける

「あ・・・里見ぃ・・・なんでそんなっ」
「出せっ・・・」
「っん・・・光、光・・・愛してる」

気持ちいいのは好き。でも、自分を見失うくらいの快楽は怖い。特に須野にそうされるのは怖いから、須野の体がぶるりと震え、中に放たれた熱にあぁ、ゴム着けさせ忘れたか。と余裕で考えながら須野を小さく振り返る

「・・・っは?!」
「光、まだだよね?」
「っ!ムリ!ムリムリムリ!やめ!もう終わりっ!」
「勃ってるよ?」
「抜いてお前の口、やらせろよ」
「でも、こっち、まだヒクヒクしてる」
「だっ・・・それはお前が中でまたでかくさせっ・・・っん」
「光も気持ちよくなって」
「イイっ!もうっ、気持ちイイっ!やめっ・・・んあ・・・っ・・・んー」

里見を抱きしめながら里見の内側を擦ると里見が小さく悪態を吐いて体を震わせた

「っん・・・っ・・・達くっ、達ってるっ!」
「うん。中、すっごいね」
「バッ・・・止まれってぇっ・・・」
「光可愛い。綺麗」
「っざっ・・・っんっ・・・あ、やぁっ」

里見の甘い声が須野の耳を、脳をも蕩かしていく。好きで好きで大好きで、愛しくてこのまま全部蕩けて里見の一部になってしまえばいいと体を重ねる度に思う

「光、愛してる。光」
「も、ヤダっ!バカぁっ」
「どうしよう。また達っちゃう」
「やっ!中、も、ムリ!」
「可愛い。光大好き」

里見の頬にキスをすると嫌だと懇願する里見の言うことを聞こうと思うのにまだ里見と繋がっていたくて達したいのを我慢しながら里見の快楽を引き出そうとする

「や・・・須野っヤダっ!頼むからぁ」
「っ?!」
「寛人っ!お願いっ・・・お願いだからっ・・・もっ中・・・やぁ」

体を捩って振り返りながら須野に懇願する里見があまりにも美しくて妖艶で須野は小さく呻き声を上げると里見の中に精を吐き出したのだった










「最悪ー最悪だなーお前ー。オレが頼んだのに暴発とかー」
「ごめん。でもすごかった・・・」

両手で顔を覆ったまま余韻に浸る須野に視線を移し「少女漫画でもいねぇだろ」と言いながら須野の足を蹴った

「里見がお願いしたぁ・・・僕に・・・すごかった・・・」
「おい、てめぇだけ浸ってんじゃねぇぞ?コッチはケツから精液垂れ流しだ。バカ」
「あ、ごめ・・・洗わせて下さい」
「・・・まだ勃起してるとかホント最低だな」
「ごめんなさいーーーだってホントすごかったんだもん!」

最低だとか最悪だとか言っているけれど自分に尽くしてくれる姿勢の須野に満更でもない様子で須野の頭を叩く

「お前にだけだぞ」
「?」
「イラマもケツも」
「ぁ・・・うん・・・?」

本当に自分のことになるとどうしようもなく鈍感な須野に里見はため息を吐き出したが、須野に対してだけ素直になれない自分とはお似合いなのかもしれないと小さく笑う

「お湯、もう一回張る?」
「いや、シャワーでいい」
「そう?じゃあ出たらベッドでマッサージさせて?」
「今日はもういい」
「あ、違うよ?!普通に!あのね、共演した悠介くんにアロマのマッサージオイル貰ったの、ほら、里見一瞬だけど会ったの覚えてないかなぁ」
「へー」

男に興味はないけれどその名前の男が須野とイベントに来てたのだろうと思うと面白くない

「悠介くんね、アロマオイルが趣味なんだって。顔も可愛いのに趣味も可愛いよね」
「・・・」
「ね、里見」
「オレの前で他のやつ可愛いとか褒めてんじゃねぇよ」









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