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その1 見えすぎる男 - 04/22 Fri

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千歳探偵事務所・・・彼はこの探偵事務所の所長。基本的に浮気調査、迷子になったペットの捜索を主に生業としているが、この事務所に依頼すれば規模の割に優れた調査力としてここらでは少し有名である

この日も彼、千歳 まことはある男から浮気した婚約者の浮気相手を調査してほしいと依頼を受けたため、調査を始めていた。調査対象は叶 優心。千里眼を使えばすぐに優心の様子が確認できる。しかし、千歳は優心と一緒にいる唯に興味が出てしまい、つい人の生活を覗き見するように入りこむ

「かわいいなぁ・・・大学生かー?」

そう独りごとを言いながらドーナツを食べる唯を追う・・・しかし、次の瞬間・・・

「こんにちはー」

という声と同時に能力が跳ね返され、何も見えなくなった

「な・・・?!」

こんなこと初めてだった。能力が弾かれ、その後その部屋を追えない・・・千歳は能力がなくなった?!と思い、別の人物に集中してみるとそちらは簡単に見えてますます意味が判らなくなるのと同時に「何故だ」という興味が湧く。

探偵なんていう仕事をしているからか妙な探究心が芽生えて事務所を出ると彼らのいる場所まで歩き出す

場所はもう判っていた・・・叶能力研究所・・・なんともあやしい名前だとは思ったが、本物の唯を近くで見たいのと、なぜ能力が使えなくなったのかという疑問の前にはそんなことどうだっていい。
気付けばその門を叩いていて、叶博士によって中に案内されたのだった




「・・・つまりー・・・探偵さんは千里眼の持ち主だっていうことなんですかぁ・・・」
「・・・予想はしてたけどあっさり能力認めてくれるのな」
「えぇ、ココ、それを研究している場所なので」

博士はメガネの奥でニコニコとしながら千歳を見つめる

「なんか能力をブロックする力でも出してんのか?科学の力?覗き見されないように?一体どんな研究してんだよ・・・ここは」
「それってー、ムーちゃんが来てからじゃなーい?」
「え?むー?」

唯がコーヒーを千歳に差し出しながらそう聞く。唯からいい匂いがして思わず千歳は唯に見惚れる

「無駄にイケメンムーちゃん♪」
「だからその名前で呼ぶのやめません?」

無駄にイケメンと呼ばれた青年を見て「あ、無駄にイケメン」だと思った千歳の心の声が聞こえて優心は本棚の上で笑う

「彼はアンチサイの持ち主なんです」
「アンチサイ・・・?」
「多分、千歳さんが能力を使っていた範囲に夢くんが入ったんでしょうね・・・彼は超能力を無効にしてしまうんです」
「・・・初めて聞いた」
「珍しいのとなかなか気付かれにくい能力でしょうからねぇ・・・それにしても遠隔の能力に対してもこの能力が発揮されるとは新たな発見だなぁ・・・早速論文に書き足さないと」

千歳は「ふむ」と夢を見つめる。夢はふと気付いて頭を下げる

「ごめんなさい・・・オレのせいで調査ができなくなったから来たんですよね?」
「あー・・・そうだった・・・優心くん!」
「あ?」
「キミの恋人の1人、さやかさんの婚約者の方から浮気調査を依頼されて来たんだよ」
「・・・ゆーくん・・・またそんなことして!!!!」

叶博士は優心を睨んで本棚を揺らす

「人に迷惑をかけることはやめなさいと何度言ったら!!!!」
「ちげぇよ!向こうからちょっかい掛けてきたんだし!」
「だからってゆーくんなら彼女に恋人がいるかどうかぐらい判るだろー!」

倒れそうになる本棚から慌てて降りると優心は千歳の前に立つ。

「その依頼人にあのビッチはやめといた方がいいって教えてやって。あの女、他にも男いんぞー。あと、あの女の乳は偽乳ー!まぁ、んなこたぁ知ってるとは思うけど」
「・・・あぁ、判った」
「っつか唯のこと美人だ美人だって見つめるのはいいけどよ、それ、能力使って見てたらストーカーとして潰すからな」
「・・・」

唯は「あらー、美人って罪ー」と言いながら微笑むが千歳は笑えない

「優心はサイコメトラー・・・さとりです」
「ってことは全部・・・悪かった」
「まぁ、無駄にでかい乳を見せびらかしてる唯も見てもらいたくて見せびらかしてるから普通に会って見るなら許す」
「ゆーちゃんっ!」

唯はそう怒るがもちろん怒ったふり。優心の言ってることは間違ってないのだから。女の武器は使えるうちに使っておかなくちゃ。というのが唯の考えで、これも調査に必要な能力の一つ。

「千里眼の能力も研究対象にしたいんですが、是非協力して頂けませんか?」
「いや、オレは仕事あるからなぁ・・・まぁ、この眼が必要になったらまた連絡してくれりゃ来るよ。これもなんかの縁だろう」
「じゃあこちらも千歳さんが必要なときは誰か派遣しますよ。美男美女を取りそろえておりますので」

美男美女は関係ない・・・と思ったが、眼福にはなるか・・・と千歳は名刺を博士に差し出して「では」と立ち去って行った。

「おい、ムー」
「だからぁ・・・」
「お前、彼女とかいんの?」
「は?!」

夢は優心からそんな言葉が出るとは思わなくて目を丸くしたが、その場にいた叶博士と唯は顔を見合わせて笑う

「うっせぇ!てめぇらは何も言うな!」
「・・・あぁ、不思議だ。ゆーくん、今ボクの心の声もユイちゃんの心の声も聞こえてるんだよね?」
「あぁ?聞こえてんよ!」
「・・・面白い!ムーくん!キミはすごくすごく面白い存在だっ!千歳さんの能力は能力の範囲内にいるだけで能力をはじいてしまうのにゆーくんは相変わらず心を読める!」
「・・・それ、さっきのおっさんはこの家全体に能力飛ばしてたからはじかれて、オレは個人個人に能力飛ばすことになってっからそうなるんじゃ・・・」

叶博士は興奮したように首を振る

「ゆーくんはいちいちその場にいる人間全員に能力飛ばしているわけじゃないだろう?隠れている人間の声も聞こえるんだよね?」

優心は「あぁ」と納得して頷くと夢を見てため息を吐く。夢がここに来てから胸の辺りがずっとざわついている。初めて会った心が見えない相手・・・いつもすれ違うだけで「イイ男」「あぁいうのと付き合いたい」「あんな風に生まれたかった」そんな声が聞こえるのに夢からは何も聞こえないから・・・不安。優心がいつも強気でいられるのは相手の声が丸聞こえだから・・・自分の評価を聞くことができるから・・・

「あ!オレに彼女がいるかだっけ?今はいなーいっ!こないだフラれたー!」

相手は「女性」か・・・と判ってまた訳の分からない胸のざわつきを感じて天井を見上げながら「あぁ。そ」とそっけなく呟いた。


超能力な奴ら その1 見えすぎる男 おしまいおしまい



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その0 ようこそ叶研究所へ - 04/21 Thu

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混雑している大学の学食・・・

そんな混雑している学食で、おろしたてのワンピースを着た女子大生 磐田 唯(いわた ゆい)は怒りに燃えていた。
ふざけていた男子学生にお茶をひっかけられたのだ。

「あ、ごめん」

そんな軽い謝罪では怒りがおさまらない唯。明るめの茶髪の男子学生を睨み、小さく指を動かした。
唯は普通の女子大生とは少し違う。サイコネキシスを操る女子大生。


男子学生は何もないところでフワリと浮いて派手に転ぶ・・・


ハズであった。

「え?」

唯は思わずそう声をあげてしまう。
完璧にコントロールできる力が彼の目の前で消えてしまったのだ。
力を失った???そう思って少し離れた席の椅子を動かそうとする。ちゃんと椅子は動いてその場で大きな音を立てて倒れた。


・・・あの子にだけ効かなかった?????


唯は今までになかった体験をして驚いたまま学校を後にする



***********


ここはとある富豪夫妻が建てた家の地下にある秘密基地


というのは大げさだが、その夫妻の子供がある研究の起点として使っている地下室。
唯は下校後、ここにいた。


「・・・ってことがあったの!」
「へー・・・うーん。それは面白い。能力者である可能性が高いですねぇ」

それを聞いた男はメガネの奥を光らせながらそう答える。

「やっぱりー???でも能力跳ね返すなんてどんな能力なの?!」
「・・・今の時点ではなんとも言えないけど・・・一度見てみたいなぁ・・・ユイちゃん彼をココに連れてこれない?」
「えー!!!でもなぁ・・・博士のお願いだしなぁ」

博士と呼ばれる男は微笑んでお願いします。と頭を下げる。

「・・・おい。むやみにここに新しい奴を呼ぶな」

壁際にある棚の上からの声。この声の主は姿が見えなくても博士も唯も判っている。

「でもねー、ゆーくん、今の話聞く限りイケメンっぽいしーみんなに馴染めるんじゃないかなぁ???」
「能力者にイケメン関係ねぇだろ・・・」
「えー!見た目がいい方がやっぱりいいじゃない???ねぇ?ユイちゃん?」
「もっちろーん!顔良くないとダメー!」

博士と唯が結託したために棚の上の主は小さく舌打ちをして再び黙る。
棚の上の場所は彼の定位置。
彼の名は叶 優心(かのう ゆうしん)博士の弟であり、彼も能力者である。
弟の能力を追求し解明するためにここを研究所にした博士。

「じゃあやっぱり私の色香を使ってー・・・」
「お前に色気なんてねぇだろう」
「うっわーゆーちゃん嫌いー!」
「オレにそんな嘘は通用しないの判ってんだろ?」

優心の能力は悟り。人の考えていることが読める能力である。優心が整った薄い唇の端を上げるのを見て唯は優心に向けて大きく「イー!」と口を開けて歯を見せた





「ねぇ、ちょっとイーイ?」
「ん?」

翌日、唯はお茶をかけてきた青年に声をかける。大学内では美人で有名な唯。それが彼に声掛けたということに周りは驚いた。しかし、その彼もこの大学では結構な有名人・・・整いすぎた顔とそれに見合わない金髪、行動・・・それが彼の有名な理由

「えーっと・・・どなたでしょう?」
「っ!!!!!い・・・いいわ。そんなことどうだっていい。でもちょっと一緒に来てもらいたいところがあるの」

彼は唯のことを知らない様子でそれに唯は腹を立てたが、とりあえず研究所に連れていくために微笑んで彼にそう伝える。
彼は少しだけ考えながら「いいよ」と微笑んだ。
彼はとてもきれいな男であった。微笑むとますますイイ。唯は『無駄にイケメンね』と心で思いながら研究所へ足を向ける。

辿り着いたのが豪邸で彼は「え?なにここ?」と戸惑っていたが、唯が当然のようにその門をくぐって行くので彼も恐る恐る唯の後を追った。





「博士ー!連れてきましたーーーーー」
「あ、唯ちゃん。ありがとう」
「・・・ここは?」

博士はメガネを持ち上げて彼を品定めするように見つめる。

「あぁ、失礼。ようこそ。叶能力研究所へ」
「?」
「まだ唯ちゃんから話聞いてないかな?」
「なにも・・・」
「ボクは叶。一応この研究所の所長。博士ってみんな呼んでるよ。ここは超能力を研究してる施設なんだ」

彼は超能力と聞き首を傾げる。そんな能力見たこともないし、なぜ自分がココに連れて来られたのかも全く判らない

「キミの名前、教えてもらえるかな?」
「あ、オレは村瀬 夢(むらせ ゆめ)」
「・・・夢くんだね。よろしく」
「えっと・・・あの・・・超能力?」
「そう」
「なんかのドッキリ的な?」
「・・・そうか・・・気付いてないわけだな。まぁ、気付きにくい能力なのか。まぁ、そりゃそうだ・・・ユイちゃん!ちょっと実演お願い」

唯は手をだるそうに挙げて指を上下に動かすと夢の隣にあった椅子が持ち上がる

「・・・え!?」
「彼女はサイコネキシスの能力を持ってるんだ」
「手品?!いや・・・マジで?・・・え?でもオレなんでここに?」
「うん、キミはおそらく・・・アンチサイ・・・能力を受けてもその能力を無効にしてしまう超能力だね」
「はぁ?!」

夢は全く聞いたことのない言葉を聞いて口を開けたまま驚き、まだなにかのサプライズイベントだと疑っていた。



「ただいまーーーーー」

しかし、夢の隣に突然現れた少年のおかげで超能力を少し信じてしまう。明らかに今、突然少年が何もないところから現れたのだから。

「あ、お客さん?いらっしゃーい」

オレンジ色の髪をした制服を着た少年。

「・・・今・・・いきなり出た・・・」
「彼は燈(あかり)くん。テレポート能力だね。瞬間移動」
「・・・じゃあ本当に・・・」
「ゆーくん!読めないでしょ?」
「・・・あぁ」
「うん。アンチサイだねーきっと」

棚の上から聞こえた声でそちらを見るとぞっとするほどきれいな青年が夢を見ていた。

「・・・読めない・・・って?」
「・・・オレはサイコメトラー・・・考えが読める」
「で、オレはなんで読めないって?」
「・・・アンチサイ」
「うん。能力がどうのって言ってたけどよくわからない」
「夢くんの能力は、能力者から受ける能力を全て無効にするんだ」
「それってなんの役に・・・」
「・・・んーと・・・能力者が攻撃してきても平気・・・とか?」

博士も何の役に立つかと問われると言葉に迷う。
能力者からの盾役と言っても超能力戦争が起こっているわけでもない。

「要するに・・・役立たず?」
「・・・無能」

唯と優心がそう言うと夢はショックを受ける

「あと、無駄にイケメンだねー!何もそこまでイケメンじゃなくてもいいのにさー」

燈がそう言うと唯ががばっと立ち上がる

「燈!あたしもそう思った!!!!!無駄にイケメンだなーって!しかもちょっと残念な似合わないキンパー!」
「だよねー。なんでこんなに整えちゃったかなぁ・・・あ、だから金髪でハズしてる?いやいやいやいや、なんていうかそれダメー!茶髪くらいにしときなよぉー」
「待って・・・酷い・・・っていうか、あんたは年下だよな?明らかに・・・制服着てるし」
「無駄にイケメンのムーちゃん!それでいいじゃん!だってゆーちゃんはゆーちゃんでいるもんね!」
「ムーちゃん!いいねー!」
「・・・無能のムーだな」

研究所には夢の「みんなひどいぃぃぃぃっ」という声が響いた。

「とにかくね。夢くん、ここでは美男美女の能力者を集めてね、タカナシックの悪さを止めたりどうして能力が開花したのかとか調べる研究所なんだ」
「それ何?たかなしっく?」
「うん・・・タカナシック能力者を集めてね、利用するんだ・・・お金だったり犯罪だったり・・・まぁ、彼は彼なりに考えがあるから一概に悪とは言えないんだけれど・・・」
「なにそれすげぇ!なんかドラマだな!テンション上がるー!」
「あとは能力者が起こしてそうな事件を調査したり・・・だな」
「・・・すっげー!」
「まぁ、お前は無能だけどな」
「無能無能って・・・あんた名前は?」
「軽そうな頭の無能に覚えられないと思うからやめとく」
「うっわー!ひっでー!でも、オレ勉強はできるもん!」
「勉強できる無駄にイケメン残念なムー」

優心はふっと口元に笑いを浮かべてはいたが、実は内心焦っていた。
今までは他人の心を読み取り、距離を測りながら接していたのにそれが夢には全く使えない。
それは優心にとって初めての経験だったし、心が読めない焦りも感じていた。心の声が読めない相手とどう接したらいいのか判らない。相手が何を思って、何を感じているのか判らないのは優心にとっては脅威だったのだ。

「ゆーくん・・・やめなさい!彼はボクの弟の優心だ。夢くんと同い年だよ」
「へー。同い年・・・ねぇ」

夢は夢で優心の心の奥まで覗かれそうな瞳から目が離せなかった。
他の人間に対してその瞳は本当に心の奥まで覗けてしまうが、夢に対しては覗けないのではあるが、その外見は人を惹きつけるのに十分なミステリアスな雰囲気を醸し出している。

「じゃ、呼び捨てにしよーっと」
「はぁ?なんでてめぇに呼び捨てなんかにされなくちゃいけないんだよ!おい、ムー!」



「ねぇ、博士ー?なんかゆーちゃん、彼のこと気にいっちゃった?名前一発で覚えてあだ名で呼んじゃうなんてー」
「みたいですねぇ・・・」
「えー!でもさでもさー、ゆーちゃんが女遊びも男遊びもやめたらそれってゆーちゃんじゃなくない?」
「それに『たらし』だからできる仕事もあるのでねぇ・・・」
「でーもー・・・二人がくっついたら・・・」
「面白そうだよね!」
「よねっ!」

唯と燈はそう言って気味の悪い笑顔を作った



超能力な奴ら 0 ようこそ叶研究所へ おしまいおしまい





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