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スターサファイア1-10《最終話》 - 09/29 Thu

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いつも以上に不機嫌な顔をした星夜が裏庭の花壇の前へやって来ると持っていた新聞を城へ投げつける

「・・・撮られたってこの写真なんだよ・・・」
「あぁ、まさか一面を飾るとはなぁ?」
「おかげで朝からすっげぇ囲まれたし」
「でも、キミはそれを適当にあしらってここへ来たのだろう?」

それはそう。でも、それ以上に気になっていること・・・

「・・・今日で最後にするわ」
「何故?」
「月夜呼べよ。一緒に食ってればいい」

新聞の一面を飾った写真の月夜も城も明らかに幸せそうな恋人同士のようで・・・受け取った贈り物も何もかもが判らない。あんなに感じた愛情も霞んで見えなくなってしまうほど

「ある意味、やらせ記事・・・だな・・・」
「はぁ?」







「ねぇ、城先輩、風紀委員長を突然辞めた理由なんてのは野暮なんでオレは聞かないですけど、皆知りたがってるじゃないですか」
「あぁ、そのようだな・・・私としては別に聞かれたら素直に答えるつもりではあるが・・・」
「それなら話は早いです!」

ニコニコとした月夜がそっと城の耳に唇を寄せる

「待ち合わせの時から何人か写真狙ってますけど、それ、撮られちゃいましょう」
「だが・・・」
「ふふ。オレ、今日は星夜なんで」

耳のピアスを指した月夜が城に少し近付く

「オレ、人気あるし、好かれるけどその分敵も多いでしょう?だからオレじゃなくて星夜に敵意向ける奴もいるんですよ・・・星夜もオレも護身術習ってたし弱くはないけど限界がある。だから誰か星夜を守ってくれる人捜してたところなんですよー」
「・・・守る・・・とは?」
「城先輩の『恋人』なら簡単には手出ししないでしょう?剣道部の鬼神で元風紀委員長・・・守って貰う相手としては完璧です」

城は「うーん」と唸ると月夜が首を傾げながら城を見つめる

「城先輩は星夜のこと好きなんですよね?じゃあ星夜が危険な目に遭ったらやっぱり守りたいですよね?」
「それは勿論」
「それじゃ、写真撮られちゃいましょう?」





そうして出来上がった写真がまさかこんな取り上げられ方をするなんて思わなかったが、これについて尋ねられても正直に真実を述べるだけ

「なぁ・・・」
「なんだよ」
「嫉妬してくれたように聞こえたのだが」
「はぁ?」

星夜は弁当箱を開けてリクエスト通りのそぼろご飯を食べ始める

「キミのご要望通りの味になっているかな?」
「・・・嫉妬・・・じゃねぇけど、お前、月夜の名前は呼ぶくせにオレの名前は呼ばない」
「それは・・・」
「付き合うのは無理!男だし・・・でも、友達ならイイ」
「!・・・では友達から始めようか」
「友達からってその先なんかねぇよっ!」

城は笑って「その先は私の願望だ」と言うと水筒のお茶を星夜に差し出す
そもそも、今までは友達ですらなかったのかと疑問にはなったが、星夜が自分を友達だと認めてくれたのは心を許し始めた証拠。ゆっくりでもイイ。少しずつ確実に詰めて行けばイイ・・・

「鶏の照り焼きも美味い」
「あぁ、それは自信作だ」
「・・・お前、もう友達だよな?」
「あぁ。星夜がそう言ったから」
「じゃあ、今日、暇なら家来て夕飯作れよ」

少し驚いたけれどすぐに笑って頷く

「月夜が買ってくる飯がさ・・・まぁ、味は悪くねぇよ?苺華の中でも有名店、一流店のばっかり買ってくるから。でもなぁ・・・なんていうか・・・あー、材料費はオレが出すから」
「では、一緒に買い物へ行って、そのまま星夜たちの部屋へ行こう」
「おう。っつか、このお茶どこに売ってんだよ!オレの部屋にも持って来いよ!」
「あぁ。では今度持って行くよ」

こうして始まる「友達関係」周りには恋人だと公言されたも同然で。でも、実際は一方通行の恋愛。それでも確実に大きくなっていく恋の芽は夜空に光る星を目指してどんどんと伸びていく

少しずつ。でも確実に・・・











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スターサファイア1-9 - 09/28 Wed

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「星夜ー!星夜ー!ご飯買ってきたよー」

星夜が目を開けると月夜の姿。時計を見るといつの間にかもう夕方で今日は寝すぎたと思いながら目を擦る

「1日中寝てたの?」
「ん・・・」
「もー・・・」
「メシ・・・中華?」

クンクンと鼻を鳴らした星夜に月夜は頷く

「中華って気分でもなかったけど」
「文句言うなら星夜が買ってきてよね」
「めんどい」

星夜は背伸びすると「楽しかった?」と小さく今日の感想を尋ねる

「うん?うん。一発で星夜じゃないのバレたけどね」
「は?」

月夜の星夜のフリは完璧なハズで・・・久し振りでしくじったのか?それとも、普段自分が呼ばないような名前で呼んだのか?と予想してみる

「オレたち、どこが違うんだろうねぇ・・・」
「あ?」
「一目でバレた」
「・・・ないだろ」

使っている石鹸も全部同じ。違うのは耳の石だけで・・・今日はその石も同じ色

「城先輩曰く、全然違うって」
「・・・何が?お前、喋り方オレの真似してなかったとか・・・」
「いやぁ、オレ的には完璧星夜だったんだけどなぁ・・・」
「じゃあ」

月夜が振り返って星夜の口に月餅を突っ込むと笑顔で「なかなかいないよ?あんな人」と言うと星夜は少し考えて「うーん」と唸る

「ね、星夜、オレたちのこと親でさえも見分けるの難しいっていうのに、見分けられた城先輩ってさぁ、相当星夜に惚れてるってことになんない?」
「・・・だったら何?」

口に入れられた月餅を齧ると月夜に返す

「あれ?これ好きじゃない?」
「好きじゃない」
「・・・城先輩が薦めてくれたんだけどなぁ・・・」

城がこれを薦めたというのには首を傾げる星夜。たくさんの甘味メニューの中から自分の好物を見つけた城が・・・

「美味しいじゃんか!もー・・・城先輩オススメなんだから」
「・・・それ、お前の好みで薦めただけだろ・・・」
「へぇ・・・じゃあ星夜へのお土産って判ってたら城先輩は星夜の好きそうなもの薦めてくれたってことー?」

ニヤニヤしている月夜をペチリと叩くと月夜が別の袋から小さな包みを取り出して星夜に投げる

「何」
「城先輩が星夜に渡せってー」
「・・・」
「やっだー!その大きさのものオレが星夜に渡しちゃってよかったのかなぁー?」

包みを開くと掌に乗る小さな漆塗りの箱
そっとあけると色とりどりの可愛らしい金平糖

「うっわ!何これ!超かわいい!!!」
「・・・」
「ちょーだーいっ」
「・・・」

星夜は無言で蓋を閉めると黙って月夜に背を向ける

「星夜ーぁ!ちょーっとは素直になりなよー?城先輩に連絡してあげるんだよー?」
「お前に関係ないし」

「関係あるよ」と小さく呟いた月夜の言葉は星夜には聞こえなかった
部屋に戻った星夜が金平糖の箱を開くとひとつつまんで口へと放る
甘くて、どこか懐かしいような味。紫色の金平糖を光に透かし、光を閉じ込めるように口へと投げ入れる

プルルとポケットで震えた携帯を取り出すと受け取ったメッセージを表示する

『今日、会えなかったのは残念だった。月夜に預けたものは受け取っただろうか?』

城からのメッセージはいつだって簡潔。それにポチポチと返信する

「バーカ・・・ホント・・・バカだ・・・」

すぐにかかってきた電話を取ると「こんばんは」と聞きなれた声が耳に甘く響く

「なんだよ・・・」
『確かに結婚式の引き出物なんかにも贈られるが、ただ、私は』
「ボンボニエールとか・・・あんた似合わないからな」
『あぁ、だろうな』
「たかが遊びに行くぐらいでなんだよ・・・あれ」

事前に用意してあったのは判っていた。簡単に手に入るものではないのだから

『そうだな・・・別に祝い事・・・というわけでもないが、手土産にイイだろう?』
「・・・怒ってないんだ?」
『今日来なかったことか?怒ることではない・・・というか、最初に断ってくれたらよかった。私が断り辛くさせただろうか?』
「別に・・・ただ・・・」
『あと、聞いただろうか・・・』
「何?」
『私は今、苺華の中でちょっと騒ぎを起こしているだろう?だから、その・・・写真を撮られた』

一瞬目を丸くした星夜だったが、別に自分と撮られたワケじゃないと思いホッとした直後に気付く

「・・・月夜はオレのフリして・・・ピアス・・・青」
『そう。月夜も自分が撮られるのはまずいけれどキミだったら問題ないと・・・問題ないのか?』
「・・・まぁ、あんたとオレ、別に何か関係があるのかっつったら別に関係もなにもねぇし、放っておけばいいか」
『キミがそう言うなら私はキミへの想いは事実だし、あえて誤解だと新聞部へ抗議する必要もナイな』

想い・・・そう言われてまた金平糖を光に透かす
青、紺、紫・・・そして白

まるで星空を表現したかのような金平糖。漆塗りも星が描かれている。嫌でも城が自分へ好意を寄せているのが判る贈り物

「・・・なぁ」
『うん?』
「明日の昼飯・・・」
『リクエストか?』
「そぼろご飯」
『・・・もっと難しいリクエストかと思ったが・・・』
「うっせぇし」
『いや。キミからこうやってリクエストされるのは珍しい。ありがとう。では、そろそろ夕飯だな。切るぞ』
「おう」

電話を切ってため息を漏らす
月夜と自分を見分けたのも
手土産だと渡されたものも

全部自分を見てくれている証拠のようで居場所なんてなくてつまらなかったこの生活に初めてできた居場所のようで・・・ジンジン熱い胸を押さえながらまた金平糖を口へと放った







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スターサファイア1-8 - 09/27 Tue

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「ね、オレは星夜の真似して行けばいいんだよね?」

待ち合わせ当日、月夜がそう言って星夜の寝ているベッドにそう声を掛ける

「ん・・・」

月夜が星夜の真似をするなんてのは今まで何度も遊びでやってきた。2人の暇つぶし。話し方を気を付けて耳のピアスを変えたらもう2人の区別なんてつく人はいなくて、つまらない日常を新鮮なものに変えるちょっとした遊び

「星夜、服も借りたからね?」
「・・・」

布団から頭を出すと上から下まで自分の洋服を着た月夜の姿。耳には青い石・・・星夜のものとそっくりではあるけれど、今もまだ星夜の耳についている青い石とは別の石。所謂イミテーション

「ふふ。どう?星夜。鏡があるみたい?」
「眠い」
「ちょっとー!ノリ悪いよー!」

自分のフリをする月夜。でもそれはやっぱり月夜で自分じゃない・・・城と遊びに行くのは月夜。星夜の真似をした月夜・・・

「月夜」
「んー?」
「・・・きまずくなるからキスとかすんなよ・・・」
「えー?それってヤキモチー?ねぇ!やっぱり星夜が行くべきなんじゃない?」
「行かねぇし」
「星夜ーイイじゃん。城先輩と遊びに行くの」

行きたいと言ったのは。城が欲しいと言ったのは月夜じゃないかと思いながら寝返りを打つ

「どうせ、同じ顔ならなんだっていいだろ・・・あいつだって」
「えー?」
「だったら行きたいっつった月夜が楽しめばいい」
「・・・城先輩、星夜の顔が好きだって?」

顔・・・外見のことは何か言われたことがあっただろうか。いや、聞かなくたって判ってる。きっとこの容姿と美化委員で・・・

「まぁ、イイや。じゃあ、時間だし行ってくるね?」
「・・・ってら」

部屋を出て行く音がしてクシャリと髪を握ると頭を抱えるようにして目を瞑った







月夜が待ち合わせ場所に到着するともう既に城が来ていて、目立つ姿に注目を浴びていた

「・・・あんた、かなり目立ってんけど・・・」

顔を上げた城が少し驚いた顔をして辺りを見回す。風紀委員長を突然辞めた理由が謎の城から情報を聞きたい人間も多いはずで、城がキョロキョロとするのに気付いて慌てて目を逸らすような人間も少なくなかった

「・・・で、どーすんの?今日」
「あー、すまない。キミは輝の兄のほうだよな・・・?初対面だと思うのだが」
「・・・は?」

見破られるはずがなかった。親でさえも判らないこの遊び・・・時々本当に自分は誰だったか?と錯覚する程なのに・・・

「・・・そうか。輝は来ないのか」

半ば諦めたような表情でそう言った城は寂しそうに笑って席を立つ

「私は彼に強制したわけではなかったが、やっぱり重荷だったんだろうな・・・すまない。キミにも迷惑かけた」
「あー、なんで?」
「うん?」
「なんでオレが星夜じゃないって?」
「・・・そっくりだけど全然違うけどな?」

全然・・・?月夜の中では完璧に星夜を演じていたのに・・・

「まぁ、わざわざ来てもらったのだから、お茶ぐらいはご馳走させてほしいのだが何にしようか」
「アハ・・・噂には聞いてたけどホント紳士ー!では、お言葉に甘えてお茶ご馳走になりますね」





ひとりの部屋でゲームをしていた星夜だが、ゲームにも飽きてきてゲーム機をポイと投げ捨てるとソファに横になって壁にかかった時計を見る
丁度昼過ぎ。月夜は城と共にゆっくり昼食を摂っている頃だろうかと思うと無性に何か食べたくなって冷蔵庫を漁る

「何もねぇ・・・」

そう呟いた星夜だが、外に出て買うのもめんどくさくて携帯を手にすると月夜にメール文書を打ってそのまま送信せずに画面を消した
月夜がもし今楽しんでいたら・・・と思うとそれに水を差すのも気が引ける

「あー、つまんねぇ」

すっかり星夜の口癖になってしまったその言葉を天井に向かって吐き出すとソファに寝転んで目を瞑った




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スターサファイア1-7 - 09/26 Mon

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「ダーメ!星夜戻って来るからおーしまいっ」
「なんだよ・・・どうせ星夜だって知ってんだろ?」
「オレが星夜に見られたくないもん」

見られたくない。でも、聞こえている。そう思いながらネクタイを外すとソファへと投げ捨て、靴下も同じように投げ捨てる
城もこんな風に甘えた声を出す自分を求めているのだろうか・・・いや、無理である。そもそも付き合っていないから今まで通りで構わないハズで・・・

「月夜、好きだよ?」
「えー!ホント?どこが?」
「可愛い顔」
「バカ。顔とか最低だー」
「ウソウソ。全部可愛い。爪の先まで可愛いから」

星夜は何気なく自分の爪を見る。月夜と同じ爪。でも爪はどこから見ても爪であって可愛いとは何だろうと首を傾げた

「あっ!星夜っ!帰ってたの?おかえりー!」
「んー」
「ご飯ちょっと待っててね?」
「んー」

月夜の男となんて顔を会わせたくないから振り返ることもしないで携帯を見ながら操作する。風紀風紀とうるさい城が意外にも携帯端末は持っているらしく、アドレスを交換してからは頻繁にではないが、適当にやりとりを繰り返していた。弁当のおかずは何がイイかだとかこれが食べてみたいだとか・・・あとは今度遊びに行くときどんな所へ行きたいだとか・・・

「星夜ー、今日、オレ勝手にご飯買ってきちゃったけどよかったー?」
「んー・・・」
「怒ってる?」
「怒ってない」
「ホント?」

突然顔を覗きこまれて驚いて顔を上げる

「アハハ。突然だとびっくりするよねー」
「・・・ん・・・月夜・・・」
「うーん?」

DELIで買ってきた総菜を温めている月夜の背中に向かって迷いながら口を開く

「あいつは月夜の好きな奴?」
「え?」

振り返った月夜は驚いた表情で「あぁ、なんでもない」と顔を背ける星夜

「好き・・・かなぁ・・・どうかなぁ・・・」
「・・・判らないのに付き合ってんの?」
「付き合ってないってばー!っていうかどうしたの?星夜がそんなの聞くの珍しい」

確かに。普段、近すぎる存在だからある程度の距離を置いている。それが恋愛の部分だったり、友人の部分だったり。苺華に入る前でも星夜の夜遊びがすぎることには小言を言ってはいたが、それが「誰か」だなんてのはあまり深く聞かなかった

「・・・オレ、今までちゃんと付き合ったことないけど、どこからが『おつきあい』で、どこまでが『おともだち』なんだ?っていうか・・・」
「・・・城先輩?」

微笑んだ月夜に黙り込む星夜

「うっわー。すっごいねぇ。星夜はー・・・難攻不落の城を簡単に堕としちゃったんだぁ・・・」
「んな・・・んじゃねぇけどっ・・・大体、オレはあいつのこと全然好きでもなんともないしっ、ただ、今度遊びに行こうとか言われてるけどそれだって」
「それじゃあ城先輩ちょうだい?」
「え?」

月夜は温め終わった総菜をテーブルに並べると星夜にフォークを渡す

「・・・またパスタとか・・・」
「あー!やっぱり文句言ったぁ!」
「文句じゃねぇよ」
「そう?・・・星夜、それで・・・くれるの?」

月夜の頼み・・・?

頼まれごとは断りにくい。特に月夜相手では・・・

「・・・イイよ」

あげる、あげない。そんなの関係ない。そもそも、付き合っていないし、好きという感情だって城に感じていないから。ただ、居心地はイイ。クラスメイトのようにつまらないわけでもないし、この学園で初めて月夜以外にまともに話せるというだけで・・・

「わー!やったねぇー!オレ、城先輩みたいなタイプとデートとかしてみたかったんだー」

嬉しそうな月夜を見てひとつ頷く。月夜が嬉しそうなら、楽しそうならそれでイイ。きっと城もこんな人当たりのよさそうな月夜のほうが・・・きっと・・・きっと









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スターサファイア1-6 - 09/25 Sun

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城に連れていかれた喫茶室は本当に判りにくい場所にあって、もしまた来ようと思っても来られない気すらした

「春は花見が、秋は紅葉。雪が降れば雪景色・・・だから今は1番空いている時期かもしれないな」
「・・・ふうん」

それでも小さな枯山水があり、雰囲気もイイ。何よりも入った瞬間から香っているお茶の香りが星夜の心を静めてくれる

「そばも美味いけれど、和膳はデザートもつく」
「・・・デザート何?」
「今日はあんみつだそうだ」
「ふーん・・・なぁ、そのデザートメニュー見せて」

城は食事のメニューを閉じると立て掛けてあったデザートのメニューを渡す

「・・・あ・・・あー・・・そうかぁ・・・んー・・・」
「どうした?」
「なんでもない」
「食べたい物、見つかったか?」

別に今更、隠すことでもないけれど嫌いなものを知られるのと同じように好きな物を知られるのは弱みに思えて好物から目を逸らす

「和菓子はなぁ・・・なかなか作ることができない」
「言ってねぇし!」
「あぁ、そうだな。でも、キミが喜ぶ姿が見たい」

ニコニコとする城にデザートメニューを突き返すと食事のメニューを見ながら「天ぷらそば」と言うとメニューを閉じた
城が店員を呼ぶと注文を伝えた後に

「デザートにいもようかんを2つ」

そう言って「っ!!!」と声にならない叫び声を上げる

「うん?あぁ、キミの視線と今まで弁当に入れた好きそうなもので予想してみたが、当たったか」
「・・・クソ・・・」
「なぁ、輝・・・」
「あぁ?」
「・・・今度、一緒に」
「お待たせしましたー。天ぷらそば2つお持ちしました」

城が何か言いかけたときに店員が天ぷらそばを持ってやってきてホッとする星夜
あれはきっとデートの誘い。付き合っていないし、付き合うつもりもないのに誘われて断ればイイに決まっているのに断ることができるのか不安だったから

「いただきます」

手を合わせた星夜に城も同じく手を合わせて「いただきます」そう言った後、そばを啜る音だけが響いていた






食事の後に出てきたデザートに震えながらいもようかんを堪能する星夜

「・・・私のも食べるか?」
「い・・・要らねぇし」
「そうか・・・持ち帰り用のもあるぞ?」
「っ・・・要らない」

城が笑いながら「そうか」と言うと切ったいもようかんを口へ運ぶ

「うん。美味いな・・・」
「・・・笑わないんだな」
「何を?」
「オレ、まぁ、自分で言うのもアレだけど見た目派手じゃん。和って似合わないだろ」
「食の好みは見た目とは関係ないだろう」

確かにそうなのではあるが、自分が食べるよりも城が食べている方が明らかに似合っていて・・・

「というか・・・今、私は笑うとか余裕なんてない」
「ん?」
「喜んでいるキミがあまりにも可愛く見えて心臓が爆発しそうだ」
「・・・バカかよ・・・」
「輝、苺華は遊戯施設も揃っているだろう?だから、今度、今度・・・一緒に遊びに行こう」

言われた・・・やっぱりデートの誘い・・・目を伏せると頭を引っ掻く

「あぁ、身構えなくてイイ。友人同士のそれだ。別に・・・その」
「っ・・・」

友人同士。そう言われてますます断りにくくなる。その前に自分たちは友人だっただろうか?先輩と後輩の間柄でもない。いや、確かに学年は違うけれど委員会は勿論、部活も何も関係がない学校が同じだけの先輩と後輩

「普段休みは何をしているんだ?」
「・・・寝てる」
「ずっと?休み全部?」
「まぁ、パーティーに今でも親から呼び出しかかることあるからそれがあれば帰るけどな」
「・・・そうか・・・」

そう。だからつまらない。ずっと苺華学園での日々がつまらない。ゲームセンターもあるし、小さいけれど映画館もある。カラオケもあるし食事をする場所だってあちこちにある。でも、面白いものなんて何もなくて、一緒に遊んで楽しい相手も誰もいなくて・・・

「じゃあ、これから楽しいことを一緒に見つけないか?」
「・・・なんだよ楽しいことって」
「例えば・・・苺華は広いだろ?道に迷って迷子になるなんて聞く話だし、ここのように隠れた名店も多い。一緒に美味しいものを食べたり、見たり・・・探そうじゃないか」

確かにここは連れてきてもらわなければ高校3年間知らずに終わっていた場所・・・
楽しそうな提案に思えていつのまにか頷いていた






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