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透き通るブルー27《最終話》 - 07/01 Sat

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練習が終わると以前のような2人の笑顔と距離に山辺は安心しながら2人を見つめる

「巴も高尾も元気だね・・・オレなんて明日のコト考えるともう緊張で胃が痛いのに」
「元気出せよー!山辺ぇー!どんな奴がいるんだろーって楽しみになんじゃーん!」
「スタート失敗したらとか考えたら・・・あー、ダメだ。お腹痛い」
「失敗したらそん時はそん時だろー?」
「失敗しても泳ぎ切ればそれでイイ」
「だってさぁー!」
「んー・・・山辺が失敗したりタイム遅くてもそれ、山辺以外には関係ないことだろ?」
「・・・」

確かに、団体競技ではないから自分のタイムで一喜一憂するのは自分だけ

「結果を残したいなら練習して負けないように強くなるしかない。それができないのならできる様に頑張るしかない・・・ただそれだけだろ」
「・・・確かにそうだけど・・・でも、みんなが見てるっていうのが・・・さ」
「誰が見てるの?」
「えー?」
「自分が思うより見られていないもんだぞ?」
「そう・・・かなぁ?」

山辺は巴の顔を見上げ、落ち着いた巴の顔を見ると「そうか」とひとり頷いてひとつ息を長く吐き出す

「なんか・・・頑張れそう」
「だな!だなだなっ!あ!でも、オレは見てほしい!超見てほしい!」
「あー、うん。高尾のことはちゃーんと見ておくよ」
「そう!超見ててっ!!!」
「はいはい」

実力はあるのにちゃんとした試合に出るのは初めての親友と皆が認める実力者なのに何かの理由でこの学校に来て試合に出場する友達

「よしっ!じゃあ、今日はオレがじゃんけん負けたから返してくるね?高尾、待っててくれる?」
「おー!待ってるー!」

笑顔で立ち去る山辺の背中を見送ると1歩分離れていた距離を埋める高尾

「・・・」
「何ビビってんの」
「いや、学校だし」
「学校の端っこにある誰も来ないプールの前だけどー?そもそも確認してくんだろ?これがどう発展していくのかって」
「・・・手、握りたいってのも性的衝動のひとつ?」
「んー・・・どうかなぁ。オレ、スキンシップ好きだからなー・・・人の体温って気持ちいいし」
「山辺、すぐ戻って来るよな」
「まぁなー・・・鍵返しに行くだけだし」
「・・・」

触れるか触れないかの距離で迷っていた手を離して自分の手で掴むとすぐに高尾の腕が巴の肩に回される。掌から感じる体温じゃないけれど、引き寄せられて近くなる距離

「インハイ、行こうな?」
「・・・あぁ」
「もしかしたら、明日嫌なこと言うヤツもいるかもしれないけど、オレが守ってやるから」
「大丈夫だ。オレはそんな気にしない」
「オレが気にする!」

真っ直ぐな高尾の目に目を細める。薄暗いのにどうしてこんなに輝いて見えるのか・・・

「恋愛感情かはまだオレは怪しいけど、巴のコト好きなのはホント。巴のコト悪く言うヤツ、許せない」
「・・・そうか」

そう。まだ高尾の中では恋愛感情じゃないかもしれない。でも、こうやって真っ直ぐ自分を守ると言う高尾を見るとこの後を期待する。いや、確信に近いのかもしれない

「明日、オレのコト見てろよ?出る種目違うけど、お前が横泳いでると思いながら戦うから」
「あぁ、見てる」
「巴に勝つつもりで泳ぐから」
「あぁ、勝てるとイイな」
「あー!次はオレが絶対勝つんだからな?!」
「ハハ・・・あぁ、オレも勝つから・・・高尾以外に負けないように勝つから」
「・・・そう!巴を負かすのはオレだけっ!他のヤツには絶対負けるな!」

ニッとお互いに笑い、見つめ合うとコツンと頭をぶつけてから腕をぶつけ合うようにがっちり握手する

目指す舞台は同じ

友達としても恋人としても完璧な相手・・・それをお互いに感じるのはまだ少し先の話



透き通るブルー 1章 おしまいおしまい







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透き通るブルー26 - 06/30 Fri

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「それ・・・で・・・さっちゃん・・・とは・・・どうなってんの」

歯切れの悪い高尾らしくない言葉に思わず吹き出した巴は今、自分が心の底から笑っているのだろうと感じながら高尾の背中を叩く

「なんともない」
「・・・笑ってたじゃん」
「ホントに?」

高尾が巴を見上げると高尾も思わず笑う
榎本と一緒にいるときの巴の笑顔とは違うことがはっきり判る・・・でも、高尾自身も久し振りに見た気がする巴の嬉しそうな笑顔

「巴、最近なんかどっか冷たかったもん」
「ん・・・まぁ、高尾を邪魔してた」
「えー?オレ?」
「榎本と付き合うのかと思って」
「え!なんで?!」
「なんか噂聞いたから」
「さっちゃんは巴ひと筋だし・・・」
「オレも高尾ひと筋だけど」
「っ・・・だ・・・から・・・それはっ」

首を振って立ち上がった高尾は巴を見つめて何度も何度も首を振る

「勘違い・・・ホントに思うか?」
「だって・・・だって・・・恋愛感情ってもっと、こう衝動的に・・・性的っていうか、もっと、こう・・・判んないけどっ!上手い言葉が出て来ないんだけど、違うと思うから」
「じゃあ、高尾はどうして友情だって思う?オレは他の奴が誰と仲良くしてようが関係ない。どうでもイイ。もちろん彼女ができてもなんとも思わない」
「っ・・・」

確かに、高尾だって同じ。友達は多いけれどその中で特別仲がイイ友達が自分以外の誰かと仲が良くても
、彼女ができてもなんとも思わない。山辺だってその中のひとりだけれど誰と仲が良くても気にしないし、彼女ができたとしたら喜んであげられると思う。でも巴は違う・・・でも、これは友情。恋愛感情じゃない。友情・・・
でも、性的な衝動は起こらないから。巴が誰かと話していると自分以外と話していると嫉妬に似たもやもやとした感情が生まれるし、彼女ができて、その彼女に触れるのも考えると苦しくなる。けれど、巴に触れたいかと思うとまた別の話

「オレは色々考えてたけど、高尾も同じように思うなら遠慮しない。遠慮してたらお互い勘違いして距離遠くなるって判ったから・・・」
「え?」
「今、もしかしたらオレは勘違いしてるかもしれない。でも、高尾も同じならとりあえず付き合おう。付き合うってことはお互い他に彼女も作らないし、今はそれでイイだろ?それで、これからこれが本当に友情なのか恋愛に発展するのか、一緒に考えよう」

普段の巴からは想像できないくらい強引な話。でも、高尾はそれに反論する言葉が出て来ない
否定したいのに、否定できなくて

「だ・・・けどっ」
「オレは高尾が誰と付き合うのが嫌だ。オレの知らない所でデートとかするの嫌だ。それはホント。できたら他の誰とも話してほしくないとか思ってる」
「・・・」

高尾はクシャリと自分の髪を掴む
どう考えてもおかしい・・・自分が好きなのは女の子で、今まで付き合ってきたのも女の子で、男の巴と付き合うなんておかしい・・・でも、巴の言っている独占欲は自分と全く同じもので・・・

「性衝動だとかそういうのはよく判らないけど、これからこれが本当に恋愛感情じゃないって判るかもしれないけどそれは高尾の傍で考えたい」
「・・・ずりぃ・・・巴、ずりぃ・・・」
「高尾が他の奴と付き合わないならオレはずるくていい」
「・・・だって、それ、オレに断れないようにしてる!」
「高尾だってオレに彼女とか作ってほしくないって思ったんだろ?」
「思ったっ!思ってるっ!」
「じゃあ、お互いにメリットあるだろ?付き合えばイイ」
「・・・つ・・・きあうって何するんだよ・・・」

巴は「そうだな・・・」と考えてふっと笑うと高尾の腕を掴んで引き寄せ、手を握る

「・・・基本変わらないけれど、お互いに大丈夫なことを増やしてちゃんと恋愛に発展するようにする・・・とか?」
「と・・・巴っ!なんか違うっ!こんなん巴じゃないっ!」

握られた手には嫌悪感はない。熱い巴の手がじわじわ高尾の冷たい手に熱を与えて全身熱くなってくるような感覚に顔を赤くする

「隠し事、しない方がイイんだろ?」
「っ!!!そうだよっ!あーもーっ!!!判ったっ!付き合うっ!」
「ふっ・・・なんか、今泳いだらきっと気持ちよく泳げる」
「あーあーそうですかー!」
「オレ、付き合うとか初めてだから」
「え!・・・あー、そっか・・・そうだった・・・」

さっきケンカしただなんて信じられない程穏やな表情の2人の手は暫く握り合ったままだった














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透き通るブルー25 - 06/29 Thu

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その翌日も翌日も、学校にいる時間のどこかで巴と榎本が一緒にいる姿を見かけてもやもやは消えないまま大会の前日・・・

「じゃあ、いよいよ明日が本番。そういう訳で今日は練習自体は控えめにリレーメンバーは引継ぎ練習とスタート練習メインにしよう」

副部長の野原の言葉に各自、スタート練習を始めるが、巴は野原の元へ行く

「どうした?」
「ちょっと・・・泳ぎたいんで、1コース欲しいな・・・と」
「お・・・おう・・・そうか・・・じゃあ、泳ぎたいヤツ用に1コース作るか」
「っす」
「あー、でも今、埋めちゃったところだからもうしばらくしてからでもイイか?」
「あぁ、はい」

巴が頭を下げるとスタート練習のために列を作っている後ろへと並ぶ

「・・・副部長さんに何言ってたの?」
「あぁ、別に」
「別にってことないだろ」
「ただ泳ぎたいからコース欲しいって言いに行っただけ」
「やっぱり別にじゃないじゃん!」
「はぁ?」

妙に突っかかって来るような物言いに巴は眉を顰める
高尾への感情が消えなくて、それどころか毎日ずっと一緒にいて募る想い。苦しくて苦しくて仕方ないのにそれを判ってもらえるわけもなくて、想い自体を否定するのだから判ってもらえるはずもなくて泳ぎに集中できず、大会前日になってしまってなんとか調整したいのにプールも自分の自由に使えない苛立ちも加わって睨むように高尾を見下ろす巴

「大体なんだよ!お前、最近付き合い悪いしさっちゃんとは仲イイしっ!」
「・・・それ、お前に関係ないだろ」
「なんだ・・・よ・・・それっ!」

高尾が巴を睨み返し、巴の肩をドンと跳ね除けると列からはみ出た2人は急に注目を浴びる

「オレに彼女作ってほしいんじゃないのか?あぁ、相手がお前の好きな奴だったから怒ってんのか?あ?」
「ふざけんな!んなこと一言も言ってないっ!」

取っ組み合いになる前に事態に気付いた盛谷と野原に体を掴まれて2人が離され部室へと連行される

「お前ら何考えてんだよ!普段仲良しなのに何突然ケンカしてんだ?!」
「明日、大会だぞ?」
「・・・オレは悪くないっすー」
「どっちも悪い」
「え!悪いの巴だしっ!」
「高尾も巴もしばらくここで反省してろ」
「・・・」
「で、またケンカしだしたら明日来なくてイイから」
「は?!」

野原の言葉に顔を青くする高尾。待ちに待った大会。出られなくなるなんて中学までのことを思い出して唇を噛む。自分は悪くない。そう思うけれど巴の澄ました横顔を見ると俯いて拳を握る

「頭冷やせ・・・で、練習戻って来い」

2人が部室を出て行くと濡れた髪をくしゃりと握る高尾
巴が判らない。彼女を作ってほしいだなんて言った覚えはない。そんなつもりもなかった・・・

「・・・巴・・・さっきの何・・・意味わかんないんだけど」
「何のコトだ」
「彼女・・・作ってほしいとか・・・オレ、言ってないし」
「・・・そうか?佐々木に勉強教えてもらえだとか昼飯に女の子呼んだりだとか?オレが好きなのが気持ち悪いのは判るけどさ・・・女作ればイイとか笑顔で残酷なことしてくるよな」
「っ?!・・・待って・・・え・・・待って!違うしっ!」
「何が?」

佐々木は休み時間、本当に律義に勉強を教えてくれるイイ子だったけれどそれ以上のことは何も感じなかった。昼休み、最近高尾の所へやって来る女の子たちの名前はぼんやりとしか覚えられなかったし、ただ一緒にいる高尾が女の子たちに向ける笑顔に胸が痛かっただけだった

「佐々木ちゃんのことは・・・なんていうか悪かった・・・確かにお前、利用したけど・・・違うし・・・」

『利用』その言葉にやっぱり自分を好きな同性がいるというのが気持ち悪かったのだと自嘲する

「巴の隣の席さ・・・山田じゃん・・・」
「・・・?」
「佐々木ちゃん、山田と中学ん時から付き合ってんだけど・・・山田が最近、別れたがってるっつーか・・・佐々木ちゃんのコトどうでもイイみたいに言うからだったらイケメンのお前と仲よくされたら復活するかなーっていうか・・・巴と佐々木ちゃんくっつけようとか全然考えてなかった・・・っていうか・・・」
「は・・・?」
「だからっ!山田にヤキモチ妬かせたかった!だって佐々木ちゃんイイ子だしっ!正直山田には勿体ないって思うくらいイイ子だしっ!でも、付き合い長くてそれ判んなくなってきてんのかな・・・っていうか」

高尾の言葉にただ目を丸くする巴

「ぁ・・・んなのっ・・・お前が佐々木と仲良くすれば」
「あー、ムリムリ。オレ、佐々木ちゃんの嫌いなタイプらしいから!まぁ、普通には話してくれるけど・・・それに山田、妙に自信持ってるからオレ以上にイケメンぶつけないと!」
「・・・」
「それで・・・そこはなんていうか上手く行って山田が巴の前で笑ったりしてる佐々木ちゃん見て慌てて佐々木ちゃんに尽くすようになったんだけど・・・さぁ・・・悪かった・・・」
「・・・じゃあ・・・昼休みは・・・」

佐々木のことは違うとしても昼休み来ていた女の子たちはまた別の話

「あー・・・あれは巴のファンっつーか・・・オレと一緒にメシ食えば巴と話せるとか思ってる子たちで・・・」
「はぁ?」
「いや!でもあれだよ?別に巴と仲良くなって欲しいとか巴に彼女作ってほしいとか思ってないよ。もし作るならもっともっとイイ彼女・・・まぁ・・・その点、さっちゃんはなんていうか・・・合格なんだけどさぁ・・・」

高尾は別に自分に彼女を作ってほしいわけじゃなかった・・・巴の勝手な思い込み・・・どんどん胸のつかえて解けていく感覚

「確かにさっちゃんは・・・可愛いし、イイ子だし、頭も悪くないし・・・でも、でも・・・勝手だけど嫌だよ。嫌だって思った」
「え?」
「巴言ったじゃん・・・オレを独占したいって・・・で、それ、オレも一緒だって言ったじゃん・・・」

独占欲・・・告白したあの日、自分の想いを初めて言葉にした日、高尾にその言葉で全部片付けられた。高尾も同じように独占欲があると言われた・・・

「それ、女の子にも思うっぽい・・・巴がオレ以外の友達作らなきゃいいのに。オレ以外に笑わなきゃ、オレにだけ頼ればいいのに。でも、その反対に巴がすげぇって、イイ奴だってみんなに知ってほしくて。矛盾だらけなんだけどさ・・・それで、彼女できたら喜ぼうって思った。でも、彼女できたら彼女優先にする日とかあるんだって思ったら絶対嫌だって・・・だから、だから・・・」

独占欲・・・その言葉で本当に片付けてしまってもいいのだろうか・・・友達もほとんどいなかった巴にとってはこれが正しいのか判らない。でも、高尾も自分と同じような気持ちなら、これは友情だけだとは言えないのではないか・・・そう思ってしまう







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透き通るブルー24 - 06/28 Wed

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「あれー?巴はー?」

昼休み、巴と昼ご飯を食べようと思ったのに巴の姿がないことに気付きキョロキョロと周りを探す高尾にクラスメイトがニヤニヤと笑いながら廊下を指す

「・・・」

そこには巴と高尾の想い人だった榎本がいて、談笑している様子に暫く2人を見ながら立ち尽くす

嫉妬するのはおかしくない。榎本は高尾が好きな相手で、巴は高尾の友達なんだから・・・

「高尾ー」

名前を呼ばれて振り返ると吉永がおいでおいでと手をこまねいていて購買で買ったパンを持ったまま吉永の席へと近付く

「あれ、急に何?」

吉永が「あれ」と呼んだのが吉永の視線の先にいる巴のことだと判ったけれど何と聞かれても高尾こそなんなのか聞きたいところ

「さっきさー、沙千恵が一緒にご飯食べようって呼びに来たんだけど、巴が沙千恵呼び止めたからあたし、気を利かせて2人にしたんだけどさー・・・今まで呼び止められることなんてあり得なかったのにさー・・・高尾、なんか聞いてない?まぁ、沙千恵が幸せなのはイイんだけど」

弁当箱を開いて食べ始めた吉永を見て高尾もパンの袋を開ける
何も聞いていない。聞いていないどころか、巴が好きなのは高尾だと聞いたばかり・・・それは勘違いだと制したけれど、巴の中では高尾が好きだということになっていたハズで・・・

「ちょっとー?高尾、まだ沙千恵のコト諦めてなかった?なんなのその微妙すぎる顔ー!」
「・・・んー・・・さっちゃんは可愛いけど・・・オレに興味がないってのは判ったし・・・」
「じゃあ、巴に沙千恵のコト勧めたりしてくれたわけ?」
「いや、してない」
「へぇ・・・」
「さっちゃん・・・笑ってる・・・」
「巴もね」
「・・・笑ってる・・・」

まるで珍しい物でもみるかのように2人は暫く巴と榎本を眺めながら味もよく判らない昼ご飯を嚥下していく
もし、巴が友情と恋愛の差を明らかにするために榎本と付き合うことにしたとしたら・・・そう考えてパンを口に運ぶ手を止めて吉永の顔を見つめる

「・・・何・・・」
「巴がさっちゃんと付き合うことになったらどうする?」
「どうするも何も・・・沙千恵が好きな人とつきあえるんだからおめでとうー!でしょ」
「・・・そ・・・か・・・そうだよな・・・」
「まぁ、あんたは複雑だろうけどー」
「え?」
「高尾、最近急に巴と仲イイじゃん。前まで全然だったのに・・・そんな巴ともともとあんたが好きだった沙千恵が付き合うっつーのはやっぱり複雑っしょー?部活も一緒なんじゃん?」

高尾は「ああ」と頷いて再び視線を巴と榎本に戻す

「・・・複雑・・・だな・・・」

巴の相手が榎本だから・・・?いや、巴の相手が榎本じゃなかったとしてもきっと同じ気持ちになる。自分に彼女がいないからじゃない。巴に彼女ができるということが複雑・・・

「・・・お待たせぇー!あれ?高尾ちんも一緒にご飯食べる?あ、っていうかお邪魔だったぁ?」
「「いやいやー全然」」
「息ぴったりかよっ!」

同時に発言したことで榎本にクスクス笑われたけれど高尾は笑顔で立ちあがると「オレがお邪魔だよな」と榎本に告げる

「いやぁ?京香と高尾ちんが2人ラブラブってーなら私がお邪魔だよー!」
「えー?京香とー?ないだろーそれー」
「ないない」

高尾と吉永が首を振るが、榎本は「そうかなぁ?」と首を傾げる

「だってさー、もし、私が上手く行って巴くんと付き合えて、京香と高尾ちんが付き合えたらずっと一緒に遊べるじゃん」
「・・・ぇ・・・えー!なんだよそれー」
「友情と恋愛どっち取るかーとか言うじゃんー?相手にもよるけど巴くんだったら京香より優先しちゃうかもだしー・・・でも、京香も高尾ちんと付き合えたら彼氏も親友もどっちとも遊べるー!」
「・・・さっちゃん・・・それはないしー」

痛い。痛かった・・・それが、榎本への恋心がまだ残っているせいなのか、それとも親友が榎本と付き合うことを想像したせいかは判らない・・・でも、とにかく胸が痛くて潰れてしまいそうだった








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透き通るブルー23 - 06/27 Tue

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授業後、掃除を済ませて高尾の姿を探したが、見つからなくて先に行ったかとカバンを持ち立ち上がる

「なぁなぁー、高尾の奴見たかー?」
「あー!もしかして2組の榎本?」
「そうそうー」

高尾という名前と榎本と言う名前に足を止めてカバンを下ろし、机の中を覗きながら耳を澄ませる

「でもさー、高尾って榎本にフラれたんじゃなかったっけ?」
「そう!だから意外っつーか」
「っつか、それに高尾って榎本にフラれてから吉永なんじゃねぇの?前から仲良かったけど最近またよく連絡取ってるっつって聞いたけど」
「へぇー。じゃあ、榎本とどっか行ったのなんだったんだろーなぁ?」

榎本とどこかへ行ったのか・・・と思いながら机の中から必要のない教科書を出してカバンへ入れて再びカバンを手にすると唇を噛む
こんな気持ちは自分勝手なもの。好きだから嫉妬してしまう。それは仕方ない。高尾になんと言われてもフラれたのも判っているけれど好きだという感情はすぐに消して失くしてしまえるものではなくて。できれば巴も今すぐにでも失くしてしまいたい。でも、嫌いにはなりたくない。友達だから・・・そう。友達だから・・・

嫌いになんてなれないし

嫌いにもなりたくない








「ごっめーんっ!巴ー!待ったー?待ってたー?」
「いや・・・」

部室へ向かう途中、後ろから追いかけてきた高尾が巴の背中を叩いた。そもそも、もう巴は部室へ向かっていたのだから待っていたわけじゃないのは判るハズである

「・・・巴?」

榎本と付き合うことになったのか、イイ雰囲気になっているのか・・・聞きたいけれど聞き出せない。もし、付き合うことになったと言われたらどんな反応をしたらいいのか判らないから

「掃除・・・サボったな?」
「え!サボってないしー!さささーっとちゃーんとやったしー!」
「へぇ・・・?」
「ウソじゃないってー!」

高尾に彼女ができたらどうしたらイイのか・・・自分たちの関係は・・・いや、自分たちの関係は変わらない。ただ巴の心が苦しくなるだけ。高尾への感情が友情だけになるまで苦しいだけ

「もー今週だなー!」
「・・・大会のことか」
「ん!そー!すっげぇ楽しみにしてんの!オレっ!」
「そうか・・・」

大会が数日後に迫っているというのに。こんな感情に心を乱されている場合じゃないのに・・・頭の中は高尾でいっぱいで、高尾に彼女を作ってほしくないと思っている

「あー・・・そうだー・・・さっきさぁ・・・さっちゃんから言われたんだけど」
「・・・」

付き合うだなんて今言わないでほしい。付き合うだなんて・・・言わないでほしい・・・また逃げ出したくなるから。大会直前なのに高尾と会わせる顔がなくて練習できなくなってしまうから

「今度の試合行っていい?だってー」
「・・・」
「イイ?」
「なんでオレに聞くんだ。お前が聞かれたんだろう?」
「あー・・・うん。まぁ、そうだけどー・・・一応?」

一応・・・その言葉に巴は唇を噛む

「榎本が来ても来なくてもオレには関係ない。ただ泳ぐだけだから」
「あー・・・そ・・・っか・・・ん。じゃあさっちゃんに言っておくね」
「・・・あぁ」

苦しい。胸が痛い。呼吸が上手くできない気がする。酸素が上手く取り込めていないような感覚。苦しくて苦しくて・・・諦めなくちゃいけないのに高尾が必死に諦めさせようとしているのにこんなにも心が高尾を求める・・・だから判る。これは友情じゃない・・・高尾に彼女なんて作らせたくない。友達としての独占欲ははるかに超えたもの・・・

高尾に彼女が今できるのは嫌だった・・・そう。今はダメだ・・・せめて心の整理がつくまでは阻止したい。そう。阻止・・・阻止してしまえばイイ・・・









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