ネコになったキミ - 04/01 Sun
4月1日。エイプリルフール
今年は何の準備もしていないけれどその代わりに絶対に騙されない!と意気込んで里見の部屋を訪ねた
「おっじゃましまーーーすっ!」
「あ、おはよう」
この部屋の家主ではないけれど自分の部屋のような顔をしている親友の頭をポンポンと叩くと「おはよー」と微笑む
「光は取材旅行って言ってたけど須野ちゃんは暇なの?」
「里見?いるよ?」
「うん?!」
そういえば、さっき須野に連絡をしたとき、里見の部屋に居ると聞いて、何の疑問も感じないまま里見の部屋に来たけれど、もしかして取材旅行が取りやめになったのか辺りを見回すが須野以外、人の気配すらしない
「ニャーン」
「?!」
足元に擦り寄ってきた美しい毛並みのネコに葛西は須野の顔を見る
「可愛いぃぃぃぃってダメだよぉ!ペット飼うなら相談してよぉ!!!そりゃー禁止はしてないけどさぁ!オレ仲間外れヤダー!」
「ペット・・・じゃなくて、里見だから・・・」
「は・・・?!」
「里見、ネコになっちゃったんだ」
葛西は目をパチクリして須野を見つめるがすぐに思い出して須野の背中を叩く
「ヤダなー!さーすがのオレだってそんなウソは判るってぇ!」
「ウソじゃない!里見だよ!」
「須野ちゃんの演技力でもそれはウソってわーかーるぅー!こんな非現実的なことがあるわけないじゃーん!」
須野は悲しい顔をして「だって。里見。仕方ないけど、判ってもらえないもんだね」とネコの背中を撫でるとネコは気にもしない様子で須野の手から逃げるように窓際へと歩いて行った
「アハ・・・里見ぃー!ネコになってもつれないんだー!」
須野が笑ってネコが日向ぼっこしている窓際へ腰を下ろすと「何食べたいー?」とネコ、いや、里見に尋ねるのを見て一瞬本当に小説や漫画のように突然里見が何かのきっかけでネコになってしまったのではと信じてしまう
「いやいやいやいや!ない!流石にないから!!!」
でも、 今までのエイプリルフールの監修は里見で須野が1人で人を騙そうだなんてしたことは1度だってなかった。でもここにいるのは須野だけで・・・家主の里見はいない
慌てて携帯を出すと里見に電話を掛ける。きっと里見は取材旅行に出ていて出先からの指示で須野が演じているのだと思って
ピリリ・・・
里見の机の上に置かれた電話の音に絶望する葛西
取材旅行に携帯を持っていかないだなんて考えられなくて
「・・・そこまでする?」
「ねぇ、里見、里見と会話できないのは寂しいけど、僕はこのままでも幸せかもしれない」
ネコは背を向けたまま目を瞑る
美しい毛並み、プライドの高そうな顔立ち、里見がネコになったら確かにこんな感じかもしれない。皆につれないのに須野にだけ気を許すようにたまに擦り寄り撫でろとでもいうような顔をする
「里見の世話、ぜーんぶ僕ができてずっと傍にいられる。里見はいつものように自由にしてていいんだよ。ずーっとずっと一緒にいようね」
須野の表情はいつものように里見に向ける表情で葛西はがっくりと肩を落とすと瞳を震わせてネコのそばで膝をつく
「ホントに光なの?」
「うん?里見だよ」
「っ・・・オレはやだよ!光と笑って飲んでふざけて怒られたい!ネコじゃやだ!戻ってよ!ネコの光はいやだ!!」
泣き出しそうな顔の葛西に須野は葛西の背中を撫でる
「探すから。光が元に戻る方法!オレ!みんなに信じてもらえなくても探し出すっ!」
「うん。そうだね。僕もやっぱり里見の声聞きたいよ」
葛西は須野の体に抱きつくとネコを見つめて目を閉じる
ネコになってしまっても自由気ままなのは変わらずに日の当たる場所で気持ちよさそうに目を閉じる里見に
「・・・いや、バカだろ」
「?!」
顔を上げると葛西が口をパクパクと開いてネコのいた場所を見るとネコは相変わらず眠っていてホッとしたような悔しいような気持ちで里見の長い足を叩いた
「ごめんねぇ?葛西ー」
「ふ、ふざけんなぁぁぁ!!!」
「いや、オレもお前がこんなバカだとは思わなかったっつーか」
「だって!だってだってだって!須野ちゃん本気だった!!!」
ネコを抱きかかえると「お前も演技うまかった」とネコに呟く里見
「里見がね、今日のための短編小説だって見せてくれたのが恋人がネコになった話でね」
「っ!!!何、2人とも無駄に全力なの?!」
「須野にお前の演技力のテストだっつって任せてオレは須野の部屋にいた」
「酷いぃぃぃ!!!」
「流石にあり得ねぇ話だなーって思ったけどこれ、少し手直ししたら新作いけるな」
「僕も上手く演技できるか不安だったけどこの子が里見だって思えばいいって里見に言われてその通りにしたんだー」
「そのネコは?」
「あぁ、借りてきた。オレに似て美しくて人に媚びないネコ探すのなかなか手間かかったんだぜ?」
「どんだけ今日に労力かけるわけ?!」
「あ、僕も周りに声掛けて探したんだー」
いつもの須野の顔に葛西は悪態を吐きながらもエイプリルフールの嘘で良かったと本当に感謝する
ネコになった親友だなんて誰も信じてくれないのに信じるはずがないのにもう里見とふざけあうこともケンカすることも仕事することも遊ぶこともできなくなると信じてしまったからそれが全部ウソだと判って嬉しかった
「ねぇ、里見!僕の演技どうかな?!」
「葛西騙せたし、まだまだいけるな」
「やったぁ!!!」
「・・・須野ちゃん、ホント流石だよ」
「監督はオレだ」
「光も流石だよっ!!!悔しぃぃぃっ!!!」
葛西の悔しそうな声に里見は満足そうに笑った。これが彼らのいつものエイプリルフール。親友のこの顔が見たくて全力で葛西を騙そうと頑張る里見と葛西を騙して満足そうな里見が見たくて全力で頑張る須野のエイプリルフール

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今年は何の準備もしていないけれどその代わりに絶対に騙されない!と意気込んで里見の部屋を訪ねた
「おっじゃましまーーーすっ!」
「あ、おはよう」
この部屋の家主ではないけれど自分の部屋のような顔をしている親友の頭をポンポンと叩くと「おはよー」と微笑む
「光は取材旅行って言ってたけど須野ちゃんは暇なの?」
「里見?いるよ?」
「うん?!」
そういえば、さっき須野に連絡をしたとき、里見の部屋に居ると聞いて、何の疑問も感じないまま里見の部屋に来たけれど、もしかして取材旅行が取りやめになったのか辺りを見回すが須野以外、人の気配すらしない
「ニャーン」
「?!」
足元に擦り寄ってきた美しい毛並みのネコに葛西は須野の顔を見る
「可愛いぃぃぃぃってダメだよぉ!ペット飼うなら相談してよぉ!!!そりゃー禁止はしてないけどさぁ!オレ仲間外れヤダー!」
「ペット・・・じゃなくて、里見だから・・・」
「は・・・?!」
「里見、ネコになっちゃったんだ」
葛西は目をパチクリして須野を見つめるがすぐに思い出して須野の背中を叩く
「ヤダなー!さーすがのオレだってそんなウソは判るってぇ!」
「ウソじゃない!里見だよ!」
「須野ちゃんの演技力でもそれはウソってわーかーるぅー!こんな非現実的なことがあるわけないじゃーん!」
須野は悲しい顔をして「だって。里見。仕方ないけど、判ってもらえないもんだね」とネコの背中を撫でるとネコは気にもしない様子で須野の手から逃げるように窓際へと歩いて行った
「アハ・・・里見ぃー!ネコになってもつれないんだー!」
須野が笑ってネコが日向ぼっこしている窓際へ腰を下ろすと「何食べたいー?」とネコ、いや、里見に尋ねるのを見て一瞬本当に小説や漫画のように突然里見が何かのきっかけでネコになってしまったのではと信じてしまう
「いやいやいやいや!ない!流石にないから!!!」
でも、 今までのエイプリルフールの監修は里見で須野が1人で人を騙そうだなんてしたことは1度だってなかった。でもここにいるのは須野だけで・・・家主の里見はいない
慌てて携帯を出すと里見に電話を掛ける。きっと里見は取材旅行に出ていて出先からの指示で須野が演じているのだと思って
ピリリ・・・
里見の机の上に置かれた電話の音に絶望する葛西
取材旅行に携帯を持っていかないだなんて考えられなくて
「・・・そこまでする?」
「ねぇ、里見、里見と会話できないのは寂しいけど、僕はこのままでも幸せかもしれない」
ネコは背を向けたまま目を瞑る
美しい毛並み、プライドの高そうな顔立ち、里見がネコになったら確かにこんな感じかもしれない。皆につれないのに須野にだけ気を許すようにたまに擦り寄り撫でろとでもいうような顔をする
「里見の世話、ぜーんぶ僕ができてずっと傍にいられる。里見はいつものように自由にしてていいんだよ。ずーっとずっと一緒にいようね」
須野の表情はいつものように里見に向ける表情で葛西はがっくりと肩を落とすと瞳を震わせてネコのそばで膝をつく
「ホントに光なの?」
「うん?里見だよ」
「っ・・・オレはやだよ!光と笑って飲んでふざけて怒られたい!ネコじゃやだ!戻ってよ!ネコの光はいやだ!!」
泣き出しそうな顔の葛西に須野は葛西の背中を撫でる
「探すから。光が元に戻る方法!オレ!みんなに信じてもらえなくても探し出すっ!」
「うん。そうだね。僕もやっぱり里見の声聞きたいよ」
葛西は須野の体に抱きつくとネコを見つめて目を閉じる
ネコになってしまっても自由気ままなのは変わらずに日の当たる場所で気持ちよさそうに目を閉じる里見に
「・・・いや、バカだろ」
「?!」
顔を上げると葛西が口をパクパクと開いてネコのいた場所を見るとネコは相変わらず眠っていてホッとしたような悔しいような気持ちで里見の長い足を叩いた
「ごめんねぇ?葛西ー」
「ふ、ふざけんなぁぁぁ!!!」
「いや、オレもお前がこんなバカだとは思わなかったっつーか」
「だって!だってだってだって!須野ちゃん本気だった!!!」
ネコを抱きかかえると「お前も演技うまかった」とネコに呟く里見
「里見がね、今日のための短編小説だって見せてくれたのが恋人がネコになった話でね」
「っ!!!何、2人とも無駄に全力なの?!」
「須野にお前の演技力のテストだっつって任せてオレは須野の部屋にいた」
「酷いぃぃぃ!!!」
「流石にあり得ねぇ話だなーって思ったけどこれ、少し手直ししたら新作いけるな」
「僕も上手く演技できるか不安だったけどこの子が里見だって思えばいいって里見に言われてその通りにしたんだー」
「そのネコは?」
「あぁ、借りてきた。オレに似て美しくて人に媚びないネコ探すのなかなか手間かかったんだぜ?」
「どんだけ今日に労力かけるわけ?!」
「あ、僕も周りに声掛けて探したんだー」
いつもの須野の顔に葛西は悪態を吐きながらもエイプリルフールの嘘で良かったと本当に感謝する
ネコになった親友だなんて誰も信じてくれないのに信じるはずがないのにもう里見とふざけあうこともケンカすることも仕事することも遊ぶこともできなくなると信じてしまったからそれが全部ウソだと判って嬉しかった
「ねぇ、里見!僕の演技どうかな?!」
「葛西騙せたし、まだまだいけるな」
「やったぁ!!!」
「・・・須野ちゃん、ホント流石だよ」
「監督はオレだ」
「光も流石だよっ!!!悔しぃぃぃっ!!!」
葛西の悔しそうな声に里見は満足そうに笑った。これが彼らのいつものエイプリルフール。親友のこの顔が見たくて全力で葛西を騙そうと頑張る里見と葛西を騙して満足そうな里見が見たくて全力で頑張る須野のエイプリルフール

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