FC2ブログ

告白-つれキミ売れ僕番外- - 03/31 Tue

trackback (-) | comment (0) | つれないキミと売れてる僕番外編
春、桜舞う中初めてここを通って彼に近付けた。

「さ、里見くん!」

きっと震える声だった。でも話しかけられずにはいられない。
8クラスある中で同じクラスになったのはもう運命だと信じるしかなかったあの日

「誰?」

彼は気だるそうにそう言ったけれどそれも気にせず前に進む

「塾が一緒だった、須野。須野寛人」
「へぇ・・・」


彼は大した反応もなく、冷たい様子だったけれどそれでも毎日毎日話しかけ、やっと一緒に帰ったり図書館へ寄ったり・・・共に過ごす時間が増えていく。この日も里見のお気に入り、人気のない図書館の隅っこ窓際で本を読む里見を見つめる
いつ見てもキレイで須野は学校帰りの図書館で時間をつい忘れた。手元の本はいつだって進まない。里見を見るのに忙しいから

「ふ・・・」
「?!」

この日、里見は突然小さく笑って須野は驚く。そんなに面白い本なのか!?と本を覗き込むが里見の笑いは徐々に大きくなって体を揺らして声を押し殺しながら笑っていた

「・・・?」
「お前さ、いっつも本、そのページ」
「あ・・・」
「オレの顔ばっか見てんなぁ」

バレた・・・バレていたことに恐怖を感じる。気持ちが悪いと思われたかもしれない・・・もう見るなと言われるかもしれない・・・

「オレの顔がいっくら綺麗でもお前は見すぎだろ」
「・・・ごめ・・・」
「いや?見られるのは慣れてる」

里見はそう言って一度背伸びをした。小声でのやり取りはどうしても距離が近くなる。須野は緊張し、心臓の音が里見に聞こえはしないかとドキドキしながら少しだけ後ろに下がった

「別にオレに付き合って興味ねぇ本なんて読まなくてもいいんだぞ?暇でオレの顔ばっか見て・・・」
「いや、僕は好きでここにいるんだよ・・・」
「でも全然本読んでねぇ・・・」

本が全然進んでいないことに何度も笑う。でも本なんてどうでもいい・・・

「僕は・・・里見が好きで、一緒にいたくてここにいる」

里見は一瞬目を大きく開けて目を逸らすように窓の外を見る

「・・・で?」

その里見が怖くて・・・拒否されたようで怖くて須野は拳を握りしめる。勇気がほしい・・・勇気が・・・

「ごめん・・・気持ち悪くて。でも・・・でも、できたら今まで通り一緒に昼休み過ごしたり図書館行ったり本屋行ったり・・・一緒に帰ったり遊んだりしたいです」
「・・・」

里見はそれを聞いて長い長いため息を吐き出した。須野は明日からどう過ごしたらいいのか・・・と考えていた。拒否されること前提・・・

「なんだ・・・変わんねぇのな・・・」

思っていた返事とは違って須野は顔を上げて里見を見る。相変わらず窓の外を見ていたが、その顔は怒ってはいなかった

「襲ってきたりとかしねぇよな?」
「そりゃもちろん里見が嫌がることはなにもしたくない」
「・・・じゃあいい」
「・・・え?」
「オレに害がないならそれでいい」

里見は窓から本に視線を戻すとページをめくってまた読み始めた

「オレ、男友達っていねぇじゃん」
「・・・?」
「ほら、オレはモテるから。嫌われてる」

事実だが、嫌味に思えることをしれっと言いながら里見はまたページをめくる
本を読むスピードはいつだって早い。卒業までにこの図書館の本を制覇するのかと思っていたくらいだ

「えっと、嫌がることは絶対しないんだけど、好きっていうのは言ってもいい?」
「言うだけならな」
「・・・ありがとう」

静かに流れる時間。本をめくる音だけが須野の耳に響く時間・・・
告白しても関係は変わらず。ただ、須野が恋心を告白しただけ。それだけで須野は充分だった。充分幸せだった・・・




キーボードの上を指が滑らかに踊る。その音を聞きながら須野は台本に目を落とす。たまに顔を上げて里見を見つめ、また台本に目を落とす・・・その繰り返し。あの時とは違ってページをめくる音はしないけれどその代わりにキーボードの音を聞きながら静かな時間を過ごすのがとても幸せだった

「ふ・・・」
「?」
「お前、全然ページ変わってねぇけどそれ、大丈夫なの?」
「あ・・・うん・・・里見見るのに忙しくって」
「昔っから変わんねぇなぁ・・・」

里見は「あ、そうでもないか」と言いながら席を立って須野座るソファに近付く

「昔はこんなことするなんて思ってなかったからなぁ・・・」

そう言いながら里見が須野にキスを落とす

「うん・・・こんな幸せ想像できなかった。里見の顔見るだけで毎日幸せだったから」
「・・・んじゃキス、もう要らねぇのな?」
「要る!!!要りますっ!!!」

季節は何度も巡ってくる。また春・・・桜が舞う中、何百回目かの告白をしよう





にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ


にほんブログ村

スポンサーサイト



つれないキミと売れてる僕24 - 03/30 Mon

trackback (-) | comment (2) | つれないキミと売れてる僕
一夜明けて、里見は隣で眠っている男の髪に触れた
なぜこんな自分と同じような大きさの同じ男がイイのか・・・愛しいと思えるのか判らない。だが、そこには確実に愛しい気持ちが存在している

「んー・・・」

彼を起こしてしまいそうになってそっとベッドを抜ける
思ったよりも体に負担は掛からなかったようで、なんとも言えない違和感はあるものの普通に動けた

いつものようにコーヒーを淹れてシャワーへ向かい、シャワーを出るとコーヒーをマグカップに注ぎ、コーヒーを飲みながらタバコに火をつけると昨夜の須野を思い出して知らず知らずのうちに口元に笑みが浮かんでしまって口元を思わず隠す

「やっべーなぁ・・・」

こんなにも彼をカワイイと思うようになるなんて10年前の自分なら信じられるだろうか
知らなかった・・・知りたくなかった・・・でも知って良かった。須野の普段見られないような姿。だから後悔はしていない。付き合うと決めた時、そう誓った

外に出られるようになったけれど、女性と会うこともあるけれど、別に女性とどうこうなりたいという気持ちもなくなった・・・きっと今なら告白されてもすぐに断れるだろう

「・・・おはよう・・・体、大丈夫?」

須野が目を覚まして下着姿のまま里見にそう言う。きっとこんな姿は誰も見たことがない須野。自分だけ・・・皆が見ている俳優、須野 寛人はこんな情けない恰好で寝ぼけた顔をするなんて思っていない。そう思ったら里見は思わず笑って「おう」と返す

「・・・里見が朝から笑ってる・・・夢かな・・・幸せすぎてバカになりそう」
「大丈夫だ。充分お前はバカだから」
「・・・やっぱり夢じゃない・・・いつもの里見だ・・・」

少しだけ肩を落としながらコーヒーをマグカップに注ぐ。幸せと言ったことが嬉しかった。人を幸せにできている・・・自分は人を幸せにできるのだ。そう里見は実感して嬉しくなった


「あー、須野ー」
「んー?」
「童貞卒業おめでとうー」
「っ?!」

コーヒーを吹き出しそうになった須野が噎せて咳込んだのを見て笑いながら里見は背中をさすってやる

「世界は変わったか?」
「いや、相変わらず里見はきれいだし、一緒だよ・・・一緒」
「いいや!違うな!」

里見は須野のマグカップを手から取るとテーブルへと置く

「知っちゃったからなー・・・すーぐ欲しくなるだろ?」
「・・・」

須野の首元をくすぐりながら挑発的な態度。須野は生唾を飲み込むと里見の肩に触れる

「・・・それは・・確かに」
「でも、簡単にはやらねぇよ」

須野の手からするりと抜けると里見は悪戯な笑いを口元に浮かべながら書斎机へと向かう。パソコンをつけると仕事モードへ変化してしまう
こうなったら自分から話しかけるのを躊躇う。それがルールだから・・・
しかし、里見は特に仕事を今すぐするつもりはなかった。ただの意地悪。須野の困った顔が楽しくてついやってしまう意地悪

「・・・」
「須野ー、オレが欲しかったらオレをその気にさせろ」
「・・・うん」
「オレに好きってもっと言わせたかったらそう言わせる気にさせろ」
「うん」
「一生かけて考えてオレを楽しませろ」
「うん」

最後は力の入った返事をして須野は笑い、里見も笑った




つれないキミと売れてる僕
一幕

おしまいおしまい




にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ


にほんブログ村

    ≫ read more

つれないキミと売れてる僕23 - 03/29 Sun

trackback (-) | comment (0) | つれないキミと売れてる僕
緊張していた

緊張する

緊張・・・いや、興奮なのかもしれない


「・・・ただいま・・・」

しかし、部屋に戻ると里見はいない

約束してたハズだけれど・・・いない・・・

「里見?」

部屋のドアは閉まっていて、ドアに向かって声を掛ける

「あー、早かったな・・・ちょっと待ってろ」

そう言われ、須野はドアノブから手を離してバスルームへ向かう
いよいよ・・・そう思うと下肢へ血がまわってきて、気が早すぎる・・・と頭からシャワーをかぶった



シャワーを出ると里見がバスローブ姿でタバコを咥えて携帯を弄っているところだった

「おう・・・オレの部屋行くぞー」

須野の姿を見るとすぐに立ち上がって手を引いて里見の部屋に移動する・・・
部屋に入ると部屋は既に薄暗い・・・間接照明だけついていて、ムード作りの為に部屋まで少し変えたのか・・・と思うと須野は嬉しかった

「お前、怪我は?」
「大丈夫」
「まぁ、いざとなったらオレが上乗って動いてやるけどなー・・・」

里見はタバコを消すと須野にキスする。ベッドはすぐ後ろ・・・

「里見・・・好き・・・大好き」
「あぁ」
「・・・イイ・・・んだよね?」
「いいよ」

そう言いながら須野のタオルを解く
シャワーで鎮めたハズの昂ぶりは力強く立ち上がっていて恥ずかしい
里見はそれを見て少しだけ微笑んでバスローブの紐を緩めるとバスローブを床に落とした

「まぁ、期待してんのはお前だけじゃねぇってことだ」
「・・・」
「・・・思ったように悦くなくても知らねぇからな?」

「それは心配しなくていいよ」と言いながら里見の桜色の薄い肉を吸うとベッドへと押し倒す
手はゆっくりと下肢へ降りて行き、昂ぶりを何度か擦ると後孔に指を延ばす
するりと指を飲み込んだそこはしっかりと解れていて・・・

「・・・まぁ準備終わってるっていうかー?」
「僕、里見の指にまで嫉妬したくないんだけど・・・」

と笑いながら指を増やす
里見の体は痛みではない震えを何度かしながら指を飲み込み、須野もその様子を見ながら少しずつ拡げていく

「っ・・・」
「・・・大丈夫そう?」
「んっ・・・圧迫感すげぇけど・・・っ・・・来いよ」
「・・・」

須野は指を引き抜くとその代わりに自身を押し当てる
喪失感でひくつくそこはゆっくりと須野を飲み込もうとするが、その緩かさに耐えきれず須野は腰を進めた

「っ!!!!」
「ごめ・・・も・・・あと半分っ」
「バ・・・っ・・・でけぇよっ・・・」
「ごめ・・・も・・・我慢できない・・・動いちゃ・・・」
「・・・くっそ・・・イイ顔しやがって・・・っ・・・あっ」

須野の思考が下肢に奪われ、ただ、腰を進め、快楽を求めて夢中で貪る
目の前で乱れる里見の色気にまた興奮して何度も何度も押し付け、戻してまた押し付ける

「っあ・・・須野っ・・・漏れるっ・・・触って・・・触って」
「うん・・・うん・・・」

何度も前立腺を押し上げられて白濁の交じったものが溢れだすと須野の手は優しく里見自身を包んで扱いた
そして、訪れる絶頂・・・
須野も中のうねりに耐えきれず、ゴム越しに絶頂を迎える

二人はベッドに倒れるように横になると荒い呼吸を整えながらキスをする
今までと違うキス・・・官能的ではない・・・

満足感、充実感、充足感・・・

いや、ただただ幸せな気持ち

そう・・・幸福感

そんな幸福感でキスを何度も繰り返しした



にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ


にほんブログ村


    ≫ read more

つれないキミと売れてる僕22 - 03/28 Sat

trackback (-) | comment (0) | つれないキミと売れてる僕
須野が帰宅するとすっきりとした里見の姿・・・

「・・・髪・・・」
「すっきりしただろ」
「う・・・ん」

「首が寒い」と言う里見に須野はどこから驚きを表せばいいのか判らなかった
今着ている服も新しい・・・
以前の里見が・・・完全復活していた

「で、ここからが説教だ。そこ座れ」

須野は痛む場所を押えながら座る

「・・・本当にごめん」
「まぁ、それはスタッフの人たちに謝ればいい・・・」
「でも・・・」
「本当に心配した」

里見はそっと須野を抱きしめる
だんだんと強く・・・強く・・・抱きしめる

「っ・・・」
「痛むか?」
「ん・・・大丈夫・・・」

そしてキス・・・
あの時病室で我慢したキス・・・

「里見・・・完全復活だね・・・」
「おう」
「・・・うん・・・キラキラが増して見える」
「強くならなくちゃいけないって思った・・・お前に世話ばっかりかけた」
「それは・・・僕がそうしたかった・・・里見のためにできるならばこれからだってずっと世話したいと思ってる」

須野の気持ちも判っている・・・けれど、世話されるだけはもう嫌だ・・・
だから須野の言葉には首を振る

「オレは胸張ってお前と肩並べたい」
「・・・」
「今の状態じゃオレ、お前に囲われてるオンナみたいで余計外出にくい・・・」
「そんな・・・」
「だから・・・仕事増やす」
「え・・・」

須野がいない間に自分で動き始めた里見
話題の人であったし、コネもいくつかあった

「まぁ、増えるっつっても大したことねぇけど」
「・・・里見がどんどん遠くに行っちゃう・・・」
「行かねぇよ・・・オレ、お前がかなり大きい存在って判ったから」

失うかと思って、存在の大きさに気付く
失いたくない・・・だから守りたい
自分の手で守りたい

そして、須野も里見を守りたい
お互い守り守られ生きて行きたい
一緒に
一緒に・・・

「里見・・・あのさ・・・」
「ん?」
「・・・明日、最後のシーン撮り直し入ってて、明日クランクアップ・・・なんだ」
「あぁ」
「・・・そしたら・・・さ」
「うん」
「・・・あの・・・」

須野が何を言いたいのか里見にも判る
けれど言わせたい・・・

「・・・だ・・・」
「だ?」
「抱きたいです」

ここまで抱えてきた言葉をやっと言えた・・・
この里見なら壊れない・・・
抱いてもきっと罪悪感ないとも思った
そう・・・今までは怖かった

里見は回復したように見えてまだ弱っていたから怖かった
それにつけこんで悪いことをしている気分になって怖かった

しかし、もう目の前の里見は違う・・・
須野の惚れたあの初恋の人・・・




にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ


にほんブログ村

    ≫ read more

つれないキミと売れてる僕21 - 03/27 Fri

trackback (-) | comment (0) | つれないキミと売れてる僕
高速を飛ばして1時間・・・思ったよりも早く病院へ到着する

「・・・光、ムリしなくてもオレが様子聞いて・・・」
「・・・イイ・・・」

ひとつ深呼吸をすると助手席を下りて病院の駐車場を歩く・・・
葛西はとりあえず、山口に電話を掛けるが、病院内で電源を切っているのか繋がらない

「・・・ちょっと聞いてくる」

葛西が、受付に話をしに行くと里見は待合室の長椅子に腰かける
足が震える・・・

怖かった
ただ怖かった

当然あると思っているものが突然なくなる恐怖・・・
里見は頭を抱える

「光、大丈夫・・・行こう」
「・・・大丈夫?」
「もう病室みたい」
「・・・」

病室と聞いて里見は立ち上がる
行ける・・・それなら・・・行ける



コンコン

「はい」

病室の前でノックをすると返事がしてドアを開ける

「・・・さ・・・里見?!」
「・・・」

あちこち包帯を巻かれた須野・・・けれど、それは思ったよりも元気そうで・・・里見は足元から崩れる

「光っ!大丈夫?」
「くっそ・・・心配掛けやがって・・・お前・・・元気じゃねぇか・・・クソッ」

ホッとしただけか・・・と葛西は笑って里見を支えて立ち上がらせるとベッド横の椅子に座らせる

「・・・ごめん・・・二人ともわざわざここまで・・・」
「そーだよ!オレ超飛ばしてきた!つかまらなくてよかったー!」
「・・・」

何か言いたそうな顔をしているのに話そうとしない里見を見て山口は葛西の肩を叩いて「タバコ吸いに行かない?」と誘うとすぐに葛西も了承して部屋を出る

二人がいなくなると途端に静かな病室・・・白い壁が余計にこの静けさを倍増させる気がした

「・・・里見・・・」
「・・・」
「えーっと・・・ごめん・・・」
「電話・・・なかった」
「うん・・・あのね・・・電話しようとして・・・僕、崖から落ちた」
「は?」
「撮影長引いちゃってて・・・でも、ちょっとの休憩に電話しようと思って、みんなからちょっと離れて電話しようと思ったらさ・・・」
「・・・で、ケガは?」
「骨折はしてます」

肋骨をさすりながら須野は答えると里見を見つめる
さっきまでの顔色より少しよくなっている

「ごめんね・・・携帯もどっか一緒に落ちてった」
「・・・撮影は続けるんだろ?」
「うん」
「・・・終わったらすぐに帰ってこい・・・」
「うん」
「お説教はそれからだ」
「・・・うん」

キスしたかった
抱き締めたかった
けれどそれは我慢する・・・

ここは病室・・・鍵もかからない部屋はナースがいつ入ってくるかもわからない

我慢・・・

我慢・・・

「・・・里見・・・」

布団の中から指先を出すと里見の手を取ってまた布団に入れる
そして声に出さずに「好き」と伝えた・・・

何百回も聞き続けたその単語・・・
口の動きだけで須野の声が頭の中で繰り返し「好き」と言うのが聞こえるようだった

「・・・あぁ・・・じゃあオレ・・・葛西と帰る」
「・・・うん」
「マジで心配させんな・・・バカ」

手を離してポケットに手を入れると病室を後にする里見・・・
そしてそのまま駐車場へと向かう
駐車場の喫煙所で二人を見つけ、ポケットのタバコを探すが、それすらも見つからなくて自分がどれだけ焦っていたのか気付いた

「葛西、タバコ」
「・・・「ちょうだい」とかまで言えないかなぁ・・・この男はー」

そう言いながらタバコを差し出すと火をつけてやって里見を見つめる
顔色も良くなったし、元気になったように見えた

「山口さん、バカなあいつよろしくお願いします」
「ホントバカ・・・みんなに迷惑掛けやがって・・・」
「オレも悪いんですけどね・・・きっと」

そう・・・須野は里見が心配できっと電話を掛けようとしたのだ
心配を掛けてしまう・・・家からも出ないで食生活もでたらめ・・・もう少ししっかりしよう。強くなろう・・・
里見は1人そう誓う



にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ


にほんブログ村

    ≫ read more

つれないキミと売れてる僕20 - 03/26 Thu

trackback (-) | comment (0) | つれないキミと売れてる僕
須野の主演ドラマ、太陽の沈む影は最終回にスペシャル版として2時間枠が決まっていたが、ロケで数日間家を開けなくてはならないということを思い出して須野は心配でたまらない・・・

「里見・・・本当に大丈夫?」

何が心配かって・・・

里見の食生活

今までも自分が世話を焼かなければ適当な食生活の里見だったが、最近はそれが酷いものだった
仕事が忙しい・・・というのも理由にはあるが、何よりも・・・「めんどくさい」が最大の理由

「だから、オレは今までこーやって暮らしてきてんだから大丈夫に決まってんだよ!」
「・・・やっぱり葛西に頼んで・・・」
「バカ!もーあいつもあいつの生活あんだからあいつを巻き込むのやめろ」

里見にしては珍しく正論な気もして須野は少し反省する
とにかく里見のことが心配
ビールとトマトだけで基本済ませてしまう里見が心配すぎる

サラリーマンとして外に出ていた時は昼食だけはきちんと摂っていた
人形のように一日宙を見て過ごしていた時でも須野の用意したものを言いつけどおりに機械のように摂っていた

しかし・・・

今、外にも出ない里見はトマトとビールだけで基本済ませてしまう・・・
用意しておいてもめんどくさいと食べてくれない

「・・・それでもやっぱり心配です・・・」
「判った・・・なんか食うから・・・早く行け」
「ホントに?絶対だよ?!電話で確認するからね?!」
「オカンか!行け!うっせー!早く出ていけー!」

最後はキレ気味の里見に部屋を追い出されてとぼとぼとエレベータに向かう須野
一応、用意はしてきたけれど本当にそれを温めて食べてくれるのかが問題である





翌日、珍しく電話がかかってこないのを不思議に思いながら里見は冷蔵庫に入っていたタッパーを温める

「・・・オレの好物ばっかり」

冷蔵庫のラインナップを見てそう呟く
ちゃんと食べているのに電話がない・・・

忙しい・・・それも考えてはみたものの、どんなに忙しくてもしつこく電話してくる須野が電話をかけてこない
圏外になってる場所からは公衆電話からでも掛けてきた須野が電話をかけてこない

なんだか嫌な予感がする・・・胸騒ぎがした




ドンドンドンッ

ミネストローネを食べきる頃、ドアが強く叩かれる・・・こんなことする人間は1人しかいない

「・・・なんだ」
「光っ!・・・須野が・・・怪我したって」
「・・・」

いつだって嫌な予感は当たってしまう・・・
怪我・・・軽いケガじゃないかもしれない・・・電話をしてこられない程の怪我・・・

「・・・とりあえず・・・今、病院だって」
「・・・」

病院・・・そう言われても自分がここから出るのはむずかしい・・・どうしたらいいのか・・・待つしかないのか
外に出るのは怖い・・・病院は更に怖い・・・

「光・・・オレ、行ってくる」
「・・・待て・・・行くな」
「な・・・んで」
「行くな・・・行くな・・・」

葛西の両腕を掴んでそう言う里見があまりにも弱々しくて葛西は戸惑う
こんな里見は見たことがない
少なくとも自分は・・・須野しか見たことのない里見・・・

「わかった・・・じゃあとりあえず連絡ここで一緒に待とう」
「・・・」
「光、大丈夫、須野はきっとなんともないから」
「・・・」

病院からの連絡は恐ろしい・・・
あの日を思い出すから・・・

あの日・・・普段通りに過ごしていたが、なんだか朝から胸騒ぎがした・・・
それは提出しなくてはならないレポートが完成していないからとかそういう理由ではなく、嫌な予感

そして掛かってきた電話・・・

病院からで・・・聞いた言葉は信じられなかった


「・・・葛西・・・」
「ん?」
「マジで・・・怖い」
「うん」
「あいつ、電話してこなかった・・・それだけ・・・の怪我だ・・・」
「それはもしかしたら撮影が長引いて・・・」

それも考えられる
しかし・・・

「・・・あいついなくなったら・・・オレはどうしたらいいのか判らない」

いつだって須野は傍にいた
辛い時もそっと傍にいてくれたから何度も立ち上がれた
・・・須野に何かあった時はどうするかだなんて考えたこともなかった

「・・・オレ・・・外出る・・・」
「え?」
「強く・・・ならなきゃ・・・」
「光・・・」
「引っ越しんときだって外出れたんだ・・・病院だって・・・」

青褪めている里見を本当に連れて行っていいものか悩む・・・
だが、里見は真っ直ぐ玄関を見つめていて葛西は「車のカギ持ってくる」と立ち上がった



夜道を葛西の車は里見を乗せて走る・・・病院へ






にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ


にほんブログ村



    ≫ read more

苦しみと幸せと-つれキミ売れ僕番外- - 03/25 Wed

trackback (-) | comment (0) | つれないキミと売れてる僕番外編
「はっ・・・里見っ・・・も・・・無理っキツいっ」
「こんなんで根上げるのか・・・んー?」

光の笑顔は寛人の思考を停止させる。踏み躙られた寛人の雄は縛りあげられていても透明なものをダラダラとこぼし続けていた

「なぁ、須野ー」
「はっ・・・あぁぁぁ」
「お前、オレに突っ込まれたかった?」
「っあ・・・ん・・・里見がっ・・・そうしたいならっ」
「バカめ。オレがなんでてめーの汚ねぇケツに突っ込まなくちゃいけないわけ?」

そう言いながらまた笑って足で刺激を与えられる。甘い甘い罰のような刺激

「いっ・・・も・・・達かせてくださいぃぃっ」
「オレ、まだ全然なんだけど?」
「なんでもっ・・・するっからぁ・・・」
「ヤダ・・・ね」

手足は優しく拘束されているだけ。それなのに体が動かないのは笑顔という頑丈な鎖のせい

「さ・・・里見ぃっ」
「そそるねー。そのエロ顔。澄ました顔でテレビ出てるやつとは思えない」
「も・・・痛いっ・・・ムリぃっ」
「まーだ」

寛人の高ぶりに白い指が降りてきて尿道までを刺激される・・・体の内側から犯される感覚に苦痛の声を漏らすが、それは光を笑顔にするだけで決して解放されることはない

「乳首までこーんなに感じさせちゃって、虐められてひーひー言っちゃって・・・本当に堪え性のない・・・」
「ぁっ・・・やっ・・・里見っ!僕を見捨てないでっ」
「ほら、舐めろ」

光の雄が寛人に差し出される。素直に口を開けて受け入れる寛人の喉へと突き立てられるそれは寛人がいくら苦しくても関係なく喉を犯す。痛みでもなく、悲しいことが合ったわけでもないのに生理現象で涙が溢れ、喉の奥を突かれて吐きそうになるのに吐き出すこともできない。鼻水と涎で呼吸もできなくなるがそれを訴えることもできなくなりこのまま窒息してしまうかもしれないという恐怖と同時に光になら殺されてもイイと思う気持ちが交錯する

「あー、イイ。達けそー」

全く切羽詰まっていない声を上げて光は喉の奥へと白濁を放つとまだ硬度の残った状態のそれを引き抜く・・・しかし寛人の口から出てくるのは声でもなく二酸化炭素でもなく光の放った白濁

「ゴホッゲッ・・・フッ・・・」

一通り吐き出すとやっと酸素が取り込めるようになって涙のまま光を見上げる

「いいね。その汚ねぇ顔・・・愛してんよ」

死にかけてもこの笑顔があれば全て許されてしまう。この笑顔のためにならなんでも耐えられる。なんでも。なんでも・・・

「じゃあ、ここまで耐えたご褒美・・・欲しい?」

笑顔で囁かれる甘い甘い声に寛人は何度も何度も頷くと光は上に乗って寛人の雄を握るとそれは後ろに押し当てられて埋められていく




「なぁぁぁぁぁぁいっ!!!!!」

そう言って須野は葛西の持ってきた髪を机に叩きつける。途中だが、ここまでで充分だった

「なんだよぉ。須野ちゃん、オレの渾身の作品になんかケチつけるんだ?っつか、ズリネタによさそーじゃない??ねぇ?ねー?!」
「ないっ!こんなん絶対ないっ!!!!」
「何がー?光はこんなにドSじゃないってこと?」
「っていうか・・・」

須野は少し考えて「やっぱりない!」と頭を振る

「里見は愛してるとか絶対言わない!」
「え!そこなの?!そこが突っ込みどころなの?!」
「・・・あと、葛西、自分で死亡フラグ立ててるよね」
「そっりゃーもちろん光にはナイシ・・・ひっ!!!!光っ!!!!」
「へぇ」

気付くと平然な顔でそのプリントアウトされた文面を呼んでいる里見。ドアの開く音も気配すらしなかったことに葛西は怯える

「よくもまぁ、ここまで妄想を広げたもんだ」
「ひ・・・光さん、光さん・・・あのですねぇ・・・」
「でも、オレ、須野のことこんな風に虐めねぇよ?」
「?!」

しれっとそう言った里見の言葉に須野も葛西も目を丸くする

「そ、れ、は・・・愛があるから?!」

思わず葛西は顔を赤くしながらそう聞く。須野も「なんで?!」という顔で里見を見る

「ドMを虐め立って喜ばせるだけで何にも面白くねぇだろーが」

そう言った里見は笑顔で、でも明らかに怒っている様子で葛西の襟元を掴んで引きずりだす

「光!ごめ・・・ごめんなさいぃぃぃぃぃっ!!!!」
「お前をドMに開発してやろーか?本気で。ケツでしか感じさせないようにしてやってもいいぞ」
「いーやぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「っていうか、里見!里見っ!!!僕Mじゃないって!ねぇ!僕別にMとかじゃないってば!!!!」

このマンションの最上階は今日も葛西の叫び声で賑わっている





にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ


にほんブログ村

    ≫ read more

つれないキミと売れてる僕19 - 03/25 Wed

trackback (-) | comment (0) | つれないキミと売れてる僕
問題のラブシーンが終わるといつも通りの撮影・・・
順調に進み、須野の問題のラブシーンが放映される


『脅迫染みたことをしてごめんなさいね』
『脅迫染みたことじゃない・・・脅迫、拉致監禁だろ・・・』
『そう・・・ね・・・でも、あたし、どうしても秋保さんが欲しいの』

里見は1人それを須野の部屋で見ながら「緊縛ものだとは・・・」と呟く
秋保に魅了された女性が秋を拉致し、キスされるというシーン

顔に嫌悪と色気が滲み出ていてそれはまたイイ表情・・・

『犯罪なんてあたしにとって大したことじゃない・・・あなたに捕まるのも悪くないと思ったの・・・だけど、あなたはあたしを捕まえなかった・・・だからあたしが捕まえてあげた』
『・・・』

女優が着ている服を脱いで床に落とす
目を逸らすことなく真っ直ぐ見ているのは里見の知る須野ではない・・・
「秋」だ・・・間違いなく秋・・・

そう思うと嫉妬も何もなくなる
須野ではない。画面の中にいるのは須野の顔をした秋・・・




「・・・ただいま」

遅くに戻ってきた須野は部屋からこの時間放映しているはずもない自分のラブシーンが流れていて青褪める

「!!!ちょ・・・やめ・・・録画したの?!」
「おう」
「・・・」
「ここのシーンだけ繰り返し見てた」
「・・・」

里見はそう言うと須野においでおいでと手を拱く

「残念だったな・・・」
「え?」

拱いていた手でそのまま須野の手を握ると里見はそう言った

「完璧な秋すぎてお前に嫉妬することなかった」
「?」
「お前じゃねぇなぁ・・・この画面にいる奴は・・・」
「・・・それって・・・」
「嫉妬はしなかったけどこの演技はよかった」

そしてキス・・・

「・・・」

ふと思い出して里見はクククと笑いを堪え切れず声を上げる

「お前、期待してたんだろ?」
「な・・・え?期待なんて」
「オレがすっげぇの期待してたんだろ?」
「・・・してない」

また唇が迫る・・・そして「嘘つき」と囁かれ、須野は目を閉じる・・・
彼には敵わない

「してた」
「でも、明日も早いんだろ?」
「うん」
「・・・そうだなぁ・・・じゃあ、ドラマと同じようなことしよう」
「え?」

里見は須野をベッドに座らせるとシャツを脱ぎ、手を後ろへ持っていくと脱いだシャツで軽く縛る

「見てろよ?」
「・・・これ・・・」
「解いてもイイ・・・でも解いたら終わりな?」
「里見・・・?」

ジーンズから足を抜くと下着も床に落とす
その動作はゆっくり・・・ゆっくり・・・触れたい衝動が起こるが、手は後ろに縛られていて叶わない

「縛る前に脱がせればよかったなぁ・・・」
「・・・っ・・・くすぐった・・・」

首筋に舌を這わせると次は鎖骨に舌が降りてくる
背筋にゾクゾクと快感からの震えがやってきて須野は震えて声を漏らす

「ほら、全然お前と秋は違う」
「っ・・・いっ・・・」

乳首に軽く歯を立て、痛みを感じた直後に優しく舐めとられジンジンとする胸がどんどん熱を持っていく

「明日、乳首擦れて感じちゃうかもなぁ」
「え・・・それ・・・」

その言葉に恐怖を感じる須野。
恐怖に怯えるその顔がまた色っぽい・・・

「イヤか?・・・嫌なら解けばいい・・・そしたら終わりだけど」
「・・・」

終わり・・・
終わりたくない
終わってほしくない

里見は繰り返し乳首に噛みつき優しく舐める

「さと・・・みっ・・・も・・・きっつい」
「・・・何が?乳首?それともこっち?あー、ギッチギチ・・・このズボン脱ぎたいよなぁ?きついよなー」
「ホント・・・っ・・・痛い」
「じゃあ手解いて脱げば?」

須野の目は里見に縋るように向けられる
意地の悪い里見
大好きな里見

「やっべぇなぁ・・・お前の顔もっと虐めたくなる」
「んっ・・・」
「・・・あー、ズボン染みできてんじゃね?」
「ホント・・・里見・・・」

意地の悪い顔のままファスナーを下ろすと期待の目が里見に向けられた

「ベトベト・・・」
「ん・・・」
「このベットベトのだったら・・・ツルっと入っちゃわねぇかなぁ・・・」
「っ?!」

後孔に押し当てられた熱い昂ぶりは触れた瞬間に里見の熱を感じて須野は後ろ手に力を込めて解く
急いで彼を抱きしめると体の上から降ろしきつくきつく抱きしめる

「ダメ・・・ダメ・・・」
「何?解いちゃったのか・・・」
「解いた・・・終わり・・・ね?里見・・・」
「オレとしたくねぇってこと?」
「そんなこと言ってないっ!でも・・・でももっとちゃんとしたい・・・」

大きなため息を吐き出すと里見は須野にキスをする
「このヘタレめ・・・」そう悪態をつくが、大事にされている、愛されているというのは伝わっている

だって、頭を撫でる手はやはりとても優しいから




にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ


にほんブログ村

    ≫ read more

つれないキミと売れてる僕18 - 03/24 Tue

trackback (-) | comment (0) | つれないキミと売れてる僕
ドラマが佳境に近付き、渡された台本を見て須野は驚いた



ラブシーンが入っている




「や・・・山口さんっ!!!!聞いてないよ?!僕聞いてない!」
「だよなー・・・」
「何これ!何これっ!!!!!」

マネージャーの山口が「落ち着け」と言うが落ち着いていられない

「あのなー・・・お前、色気出ただろー?」
「・・・イイことだよね?」
「でなー・・・なんかなー・・・そーゆーことだよー」
「全然意味が判らないよ!なんで!僕できないよっ!今までだってラブシーンありそうなやつ断ってくれてたじゃん!」

山口はうーん・・・と頭を捻る
演技に色気が出た須野。それがまた話題になっているのだからラブシーンでもぶつけて視聴率を稼ごうという方向へ決まったらしい・・・

「でもなぁ・・・ラブシーンNGです!って言えねぇだろ・・・お前アイドルじゃねぇし。っつかイマドキアイドルでもこんぐらいこなしてんじゃ・・・」
「いや、でも!でーもーーーー!」
「・・・まぁ、妬かれたらオレも一緒に謝ってやるからさー」
「謝って済まない・・・」

『お前のエロ顔見せながら女優に触ったら口利かね』

あの後言った彼の嫉妬。カワイイ嫉妬・・・しかし、これはそんなシーンになるのではないか・・・

「里見くん顔に似合わずきっついもんなぁ・・・」
「・・・っていうか・・・なんで?」
「あ?」
「なんで知ってんの」
「あー?付き合ってるの?そりゃお前・・・あんな突然色気出始めたら判るだろ」
「・・・」
「お前と何年付き合ってると思ってんだよ」

ハハハと笑うと須野の背中をバシッ!と叩くと「俳優ならやりきれ」と喝を入れられ逃げ場がないことを知る須野




その日、肩を落としながら帰宅すると部屋は真っ暗だった

「・・・ただいま・・・」

誰もいない部屋にそう言いながら入ると今、電気を付けてジャケットを脱ぐ・・・
ラブシーン・・・
里見ではない相手にその気になっている顔なんてできるとは思えなかった
いくら自分が俳優でもそれは難しい・・・

「はー」

ベッドに寝転ぶと扉の向こうを見つめる
静かなドアの向こうはきっと仕事に集中している証拠・・・
邪魔はしない・・・それはルール
でも、それを破って扉を開けて里見に言いたかった・・・


里見に・・・


「須野ー?」
「っ!」

自分の想いが通じたのか扉の向こうで呼ばれて飛び起きる

「帰ったのか・・・」
「里見ー」
「ん?なんだなんだ・・・」

きつくきつく抱きしめる
怒るだろうか・・・
嫉妬してくれるのだろうか・・・

「なんかあったかー?オレ、ちょっと仕事ちゅ・・・」

話しているのを遮ってキスをする
珍しく積極的なキスに驚くと同時に「なにかあった」ことに気付く

「・・・どうした?」
「・・・ラブシーン」
「は?」
「次、ラブシーン入るとか僕聞いてない・・・」
「・・・秋にラブシーンなんてないだろ・・・」
「台本には書いてあるんだもんっ!!!!!!」

里見は「あー、色気出させすぎたか・・・」と反省するが、別に怒らない
仕事なのだ

「須野ー・・・言っとくけど、きっと《獣》にもラブシーンあんぞー。原作にあるし、あの話映画にすんだからきっと濃厚にラブシーン幅とってくるとオレは予想してる」
「・・・」
「それでもやるって言ったのはお前だ」
「・・・うん」

触れる手は相変わらず優しい・・・
里見は口は悪くても優しい・・・

「しょうがない・・・色気が出たことは演技の幅が増えたいいことだ・・・ラブシーンも無理矢理入れたくなるほどっつーことだ・・・」
「うん・・・でも僕は・・・」
「本当に突っ込むわけじゃねぇ・・・色気出ててもエロ顔しててもそれはオレのこと思い出してだってこと判ったから・・・お前も仕事って割り切ってやれよ」
「・・・ヤダ」
「ヤダってお前なぁぁぁぁぁ」
「里見以外にキスするなんてイヤだ!!!」

何度言っても須野が仕事だから・・・と納得することはなかった









問題のラブシーン撮影の日・・・朝から浮かない表情の須野に里見はため息をつく

「須野ー・・・お前はプロだろ」
「・・・自信はない」
「いや、自信はあるだろ・・・お前、今までどんだけ頑張ってきたよ」
「・・・でも・・・」
「まぁ、オレとしてもエロさは40パーセントくらいに抑えといて欲しいところだけどなぁ・・・でも、全力でやってこい・・・オレをその気にさせる気で」
「・・・里見を・・・」
「相手をオレだと思うな・・・だが、オレに嫉妬させてその気にさせろ・・・きっとオレはそのあとすげぇぞ?」
「・・・」

里見のその顔に、その言葉に思わず生唾を飲み込んだ
いつもその顔とその声に惑わされる
なんでも言うことを聞いて跪きたくなる

「行ってこい・・・」
「・・・いってきます」

須野はその言葉で吹っ切れたのか真っ直ぐ立って玄関を出て行く



「どんなんでも結局嫉妬はするけどなー」



里見は玄関に向かってそう呟くと髪をリボンゴムで縛って仕事に戻る
自分も仕事をする・・・
期待に添うものを書きあげる・・・プロとして

プロとして・・・



にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ


にほんブログ村





つれないキミと売れてる僕17 - 03/23 Mon

trackback (-) | comment (0) | つれないキミと売れてる僕
初めての場所・・・慣れない
緊張してしまう

だって、ここは里見のベッド


「だから・・・乳首開発すんじゃねぇだろって・・・っ」
「ん・・・」

彼の桜色の薄い肉を食みながら須野はまだ迷っていた
何を迷っているのかは判らない
多分手際の悪さにキレられて怒られるのが怖いのだ

「でも、里見・・・ここも好きだよね」
「まぁ・・・そうだけど」
「・・・あぁ・・・そっか・・・」

誰か女の人にこっちは「開発済み」なんだ・・・と須野は胸が痛くなる
里見が他の女性と付き合うことはその時は理解したし認めていた。里見が幸せならばと心から彼女ができたことを祝ったし、喜んだ・・・
しかし、今・・・どうしても過去が気になる・・・

そして須野は気付く・・・

もしかしたら・・・こっちは誰にも触れられたことのない場所・・・

「ホントに・・・イイの?」
「何度も言わせんな・・・さすがに何度も言うのは恥ずかしいだろ」
「・・・うん・・・判った・・・ちょっと・・・ちょっと待っててね?」
「?」

須野は部屋を出る。
その意味にすぐ気付いた里見は「やる気満々じゃねぇか」と呟きながらニヤリと笑った・・・

言った通りすぐに戻ってきた須野が後ろ手に隠しているものを想像して笑う

「隠すな・・・逆に恥ずかしい」
「・・・だって・・・」

それは里見の予想通りの潤滑油で、渋っていた割にちゃんと準備していたのが嬉しかった
須野のいつもの行動を考えれば準備万端なのは当然予想はしていた
しかし、しっかりと新居にまで持ってきて、すぐに持って来られるのが須野も期待していた証拠

「ちゃっかり準備してたわけだ?」
「それ・・・は・・・」
「どっちがいい?」
「え?」
「え?じゃねぇ・・・違ぇよ!仰向けかうつ伏せかっつーことだよ!」

一瞬上か下かの問いかと思って少し戸惑った須野に気付いて「バカ」と付け加えた

「顔が見えないとキスできない・・・」
「おう」

仰向けになるとすぐにキスが降ってくる
まだぎこちないキス・・・きっとまだまだずっとこのぎこちないキスは続くのだろう
嫌がられないか・・・いつ息をしたらいいのか・・・いつ舌を入れてもいいのか・・・
須野は頭で考えすぎる

「とりあえず・・・今日は1本・・・ね?」
「いや?結構イケると思うぞ?」
「え?」

まさか、こっちも多少経験が・・・と焦るが、里見はしれっとまた惑わすことを言う

「自分で試してみた」
「・・・」
「プッ・・・残念だったな。初めてがお前の指じゃなくてー」
「里見・・・僕、結構本気で鼻血出そうなの判って言ってる?」
「まぁ、自分の体の研究はオレ惜しまねぇもん」

そう。里見は自分がみっともないのは一番許せない。
いつだってキレイでいたかった
それが彼のプライド

「じゃあ少しずつ慣らしていきます・・・」

彼の潤滑油に濡れた指が双丘を割って周りをマッサージするように撫でる。

くすぐったい・・・
むず痒い・・・
もどかしい・・・

そして指が侵入する

「っ・・・」
「まだ・・・痛くはないよね?」

不安そうな須野の頭をポンポンと撫でると「だから自分で試したっつーの」と強がる。

「っ・・・な・・・?」
「あ・・・ここ?意外と早く見つかった・・・かも」
「ちょ・・・なに・・・」

前立腺に当たる場所に指を押しつける
自分では触れなかった場所。

「里見の初めて見つけた」
「お前・・・須野のくせに生意気っ」
「ごめん・・・でも嬉しくて」
「あー・・・もー・・・狂ってもきれいじゃなかったとかがっかりすんなよ?」

長くなった髪を書きあげて里見が言うが、「そんなわけない」と須野はまたキスをした




「っ・・・は・・・も・・・須野っ」
「苦しい?」
「んっ・・・達きたいっ」
「うん・・・だよね・・・」

苦しそうな表情に須野は汗を浮かべた額にキスを落とす
こんなときだっていつだってキレイな彼・・・
限界まで昂ぶった自分自身を片手に握り、彼の高ぶりに唇を下ろす
後ろから指は抜かずに・・・押しつぶすように前立腺を責める

「む・・・無理っ・・・無理無理無理っ・・・須野っ・・・や・・・っ」

快感が強すぎて頭が白くなり、すぐに須野の口へ精を吐き出す
長い長い射精・・・

「止まらな・・・っ・・・んっ」

もう止めたいのに止まらない放出に合わせるように須野は吸い上げてくる

「やぁーーーーっ」

白い肌が弓形にしなって全て出し切った里見はベッドへと沈む
それと同時に須野も自分の手の中に精を吐き出した

「里見・・・里見・・・大丈夫?」
「大丈夫じゃねぇ・・・クラクラする」
「え!大丈夫?!水!水持ってくるね!!!」
「・・・須野・・・飲んだな?」
「ん?」
「バ・・・ッカ!!信じらんねぇ!AV女優かお前はっバカ!くっそ、殴る力もねぇ」

須野は少しだけ笑うとベッドを下りて小さい冷蔵庫を開ける

「・・・」

見事にビールだらけの冷蔵庫に小さくため息をつくと手を洗って自室の冷蔵庫に取りに行く
もう少し大きめの冷蔵庫を里見の部屋にも入れなくては・・・と改めて思った。
あんなにビールを詰めたら食材なんかどこにも入らない

「里見ー、水だよー」
「んー、飲ませて」

須野は嫌がる表情も見せずに里見の背中を優しく抱いて起こす
水を一口飲ませると「あーあ」と里見が呟いた

「今、口移しで飲ませる場面だったんじゃねぇのー?」
「え?」
「あーあ・・・こんなチャンスめったにねぇぞー」

そう言うとまた意地悪く笑うと「タバコは?」と聞く
こんな急な要求でもしっかり予測して用意している須野は流石である


「なぁ」
「うん?」
「何をお前はいつも悩んでんだ?」

何を・・・と考えて須野は少し笑う

「いつも里見のこと」
「オレはお前を悩ませてるかー?」

そんなはずはねぇだろーと里見は煙を吐き出しながら呟く。
須野は灰皿を近くに置いて自分もタバコに火をつけた

「里見が何かしたから悩むんじゃないよ」
「あー」
「多分好き過ぎて里見のこと考えて悩んでる」
「あのなー・・・」

里見は何か言いかけて考える・・・

きっとオレもお前が好き

そう言いたいけれど、言葉が出て来ない

「何?忘れた?」
「バーカ・・・オレが忘れるわけねぇだろ」
「じゃあ何?」
「好きだ・・・ぞ?」

須野が煙に噎せて咳込む

「おいー・・・大丈夫かー?」
「う・・・ん・・・苦しい・・・」
「ほら、水」

里見は須野が持ってきてくれた水のペットボトルを差し出した

「・・・」
「落ち着いたかー?」
「うん」
「そーか」
「・・・ホント?」
「んー?」

煙を天井に向けて吐き出しながら平然としている里見の言葉は夢か幻聴か・・・

「・・・」
「あ?」
「あ、ううん・・・何でもない」
「ホント」
「・・・」

須野の目から自然に涙が零れた

「何泣いてんだよ」
「や、なんか・・・キた・・・」
「キモい」
「・・・」

好きだと言ったくせに相変わらず里見は冷たくて、それでも撫でてくれる手は優しくて・・・
ずっと・・・ずっと好きで好きで追いかけてきた甲斐があったのだと思わされた

「言葉にすると恥ずかしいな・・・お前よく毎日毎日飽きずに言ってくるもんだ」
「だって、言葉にしないと気持ちが体の中で爆発しそうになって苦しいから・・・」
「言葉ため込んだって爆発しねーよ」
「するよ・・・きっと・・・だって、里見に好きって言うと少しだけ心軽くなるもん」

タバコを揉み消すとベッドに横になりながら「それはおかしな体質だな」と里見は笑った



にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ


にほんブログ村

    ≫ read more