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つれないキミと売れてる僕3-14 - 05/31 Sun

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「須野ちゃんが体型気になるとか!!!!!」
「や、気になるでしょ」
「光も毎日筋トレとかなんかそんなん欠かさないし・・・え?オレだけやばい?気にしなきゃいけない?」
「お前は手遅れ。その腹とかもう既に手遅れ」

葛西はその言葉にムッとして「光だってビール飲みまくりなのに・・・」と呟きながら里見の脇腹をつつくと、その指が緩んでいない腹を感じ取る

「光、腹見せて」
「ん?ほれ。美しいの見ろよ」

里見がシャツを捲ると須野はすぐに目を逸らす。白い肌が。キレイな腹筋が・・・見なくても判る。目に焼き付いているから

「くっそームカつくー。須野ちゃん見せて?」
「え?僕?」
「そー。見せてー」

須野は少し笑って椅子を引くとシャツを捲る

「すっげー!須野ちゃんカッコイイー!」
「え?」
「なんだよ。オレにもそれ、言えよ」
「光はムカついた。でも須野ちゃんカッコイイー体してんなぁ。よし。オレも走る!須野ちゃん!一緒に走ろ!」

須野はまた笑って「イイよ」と了承する。里見は気に入らない。隣で笑っているこの男の笑顔を今無性に壊したい・・・乱れさせて屈させたい


ピリリ・・・

「・・・ゆりさんだ・・・」

里見が電話に出ると何か少し慌てた表情で「ごめん。今から戻ってすぐ送りなおす」と言って電話を切るとすぐに立ち上がる

「どしたー?」
「送ったデータ壊れてるらしい・・・持ってんのが壊れてんのか送ったのが破損したのか判んねぇけど心配だから今から帰って確認して送り直す」
「えー!急ぎじゃないっしょー。っつか締め切りまでまだまだあるしー」
「いや、オレの方で壊れてたらあれ、書きなおしだからな・・・」
「あ、じゃあ今作ってるもの包んでもらって家で飲みなおそうか」

須野がそう言って立ち上がろうとするのを肩に手を乗せ座らせる

「いや、お前らはここで食っていけ。春子もそのほうが嬉しいだろ」
「でも」
「いいって。じゃあまたなー。春子ー!仕事入ったからオレだけ先帰るー!はぁ?また来るって。バカってなんだよ!」

里見の声が部屋の外から聞こえるが、それが聞こえなくなるとすぐに静かな空気が流れる

「須野ちゃん、マジでよかったの?」
「ん?」
「さっき、光が服めくった瞬間すっげぇ顔してたよ?」
「え!ホント?やばいな・・・」
「好きで仕方ないっしょ?」

須野は小さく頷く

「だからね、走ってんの」
「は?」
「もう少し自分に自信が欲しい。そしたらまたゼロから始める」
「ゼロから?」
「そう。告白から」

須野は小鉢をつつきながら少し微笑む

「自信がついて・・・僕が選んでもらえるように毎日努力する。また10年以上かかるかもだけど・・・それでも毎日頑張るよ」
「・・・かかるわけねぇよ」

光も須野の体を見たときに須野のように判り易くはなかったが触れたそうな顔をしていた。葛西だけが気付いている2人のこと。それは本人たちにあえて言うことでもないと口を閉ざしたが、イイものを見た気がした。



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つれないキミと売れてる僕3-13 - 05/30 Sat

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トントン

今でもそのドアが叩かれると期待してしまう自分がいて里見は首を振る

「あー?」

気のない返事。これは昔と同じ。本当は返事の前にドアを開けたい・・・しかし、それは昔とは違うからできないこと

「里見、夕飯、予定ある?」

須野のその問いにドアを開けるといつものように微笑んでいる須野の姿。昔から変わらない。付き合っている時も変わらない須野。あまりにも変わらない須野に今までの笑顔すらも嘘の時があったのではないかと疑ってしまう

「夕飯?ねぇよ」
「葛西と春子さんのとこ行こうかーって話になったんだけど」
「あー、行く」

夕飯の誘いも2人でする食事ではない・・・そんな些細なことに少しだけがっかりしている自分にうんざりしていた。元々去る者は追わない主義。なのに今は全く逆のことを考えている

「じゃあ春子さんに連絡しとくね。里見、食べたいもののリクエストある?」
「ごぼうの唐揚げ」
「好きだね・・・じゃあそう伝えとく」

そう言ってまたドアが閉まってしまう。手を差し伸べてドアが閉まりきる前に部屋に引き寄せて抱きしめたかった。魅力がなくなっただなんて嘘だと言わせたかった。どう考えても自分に魅力がなくなったなんて思えない。だが、里見は昔のようにそっけない態度をとるしかなかった。彼のプライドが邪魔をする





「はっるこさーんっ!おーひーさー!」
「やだ!葛西くんったらすっかり大人の男になっちゃって・・・」
「大人じゃなくておっさんだ。おっさん」

感動の再会とばかりに手を合わせる葛西と春子を横目で冷たくそう言う里見。須野はただその隣でまた笑っていた

「やだね。やだよねー。春ちゃん。あの2人時間の流れひん曲げてずーっとキラキラし続けられると思ってんだよー」
「そうよねそうよねー・・・さぁ、奥行ってゆっくりしていきなさい。すぐにビールとつまみ持って行くから」

3人は春子に促されるまま奥の小部屋に入ると席に着く。いつもの定位置。里見は真ん中。葛西につっこみをいれつつ、須野に世話を焼かせられる位置

「はーいどーぞー。じゃあ適当にいつもみたいに出してっちゃってイイ?」
「わーい!出して出してー!いただきまーす」

ビールと小鉢が運ばれてくると3人は小さく「お疲れ」と乾杯する

「ねぇ、里見、聞いてもイイ?」
「んー」
「吉田さんってどんな人?」
「あー?吉田・・・吉田はなぁ・・・でけぇな」
「光・・・どんな人って聞かれて「でけぇ」っていう答えはビミョー!」
「や、マジで。180軽く超えてっから。んで、がたいもイイからでけぇんだよ。昔、ラグビーかなんかやってて暑苦しい体育会系そのものっつー」

里見は枝豆を口に放りながらそう言う。須野が吉田のことを話題にしたことに少し驚いてはいた。しかし、須野にとって吉田の存在はずっと気になって聞きたくても聞けなかったこと。どんな人でどんなことを話すのか。里見をどんなことで笑わせてどんなふうに接して・・・全て聞きたかったこと

「そのでっかい奴に光は殴られたわけ?」
「そー・・・まぁ、加減はしてただろーなぁ。口ん中ちょっと切れただけで済んだし・・・あいつに本気で殴られたらオレのきれいな顔も歪んでたかもなぁ・・・怖ぇー」
「はいはい。今もきれいですねー」
「うん。よかった。きれいなままだよ」

葛西の呆れた言い方とは違い微笑んで本気でそう思っている須野の言葉。それに少しだけ気を良くして里見は口元に笑いを浮かべる

「でも、光さー、体育会系と合わなくね?暑苦しいって避けてなかった?」
「まぁ、学生時代に会ったら関わりたくねぇと思ってたけどなぁ・・・会社だし。同期だし・・・酒バカみたいに飲むし気遣わなくていいし。あ、あと女の好み被らなかった」
「あー!それ重要ー」
「そうなの?」
「須野ちゃん、イイ?合コンとか行って気に入った子がいつも光と被ったらどうなると思う?」
「?」

葛西は里見の肩に腕を回す

「毎回こいつにお気に入りお持ち帰りされて悔しい思いすんじゃん」
「あー、そうか。そういうことか」
「言っとくけど、オレはお持ち帰りとかしてねぇよ。されるだけ・・・されるように仕込むだけ」
「あーあーもーホンット顔がイイ男ってヤーダー。釣れない女はいないと思ってるーーーー思ってるーーーー」

里見の隣で微笑む須野は今までの須野と同じ表情。女の子の話題でどうしたらいいかわからず少しだけ困ったように微笑んでいた
それを苦しいだなんて今まで感じたことすらなかったが、今、里見は苦しかった。須野の表情一つで苦しい。判らなかった。須野のその表情は今でも里見が好きだという表情。なのになぜ別れなくてはいけなかったのか・・・

「そーだ!須野ちゃん、最近朝早くどっか行ってるよね?」
「ん?」
「こないだ朝帰って来た時須野ちゃんっぽい後ろ姿見た・・・ジャージだったけど走ってたりする?」
「あー・・・バレちゃった・・・そう。走ってる」
「何?体力づくり?体作り?」
「体型が気になるお年頃・・・でしょ」

そう言って須野は少し照れたように笑った。


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つれないキミと売れてる僕3-12 - 05/29 Fri

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「慎吾くん・・・里見さん、なんかあった?」
「ん?」

須野と里見が別れたことを知らないまま数日経ったある日、由梨乃にそう聞かれて葛西はなんのことか判らず首を傾げる

「里見さん、初めて次の締め切り伸ばして欲しいって言ってきたの・・・あ、里見さん、3週先まで納品してくれてるから全然大丈夫なんだけど・・・初めてそんなこと言ってきたから心配で・・・」
「な・・・」

思い当たることはある・・・だが、須野が本当に里見を手放すなんて思ってもみなかった。しかもこんなに早くに・・・

「や・・・やばいかも!オレ、ちょっと光ん所行ってくるから!」

葛西は里見の部屋のドアを叩く。強いように見えてホントは酷く脆い。強く見せているのは彼の精一杯の虚像

「光っ!光っ!!!」
「何?」
「だ・・・大丈夫?!」
「何が?」
「締め切り伸ばして欲しいって・・・」
「あー・・・それな・・・」

里見に会うこと自体久し振りな気がした。葛西が部屋に入ると里見はため息をつきながらソファに座る

「知ってたのか?」
「え?」
「親友に戻るって」
「・・・こないだ、須野が部屋に来て言ってた・・・でも本気じゃないと思ってた・・・あいつが・・・やっと手に入れた光手放すわけがないって」
「オレも、悪かったかもしれねぇけど・・・っつか・・・オレに魅力なくなったとか・・・マジで言ってんのかあいつ・・・」
「え?」

葛西は須野が里見にもEDを告白したことを知る。理由は魅力のせいではない・・・だが、須野はあえてそう言ったのかと思うと切なかった。目の前でこんなにも魅力にあふれた人間を前にして言ったのだ。並みの決意ではそう言えないことは判っていた

「オレ、魅力ねぇ?あるよなぁ?」

そう言いながら隣に座る葛西に顔を近付けると葛西は慌ててそれを避ける

「オレで試すなってーーーー!ゆりちゃん裏切りそうで怖ぇっ!」
「葛西・・・締め切りな・・・今、書ける気がしねぇから・・・でも、書くから・・・ゆりさん安心させといて」
「ん・・・」
「正直、あいつが今何考えてんのか全然わかんねぇ・・・あいつだけはオレを拒絶することなかったのに。何やっても全部受け入れてくれてたのにさ・・・」
「うん」

里見はタバコに火をつけると天井を見上げて目を閉じる

「次、何書こうか・・・お前らとどっか行ってネタ作るかー」
「うん。行こうよ。昔に戻ったんなら昔みたいにどっか行ってバカやって笑って・・・オレ、光に遊んでもらえなくて結構拗ねてたんだぞ」
「バーカ」

里見はタバコを咥えたまま葛西の頭をくしゃりと撫でた。関係だけが時間をさかのぼって戻るだけ・・・感情はそのまま関係だけが戻るだけ・・・



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つれないキミと売れてる僕3-11 - 05/28 Thu

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「葛西から晶ちゃんの名前久し振りに聞いた」
「口に出さないようにしてるからなぁ・・・っつか晶がお前に話してたっつーのもまたオレはびっくりだけどー」
「もう・・・イイんじゃないの?」

葛西は首を横に振る。晶が葛西と付き合うと決めた時、「お兄ちゃんには絶対内緒!絶対っ!結婚する時まで内緒!」と約束した。その約束は勝手に破ることはできないのだ。
里見の前では飄々として他の女の子と遊んでいた。晶も兄に葛西との関係を気付かれないためにそう望んだから
もし、今、晶と付き合っていたことを告白したとしても、裏切り続けていたのも同時に知られてしまい、自分のことを嫌いになってしまうかもしれないという恐怖もある

「だからなー、光には笑ってて欲しいわけよー。あいつの笑顔が一番晶と似てるし・・・まぁ、晶のことなくたって光のこと大好きなんだよなぁ・・・オレ」
「・・・ごめん・・・でも、親友に戻ろうかとも思ってる・・・付き合う前のほうが里見は笑ってた!」
「おい・・・聞いてたか?オレの話」
「だって・・・葛西も言ってたじゃん・・・最初に・・・体の関係がなかったら付き合うなんて意味ないって」
「それはっ!」
「それが無理なら別れた方が里見も新しい人を見つけやすいし・・・気が楽になるはずだし・・・」
「なんだよそれっ!もー!ムカついた!勝手にしろよ!マジでムカつく!2人ともムカつく!ムカつく!」

須野は少しだけ微笑んで「ごめんね」と謝ると立ち上がった

「ホントごめんね?」
「須野・・・本気じゃねぇだろ?」
「ん?」
「光のこと好きだろ?なら離すなよっ!勃たねぇのだって一時的なもんだって!すぐ戻るって!」
「・・・大好きだよ・・・葛西が里見を好きって聞いただけで奪られたくないって震えるくらいに大好き」
「なら・・・」

須野は首を振る

「自信ないんだよ。僕」
「?」
「だって、僕、里見と付き合えたのって特殊すぎる状況下だったし・・・今でも僕を選ぶなんてありえないじゃん・・・今までずっと選んでもらえなかったんだよ?」
「・・・」
「だからね・・・自信ないんだ・・・今の状態、結構キツい・・・」

須野の笑顔は悲しくて、葛西も顔を歪める

「葛西はそんな顔しないで?勝手だけど・・・葛西にも里見にも僕は笑ってて欲しい」
「須野・・・」
「あ・・・葛西・・・親友に戻っても・・・ここにいていいかな?」
「当たり前だろっ!」
「うん・・・ありがとう。葛西がいて・・・聞いてくれてよかった」

須野はまた微笑むと玄関を出て隣の部屋を開ける。暗い部屋へと。





翌日、里見は須野が口にした言葉に耳を疑う

「なんて・・・言った?」
「うん。親友に戻りたいって・・・」

須野が言った言葉は聞き間違いでもなくて言い間違いでもなくて・・・この間、里見が同じことを聞いたら好きだから嫌だと言っていたのに・・・何が起こっているのか。何を言われているのか判らない

「なんで?」
「勃たなくなったから」
「は?」
「ごめん」
「・・・オレに魅力感じなくなったとかじゃねぇよな?」
「っ・・・わ・・・判らない」

須野は心の底からそれは違う。それだけは違うと叫びたかったのを我慢する。そう勘違いするのならばそのままのほうが別れられる・・・

「・・・判った・・・」
「・・・」
「昔に戻るわけな?」
「うん」
「ドア、鍵掛けるな?」
「うん」
「メールもたまにしか返事しねぇし」
「うん」
「どっか行く時別に何も言わねぇ」
「うん」

須野は機械のように何度も頷く。演技には慣れてるはずなのに、口を開いたら別の言葉が飛び出してきそうだったから・・・口を閉じてただ頷く
里見が須野に興味のなくなったような顔をしてそばを離れると須野は手を伸ばしたいのを我慢しながらやっと口を開く

「仕事、頑張ってね?」

その問いには里見は答えない。判っていた。里見もショックを受けているのは須野にも判っていて、一番傷つけたくない人を傷つけてしまったことを後悔しながら部屋を出る。もう自由に出入りすることはないこの部屋を





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つれないキミと売れてる僕3-10 - 05/27 Wed

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吉田に言い当てられて里見は少し黙ってから笑う

「バラすなよ?」
「バーカ。誰にも言わねぇよ。お前が皐月光だっつーことも誰にも言う気ねぇし」
「まぁ、そっちはもうバレてもいいんだけどな」
「言わねぇよ」

吉田はまた笑って里見の背中を叩いた




ピリリリ・・・

「はーい」
「・・・葛西。遅くにごめん・・・ちょっと、今・・・イイ?」
「んー?部屋来る?ゆりちゃんはー今日もいなーいっ」
「うん・・・行く」

仕事が終わって部屋に戻ると里見はまだ帰っていないことが判る。苦しくて嫉妬で里見に電話をかけまくりそうで葛西に電話をした。脱いだジャケットをもう一度着ると隣の部屋の玄関をノックする

「おう。珍しいー」
「・・・うん」
「どした?元気ないけど」
「うん・・・ちょっと・・・いっぱいいっぱい・・・」

部屋へ招き入れると葛西は冷蔵庫からビールを須野に投げ渡す

「メシ食ったー?」
「うん。向こうでお弁当・・・食べた」
「んー、光は?」
「・・・」

里見の名前が出ると考えすぎて黙り込んでしまう。葛西に話したらきっと里見が悪者にされて責められる・・・それに、思い出すだけで胃がキリキリと痛みだすあの赤い・・・赤い跡

「須野ちゃん?」
「あ、ごめ・・・うん。出掛けてる」
「まぁたぁぁぁぁ?!」
「どんな人なのかな・・・葛西知ってる?」
「知らねぇー!なんつーかオレらの知らない光を知ってるのかもって思うとヤキモチ妬いちゃうよなぁー」

葛西は笑いながらつまみのチーズを齧ってそう言った。葛西でも親友に大してヤキモチを妬くのかと思うと少しだけ気持ちが楽になる

「んで?須野はそんだけでオレんところ来なくね?オレは暇だったら行くけどー」
「え?」
「なんかあったんだろー?聞くよー?」
「・・・うん」
「え?深刻系なの?!正座して聞いた方がイイ?」

須野はこんなときも気持ちを軽くしてくれようと少し冗談を混ぜる葛西に笑って考えながらひとつ頷いた

「正座!よしっ!聞こうっ!」
「あのね・・・勃たない」
「は?」
「うん・・・勃たなくなっちゃった」
「え・・・それ、え?マジで?え?どーいうこと?」
「ダメ・・・里見でも反応しないの」

葛西はあまりにも突然の深刻すぎる告白を受けて戸惑った

「あのー・・・ストレスとかそーゆー・・・」
「かも・・・ね」
「っつか!何があった!どーせ光が悪いんだろ?!」
「悪くないよ・・・里見に怒らないって約束してくれる?」
「うーん・・・うーん・・・うん」

そんな前置きをするということは怒ることなのだろうと思うと葛西は素直に返事ができなかったが、これを了承しなければ須野が話さないことも判っているからとりあえず頷くと須野は目の前で深呼吸をして口を開いた

「こないだね・・・里見・・・キスマーク付けて帰って来た」
「はぁ?!女作ったの?!あいつ!」
「・・・そうじゃなくって・・・」
「・・・バカっ!!!!相手が吉田だって言うのか!なんでまたそんなやつと飲みに行かせてんだよっ!」

須野は首を振る。悩んだ。行かせたくないと言いたかった・・・けれど、それを言えない須野。全てを受け入れると決めたのだ。例え自分以外を選んでもそれを受け入れ隣で笑っていると決めたのだ。だが、それでも須野の心はやっぱり苦しくて嫉妬の嵐が吹き荒れる

「僕ね、女性相手なら仕方ないって思えてたんだ・・・僕には敵わないから。でも、男だったら僕が一番里見を幸せにできるって信じてた。でもさ、僕の思い込みだよね・・・里見が選ぶ人と一緒にいるのが一番里見の幸せ・・・なんだもん」
「バカっ!須野のバカっ!そんなん女でも男でも許すな!もーどこで飲んでんの?行くぞ?」
「どこに?」
「光のバカを迎えに行くんだよ!」

葛西は立ち上がると身支度を始める

「でも、そんなこと・・・」
「バカっ!ホントバカ!あいつを幸せにできるのはお前だけだろ!オレ結婚しちゃったもんっ!お前しかいねぇじゃんっ!」

しかし、須野は立ち上がらない。ただ頭を横に振る

「須野っ!」
「やめよ・・・ホントに・・・僕は里見が楽しくて笑ってるならそれで・・・」
「他の男にヤられてもイイっつーのっ!?オレ、ヤっちゃってもイイの?!」
「・・・っ・・・葛西も?葛西も里見が好きなの?」

里見に自分以外の男が触れる・・・里見の中に他の男が・・・それは例え葛西だろうと許せない。親友で葛西のことも大好きだが、それでも許せない・・・自分だけ。自分だけ・・・しかし、それすらも今は叶わない。胃が痛くて、キリキリ痛んで胃を押さえた

「須野?大丈夫?」
「ん・・・胃が痛い・・・」
「薬飲む?」
「ううん・・・イイ・・・葛西・・・里見のこと好き?」
「あー?・・・好きだよ」
「・・・僕がいるから遠慮してた?」
「バーカ。晶にそっくりなあいつのこと好きに決まってんじゃん」
「・・・」

久し振りに葛西の口からその名前を聞いて須野は閉口した。
里見の妹で・・・葛西の秘密の恋人・・・




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つれないキミと売れてる僕3-9 - 05/26 Tue

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「須野、明日は?」
「明日は仕事。遅くなるかなぁ・・・どうだろう」
「・・・なんか久々?」
「ちょっと突っ走りすぎたからね・・・またすぐ忙しくなるらしいけど・・・しばらくはこのペースかなぁ・・・」

須野はまた笑ってそう言った。里見は自分の予定を言いだそうか迷ってやっぱり口を開く

「明日、吉田とまた飲みに行く」
「・・・そっか。あんまり飲みすぎないようにね?」
「なぁ・・・須野・・・あのな」
「うん?」
「オレ、お前だけなんだけど?」
「うん・・・嬉しい」

須野は変わらずニコニコと笑っていた。どこまでこの笑顔を信じていいのかも今は判らない。相手は自分の感情を消すくらい簡単にできる俳優なのだ。今まで無条件に信じてきた須野が判らなかった






「・・・マージーでぇぇぇ?!オレ、そんなことしたっけ?」
「した。次はねぇからな。迎えになんて絶対行かねぇ。んで、今日もお前の奢りな」

吉田と飲みに来た里見は先日、キスマークをつけられたことを訴えた。しかし、当の本人には記憶がない

「っつかさー、お前ってすげぇいい匂いすんじゃん?だから間違えたかも???」
「気持ち悪ぃ・・・マジでお前きもいー」

里見は思い出す。あの日、仕事を終えてメールを出してOKを貰ってから須野のところへ行く前にシャワーを浴びて須野の好きな香りをまとったのだ。軽い香りの香水。須野がこの香りが里見の匂いと交じるとすごくイイ・・・そう褒めた香水。褒められたあの時から、須野を喜ばせるためにその香水をつけていた・・・言葉にしなくても里見なりの愛情

「んで?そのキスマークのせいで恋人とケンカしたか?」
「はぁ?」
「いや、じゃなかったらお前わざわざ言わなくね?いや、言うけど殴っておしまいじゃね?」

意外と鋭いな・・・と里見は思いながらジョッキを傾ける

「ケンカっつか・・・静かに怒ってんのかもなぁ・・・わかんねーけど」
「マージーかー!マジ悪いことした!オレ、弁解しよーかー?電話しろよー。出てやるからー」
「いや、しねぇし」
「何?ケンカとかめんどいから別れるって?お前そんなんだからいっつも長続きしねぇんだよ」

吉田に言われて考える。確かに誤解され、ケンカになったらめんどくさくなってそれならそれでいい。と今まで別れてきた

「長続きしねぇよなぁ。マジで」
「みんなあれだ。お前の顔に騙されてんだよ。中身は最低のナルシストだもんなぁ・・・」
「あいつはオレの中身も全部知ってんよ」

須野は里見以上に里見を知っている。最低の部分も最高の部分も・・・そして誰よりも一番理解し、認めてくれている。全てを受け入れたうえで好きだと囁いてくれる須野・・・最低の部分が多いのにそれでも好きだと・・・

「・・・やっぱり相手はその、どっちかっつーことだろ?お前自分のこと全然話さねぇしさ・・・全部知ってんのってそのどっちかしかいねぇよな?」
「・・・」
「マジかー・・・やべぇな。それ。マジで。男相手につけられたとか・・・やっぱり電話しろよ。マジで謝る」
「・・・お前ひかねぇの?」
「ん?」
「オレの相手が男っつーことに」

吉田は腕を組んで頭を傾ける

「なんで?」
「なんでって・・・」
「いや、まぁ・・・驚いてはいるんだけどなぁ。こないだ隠したいような感じだったから深くは突っ込まなかったけどさ。お前、女いまくってたの知ってるし、女好きなのも知ってんだけど・・・なんでか普通・・・っつかオレ、そもそも偏見ねぇよ?・・・お前オレと飲んでてイイの?」
「飲みすぎるなとは言われた」
「うっわー。何それ!オレと出掛けるとか言ったのにその対応?すげぇ!信じられてる!オレなら絶対行かせねぇのに!ほら!早くっ!電話しろ!謝って話したいっつーの」
「今日はまだ仕事中だ。どーせ出ねぇよ」

その言葉に吉田は笑う

「俳優のほうか・・・」



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つれないキミと売れてる僕3-8 - 05/25 Mon

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それから2人はいつも通り・・・違うことと言えば、須野は今までのように里見に触れないこと

「里見、夜何食べたい?」
「んー・・・お前」
「・・・もー・・・僕真面目に聞いてるんだけど?」

頬を赤らめながら須野は答えるが、そんな答えは里見の望む答えではない

「オレもマジで言ってんだけど?」
「・・・あ、春子さんから昨日、メール来て・・・」
「須野っ!」

里見が須野の頬に手を当てると少しだけビクッと怯える。それが拒絶に感じて里見は寂しくなる

「マジで限界・・・お前よそよそすぎる・・・あのさー、親友に戻ろうとしてる?」
「ううん。だって・・・僕は里見が大好きだから・・・」
「じゃあ」

須野は微笑むとひとつ頷く。今はこの笑顔すら嘘なんじゃないかと思えた

「ご飯食べたら・・・触らせて?」

須野のその言葉に頷く・・・だが、よそよそしい感じは消えることはなかった





「須野っ・・・なんっ・・・でっ」
「ごめんね」
「っあっ・・・っ・・・ん・・・」

須野は里見に手出しさせないように口淫を行いながら後孔に指を挿入させていた。これが須野の知る里見に主導権を奪わせない唯一の方法。蕩けそうな里見の顔に須野はまた微笑んで頭の動きを早くする

「い・・・っく」

里見の放った精は須野の口をいっぱいにするが、里見は何も面白くない。性欲としては解消されたが、心の靄は何も解消されていないのだ

「須野、オレ、お前のエロ顔が見たかったんだけど?」
「ん・・・それはまた今度ね?」

優しく頭を撫でられ、心地よい倦怠感に包まれながら里見は眼を瞑る

「里見、好きだよ・・・大好き」

耳元で須野の声を聞きながら里見は意識を手放した



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つれないキミと売れてる僕3-7 - 05/24 Sun

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須野は里見が出て行ったことを確認すると静かにトイレから出て隣へと繋ぐ扉の鍵を閉める
初めての拒絶。須野にとって里見は絶対で、何をされても問題なかった。だが、今回のは別・・・他の男に・・・他の男に・・・その怒りと嫉妬

「・・・」

親友だったら。恋人にならなかったらこんなに苦しくなかったのだろうか。付き合って、知ってしまったからこその苦しみなのだろうか
親友に戻りたい。初めてそう思った須野はドアの前に座ってそれを考える
戻ってしまったらもう触れられない。だが、今の苦しみから解放されたい。苦しくて苦しくて潰れそうで・・・耐えられそうになかった



里見は部屋に戻って鏡で須野の言うキスマークを確認する
首筋と鎖骨につけられた赤い印は里見の白い肌によく目立つ・・・里見にとって完璧な自分に落とされた美しくない印。しかも相手は吉田・・・確かに吉田を抱えてタクシーに乗った時ふざけた吉田に首元を吸われた気がした。部屋へ送った時には支えきれず倒れたときに鎖骨辺りを触った気がした・・・不快感はあったものの、キスマークをつけられたという自覚はそのときにはなかった

「3発じゃ足りなかった・・・な」

須野が傷ついていたのは見て判っていた。だが、弁解したくても今の状態では聞くこともできないだろう
時間が必要・・・それは判るのに時間が経てば経つほどどう言いだしたらいいのか判らなくなるものだとも思う


翌朝、里見はいつものように須野の部屋を開けようとして異変に気付く。今までずっとオープンにされていた扉が開かない。それは須野の心を表しているようで里見は戸惑う

「須野・・・?」

声を扉越しに掛けるとすぐにカタンと音がする

「ごめん・・・鍵かけてた」
「や、別にイイケド」
「あのっ・・・ごめんね?なんか出て行けとか・・・僕すごい上から目線だったし・・・」

いつものように困った笑顔で謝られて里見は苦しくなる。違う。謝りたいのは自分なのだ。こんなに優しく微笑まれて謝られてどうしたらいいのか判らなくなる

「須野・・・謝るのは」
「里見は謝るようなことなにもしてないでしょ?」

須野の言葉に里見は固まる。謝るようなことはしていない。だが、その言葉は冷たく須野自身に言い聞かせてるようにも聞こえた

「あ、の・・・な」
「イイ。僕の勝手なヤキモチだから!」
「いいからっ!聞けよっ!」
「里見っ!イイっ!イイのっ!!!!聞きたくないから・・・もうイイ・・・」

全てを・・・何でも全て受け入れよう。そう一晩で決意した須野
本当は聞きたい。里見の口から聞きたい。なぜそんな跡がついているのか。ついてしまったのか・・・だが、聞いたところで醜い嫉妬は消えない。もっと苦しくなるかもしれない。だから須野は聞くことを拒否する

「・・・」

里見も聞きたくない相手に無理矢理事情を聞かせたくはない。言いたい・・・だが、言うことも須野を苦しめることならば・・・それは里見も望んではいないこと




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つれないキミと売れてる僕3-6 - 05/23 Sat

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「里見・・・仕事は?」
「さっきメールで送ってOK貰った」
「・・・終わったら来てくれるって・・・言ったよね?」
「あー、だから悪いけどもーちょっと待ってろって・・・」

須野はどう笑顔を作ったらいいのか判らず戸惑う。自分とはいつでも会えるから。だから行っておいでと送り出したいのに。それができなくて悔しくて。切なくて。
いつでも会えると思いこもうとしているが、実際のところ、ここしばらくはほとんど会えてもいない。それどころか最近では吉田と過ごしている時間の方が長い気すらしていた

「須野?」
「ごめ・・・今、結構キツイ」
「勘違いしてね?」
「何が?」
「オレ、待ってろっつったんだけど?すぐ戻るって言ってんだろ?あのバカが飲み代で所持金使い果たした上にクレカすら持ってねぇからタクシー乗れねぇとかほざいてっから迎え行って送ってくるだけ」
「・・・」
「すぐ戻る・・・」
「ホント?」

須野の声は少しだけ震えていた。信じている。信じたい。だが、心のどこかで自分といるよりも吉田と要るほうが楽しいから戻らないのではないかと疑っていた

「須野」

呼ばれて顔を上げると里見の香りがふわりとしたと思うとすぐに唇が触れる

「すぐ帰ってくる」
「うん」
「あのバカついでに一発殴ってくっかなぁ・・・めんどくせぇ」

里見がまた玄関を出て行くとドアのしまる音がやけに耳に響いた・・・


また1人の時間。やけに長い気がした。なかなか戻らない里見に須野の不安と嫉妬が時間と共に大きくなっていく。そんな気持ちを胸に須野はいつの間にか眠ってしまった



「・・・?」

須野を起こしたのは頬を撫でる冷たい手

「あ、起きた」
「さ・・・とみ?」
「悪ぃ。遅くなった」
「里見っ!」

須野は慌てて起き上がると里見を抱き寄せる。帰ってきた。本当に・・・確かに遅かったが、待ったが・・・自分のところに本当に来てくれた。それが嬉しくて須野は里見をきつく抱きしめた

「おい・・・何?どした?」
「里見は僕のところにもう来てくれないって勝手に思って凹んでた」
「バカ。約束しただろ」
「うん」

里見は優しく笑って須野にキスをしようと顔を近付ける

「里見・・・」
「?」
「・・・ウソ・・・だ」
「は?」

須野は口元を押さえて里見から仰け反る

「ウソ・・・だっ」

そしてトイレへ駆け込む。里見は後を追いかけて「大丈夫か?」と声を掛けるが、応えはなかった・・・

「須野ー?調子悪い?っつかどした?」
「・・・」
「須野ー?薬とか水とかなんか要る?」
「・・・里見・・・今まで・・・何して・・・た・・・?」
「あ?吉田迎え行って送って帰ってきたけど?」
「そのわりに時間・・・かかったね」

須野はトイレに座って震えていた。信じたくなかった。信じられなかった

「あー、吉田がクッソ酔っ払ってたから苦労したんだ・・・3発殴ったけど全然効かねぇの・・・頑丈すぎるわ。あいつ」
「ずっと?・・・それだけ?」
「あぁ?お前さっきから何言って・・・」
「じゃあ・・・それは?!」

言いたくなかった。でも言うしかなかった。止められない。止まらない。疑い始めた心はもう止まろうとしなかった

「何?」
「キスマーク」
「は?」
「鎖骨・・・のところと・・・首・・・っ」

嘘だと言って欲しかった。吉田じゃなくて女性といたと言って欲しかった。それならばショックだけれど受け入れられる。まだ耐えられる・・・

「クソ・・・あのバカ」

里見のその言葉を聞いて須野の最後の希望も砕け散る
自信なんて元々なかった。それでも女性じゃなければ・・・同性の男相手なら自分が一番里見を幸せにできると信じていたものまでが崩れさる。里見は自分じゃなくてもイイ・・・

「須野、これは吉田がふざけて・・・」
「ごめ・・・今・・・ちょっと無理。ごめん・・・出てって欲しい・・・」

須野は初めて里見を拒絶する。両手で頭を支えていないと倒れそうだった。吐き気と胃痛、頭痛で本当に倒れそうだった



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つれないキミと売れてる僕3-5 - 05/22 Fri

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里見はその日、締め切りに追われていた。今までこんなやばい締め切りは経験していなかった。仕事しているときは仕事量をセーブしていたこともあったし、こんなにも焦らなかった・・・最近遊び過ぎていたことを反省しつつ文字を打つ

トントン

ドアがノックされるが、里見は無視する。構っている暇はないという意思表示。しかし、しばらくするとそーっと扉が開く

「ごめん。仕事中だよね・・・コーヒー淹れてきたから」
「・・・」

須野はコーヒーをわざわざ淹れて持ってくる。きっと口実なのだろう。コーヒーなんてもう既に淹れてあるのは須野も知っているはずなのだ

「邪魔しないから・・・ここで見ててもイイ?」
「・・・勝手にしろ」

須野はひとつ頷くとソファに座り本を開く。須野がいても邪魔にならない・・・今までだってずっと邪魔になったことなんてなかった。いつものようにページをめくる音もしない。いつものようにただそっと里見を見つめているのだ。
しかし、今日の視線は息が詰まる・・・
須野が見つめてくることが気になって仕方がない

「須野、やっぱり邪魔」
「・・・ん、判った」

須野が立ち上がってやっぱり微笑んで「邪魔してごめんね」と部屋を出ようとする

「須野」
「?」
「終わったら・・・行くから」
「うん」

見なくたって判る。須野はすごい笑顔でこちらを見ている。里見は見なくても判る笑顔が恥ずかしくて頭をかきむしった



須野は静かに待っていた。マネージャーの山口からちょっとは勉強しろと渡された英会話教材のCDをセットしてイヤホンを耳に入れる。
須野の学力に合わせて初歩の初歩である英会話教材はHelloから始まっていた


CDの1枚目を聞き終わり、2枚目に替えようとイヤホンを外すと隣の玄関の音が聞こえた。

「?」

里見がこの部屋に来るなら今、須野の目の前にある扉から入ってくればいいはずなのに・・・
直接由梨乃に原稿を渡しに行ったのか?と不審に思って玄関を少しだけ開けて外を覗く。見慣れた愛しい後ろ姿

「里見?」
「・・・おう」
「どこ・・・行くの?タバコならストックあるよ?」
「あー・・・悪い。ちょっと出てくる。すぐ戻るから。もーちょい待ってて」
「どこ・・・に?」
「吉田んとこ」

それを聞いて須野は思わず玄関から飛び出していた

「こ・・・こんな時間から?」
「?」
「え・・・っと・・・ごめん。部屋で5分でもいいから話できる?」
「おう」

須野は里見の手を引いて部屋に入ると吐き気がした。里見は自分との約束よりもあとから突然入った予定を優先しようとしている。吉田のところに行こうとしている・・・その事実を目の前に突きつけられて泣きたくなった



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