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青春はプールの中で5-13 - 11/30 Mon

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秀が帰った後、迷って迷って柚木に電話する

『痕消えたー?』

そう聞かれて手首を見て「消えてきた」と残念そうに呟くと、柚木からも「オレも薄くなってきちゃったな」と少し寂しげな声が聞こえて柿内は胸が痛んだ

『そーいやさー、こないだの試合でなー?』
「うん」

何得点あげただとかそんなこと。先日のことなんてなかったようにいつも通りの柚木にホッとした反面、少し寂しい気持ち

『柿内ー?』
「あ?」
『電話切る前に手首に自分で痕つけよーぜー』
「・・・おう」
『またそれ消えかけたら連絡な?』
「ん・・・」

とても秀のことを言い出せなくて口を結んで手首を見つめる

『・・・柿内、なんかあった?』
「あ?別に何も」
『や、なんかいつもと違うっつーか』

あぁ、こんなときも自分の変化を判ってくれるのだと思うと会いたくて会いたくて

「柚木さん・・・」
『うん?』
「秀と話した」
『お?おお・・・サンキュー!何?それでお前まで悩んでんの?』

柿内は「かもしれない」と呟くと話していいものかまた悩む

「柚木さんはオレ以外にも嫌いじゃなかったら・・・男にもキス、できる?」
『・・・何?秀が誰かにキスされたとかしたとか・・・?』

急に声色の変わった柚木に柿内は怒りを感じて慌てる

『そんないい加減なことはダメだって言ってる!』
「でも、よく考えたらあんたもオレにキスしたよな・・・付き合う前に」
『そっ!れは・・・バカ・・・察しろ』

柿内はニヤける顔を押さえながら「そうだ、秀のコト」と続ける

「・・・親友に告白されたって」
『親友・・・あ?・・・ヒロならあいつ元々・・・あ、あー・・・あぁ・・・』

柚木は「あいつらしい」と溜息を吐くとしばらく沈黙した後に口を開く

『これ、多分オレら兄弟の問題だわ・・・』
「は?」
『うん・・・多分、あいつぐちゃぐちゃ色んなこと考えるから自分の気持ち隠したり抑えたりして頭ん中も心ん中もぐっちゃぐちゃなんだろうな・・・あー、畜生。試合組まれてっし合宿あるし帰れねぇ!』

柿内はよく判らないままだったが、とりあえず柚木の中で秀の悩みの原因が判ったのだろうと納得する

「柚木さん」
『もし・・・もし、秀の悩み解決するとして、オレがお前と別れるって言ったら困るよな?』
「っ?!な・・・え?!」

突然のことに柿内は戸惑い、焦る
いや、それよりも、自分が困るだけで柚木は弟の悩みを解決するために別れられるということかと思うと胸が痛む

『や、ムリ・・・だけど』
「っ・・・何だよ・・・」
『あー・・・もー、オレ、お前と離れてんのこないだまでここまでキツくなかったのに!クソっ・・・女々しい』
「柚木さん・・・オレ、頑張るから。めちゃくちゃ頑張って必ず合格してそっち行くからっ・・・来年っ・・・あの・・・」
『何だよ』

柿内は小さく深呼吸する

「一緒に住みたい」

ずっと思ってたこと。でも、その思いはこの間会って、別れるときに強い思いになっていた

『・・・なんだよ・・・お前、本当に柿内かよ』
「だって、そっち行けてもあんた寮だし部活もあるし試合もバイトもあんだろ・・・毎日一瞬でも顔見て話したい。会いたいっ、あんたの側であんたにメシ作りたい」

作ったご飯を笑顔で食べてくれる相手がいる。その幸せを知ってしまったから。柚木を想えば想うほど上達する料理だとか手際だとか・・・

『・・・期待するからな?期待するからな?!』
「うん」
『住む部屋まで探し始めちゃうからな?!』
「うん」
『受からなかったらブチギレるからな?!』
「うん」

柚木の側に行きたい。それだけじゃない。柿内の中で考えて考えて考え抜いて出した答えが柚木たちの通う大学の近くにある理系大学

『柿内のくせに・・・」
「簡単に別れるとか言うな・・・寿命縮む」
『オレも譲れなさそうだ・・・秀のためでもムリ』
「お・・・う」
『んじゃ・・・おやすみ』
「手首・・・」
『ん、そうだった』

自分の手首に唇を寄せてキツく吸う
この手首が柚木だと思いながら。この唇が柚木だと思いながら

『痕ついた?』
「ん・・・」
『会いたいとは言わないからな!お前ここへも飛んできそうだし』
「行くよ」
『来なくていい・・・でも、会いたい』
「っ・・・オレも」

今まで言われたことがなかったその言葉
離れて、会って、確かめて・・・再確認した気持ちのまま離れたことでこの距離が憎い・・・
今までだったら会いたいと深夜に呟いても走って駆けつけられたのにこの距離では最低でも電車の動く時間まで待たなくちゃいけなくて・・・

『遠距離きっついなー!』
「・・・覚悟してただろ」
『おう!もー電話切れなくなるから今すぐ切る』
「ん・・・おやすみ」
『おやすみ』

電話を切った後、耳に残る柚木の声を頭の中で繰り返す。会いたい・・・柚木にそう言われた。求められる幸せ

付き合っているのが今でも夢のような相手。でも、会いたいと言われた・・・会いたいと

「もう少し勉強しよ」

柚木の近くへ行くためなら・・・と柿内はコーヒーを淹れると参考書を開いた





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青春はプールの中で5-12 - 11/29 Sun

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秀に連絡してしばらく経った後、秀の練習が比較的早く終わると言われた柿内が部活を終え、そのままスーパーで夕飯の買い物を済ませて帰宅するとすぐに下準備に取り掛かる
誰もいない家に帰るのには慣れっこで、誰もいない家で1人食事をするのにも慣れている。だから誰かと食事をするというのはテンションの上がるもので、つい張り切ってしまうのは仕方ない

昔から勉強ができて出来のいい姉と勉強ができなかった自分。水泳で強くなってみんなに注目されることが柿内にとっての存在意義だった
注目を浴びて、両親持つ自分を見始めた頃、外の世界へ出て、周りにはこんなに強い人がいることを知ってまた注目が逸れる
欲しかったのは愛情。もっともっと見て欲しかった

注目されることを諦めて高校へ進んで選んだのはまた水泳で。そこで出逢った柚木という小さく細い先輩と高め合って練習し、また注目された・・・でも、また外に出たら大したことないのだろう?と両親からはやっぱり見てもらえなくて自分を見てくれる柚木に溺れている
自分を気にかけてくれる柚木の家族が嬉しくて本当の家族になりたいとすら思ってしまう

だから・・・柚木の弟が悩んでいるのなら少しでも力になりたいと思うのは自然なこと




秀から連絡が来て駅へ迎えに行くと球よりも柔らかく幼い笑顔で手を振る秀

「カッキー、ご馳走になりますー」
「作りすぎたから余ったら持って帰れよ?」
「えー!そんなに?」
「まぁ、家の分も作ったけど、あいつら食うか判んねぇし」

忙しくてほとんど帰ってこないのも仕事柄仕方ないことだとは思っているが、できたら作りたてのものを食べて美味しいと直接言ってもらいたい

「よし、手、洗ったら食っていい」
「ちょ・・・流ちゃんカッキーがこんなできるって言ってなかったし!!!すっげー!」

食卓に並んだ料理に感動した秀はすぐに手を洗って料理を食べ始める

「すごいねー!カッキー美味しいよー!お母さんのご飯とどっちがおいしいか判んないやー・・・あ、これお母さんには内緒ね?」

そう言って笑った秀はやっぱり年下の弟のように見えて思わず柿内も笑う

「カッキー・・・ありがとね」
「あ?」
「僕・・・ねぇ・・・」
「あー?」

秀が何を言い出したのか判らず柿内はただ咀嚼しながら秀を見つめる
するとすぐにポロポロと涙が溢れて机へ落ちていく

「おい」
「あ、ごめ・・・ごめ・・・」
「言いたければ聞くし言いたくなければそのままでいい」
「うん・・・うん」

秀は手で涙を拭ってまたご飯を口に入れて涙を拭う

「カッキー・・・僕ね・・・っ」

秀は箸を握ったまま両手で顔を隠して嗚咽をあげながら少しずつ胸の内を話し始める

「告白されたの」
「うん?珍しくもねぇだろ。お前なら」

そう。秀はモテるのだから告白されたくらいでずっと悩み続けるなんて思えなくて首を傾げる

「ヒロ・・・から」
「・・・え?」
「や!ヒロのことは好きだよ!好きだけどっ・・・でも、そんな風に見れなくて僕、否定するつもりはないけどっ・・・球兄や流ちゃんとは違・・・じゃないな・・・カッキー違うの」

そうか・・・こんな悩みじゃとても兄達には言えないだろう。そう思って柿内は黙って秀の頭を撫でる

「でも、ヒロは兄貴たち見てるんだからそれを否定するなら兄貴たち否定することになるって・・・」
「ヒロも必死だな・・・」
「好きって言われて付き合えなかったら友達やめるってそんなもんなの?僕、ヒロとその程度の友達だったかな?って」

柿内は恥ずかしそうに心の内を明かす秀を黙って見つめて聞く

「だからっ・・・答え出せないままここまで来たけど・・・ヒロの要求がどんどん激しくなって来て」
「要求?」
「一ヶ月待つからキス・・・してとか」
「はぁ?!」

柿内が箸を机に叩きつけると立ち上がって「ヒロ呼び出せ!」と大声を出す

「カッキーは、流ちゃんと付き合うとき」
「バカ!オレはフラれる覚悟でっ・・・っつか、正直、今もまだ信じられねぇ・・・いや、信じたいけど夢じゃねぇのかって思う。そんな交換条件なんて」

あの日、告白してまさかいい返事が貰えると思ってなかった
フラれるつもりで返事をすぐに聞きたくなくてダメでもすぐ気持ちなんて切り替えるつもりだった。好きになって玉砕して気持ちの整理をつけて・・・

それでも好きかもしれないけれど無理強いなんて考えられない

「あと、ヒロはたけちゃんの真似してるんじゃないかなって・・・」
「・・・」
「あ、否定じゃないんだよ?だけど、ヒロ・・・僕、やっぱり親友でいたい・・・その選択肢はないの?!」

秀が話したのはきっと柿内が柚木の後輩で親友のような存在だと思ったから
同じ立場で考えられる柿内なら判ってもらえるかもしれないと思ったから

「柚木さんがオレから離れるって言われたらそれは断る」
「え」
「でも、友達で、親友でいたいなら側にいることを断らないなら柚木さんの言う通りにする」

ホッとしたような秀の顔を見て柿内は少し照れて米を掻っ込む

「そりゃ、僕も男だからヒロのしたい事は判るよ。でも・・・」
「っつかお前はキスしてって言われてしたってことか?」
「したよ・・・」
「それじゃね?余計な期待持たせてんだよ!断われよ!」

秀は寂しそうな顔で「友達やめたくないもん」と呟いてまた涙をこぼす
柚木兄弟妹の中で1番温厚な秀は傷つく親友も見たくなくて、でも気持ちに応えられない自分がもどかしくてずっと悩んでいたのだろう。人に言わせれば「そんなこと」と思われるようなことでも真剣に悩んでしまう

「もー、どーしたらいいんだろう・・・でも、触られるのとか正直・・・」
「絶対そんなことさせんな!っつかなんなんだよ!オレなんか付き合って1年半・・・や、なんでもねぇ」
「カッキー・・・さすがに流ちゃんと進んだよねぇ?ねぇ?まさかまだとか言わないよね?」

柿内は「うっせぇ!」と誤魔化すが、顔は真っ赤で秀は「なーんだこないだ初めてしたのか」と呟いてまた柿内を慌てさせた





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青春はプールの中で5-11 - 11/28 Sat

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朝、起きる。日常の始まり。いつもの同じ・・・
手を見ると昨日、柚木をこの腕に抱いたのは夢じゃないことを理解する



「キスマークとかつけるわけにいかないからさー、手首貸して」
「あ?」

帰り際、柚木の言う通り手を差し出すと手首にキツく吸い付かれ赤い小さな痕を残す

「ここだったらよさそーじゃね?」
「何してんだよ・・・」
「お前も、つけて」

今度は柚木に差し出された手に少し戸惑いながら同じように痕を残す

「よし。この痕消える頃連絡するわ」
「な・・・」
「お前もこれから受験勉強忙しくなるだろうからなー。なかなか簡単に連絡しちゃいけねぇかなーって。でも、これなら連絡する口実もできんじゃん!じゃ、またな?」


赤い痕の上に軽く唇をつける
柚木のつけた痕。お揃いの痕は2人だけの秘密
痕が消える頃・・・普段連絡して来ない柚木から連絡してくれるというのか・・・そう思うだけで早く痕なんて消えてしまえ。そう思うのに柚木の残した、柚木に残した痕が消えないことを願っている




「はよーっす・・・うん?柚木さんもう帰ったけど?」

部室へ行くと、スイミングへ行ってるはずの栗山がいて柿内は少し意地悪くそう言った

「今日午前中は検定で使えないからこっち来た」
「あー、そ」

別にそんなことどうだっていい。思い出すのは柚木が腕の中にいたことだけ

「・・・機嫌いいっすねぇー・・・浮かれすぎてこっからのタイムガタ落ちになるのやめてねぇー?」
「あー?うるせぇなぁ・・・でも、もう県大会くらいしか残ってねぇじゃん」
「せーっかく県大会進んだのにボロボロじゃカッコ悪いよー?って言ってんの!」

栗山の言葉に素直に頷くとシャツを脱ぐ
高校最後の年。残すは市大会から進んだ県大会と非公式試合の市立大会のみで。どうせなら強い私立とぶつかる県大会で成績を残して終わりたい

「・・・県大会か・・・」

ふと秀の様子を思い出して練習が終わったら連絡しようと決意したのだった





ピリリリ・・・

「・・・?」

練習を終えて家に帰ると携帯が鳴って表示されている名前に出ようか悩む秀
しばらく悩んでも切れない電話に小さくため息を吐くと「もしもし」と電話を耳に当てる

『おう』
「うん。カッキーが珍しいじゃん?流ちゃんと間違えてない?」

できるだけいつものように装う
でも、いつもどんな風にみんなに接していたのかいまいち思い出せない・・・

『間違えてねぇし!・・・っつかさー、お前練習早めに終わる日ねぇの?メシ食おうぜ』
「なーんで僕がカッキーとご飯ー?」

きっと兄や母が心配して柿内に何か言ったのだろうと思うと心配かけている事実に震える
心配かけているのにそれを打ち明けられないことが申し訳なくて情けなくて・・・

『なんつーか、柚木さんに作った唐揚げが好評でなー・・・球さんにも弁当でそれ渡してたんだけど喜ばれたから2人が秀にもーとか言うんだよな・・・』
「カッキーご飯作れるの?すごいねー」
『おう。すげぇだろ。だから、メシ、食おうつってんの』

秀は少し笑って「そっか」と言いながら下を向くと携帯を持つ手に力を入れる

「カッキー・・・じゃあ・・・さ」

声が震える
話したい。誰かに聞いてほしい。でも、話したくない

「じゃあ・・・さ・・・」

その先が出てこない
苦しくて苦しくて吐き出したいのに出てこない

『メシ食ってー、あとはお前の調子も教えろよ。県大会近ぇし』
「っ・・・うんっ・・・うん」
『んじゃー、練習後に××駅来いな?連絡くれりゃそこまで迎えに行くし』
「うんっ・・・お腹、空かせていくからたっくさん用意してね?」
『おう。柚木さんに比べりゃお前の食う量なんて大したことねぇよ』

電話の向こうで笑う柿内の声が優しくて苦しかった
兄の恋人。竹市もいたけれど、年齢の近い柿内のほうが馴染みやすくて付き合いやすくて・・・柿内にならこの悩み打ち明けてもいいんじゃないかと思う程。でも・・・でも・・・

誰のことも否定したくなくて

否定して欲しくなくて

モヤモヤは日々広がっていくばかり




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青春はプールの中で5-10 - 11/27 Fri

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部活を終えると一緒にいたいと騒ぎ立てる栗山を置いて柚木の家へ向かう

「あぁ、おかえり」
「おう」

朝は会えなかった秀が柚木と柿内を出迎える
また伸びた身長と逞しくなった体に柚木は苦笑する

「なんか兄貴がいるみたい」
「えー?球ちゃんに似てきた?」
「そっくり」
「・・・秀のほうが可愛げはある」

柿内の言葉に秀も困ったように笑って「そっか」と呟くとすぐに自室へと引っ込んでいった

「?」
「・・・なんか様子変だな
「スランプ関係あんのかー?っつかお前ご飯食べてく?あー、でも2日間も家空けてたらまずいよな?」

柚木の心配に柿内は「あぁ」と気の無い返事をして秀の上っていった階段を見つめる

「柿内?」
「あー・・・多分オレがいないのも気付いてねぇよ・・・昨日の外泊は一応連絡したけどさ」
「・・・お前ん家の両親何やってる人?」
「・・・あー・・・医者?」

そう言ってすぐにその話から逃れるようにその場を去り、祥子に「手伝います」と声を掛けた




「柿内くん誘ってもなかなか来てくれなかったからちょっと心配してた」

夕食のとき、そう言われて恥ずかしくて顔をまともに見れなくなる

「昨日は昨日で急に球が来るし・・・流も突然だしー!あんたたち帰る前に連絡くらいしなさいね?」
「おい、柿内、だってよー・・・?」
「うるせぇ」

昨日、突然球のところへ行った柿内にニヤニヤ笑う

「次は・・・多分、カレーご馳走になりに来ます」
「あら、嬉しい」

ニコニコと笑った祥子も柿内に自信がついたのだと察する

「あ、秀、おかわりは?」
「要らない。疲れたからもう寝るね」
「・・・おやすみ」

食事の時もずっと黙り込んでいた秀が席を立つ

「・・・なんか、最近ずっとあんな感じなのよ」
「秀、最近のタイムはどーなの?」
「落ちてる。インターハイ予選の時よりも・・・ね」

柚木はご飯を口に入れたまま「そうか」と呟いて手を止める

「柿内、お前秀に何かあったか聞けよ」
「なんでオレが!」
「やー、あいつ悩みあったらオレとか母さんに打ち明けてたのにそれもないから家族には言えないんだろ・・・」

柚木の言葉に唸るとふと竹市を思い出す
竹市も球に相談できなければ自分を頼れと言っていたのと同じなのかもしれない

「えー!カッキーに相談したら余計悩みそうー」
「こら!舞っ!柿内くんに失礼!」
「いや、舞が正しいよなー。柿内口悪いから余計凹むかもしれねぇしー」
「おい!っつか何でオレそんな評価低いんだよ!」




賑やかな夕食が終わると柚木と離れる時間が近づいてくる


「・・・なー、電車まであと2時間あるからさー」
「ダメ」
「なんでー」
「明日は部活あんだろ。それに連日じゃあんたに負担かかりすぎる」

柚木の部屋で柚木が柿内の上に乗りながら甘えたような顔で誘惑するのを必死に耐える
また昨日みたいに触れたい。触れてもらいたい。でも、階下には柚木の両親も妹もいるし、隣の部屋には秀もいる

「でもさー、お前、勃ってね?これ」
「そこは見て見ないふりしろよ」

柚木にキスされて顔を上げて柚木の背中に手を回す

「帰るんだろ?」
「帰るけどさぁー」
「・・・あと半年と少し待ってて・・・」
「それまでお預けされんの?!オレ!」
「オレもなんですけど?」
「次帰ってくるときもナシ?」
「・・・そればっかりにしたくないっつーか・・・今までみたいのがなくなるのは面白くないっつーか・・・」

柿内の言葉に柚木は少しため息を漏らす
今まで近くにいたからそれでも、それだけでも楽しかったんじゃないのか。次に会うことなんか考えなくても翌日には会えたから

「柿内ー・・・」
「っ・・・その顔やめ・・・」
「どんな顔だよ。オレの顔」
「・・・くそ・・・オレばっか・・・」

柚木を抱きかかえて床に下ろすと繋いだ手を握りしめて顔を膝に埋めた柿内を見て柚木は繋いだ手をそっと自身へと触れさせる

「?!」
「お前ばっか?」
「っ・・・」
「なー、挿れんのナシでとりあえずヌかね?」
「だな・・・あんたも電車乗るんだし」
「柿内の手、結構好き」
「煽るなバカ」
「オレ、背の割に手はデカいけどさー、柿内の長い指とかゴツゴツした感じがやっぱりオレとは違うっつーか」
「黙れって」

柚木の唇を唇で塞ぐと夢中で擦り合う。すぐに訪れる別れの時間を忘れたくて





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青春はプールの中で5-9 - 11/26 Thu

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柚木が膝の上で寝息を立てている
そう言えば寝顔なんて見たことがなかった気がする
一緒に過ごした2週間だっていつも自分よりも遅く寝て、自分よりも早く起きていた
だから、柚木の体に相当な負担だったのではないかと不安になってしまう

洗濯の終わった合図はあったが、起こすのも悪いかと悩みながらゆっくり頭を膝から降ろして洗濯の終わったシーツを袋に突っ込む

「ん・・・」
「あ・・・悪い。寝てていいよ」
「・・・終わった?」

目を擦りながら頭を起こした柚木が柿内の手に握られた袋を見ながらそう言うとゆっくり立ち上がって背伸びする

「帰ったらもう少しイチャイチャして寝たい」
「なっ・・・」
「勿体ねぇだろー。せーっかく2人きりの夜なのに」

ストレートな物言いの柚木に戸惑い、照れるけれど、今に始まったことではない。思ったことは素直に言ってくれる柚木にはいつも助けられているのだ
人通りのない深夜の道で手を繋いでくる柚木
その手はとても温かかった



朝食を済ませると本当に一緒の電車に乗り込んだ柚木に柿内は戸惑いながらも幸せを感じていた
ずっとずっと想い続けて、付き合ってからも1年と半年。疑っていたわけじゃないけれど、本当に自分のことを好きでいてくれるのだと思うと愛しさが倍増する

「あ、栗山、今日部活来るってー」
「は?」
「うん?連絡したら部活顔出すって言ってた」
「なん・・・で連絡っ」

柿内にしてみれば栗山は不安材料しかないのに平気な顔でそう言う柚木に幸せがぶち壊される

「インハイおめでとうって直接言いたいし?」
「だからって!!!」

電車の中で思わず大きな声を出して注目を浴びた為に俯いて黙り込む柿内
柚木にとっては栗山も大事な後輩で、インターハイ出場という快挙を素直に祝いたい気持ちでいっぱいで・・・それに、栗山が柚木に寄せる感情は『敬愛』であって『恋愛』ではないことを知っているから、何も心配することなんてないのに・・・とため息を吐いた



「柚木先輩っ!柚木先輩っ!!!柚木先輩だぁぁぁぁぁ」

一度実家へ寄って水着を持ってきた柚木は卒業式以来の栗山に優しく笑って手を挙げる

「栗山ー、お前すげぇじゃん!おめでとう」
「去年頑張って柚木先輩を連れて行きたかったです!!!」
「や、去年、オレダメだったじゃん」

一部始終を見ていただろうと柚木が笑うが、真剣な顔で「そのときはマネージャーとして付いてきてもらえば」と言って柚木に頭を小突かれる

「でも、久し振りに会えて嬉しいです!」
「おー!」

ふわりと笑うその笑顔は変わらない・・・柚木が丁度来た顧問に頭を下げて挨拶をしに行ったのを見て栗山は柿内の隣で口を開く

「ヤったでしょ」
「・・・」
「なんなのあの色気。あ!!!っつか昨日とかか?!あの色気昨日の名残?!クッソーっ!柿内くんのくせに」
「思い出させんな・・・頼むから」

ちらりと横を見ると無表情を装った顔に耳を赤くした柿内の姿。なんとも言えない気持ちが襲ってきて拳を握るといつものヘラヘラした笑顔を顔に貼りつかせる

「これで柿内くんを童貞ーって揶揄えないわけかー」
「うっせ」
「いいなー・・・」
「・・・」
「好きな人とセックスとかいいなぁ・・・」

栗山の言葉はいつもよりもずっと真剣で想いが込められているように聞こえた




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青春はプールの中で5-8 - 11/25 Wed

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「あー、柚木さん、シーツ変えるからちょっと起きれる?」
「あ?」

少し微睡んでいた時、耳元で優しく言われ目を開ける

「や、やっぱ少し汚したっつーか・・・球さんの部屋だし」
「あぁ・・・」

体を起こしたらいつもよりも重い腰に動きが緩慢になる

「あぁ、やっぱいい。はい。抱っこ」

ふわりと浮いた体は柿内の腕に抱えられていて、同じ男なのに全く違う体に嫉妬する

「クソむかつく」
「んー?あー・・・ムリさせて悪ぃ」
「そーじゃねぇよ・・・」

体が思うように動かない文句だと思われて床に座らせられると手際よくシーツを替えていく柿内

「コインランドリー行ってくる」
「・・・おう」
「寝てて」
「・・・んー・・・オレも行く」
「あ?」

下着を履くとTシャツを被る

「いや、前こっちいた時にコインランドリーとかの場所も判ってっけど・・・」
「んー、まぁなー」

腰はだるいし、足も上手く動かない。でも、動けないわけじゃなかった

「どっか・・・痛いところとかねぇ?」
「オレをなめんなよー?っつか、まぁ、オレの日頃の訓練がよかったんじゃね?やーっとオレの開発も報われたなー」
「な・・・ホント、ホントヤダ。あんたのそーいうところ恥ずかしいっつかデリカシーなくてヤダ」

柿内はため息を吐いて丸めたシーツを適当な袋に詰め込んでついでに自分の着てきた洋服も突っ込んだ

「なー、ついでにコンビニ寄ってアイス食いたい」
「んー、好きにして」
「なー、怒ったのかー?なー!なぁなぁー」
「違ぇよ!!!・・・想像しちゃったんだよ!バカ!」
「足りないってかー?シーツ洗う前にもう一回ヌくかー?」
「だからっ!!!!」

大きな口を開けた柿内の唇を塞ぐと笑って「今日はさすがにムリ」と笑った





「なー、友達とか・・・遊んだりすんの?っつか大学生って何して遊ぶわけ?」
「んー?あぁ、メシ食ってたまにどっか行ったり?」
「あんまり変わんねぇのなー・・・」
「変わるわけないだろー」

笑ってアイスを食べる柚木の横顔を見つめる
少し大人びた気がして置いて行かれたような気持ちになる

「あー、今1番仲良いやつがなー・・・変なやつなんだよ。イケメンなのに残念っつか・・・手が掛かる」
「手が掛かるやつ好きだな」
「おー、お前も手が掛かるしなぁ?」

頭を突かれて柚木は「ヒヒヒ」と笑うとゴミ箱へアイスの棒を捨てに立つ

「話してみたらさー、共通点っつか、判り合えるっつか・・・そいつさー、ゲイなんだってさー。で、オレもお前いるって話ししたんだけどなー『ドライで達ったことある!?』とかそんなのウキウキ聞かれたっつーの」
「・・・なに、その人」
「んー?競泳部・・・んで、めちゃくちゃ泳ぎがキレイなやつ・・・あー、あいつの泳ぎお前に見せたいなー」

柚木の交友関係が少し心配になった柿内はまたベンチの隣に座った柚木の手をそっと握る

「何ー?お前にしては大胆ー」
「・・・や、その・・・」
「なんかなー、そいつ、好きなやついるくせに男とっかえひっかえしててホント目が離せないっつーか・・・や、っつか、ゲイの人ってそーなのか?」
「オレに聞くな」
「だよなー」

柚木が好き。柿内が好き。でも、他の恋愛対象は男じゃない
だからゲイかと聞かれても違うと思う

「そーいやさー・・・インハイ」
「うん?」
「秀がギリだったなー」
「あぁ、スランプってやつ?」
「かなー・・・栗山がすげえなーって話なんだけどさーうちからインハイ進むってすげえよなー。竹市さんもオレらできなかったしー!」
「・・・」

握った手をパッと離した柿内には「判りやすい」と呟いて不機嫌になった柿内の背中をポンポンと叩く

「部活来てんのー?栗山」
「最近はスイミングばっかでこっちはほとんど来てねぇよ」
「そっか・・・明日、帰って久々に部活顔出そうかなー」
「・・・部活?」
「そ。高校の!」

去年まで自分の全てだった原点・・・

「休養日にしろよ」
「うちのコーチ厳しいからーオレは動きすぎって特別に休養日が別に設けられてるんですぅー」
「・・・まぁ、少しでも長く一緒にいられるのはすげぇ嬉しいんだけど・・・」

珍しく素直な柿内に少し目を大きくして柿内の肩に頭をくっつける

「何?」
「んー、眠くなってきた」
「あぁ、じゃあ俺退くから少し足伸ばして・・・」
「膝」
「あ?」
「膝枕!」
「っ・・・どうぞっ」

顔を真っ赤にした後輩を見て笑うとすぐに膝に頭を乗せて目を瞑る

「マジで寝そう」
「さっきも眠そうだったから寝ろよ・・・」
「んー・・・」

久々に話せたのに眠ってしまうのは寂しい気がしたのは一瞬。それよりも柚木が眠りに就くその瞬間まで一緒に居られることをとてもとても幸せに感じた





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青春はプールの中で5-7 - 11/24 Tue

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「いっ・・・ぐっ」

柚木の唇から漏れる声は苦痛の声で柿内は額から流れた汗を腕で拭うと「痛い?」と腰を引こうとするが、柿内の腕を力いっぱい掴んだ柚木が苦痛に歪んだ顔で柿内を睨む

「やっ、・・・めんなよ?・・・くっそ・・・思った以上にやっぱキツイしっ、痛いっつっーか重いし、腹ん中もわけわかんねぇくらい熱いしぐちゃぐちゃな感じすっけどやめんな」
「でもっ」

柚木は少しだけ無理して笑うと柿内の頬を撫でる

「なんて言うんだっけな・・・これ、なんか・・・」

言葉を選んでふと思い出したように微笑むと「思い出した」と呟いて柔らかく笑った

「そ、多幸感って多分こういう時に使うやつ」
「たこう・・・何?」
「いや、いい・・・今、なんかすっげぇ満たされて幸せな感じっつーこと・・・ゆっくりなら動いていいから・・・でもマジゆっくりな?内臓出る気がする」
「幸せ・・・とか・・・クソ、なんだよっ・・・今、言うなっつーの・・・ゆっくり、ゆっくり・・・」

まるで自分に言い聞かせるようにゆるゆると腰を動かし、たまに動きを止めて苦しそうに柚木の顔色を伺う
突然吹き出した柚木に「バーカ」と言われてペチペチと頬を叩かれる

「いいって・・・もう少し動けよ。気ぃ使いすぎて悦くねぇだろ?お前、我慢強いな」
「や、じゃなくて・・・も、達きそ・・・」
「おー、マジか!いい。達けよ」
「っ・・・ダメ・・・マジでごめ・・・」

突然腰を押し進めた柿内の雄が今までよりも深くを抉る
あぁ、我慢して今までは全部じゃなかったのか。とクラクラする頭の端っこで思いながら柿内の背中にしがみつく

「っ・・・あ、気持ちイイっ」

苦しいのに快感に耐える柿内の顔を見ていると愛しい気持ちでいっぱいになって首を掴んでキスを強請るとすぐに落とされる唇
抱きしめた体が小刻みに何度か震えて、柿内の口から声が漏れる

自分の中で達したのだと思うとまた柿内の体を掴んでキスをする

「・・・す、ごかった・・・」
「ん?よかったっつーことか?」
「ん・・・悪い・・・オレだけ・・・」
「ぅ・・・待った・・・抜くの待った」
「あ?」

柿内の熱が出て行くのが名残惜しくて柿内の体を掴む

「も、少し・・・このまま手で擦って」
「何ソレ、エロい」
「黙れ」

ひとつキスを落とすと柚木の望む通り柚木の雄を擦っていく

「あ、先っぽ弱っ・・・っ・・・柿内?」
「や、悪い。でも、当然だろ・・・中、暖かいし」
「文句じゃねぇよ・・・なぁ、さっき指でした時の所判る?」
「・・・ん・・・この辺?」

再び硬さを中で取り戻したのを感じた柚木がふわりと笑うと柿内はさっき指で当てたそこへ当たるようにゆっくり動く

「んっ・・・そこっ、あ、それやべ・・・ごりごりっ・・・ふぁっ・・・柿内っ!あっ、待っ」

柚木の紅潮した頬を見て、必死にしがみついてくるのを感じて耐えていた柿内も腰を動かす。できるだけ柚木のペースで柚木の感じるように・・・そう思っていたのに体も頭も言うことを聞かない
柿内の手の中で水音が大きくなって柚木の嬌声が漏れる

「柿内っ!やっ・・・それっ止めっ・・・ぅあ・・・あっ・・・」
「っ・・・締まるっ」

ブルブルと体を震わせた柚木が柿内の手の中を汚すとふわりと体が軽くなった

「うわっ・・・柚木さん?!」

まだ体を小刻みに痙攣させている柚木がベッドに体重を預けて荒い呼吸を整えていた

「やっべ・・・疲れたっ」

柚木の口から珍しい単語を聞いたと柿内は笑って柚木の体から自身を抜くと、少しだけ汗ばんだ柚木の額にキスを落とす

「・・・柚木さんも達けてよかった」
「んー、お前、いいの?それ」
「や、さっき暴発した」
「あ?」
「いきなりすげぇ締め付けんだもん・・・」

そう拗ねたような顔をした柿内にいつものように微笑むと手を握った



「なー、柿内ー」
「あー?」
「次はもっと悦くなる気がする。いや、今も悦かったし・・・」
「っ?!」
「その次はもっと悦く・・・だから、またやろーな?」

飲み物を口にした柿内は固まったまま口に入った水をどうやって飲み込むんだったかすらわからなくなる

「なんだよ・・・変な顔して」
「あんたが男前すぎてキツい・・・」
「おー!だろ?オレはイイ男だろ?光栄に思うがいい!」
「あーもーダメ。めちゃくちゃ・・・好き」

その言葉に柚木は「オレも!」と笑った





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青春はプールの中で5-6 - 11/23 Mon

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「なぁ、柿内、あの・・・さ」

会話が途切れると少しだけ重くなった柚木の口調が何を言おうとしているのか柿内も察する

「待った・・・」
「・・・お前、まだ・・・」
「いや、違う・・・くて・・・オレも色々調べたり?したけど・・・男同士の場合、挿れるの、絶対じゃないとか・・・で」
「柿内っ!じゃあオレはなんでっ!」
「待った・・・って・・・言わせて・・・最後まで黙って聞けよ」

またいつものように取っ組み合いになりそうなところで柿内が両腕を掴んで真っ直ぐ柚木を見つめる

「なんつーか、どんなもんかとかオレも指、挿れてみたんだ・・・よ」
「はぁ?!」
「だからっ!!!!如何に不自然っつーか微妙なことしようとしてたのか判ったっつーか・・・」

柚木は口を開いてまた閉じる
確かに不自然な場所ではある。だから、柿内が望まないのなら、自分だってそこまで望まない・・・と腕の力を抜いてため息を吐く

「でも」
「?」
「それでもっ・・・オレ、やっぱ、あんたに・・・その・・・柚木さんをっ・・・抱きたい」
「!」

掴まれた腕を振り払って首へと腕を巻きつける

「やっと・・・言ったな。この野郎」
「オレの童貞貰ってくれんの?」
「バーカバーカバーカ!さっさとオレのケツで童貞なんか切っちまえ!」
「柚木さん・・・とりあえず、脱がしてイイっすか」

柚木はトンっと柿内の胸を押して押し倒すと自分でTシャツと下着を剥ぎ取る

「すっげぇ脱ぎっぷり・・・」
「まぁ、ここまでは見慣れてんだろ?お前も」
「まぁ・・・そーだけど」

既に期待で昂ぶっている自分とは違う柚木の雄にそっと触れる

「急かすなー」
「っつか、オレばっか勃ってんの恥ずかしいから」
「お前もさっさと脱げー」

柿内のシャツを引っ張って脱がせると下着に手を掛けたのを柿内の腕で止められる

「ちょっ・・・待って」
「今更恥ずかしいって?」
「恥ずかしいだろ!なんだよ!あんた!相変わらずムードも何もねぇな!」

ムード・・・そんなのどう出すのかと首を傾げる

「あー、もー・・・ヤバい。いちいち可愛く見えて汚すわ。これ・・・」

一旦、上に乗った柚木を下ろすと自分で下着をズラしてベッドの下に投げ捨てる

「・・・ちょ・・・お前のちゃんと見たことなかったけど・・・お前、膨張率おかしくね?お前、そんなんじゃなかったよな?」
「・・・こんなんだっつーの・・・」
「オレより小さくなかった?」
「なんなんだよ!だからムードっ!!!!!」

赤くなった柿内に柚木はへへへと笑って一種の照れ隠しなのだとわかる

「あー、もー・・・どーすっかな・・・」
「何だよ」
「乳首触っても茶化されそうでどっから触りゃいいのかわかんねぇよ」
「黙れって?んー・・・出来る限り黙ってやる」

柚木が黙るとキスを落とす
触れるだけのキスから唇を開き舌を絡ませる
お互いの唾液が行き来してどっちのものなのかと2人がわからなくなる頃、柿内の手がおずおずと乳首に触れて撫でるように擦る
女じゃないんだから・・・とまた言い出しそうなのをキスで防ぐ
たどたどしい指の動き・・・それでも確実に少しずつ柚木の性感帯を刺激し始める

「も、そこばっか・・・なんだよっ」
「勃ったから・・・プツンって可愛くて」
「かわっ・・・いくねぇしっ!」

可愛いだなんて言われ続けては来たが、これは違う。柿内に言われるのは恥ずかしくてむず痒くて、顔が熱い

「後ろ、触ってもイイ?」
「いちいち聞くなっ!バカっ!」

顔を見られるのが恥ずかしくなったのと、柿内が触りやすいようにとうつ伏せになると枕に顔を埋める
用意しといたローションの蓋を開ける音すら心臓に悪い・・・やけに響く心臓が自分のものじゃないような気がする

「っ・・・」

自分で触ったことのあるそこへ初めて他人の手が触れてゆっくり中へ押し入ってくる感覚
気持ちいい?そんなのは感じない。気持ち悪い。気持ち悪い・・・早く終わって欲しいとすら思う
ゆっくり慎重に入ってきた指はズルズル引き出されたり掻き回されたり押されたり

「っう・・・」
「痛い?」
「・・・くないっ」

強がりじゃない。指くらいはもう簡単に侵入を許すそこは痛みは感じないけれど異物感と普段触れられないそこへの刺激による羞恥心

「すげぇ石鹸の・・・洗いたての匂いするんすけど・・・」
「そりゃ・・・お前っ・・・」
「あー、堪んない。もうやばい・・・」

そう言いながらも後ろへと侵入させた指は止まることなく柚木の感じる場所を探し蠢く

「っあ?・・・っ」

一瞬、指がそこに触れて体が震える

「・・・ここ?・・・違う、ここ・・・だ」

柿内の低くなった声が鼓膜を震えさせる
ぞわぞわと這い上がる快感に呼吸が上がる

「そこっ・・・っあ・・・イイっ」
「ん、腰浮いちゃう・・・んだ」

無意識に快楽を追って浮く腰。枕に顔を埋めたまま腰だけ突き出す姿は柿内にしか見えない淫らな姿
指を増やしても抵抗なく受け入れられ、何度も何度もその場所を押したり捏ねたりし、柚木の淫らな姿に興奮する

「っ・・・」
「あっ・・・?な、なんで?もっと・・・」
「ごめ・・・も、少しする?あー、先、一回達っといたほうがいいのか」

突然抜かれた指に不満を漏らしながら顔を上げて体をひねって柿内を見上げる

「・・・っ」

昂り、濡れたそれを握りながら必死に耐えて柚木を情欲に塗れた目で見つめる柿内の姿・・・見たことのない恋人の姿・・・いつも無理やり大人ぶってる年下の姿。生意気な後輩の姿

「ちょ・・・も、限界っす・・・張りすぎて痛い・・・一回・・・出したい。ヌいてイイ?出してイイ?」
「いいっ・・・来いよ」

「イイのかよ・・・」と呟きながらゴムをたどたどしい手つきでつける姿を見届けてからまた枕に顔を埋めて腰を上げる

「こっち、向いてじゃ・・・ダメ?」
「っ・・・ダメじゃねぇけど」
「初めては顔、見たい」

体の柔らかさにも自信はあったし、柚木も柿内の顔を見て、しがみつきたい気もして体を起こして足を開く
思った以上に恥ずかしいのに更に足を広げられて持ち上げられて熱い塊を押し付けられた





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青春はプールの中で5-5 - 11/22 Sun

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そこから無言の夕食・・・空気が重くなった気がして柚木もいつもの軽口が叩けず黙って食事を進める

「明日の朝ごはんはー?」
「あー、唐揚げ別に取っといてあるし、おにぎり作って冷蔵庫」
「さすが柿内ー!」
「球さんにも弁当持たせたけど球さん唐揚げ好きだった?」

まさか兄にまで渡していると思わなくて目を丸くした後「大丈夫。絶対これ好き」と笑う

「あー、こんな大量に肉買ったら金かかったよなー。ここまで来るのにも金かかってるしー」
「あー?」
「よし!帰りはオレが出す!」
「バーカ。んなのいい・・・」
「よくねぇし!オレ、たまにだけどバイトもしてるし」

高校生と大学生の違いを見せつけられたようで唇を噛む

「柿内ー?」
「だから、いいって!」
「でも」
「柚木さん、オレが会いたくて来たの!なのにあんたに金出させたらオレ、カッコ悪ぃ・・・」

柿内の言いたいことが判って柚木はひとつ頷く
別に年上ぶって言ったわけじゃなかったが、もし逆の立場ならば同じ気持ちになるのは判っている

「洗い物はするから風呂先行ってこいよー」
「あー、んじゃあ風呂借りる」
「あ、お前着替えとかどーすんの?球の着る?」
「下着は買ってきた・・・けど」
「んじゃーなんかテキトーなの探しとく!」
「・・・」

勝手に借りていいものか少し悩んだけれど、球もその辺はあまり気にしないタイプだったと思い出してバスルームへ向かった


柿内が風呂を上がると洗い物を済ませて寝転がってる柚木を見て、部活帰りだったのを思い出して「眠い?」聞く

「いや?動きすぎで肉つかねえんじゃないかとかコーチも監督もうるさいから」
「・・・まぁ、前からオレも言ってるけどな?」
「体質だっつーの!」

すぐに起き上がって下着姿の柿内に球のTシャツとジャージを差し出す

「オレも風呂行く」
「んー」

横を通った時に今すぐ抱きしめたい衝動を抑えて柿内は受け取ったTシャツを着るとベッドの近くへ腰を下ろす
ぶかぶかのジャージの裾を捲ると期待して熱を擡げた昂りを隠すように膝を立てる

できるか・・・柚木を傷付けずにちゃんとできるか。そればかりシャワーを浴びながら考えていた。何度か調べたし、シミュレーションもした。でも、実際どんな感じなのかは判らないし、他人に触れることが、触れられることが未知の世界

「あー、くそっ」

球に宣言した時は強気だったのに、いざ柚木を、好きな人を前にするとそれはどこかへ消えてしまったような気さえして頭を抱えたまま目を瞑った





「柿内ー?」

優しく触れる手に顔を上げて時計を慌てて見ると柚木が笑って「オレが風呂行ってる時間しか経ってない」と言って寝落ちたわけではないことに安心する

「・・・髪、伸びたな」
「あー?そろそろ切らないとなー」

濡れた髪に触れて手を握る
どちらからともなくキスをして顔を上げると恥ずかしくなってまたキスをする

「っ・・・お前、なんかキス慣れたっつーか・・・上手くなったっつーか」
「なんだよ」
「オレだけだろーなぁ?」

ニヤニヤした柚木に「バカ」と呟きながら少しだけ離れる

「3年になってどーなんだよ?モテ期は収まった?」
「だから、あれはお祭り騒ぎみたいなもんだろ・・・そういうあんたこそ」

言いかけてやっぱり聞きたくない気がして少し俯く

「まぁ、柚木 球の弟っつーことで話し掛けられるのは結構あるけどなー」
「・・・それだけ?」
「えー?ヤキモチかよー!心配性だなー!大丈夫。それより、お前、受験勉強進んでんの?」
「あー、授業中は起きて真面目にやって、家帰ってからも一応・・・」
「うっわ!柿内が?!本当にお前柿内ー?」

柚木が笑うと柿内は照れ隠しのように柚木の頭をくしゃくしゃと撫でてそのまま抱きしめてふたりとも口を閉ざした





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青春はプールの中で5-4 - 11/21 Sat

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柚木が部活へ行くととりあえず冷蔵庫を開けて空っぽの冷蔵庫に悩む。この部屋の主は明日から大会遠征でそりゃあ冷蔵庫を空にするべきだったのだろうが、これでは柚木に夕飯も作れない
預かった鍵を手に食料の調達へ行き、ドラッグストアにも寄る

『・・・期待し過ぎ・・・』

買ったものをカバンに突っ込みながら心で呟くが、離れてみてキスをして判った。柚木も自分を求めてくれているということが。部活を休みたいだなんて柚木の口から聞く日が来るなんて思ってもみなかったこと・・・
それだけ自分といたいと言われたらこの気持ちは本物だとしか思えない




部屋に戻って夕飯の支度が終わった頃、球が部屋に戻ってきて「わー、できた嫁がいるー!」と茶化す

「・・・球さん」
「なに?改まって」
「殴るなら先、殴ってもいいです」
「え?」

目の前で真剣な顔をした柿内が球の目を真っ直ぐ見ている

「オレ、柚木さんが、この後いいっつったら・・・ですけど・・・柚木さんのこと抱きます」
「ふぇ?!」

思わず変な声が出て球は口を押さえる

「柚木さんのことが本当に大事なのは判ってるけど、オレにとってもすごく大事で、誰にも渡したくないくらい好きです。だから、殴られてもいい。柚木さんともっと繋がりたい」
「もー、流ちゃんはなんで見た目も普通の大して頼りにならないようなこんな男が好きなのか不思議だったけど・・・カッキー、いい男じゃん」
「・・・球さんオレのこと相当嫌いっすね?」
「うん。嫌い。大好きな流ちゃんの恋人だから。でも、認めてやる・・・っつかまだやってなかったのぉー?遅いー!付き合ってどんだけだよー」
「・・・ずっと我慢してきたけど、さっき会ってこれ以上我慢すんのは柚木さんにも悪いって思ったから」
「うん。カッキーがやりたいだけじゃないっつーのは知ってたし、流ちゃんの方が限界なのも知ってる」

球は微笑んでカバンに荷物を詰める

「流ちゃんのこと、離すなよ?」
「柚木さんから離したって離れないですよ」
「うん。ならいい」

竹市にも離して欲しくなかった。会いたい。今すぐ。明日、エントリーしている試合には来るのだろうか・・・それすら無断で来なければ退部に追いやられるかもしれない。竹市は離れた自分を許すだろうか。弟がいいと言ったのが許せない自分を抱きしめるだろうか

「なぁ、カッキー・・・」
「はい?」
「たけちゃん、今更、会いに行っても間に合うかな」
「・・・当たり前でしょう」

好きだと言っていた。まだ球の存在が大きすぎると言っていた

「そっか・・・オレ、実家寄ってから試合向かおうかなー」
「っすね・・・竹市さんも待ってますよ。大会行くのも迷ってたくらいだし。あの人の大学での存在理由は球さんなんで」
「ありがとね。流ちゃんのとこ来てくれたのも、背中押してくれたのも」

カバンに荷物を詰めるとそれを担いで立ち上がる

「じゃ、ちょっと寄り道してから表彰台上ってくるわ」
「あぁ、さすがっすね」

自信に満ち溢れた球の笑顔を見て安心する。球はこんな風に自信に満ち溢れていないと調子が狂う

「じゃあー、あ、ローションとかはここに」
「や!いいですっ!」
「必要でしょ!カッキーにじゃなくて流ちゃんに」
「いや、じゃなくて・・・」
「え?ちゃんと用意したってこと?うっわーカッキー期待しまくりー!やーらーしぃぃぃぃ」

口に手を当ててわざとらしくニヤニヤ笑った球は最後に柿内の頭をガシガシ撫でて「行ってくる」とドアを出て行こうとして柿内が「あ」と呟いて手にタッパーを渡す

「うん?」
「や、弁当?電車ん中で食べられそうならどうぞ」
「うわぁぁぁぁ!!!!や、なんか流ちゃんがカッキーに惚れるのも納得だわー!何これ!すっげー!」
「・・・まぁ、口に合うかは知らないっすけどね」
「ありがと!カッキー!行ってきまーす!」

柿内が手を振ると元気よく扉を出て行く球
柚木の兄だから・・・ではなく、球だから。今までもよくは思われてなかったはずなのに練習にも付き合ってもらったし、アドバイスもしてくれた。竹市にも世話になった恩があるから2人がまた今まで通り仲良くしてくれるのを望む・・・ただそれだけ




「ただいまーって超いい匂いする!」
「あ、おかえり」
「うっわー!マジか!柿内マジか!!!!やっべー!何これすげぇし!!!!寮でいつも食ってるやつよりもすげえから!!!」

テーブルに並べられた食事を見て柚木が目を輝かせ、手を洗うとすぐに食事に手をつける

「やっべ。お前またレベルアップしてね?旨い」
「よかった」

もし、この後いつも通りに過ごすとしてもこの笑顔を見ることができただけで充分すぎる充電になると思った

「明日朝イチで帰れば部活間に合うよなー?」
「始発じゃなくても間に合うけどな?」
「んー、そっか・・・なぁ・・・するよな?」
「っ・・・」

欲は出さない。そう心で思った直後の柚木の言葉にただ顔を赤くした






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