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スイーツよりも甘く甘く幸せに1 - 01/31 Sun

trackback (-) | comment (0) | その他SS
ある街の人気洋菓子店。それが彼、水野 みのりの実家で職場・・・




「いらっしゃいませ」

たまに店内に顔を出して挨拶し、客のスイーツを食べて喜ぶ顔を見る。それがこの店の人気のひとつの理由だということはみのりも自覚していること
先代の時にはなかった繊細さと美しさを兼ね備えたショーケースの中のケーキは作るこの男の美しさによって更に輝きを増し、幸せを呼ぶスイーツとしても有名なこと

そう。みのりは今やっと幸せを掴んでいた・・・




「さすが海外で修行して賞を取っただけあるわねー」

そんな声に笑顔を向けて頭を下げるみのり

でも、修行はしたくてしたわけじゃない

小さいころからケーキ屋の息子。当然自分もケーキを作り、この店を継ぐのだと疑わなかった少年は専門学校へ通い、ケーキを作るための技術を磨いた
父もそんな未来を疑わず、息子を溺愛し、未来に夢を託していた。誤算があったとすれば・・・みのりの恋愛対象がいつだって同性だったこと・・・それを隠していたみのりも専門学校卒業間近で気が緩んだのか自宅での当時の恋人とのキスシーンを父に見られ、激怒され、家を追い出された。当然そこにあるはずだった実家の洋菓子店での就職が目の前からなくなり、それでもその道以外を考えたことのなかったみのりは家を飛び出し、無鉄砲ともいえる武者修行へと旅立ったのだ

それが約15年も昔の話
そしてそこから5年後、姉が結婚し、子供を産んだと聞いて姉の子どもを一目見たいと帰国し、初孫を見て丸くなったと思った父親に言われた言葉・・・

『それで、みのりの『病気』は治ったのか?あんときのあいつはほら、結婚して帰ってきて家継いでんだぞ』

その言葉でみのりはすぐにまた旅立つことになる
認めてほしいわけじゃなかった。けれど、病気だと否定され、自分の居場所はここにはないと痛感し、ただ自分の技術を磨くことだけに精を出した。がむしゃらにがむしゃらに・・・父親を見返したくて。自分の腕が欲しいと言われたくて・・・
父親が『病気』だと言う自分は父親の手の届かないところでこんなにも成功できるんだと証明したくて

そこからさらにその6年後、父が病気で先が長くないと母から連絡を受けてもなかなか帰国できなかったみのり。仕事が順調でなかなか帰れないのもあったが、何よりもみのりの心に突き刺さったまま抜けない父の言葉と冷たい目・・・それが怖くてやっと帰国できたのは父が亡くなる2日前・・・

『ホント頑固だよなぁお前・・・頑固なお前ならあの店潰さずに頑張ってくれるか・・・なぁ、みのり』

そう最後に父の口から聞いて涙した。絶対に潰さない。そう誓ってやっと和解したのにその後すぐに旅立った父・・・
色々と整理して、父の遺した店を改装し、再開した洋菓子店・・・海外で賞を取ったパティシエが小さな実家の洋菓子店を継いだと話題になって雑誌にも取り上げられ、今に至る・・・

客の幸せそうな笑顔を見ることが父の幸せだと。約束だと思うと幸せ・・・そして年上の甘やかしてくれる恋人もいて。たまに来る男性客に目の保養と癒しを得てみのりは毎日笑顔を振りまく








「みのりー!誕生日ケーキの予約入ってるけどそれってこれでいいのー?」
「あぁ、いいよ」

スタッフが数人。そして母と姉で回す小さな洋菓子店は今日も女性たちの甘いため息を誘う

カラン・・・

「いらっしゃいませ」

笑顔で顔を上げると常連のカップル
いつも元気な彼女と物静かな長身な彼氏。もう少し自分が若かったらこの彼を奪ってやりたい・・・と思っていたが、相手はお客。そんな邪な想いは表に出せるはずもない。ただ、たまに見て目の保養をするだけで充分だと思っていた

「ねぇ、しゅうちゃん!これ!これでしょ?」
「・・・」
「えーっと、これとこれとあとこれ!あとー・・・私どうしよう・・・」
「・・・すいません。このチョコのも追加で」
「えー!しゅうちゃん幾つ食べるのっ!」
「・・・」

少しだけ恥ずかしそうにする彼がまた可愛く見えてみのりは「いつもありがとうございます」と微笑んだ



常連のカップルが出て行くとみのりが「はぁーイイ男だよなぁ」と呟いたのをかなえは聞き逃さない

「何?みのりしゅうちゃんみたいなのが好み?」
「馴れ馴れしいなぁ姉貴は」
「えー?あきちゃんとしゅうちゃんでしょ」
「は?」

目を丸くしたみのりはかなえを見つめるがかなえは「あぁ、そうか」と呟いてみのりにニヤニヤと笑いかけた

「今度、駅前の洋食店行ってみなさいよ」
「・・・」

ニヤニヤと笑う姉にみのりはカップルじゃなくて夫婦だったのか・・・と思いながらため息を吐きながらも目の保養をしに自分から足を向けるのも悪くないな・・・と思い始めていた





「どうしたの?今日はなんだか機嫌がすごくよさそう」
「うん?」
「何・・・気になるなぁ」
「うん。今日は少しだけいいことが・・・あったかなぁー」
「なんだ?新しい彼氏でもできたかい?妬けるなぁ・・・」

みのりはグラスを傾けながら微笑む

「オレに彼氏できたら妬いてくれるんだ?」
「そりゃあ妬くよ?」
「オレにもまだそんな価値があるってことですねー・・・嬉しいな。でも、オレの彼氏・・・古井さんだけでもうお腹いっぱいなんですけど?」

みのりは妖艶な笑みを浮かべてバスローブを下ろす
恋だなんてもうめんどくさい。ただ、好みの男を見て目の保養をして少しだけ心を潤したいだけ。体は、体だけなら他で間に合わせられるから。ただ、淡い恋心・・・恋心と呼ぶには若すぎる甘い甘い懐かしくて甘酸っぱい感じ








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竹市くんと柚木くん6-3 - 01/30 Sat

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「・・・そうじゃない」
「でも・・・」
「ヤキモチだっつってんの!そりゃ、みんなの目もあるし、今日なんて柿内も来てたから涼しい顔して見せてたけど」
「・・・オレが感じるのたけちゃんのこの手だけだよ」

球の手が竹市の手を掴みながら石鹸で滑る肌の上を撫でて自分の胸についた乳首に触れさせる

「ふっ・・・たけちゃんと出逢う前はそりゃ・・・ませガキだったし年齢ごまかしたりして他の人に触ってもらったりしたけどっ・・・もうオレの体、たけちゃんの全部覚えちゃってるもん・・・たけちゃんしか感じられないよ」

竹市はそっと顔を上げてキスをする
球の気持ちは知ってる。判っている。こんなにも愛してくれて求めてくれる球を愛しく思うのだから

「球さん、球さんもオレが女に触られたら嫌でしょ?」
「イヤっ・・・たけちゃん触られたくないっ」
「同じ・・・それと同じ」
「・・・たけちゃん・・・もう1回したい・・・」
「今せっかくキレイにしたのに?」

球が拗ねたように口を尖らせる

「不満?」
「最近たけちゃん1回しかしない・・・」
「あ?」
「オレだけもっとしたい」
「言ったな?泣かせるまでヤるよ?」
「泣かせてよ。気持ちよくて泣くの好き」
「ホント・・・もー・・・どこまでエロくなるの?あんたは」

年々エロさが増していくような恋人に甘いため息を吐くと竹市は笑いながら濡れた球にキスをした





「んで、この服どーすんの?とりあえず洗えばいいの?」
「また着てくれるー?」

学園祭の間着ていたドレスを片付ける竹市をベッドの上から泣き腫らした目を擦りながら見つめる

「着ないし」
「うん。オレも満足ー」
「何?そんな女装したままヤりたかったの?」
「うーん・・・そっちはついで?」

球は足元に脱ぎ捨てられた竹市の着ていたチャイナドレスを手に取る

「やっぱさー・・・学校一緒に通えるようになったのにたけちゃんとベタベタしながら学校歩いたりできないじゃん」
「まぁ、普通はしないな」
「えー?!してるよ!!!カップルがイチャイチャしながら廊下歩いてたりするじゃん!!!!」

竹市は球の手からチャイナドレスを受け取って洗濯機へ突っ込む

「だけど、今日みたいにイベント的な感じで客引きしたり、女装してたらくっついていられるかなーって・・・ホント楽しかったぁー」

球が幸せそうに笑ったのを見て竹市は球の頭を撫でる

「学部も学年も違うけど、部活同じだし、今日しかないなーって・・・去年は発言権がまだあんまりなかったからさぁー・・・却下されたじゃん・・・だから今年はホントたけちゃんといたかったんだよねー」

もうじき今よりもっともっと忙しくなってろくに帰ってこられない日々がやってくる。球自身には光栄で、充実した毎日になるのは判っている。けれど、それは恋人と居られない時間が増えることで・・・

「想い出、いっぱい作りたいの」
「うん」
「たけちゃん・・・オレの魔法はもうじき切れるよ・・・だけど、まだもう少しバタバタするの許してね」
「・・・何、魔法切れるとか」

球は少しだけ寂しそうに笑う

「柚木家で実は1番ダメな長男ってそのうちみんな判るはずだから」
「はぁ?」
「・・・流ちゃん、きっともうじきすごい選手になって世間を騒がすよ・・・秀ちゃんはメダル取るよ。で、舞ちゃんも有名選手になる」

背伸びをしながら弟妹たちの話をする
大好きで大事な弟妹たち・・・

「それは球さんだって」
「オレは結局、メダル取れないまま選手生活終えると思う」
「・・・」
「あ、いいの。そこは仕方ないし・・・」

代表選手にはなった。でも、まだメダルには手が届かない夢の舞台

「秀がメダル獲ったらオレはもうあんまり注目されないと思う」
「そんなこと」
「いや、判ってるから!うん・・・でも、ホントいいの。オレは注目されなくてもたけちゃんがオレを見ててくれればそれだけできっとずーっと幸せだもん」

笑顔を向けられてどうしていいかわからずただ抱きしめる

「流ちゃんもきっとすごい選手になるよ・・・オレよりも取材来ちゃう」
「うん」
「秀ちゃんもすごい・・・ブレストで勝てなくなったのいつだったかなぁー」
「うん」
「舞ちゃんもすごいんだよ?!バレーだけど、ホントすごいの・・・試合あんまり見に行けたことないけど」
「うん」

腕の中で弟妹の自慢をする球を抱きしめ続けると最後には震えて抱き返してきた球の腕

「たけちゃん・・・見てて・・・オレを最後まで見てて・・・一緒に居られなくて寂しい想いさせるかもしれないけどっ!浮気とかしないで・・・最後までオレだけ見てて・・・そしたら選手として最後まで力振り絞れるから」
「うん」
「たけちゃん」
「うん」

顔を上げた球にキスをする

「球さんだけ見てるよ・・・」
「うん」

安心したのか竹市の胸に頭を寄せて目を瞑る球をベッドへと倒す
小さいときから秀でた才能と恵まれた体格。注目され続けてきたけれど、それと同時に悩みも不安もたくさん抱えてきた
押しつぶされそうなほどのプレッシャーも感じていないかのように振舞うのは柚木家の長男としての役目だと自分に言い聞かせて大会でも自信満々に振舞ってきた・・・でも、本当は、本当はこのプレッシャーから早く解放されたい。自分には不釣り合いな舞台。早く弟や妹にこの舞台を明け渡して自分はひっそり好きな人と暮らしたい・・・それが球の夢

「・・・おやすみ。球」

頬にキスをすると頭を撫でて微笑んだ



青春はプールの中で 番外編 竹市くんと柚木くん6 おしまいおしまい





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竹市くんと柚木くん6-2 - 01/29 Fri

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竹市はローションをしっかりと自身と球の後孔に垂らすと水音を響かせるように濡れた部分を擦り合わせる

「っ・・・ふっ・・・」
「ひくひくしてる・・・欲しい?」
「欲しいっ」
「ん・・・」

ゆっくり慣らしていない部分を押し広げながら腰を進める

「やっぱ、キツい・・・」
「っ・・・っ」
「球、痛い?」
「大っ・・・丈夫っ」

我慢しているのだと察して動かず腰のあたりを撫でてやる

「っ・・・大丈夫っ・・・だからぁっ」

振り返った球が涙目で少し驚いた顔をすると球が自ら腰を動かす

「・・・あぁ、ホントエッチでかわいいな・・・」
「たけちゃ・・・動いてっ・・・動いてぇ」
「球・・・今日こそ中だけで達ってみようか?」
「やぁ・・・も、やだぁ!前も擦ってっ!触ってっ!!」

竹市の腰が大きくグラインドされる

「ふぁっ」
「ほら、球、耐えてよ?」
「やっ・・・気持ちいいっ・・・」

球の手が下肢に伸びる度にその手を叩く
先走りでベタベタになった下着が張り付いて気持ちが悪くて気持ちが良くて

「たけちゃんっ・・・お願いっ」
「ダメ」
「達けなっ・・・達きたいっ達きたいぃっ」

腕を後ろに組ませると今まで以上に乱暴に中を抉り、激しく擦り付ける

「あー、悪い・・・オレがヤバい。すげ・・・中、動いてるっ・・・達きたいんだ?ねぇ、球さんっ・・・気持ちいい?」
「やっ・・・たけちゃ・・・前からっ!たけちゃんの顔見たいっ」

ぐるりと視界が回ると愛しい人の顔
いつもと違って化粧をして、汗で少し乱れたその顔

「あっ・・・たけちゃんっ・・・」
「うん?」

球の手が竹市の頬に触れる

「オレだけ・・・こんなたけちゃん見てるのオレだけ」

うっとりとした表情の球が何度も何度も頬を撫でる
化粧が剥げてドロドロの肌に触れる

「何?」
「たけちゃんモテるんだもん・・・でも、女装してるのにっ!ぁ・・・たけちゃんに色目使ってきたあの子も写真撮ってたあの子も・・・こんなたけちゃん知らないっ・・・オレだけのたけちゃんっ」
「クッソ・・・これ以上煽んなよ・・・大体っ・・・球、オレも怒ってるからな?」
「うんっ?・・・っあっ」

ゴッとお腹の中で壁に当たるような衝撃が走る
ビリビリと全身に走るような衝撃

「たけちゃんっ・・・それっ・・・ダメっ!やだっ」
「あー、今日いけそ・・・」
「やだっヤダヤダヤダぁっ」

規則的に同じところを擦られて球は頭を振る

「ヤダヤダヤダっ・・・あっ・・・ダメ!達きたいっ!達きたっ」
「達っていい・・・っ・・・気持ちイイ・・・」
「あっ・・・出っ・・・ムリっ!やだぁ触って!触ってぇっ」

球の手を万歳のまま押さえつけると少し動きを早めた竹市がブルブルと震えてキスを落とす

「っあ・・・あ・・・」

キスされて竹市の腹に球の雄が少し触れて擦られて下着のレースに刺激された球も熱を竹市の腹へと吐き出した




「あー、また中達きできなかったなー」

メイクを落とした竹市が濡れタオルで球の体を拭きながら溜息を吐く

「・・・」
「球さん?怒ってんの?触ってあげなかったから?」
「・・・怒ってるの?」
「は?」
「たけちゃん、なんで怒ってたの?」

不安そうな顔で見上げてきた球の汚れたドレスを脱がすと手を取ってベッドから立ち上がらせる

「柚木守るためって判ってたけどベタベタ他の男に触らせやがって」
「・・・ヤキモチ?」
「女はいい。どうせ球さんも興味ないし・・・でも男は別」
「たけちゃん」

手を引かれて狭いバスタブに足を入れる
シャワーを出されて体を洗ってくれる竹市の手の泡が広がっていくのを見ながらその手を掴む

「たけちゃん・・・オレがどの男の手でも感じる変態だと思う?」

球の双眼は苦しげに竹市を見つめていた





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柚木くんと竹市くん6-1 - 01/28 Thu

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球の強い願望に竹市がいくら反対しようとも、影響力というのはすごいものだと改めて実感した

「ホントたけちゃんすごーく美人ー」
「・・・学祭終わったのにまだ着てるオレらってなんなんだよ」

学園祭が終わって、すぐ着替えようと思ったのにそれを球に止められる。そして女装のまま片付けを手伝わされ、そこで行われた打ち上げも男だらけの水泳部の花としてそのまま参加させられた竹市と球はそのままOBの車で球の部屋まで送られ、今に至る

「・・・脱ぎたいんすけど・・・あとこの顔も落としたい」
「このまましよ・・・ね?」
「言うと思った・・・イヤだ」

竹市は確かに拒んだ。けれど、球の強い力に押さえられてベッドへと座らされる

「・・・すごいスリット入ってるよね・・・これ」

竹市の太ももまで入ったスリットから手を入れる

「だからイヤだって」
「・・・たけちゃん・・・お願い」
「球さんがこの企画言い出した時からイヤな予感しかしなかったんだよ。マジで」

球の指が竹市の下着を引っ掻く

「あーあー・・・ドレスの生地薄いからもー勃ってんの丸分かりだよ・・・どんだけ変態なの」
「うん。だって、たけちゃんがすごい色っぽいんだもん」

球の荒い息が竹市の胸に触れる

「・・・球さんって男しかダメなんじゃなかったっけ?」
「うん・・・そう。女の子にだったらこんな興奮しない。美人なのにこれ、ついてるたけちゃんっ・・・」

竹市の下着の上から撫でて掴むと揉むように手を動かす

「変態」
「うんっ・・・変態でいいっ」
「スカートめくって見せてよ」
「ん、こう?」

両手でスカートの端をめくると筋肉質な足が露わになる

「もっと」
「・・・」
「よく見えるように立って捲って」

竹市の足元にしゃがんでいた球が立ち上がってスルスルとスカートを捲るとレースのついた女性用下着が現れて竹市は少しだけ意地の悪い顔を球に向ける

「これ、どうしたの?」
「買ったぁ」
「1日中これ履いてたの?」
「うん」
「球さんのサイズよくあったね」
「ん・・・」
「窮屈そうだよ」

竹市の目の前で下着を晒すのに辱めるだけで触れてこない竹市

「たけちゃ・・・こういうのは好きじゃない?」
「うん?」
「たけちゃんみたいに女装したって美人じゃないし、可愛くないかもしれないけど」
「女の子になりたい?」

球は口を結んで首を振る
恋愛対象は確かに昔から同性で。ノーマルな男に惚れて何度かもし女の子だったら・・・と思ったことはあったけれど、別に女性に憧れているわけでもなりたいわけでもない

「球さんは球さんでしょ?」
「うん・・・」
「イヤらしくて可愛いオレの球でしょ?」

両手を離して竹市に抱きつく

「なーんでこんな格好でヤりたいかなぁ・・・美人だとか言うけどオレだってデカいからな?180超えの女装を美人だって言う球さんが信じられねぇよ」

球は頷きながらまたスリットから手を入れる

「女の格好したオレに突っ込まれたい?」
「ん・・・」
「球、言って?」
「・・・っ・・・」

潤んだ瞳で竹市を見つめながら口を開くとキスをしようと顔を近付けて竹市の手に阻まれる

「ほら、言って」
「オレのドレス捲って下着ズラして犯して欲しい」
「・・・じゃあオレは脱いでいいでしょ?」
「っ・・・やぁっ・・・」
「どうされたいの?」

泣きそうな顔の球の頬に触れながら意地の悪い顔で首を傾げると球は竹市のスカートを捲る

「美人で意地悪なたけちゃんに抱いて欲しいっ・・・女装して興奮して、女装したたけちゃんに興奮してるオレを抱いて欲しいっ」
「うん・・・変態っ」

そう言うと竹市は球の手を引いて立ち上がる
今までとは逆に球がベッドへ乗ると竹市は球のスカートを捲る

「オレはいつもの球さんが好きだよ」
「・・・」
「でも、この球さんも嫌いじゃないよ」
「ホント?」
「オレのためにこーんな小さいパンツを履いてるエッチな球さん」

ペチンと乾いた音が響いて球は突然の痛みと驚きで「ひぁ」と声を上げる

「球さんのお尻、大きいからこんな小さなパンツじゃ隠れてないよ」

パンっパンっと続け様にお尻を叩くと音が響く

「あー、球さんホントエッチだなー・・・可愛いパンツがもうびしょびしょ」
「たけちゃ・・・」
「カウパー出すぎでしょ・・・何期待してるの?」
「たけちゃんっ・・・パンツ脱ぐっ」

両手で下着を掴んだ球の手をピシャリと叩く

「履いたままズラして犯して欲しいんじゃなかったの?」
「だっ・・・これっ・・・擦れて痛いっ」
「球さん、その顔すごいソソる」

涙目で振り返った球の背中に唇を落とすと背中のファスナーを唇で降ろす

「さすがにブラジャーはしなかったんだ?」
「・・・それは」
「球さんおっぱい大きいのにー」

開いた背中のファスナーから手を入れて前へと滑らせる
球の重量のある胸筋を揉むと弾力で押し戻される

「ふっ・・・んっ」
「おっぱい感じちゃうもんね?こうされるの好き?」
「ぁ・・・たけちゃんっ・・・いつもより意地悪っ」

乳首をつままれて引っ張られると反応してしまう体
大きなお尻を竹市の体に押し付けて潤んだ瞳で振り返りながら無言でおねだりするのに竹市は涼しい顔で「何?」と聞いてくる

「たけちゃん・・・口でするからぁ・・・早く欲しいっ」
「何を?」
「たけちゃんのコレっ」

腕を伸ばしてスカートの上から掴んで扱くのにまた手を叩かれる

「舐めたい?」
「うん」
「いいよ。舐めて」

体を起こした球がうっとりしながら竹市のスリットからスカートを捲って下着を唇で降ろすとまだ半勃ちのそれを口へと含む
竹市の手がゆっくりと球の頭に伸びて優しく撫でた後、両手で喉奥へと押し込み押さえつける

「んぐ」
「あー・・・球さんの喉とオレのがキスしてるすげ・・・気持ちいい」

苦しい。息ができない。でも、気持ちいいとという言葉を聞くとなんでも許せてしまう
竹市の恍惚の表情を見て自身へと手を伸ばす
紫のレースに包まれたそれを掴むと手を掴まれる

「女の子の格好してるんだから今日は触っちゃダメ」

頭を掴まれて動かされる

「んーっ」
「苦しい?・・・あー、違うね。感じてきちゃったね・・・ほら、もっとして」
「んっ」

だらだらと唾液が顎を伝って零れ落ちる。顎の感覚もない。でも口の中で感じる熱は愛しい人の熱・・・
欲しくて。この熱をもっと感じたくてねだるように見上げると口端を上げた竹市が下着をズラす

「欲しいんでしょ?」

コクコクと頷いて蕩けた瞳で見つめると解放された口

「はっ・・・」
「ローションだけでイケるかなー・・・」

少しだけ瞳に恐怖の色が広がる

「球さん、イイ?」
「・・・」
「球?」
「っ・・・ゆっくりしてくれる?」

球の言葉に微笑みながら「オレが酷くしたことあった?」と耳元で囁いた






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青春はプールの中で6-21 - 01/27 Wed

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「うっ・・・んぁ」
「動くよ・・・」
「はっ・・・んっ・・・んっ」

柿内の動きに合わせて声が漏れるのが恥ずかしくて口元を押さえる

「ここっ、角部屋っ・・・声、聞かせて」
「んっ、やっ・・・柿内っ、そこっ・・・そこっ」
「うん。ここ・・・なっ」

柚木の声が漏れる
足を支えていた手を下肢へと伸ばして扱く姿は卑猥で愛しくてキスを落としながら同じ場所を擦る

「待っ・・・出・・・出そ・・・っ!出ちゃっ」

白濁が柿内の顎に飛んでそれを目を細めながら手で拭う

「すっげぇ飛んだな」
「ん・・・はぁ・・・」
「・・・ごめ・・・少し、少し我慢してくれる?」
「うん?・・・っあ」

柿内が腰の動きを早めると歪む柚木の顔を優しく撫でてキスをする

「んっ・・・も、ちょいっ・・・っ・・・もう少しだからっ」

頭を何度も縦に振る

「柿内っ・・・中、ヤダっ!熱いっ・・・熱いっ速いっ」
「も、達くからっ・・・っ・・・は・・・あっ、達くっ」

柿内の震える体を掴む
すぐに抜いて欲しくなくて熱い楔をまだ感じていたくて
ジンジンと広がる熱を感じていたくて

「柿内っ・・・」
「・・・悪い・・・ゴム破れた」
「おーう・・・マジかー・・・このドロドロが中出しか・・・んじゃ後処理してくる」

よろよろと立ち上がった柚木を支える

「大丈夫か?」
「んじゃ、このまま付き合って・・・」
「お・・・おう」
「お前も洗っとけよー。あり得ねぇ場所に結局ナマで突っ込んだっつーことなんだから」
「・・・あんたの言い方!」

支えられながらもいつもの柚木で柿内はそっと頭のてっぺんにキスを落とす

「おい、それ止めろ。オレがチビに感じる」
「あー?チビだろーが」
「うっせ!バーカ」

久し振りのやり取りが楽しい
これが毎日また続くのだと思うと幸せで思わず顔が緩んでしまうのだ





シャワーを浴びてしばらくすると柿内の帰りの電車の時間が近付く

「・・・すぐ、来るから」
「まぁ、そーだよなぁ・・・でも、お前イイのかー?春休み入ったら友達と遊んだりさ」
「・・・まぁ、何人かとは1日くらい遊んだりとかあるかもだけど・・・準備したらすぐこっち来るよ。こっちで揃えたいものとかもあるしな」

繋いだ手を離す
暖かかった掌からすぐに熱が奪われていく

「じゃあ、またなー」
「あ、野菜も食えよ?トンカツやら唐揚げばっか食うなよ?」
「お前は母さんかよ」
「惣菜なら煮物でもサラダでも売ってっから!っつか、サラダは買うよりもレタスとドレッシング買えばいいや!な?判ったか?レタスちぎるくらいならあんたでもできるだろ」
「だから母さんかっつーの!」

柚木が笑って柿内の胸を殴る

「大丈夫だっつーの。昼は学食だし!夜も先輩に奢ってもらえる時は着いてくし?竹市さんもいるし」
「・・・そうか」
「お前はまーだオレと竹市さん疑ってんのかー?」

柚木を好きだと気付いたのは竹市との情事を夢で見たせい。ずっと相手は竹市。1度だけ見た自分の名前を呼びながら自慰に耽る柚木の姿以外はずっと相手は自分じゃなくて竹市
付き合ってキスして体を重ねた後に夢で見た相手はやっぱり竹市だった

「疑いじゃねぇんだよ・・・頭では判ってんだけどなんか引っかかる・・・」
「・・・ふーん」
「流・・・」
「?!」

名前で呼んでイイと言ったのに呼ばれなかったから聞こえてなかったかイヤだと思ったのに突然呼ばれた名前に顔を上げる

「やっぱなんか違和感あるよな」
「おう」
「っつか、あんたオレの名前覚えてんの?」
「・・・部員の名前は全員判ってる・・・と思う」

最後弱気になった柚木の声が小さくなる

「・・・別にオレらは今まで通りでイイと思うし・・・呼びたくなったら呼べばイイくらいの」
「いや、もちろんそうだってば!・・・ただ・・・さ」

少しだけ迷って口を開く

「エッチしてるときに柚木さんって呼ばれるとなんか・・・イヤじゃねぇけど・・・まどろっこしい?違うなぁ・・・遠いっつか」
「うん・・・言いたいことはなんとなくわかった」

部屋を出る時間。最後に柚木を引き寄せて抱きしめると「もう少しだけこっちで待ってて」と耳元で呟いて頬にキスをして離れる

「・・・お前がこっち来る頃にはもう少し部屋の様子も変わってるから」
「うん・・・じゃあ、一旦帰る」
「違うな」
「は?」

ニヤリと笑った柚木が柿内の胸にトンと拳をつける

「いってきます。だ」
「・・・いってきます」

そう言われて恥ずかしそうに笑った柿内が言い直す
もう此処が2人の新しい生活の場
ここから出て行ってここへと帰ってくる

新生活スタートはもう目前




青春はプールの中で 3年目冬 おしまいおしまい







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青春はプールの中で6-20 - 01/26 Tue

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結局、柚木も退寮後だったこともあり、すぐに部屋を見に行った後、住む手続きを進める
球も竹市とルームシェアすることになって、球の部屋にあった電化製品のほとんどを使えて準備もほぼいらないまま柚木は一足先にここで生活することになる

「・・・何者なの?こんな部屋すぐ手配できる祥子さん」
「あー・・・昔、あの人アイドル的な人気あったからなー」
「あぁ、聞いたことはあるけど・・・」
「スポンサーの中でも熱狂的なファンがいたんだとー・・・これもそんな熱狂的なファンの1人に頼ったんじゃね?」

柚木は部屋を見渡してため息を吐く
今までいた寮とも違って広いし、静か。自宅とも違うその部屋はなんだか少し落ち着かなかった

「オレがこっち来るまでご飯とか大丈夫なのかよ」
「炊飯器の使い方は知ってる!卵も焼ける」
「いや、そりゃそうだろうけど」
「あとはスーパーに頼っとく」

柿内も卒業式を終えて、少し身の回りを整理したら引っ越す予定ではあるが、それまでの柚木の生活が心配で仕方ない
それまで実家にいたらイイと思っていたのに、部活があるためにそうもいかず・・・

「なー、食器とか足りないのどーする?勝手に100均で揃えていいのかー?」
「いい」
「じゃあ今度買ってくるなー・・・っつかソファここに置かねぇのー?」

柚木がリビングの真ん中で手を広げる

「・・・ソファ・・・かー・・・」
「テレビ見る時とか欲しくねー?飯もここで食うだろー?低めのソファ!」
「・・・柚木さんが選んで決めていい」
「お前だってここに住むんだろー?」

柿内は部屋を見渡して頷く

「ソファーベッドになるタイプのやつがいい・・・かな。余分にそんな布団も置いておけねぇけど誰か泊まることもあるだろ」
「おう!色はー?っつか一緒に選びに行こう」
「んー・・・そうだな」

あまり乗り気じゃないように見えて柚木は柿内の両頬を叩く

「言いたいこと我慢するなっつったよな?」
「あー、違う。我慢して・・・あー・・・柚木さん、今、2人きりだよな・・・」
「おう?」
「・・・もー頭ん中そればっかで正直何も考えられねぇ・・・っつーか」

柚木は安心したように吹き出して柿内の手を握る

「オレの部屋、布団あるけど?」
「・・・ん・・・」
「夜、戻るんだろ?」
「うん」
「じゃあとりあえずシャワー浴びて準備してくるかー」
「・・・いや、待って・・・そこまでしなくてイイ・・・ちょっと触らせて・・・ヌかせて。何も持ってきてねぇし」
「ローションもゴムもあるけど?」

柿内の喉が鳴るのが聞こえると柚木は笑って「待ってろ」と言ってバスルームへ消えていく。取り残された柿内は床に座り込む
思った通りに進みすぎて目眩がする
付き合ってキスして初めての経験をたくさんした
離れて少しでも一緒にいたいと望み、一緒に暮らしたいと言ったら受け入れてもらえて、相手の家族にもなぜか好意的に受け入れられて
受かるはずがないと教師にも笑われた学校に合格して、探してもらった部屋に本当に住むことになって・・・

信じられない

信じられない

信じられない



「柿内ー?」
「・・・あ・・・」

下着一枚で出てきた柚木を見上げると柚木は笑いながら手を伸ばして柿内の手を取ってくる

「なーにしてんだよ」
「あ、オレもシャワー・・・」
「んー?じゃあ部屋行ってるから」
「・・・うん」

頭から熱いシャワーを浴びると夢であって欲しくないと願う
夢かもしれない。でも夢で終わって欲しくない
まだ、柿内の望んでいることはたくさんで、これからまた始まるのだから

シャワーから戻るとリビングに柚木はいなくて柚木の部屋の戸を叩く

「いいよー」

部屋に入るとちゃんと敷かれた布団の上に胡座をかいた柚木がポンポンと布団を叩く

「あんまり時間ないだろー?」
「・・・柚木さん」

熱に浮かされたような顔が近付いて熱い唇が重なる

「柚木さん・・・柚木さんっ」
「っ・・・名前で呼んでもっ・・・いいぞ」
「え・・・あー、ムリ。これ保たない。脱いでいい?着替え持ってねぇ」
「うん。脱げよ」

柿内は下着を脱ぎ捨てると柚木の肌に唇を落とす
たまにチュッと音を立てながら全身にキスをするように落としていく

「っ・・・」
「柚木さんも脱いで」
「ん・・・」

下着の上から何度も揉み扱いていた手を離して下着のゴムに手を掛けると柚木の手が下着を下ろす

「っ・・・う・・・っ」

少し昂っている雄を躊躇なく口に入れると手を自身の下肢へと伸ばしながら唇で柚木の雄を扱く

「はっ・・・っ・・・気持ちいいっ」

柚木の声を聞いて安心しながら溢れた唾液で濡れた後孔をぐるりとなぞる

「っ・・・」
「?」

少しだけ指を差し入れると濡れた感触に唇を離す

「・・・え?」
「んー?自分で解しといたけど?」
「っ・・・マジで?」
「もうお前の挿れてイイ?」
「は?・・・え?」

胸を押されて布団に倒された柿内は目の前の光景に息を飲む

「え・・・ちょっ・・・待っ・・・」
「じっとしてろって・・・っ・・・ん・・・んっ」
「っあ・・・はっ・・・」
「入っ・・・たぁ・・・すげぇビクビクしてるな」
「待っ・・・動くなっ・・・持ってかれそ」

柚木の腰を掴んで押し寄せる快楽に耐える

「何度でも達っていいからっ」
「んな・・・」

柚木に手を取られて纏めて上で拘束されるとすぐに動き始める柚木の腰

「っ・・・」
「なっ・・・名前で呼んでイイって・・・はっ・・・ヤバ・・・これ気持ちいいっ」
「気持ちいいっ?マジで?」
「んっ・・・すげっ・・・固いっ・・・ゴリゴリって・・・腹ん中熱いっ」
「煽んなっあ・・・も、ムリ・・・悪いっ」

体を起こした柿内が柚木を押し倒した







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青春はプールの中で6-19 - 01/25 Mon

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夕飯が出来る頃、球からの着信を見て柚木は「あー」と呟いて柿内に携帯を押し付ける

「は?」
「連絡しろって言われてたの忘れてた。めんどいから出て」
「・・・もしもし」

柚木に渡された携帯を耳に当てると大きな溜息が聞こえた

『カッキー・・・おめでと・・・』
「ありがとうございます」
『流ちゃんテンション上がりすぎてオレのこと忘れてたね・・・もーーーーっ!!!!秀もいるから伝えておくしー!たけちゃんにも連絡しとくー!』

思ったよりも多くの人が望んでくれていた結果。家族にはあまり応援されて来なかったけれど、ここは本当に暖かい・・・そう感じながら柿内はゆっくりと目を閉じてもう一度「ありがとう」と球に伝えた





「で!柿内くん!流!これが私の探した案件の中でのベスト3!!!!」
「ホント任せきりですみません」
「いいんだよ。母さんどうせ好きでやってんだから」
「いや、ダメだろ」

夕飯を片付けた後机に置かれた3枚のプリントを目の前にして柚木は適当にそれを眺める

「でもー・・・私の中ではここが1番いいかなーって思ってる」

3枚の中から1枚を手にとって柿内に渡す

「予算も場所も要望通り!」
「待って!!!オレも教え子からこんなの見つけてもらってきたからっ!!!!」

帰ってきた柚木の父が突然テーブルに叩きつけたのは同じような1枚のプリント

「・・・え?」
「いやー、祥子ちゃんばっかり頼るのズルくなーい?」

ニコニコした球によく似た顔が柿内に近づく

「おめでとー!カッキー!」
「あ、ありがとうございます」
「・・・近ぇし・・・暑苦しいし」
「流ちゃんがまたまた酷いーーーっ!!!!」

祥子が「いつも通りよ」と微笑みながら言いながら自分の勧める物件を父の置いたプリントの上に置く

「祥子ちゃぁぁぁん!!!オレだって流ちゃんの役に立ちたいーーーっ!!!」
「決めるのは2人よ。よーく見て?ほら、お父さんたら何も考えてないから自室がないでしょ?」
「あ、ホントだ」
「いや、でも・・・寝室広いから・・・リビング広いし!!!友達も呼んだりする・・・だろ?1LDKもいいよな?!」

確かに広さは柚木の父が探してきた物件が広かったが、柿内は困って柚木を見るけれど、柚木はみかんを剥くのに夢中で考えてもくれない様子である

「柿内くん、自室必要よねー?」
「ご飯をこの広いダイニングで食べたいよね?!」
「えっ・・・と・・・柚木さん!ちょっとは考えてよ!!!!」
「あー?柿内が決めた方」
「ちょ!!!」

みかんを口に入れて柚木はまた次のみかんに手を伸ばす

「ちょっと・・・柚木さん、来て」

両親の前から柚木を引っ張ってリビングを飛び出す

「・・・決まってんだろー?お前」
「は?」
「母さんのほー」
「?!」
「・・・だろー?」

柿内はひとつ頷いて「でも」と続ける

「お父さんの断ったら厄介なくらい拗ねるんじゃねぇの?」
「・・・」

あまり会ったこともないはずの父を理解している柿内に驚いた後笑う
間違いなく拗ねてめんどくさいくらい泣きついてくるだろう・・・

「・・・で、球さんたちどうだろう・・・とか思うんだけど」
「は?球?」
「・・・あの人たち半同棲状態だろ・・・だったら・・・まぁ、少し学校遠くなるし、球さんにも聞かないとだけど」
「お前すげーわ」

柿内の肩を叩いてリビングへ戻る

「母さんのに決めた!」
「流ちゃぁぁぁぁぁーーーーんっ!!!!オレのなんでダメ?!なんでお母さんなの?!いつもいつもなんでぇぇぇ!!!お父さんダメ?流ちゃん、お父さん嫌いー?!」

予想した通りの反応で抱きつかれた柚木は必死に父親を引き離そうとしながら「待て!待って!!!」と柿内に助けを求めるが、柿内もどうしていいかわからず苦笑する

「球!球たち!!!あいつらなら寝室1つでも問題ねぇって!!!父さん!苦しい!」
「・・・球ちゃん?」
「そう!球と竹市さん!!!」

父は柚木を離すと「そっか。そうか・・・」と呟いてまた柚木を抱きしめる

「流ちゃんありがとぉぉぉ!!!!お父さん思いつかなかったぁぁぁぁ!!!!」
「オレじゃねぇ!!!!柿内!柿内が言った!!!離せぇぇぇぇ!!!!」
「・・・カッキー?ありがとぉぉぉ!!!!カッキーありがとぉぉぉ!!!!もううちの子になればいいよぉぉぉ!!!!大好きーーーー」

柚木から離れて柿内を抱きしめる父。今度は柿内が慌てて困った顔で柚木に助けを求めるが、柚木は決めた部屋のプリントを見つめるだけで助けてはくれなかった




「で、いつ見に行けるわけ?」
「住みたいなら明日からでも?」
「え?」

祥子の言葉に柿内は目を丸くする

「だってー・・・柿内くん受かるって信じてたし?もうとっくにいつでも住めるようにしといてねってお願い済みー」
「・・・それ、もしオレらが父さんの選んだらどうするつもりだったんだよ」
「ないない!私のほうが柿内くんを知ってるからねー」

ニコニコと他のプリントを片付ける祥子を見ながら柚木は「いつまでも勝てない」そう思ったのだった







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青春はプールの中で6-18 - 01/24 Sun

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「柿内!」

名前を呼ばれて振り返るとトレーニング途中で飛び出してきたような柚木の姿があって微笑みながら席を立つ

「・・・行く?」
「ん・・・片付けるから待って」

柿内は残っていたコーヒーを飲み干すとゴミ箱へトレーに乗ったゴミを突っ込んだ

「おめでとう・・・でいいんだよな?」
「ん・・・見る?」
「いや・・・とりあえず家行って物件の話聞いて・・・いつ見に行ける?明日?」
「・・・いいよ」

いつもよりも興奮気味の柚木を見ると合格を喜んでくれているのだと判って嬉しくなる
今日、話を聞いて明日もう見に行けるだなんてそんな急な話もないだろうけれど、一緒に暮らすことを楽しみにしてくれていることがただ嬉しい

「なぁ・・・」
「うん?」
「・・・よかった」
「うん」

それ以上の言葉が見つからない
もっと褒めたい。もっと喜びたい。でも出てこない

言葉が出てこない

「いつまでこっちいる?」
「・・・っつか・・・オレ、走ってる途中でメール見てそのまま電車乗っちゃって・・・」
「・・・」
「おい、黙るなよ。バカだとか思ってんだろ」

少し拗ねたように口を尖らせた柚木がまた可愛くて顔を背ける

「柿内ー!なんとか言えっ!バカ」
「や、柚木さん・・・あんた可愛すぎて直視できない」
「はぁ?」

メールひとつで電車に飛び乗った柚木が愛しくて・・・受かったことも来てくれたことも夢の続きじゃないかと思う程信じられないこと
強くて頼りになってみんなの憧れの柚木が自分のためにこんなことをしてくれて隣にいることが嬉しくて・・・

そうこうしている間に柚木の家の前に着く

「今日、母さんもお前の連絡待ってるよ」
「え!マジで?」
「ん。だから今日出勤してねぇはず」
「・・・連絡、先しておくべきだったな」

柚木がドアに手を掛けると部屋の中からいい香りが漂ってくる
そしてパタパタと祥子のスリッパの音が聞こえて笑顔の祥子が「おめでとう。お疲れ様」と柿内の肩に触れた

「な・・・え?」
「うん?受かったのよね?」
「はい。おかげさまで合格しました」
「うん。そんな気がしたからお赤飯炊いて待ってたの」

受かったら来るだなんて言ってもなかったし、連絡すらしなかったのに、まるで全て分かっていたかのような祥子に柿内はただ頭を下げる

「今日は・・・正式にっ」
「まぁまぁ、堅いことはいいからー!流、よかったね」
「・・・うん」
「さて、もう少しご飯時間掛かるし、少しゆっくりしてたら?」

柚木が柿内の腕を引いて2階へと上がる

「・・・柿内、もうじき一緒に住めるわけ?」
「ん・・・そう」
「あの・・・さ・・・」
「うん?やっぱ一緒に暮らすの無理?」
「そうじゃないっ!違ぇ・・・けど・・・オレ、何もできねぇぞ?寮で洗濯はなんとかやってたけどメシとか・・・お前忙しくても・・・米炊いて卵焼きと目玉焼きとゆで卵くらいしか」

卵料理ばっかりだな。と笑いながら柚木の手に触れる

「いいよ。オレ、あんたにメシ食わせるの好きだから」
「掃除だってできねぇし」
「うん。それはオレも苦手だけど」

顔を見合わせて笑う
離れていたのは1年足らず。だけど、その時間は長くて恋しくて。毎日会ってタイムが上がらない苦しみも、練習で疲れた体も、これからどうするだとか全部すぐそばで分かち合ってきた相手がいないことが苦しかった

「柿内」
「うん?」
「・・・これからよろしくお願いします」
「なっ!!!」
「・・・よし!これからお前覚悟しろよ?オレ相当ワガママ言うからな?」
「覚悟してるっつーの!でも遠慮ナシでいい。オレも言いたいこと言うし」

柿内の胸に拳がゴンとぶつかる

「絶対だぞ!ケンカだって遠慮しねぇからな」
「いや、頭突きはホント勘弁」
「ああー・・・まぁ、あれはお前がごにょごにょゴネたからで!!!」

柿内は笑って「はいはい」と言いながら柚木を見つめる
ワガママなんて全部聞いてやりたい
他の人にワガママなんてもちろん、気を遣う柚木が言うのは特別な証拠だから






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青春はプールの中で6-17 - 01/23 Sat

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冬の寒さがきつくなる頃、柚木の退寮手続きが終わって一時的に球の部屋へと退避する

「流ちゃんー!オレ明日から合宿なのに1人でここで待つの平気ー?テスト科目もう終わったなら実家に・・・」
「何をそんなにビビらなくちゃなんだよ」
「だって・・・発表明後日でしょ?」

柚木はポテトチップスを頬張るとカレンダーを見つめる
印の付いた日付。柚木が付けたわけじゃないその印は柿内の合格発表の日で、球も合格を祈っているのだと感じさせる

「1人の方が楽だろ・・・母さんやら舞が気を遣ってくるのが嫌だし」
「んー・・・まぁそうかもしれないけど・・・たけちゃん呼んであげようか?ほら!受かった時すぐ喜び分かち合いたいよね?!」
「・・・受かったらすぐ帰るし」

冷静な弟の言葉に球は一瞬固まった後笑う

「そっか!そうだよね!受かってたらカッキーのとこすぐ行きたいよね」
「・・・っつか部屋、母さんが幾つか候補上げてくれてるから・・・」
「うん!そうだね!うんっ!」

球は胸をなでおろすとカバンに合宿のための準備を詰める

「なー」
「うん?」
「もし・・・もし・・・あいつこっち来られなかったら母さんの用意してる物件のどれかに一緒に住む?」
「・・・いいよ」
「あー、でも毎日のように竹市さん来るのもなー」
「オレはあんまり家にいないからね・・・」

柚木は「あー」と思い出す
オリンピック開催年。今よりもずっと合宿も多くなる勝負の年

「でも、きっとカッキーは合格してる」
「まぁ・・・そう思うよ。あいつ、やるときはやるからな」

球は信用しているのだな・・・と思いながら柚木を見つめる
優しくて可愛い弟。弟なのに頼りになってなんでも相談したし、話をしてきた。その弟が昔よりもずっと大きく見える。体の大きさだけじゃない。心の成長

「流ちゃん」
「あー?」
「オレにも結果連絡してね?」
「んー・・・そうだな」

ポテトチップスの中身をサラサラと口の中に流し込むとテレビのチャンネルを変える
変えても興味のあるものがなくて結局消すと「走ってくる」と出て行った柚木が見えなくなると球は少しだけ吹き出した

「流ちゃんも落ち着かないんだ」

恋人と一緒に暮らせるか否か・・・柚木でも落ち着かないこと





その日は朝から携帯を目の前において鳴らない電話をただ睨んでいた

発表なんてもう終わっていて連絡ができない結果だったのではないかと思うと自分から携帯を握っては掛ける直前で手を止める
朝から何も食べていないことを思い出してひとつため息を吐くとポケットに携帯と財布をねじ込んで靴を履く
家でじっとしているから余計にモヤモヤするのだと地面を蹴って走り出した



朝と昼兼用の食事を摂った後、コンビニで肉まんを買った帰り道、柚木のポケットが震えた

『柚木さんの実家にもう1度同居の挨拶してきます』

受かったとも何も書かれていない文章
それでも柚木はそのまま走り出す。ポケットの財布の中身が足りるかだとかそんなのも覚えていない。でもそのまま駅へ向かう

『電車乗ったから待ってろ』

そう電車の中で汗の流れる額を拭ってメールを送るとただただ窓の外を見つめて早く着かないかと願い続けた





柚木からのメールを見て柿内は口元を緩める

届いた合格通知。電話をしたらすぐに会いたくなるからわざわざメールにしたのにすぐに電車に飛び乗った柚木も自分と同じ気持ちだと判る

柿内は柚木の実家最寄駅近くにあるファーストフード店に入るとコーヒーとハンバーガーを頼んで席に着く
遅い受験勉強のスタート。まさか本当に受かるだなんて願ってはいたが思ってはいなかったこと

睡眠時間を惜しみながら勉強した日々。追い込み時期には柚木との電話もそれまでの半分以下に控えたし、ひたすら耐えた数ヶ月。それでもきっと甘い方だとは思う。だが、これまでまともに勉強すらしてこなかった柿内にはかなり頑張ったこと

「・・・っ・・・」

突然受かったという事実が体を襲ってきて笑いが込み上げる。口元を押さえて下を向くと体がただ震えて傍から見たら不審人物だろう・・・

『あと3駅!どこ?』

メールが来て今いるファーストフード店の名前を送信する
あと少し・・・少しで会えるのだと思うと嬉しくてまた笑いそうになって下を向いた







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青春はプールの中で6-16 - 01/22 Fri

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世間がクリスマスに浮かれていても受験を控える人間には浮かれてもいられない時期

柿内は机に向かってふと手を止めて顔を上げる
時計の針が丁度1番上に重なるまであと数分・・・シャープペンの代わりに携帯を手にするとひとつだけ深呼吸して見慣れた番号を表示させる

何度か電子音が耳に響いたあとに聞きなれた、けれど懐かしいような甘い声が耳に広がる

『もしもし』
「・・・おう」
『勉強はいいのか?受験生ー』
「・・・ん・・・」

その間も柿内はずっと時計を見つめたまま
そして針が1番上に重なる

「誕生日おめでとう」
『お?0時か!うん!ハッピーバースデーオレ!』
「・・・ちゃんと祝えなくて悪い」
『いやー?いいし。んじゃー、柿内くん!ドア開けてみようか?』
「は?」

柿内は自室から出ると玄関のドアに手をかける

『 勉強ちゃんとしてるお前にはサンタさん来るかもしれねぇよなー?』

ガチャ・・・

「うぃーっす!メリクリー!」

電話を手にしたまま呆然と目の前に立っている人を見つめる

「・・・」

夢だと思った
会いたいと思っていた人が目の前にいる

「いや、お前、来れねぇって言ってたけど、勉強の邪魔になるかもとか家族いたらどうしようとか悩んだけど・・・」

まだ喋っている柚木の手を引くと家の中へと入らせてそのまま自分の部屋に引っ張っていく

「おいっ!靴まだ片っぽ履いて・・・」
「柚木さん」
「おう?」
「柚木さんっ・・・あ、柚木さんだ」

抱きしめて目一杯、肺が痛くなるほど息を吸い込むと確認できたようにホッと腕を緩める

「・・・すぐ帰るから」
「すぐ?」
「まだ勉強すんだろ」
「ん・・・だよな」
「柿内・・・帰るから」
「・・・明日、今日よりもっとやるから・・・ダメ?」

抱きしめられてベッドへ押し倒されながら言われるセリフじゃないと柚木は苦笑する

「ダメ」
「っ・・・」
「っつか、今日何も準備してきてねぇし・・・お前が受験終わるまでっつっただろ」
「・・・ダメ?」

ジャージの中の昂りを押し付ける

「ダメだっつってんのー」
「オレ・・・もーヤバい。すげぇ今したい」
「柿内ー!」
「挿れないから・・・ダメ?」
「こーいうときだけ甘えんなよ」

色の灯った瞳は飢えた野獣のように見える
切ない表情が柚木の心を揺さぶってくる

「オレだって我慢してんのに・・・」
「っ・・・あー!もう!!!判った!判った!悪い」

解放されてベッドから降りると柿内は頭を掻きながら柚木から離れる

「キス・・・だけくれよ」
「っ・・・」

拷問にも思える柚木の言葉
そっと頬に触れてキスを落とす

「誕生日プレゼントサンキューな!」

そう言って笑う柚木を抱きしめる

「柿内ー・・・?」
「うん・・・少しだけ・・・もう少しだけこうしたらまた勉強するから」
「・・・5分だけな」

静かな抱擁
身じろぎをしたら均衡が崩れそうな気がしているのは2人とも同じでただ柿内は柚木を抱き締めて柚木は柿内の腕の中でじっと息をひそめる様にして背中に回したい手を止める

時計の針の音が部屋に響いて少し離れると目が合う

「・・・ありがと・・・」
「あ?・・・あー・・・?うん?」

なぜかお礼を言われたことに首を傾げると離れた場所から冷えていく感じが心に寂しさを感じさせる

「んじゃ・・・帰る・・・」
「あー・・・うん・・・」

スルリと腕の中からいなくなった柚木の腕を思わず掴む

「・・・何?」
「・・・何もしないしっ・・・ちゃんと勉強するからっ・・・」
「?」
「泊まってくとか無理?」
「いや、邪魔したくねぇっつーの!っつか来たこと後悔させんな」

唇を噛むと掴んだ腕を名残惜しいまま離す

「・・・気をつけろよ?」
「んー!一緒にこっち帰ってきた竹市さんに車で迎え来てもらうし」
「・・・」
「そんな顔すんな。球もその車に乗ってる」
「べ・・・別に・・・」

柚木は少し笑うと手を伸ばして柿内の頭を撫でる「そんな顔してた」と言って部屋のドアに手を掛けた

「・・・オレ、絶対受かるから」
「おー。受かって貰わねぇとあの寮、2月には出るし困るぞ?」

柿内は頷くと柚木の背中を見送った
受験まであと少し
桜咲くように祈りながら柿内は机に再び向かうのだった




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