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2月29日 - 02/29 Mon

trackback (-) | comment (2) | つれないキミと売れてる僕番外編
朝、冷たい空気が身を引き締めさせる・・・

里見の早起きは寒い冬でも変わらずで、今日も同じ・・・いつも通り早くに目を覚まし、コーヒーを口にしながらパソコンに向かう

トントン

「・・・?」

里見はコーヒーを置いて時計を見上げる。須野が起きるには早い気がしたけれど、急に仕事が入ったのかと思いながらドアを開ける

「おはよう!」
「・・・おう」

着替えているわけでもなく、部屋着姿の須野にますます意味が分からなくて首を傾げる里見

「お前、仕事は?」
「え?言ってなかった?今日休みだよ」
「・・・時計見たか?」
「うん?あ!早起きだって?だってー・・・だってさぁ」

少しだけ照れたように笑った須野が里見の手を握る

「今日まだ2月なんだよ?」
「・・・だから?」

確かに今日は2月の最終日。うるう年だから29日・・・それが一体何だというのかと考えるけれど全然思い浮かばずにため息を吐く

「今年は1年が366日もあるんだよっ?!」
「お前がちゃんとそれを判ってて安心した」
「だからっ!だぁかぁら・・・」

里見を抱きしめると自分の羽織っていたブランケットをふわりと里見にも掛けて一緒に包み込む

「今年は里見のコト1日多く愛せるんだよ!!!!」
「・・・なんだそれ」
「え?!だっていつもだったら毎日好きだって言っても365日分しか言えないのに今年は366日分言えるんだよ?今日は特別な1日なんだよ?」

里見はうるう年の説明をしようとして口を開きかけてやめる。須野の言うように単純に1年で1日が多い日。そう思えばいい・・・いくらウンチクを垂れたとしてもそれは変わら

ない1日。喜んでいる須野を混乱させる必要もない

「で、そんな特別な日にお前は何がしたいんだよ」
「そんなの今日1日余分に里見を愛したいだけだよ。大好き!好きー!大好き」

最後の「大好き」だけ低く、色を持ったような声で囁かれてゾワリと粟立つ肌

「1日中ヤりたいってことか?お前にしちゃあなかなか言うようになったよなぁ・・・」
「え?!僕そんなこと言った?!」
「1日オレを愛したいんだろ?」
「うわ!いや!違っ・・・違わないっ!いや!え?!ええ!?」
「まぁ、急ぎの仕事はねぇしベッド行くぞ」
「え!朝だよ!?ホント?里見?里見っ!!!」

手を引かれて寝室へ連れていかれる須野。戸惑いながらも嬉しくてにやけた顔で里見の後ろを追う

うるう年。須野にとっては1日余分に里見を愛せる特別な日・・・いや、彼にとっては毎日が里見を愛するために特別な日々





つれないキミと売れてる僕 番外編 2月29日 おしまいおしまい





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つれないキミと売れてる僕8-20 - 02/29 Mon

trackback (-) | comment (0) | つれないキミと売れてる僕
現場で葛西の怒号が飛ぶのもいつものこと。もうそんな現場にも皆慣れてきた。伊月と河野がどうなっただなんて葛西も知らないことだったし、葛西にはもうどうでもいいこと

この間、別件で帰ったとき見た2人の状態は本当に幸せそうでいつも通りで・・・いや、里見が優しくなった気がした
須野がいつも里見を追いかけていたのに追いかけなくてもそこにいる里見・・・
思い出すだけで笑ってしまう2人の微笑ましい関係



「うぃーっす」
「な、光どうしたの?!」
「んー?この近くのなー、植物園が丁度いいんだ」
「なんの話だよ」
「ネタ探しの話」
「あー、うん。そうなんだ・・・」

紙袋を持って現れた里見から手土産を受け取ると河野はここにいるのに平気なのかと少しハラハラする

「なんだよ」
「ううん!あ、須野ちゃんは?」
「あいつは鍛えてる」
「なんだよそれー」
「次の役がチャラいマッチョってどんな映画だよなぁ?どうも金髪にしたりするらしいぞ」
「・・・それだけで気になって見たくなるじゃん」

葛西が笑うと里見もつられて「確かに」と笑う

「こないだ伊月から電話あってさ」
「うん?」
「かすみに謝られた」
「・・・そっか」
「おう」

きっとあの後を気にしていただろうと里見は葛西には言いたくてここへと足を運んだ。ネタ探しなんてついでの話

「もー2人は無敵なわけだ?」
「あー?」
「ううん。なんでもないー!」

葛西は笑う
揺らがない2人の想いがあればきっとこれから何が起こっても乗り越えていくのだと思う

「あ!皐月先生!」
「おう」

手を挙げた先に伊月と河野。河野はぺこりと頭を下げて立ち去ろうとするのを伊月に腕を掴まれる

「ねー!聞いて!かすみちゃんオレの顔タイプじゃないって言うですよー!」
「まぁ、オレの顔がタイプなんだったらお前は違うだろうなー」
「うっわ!ひっでぇ!」

伊月の話に軽く里見が笑う
河野は下を向いたままで葛西は眉を下げる

「かすみ」
「はいっ!」

顔を上げた河野が里見を見ると里見の大きくて細い手がくしゃりと柔らかい髪を撫でた

「オレらもう気にしてねぇから」
「っ・・・」
「オレがイケメンすぎるのが悪い」
「・・・反論したいのに!反論したいのにっ!!!」
「外見に関しては完璧だからな!オレ!あと才能も溢れてる!惚れないのはおかしい」

伊月は河野の腕を掴んだまま里見の腹をつつく

「え!何!鍛えてんの?」
「おう。見る?見たい?」
「や、光、脱ぐなよ?ここで脱ぐなよ?」

葛西が止めるのも聞かずシャツを肌蹴る里見の彫刻のように美しい体

「美しいだろ?」
「・・・監督ー、今すぐ目の前の人、そこの崖から突き落としたいです!」
「うん。オレもねー、光に出会ってから何度も思ったー!完璧すぎてムカつくだろー?でも憎みきれないのがまた辛いー」
「当たり前だ。美しいものは皆に愛でられるようにできてんだよ!」

河野の瞳から涙が溢れる
ぎょっとした3人は河野を見つめると突然笑い始める

「ホント・・・カッコよすぎる皐月先生が悪いですー」
「・・・おう」
「あたし!もっといい女になってあのとき逃した魚はでかかったー!って後悔させてやるからっ!」
「最初からそうしろって。オレもう食っちゃったから後悔しねぇかもしんないだろ?あーあー?勿体ねぇなぁ?」

里見の笑顔が眩しくて河野は涙を拭くと笑顔を見せる

「あたし!諦めませんから!正々堂々行くけどまだ諦めませんから!」
「えー!オレがいるじゃん!」
「要くんはヤダ!なんか・・・ヤダー」
「趣味も合うしさぁー!!!ねぇ、かすみちゃんー!皐月先生の小説の話で昨日も盛り上がったじゃーんっ!!!!ちょ・・・待ってっ!待ってってー!」

走り去っていく河野を追いかける伊月。残された里見は「若いな」と呟きながらシャツのボタンを留めた

「いいのー?あれで」
「おう。まぁ、あれ、バラさねぇだろ。伊月がなんとかしそうだしなぁ?」

まだ不安そうな顔をする葛西の額を指で弾く

「痛いーっ!!!」
「オレはまぁ、いい思いさせてもらっただけだし?それに罪悪感感じたのを須野がなーんか喜んでるし?まぁ、いいんだろ。これで」

額をさすりながら葛西は頬を膨らませると里見の頬をつねる

「反省はしろよー?」

里見の手も葛西の頬をつねる

「オレの美しさが原因なら反省しようがねぇだろーが!」

葛西の手に力が入ると同時に里見の手に力が入る

「だからってほいほい抱くんじゃないのー!」
「ほいほいなんて抱いてねぇっつーの!」

ギリギリとつねりあげて同時に手を離す
ジンジンと頬が痛くてなんだかおかしくて2人は吹き出した

「須野ちゃんはこっち来るのなんか言ってた?」
「いや?何も」
「・・・何も?」
「おう」

何も言うどころか出てくる前に「好きだ」と言った里見に泣きながら喜んでいたのは里見だけの胸に留めておく
何気ない行動、何気ない言葉ひとつで喜ぶ須野が大事。そう思うと里見の胸が熱くなるのだった




つれないキミと売れてる僕 8幕 おしまいおしまい




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つれないキミと売れてる僕8-19 - 02/28 Sun

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果てた後、里見の中からまだ重量のあるそれを抜き取るとそっと里見の白い腹を撫でる

「・・・」

それは愛しそうに撫でる
たまに腹へとキスを落としてまた撫でる。里見としてはなんともモヤモヤした気持ちになっていたが、とうとう黙っていられず口を開く

「お前・・・判ってると思うけど」
「うん?」

まだ幸せそうな蕩けた顔をした須野が里見の頭の下に腕を滑り込ませる

「そんな顔して腹さすった所でオレ男だからな?」
「ん?何のこと?」
「だから・・・ガキなんてできねぇし・・・さすがにお前だって判ってるよな?」

須野は「えっ」と驚いた顔をして笑った後に「違うよ」と里見にキスを落とす

「怒らないでね?」
「あー?」
「里見のお腹、少し柔らかくなってて・・・あ、違う!細いよ!別に太ったとかそんなこと言ってないよ?!でも・・・なんか最近触り心地よくって」
「っ!!!!なっ!!!!え!!!!!!」

里見は慌てて起き上がるとバタバタとベッドを降りてバスルームへと向かう

「あー・・・違うってぇ」

須野は笑いながら里見を追いかけると案の定、鏡の前で体をチェックする里見がいた
ポーズを取って体を見て何度も唸る

「・・・ここか・・・これかっ」

そして少しだけ脇腹を摘まむとひとつため息を吐いて「歳か?歳なのか・・・?」と呟いてそれを優しく眺めていた須野の肩を掴む

「・・・おい・・・」
「うん?」
「お前どこのジム行ってんだ」
「え?」
「オレも通う!っつかトレーナーつけるか・・・そんぐらいの投資必要だな。そうしよう」
「や!だから違うんだって!ねぇ!里見!!!里見ぃーー!」

素早く身支度を整えた里見をなんとかなだめて自分の部屋へ戻ると須野も急いで荷物をまとめる
車に乗り込むと里見からそっと須野の手を取る

「・・・やばい。僕にやけ過ぎてない?」
「おう」
「よし!早く帰ろ!もっとくっつきたい!帰ってもっともっといちゃいちゃしよう!」
「バーカ。帰ったら山口さんに謝ってジムだ」
「えー!明日からでいいじゃぁぁぁん!!!!!」

須野の嘆く声も前なら呆れた顔をしていたのに微笑んでしまう自分は変わったと思う
こうして自分から須野の手を握ってしまうのも須野を喜ばせたいと思うのも変わったからだと思う




「バカ!バカ!バーカバーカバカ!」
「ごめんなさいー!!!でも、でも!!!僕走ってたよ?腹筋もやってたし自主トレ?」
「バカ!何も言わずにいなくなったことを言ってんの!!!」

部屋で山口に怒られているのを里見はコーヒー片手に読書をしながらBGM代わりにする
帰ってきてすぐジムだ!と言ってはいたが、時間的にももうジムにも行けずただ山口に謝りの電話を入れたらその直後に山口は須野の部屋へやってきてずっとこの状態
自室へ行けば静かな時間が手に入るのに須野の部屋で寛いでいる里見に目を向ける

「・・・里見くん」
「はい?」

突然名前を呼ばれて顔を上げた里見に山口は近付いてきて「キミも!」と怒られる

「は?」
「キミがいなくなるとホントこいつダメ!だから突然いなくなるの禁止!」
「あ、里見悪くないから!全部僕だから!」
「そう!お前が全部悪いけど里見くんがまたいなくなれば同じことやるだろお前は!!!」

里見が怒られると須野が庇う。山口の前で小さくなっている須野に笑うと

「まぁ、次は一緒に失踪するときくらいですよ」
「なっ・・・やめてー!本気でやめてぇぇぇ!!!」
「里見ぃ・・・僕、どこにでも付いて行くよ!」

その言葉に幸せで蕩けた顔をした須野、笑う里見の声と嘆く山口の声は須野の部屋にしばらく響いていた





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つれないキミと売れてる僕8-18 - 02/27 Sat

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須野 寛人だとバレて話しかけられることもあったが、囲まれたりすることもなく、握手くらいでそれもやり過ごすと平日の空いている小さな植物園はゆっくりと時間が過ぎるのだと知る

いつものようにボーッと薔薇を見ながら里見のことを考える
ただひたすら待ち続けていた

「・・・」

視線を感じてまたファンだとか言われるのかと顔を向けるとスタイルのいい長身の男・・・

「っあ・・・」

須野は立ち上がるとすぐに愛しい人の傍に駆け寄る

「・・・バカなの?お前」
「バカじゃないよ?」

またデタラメな生活をしているんだろうと痩せた頬に触れようとすると手を叩かれ振り払われる

「山口さんから連絡来た」
「あー・・・そっか。ジム行ってないや」
「・・・バカ。帰るぞ」
「あ、里見も一緒に?ねぇ!里見も」

里見は何も言わずに出口へと歩いて行く

ずっと待っていた・・・そう思うと里見は唇を噛む。こんなにも惚れられる理由がどこにあるのか・・・見た目だけなら理解できる。でも、中身を知ったら呆れるだけじゃない

のか。いい加減に呆れられてもおかしくない・・・そう思いながら里見はホテルへと戻っていく

「・・・里見」
「何、自然にオレの部屋入って来てんだよ」
「里見・・・こっち見て?」
「・・・」
「聞いた。そりゃ妬いたし心痛い・・・でも、里見がこっち見てくれないほうが僕は辛い」

顔を上げて振り向くと情けない顔がすぐに笑顔に変わる

「ねぇ、里見、指輪つけてくれてるんだね」
「・・・」
「里見ー」

抱き締めながら愛の言葉を耳元まで囁く

「さっきのところで言いたかったなー」
「あー?」
「うん?薔薇がいーっぱい咲いてたでしょ?真っ赤なやつ」
「オレ・・・」
「うん。いいよ。里見は僕のこと好きだから」
「なっ・・・」

離れようとする里見を離さない

「好きだから帰ってこられなかった?一緒に帰ろ?」
「・・・女抱いたんだぞ?」
「うん。僕は少しだけその子が可哀想だなーって思うよ?」
「なんだと?」
「・・・里見のこと好きで好きでどうしようもないって気持ち僕が一番知ってるもん。でも僕は体なんかより里見の全部が欲しい。心が欲しい」

里見は黙ってキスをする

「ほら、里見、僕に心くれた」
「キス・・・くらいで何言ってんだよ」
「ねぇ、里見?」
「っ・・・オレが女の誘い断るとろくなことになんねぇ!オレは」
「うん。里見は魅力的だから」

須野から薔薇の香りがする気がする
この場にないのに香りが移るほど待っていたからなのかは判らない

「どんだけ待ってたんだよ」
「うん?開園から閉園まで」
「・・・夜は」
「うん。ここに部屋取ってた」
「は?」
「里見はどこの部屋かなー、窓から同じ景色見えるのかなーとか考えながら夜は過ごしてたよ?」

真っ直ぐな愛情に里見は「バカだな」と呟くと須野の背中に手を回す
知っている
全てを受け入れて全てを愛してくれるこの大きさを知っている

「須野、してやるからベッド乗れよ」
「え?・・・明るいよ?」
「いいから」

須野はベッドへ座ると里見の手がファスナーを下ろすのを見つめる

「なんだよ。期待しまくり」
「だって!!!っ・・・」

ふーっと息を吹きかけられると期待に膨らんだそこが反応してしまう

「あ・・・さっ・・・」

口を開いて先端を含まれると舌先で突かれて里見の肩を掴む

「何?たまんねぇ?」
「んっ・・・里見の口・・・僕のっ」
「初めてじゃねぇだろ」

それでも里見がしてくれることなんて数えるほどだし、こんな昼間の明るい部屋で里見の姿がよく見えて更に卑猥で・・・

「あっ・・・ふっ・・・んっ」

口元を手で塞ぐと荒い息が指から漏れる

「あ、里見、吸ったらダメ・・・出る」

里見の頭を掴むと口を離すよう促す
「早ぇよ」と呟きながら口端から溢れた唾液を手で拭うとシャツを脱ぎ捨てて須野を押し倒して上へ乗る

「挿れてぇ?」
「んっ・・・里見がいいなら」
「いい・・・お前としたい」
「っ・・・」

里見の腕を掴んで体勢を変えると荒々しいキスをする

「里見ズルい・・・僕を煽るんだもん」
「ホントだぞ?お前としてぇの。お前にだけだもん。最近こんな興奮すんの。ほれ」

里見の手が須野の手を取って自身に触れさせると須野の唇がまた荒々しく里見の唇を塞ぐ

「ごめんね?今日、何も持ってない」
「ん・・・」
「だから・・・」

履いていたデニムを脱がせて足から抜くと足を高く上げさせる

「ちょ・・・」
「ごめんね。濡らさないと」

濡れた生暖かい感触。舌が押し広げるようにして入ってくるとその感覚に唇を結んで耐える
舌と共に指が入ってくる頃にはすっかり蕩けたそこに里見は須野の頭を掴んで訴える

「大丈夫そ?」
「ん・・・大丈夫だから・・・」

須野は自身に手を添えると赤く誘うそこへと誘導する

「っ・・・あ」
「里見、大丈夫?」
「ん・・・」

何度も「痛くない?」そう聞いてくるのも変わらない
痛みなんて大して感じない程に里見の体は須野の形も覚えたのに須野は変わらない
初めてのときより多少保つようになったけれど相変わらず幸せそうな顔で里見を堪能する

「っ・・・すご・・・気持ちいい」
「あぁ・・・」
「里見もイイ?ココ?」
「っ・・・違・・・」

「じゃあココ?」と位置を変えて擦る須野の頭を撫でて「違う」ともう1度言うと笑顔を浮かべる

「お前とするのが気持ちイイ」

そう耳元で囁く

「っ・・・嬉し・・・里見、僕も里見だけ。里見だけ」

そんなこと知ってる。判っている。須野の愛が変わらないのは知ってる







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つれないキミと売れてる僕8-17 - 02/26 Fri

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葛西から事情を聞いた須野は慌てて家を飛び出した
ホテルの場所も聞いたけれどそれがどこかなんてすぐ判る

デートした植物園のすぐ近くにあるホテル・・・

メール画面を立ち上げると『植物園で待ってる』と送信する
里見がなぜ帰ってこないか・・・自信を持っていいのならばきっと自分と顔を合わせたくないからだと考えると里見に対しては愛しささえ感じてしまう
浮気?浮気じゃない。里見が傷つく行為をされただけなのだと思うと苦しいけれど、他の人間とベッドを共にしたという怒りは湧いてこなかった

園内に入ると里見が教えてくれた花を見て。少しルートを変えて歩くと池で鳥に餌をやれると書いてあって、里見が来たら一緒にやろうと微笑みながら里見を待つ




ピリリリ・・・

携帯が短く鳴って開くと須野からのメール

『植物園で待ってるね。またデートしよう』

その文面を見て頭を抱える。ここにいるのもバレている・・・きっと葛西に知られて由梨乃へ送ったFAXからバレたのだと舌打ちすると窓の外を見つめた
すぐそこにいる。でも怖い

自分の魅力は知っている。だから魅了し、惚れられるのもよくあること。里見は過去の事件を思い返しながらため息を吐く
誘いを断るのは須野がいるから。親友の彼女だから・・・でも、断ると事件が起こってしまう。だったらもう断らなければいいのではないか・・・しかし、それでは須野の存在

があまりにも悲しくて・・・受け入れたほうが確実に上手く回る・・・けれど須野がいるからそれは回避したい・・・須野の存在が里見の中で大きくなって逃げられなくて考え

すぎてしまう・・・

それでも別れることは不思議と思い浮かばない
きっと須野が笑ってそれすらも受け入れるだろうから・・・その笑顔の端に悲しみが浮かんでいるから。見たくなかった

見たら心が痛むから




須野は時計を見つめながらベンチに座って花を見る。そこには薔薇が咲き誇っていてむせかえるような甘い香りに目を閉じる

・・・色によって花言葉が変わったりするのだと聞いたけれど須野でも知っている赤い薔薇の花言葉

情熱。愛。あなたを愛しています

須野は里見を想う。里見以外に思い浮かばない。早く会って愛を囁きたい。里見は何も気にしなくていい。自分の愛は変わらない・・・そう言って抱き締めたい

それでも里見がそこへ現れることはなかった





ピリリリ・・・ピリリリ・・・

「?」

里見が携帯を見ると須野のマネージャーである山口の名前が表示されていて里見は電話に出る

「はい」
『里見くん!あいつ知らない?!』
「え?」
『あー!そっちにもいないかぁ・・・どこ行ったんだよぉ!トレーニングコーチから連絡来てここ数日姿みてないとか言うし!!!あー!!!里見くん!もうキミしか頼れるの

いないからあいつどーにか説得してこっち戻してくれない?オレの電話無視するけどキミからなら連絡つくよね?』

里見は窓の外を見る
あれから数日。閉園時間もあるのだから流石に帰っただろうとは思うが、いない・・・とは言い切れないのが須野の怖いところ。里見は「判りました」と山口に伝えると電話を切って部屋を出た






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つれないキミと売れてる僕8-16 - 02/25 Thu

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「あいつ、不器用なんだ。器用に見えてすっげぇ不器用」
「・・・」
「今までの相手もいくら1回限りっていってもその時その時で愛した子しか無理。あいつに愛を与えられた子はさー、やっぱり諦めきれないだとかますます惚れるんだけど同時

にあいつの人間性?みたいなの見えちゃって結局諦められるんだよな。光は自分以上に愛せるやつなんていないから。1番は自分。それは変わらないんだって光の愛を受けて感

じるんだ」
「・・・」
「でも、君は違う。ってことはさー・・・愛なんて欠片さえもなかったんじゃないのかな」

唇を噛む
なかった。愛なんて全く感じなかった
大した言葉も交わさずに・・・

「なんて言うの?」
「え?」
「オレにも光にも言わなきゃいけないことあるでしょ?!」
「ごめんなさい」

葛西はうーん。とひとつ頷くと

「オレはこれで許してあげる」
「・・・あたしバラそうとかホントに思ってたわけじゃない」
「うん。かすみちゃんはそんなことしない子だって信じてた」
「でもっ・・・悔しくてっ・・・あたしっ!あたしっ」

今まで全て思い通りになってきた。欲しいものはねだれば与えられてチヤホヤされて・・・
手に入らないことがこんなにも苦しいだなんて思ってもいなかったこと

「・・・うん。でも、これからもっともっと苦しい思いするんだよ?思い通りにならないことなんてこれからたくさんある」
「・・・」
「あー、2人が幸せそうに見えたかもだけど、須野ちゃんなんてずーっとずーっと10年以上も苦しい思いしてやっとやっと掴んだ幸せ。光だって今まですっげぇ苦労もあったんだ・・・本人は全部「終わったことだ」「大したことない」ってあっさりしてるけどさ・・・これで壊れたら・・・オレは許せないと思うから覚悟して」

河野は涙を拭いてまた溢れる涙を隠しもせず頷いた
後悔してないわけじゃなかった。いや、寧ろ、後悔しかなかった。あれほど欲しかった里見の体は冷えていて機械的に自分を抱く里見に心だけが傷ついた

「あ、その目!腫れると明日の撮影響くからちゃんと冷やしてなんとかしてね!!!」
「・・・」

葛西が出て行くと葛西の優しさにまた涙が溢れて頬をつねる
泣いちゃいけない。泣いたって何も変わらない・・・いや、この涙と共にこの気持ちを流れ落ちてしまえばいい




「あー、判ったところでどーすんのオレっ!違っててほしかったぁぁぁ!っつかオレ動けねぇし?須野ちゃんに行かせるとかリスキー過ぎるでしょ!!!」
「でっかい独り言っすね」
「ひっ!・・・聞いてたぁ?」

コンビニの袋を手に持った伊月がロビーで頭を抱えていた葛西に足を止めて話しかける

「・・・今度はなんですか?あの人たち」
「・・・」

葛西は少しだけ周りを見て伊月に「ちょっと聞いてくれる?」と部屋へと呼んだ

「っていうかこんな時間にどこいってたの!」
「あ、コンビニでマンガ・・・」
「なんか意外と可愛いとこある・・・じゃなくってー!」

葛西はため息を吐くとどこから話していいのか悩む

「あー、結局かすみちゃんとなんかあったんすかぁ」
「っ!!!!何それ!なんで知ってんの?」
「いや、なんとなく。ある程度は本人からも聞いてたし」

それならば話が早い。と葛西は今の状況を伊月に話すと「どーしたらいいんだよぉ」と泣きついた

「え?普通に寛人くんに迎えに行かせたらいいし」
「ええええー?!でもさぁでもさぁ!!!!」
「いや、寛人くん多分、今、皐月先生が誰か抱いたとか聞いても平気だと思いますよ?先生も先生であり得ないデレ方してるし」

葛西は俯く

「っつか普通のカップルでも喧嘩くらいするのに監督は2人にビクビクしすぎですよ!監督だって夫婦喧嘩するでしょ?」
「オレしない・・・あっ!!!それってもし光が須野ちゃんと別れたら自分がそこに入り込んで光を・・・とか考えてたりする?」
「あー!それイイっすね」
「ナシ!今のナシ!!!!!」

伊月はアハハと笑うと天井を見上げる

「ナイですよ。なんだかんだ言って先生、めちゃくちゃ寛人くんに惚れてるし、寛人くんなんて惚れてるとかもうそんな次元で言い表せないでしょ・・・好きすぎて頭おかしい

。あの人」

葛西はひとつ頷くとそれに同意する

「寛人くんにぜーんぶ話しちゃえばイイっすよ。監督から。でもきっと寛人くん「そっか」で終わります」
「なんかそんな気がしてきた・・・」
「あとはかすみちゃんかーこれからに響かなきゃいいけどオレ結構キツいこと言ったしなぁぁぁぁっ」

葛西は河野の涙を思い出すと頭を押さえた

「とりあえずー・・・先生のこと忘れようと必死だからオレが付け入って来ようかなー」
「は?」
「かすみちゃん可愛いし」
「や、待って!何それ!須野ちゃんと全然違う!」
「え?そりゃ違いますけど?」

ケロっとした顔でそう言うから葛西はため息を吐くと笑い出す

「バレないようにしろよー?」
「あー、そこらへんはぬかりなくやるから大丈夫っす」

伊月は「それじゃあ」と立ち上がると葛西の背中を叩く

「あんまり無理しないでくださいよー」
「兄弟揃っていい男・・・オレ辛い」
「あー、先生言ってたけど監督も昔すっごい可愛かったって。今でも可愛いっすよねぇ?」

伊月が部屋を出て行くと「このたらしが!!!!」と葛西は顔を赤くして呟いた






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つれないキミと売れてる僕8-15 - 02/24 Wed

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葛西は慌てて妻である由梨乃に電話をする

『もしもし?どうしたの?何かあった?』

葛西から時間問わず忙しくしている由梨乃にメールをすることはあっても電話をすることはほとんどない。だから由梨乃は何かあったのだと心配そうな声で葛西の電話に対応す



「ユリちゃん、光、仕事してるんだよね?」
『うん?昨日も電話したけど』
「っ・・・だよね。無事だね・・・」
『え・・・里見さんそっちにいないの?』

葛西は小さくため息を漏らす
安心した。とりあえず事件には巻き込まれていないことに・・・

「うん・・・帰るって言うから帰ったんだと思ったんだけど帰ってもなくて」
『・・・ちょっと待ってね』

ガサガサと何かを探す音がして葛西は由梨乃の存在を有り難く思う
多分まだ職場。忙しいのに葛西の不安を感じて葛西の親友の行方の手掛かりになるものを探してくれる優しさに今すぐ由梨乃に会いたくなる

『あったー!なんかネットがうまく繋がらないとかでFAX来たの!そこにホテルの名前入ってたから言うね?』
「ありがとう・・・ありがとうユリちゃん・・・愛してる」
『うん。私も』

由梨乃からホテルの名前とFAX番号を聞くとそれをすぐ調べる
どこにいるのかは判ったが、帰らない理由が問題だとため息を吐く
不安で不安で押しつぶされそうな須野に里見の居場所を今伝えるわけにはいかない。里見が帰ると言ったのに帰らなかった理由が理由だと思うから・・・自分の想像とは外れて

いてくれ・・・そう願うのに葛西の頭に浮かぶのはただひとつの理由で・・・
・・・思い浮かぶのはやっぱり1人の顔。唇を噛むと葛西は立ち上がった



トントン

「はい?」

風呂上がりであろう河野がドアチェーンの隙間から顔を出して葛西だと判るとドアチェーンを外す

「どうしました?」
「・・・ちょっといい?」
「ええ」

部屋へ入った葛西は大きくため息を吐くと「光のこと・・・」と切り出す

「・・・皐月先生がどうか?」
「返答によっては役下ろす。内容によっては全力で女優生命潰す」
「穏やかじゃないですね」

河野はため息を吐くとタオルをベッドへと投げ捨てる

「何した」
「なんて答えたら監督は満足します?」
「・・・」
「寝ましたけど?あたしも先生もオトナで割り切った関係でしたよ?」
「っ・・・」
「なんで監督がそんなに怒るんですか?」

拳を握り締める。彼女が男ならば殴りたい。いや、自分の立場として、もし男でも殴れないだろう
自分の行動一つで全てが壊れてしまう

「割り切った・・・本当だな」
「・・・そうか。監督も親友ですもんね」
「・・・」
「ズルいです。親友3人組とか・・・実際は男同士のカップルに誤魔化すための監督がそこにいるだけじゃないですか」
「違う!!!!」

違う。それは違う
もし、須野の想いが叶わなくても関係は同じ。里見が心に傷を負えばそれを全力で癒したいとサポートする。須野が叶わない想いが辛いと泣いた夜は酒を飲みながら慰める
変わらない。変わらないと信じている

「あたしだって・・・あたしだってあんなことしたかったわけじゃない!あんなこと言いたくなかった!!!」
「・・・」
「なんで勝てないの?ねぇ、監督!あたしの何が悪いですか?!」
「光のこと好きなの?本気で好きなの?」

河野は頭を抱える
好き
好きなのだ
憧れだけでよかった。でも、実際触れられる位置へと来たら止めることなんてできなくて触れて欲しくて欲しくて欲しくて

「好きですよ・・・好きなのに・・・諦めようとしたのに」
「・・・」
「あたしよりもっともっといいオンナと付き合ってるみたいなこと言って!!!」
「ホントに言った?」

河野は口を閉ざす
言ったか・・・?確かに言ってない
あの時『あいつの悲しむ顔見たくねぇだけ』そう言った気がする
けれど納得がいかない。女好きという評判の里見の今の相手が男だということに




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つれないキミと売れてる僕8-14 - 02/23 Tue

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里見は目を開けるとそっとベッドから降りて身支度を静かにすると荷物がはみ出たままのカバンを持ち『チェックアウトしとけ』と書き置きを残すと部屋を出た

頭痛が酷い。同時に吐き気すら感じるのはきっと罪悪感のせい
今までにこんなにも最悪な関係を持ったことはあっただろうか・・・金持ちと愛人関係を結んだこともあった。でも、それも割り切ってそれなりに楽しんだし、浮気も

数え切れない程したけれどそれも楽しんでしたこと・・・

「・・・くっそ」

カバンから荷物がこぼれ落ちてそれを掴むと道路へと投げつける
帰りたいと望んだのは里見。でも、今はどんな顔をして帰ればいいのかも判らず帰りたくないと望む。それでもここに残ってしまえばまた河野がいて・・・
隠すのは今まで上手くできていた。だからすました顔で須野の前に現れればいいのに・・・須野の顔を見たらダメになりそうで吐き気がする。こんなのは自分じゃない

と吐き気を感じてしまう

里見はその場でしばらく考えるとタクシーを止めてそのタクシーに飛び乗った




里見が帰ってから数日、葛西の携帯が鳴り、着信相手を確認して明るいトーンで電話に出る

『もっしもーし!須野ちゃん元気ぃー?」
『あ、ごめん。今大丈夫?』
「うん!大丈夫ー!どしたー?やだなー、また光とケンカしたから仲裁入れってぇー?」
『え?』
「うん?」

須野が黙り込むと葛西は背中に冷たいものが流れる
中津はもういない・・・でも、里見の美貌でメディアにも顔を出した今、狂信的なファンに狙われてもおかしくない

「・・・光、帰ってるよね?」
『・・・いつ、そっち出たの・・・』
「なっ・・・」

もうとっくに帰って須野といると思ったのに連絡がないのは須野といるからだと思ったのに

『・・・連絡つかないから電話、したんだけど・・・』
「・・・でも、ユリちゃんから何も連絡来ないし」
『仕事はしてる・・・ってことか・・・僕、なんかしたかな・・・重かったとか?』

須野が重いのは昔からだとは言えなくて葛西も唸る
しかし、もし仕事が停まって連絡が取れなくなっていれば由梨乃から葛西へ連絡が来るはずだと気付いて少しだけホッとした
仕事ができる状況ならば襲われた可能性は低いと思う。もし、いつもと里見の様子が違えばそれも由梨乃から葛西へ連絡が来るはずだから

「光、須野ちゃん帰ってきたから帰るって・・・言ってたから須野ちゃんが原因じゃ・・・」

そこまで言って葛西は頭に浮かんだ人物を頭を振って消す

「あ、あのね!じゃあオレ、ユリちゃんからなんとか情報引き出してもらうから!なんか判ったら連絡するね?!」
『うん・・・里見、無事だよね?』
「大丈夫だってー!あいつ結構気紛れで突然取材旅行とかするし!」
『・・・うん』

それでもこんなにも電話に出てくれなかったことはなかった。電話に出なくてもメールは返してくれた。だから須野は怖い
葛西の電話を切った後須野はもう一度恋人の番号へと発信させる

それは繋がることなくただ電子音が耳へと響くだけだった






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つれないキミと売れてる僕8-13 - 02/22 Mon

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里見の仕事の関係上、帰宅することが皆に伝えられても周りは大きな反応はなかった

彼女以外・・・

「帰るんですね・・・」
「おう」
「寂しいなぁ」

里見は笑うと「あ」と思い出したように小さく叫んでポケットから単行本を取り出す

「え?」
「サイン、結局やってなかったからな」
「あ、ありがとうございます!」

両手で本を大事そうに受け取った河野は指に光る指輪を見て大きな瞳で里見を見上げる

「あー?」
「・・・いえ・・・」

そして頭を下げて再度礼を言うと走ってその場を離れて行った




「光、ありがとねー!んじゃー今日はゆっくり帰る支度でもしてー!」
「おう」

葛西にそう言われてカバンに荷物を詰める。持ってきた時から荷物が増えた・・・わけでもなくて、増えたのは須野から貰ったシャツ1枚だったのになぜか全然カバン

に入らない荷物に首を傾げる
荷物からあふれたものを足でカバンに押し付けてみるけれどやっぱりあふれ出してきて「はぁ?」とただ疑問の声を上げた

トントン

「葛西丁度良かった!荷物が・・・あ」

ドアを開けると河野がいてウルウルとさせた瞳に里見はつい「どうした?」と気を緩ませる

ドン

両手で力強く胸を押されてよろけた拍子に河野が部屋へと押し入ってくる

「おい、何すんだよ」
「・・・最後のお願いにきました」
「あ?」
「あたしを抱いてください」
「お前っ・・・諦めるとか言っただろーが」

里見は立ち上がってドアを開けると河野の腕を掴む

「須野さんだったんですね」

河野の言葉に里見は河野を見ると「なんのことだ」と睨む

「恋人・・・だから抱けないんですか?」
「はぁ?お前の妄想には付き合いきれねぇ」

里見は河野を部屋の外へと追い出そうとする

「バラしちゃってもいいんですか?」

ギクリと体が硬直するが、それを表面に出すことはない
表面上繕うことにも慣れている・・・

「バラすも何も気持ち悪いこと言うなよ」
「・・・その指輪!須野さんもしてた。同じだった」
「んなもん似てるだけだろ」

ペアリング。でも薬指ではないもの。ただのファッションリングとして押し通せる。そう須野が言いながらくれたもの

「同じデザイン・・・友達と?あー、女同士でもやりますよ。可愛いデザインだからお揃いーって・・・でも・・・それはなんか違う」
「あー?お前、それ脅迫って言うんだぞ?」
「いい。皐月先生が欲しい」

河野の目が真っ直ぐで里見の背中に冷たいものが走る

「受け入れてもらえないならあたし、悔しくてバラしちゃうかもしれません」
「・・・葛西もきっと同じの貰ってんだけど?」
「・・・嘘。監督してなかったし」
「してなかっただけかもだろ・・・こんな小せぇもん失くしそうだしつけてるだけで」

里見の嘘はペラペラと口を突いて出てくる。けれど、そのひとつひとつをすべて否定されて追い詰められていくのが里見にも判る

「お前、何だったんだよ。こないだの涙は!」
「・・・相手が勝てない相手だと思ったから。歯が立たないんだって思ったから」

河野の言葉に里見はカチンと来る。まるで須野になら勝てると思われたようで・・・須野が見下された気がして。それは恋人だからではなく、親友として腹が立つ

「仮にオレの相手が須野だとしてもお前が勝てるのどこだよ」
「あたし、女なんで!」
「だから?」
「あたしは先生のために子どもも産めるっ!」
「はっ・・・オレは別に望んでねぇっつーの」

そう。別に望んでない。望んでいるのはきっと須野の方・・・

「でも、あたしは女だから負けませんっ」
「・・・だから」
「料理だって掃除だって洗濯もやるしっ!」

須野だっていつもやってくれる

「先生を気持ちよくもします」

須野だってしてくれる

「どこかへ行くときだって気持ちよく送り出すし」

須野だって

「帰るときには温かくしておきます」

いつだって須野がしてくれていること

「・・・それ、お前じゃなくてもできるし。そもそも女じゃなくたってできるだろ。孕む以外?」
「っ!!!じゃああたしはっ」
「何だっけ・・・抱けばバラさねぇ?オレらそんな関係でもねぇしどーでもいいけどめんどくせぇ。とりあえず脱いでオレの勃たせれば?」

里見はシャツのボタンを外すとベッドへと座る
河野はワンピースのファスナーを下ろすとその場でそれを脱ぎ捨てて里見の足元へと跪いた







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つれないキミと売れてる僕8-12 - 02/21 Sun

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夕食も堪能した後、里見をホテルへ送り届けると寂しげな笑顔を浮かべながら手を振る須野
里見は須野に背を向けて歩き出すと不意に振り返る

「・・・須野!」
「うん?」
「・・・気をつけろよ」
「あ、ありがと」

一瞬で笑顔の戻った須野に見送られて里見はわざと振り返らない
振り返ったら引き止めてしまいそうで、引き止められてしまいそうで




「あ、光!丁度良かったぁ!今日のとこさぁ!!!!」
「・・・葛西、オレ、帰る」
「は?え?!あー・・・」
「帰る」

葛西は困った顔をしてから頷くと「わかった」と里見の背中を撫でる

「じゃあとりあえず今から撮影のこと聞いてくれる?」
「・・・なんだよ。意外とあっさり了承すんだな」

仕事を投げ出すなんて!だとか光は一緒に映画作るの!だとか言われるのを覚悟していたのに拍子抜けである

「いや、だって・・・光、判ってる?今までお前、恋人いてもそんなのお構いなしで旅行中でも出張中も相手は現地調達!とか言ってた奴がさぁ・・・恋人が帰ってき

たから帰るって・・・なんかすげぇ胸がキューンってなったっつーの!光に見てもらいたいところって実は撮影ぜーんぶ終わって編集の時でいいし」
「・・・別にあいつが帰ってきたからとかじゃ」
「それに、1人じゃないなら安心だし」
「・・・」

また中津のことかと里見は口を閉ざす
須野と自分の中ではなかったことになっているのに葛西はずっと気にしているのだと思うとどうしたらいいのか判らない

「光って1人だとホーント仕事しかしなくてあとはタバコとビールでなーにもしないからぁ」
「なっ!!!」
「あ、トマトくらいは食べるかー」
「バカ。春子んとこ行くし!」
「えー?でも気付いたら飯食ったのいつだっけー?みたいなー」

葛西の頭をペチリと叩くと「お前もだろ」と呟く

「・・・うん。オレも気をつける」
「おう」
「なーんか集中しちゃうと寝るのもご飯も忘れちゃうよねー」
「・・・倒れるなよ?」
「うん」

葛西はにっこり笑って親友の指に新しくはめられた指輪を眺める

「あ?」
「いいなー。新しいやつカッコいい」
「あー・・・」
「それ、もしかして向こうで買ってきたやつ?!いいなー!オレも真似っこしたいのに無理じゃーん!どこの?どこのー?見せてよー!須野ちゃんオレの分も買ってく

れないだなんて気が利かなーーーーいっ!」

里見の手を引っ張るとその手を叩かれてべそをかく

「・・・須野が作ったらしい」
「ええええ!!!!何それ!すごーい!じゃあオレも須野ちゃんに頼めば作ってもらえるの?!」
「知るか!」

葛西は羨ましそうに指輪を眺めた後、里見を見る

「光・・・オレはさぁ、須野ちゃんがどれだけ光を好きか見てきたし2人が幸せになるのを多分1番祈ってるよ」
「あー?」
「でもさー、ペアだとなんか言う奴いるじゃん・・・でもオレもそこに入ってたらさー、親友の証っすー!とか笑いのネタにできんじゃん」
「・・・意味わかんねぇし」
「オレを利用してよってこと。ズルくなっていいよ。もっともっとオレを利用してよ。そんなのイヤかもしれないけど!須野ちゃんも判ってないだろうけどっ」
「バーカ。んなもん当たり前だ。お前はオレのだし」

葛西は「うん」と笑うとあの日を思い出す
自由にしてくれたあの日を・・・

「オレは光のだもんな!光の好きにするよな!」






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