コイゴコロミズゴコロ2-1 - 08/31 Wed
付き合って判ったこと
残念な人
純情な人
そして
江口のことが大好きな人
新井とデートの約束をした土曜日、まともな付き合いをしたことがない新井にとっては初めてのまともなデートだと知って但馬なりに考えに考えたデートプラン
新井が好きで自分には全く興味のない恋愛ものの映画の前売り券を用意したり、映画館の近くで軽く食べられる少し洒落たカフェもチェックしたし、買い物のコースだって考えた。けれどそれをまさか前々日にキャンセルされるだなんて思ってみなかったこと・・・
いや、少しは考えた
「土曜日、江口がどうしてもバイト代わってくれって・・・ごめん・・・デートまた今度でもイイかな?」
新井のこの言葉を聞いた時に「やっぱりな」と思う自分もどこかにいたのは事実
新井と付き合い始めて『恋人』にはなったけれど江口の存在にはやっぱり敵わない
でも・・・
なんで?
なんで?
その思いが但馬の心を曇らせる
「たーじまぁぁぁぁぁ!!!」
部活が終わってダウンを泳ぎ終わった但馬がプールキャップを外していると後ろから突然のしかかられて思わずプールに沈む
「あ、悪ぃ。力加減間違えた」
「・・・いえ・・・」
顔の水を手で拭いながら振り返る。今、会いたくない人・・・
「なぁ、お前最近調子よくね?なぁ?よくね?なんかいいことあった?彼女できた?」
彼女じゃないけれど・・・と思いながら「まぁ」と頷くと再びプールに沈められる
「おいー!どこのどいつだよぉ!っていや!お前が調子イイのはうちの部活にとってもいいことだ!絶対嫌われるようなことすんなよ?フラれたらお前調子崩してタイムボロボロになんだろ?」
フラれたら・・・その原因を作りそうなのは今、目の前にいる江口じゃないか・・・と思いながらも先輩には言えなくて苦笑するだけ
「でも、彼女できたら瑞貴邪魔じゃね?」
「・・・え?」
「お前に懐きまくってんもんなぁ・・・瑞貴ー!」
「いや、邪魔じゃない・・・ですけど?」
「おい!お前のそういうところがフラれる要因になんだよ!」
いっそのこと言いたい。江口の言うフラれちゃいけない恋人というのは新井で、邪魔をしているのは江口なのだと・・・でも言えない。他の誰かにバレても江口にだけは秘密にしたいはずだから・・・
「邪魔になりそうならいつでも言えよ?瑞貴ならすぐにオレが連れ出してやっから」
連れ出されたら困る・・・
江口の誘いを新井が断れるわけがないのだから・・・
「・・・って江口さん言ってましたけど?」
「えー・・・うーん・・・困った・・・ねぇ?」
同じ学生マンション。但馬の部屋に入り浸っている新井は今日も但馬の部屋で一緒に食事をして新井としてはこの後の展開も楽しみにしている所・・・
でも、但馬はなんというかやっぱりというか堅いタイプでなかなか手は出してくれないし、誘っても乗ってこない・・・それどころか、実際に触れあったことなんてあの日、初めて但馬に抱かれた時だけで、他は色々理由をつけては拒まれていた
「但馬ぁ・・・しないの?」
食事の後片付けをし始めた但馬の背中にそう尋ねるけれど「しない」と背中が語っていて唇を尖らせながら但馬の背中に抱きつく
「なぁ、但馬ぁ・・・」
「・・・なんで江口さんのことそんな好きなの?」
「え?なんでって?オレが好きなのお前だってー」
但馬は洗いものの手を止めて振り返る
キスを期待してそっと目を閉じた新井の髪に触れる
「江口さんのこと、すぐには忘れられないのも判るけど・・・あんたの好みの問題?」
期待して閉じた目を開けると但馬の真剣な目に思わず目を伏せる
真剣な目は苦手・・・但馬といると、但馬と付き合い始めてからは特に『初めて』のことが多すぎて戸惑うし、対処方法だって判らないから胸が痛む
「じゃあ、怒らないでくれるならオレの昔話するよ?」
「・・・怒られるようなこと・・・なのかよ」
但馬はひとつ深呼吸をすると「聞きたいです」と静かに呟いた
過去はどうだっていい。ただ知りたい。知って、江口よりも自分の存在を大きくする方法を知りたいから・・・

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純情な人
そして
江口のことが大好きな人
新井とデートの約束をした土曜日、まともな付き合いをしたことがない新井にとっては初めてのまともなデートだと知って但馬なりに考えに考えたデートプラン
新井が好きで自分には全く興味のない恋愛ものの映画の前売り券を用意したり、映画館の近くで軽く食べられる少し洒落たカフェもチェックしたし、買い物のコースだって考えた。けれどそれをまさか前々日にキャンセルされるだなんて思ってみなかったこと・・・
いや、少しは考えた
「土曜日、江口がどうしてもバイト代わってくれって・・・ごめん・・・デートまた今度でもイイかな?」
新井のこの言葉を聞いた時に「やっぱりな」と思う自分もどこかにいたのは事実
新井と付き合い始めて『恋人』にはなったけれど江口の存在にはやっぱり敵わない
でも・・・
なんで?
なんで?
その思いが但馬の心を曇らせる
「たーじまぁぁぁぁぁ!!!」
部活が終わってダウンを泳ぎ終わった但馬がプールキャップを外していると後ろから突然のしかかられて思わずプールに沈む
「あ、悪ぃ。力加減間違えた」
「・・・いえ・・・」
顔の水を手で拭いながら振り返る。今、会いたくない人・・・
「なぁ、お前最近調子よくね?なぁ?よくね?なんかいいことあった?彼女できた?」
彼女じゃないけれど・・・と思いながら「まぁ」と頷くと再びプールに沈められる
「おいー!どこのどいつだよぉ!っていや!お前が調子イイのはうちの部活にとってもいいことだ!絶対嫌われるようなことすんなよ?フラれたらお前調子崩してタイムボロボロになんだろ?」
フラれたら・・・その原因を作りそうなのは今、目の前にいる江口じゃないか・・・と思いながらも先輩には言えなくて苦笑するだけ
「でも、彼女できたら瑞貴邪魔じゃね?」
「・・・え?」
「お前に懐きまくってんもんなぁ・・・瑞貴ー!」
「いや、邪魔じゃない・・・ですけど?」
「おい!お前のそういうところがフラれる要因になんだよ!」
いっそのこと言いたい。江口の言うフラれちゃいけない恋人というのは新井で、邪魔をしているのは江口なのだと・・・でも言えない。他の誰かにバレても江口にだけは秘密にしたいはずだから・・・
「邪魔になりそうならいつでも言えよ?瑞貴ならすぐにオレが連れ出してやっから」
連れ出されたら困る・・・
江口の誘いを新井が断れるわけがないのだから・・・
「・・・って江口さん言ってましたけど?」
「えー・・・うーん・・・困った・・・ねぇ?」
同じ学生マンション。但馬の部屋に入り浸っている新井は今日も但馬の部屋で一緒に食事をして新井としてはこの後の展開も楽しみにしている所・・・
でも、但馬はなんというかやっぱりというか堅いタイプでなかなか手は出してくれないし、誘っても乗ってこない・・・それどころか、実際に触れあったことなんてあの日、初めて但馬に抱かれた時だけで、他は色々理由をつけては拒まれていた
「但馬ぁ・・・しないの?」
食事の後片付けをし始めた但馬の背中にそう尋ねるけれど「しない」と背中が語っていて唇を尖らせながら但馬の背中に抱きつく
「なぁ、但馬ぁ・・・」
「・・・なんで江口さんのことそんな好きなの?」
「え?なんでって?オレが好きなのお前だってー」
但馬は洗いものの手を止めて振り返る
キスを期待してそっと目を閉じた新井の髪に触れる
「江口さんのこと、すぐには忘れられないのも判るけど・・・あんたの好みの問題?」
期待して閉じた目を開けると但馬の真剣な目に思わず目を伏せる
真剣な目は苦手・・・但馬といると、但馬と付き合い始めてからは特に『初めて』のことが多すぎて戸惑うし、対処方法だって判らないから胸が痛む
「じゃあ、怒らないでくれるならオレの昔話するよ?」
「・・・怒られるようなこと・・・なのかよ」
但馬はひとつ深呼吸をすると「聞きたいです」と静かに呟いた
過去はどうだっていい。ただ知りたい。知って、江口よりも自分の存在を大きくする方法を知りたいから・・・

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