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ビタースウィート58 - 11/30 Wed

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車に乗り、揺られていると山本はそっと自分の腹に巻かれたタオルの上から傷を触る。段々と痛みは感じるようになってきたけれど、以前刺された時はもっと痛かったのだから傷は浅いだろうと自己判断を下す

「真山くん・・・泣かないでよ」 
「・・・ごめ・・・なさい」
「何が?」
「オレがっ・・・助けてとか・・・」
「ううん。呼んでくれてよかった・・・もし、呼ばれないまま真山くん傷つけられてたらさぁ・・・」



「殺してたから」



山本の声が車内に響く

「さっきだって殺しそうな顔してましたよ?」
「そうー?」

ハルが前の座席からそう言って振り返る

「多分、今回は意識もちゃんとあるし、内臓いってないだろうからちょっと処置したらすぐに帰されるだろうけど、暫く自宅安静ですからねっ!」
「ハルー・・・医者じゃないんだからー」
「安静にしてて・・・」
「真山くんまでー!?」

とても刺された人間を乗せた車だと思えない程和やかな時間が過ぎていくのを不自然に感じながらも山本がこうして話してくれていることに安心するハル・・・自分を助けに来てくれた時は内臓を傷つけられて意識もなくなったから・・・
そんなハルの心中なんて知らない山本は真山を見て髪を掻き上げる

「・・・メガネ、なくなっちゃったね。新しいの作りに行こうね」
「・・・あの人、どうなるんですか・・・っていうか、山本さん、何者なんですか?アザゼルって何?天使?なんなの?!」
「ブハッ!さっきまで泣いてた奴に突っ込まれてるー!!!」

山本が複雑そうな顔をして「うーん」と唸る

「山本さんさー、元々ここら辺仕切ってた人だからねぇー」
「・・・ヤンキーとかそういう」
「ヤンキーwまぁ、そんな感じかなぁー・・・でねー、大抵山本さんがみんなに名前つけてたっ!」
「ま、まぁまぁ!いいじゃんっ!昔のことだよ?ね?」

慌てる山本に笑うハル・・・自分の全然知らない山本がいる。それをハルが知っている・・・そんなことに嫉妬しても仕方ないのは判っているけれど胸の奥がモヤモヤしてしまう

「みんな、ホントイイ子たちなんだよ」
「・・・へぇ」
「今日集まったのはさー、大抵山本さんに助けてもらった恩がある奴ら。行く場所がなかったり人生に絶望してたり・・・山本さんの頼みならいつでもすぐに集まるよ」



「たとえ、それがこの可愛くない子を助けるためだってさ」



ハルの言葉に「コラ」と山本が窘めるが、ハルは唇を尖らせるだけで反省の色はどこにも見えない

「あ、病院着いたよ!」

病院というよりも小さな診療所だと思いながらも真山は降りて山本を支えながら下ろすとハルは既に真っ暗になっている診療所のドアを叩いていた

「なんかオレ、知らないことばかり・・・」
「うん?あぁ・・・でも、これからお互いにもっともっと知りあっていけばいいでしょう?先は長いよ?」

先は長い・・・さっき、もう先はなくなるのかと恐怖した。でも、山本の言葉で安心を得る
これから先も山本はこの優しい笑顔で優しい手で自分を撫でてくれるのだと思うと安心し、少しだけ笑った

「・・・よし。帰ろう。うん。帰ろう!」
「え?」
「今、笑った。可愛かった!ハル!大先生は起こさなくてイイ。明日来る」
「はぁ?!っていうか電気ついたし!今から傷口見てもらうのっ!」

ハルに腕を掴まれて電気の着いた診療所の中へと連れていかれる山本を見ながらいつも大人だと思っていたのに子どものようだと思いながらまた微笑んだ




治療を受けた山本は年老いた医者に何度も怒られ、頭を叩かれ説教をされ、ひと晩入院を強いられしょんぼりとしながら診療所のベッドへ横になる

「オレ、シャツとか取ってこようか」
「・・・明日仕事あるから帰ったらそのまま寝ていいよ。疲れたでしょう?」

確かに、恐怖を感じ、尖った神経を山本が落ち着かせてくれたことで眠気はあったけれど着替えぐらいは持って来られる

「じゃあ、オレが彼送ってって、そのまま着替え持ってこっち戻ってこようか?」
「あぁ、うん。そうして」
「・・・」

自分じゃなくてハルに頼む山本にまた胸がもやもやする・・・

「ほら、なんだっけ?真山?下の名前は?」
「・・・友己」
「んじゃ友己、多分山本さんは友己をひとりで外歩かせるのが怖いから送って行く」
「・・・」
「あ、チュウぐらいはしてく?オレ背中向けてる?」
「あ、うん」
「・・・しないし」

体を起こそうとした山本の体をベッドに押し付けると真山は山本に背中を向ける

「真山くん」
「・・・今日はありがとうございました」
「うん」
「おやすみなさい」






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ビタースウィート57 - 11/29 Tue

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山本が一歩ずつ前へ進み、立花は口元を歪めながら笑い山本の方へと足を向ける・・・少しずつ少しずつ2人の距離が縮まると大柄な男たちも立花へと近づこうとするのを山本の手が止める

「とりあえずオレ1人でイイよ。後で頼むわ」

山本の言葉に複数の声がすぐに「はい」と返事をする

「山本さんっ、ダメ・・・来ちゃ・・・逃げて・・・」
「・・・血・・・かな・・・それ・・・」

真山の口端から流れる赤い血を見て山本は拳を握ると立花を真っ直ぐ見つめる

「約束が違うのはお前の方だろ?」
「ボクは約束を守る男だけどなぁ・・・」
「ウソつけぇぇぇぇぇっ!」
「やめろーーーーーーっ」

真山の声が響くと同時に立花は後ろから光る刃物を取り出して山本に抱きつくように腹へと突き立てる

「・・・ハハ・・・あなたみたいなクズに出逢ったの初めてじゃなくて助かった・・・」
「・・・何・・・だと?」

柔らかい腹へと突き立てたはずの刃物から受ける感触が違った気がして立花は少しだけ怯んで後ろへと下がるがすぐに山本の拳を顔へ受けてその衝撃で後ろへと吹っ飛んだ

「昔ね、ボク、同じような状況で刺されたことあって・・・だから、今日はちゃーんと仕込んできましたよ。ホントに雑誌でちゃんと防げるんだねぇ」

山本がニコニコとしながら倒れた立花を起こして再び殴る

「防いだ場合も正当防衛って成立するんだっけ?・・・まぁ、警察に突き出すなんてことしないから関係ないんだけど」

何度も何度も殴りつけると立花の口から謝罪の言葉が漏れる

「ごめんなさいって誰に言ってるの?今ボクを刺そうとしたこと?それとも真山くんに?」

山本が立花を掴んでいた手を離すと股間へと足を乗せる

「ひぃ・・・」
「潰しちゃった方がいいよねぇ・・・そしたらもう悪いことできないもんねぇ?」

ブンブンと頭を横に振る立花の目からは恐怖からか痛みからか涙がとめどなく溢れていて口からは唾液の混じった血、鼻血を流しながら懇願する

「山本さんっ!」

眩しい光の中から小柄な人間が走り出て山本の腕を掴むと大柄な男も山本を制するように止める

「これ、アザゼルくんのところに引き渡すんでしょう?商品価値なくなったら困るっ」
「・・・そ・・・か。そうだったよね・・・でも、潰しといても問題なくない?」
「問題ありますよ・・・きれいなままで。とのことだったんで」
「・・・そうか」

山本がひとつため息を吐くと足を離し、立花は大柄な男たちに体を拘束される

「ハル、なんか掛けるもの持ってきてたよね?」
「あぁ、はいっ」

パタパタとハルが走って大きなタオルを持ってくると山本は真山を拘束していたロープを外してタオルで包み込み、一緒に抱きしめる

「・・・救急車」
「ん?あいつにいる?真山くんあいつ心配?大丈夫。かすり傷だけだよー」

真山はブンブンと頭を振ってタオルを取ると山本の腹へと当てるとそこを必死に抑える真山

「大丈夫だってー・・・今日はちゃんと雑誌挟んできたから」
「・・・山本さん・・・血っ・・・血だっ!!!」
「え?」

ハルまでが慌て出したのを見て山本は視線を自分の体に移すとシャツにジワリと滲んだ赤に気付いてさっき雑誌と共に投げ捨てた刃物を見ると刃渡りの長い刃物に「あーあ」と呟きながら頭を掻いた

「雑誌じゃ防げない長さだったのかぁ・・・次からはフライパンとか挟んでこようか・・・でもフライパンってなかなか邪魔で歩きにくそう」
「車乗せて!運ぶよっ!あー、サタンはアザゼルくんのところにそいつ連れてっちゃって?」
「立花さん、年齢的にちょっと厳しいかなぁ・・・と思ったけどあなたみたいな人も需要って言うのがあるみたいでよかったですね。ショーにも出られるそうです。オークションもされるそうですよ。そこで稼いで真山くんたちにちゃんと慰謝料返し終えてくださいよ?」
「喋らないでっ!」
「あー、真山くん裸になっちゃってるよー?誰か真山くんに着る物っ!」

まるで刺されたことなんて気にしていないような山本に涙を浮かべながら必死にタオルで山本の腹を押さえる真山はどうにかこの場所から移動しようと山本の体を押しながらハルが腕を回す車へと向かう

「山本さんっ」

涙を浮かべて見上げてくる真山に笑って「大丈夫」と言いながらそっと頭を撫でる

「オレ、借金返してもらってないから死ねないし」
「バカ・・・さっさと車まで歩かないなら蹴っ飛ばすからっ!」
「・・・うん・・・じゃあ歩く」

山本が笑いながら歩き出す。大柄な男たちが山本を支えるように肩を貸すとお礼を言いながらゆっくりと・・・確実に車へと足を向けた






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ビタースウィート56 - 11/28 Mon

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走っても走っても追いかけてくる立花に唇を噛んで迷惑を掛けるのを承知で、そして最後に聞く声になるかもしれないとスラックスのポケットに入った小さな携帯を取って発信ボタンを押す
働いた分から少しの生活費とほんの少しのお金を山本に返すと残る自分が使えるお金・・・山本が心配だから持ってと言うから買った携帯
電子音が耳に響く・・・そして『もしもしー?今どこ』安心できる声が聞こえると震える唇を開く・・・だが、その瞬間、立花に後ろからタックルされ、倒れる真山と飛んでいく携帯・・・

「助けてっ!山本さんっ!助けてっ!!!」

飛んでいく携帯へ向かってそう叫ぶと涙をこぼす真山

「ふはっ・・・アハハハハハハハハハハハハハハ!!!」

立花の高笑いが響く

「お前は期待通りの行動をしてくれる」
「・・・」

涙を堪えて立花を睨みつけると立花に髪の毛を掴まれて起こされる

「お前が携帯持ってることくらい判ってた。だけどそれを奪わなかったのは何のためか判るか?」
「・・・」

自分のしたことの愚かさを呪い、唇を噛む
以前の自分なら人に助けを求めることなんてなかった・・・愛を与えられて幸せというぬるま湯で気持ちよくなっていた自分はこれから起こる恐怖に耐えきれなくなっていた・・・それを恨む・・・心から愛しいと思っている山本を危険に晒すことになる・・・来ないでくれ。この場所が判らない。そうであってくれ・・・そう願うけれど、心のどこかで山本ならばこの場所も特定して来てしまう。そして助けてくれる・・・来ないでほしいけれど来て助けてほしい。そんな矛盾した真山の想い

「さて、まずは準備をゆっくり始めようか・・・山本が来てからお前の完成したピアスホールを見せてやればいい。これもあいつは受け入れて愛してくれるかな?」

さっきのグロテスクな器具・・・それは山本に受け入れてもらえるか・・・山本に・・・こんな易々と立花に連れてこられた自分を許してもらえるのだろうか・・・









「・・・もしもし、ハル?できるだけ人集めて。うん。で、今から言うところ、来てもらえると助かる・・・うん。そう。あいつが真山くん攫ってった・・・もう許さない。真山くんがオレに助け求めたんだ・・・自分から・・・だからもうあいつを許さない」

真山からの電話で助けを求める叫び声で山本は静かに立ち上がって静かに怒りの炎が燃えているのを自分でも感じていた
真山の携帯に入れたGPS追跡アプリを立ち上げてハルに場所を告げると真山は立ち上がって自分もその場へと向かう。静かに・・・静かに向かう・・・







「さーて、この辺だなぁ・・・」

穴を開ける場所に印をつける・・・穴を開けるためのニードルを見て何度も何度も首を振るけれど先程よりも頑丈に拘束された手と足は体を少し捩るくらいの抵抗しかできない

「この本体を尿道に通すだろ?で、本体に開いた穴とお前に開けた穴を合わせてこのネジで止める・・・あぁ、イイな。お前は似合うと思うよ」
「・・・やめて・・・それ、嫌・・・イヤですっ・・・」
「イヤぁ?友己、お前はイイ子に受け入れるっつったよなぁ?」

確かに言った・・・でも、これは想像していなかったことで・・・

「この根元に付けるやつでもよかったんだよなぁ・・・」

真山の雄の根元に触れながらそう笑う立花・・・最初から真山の性器に穴を開けるつもりだったのだと思ってただ唇を噛んだ

「これはレシーバー。そのままずぶっと行っちゃうといけないからね」

鈴口を撫でられながら金属製のそれを当てられると金属の冷たさに背筋がゾッとした・・・これからされることを想像すると震えが止まらなくて震えていることを「挿入しにくい」という理由で殴られ、そして口の中に鉄の味が広がる

「尿道、傷つけたくないよね?」
「っ・・・ぁ・・・は・・・ぅ・・・」

恐怖で震え、声が出ない
怖い・・・怖い・・・怖い・・・怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い
尿道へ入って来る金属の感覚・・・ガクガクと震える拘束された足、手・・・

「うん・・・よし。じゃあ、行くよ?」

立花が手にしたニードルを見て嗚咽を漏らす

「その声殺して泣くところ・・・ホント最高だ」

恍惚の表情でそう言った立花の耳にエンジン音が聞こえる・・・あぁ、山本は思ったよりも早く到着したのか。そう思いながらそれならば邪魔が入る前にまず穴を完成させようとニードルの先に集中するが、エンジン音が1つではないことに気付いて顔を上げる

「・・・何だ?」

暴走族か何かがここを溜まり場にでもしているのかとため息を吐きながら再びニードルを印つけた場所に合わせて指そうとした瞬間、大きな音を立てながら扉が開いて、大量のヘッドライトの光が立花を照らす

「たーちばーなさーんっあーっそびましょーっ」

逆光になってシルエットしか見えないが、何人もの大柄な男が立っていることが判る。手には棒のようなものを持っていること・・・彼らが自分の名前を呼んだこと・・・

「・・・立花さん、お話が違うんじゃないですか?」

この声は以前にも聞いたことがある声・・・そう。立花の憎い相手・・・苦しめたい相手

「ハハ・・・何だよ・・・いっつも仲間連れて弱虫か」
「そうですね。弱虫です。だからボクは彼らに助けてもらうんですよ」

穏やかだけれども怒りを感じるような恐ろしい声・・・

「ゃ・・・山本さん?」
「あぁ、真山くん。遅くなっちゃってごめんね」

それはいつもの優しい声・・・だからこそ真山は口を開く

「来ちゃダメっ・・・ダメっ!!!山本さんっ!危ないから来ちゃダメっ!!!!」





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ビタースウィート55 - 11/27 Sun

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春が来て、姉の郁美からお金を返してもらい、更には山本と共に会いに行き、謝り、そして今幸せだと報告すると過去なんて忘れてこのまま幸せな日常が続くのだと真山も思い始めていた。だから、それは突然襲ってきた恐怖・・・

「とーもき」

仕事の帰り道、その声で逃げたいのに体が動かなくなる恐怖

「アハハ。やーっとつかまえたー」

今まできちんと身なりを整えていた立花とはその形相は違って、髪はボサボサだったし無精ひげにこけた頬、虚ろな瞳だったけれどこの声は確実に立花のモノ

「・・・な・・・ぁ・・・あ・・・」

ちゃんと声が出ないのは立花の様子のせい・・・今までよりもゾッとさせるような目で射抜かれて背中に冷たい汗が伝う

「お前のせいでオレの人生めっちゃくちゃ・・・あんだけイイ思いさせてやったのになんだよ・・・この仕打ち」
「オレ・・・じゃない・・・オレ・・・なにもっ」
「会社まで取り立てに来させて?ん?なんでオレがお前に金払うわけ?なんで?」

真山はただ首を振って自分じゃないと呟くが、その間にも立花との距離は近付いていく

「約束通りお前に連絡しなかったのにあいつは結局告発したじゃねぇか」
「・・・な・・・んのこと」
「まぁ、イイよ・・・うん。イイ。さぁ、行こうか。お前もあいつじゃ物足りないだろう?」

真山は腕を掴まれて震えながら抵抗するけれど強く腕を引かれた直後、腹に衝撃と痛みを感じて立花の体へと倒れ込んだ









背中が冷たくて痛い・・・これは床でもなくコンクリートだと判るまで少し時間が必要だったのは周りが電気もナイ真っ暗だったから

逃げなくては・・・そう思って体を起こす

「・・・」

手と足が縛られていて逃げられない状況に絶望する。でも、今まではこれで諦めていたけれどもう違う。帰る場所がある真山はなんとか逃げて山本の下へ帰らなくてはと芋虫のように身体を動かして動く

「あーあー、友己、ダメだよ?」
「っ・・・」
「お前さぁ、前になんでもするっつったよなぁ?」
「・・・」

それは立花との関係を終わらせるために言った言葉

「だからさぁ・・・オレ、すげぇ考えたわけよ?お前に最後にしたいこと」
「・・・それ・・・聞いたら・・・帰して・・・くれます・・・か?」

立花が工事用だと思われる電気をつけると目がくらんで目を細めた

「そうだなぁ・・・まぁ、最後まで大人しくできれば?」
「・・・」

ゴクリ・・・唾を飲み込むと真山は首を垂れて「はい」と了承する

1度だけ・・・最後にこれを我慢すればもう解放される・・・山本はそれでも受け入れてくれるだろうか・・・山本なら・・・きっと・・・きっと・・・抱きしめて頭を撫でてくれる。そう信じて・・・いや、それよりも隠してしまえばイイ・・・何事もなかった顔をして山本の前に行き、抱きしめて甘えた声で山本の名前を呼ぶ。体に付けられた痕が消えるまでは何か理由を付けて山本に肌を見せないようにすればいい・・・立花と違って真山が望まなければ体を強制的に求めたりはしない人だから

「さぁ、脱ぎなさい」

聞きなれた台詞・・・それに従うのは簡単だったのに今日は指が震えて上手く動かない

「洋服、切られたくないでしょう?」

何度も頷くと必死にボタンを外そうとする・・・でも、指が・・・指が言うことを聞かない。山本以外の言うことを聞きたくないとでも言うような自分の指を1度握り締めると深呼吸し、ボタンを外していく

「・・・なにそれ」

立花が指したのは真山の胸に光るもの
元々立花に穴を開けられた場所に今は山本から貰った誕生石でもある小さなダイヤモンドがついた金属がついている

「・・・は・・・ヘソはどうした?折角開けてやったのに・・・なんだ?あぁ?!」
「・・・」

胸のピアスは真山によく似合うからと開けたままを望んだ山本だったけれど、臍のは外していい。そう言った・・・だから外してただ穴が残る臍

「まぁ、イイ・・・でも、これはどうかな・・・」

立花が開けたカバンには見慣れない器具・・・おかしな形をしたもの・・・

「これ、判るか?」

真山が首を振ると立花はにっこりと笑って真山の胸のピアスを引っ張る

「さぁ、今からどこに穴を開けようとしているでしょうか?」
「・・・」

穴・・・またピアッシングされるのかと思ったけれどさっき見たあの形状のものがピアスなのかと思うと想像がつかない・・・

「プリンスワンド」
「・・・な・・・に?」
「お前のチ●ポにつけるもの」
「・・・ゃ・・・イヤ!!!!!」

今までのピアッシングも酷く痛むものだった。胸も臍も全部痛かった。それを敏感な・・・敏感な性器に開けるというのが恐ろしくて後退りし、真山は無我夢中で走り出した




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ビタースウィート54 - 11/26 Sat

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居間で酔いつぶれた藤田を山本と松島が真山の部屋へと運ぶと松島が微笑んでいるのを見て真山は黙って口を結ぶ

こんなに穏やかな松島は見たことがないし、人間性は自分が言えることではないし、仕事ができるのも判っているし、なによりも郁美よりももっと厳しい姉が選んだ人間なのだから悪い人間じゃないのだと改めて理解する

「・・・松島部長・・・」
「んー」
「郁恵姉のこと・・・大事にするよね・・・」
「あぁ?なんだよ・・・突然」

真山は繰り返し「大事に、幸せにするよね?」と言うのに松島はひとつ息を吐き出して真山の前に真っ直ぐ向かい合って座る

「もちろん大事にするし、幸せにするつもりだ」

これは部下への挨拶ではなく、婚約者の弟への挨拶・・・

「・・・お、オレよりもずっと郁恵姉の方が怖いからオレの出る幕なんてないだろうけど、もしもっ・・・もしも・・・」
「判ってる」
「そーだぞー?彼女泣かしたら真山くんに代わってオレがお前を沈めてやるからなぁー?」
「おい・・・お前は親友よりも恋人の肩持つっつーわけか?あ?」

藤田に新しい毛布を出して掛けに行った山本が戻ってきて真山の肩を抱く

「もちろんだろ」
「・・・あーあーあーあーあーーーーークソ・・・真山お前も会社で今の半分とは言わねぇから30パーセントくらい可愛げを出せばみんな平和なんじゃねぇのー?」
「松島部長に言われたくないですね」
「アハハー!確かに松島可愛げないー!」
「なんだと?!コラ」

山本は真山の頭を撫でると「イイんだよ」と呟いて顔を上げた

「だって、会社から出てオレの前だけで可愛い真山くんってもう最高でしょ」
「・・・山本のデレ顔うざいな・・・」
「松島部長のしかめっ面ももう見飽きてその数倍うざいですけどね」

山本は口を開けて笑って真山を後ろから抱きしめた。こんなに人を愛しいと思うのは初めて。今までも人間が好きでみんなにイイ顔をしてきた。そして笑い返してもらって抱き返してもらって・・・だけど真山の前だと今まで人を愛してきたのはなんだったのかと疑問になる
今までのは愛だったのか恋だったのか疑問が浮かぶのだった

「このまま閉じ込めておきたいくらい可愛い」
「お前のそういうところが重いって言われる所以だろーが・・・」
「えー・・・真山くん重い?」

真山は少し考えて小さく首を振る
重い・・・そう言われれば重いような気もする。でも、愛されている実感がある。誰からも愛されない、愛されてはいけない。想いを告げてもならない・・・そう思い込んでいたのに解放された今、幸せを、楽しさを全身で感じられているのだから







「山本さん・・・」
「今日は無理だよ?隣にお姉さんもも松島もいるんだから」

松島も真山の部屋へ泊まることになった後、同じベッドで手を繋ぎ、甘えるように山本の胸に擦り寄って来た真山にだらしのない緩みまくった顔でそう言う山本

「オレにお金貸してください」
「え?・・・あ、うん」
「・・・300万ぐらい」
「ええ?!何?!何?突然!車?!車でも買うの!?」

真山は首を振る

「・・・じゃあ100万でも・・・」
「いや、300万欲しいならなんとかするけど・・・」
「毎月1万円ずつ返します・・・から」
「・・・ぁ・・・」

真山の言いたいことがなんとなく判って山本は笑って真山を抱きしめる
山本に借りていたお金を返されることで借金がなくなり、山本へ付き合っている間、毎月お金を返すという『契約』がなくなることを不安に感じてくれたことが嬉しくて・・・
それはまるで別れたくない。長く付き合いたい。そう言われているようで・・・

「それじゃあ300万じゃ足りないよねぇ・・・オレ、もう少し長生きするよー?」
「・・・その時に借りてほしいと思うならオレは借りますよ?」
「あー・・・やっばいなぁ・・・オレ、真山くんにダメとか言いながら今、すげぇ抱きたい」
「・・・声、出さないのも床でするのもできますけど?」
「ちょっ・・・触って煽るの止めてよ」

真山の細い指が山本の寝間着にスルリと滑り込むと下着の上から撫でられる

「真山くんー」
「もちろんオーラルでも」
「そんな誘いにオレが抗えるとでも思ってる?」
「オレの挑発効くの山本さんだけですよ?へなちょこすぎるんじゃないですか?」
「オレだけでイイ・・・他の誰も挑発なんかするなよ?」

真山は笑って口を開いたまま山本の唇に唇を押し付けた







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ビタースウィート53 - 11/25 Fri

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「それよりあんた、この人に買われたとかそういうことなの?!正直に言いなさい?」
「ちょ・・・」

藤田の言葉に吹き出す山本と松島
買ったとかまずその発想が思いつかなかった

「・・・この人は・・・その・・・」
「何?」
「っ・・・うちの社長・・・で・・・お付き合いを・・・」
「それは自分の意思で?」

真山はチラリと山本を見るけれど山本はいつもの通りニコニコと真山を見つめていて少し戸惑った後、ひとつ頷く

「オレっ」
「今、幸せ?そんなガリガリに痩せちゃって・・・ホントに大丈夫なの?」
「・・・ここに来て2キロ太った」
「はぁ?!あんた・・・そっか・・・やっぱり・・・そうよね」

藤田は長いため息を吐くと真山にチョップを落として「何すんだよ!」と真山に怒られるがすぐに笑顔になった

「郁美に送ってたお金、あれ、何?」
「そりゃっ・・・慰謝料・・・だって、姉ちゃん郁恵姉に電話で言ってただろ?両方にお金払わせるって」
「バカ・・・ちゃんとそれ確認してからにしろっつーのっ!両方っつーのは郁美とあんたの両方にっつーこと!」
「・・・はぁ?」

話が判らなくて真山は目を丸くする

「立花のバカに郁美と友己に慰謝料請求するっていう話よ・・・で、あんたから毎月振り込まれるから郁美は毎月立花から来るお金で余った分を仕送りしてくれてるって思い込んでたのっ!それがなに?こないだまとまったお金ぽーんと・・・これはもう友己は体を売ったかなにかだって郁美と思ってあんたの部屋行ったらおかまがいるだけでボロボロのアパートには誰もいなかった」
「・・・それは」
「っていうか大体ねぇ、勝手に就職先も変えて!それ私たちにも言わずにっ!なんで折角大手企業の就職決まってたのに蹴ったわけ?!」
「ええ?!」

今度は山本が驚く番。確かにあの時、滑り込みで採用試験をしたような感じだったけれどまさか真山が大手の内定を蹴って自分の会社に来たとは思ってもみなかったこと

「だって・・・オレ・・・姉ちゃんの婚約者・・・っていうか・・・オレ、ゲイなのも黙ってたんだけど・・・」
「あんたが男が好きだってことぐらいずっと前からなんとなく気付いてたわよ・・・そんなの今更私たちも母さんも驚きもしないしっ・・・だけど、郁美が立花の携帯の留守電をたまたま聞いて怪しんでチェックしたら黒確定したわけ!そりゃ郁美は怒るに決まってるじゃない。あんたのおかしな写真とか保存されてたのよ?!私も未だに許せないしっ」
「じゃ・・・じゃあ・・・」
「はぁ・・・まだ言いたいことの半分も言えてないけどとりあえずあんたは今幸せなのね?郁美も今はもう幸せっていうかそうっ!あんたおじさんになるよ!」

今度は松島が驚き目を丸くし、藤田を見つめるけれど藤田に手で制される

「私じゃない」
「あ、だな・・・」
「姉ちゃんに子ども?」
「そう!結婚した!」
「・・・立花さんと別れてすぐ・・・に?」
「そう!」

真山はため息を吐くと姉を不幸にした自分は幸せになってはいけないと日々自分を呪っていたのを思い返す
毎日罪悪感で潰されそうになりながらひもじい思いをしながらもこれは罰なのだと自分に言い聞かせていた。なのに当の本人はすぐに新しい人間と結婚・・・

「幸せにやってんのか・・・」
「私も幸せだから!」

松島の腕を取って腕を組む藤田を見て真山は松島を嫌そうな顔で見つめる

「そうだ・・・なんでこの人がイイわけ?世の中には山本さんみたいな人もいるんだよ?」
「それはタイプの問題じゃない?」
「あぁ、悪食だったね」
「失礼ねっ!」
「おう。実に失礼だけど普段から言われ慣れすぎて全然堪えないっつーの」

真山の頭をグリグリ掻き回すと藤田は笑う
弟は自分で見つけた居場所で毎日充実しているに違いないと確信したから・・・

「あ!そうだっ!あんたが送って来たお金!全部まとめて立花に請求したし、あんたが送ってきた分は全部返すって郁美言ってた」
「い・・・要らない」
「なんでよ!大金でしょ!」
「だって・・・」

山本の顔を見上げる真山
あのお金は山本のモノで、それを返す間付き合っていられる気がしていたのに・・・

「真山くん、返してもらったら?」
「・・・」
「あぁ、郁美のことだからそこからちゃっかりご祝儀は差し引いて返してくるだろうけど」
「・・・うん」
「友己、あんた体売ったりしてないならあのまとまった最後の送金なんなの?」
「・・・それ・・・は・・・」
「彼、全部お姉さんにお金渡し終わるまでは付き合ってくれないって頑なだったんでボクが立て替えたものなんです」
「あんたっ!!!山本さんにまで迷惑かけてんの?」
「いえ、ボクが払わせてくれって頼んだんで」

笑って真山の肩を抱く山本を見てため息を吐く
婚約者の親友で会社を立ち上げた人。どれだけ人に愛される人間なのかと松島から以前から聞いていた人物がまさか弟の恋人になっているだなんて思わなくて・・・山本ならばきっと弟を悲しませたりしないんじゃないかと安心した

「山本さん・・・弟を・・・友己を・・・よろしくおねがいします」

頭を下げた藤田にあたふたする山本

「郁恵・・・今日はオレの友達にお前を紹介するっつって来たんだけどなんか趣旨変わってね?」
「・・・そうね・・・じゃ、飲みましょっか」
「昼からっ!?っつか郁恵姉は酒癖悪いからやめろっつーの!!」

普段とはまた違う真山が見られたことが山本も松島もなんだか新鮮で藤田と真山のやりとりを微笑ましく眺めたのだった





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ビタースウィート52 - 11/23 Wed

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山本はインターホンの音で目を覚ます

「・・・」

時計を見るともうすぐ昼で予定を思い出して隣で眠っている真山を起こさないようにそっとベッドから降りると服を着て玄関へ向かう

「・・・遅ぇよ」
「ごめ・・・」

山本のぼさぼさの髪を見て「乱れすぎだろ」とため息を吐きながらも女性の手を引きながら山本の部屋へと入る

「これ、学生時代からの友達でうちの会社の社長やってる山本」
「初めまして。山本です」
「初めまして。藤田 郁恵です」

なんとも優しそうな女性だと思いながら松島を見ると少し照れたような松島が面白くてつい吹き出す

「照れてるっ!松島がっ!照れっ・・・てっ・・・るっ!ぶふぁっ」
「うっせぇ!てめぇのデレ顔のほうがうぜぇからな?!クソっ!」

どつきあいを始めた2人を微笑みながら見つめる藤田

「・・・山本さぁん?」

ぼさぼさの頭を掻き、甘えた声で山本を呼びながら寝室から出てきた真山に慌てる松島とにっこり笑った山本

「真山てめぇっ!山本から聞いてねぇのかよっ!」
「何・・・来てたんすか」
「この差っ!!!っつかちゃんとして来いっ!ちゃんとっ!」
「・・・友己・・・?」

名前を呼ばれて顔を上げると顔色を変えた真山はどたばたと部屋へと入って鍵をかける

「ちょっと!友己っ!あんたっ!ちょっとここ開けなさいよっ!バカ!このっ!」
「人違いですっ!」
「だったらここから出て来いっつーのっ!友己っ!!!」

突然始まったことにポカンとする山本と松島

「知り合い・・・?」
「あ、これ、郁恵からの手土産」
「お!いいねぇ・・・日本酒とか気が利いてるー」
「発泡酒でイイっつったんだけどな」
「まぁ、それでもオレは嬉しいけど」

2人がどんな関係なのかも全然判らない2人はとりあえずドア越しで繰り広げているケンカを見守りながら普段通りのやり取りをする

「なかなかの美人だけど合コンだっけ?」
「おう。あんとき仕事の関係でこっち来たばっかりだっつってた」
「ふぅん」

山本は貰った日本酒を出して「いいねぇ」と言いながら松島を見て「開けちゃう?」と言うと松島は黙って台所へ行ってグラスを持ってくる

「ちょっと!」

藤田が振り返って山本を指差したのはグラスに日本酒を注ぎ、松島とグラスをカチンと合わせた時だった

「へ・・・あ、日本酒ありがとうございます」
「そうじゃなくって・・・松島くんっ!あなたも友己知ってるってこと?!」
「知ってるも何も・・・っていうか・・・真山と郁恵がどういう関係かっていうほうが気になるっつーか・・・」

ダンッ!とダイニングテーブルを叩いた藤田にビクッとして背筋を正す2人はそっとテーブルにグラスを置く

「友己は私の弟っ!」
「・・・は?」
「え・・・えええええっ?!」
「や、え、でも・・・あいつ真山だし」
「そう・・・だって、真山くんのお姉さんって」
「うちの両親離婚してんの話したでしょ?私は父親のほうについて、友己と郁美は母親についたの!」

突然のことに2人はぽかんとして顔を見合わせると「マジか・・・」と声を揃えて呟いたのだった






「真山くん、出ておいで」
「・・・オレ、合わせる顔ないし」
「お姉さん、別に怒ってないってば・・・」
「オレ・・・だって」

両親が離婚しても姉妹弟は仲良くして来て、連絡も取りあっていたから立花との関係は藤田も知っているハズで・・・自分がどんなことをして、今こんな平和に幸せに暮らしているだなんて怒っていないハズもなくて

「友己、イイから顔見せて・・・私と郁美、あんたを探してたんだよ?」
「・・・オレ・・・」
「真山くん、オレと付き合ってる限りお姉さんと顔合わせることあるに決まってるよ?松島と結婚するんだもん」
「はぁぁぁぁ?!」

山本の言葉にドアを開けた真山は松島を指して「この人と?!」と大声を上げて藤田に頭を叩かれたのだった




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ビタースウィート51 - 11/22 Tue

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「キスっ・・・ん・・・キ・・・スッ」

いっぱいいっぱいになりながらそう言うと山本は少しだけ笑って真山の唇を塞ぐようにキスを落とす

「んっんん」

キスされているのに山本が腰を進める度に声が漏れる。頭が痺れる・・・もう何も考えられない。立花のことも姉のことももうどうでもいい・・・ただ、山本と恋人になって抱かれている。好きな人に抱かれている・・・

「っ・・・あっ・・・あぁー」

口内に挿り込んでいる山本の舌を噛まないようにするとおかしな声が漏れる。でもそれもどうでもイイ・・・気持ちイイ。山本の背中に手を回して自分から抱きつくとチュッチュッと音を立てながらキスしてくれる。これが恋人同士のセックスなのだと思うと嬉しくて幸せで・・・

「まっ・・・山本っさん・・・」
「ん?」
「気持ちイイ・・・気持ちイイっ」

ふわりと笑った山本にまた幸せを感じながら真山は山本を全身で感じるように嬌声を上げた










付き合い始めて変わったこと・・・

借金を立替てもらったから真山の給料に余裕ができたこと
仕事中は今まで通りだけれど部屋へ戻れば真山が少し甘えてくれるようになったこと

部屋へ帰ってからの真山は少しずつ笑顔が増えたこと

「まーやまくんっ」
「はい?」
「真山くんってゲームできる?」
「ゲーム・・・格ゲーとかそういう?」
「ううん。なんでもいい」
「・・・できないこともないっていうか・・・昔はそれなりにやってたけど」

山本が「そっか!」と言って紙袋を取り出す

「・・・なんですかそれ」
「ほら、こないだオレ、結婚式行ったじゃん?」

真山は少し考えて「あぁ」と頷くけれどその時は何も持っていなかったから疑問に思う

「松島も一緒に行ったんだけど、2次会のビンゴであいつが当てたのこのゲーム機だったけどあいつもうこれ持ってるからっつってくれた。もう使わないっていうソフトと一緒にくれたー」

真山は紙袋の中を物色すると様々なソフトが入っているのを見て吹き出す

「あの人どんだけソフト溜め込んでたんすか」
「押し付けられた?」
「売ればいいのに・・・」
「でも、いいじゃん。一緒にできそうなやつはー・・・どれかなぁ」

山本と一緒に紙袋を漁ると真山がひとつソフトを持ち上げて「これは?」と自信満々に聞いてくる。所謂落ちゲーと言われるもので、真山も腕に自信があるものなのだろう

「なにー?オレと対戦しようとかそういうことー?」
「うん。負けたら勝ったほうの言うこと聞くってどうですか?」
「おじさんを舐めてるなぁ?オレ、結構ゲーム得意だけど!」

真山は笑って「勝負しましょ」とゲーム機を出して設置するとコントローラーを持って2人してテレビの前で深夜まで熱い戦いを繰り広げるのだった

「・・・嘘・・・でしょー?」
「ハハハー!オレに不可能はないんだよー!」
「・・・ホントチートすぎて時々ムカつく」
「で?負けた方が勝った方の言うこと聞くって?」
「・・・なんすか・・・」

山本は笑って立ち上がるとカバンの中から小さな箱を取り出してくる

「・・・何?」
「前にさ、言ったでしょ?胸のピアス、オレが贈ったものにしてくれるって」
「言ったけど、何?それだけでイイんですか」
「開けてみて?」

真山が箱を開けて「は?」と驚きの声を上げると山本は満足そうに笑って箱からキラキラ光るものを取り出す

「・・・負けた方は言うこと聞くんだよね?」
「でも・・・これ」
「なかなかないんだねぇ・・・ダイヤモンド入りのやつって」
「・・・本物・・・とか・・・何考えて・・・」
「んー?小さいけど本物。あんまりにもなかったから超特急で知り合いに作らせたんだけどさ・・・」

真山は瞳を揺らしながら山本を見上げる
本物の宝石・・・それは気持ちが込められているようなもの・・・

「これなら誰にも見せられないけどずっと身に着けていられるでしょ?」
「・・・これ・・・どういう・・・意味・・・すか」
「まぁ、真山くんはオレに毎月2万円ずつ借金返すことになってるけどそれ以上にずっと一緒にいてほしいって願望は込めた」
「っ・・・」
「あ、プロポーズの時はもっとちゃんと用意してくるからさ!ダイヤモンドって真山くん誕生石でしょ?なんかよく判らないけど誕生石って身を守ってくれるお守りみたいな効果もあるみたいだしさ・・・ほら、負けた真山くん!文句言わずにつけて」
「・・・外して、山本さんが付けてください」

着ていた服を脱ぐと乳首を突き出すように山本の前に出す

「これじゃ付け替えるだけじゃ済まなくなりそうだけどー?」
「・・・敗者は勝者の言うこと聞くんで・・・なんでもどうぞ」
「あー、もー素直じゃなくて可愛いー」







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ビタースウィート50 - 11/21 Mon

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「んぁ・・・っ」

山本の指が再び下着の中へと差し入れられてまた撫でられ、今度は内部へと挿って来る感覚に背中が震える

「この格好だと上手く触れないなぁ・・・オレも舐めるから向き替えて?」

ブンブンと頭を振る

「イヤ?」

何度も頷くのは自分がそうされるのに慣れていないから・・・ただ撫でられただけで感じてしまうのにそんなことされたら自分が自分でいられないような気がして怖いから

「じゃあ、後でさせてね」

それには返事しないでまた舌で口内で山本を感じる・・・時々漏れる吐息が甘くて度々咥えたまま山本を見上げると前髪を掻き上げてくる山本が快楽で少し顔を歪めて紅潮した頬で微笑んでくれているのが見えてまた満足そうに動きを早める

「あー、真山くん、気持ちよくてちょっとやばい」
「らひて・・・」
「イイの?」

出して欲しい・・・山本のだから。強制されて口内へ出されるのとは全く違う・・・自ら望んでいること

「っ・・・あ、ダメだ・・・ホント出しちゃうよ?ねぇ・・・っ」

山本が達しそうなのを口内で感じ、山本の問いに答える代わりに吸い上げるように唇で扱くと山本の体に力が入ってすぐに口内へ広がる青臭い香り

「ん・・・ん・・・」
「は・・・大丈夫?」

飲み込んでしまったけれど引かれないかと山本を見上げると手を差し出される

「?」
「出していいよ?」
「・・・」

真山は少し困ったように口を開くともう空だと口内を見せる

「飲んだの?!」

やっぱり引かれたのかと思うと同時に抱き上げられて頭を撫でられる

「無理してない?」
「・・・してない」
「・・・もー・・・どーすんのこれ・・・」

出したばかりなのに再び熱をもったそれを見て真山は嬉しそうに少し笑う

「っ・・・真山くん笑うとすっごい可愛いよ」
「・・・」

トンと押されて布団に寝かされると山本の唇が乳首のピアスを挟むようにして舌で乳首を舐められる

「んんっ」
「ねぇ・・・これ、オレが新しいのあげたら付け替えてくれる?」
「ふっ・・・え?」

カチリと歯に金属を当てながら山本が真山を見上げる

「・・・もったいない・・・そんなの」
「んー・・・でも、これ、彼からの贈り物でしょう?真山くんにすごく似合うけど嫉妬もしちゃうからねぇ」

確かに一般的に、別の男からの贈り物を身に着けていたら嫉妬もするのだろうと気付いて少し悩んでひとつ頷く

「・・・山本さん・・・ならこっち開けても・・・イイですけど」
「え?」

開いていない方の乳首を抓みながらそう言った真山に山本は苦笑して首を振る
真山に痛みを与えたいわけじゃない・・・この開けられたものに対して嫉妬しているわけでもない・・・ただ、自分の贈ったものを着けてほしいだけ。それは指輪やネックレスを恋人に贈りたいのと同じ

「ねぇ真山くん・・・ここ・・・イイ?」
「んっ・・・はっ・・・ん」
「オレの、挿れたい・・・」

指で内部を押し上げられた真山は何度も何度も頷く。山本のものでいっぱいにして擦ってほしい

「あ・・・待って・・・待って」
「うん?」

真山が手を伸ばして脱いだスラックスのポケットからゴムを出すと山本に差し出す

「あー・・・そっか。そうだね・・・でも、これ入るかなぁ・・・」
「?」
「オレの部屋行こうか・・・」

山本に手を引かれて起こされると山本の寝室へと移動し、ベッドへと倒される

「ごめん。自慢じゃないけど、Lサイズじゃないとさ」

山本が取り出したパッケージを見て少し顔を赤くした真山の頭を撫でて加えたパッケージを破ると中身を取り出して自身へ充てたけれど真山の手がそれを止める

「・・・そのまま・・・欲しいって言ったら・・・くれますか」
「え?」
「ぁ・・・な・・・なんでもないっ」
「イイよ。真山くんが望むなら」

ポイっとゴムを投げ捨てた山本に抱きしめられるとまたジンジン胸が熱い。熱くて痛くて心地よい・・・昂ぶりを当てられると自分でもそこがヒクヒクと欲しがっているのが判る

「真山くんのここ、パクパクしてるみたい・・・可愛い」
「うっ・・・っさい・・・」
「ほら、チュウしてるよ?・・・そういえば、まだキス、してなかったね」

山本の唇が真山の唇に触れてすぐに入り込んでくる舌を受け入れると同時に挿入される感覚

「んぁ・・・あっ・・・はぁっ」
「真山くん、これワザと?きゅうきゅう締め付けてくる」

声が漏れないように口を塞ぐのにやっぱり漏れ出してしまうのは山本の重量あるそれのせいじゃない。好きな人に抱かれている。繋がっているから・・・







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ビタースウィート49 - 11/20 Sun

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「ねぇ、真山くん」

真山は小さく首を振る

「付き合ってくれないのかぁ・・・真山くんに触りたいけどな・・・」
「触ればイイでしょ」

山本の温かい手が体から離れて真山が山本の手を掴む

「でも、付き合ってくれないんでしょ?」
「ぁ・・・」
「あとはー、お姉さんにお金返すんだっけ・・・それ、やっぱりオレが立て替えちゃダメ?」
「・・・」
「勿論、真山くんがオレにお金返すんだよ?毎月1000円ぐらいずつ」

真山が瞬きをして山本を見上げると山本が悪戯っぽく笑う

「真山くんに他に好きな人ができたら一括で返してもらうけど」
「何だよ・・・それ」
「真山くんが罰のつもりでお金払い続けるなら、真山くんのことが好きで幸せになってほしいオレも一緒に罰受けたいよ・・・っていうか、なんかオレ、真山くんのコト買うみたいになってるけどさぁ、そうじゃなくて」
「っ・・・本気で言ってんすか」

自分のあんな写真を見たのに嫌いにならなかった・・・追い出されなかった・・・優しいままだった・・・「もちろん本気だよ」と言った山本に胸を締め付けられながらもいつものように悪態を吐くしかできない真山

「ば・・・バカじゃないのっ・・・毎月1000円って何年かかるんだよっ・・・」
「何年も真山くんはオレのモノになるってことだよねぇ」
「っ・・・利子はっ」
「真山くんの体」

自分の体にそんな価値があるのか判らないけれど、もう自分を縛るものは何もない・・・自由・・・自由なのだ・・・そう思うと山本の胸に頭をポンと押し付ける。このまま山本に付き合うと言いたい・・・好きだと・・・出逢った瞬間から好きだったと

「・・・」
「可愛い子としちゃって・・・もー」

山本がため息を吐きながら真山を押し倒すと頬に触れながら「付き合うのイヤ?」と囁く

「・・・」
「触ってイイんだっけ?」

山本の手が真山の体に触れると触れられた場所だけ火傷しそうな程ジンジン熱くて触れられているだけなのに甘い吐息が漏れてしまう
好きな人に触られるのがこんなに気持ちイイものだとは知らない・・・好きな人は今までもいた。でも、好きな人に想いを告げることすら出来ずに諦めて来たから。立花が「友己が好きでも伝えれば相手の迷惑になったりもするよ」そう最初に言われてその通りだと思ってしまったから・・・だったら最初から体の付き合いは体の付き合いで恋は恋で別にしてしまったほうが楽だった。友達のフリして隣にいて、体の熱だけは別の場所で解消する・・・
だけど、今、好きな人に触られている・・・この状況が恥ずかしくて嬉しくて幸せ・・・

「さすが真山くん若いなぁ・・・もう勃ってる」
「っ」

スラックスの上から撫でられて顔を赤くしながら自分でファスナーを下ろし、ボタンを外すと「積極的だなぁ」と山本が微笑んで下着の上から優しく触れるけれど、もどかしくて真山も山本の寝間着の上から触れる
熱を持って少し擡げたそれが欲しくてゴクリと唾を嚥下すると山本が笑う声に顔を上げて山本を見上げる

「またすごい音したね?」
「舐めたい・・・です」
「それはもう少し後でねー・・・今は真山くんに触りたい」

お預けを食らった真山はもう1度唾を嚥下すると瞬きをひとつして山本の手に身を委ねる

「・・・?男の子って濡れないよね・・・?」
「あ・・・」

山本の手が下着の中へと伸びて後孔を撫でると少し漏れたローションに首を傾げた。今日は元々立花に会うつもりであらかじめ仕込んで立花の指定した場所へと向かっていた・・・いつもこうしておかないとすぐに求められたときに自分がケガをしかねないから

「・・・そっか。あいつのためかぁ」

そう呟きながらただ撫でる・・・その度にビクリと体が跳ねて漏れ出したローションで山本の指が滑りよくなるのが判る

「ぁ・・・ふっ」

ただ撫でられているだけなのにもっともっとと先を期待し、体はどんどん熱くなっていくのに求めている内部への刺激は与えられない

「中っ・・・欲し・・・」
「うん。だねぇ」

真山の物欲しそうな顔を見たら判る。でも、だからこそ山本は少し力を込めれば挿入できる指をただ撫でるだけに留めている

「なんっ・・・でっ」
「付き合う?」
「っ!!!」

付き合う。そう言わなければちゃんと触ってもらえないのだと理解した真山は唇を噛んで山本を睨みつける

「ダメ?」

山本の手が止まって下着から引き抜かれると泣きたいような気分が襲ってくる
真山に触れるのを止めた山本の手は寝間着と下着を下ろし、自身を扱く

「っ・・・それっ・・・」
「うん・・・ごめん。オレが我慢できなかった」
「舐めたいっ」

真山の指が山本に延びるけれどそれを阻止するように反対の手で真山の手を掴む

「付き合う?」

じわっと胸が熱く痛む・・・目の前に欲しいものがあるのに手を伸ばせばすぐに届くところにあるのに付き合うと言わなければこれも貰えないのだと真山は瞳を揺らす

「付き合ってくれる?そしたら、これ・・・真山くんにも触ってほしい」

血管の浮いた山本の雄を見てまたひとつ唾を飲み込むとこくりと頷く

「イイ・・・?イイ?」
「ホント、オレのこれ、好きだね?」

山本に拒まれていた手を離してもらうと飛びつくように山本自身を口へと収める

「っ・・・真山くん、すっごい上手い・・・」

口の中が山本でいっぱいになる。でももっともっと欲しい・・・もっともっと感じてほしい。もっともっと味わいたい

「ちょ・・・奥っ、挿れすぎっ」

喉まで犯されて苦しいくらいが丁度いい・・・いつも無理矢理喉奥へと挿れられて頭を揺さぶられるのに山本はただ優しく真山の頭を撫でるだけ。心配してくれる声も優しく真山の耳に響いてそれだけで気持ちイイのだった





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