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つれないキミと売れてる僕10-7 - 12/31 Sat

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里見がベッドへ入って須野もそこへ上るとギシリと軋むベッドの音
いつもつけるサイドボードの小さな明かりすら付けないで暗い部屋の中・・・

「寛人ー」
「っ・・・耳元で名前・・・ヤダ」
「なんでだよ」
「光・・・ズルい」

真っ暗だけれど目が慣れればシルエットともう何度も触れて来た身体ぐらい判ってしまう

「オレ、お前に名前で呼ばれるの嫌いじゃねぇよ?」
「っ・・・んっ・・・煽ってるの?」
「判んねぇの?」

里見の指先が須野の鎖骨をなぞると須野は里見の上に覆いかぶさるように抱きしめ、キスを落とす
すぐに舌が入り込んで敏感な粘膜が触れ合うと小さい水音が部屋に響く

「お前にチャラい役なんてできんのかよ」
「光と葛西を参考に役作りしてるけど」
「おい・・・オレチャラいか?」
「ううん・・・完璧です・・・でも、こう・・・女の子口説くときとか・・・光とか葛西はやっぱり・・・」

須野が口籠ったのに里見は察して唸ると唇を寄せる

「寛人の唇、気持ちイイな・・・薄くて形イイけどキスするときはエロくて最高」
「っ・・・」
「舌も熱くてジンジン気持ちイイ。なんで?愛情の差?」
「な・・・な・・・」
「参考になんの?」
「・・・もー・・・思い出して勃ったら大変だよ?ねぇ、光ぃ」

須野が笑いながら里見の首筋にキスを落とし、鎖骨を舐めるとシャツを捲り、裾から手を差し入れる

「葛西はどーかなぁ・・・あいつこそチャラいと思うけど」
「ふふ・・・そうだねぇ・・・女の子に限らず人に対してすっごいエネルギーあるよねぇ」
「あぁ、今度異業種交流会みたいなのに連れていかれるらしいぞ?オレ」

乳首に触れて撫でるけれど変わらずに話をしてくる里見に少しだけ焦れったくなりながらシャツを上まで捲って舌先で乳首を転がす

「葛西に聞いた・・・」
「へぇ・・・AV女優とかも来たりしてるらしいー」
「っ・・・」

顔を上げた須野の頭を撫でると乳首へと誘導するように頭を押さえた

「浮気するとか心配するかー?」

小さな乳首を舐め、吸って甘噛みしながら小さく首を振る
昔のような心配はあまりしなくなった・・・自分と付き合い始めてからの里見は確かに何度か女性と関係を持ったけれどどれも仕方がなかったり、自分が悪かったりしたもの・・・昔のような浮気ばかりする里見じゃないのは須野も判ってきたこと

「んっ・・・寛人、下、脱がせろよ」
「うん・・・」

里見の寝間着と共に下着を下ろすと自分と共にジムへ通って前よりも引き締まった腹へと唇を寄せ、臍を舐める

「オレは結構誠実にもなれたんだなぁ・・・」
「?」
「そう考えるとお前は幸せだぞ?」

幸せ・・・そんなの判っていること。幸せすぎて怖いくらいなのだから

「オレにそこまでさせてんだから・・・」

そう。自分以外と関係を持つことに罪悪感を与えている。愛されていることを感じながら須野は愛しい里見の全身にキスを落としていき、少し熱を持った雄へとキスをすると口内へと納める

「っふ・・・寛人」

里見からローションを手渡されると後ろへ触れることも許されるのだといつも嬉しく思ってしまう・・・里見の体に負担がかかる行為・・・でも、それも許されている優越
ローションを手に出し温めると閉じた後孔をマッサージするように塗り広げ、すこし緩んだところで少し力を入れると指を飲み込んでいく
唇で雄を扱きながら体内の感じる場所を押すと小さく漏れる里見の嬌声・・・ジンジン自分の下肢が熱を訴える。里見の体に触れているだけで全身が悦んでしまう・・・里見の肌に触れた指が、里見の熱を受けた舌が、里見の声を聞いた鼓膜が・・・

「も、イイ・・・だろっ」
「ん・・・」

里見のゴーサインを受けて須野が布団を跳ね除けて起き上がりシャツを脱ぐ

「暑っ・・・」

暗闇に浮かぶシルエットでも判る須野の鍛えた体・・・
以前から里見を抱き上げたい、嫌われたくないと鍛えていたけれど、暫く役作りのために鍛えぬいた体は無駄な肉なんてどこにもないくらい鋭いシルエットとして浮かび上がる

「・・・やべぇな・・・」
「うん?」
「なんか色んな意味でお前に負けた感が今あった・・・」
「え?!僕に負けてるところ?光に?ないよー・・・どこもかしこもキレイだよ・・・」

そのセリフは少しチャラい・・・そう思いながら笑ってキスをし、挿いってくる須野の重量を受け止めた



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つれないキミと売れてる僕10-6 - 12/30 Fri

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「ぶっ・・・アハハハ」

これが須野の変わった姿を見た里見の最初の反応
吹き出し、腹を抱えて笑われ、須野は困ったように頭を触るとそんなにおかしな姿になっているだろうかと頼りなく微笑んだ

「おまっ・・・お前っ・・・その姿でその顔すんなっ・・・おかしっ・・・フハ・・・アハハハ」
「え!どの顔・・・」
「姿と表情が合わなさ過ぎてっ・・・あークソ。腹痛ぇっ・・・」

ソファで腹を抱えて寝転がって笑う里見を見て須野はじゃあどうしたらいいのかと悩む

「っつかお前じゃないみたいだなぁ・・・」
「・・・僕だよ」
「おう・・・でも、なんか・・・フハ・・・」
「ひっ・・・かり・・・笑いすぎじゃない?」

里見は少し驚いたような顔で須野を見てニヤリと笑うと「寛人」と呼びながら須野の耳へと指を伸ばす
里見の細い指が須野の形のいい耳を撫でると小さい嬌声を上げる須野

「あー、そのエッロい声は寛人のだなぁ・・・でも、この髪はお前じゃないみたい」
「っ・・・待ってっ・・・待ってっ」
「あー?」
「僕・・・じゃないみたいなんでしょ?」
「だから?」

里見の指を手で握るとその指にキスをして離す

「じゃ・・・も、煽らないで」
「何?」
「っ・・・だって・・・僕じゃないみたいなら・・・」
「はぁ?でも、今名前で呼んだだろ?したいんじゃねぇの?」

須野の瞳が一瞬震えて里見の姿を映す
普段から自分の名前を呼び出した里見。だったら自分も・・・と勇気を振り絞ったのに情事の誘いのように受け取られてしまっただなんて恥ずかしくて・・・

「僕・・・じゃないみたいな僕・・・と光がするのは・・・ちょっと」
「いや、お前だろ」
「だけどっ・・・」

里見が呆れたようにため息を吐くとタバコを咥えた

「お前の嫉妬心ホントどこへ向かってんのか全然判んね」
「だってっ・・・だって・・・」
「寛人」
「っ」

何度呼ばれてもきっと慣れない・・・体中を電気が走ったように快楽を生み出して全身で里見が好きだと叫んでしまう

「じゃあ、しねぇのな?」
「っ・・・し・・・たいですっ」
「どっち?」

ニヤリと笑みを浮かべた里見は神のようで悪魔のようで・・・そして・・・須野はそれにただひれ伏すのだ
跪き、里見の膝にキスを落とすと懇願するような瞳で里見を見上げる

「したいっ・・・けど・・・我慢する」
「・・・」

里見はため息を吐くと「寛人」と名前を呼ぶ
そう呼ばれるだけで背中から快感が抜けるようでひとつ身震いをする須野

「お前は・・・ほんっと・・・」
「っ・・・光・・・」
「なんだよ」
「愛してる」
「・・・ぶはっ・・・悪ぃ・・・けど、お前っ・・・チャラい外見なのに中身須野っ・・・クックックッ」

いつもの愛の告白まで笑われてしまうと須野は困ったように笑って立ち上がる

「お?」
「光、仕事する?寝る?」
「んー、とりあえずさっき今ある仕事全部片付けたから寝るかなー」
「じゃあ寝よう」
「・・・あ?しねぇんじゃねぇの?」
「添い寝・・・もしちゃダメ?」

里見はまたニヤリと笑って須野の頭をクシャリと撫でると「寝るか」と言うと須野より前を歩いて寝室へと向かうが寝室へ入る前にひとつ振り返る

「電気消してたらいつもと同じかもなぁ?」
「っ・・・僕っ、結構すっごいかなり我慢してるのに!!!」
「おーおー・・・お前のその日本語不自由な感じは寛人だ寛人ー」






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つれないキミと売れてる僕10-5 - 12/29 Thu

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「うっわー、須野ちゃん見事に染めたねぇー・・・抜いたっていうのか」
「あぁ、うん・・・だよねぇ・・・これ、やりすぎだよねぇ?でも、更にウィッグ被るんだよ・・・だったらここまでしなくてもイイのにねぇ?」

須野の見事に変わった姿を見て葛西は驚いて笑う
黒髪の誠実そうな印象が強い須野が金髪になっていて、少しカールさせられたその髪がとても堅い役をやっている人物とは同じに見えなくて

「光はもう見たのー?それー!」
「まだ・・・里見も今すごい忙しいみたいだし」
「あぁ、うん。映画が公開近いのに小説の表紙で今更だけど揉めてるしなぁ」
「そっか・・・大丈夫かなぁ」
「まぁ、光だもん。大丈夫さー」

普段と触り心地まで違う気がする須野の頭に触れると須野は葛西の顔を見て何か言いたそうにしたと思うと両手で顔を塞ぐ

「え!どした?どしたの!?」
「僕、今幸せすぎて死にそうなの聞いてくれる?」
「え!・・・うん。聞くけど!!!」

何度か頷いた須野の背中を撫でて落ち着かせると紅潮した頬の須野がへらりと笑って葛西を見る

「須野ちゃん・・・すっげぇにやけてるけど」
「にやけるよっ!思い出しただけで僕・・・もーっ!!どうしよう!どうしよう!!」
「ど、どうしたの?」

須野がこんなにも幸せそうな顔をしているのは確実に里見の話なのは判っている。それを話せるのも自分にだけ・・・それも判っている

「あ・・・あのね・・・里見が、僕を名前で呼んでくれるの・・・」
「あ・・・あぁ、うん」
「っ・・・里見だよっ!?里見がっ・・・ずっとだよ・・・」

葛西も確かに里見が須野を名前で呼んだことには驚いたけれど予想以上の須野の喜び方にどう対処していいか困る

「あ・・・やばい・・・勃ちそ・・・」
「待って!隣にいるのオレだからっ!光じゃないからっ!」
「だって・・・里見が僕を名前で・・・っ」

両手で頭を抱えながら震えて喜ぶ親友に葛西は困った顔をして笑いながらため息を吐く
10年以上想いが叶わなかったことを知っている。片想いをこじらせるとこうなるのか・・・とよく判らない納得をして須野の背中を撫でると「よかったじゃん」と優しく囁いた

「よかった・・・けど・・・僕・・・」
「んー?」
「僕もっ・・・名前で呼んでもイイと思う?!普段からっ!!」
「え・・・そりゃ・・・っていうか呼んでなかったの?」
「・・・ぇ・・・っち・・・なことする時・・・だけ・・・」
「あーなんか聞いちゃいけないこと聞いた気がするけどまぁ、いいや・・・イイでしょ。光もそれ望んでると思うけど?」

顔を上げた須野が赤い顔をしながら「ホント?」と聞いてきたのを葛西は頷いて微笑む

「あーっ・・・でも呼べるかなぁ・・・里見にっ・・・里見に名前で呼ばれるとホント・・・こう・・・あーーーーもーーーーっ・・・やばいっ!!!ってなる」
「・・・須野ちゃん、なんか・・・うん・・・キャラそんなんだっけ?」
「僕・・・里見が大好きで・・・ホントにホントに大好きで大好きでっ・・・あー・・・大好きなの」
「知ってるーーーーーーっ」

葛西の笑い声が部屋に響く
須野が里見を大好きなことはずっと知っていることで、今更こんな風に言われなくても・・・と思うほど

「好きっていう感情が目に見える薬とか開発されたら僕やばいよ?僕の細胞ひとつひとつに里見が好きって書いてある!」
「・・・いや、ホントに大丈夫?」
「あー、もー・・・なんていうか、里見が好きなの」
「本人に言おうな?いい加減オレも恥ずかしくなってきた」
「だって・・・里見忙しい・・・僕も・・・あっ・・・どうしよう・・・僕、忙しくなって帰れなくなったらいつも里見に電話するでしょう?」

葛西はため息を吐きながら頷いて須野を見ると須野は真剣な顔を葛西に向けていて葛西も少し真剣に聞いた方がイイのかと身構える

「電話でも名前で呼ばれたら僕死んじゃうかもしれない」
「・・・須野ちゃん、1回頭殴ってイイ?」
「え!ヤダよ!」
「いや、光だったらもう既に何回も殴ってるぐらいだよね?なんか今、光の気持ちが判った」
「え!なんで!!僕間違ってんの?」
「おう。なんか・・・なんかムカついた」
「え!なんでっ!!!」

葛西は笑うと須野の金髪の頭をぐしゃぐしゃとかき混ぜて顔をグニグニと弄ぶ
歪んだ須野のおかしな顔にクスリと笑うと今度はよしよしと頭を撫でた

「須野ちゃんが幸せそうでオレも嬉しい」
「・・・幸せすぎて死にそうって悩んでるよ?」
「イイ悩みでしょー!」
「そりゃ・・・」

須野は微笑んで大きく頷く

「あ、今度光誘って飲み会行くから」
「うん?」

今までだって里見と2人で飲みに行くことはよくあったのになぜ了解をとるようなことをするのかと首を傾げる須野

「合コンじゃないけど大勢が来る飲み会ね!」
「・・・え」
「光もネタ探しの場必要でしょー?」
「・・・そ・・・だけどぉ・・・」
「大丈夫ー!おかしなヤツが近付きそうだったらオレが止めるしそこら辺はオレもちゃーんと見てるから」
「あぁ、うん。だよね・・・」

過去の過ちはもう繰り返したくないから・・・それは須野も葛西も同じ思い・・・里見を守れなかった苦しい過ちだから






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つれないキミと売れてる僕10-4 - 12/28 Wed

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「西野 晶がどうしたの?」
「・・・別に」
「別に・・・じゃないじゃーんっ!イケメン作家で光も話題になったけど、光よりもメディアに露出多いし、今、知名度も勢いも確かにあるよ・・・でも、光が気にする程の相手じゃないよね?っていうか光って誰か気にするタイプでもないよね?!」
「当たり前だろ・・・あいつのどこがイケてんだよ」
「いや、一般的にはイケメンだけどね?彼、かなーり顔は整ってるけどね?」

里見は鼻で笑うけれど、葛西はやっぱり何かがあるのだと感じてひとり頷く

「ねぇ、光ー」

あの頃を思い出して微笑んで・・・

「オレ、最初は須野ちゃんのコト寛人って呼んでたよねー」
「・・・なんだよ。今日は思い出大会か?」
「でも、光がダメっつったんだよー」
「・・・だったか?」

人のことにはちゃんと気付くのに自分のことにはとことん鈍感な親友・・・義兄になっていたかもしれない親友

「そぉだよー!光が須野ちゃんを名前で呼んでないのにオレがなんで呼ぶんだっつってオレにムカつくって言ったー!すっげぇ怖かったんだよー光のことは光って呼んでも全然怒らないくせに須野ちゃんの名前呼んだら怒ったんだってばー」
「・・・あぁ?そうかー?」

なぜ、あの時自分にそう言ったのかまだ判らないのか・・・それとも・・・

気付かないフリをまだしていたいのか・・・

「西野 晶が須野ちゃんを名前で呼んでたりしたのかなぁー・・・」
「・・・」

里見は少しだけ葛西を見るけれどいつもの能天気そうな笑顔をしているだけで真意が読めない。本当に鋭い。今日、西野の名前を出し、須野を名前で呼んだ。ただそれだけの情報だったはずなのに・・・
別に西野が須野を名前で呼んでいたから・・・そういう訳ではないと思う・・・思う。だが、自分が名前で呼ぶと誰が名前で呼んでいる時とも違う表情を自分に向けてくれるこの優越感・・・自分が呼ぶ時だけ見せてくれるあの表情

「そんな仲イイんだぁ?」
「オレがあいつの交友関係なんて知るわけがない」
「気になる?」
「気になるわけもない」

これは本当。須野には須野の交友関係があって当然だから。自分にも当然あるけれど、元々男友達が少ない里見には限られすぎた関係しかなくて、女性関係は後々面倒になると疎遠になっていたから最近では須野の知るうちでしか遊んでいない。それはどこか寂しい気もしていた・・・だが、今更自分がどう友好を広げていけばいいのかも判らない。仕事関係はそれなりに順調。でも、それだけ・・・自分で唯一の欠点だと思っていたこの性格がこの歳になって色々と邪魔してくるだなんて昔は思わなかったこと

「光さー、ネタ探しにでも交友関係広めるー?」
「あぁ?」
「いやー、異業種交流会みたいな?」
「なんだよ・・・」
「横のつながりってどこまでも必要じゃん?まぁ、合コンもある意味すごいよかったんだけどゆりちゃんいるし合コンはあんまりなーってことでたまにやってんだよね。まぁ、業界的に結構偏ってたりはするけど」
「なんでそこにオレを連れて行こうとか考えてんだよ」

葛西は笑って「ネタ探しになるでしょ?」というけれど、本当はこれからもまだまだ広がる須野の交友関係に里見が何か思いを抱えてしまわないように。もちろん、親友2人の幸せが1番だけれどそれ以上に里見が輝き続けるために・・・目の前の須野ばかり気になってしまうのは葛西も須野も知らない里見のようだから・・・

「でもねー、フツーの飲み会っ!女の子もいるけど合コンじゃないよー」
「・・・あぁ、そ」
「光ってさ、小説の登場人物にモデル作るじゃん?新しいモデルになるような面白い人もいるかもしれない!」
「んー・・・まぁ、イイけど」

これで同意するのもなんだか里見らしくなかったけれど、それも大人になって丸くなったということでイイ・・・

「あ!でもお持ち帰りするのもお持ち帰りされるのもナシだよー?見張ってるからねぇ?!」
「バーカ・・・ねぇよ」
「・・・」
「・・・オレらしくねぇな・・・全部あのバカのせいだ」

葛西は驚いた顔をする
今までの里見だったら「お持ち帰りされるのは自分が決めることじゃねぇ。自然の摂理みたいなもんだ」だとかなんとか言っていたハズなのに・・・そして葛西はにっこり微笑むと「イイ子イイ子」と里見を撫でて殴られた





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つれないキミと売れてる僕10-3 - 12/27 Tue

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葛西がようやく落ち着き、赤い目を擦りながら晶の日記を捲りながら懐かしい想い出に花を咲かせ、やっと葛西の中でも気持ちの整理ができた気がした・・・

「そうだ、オレの秘蔵映像見たい?」
「お前の抜きネタとか別に今要らねぇけど?」
「そういう雰囲気じゃなかったよねぇ?!違うってぇ・・・」

葛西が笑いながら日記を愛しそうに撫でた後サイドテーブルに置いて口を開く

「あの映像だけはあちこちにバックアップデータ取っといたんだよなぁ・・・中身はずっと見てなかったけど・・・いつか笑って見れるんじゃないかって・・・今、その時かも」

里見は「ふーん?」と言いながら空き缶を潰し、葛西は「ちょっと待ってて」と部屋を出て行くと静かな時間がまた流れ出す
葛西が言わないのなら・・・とずっと里見も秘めていた想い。けれどそれもなくなって少しすっきりした気がした

「ただいまー」

葛西がパソコンを持って部屋へ戻って来るとすぐに里見の隣に座ってパソコンを開く
パソコンが小さな音を立てて画像を読み込み、動画が流れ出す

高校生の時の2人・・・若い自分に須野・・・いつものくだらないやりとりが流れて里見はふっと昔を思い出しながら笑う
里見の部屋・・・今はもうない想い出が詰まりすぎたあの家のあの部屋・・・こんな部屋だったかと思いながら目を細めた

『お兄ちゃんっ』

ひとつの声で里見は息を呑む
懐かしい声・・・ずっと記憶の中では呼ばれていた気がするけれどずっと聞いていなかった声・・・

『まーたお前は入って来る・・・』
『いいじゃなーいっ!須野さんのイケメン具合確認に来たのー』
『残念だがなー、須野がお前に靡くことは絶対にない』

あぁ、そうだ。昔から自分はこんな風に自信満々だった・・・須野からの愛はもう既に受けていて、この頃には須野と今の関係になるだなんて考えてもなかったけれど

『えー?そうかなぁ・・・でも、別にお兄ちゃんから須野さん奪うつもりないし、できるとも思ってないからー』
『あー?オレから奪うってなんだよ』

晶が笑う・・・
自分とよく似ていたけれど、自分にはこんな無邪気な笑顔はできない・・・そう。晶の笑顔は素晴らしい笑顔だった

『例えば10年後?30年後?50年後かもしれない。お兄ちゃんのその自慢の完璧な容姿が崩れてきたとしても隣で寄り添って微笑んでくれるのは須野さんぐらいでしょう?きっと』
『バーカ。オレは100年後だってこのまま素晴らしいんだっつーの』

10年後・・・ここからさらに50年後・・・隣で笑ってくれているのは・・・?

『葛西さんもきっとそんなのを隣で笑って見てるわよねー?』
『え?オレー?』

画像が動く・・・そうだ。葛西が映っていないのは葛西が撮っているから・・・いつもそう。普段のこんな風景撮るだけ無駄だと言っていたのにきっと将来見たくなるとか練習練習!と言ってカメラを回したがった葛西にそのうち何も言わなくなった

『お兄ちゃんは完璧だけど足りないものだってあるからそれは須野さんがいないとダメなんだってばー』
『僕は何もできないけどね?』
『ううん。できるわよー。お兄ちゃんがホントにポンコツになった時、支えられるのは須野さんと葛西さんっ』

そこで切られている映像・・・あぁ、そうだ・・・自分が本当にダメになった時。この後家族を一気に失って死のうとしたとき・・・人を傷つけ生きるのに疲れた時・・・支えてくれたのは晶の言う通りこの2人だった・・・
まるで先を見通したかのような晶の言葉・・・

「・・・なーんだよ・・・クソ・・・」
「あは・・・おかしいね・・・オレたちこんな昔の映像見て泣くなんてそんな年取ったかな」

里見は頭を抱えて湧き上がって来る熱い涙を堪え、葛西は溢れる涙をもう抑えることもない

「晶・・・やっぱりすげぇ可愛かったよな・・・」
「そうだね・・・光にそっくりだったから」
「完璧なオレに似て完璧だった・・・これ、コピーしてくれよ・・・」
「そのままイイよ。データはあちこちに保管してあるっつっただろ?それに・・・オレはもうこれ見ちゃいけないよ・・・オレにはもうユリちゃんがいるし・・・」

苦笑した葛西の頭をくしゃくしゃと撫でる
家族がいなくなった時、葛西も須野と同じように慰めてくれた。支えてくれた・・・でも、本当は里見と同じように泣きたかったんではないのだろうか・・・

「・・・オレ、ずっと言いたかった。でも言えなくて、ごめんね」
「おう」
「・・・あー、泣いた泣いたー!すっげぇー泣いたー!」
「泣きすぎだろ・・・イイおっさんが」
「オレのコトおっさんって言うなら光もだからねー?!」
「オレはおっさんじゃねぇし!」
「うっわー!同い年なのになにそれー!」

里見は笑ってタバコを咥えると火を点けて葛西の口へと咥えさせる

「晶もこんなおっさんになってるお前見たらがっかりしてフラれてたかもなぁ?」
「ないねー!ないないー!だって晶はオレの外見ばっかり見てたわけじゃないもーんっ」
「外見だったら間違いなく寛人選んでただろーが」

うんうんと首を縦に振り、そして固まる

「・・・今、なんつった・・・?」
「あー?寛人選んでただろーっつった」
「・・・ど、どしたの?!何?!何なの?!光!須野ちゃんのコト名前で呼び始めたの?!突然!何それっ!なにそれー!!!」

里見はあぁ、と頷いて「おかしいか?」と聞く
おかしいかおかしくないかで言えば、一般的にはおかしくない・・・長年友人関係で、恋人関係になって呼び方が変わるなんてことはよくあることで・・・でも、里見だ。里見が須野を名前で呼ぶ・・・


「どんな心境の変化かな・・・とは思うけど」
「別に・・・」
「・・・それって・・・突然西野 晶の話してきたのと関連してる?晶のコト話すためだけに振ったんじゃないよね?突然だもんね?」

そういえば、葛西は何かと鋭いことを思い出して里見は自分用に点けたタバコの煙を吐き出した




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つれないキミと売れてる僕10-2 - 12/26 Mon

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ワインが空く頃、葛西は冷蔵庫からビールを取り出してくる

「やーっぱり光と飲むときは1本じゃ足りなかったよなぁー」
「・・・なぁ、お前、西野 晶知ってるか?」
「えー?ええええー?!光ちゃんがまさかの男の作家に興味を示すとは!!!しかも光の好きそうなモノ書いてないよねぇ?!あ、でも須野ちゃんが西野 晶の作品に出るから?」

ビールを受け取ると小さく「違ぇし」と呟いてプルタブを引く

「まず、名前見て晶って書かれてて手に取った本だったな・・・」
「・・・そっかぁ・・・」

葛西はすぐに里見の妹を思い出しながら微笑む。里見が忘れることのない名前・・・そして、それは葛西も同じ・・・秘密の恋人の名前・・・

「そう。晶・・・晶だよ・・・」
「生きてたらー・・・やっぱりOLとかだったかなぁ?それとも学校の先生?それかぁ・・・」
「お前の嫁だったかもだろ・・・」

葛西の表情が固まる
身体の中が凍るように冷たくなっていく感覚・・・いや、でも知るわけがない。知っているわけがないのだ・・・里見が。ずっと隠していた里見が・・・

「あぁ、お前は死ぬまであいつとの約束守っていくつもりなんだな」

約束

そう。約束・・・晶とした約束・・・晶と結婚するときまで里見には関係を内緒にすること・・・

「ぁ・・・ぁ・・・」

里見が立ち上がって1冊の本を持ってくると葛西の目の前に差し出す

「・・・」

震える手でその本を手に取ると「捲れよ」と言う里見にページを捲る

『お兄ちゃんへ』

懐かしい字で書かれたその文字はあの時、貰った手紙の字・・・

『葛西さんを怒らないでください
 嫌いにならないでください
 今まで通り親友でいてください

 私を怒らないでください
 嫌いにならないでください
 今まで通り妹として愛してください

 私がこの世にいなくなるときにこれはお兄ちゃんの手に・・・
 でも、私が葛西 晶になった時にお兄ちゃんの手に渡ればいいと祈ってる』

そう書かれていてあぁ、結婚するまで兄には秘密にしてほしい・・・その理由が頭の中で繋がった

これは晶の兄への手紙・・・長い長い手紙なのだ

「まぁ、途中で終わってるけど、あいつがあのまま生きてたらこれは完結してからオレの手に来たのか・・・」
「・・・あ、あの・・・」
「イイからそのまま捲れよ」

全身が震える気がした・・・親友への隠し事がバレた・・・これ以上にない程感謝している親友への最大の隠し事

『X月XX日  私が葛西さんに告白した日

 最初は葛西さんは私がお兄ちゃんの妹だからって断った
 妹だからってそれが何が関係しているのか判らなかったけれど、そのうち理解したの。
 葛西さんはお兄ちゃんが大好きなのね。私も大好き。だから葛西さんのことももっともっと好きになった。
 お兄ちゃんのことを話して判りあえる関係なんて素敵でしょう?』

葛西は小さく呻き声を上げると本を閉じて頭を抱える
懐かしい想い出・・・葛西にとってきれいすぎる想い出・・・そして、想い出として残すには酷く辛いもの・・・だから心の奥底に仕舞った想い出
美しい姿だけ胸の奥に残して。。。ひとつだって忘れることができなくて。忘れたくなんてないものだったから

「っ・・・ごめ・・・っ・・・」
「責めてねぇよ・・・もう昔の話だ・・・晶ももうこの世にいねぇし」
「違・・・オレっ」
「あぁ、あれだろ?お前、彼女とかいただろーがとか3Pとかやっただろーがとかオレに言われると思ったんだろ」

葛西は冷たい両手を合わせて握り締める・・・そう。晶を、里見を裏切っていたと言われるのが怖くて・・・実際に裏切っていたのだ・・・いくら晶が兄を欺くためには必要だと言ったけれどあの瞬間、葛西は楽しんでいた。美しい恋人がいたのに楽しんでいた・・・

「これ、全部読んで判ったっつーか・・・そりゃ、最初はな、これ見て、お前殴ろうかと思ったけどさ・・・あいつが望んでお前はあいつの望み通り演じてただけだろ」
「っ・・・でも・・・」
「あー、あいつ生きてたらお前弟になったかもしれねぇとか・・・なにそれ。超怖ぇ」

くっくっくっと笑う里見に葛西は震えながらただ謝罪の言葉を呟いて里見はポンッと頭に手を乗せる

「お前が弟になるかもだったって思ったらやっぱさー、あの家から出してやんねぇとって思ったのも事実」
「・・・何・・・?」
「っつか高校生で将来そんな考えるとかバカだとか世間知らずだとかさ・・・でも、真剣だったんだろうなって・・・そしたらやっぱり生きてたら弟になったかもしれねぇだろ?」

葛西は黙って目を伏せる・・・
結婚したかった・・・彼女がもし生きていたら映画監督なんて目指すことなく、弁護士になって、彼女に不自由な暮らしをさせないようにただ頑張っていた。今とは全然違う人生を歩んでいたハズで・・・

「ほら、これ」

里見が本の一番後ろを捲って1枚の写真を見せられて葛西はただ涙が零れるのを止めることができなくなる

晶と一緒に撮った写真・・・若い2人の・・・

「イイ顔してんだよな・・・お前も晶も」
「っ・・・ふっ・・・ぐっ・・・」
「なぁ、葛西」

返事なんてできなくてただ顔を上げて里見を見る

「お前は晶を葛西 晶にするつもりだった?」
「っあ・・・っ・・・そうっ・・・だよぉ・・・晶っ・・・晶がっ・・・晶をっ・・・」




「愛してた・・・愛してたんだっ・・・すごくっ、愛してたっ・・・ごめんっ・・・ごめんっ・・・できなくてっ、ごめんっ」



絞り出すような声でそう答えた葛西の涙が号泣に変わると里見は「まぁ、飲め」そう言ってビールを葛西に押し付けた








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つれないキミと売れてる僕10-1 - 12/25 Sun

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急に変わるものだってある
もちろん変わらないものだってあるけれど、変わる時は突然で・・・そしてもしかしたら必然的なのかもしれない



須野の部屋に須野の友人が来ることだなんて今までだって何度かあった。自分優先にしているのは判っているし、須野が自分たち以外の友人と遊ぶことにも何も不満を感じるわけがない・・・

「じゃあ、ありがとね。ボク、すごい楽しかった!また来ていい?」
「うん。イイよ。アキラの力に少しでも慣れたなら僕も嬉しい」
「ありがとー!寛人くんっ!じゃあねー」

たまたまタバコを買いに行った帰り、須野の部屋から出てきた男を見て、言葉を聞いて里見はどこかもやもやするのを感じる

「あ、おかえりー。タバコ?僕の部屋にストックあったのに」
「気分転換」
「そっか」

男を見送った須野はいつも通り優しい笑顔で里見にくっついて来て部屋に1度入ってから当然のように里見の部屋へとやって来る

「・・・誰。今の」
「え?・・・あ、うん。えっと、西野 晶って判る?」
「・・・作家か」
「うん。今度僕が出る映画あるでしょ?その原作で」
「イケメン作家とか言われてる奴だろ・・・知ってる」
「・・・そ・・・か・・・えっと・・・里見、お腹は?」

里見は買ってきたタバコの封を開けると咥えながら首を振る

「そっか・・・えーっと・・・さ、里見がアキラのこと知ってるのびっくりした」
「あー?」
「や、だって・・・里見って・・・」
「普通の男には興味ねぇけど若手の作家だしな・・・しかも注目浴びてる奴。それに・・・」

須野は静かに里見の隣に座ると軋むソファ

「晶って名前だったからな・・・」

晶・・・それは里見の愛しい妹・・・あの時、両親と一緒に亡くなった妹の名前

「まぁ、名前見て女かと思ったら男だったし?そーいや晶って名前は男にもいるわなぁーって思い出したっつーだけだけど」
「うん・・・そか」
「おう・・・」

里見がタバコを押し消すと同時に須野は里見を引き寄せる

「寛人、あいつと仲イイのか」
「・・・え?・・・ええ?」
「だから」
「や、え?何?僕っ・・・のっ・・・名前?!」
「あ?イイだろ・・・別に」
「イイっ・・・イイですっ・・・あ・・・うん。俳優仲間の友達の友達・・・だったかなぁ・・・それで、話してみたらさ、里見のことも知ってたし、小説の話になったりして・・・で、なんか・・・付き合いあったんだけど・・・そしたらアキラの小説が映画化されて、それに出ることになって」
「・・・あぁ、そう」

まるで興味なさそうに言う里見にまだ心臓がドキドキしているのは里見がいつも呼ばない名前で自分を呼んだから・・・ほとんど呼ばれたことなんてないのに・・・もし呼ぶとしたら・・・情事の時・・・

「寛人、ノド乾いた」
「っ・・・は・・・はいっ」

すぐにソファから立ち上がって須野は急いでキッチンへと向かう・・・何故急に名前で呼んでくれるのか判らない。でも、嬉しかった・・・突然名前で呼ばれて・・・嬉しかった・・・







「ひっかりちゃーんっ!あっそびましょー」

里見がうんざりした顔をしてドアを開けたのは須野も仕事でいない夕方。そろそろどこかへ食事にでも出掛けようかと思っていた所の訪問に機嫌を悪くする

「あれ?あれあれー?なんで?どしたのー?光ちゃん・・・怒ってる?ねぇ、怒ってるのー?」
「・・・それ、何」
「んー?光と飲もうと思ってー」

葛西が手にしている袋を覗くとおしゃれなオードブルが入ってて里見はそれを受け取るとテーブルへと乗せた

「外でご飯もいいけどー、お家で飲むのもイイよねぇー!ほーら!ワインもあるよー」
「そんな洒落たもんは別に要らない」
「要らないって!!!シャンパンにしたらよかった?」
「・・・なんかイイことあったのか?」

葛西は「判るー?」と言いながらテーブルにワインを置いてグラスを物色しだす

「まだちょっと先なんだけどさー・・・短いけど枠貰えることになってー」
「・・・何だよ」
「テレビー!企画通りそう」
「・・・へぇ」
「そしたらさー・・・昔、光が書いてたやつやりたい」
「はぁ?」
「あったでしょー?ヘボ探偵」

それは学生時代に書いていた話。短くコメディタッチのものを撮りたいという葛西に書いた脚本

「・・・いや、お前、何でオレのを」
「だってオレ、光の話で撮りたいんだもん。光の書く話愛してるし」
「バッカじゃね」
「うん。バカなんだろうけど」

葛西は少しだけ笑ってグラスにワインを注ぐと無理矢理里見にもグラスを渡してそのグラスにカチンとグラスを合わせた







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ビタースウィート64《最終話》 - 12/07 Wed

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山本が会社へ出ると山のように積まれた書類にため息を吐く

「社長、その書類、下の方に期限迫ってるのあるからそっちから見てください」
「えー・・・それ探すところからぁ?!」
「えぇ。それ、オレの仕事じゃないんで」

相変わらず会社では冷たい真山にさっき部屋を出る前にキスもしたのに・・・とひとつ幸せなため息を漏らし、「あ」と思い出したように顔を上げて

「溝端くんー!」

と溝端を呼びつける

「なんですか?体大丈夫ですか?胃潰瘍とかホント気を付けてくださいよー?」
「うん?胃潰瘍?うん・・・あぁ、あのね、来週から1人優秀な子つけるから」
「・・・優秀?!新入社員ってことですか?!優秀でも新人をオレにつけるんですか!?無理ですよー!ちゃんと話せるようになるまで時間かかるしそもそもオレ、教育係向きじゃないですしー」

山本は少し考えてひとつ頷く

「知らないわけじゃないから大丈夫!うちのコードも慣れてるし、教えなきゃいけないことは大してないよ!」
「え?」
「ハルがやっと入社してくれることになったから」
「・・・ええええええええええ?!」
「ずーっと誘ってたのにやっと靡いてくれたー!これでプログラマ足りるからまたバンバン仕事取って来ても大丈夫だよね?!」

山本の言葉に溝端は複雑な顔をして「うーん」と唸りながら首を傾げる

「・・・っていうか、じゃあ、オレがリーダーやらなくてもハルくんがやればいいしっ」
「ん?無理でしょ。ハルだよ?」
「・・・」
「プログラマーとしては優秀だけどさぁ、ハルだよ?みんなに仕事割り振ってとか絶対無理だし」

溝端は「ですよね・・・」と納得しながらデスクへ戻ると隣にいる真山をチラリとみて盛大にため息を吐き出した

真山も優秀。ハルも優秀・・・でも、性格と人間性に難ありな2人・・・これから仕事を一緒にしてぶつかることは必須で・・・今まで以上に気を遣わなくてはいけなくなるのではないかと思うと先行き不安なのであった








「春野 ハルです!よろしくお願いします」

明るい色だった髪の毛を黒く染め、長くふわふわしていたのに切りそろえ、耳のピアスも首の後ろに見えたピアスも外し、スーツ姿のハルが会社へとやって来た

「・・・なにそのふざけた名前」
「うっわー・・・普段憎たらしいけど一段とまた憎たらしいねぇ」

笑顔のハルが真山にそう呟くとポケットからひとつキャンディーを取り出して真山に渡す

「何これ」
「コーヒーキャンディ」
「・・・好きじゃないし」

ハルは「えー?」と言いながら首を傾げてそのキャンディーを真山の目の前でゆらゆらさせる

「社長はこれ、好きだと思うけど」
「・・・」
「苦くて甘いコーヒーキャンディ」
「何その複雑なの」
「それ、キミが言っていいことじゃないよね!」
「はぁ?」

真山とハルの睨みあい・・・慌ててその仲裁をする溝端

「と、とりあえず、ハルくんはこっちのプロジェクト手伝って!真山くんは引き続きテストと修正からお願いしますっ!」
「・・・っていうかそもそもオレがテスト要員になってんのおかしくないー?」
「え・・・だって・・・社長がテストでも真山くん使っていいって・・・」
「・・・オレを活かしきれてない!全然ダメっ!」
「テストも重要なお仕事でしょー?ねぇ、溝端くんー、あとでパソコン使いやすいように弄ってもイイー?」

男だけれどどこか色気のあるハルの申し出にドキドキしながら溝端が頷く

「あとー、社長ーっ」
「んー?」

外回りに出る前に目の前の書類を片付けるのに必死になっている山本は適当に返事をしながらハルをチラリと見るとニコニコしたハルが山本の耳元へ口を寄せる

「オレ、遠慮しないで積極的に行きますからね?」
「・・・え?何を?」

話が判らない山本が聞き返す

「社長、さっき頼んだ書類!早くできないなら松島部長に回すから早くしてください」
「彼よりもずっとずっとオレの方がイイって思わせて振り向かせるって話でしょ?」
「・・・え?」
「・・・」

真山を指しながらそう言ったハルに山本は焦りながら真山を見るがいつもの会社で見せる無表情がまた怖かった

「まーさかあの時の歳の差気にされてたとか思ってなかったんでー。で、今はもうそんなの気にしないってのも判ったんでー」
「や・・・ハル・・・あのな?」
「どうでもいいから書類ーーーっ!」

真山の怒号が飛び、あぁ、きっと今夜は真山は荒れるのかと思うとどう機嫌を取ろうかと考えるが、同時に拗ねて可愛い恋人の姿が見られるのだと思うとそれはそれでまた楽しみなのだった

普段は冷たくて2人きりになれば甘い甘い年下の恋人
苦くて甘い蕩けるようなそんな愛しい恋人





ビタースウィート おしまいおしまい






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ビタースウィート63 - 12/06 Tue

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部屋に水音が響く・・・そしてふたつの息遣いと小さく短い喘ぎ声

「も・・・少し、いや、まだちゃんと挿いるよね?」
「っ・・・あんたっ・・・膨らませすぎなのっ・・・も、キツイのっ!」

浅いところを何度も何度も擦られるけれどいつももっと深くまで包み込んでくれているのに・・・と山本は真山の額に浮かんだ汗を拭う

「角度の問題・・・かなぁ・・・」
「だかっ・・・ら・・・んっ・・・はぁ・・・」
「・・・それとも、友己の気持ちいところ擦ってる?」

少し顔を赤くした真山に睨まれると山本はふにゃりと笑う

「浅いところ・・・好きなんだ?」
「べ・・・別にっ」
「でも・・・奥も好きだよね?」
「っ・・・」

山本に腰を押さえられると少しずつ力を入れられて必死に止めていたのに真山の体内へと深く挿入されていく感覚

「ふ・・・んんっ・・・」
「友己・・・ごめん・・・も、少し挿れさせて・・・じゃないと我慢できない・・・オレ、下から突いちゃいそう」
「ぁ・・・待って・・・判ったからっ」

山本が動かない為にも息を整え、ゆっくり腰を下ろしていくと拡がっていくのが判る気がしてブルブルっと身震いをする

「友己の中・・・温かくて気持ちイイ」
「んっ・・・ぁ・・・ここ、ダメ・・・奥っ・・・気持ちイイ・・・はっ・・・あっ」

山本の体に負担を掛けないようにゆっくりするつもりだったのに動きだしたら止まらない腰・・・たんたんたんと腹を突かれるのが気持ちよくて止まらない・・・止まらない・・・止まらない

「可愛い・・・可愛いよ・・・友己」
「んっ・・・んんっ」
「気持ちイイ?すごい可愛い・・・オレも気持ちイイ・・・友己、上手。すっごいイイ」

山本に褒められているのが嬉しくて気持ちよくて幸せで頭がふわふわしてきてもう何も考えられなくなってきた

「出ちゃう・・・気持ちイイっ・・・山本さんっ、気持ちイイっ」
「名前呼んで?」
「っ・・・義成さっ・・・達っちゃうっ・・・も、イイ?達っちゃってイイっ?」
「イイよ・・・オレももう達けそう」

自分の上で乱れる恋人が淫らで可愛くて愛おしい・・・こんなにも愛おしいだなんて真山が特別な人間なのではないかと思ったのに周りにいる人間に聞いても普通の男だとか憎たらしいだとかそんな評価ばかりでそこがまた嬉しい・・・

「っ・・・義成さんっ・・・好きっ」

山本の腹を白濁で汚し、体内へと放たれた精を感じながら真山はくたりと肩を落とし、少し息を整えた後に山本の腹に巻かれた包帯を汚していたことに顔を青くし慌てて自分の放ったものを傷に障らないよう優しく拭き取るが、やっぱり気になって替えの包帯とガーゼを持ってくると山本の包帯を外す

「あー、自分でやるって・・・っていうか別にオレ気にならないけど」
「オレが気になる」
「・・・うん・・・でも、傷、見たくないでしょ?」
「身体に穴開けてるオレが傷口くらい見たって別に・・・」

山本は「うーん」と言いながら真山が包帯を変えていく姿をじっと見つめる

「・・・もうガーゼにテープだけでイイよ」
「・・・」

山本の腹についた傷口を見て真山は手を止める

「山本さん」
「・・・えー、名前呼び止めちゃうの?」
「オレ、山本さんならココに穴開けてもイイ・・・」
「は?」

昨日立花に開けられそうになって怖くて逃げ、助けを呼んだ場所・・・怖いけど、山本にならイイ・・・

「山本さんは腹に穴開けられたんだから・・・オレにも・・・開けていい」
「いや、開けないけどっ!?」
「・・・なんか・・・なんかっ・・・罰をくださいっ・・・オレっ・・・オレ・・・」

山本の傷口にガーゼを震えながら当てる
罰が欲しい・・・山本の体に傷を付けてしまった罰が・・・

「・・・じゃぁ・・・」
「はい・・・」

従順に頷く真山

「オレ、明日もハルが見張りに来て仕事休まなくちゃいけないらしいから週末は休日出勤したいんだよね」
「・・・?」
「それに付き合って?」
「・・・そんだけ?」
「そんだけって・・・じゃあ、それと・・・Y社のプログラムテストとD社の不具合修正とーA社のサブソフト1本とー・・・」

それは罰にならないと思いながら顔を歪めながら笑って山本を見る

「あと、明日の朝ごはん作って」
「・・・それは山本さんの罰ゲームみたいになるかもしれないけど?」
「ううん。食べたい。友己の作ったご飯が食べたい」

真山は「それが罰なら仕方ないですね」と言って山本の隣に寝転がると山本の胸に頭を付ける

「おやすみ」
「・・・おやすみなさい」

お互いの心臓の音が子守歌になる・・・そんな幸せ・・・






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ビタースウィート62 - 12/05 Mon

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「・・・オレ、助けてって連絡したのすっげぇ後悔した」
「えー?」
「冷静になって考えたら判ったはずだった・・・山本さんに連絡したら絶対山本さん来てくれちゃうし、それを立花が狙ってるって判ったはずだし」

真山の額にキスを落とすと頭を撫でて「そんなこと言わないでよ」と囁く
もし、連絡がなくて真山が傷つけられていたらと思うだけで苦しくなるのに・・・あの時連絡がなかったら・・・と思うだけで恐怖を感じるのに・・・

「・・・好き・・・なんだもん」
「真山くん」
「言っとくけどっ・・・1回しか言わないけどっ・・・オレっ・・・」

真山が俯いて唇を噛んだ後顔を上げて少し赤くした顔で山本を真っ直ぐ見つめる

「あんたに出逢った瞬間、あの入社試験の面接であんたに逢った瞬間に、握手された瞬間からっ・・・義成さんのこと好きになって一生この人のために尽くすだけでオレは幸せって思ったんだからっ」

山本が目を丸くして真山を見つめる
そんなときから・・・自分のことをそんなにも・・・

「働ける場所なんてあればどこでもよかった・・・そこがブラックでもプログラム組んでる時は辛いコト忘れられるからなんだってよかった・・・給料も貰えるならよかった。あんなギリギリで採用試験やってる所なかなかないし、ここもブラックかな・・・とか思いながら試験受けて、面接してっ・・・そしたら義成さんが説明する仕事への熱だとか社員への愛情だとか・・・ホントクサいこと言ったりしてたけどでも、ここに入ったら社員としてでも義成さんに愛してもらえるんだって思ってオレ、絶対ここ入りたい。死ぬ気で働きたい・・・そう思ったくらいなんだから・・・」

心臓の音がうるさい・・・

真山の態度は最初から冷たくて、好意なんて感じなかったのに・・・

「それなのにっ・・・義成さんに好きになってもらってっ・・・オレ、幸せすぎて・・・幸せ知っちゃって・・・好きな人に初めて抱かれてっ・・・嬉しくて・・・それが全部壊れるんだって思ったら・・・っ・・・ぁ・・・っ」

いつの間にか溢れ出て来た涙が恥ずかしくて顔を隠すと真山の頬を伝う涙を指で拭う山本
あの時、怖かった。今、腕の中にいられる安心感・・・色々な感情が入り乱れてただ涙が溢れ出て来て止まらない

「友己、こっち見て」
「・・・」
「見て」

涙腺が壊れたかのような状態で顔を上げるのが嫌だったけれど少し強い口調で山本に言われると恐る恐る顔を上げて山本の顔を見つめる

「もう、オレ、刺されるようなことしないよ?」
「・・・え?」
「病気もしない」
「・・・?」
「キミを不安にさせるようなことしないから」

山本の言葉に小さく頷くと唇を押し付けられ、唇を舌で割られて口内を蹂躙される

「んっ」
「友己が告白してくれたからオレも恥ずかしいコト教える・・・」
「・・・ん?」
「オレ、多分、今まで淡白な方だった。っていうかしても下手だからか早く終われとか言われてきて自信もなかったしイチャイチャするのは好きだったけどセックスはそんなに好きじゃなかったかも・・・でも、今、なんていうか・・・毎日でも友己抱きたい」
「っ・・・」

驚いて涙が止まった真山は涙でクシャクシャの顔で笑う

「あ、すっごい可愛い」
「・・・し・・・仕方ないからっ・・・約束できるならしてあげる」
「約束?」

ゆっくり体を起こした真山が山本の上にマウントをとる

「絶対動かないって約束できるならオレがしてあげる」
「・・・動かないって・・・オレ、触っちゃダメなの?」
「触るのはイイ・・・でも、動いちゃダメ」

山本は少し考えて「判った」と大人しく言うと真山は体を下げて山本の下着を下ろす

「・・・多分、下手じゃない・・・ですよ・・・オレ、まぁ、そんな経験あるわけじゃないけど・・・基本が酷いことされてばかりだったからかもしれないけど・・・」

昂ぶった雄に口付けをするとアイスキャンディーを舐めるように舌を出して愛しそうにそれを舐めだす真山

「これ、口の中入れると口の中いっぱいになって苦しくて気持ちイイ・・・」

そう言いながら口を大きく開けて口内へと納めると唾液を絡め、唇を窄めながら扱いていく

「っ・・・気持ちイイ・・・イイよ・・・友己」

山本の声にうっとりとしながら自身の後孔へと指を伸ばし解し、ローションのふたを開けるとぬるぬると滑るその手で内部を濡らす

「ん・・・っ・・・ん」
「・・・お尻、こっち向けてくれたらオレ、やってあげられるのに」
「動いちゃダメです」
「触ってイイって言ったよねぇ?」

真山は笑いながら再び山本を口内で感じる・・・

「ケガ人なのに元気すぎでしょ・・・コレ」
「昨日からずっと我慢してたんだ・・・当然」
「・・・オレのココ・・・穴開けられそうになった姿を見て?」

体を起こした真山が山本に体を見せるようにして尋ねる

「ううん・・・この胸に光るダイヤモンド見て」

山本が手を伸ばして胸のピアスを撫でるとビクリと真山の体が跳ねて、腫れているから痛かったのかと手を引っ込める

「・・・イイ・・・触って」
「痛いんじゃないの?」
「痛いのが・・・イイ」

山本が顔を歪めながら微笑む
痛みは本当に真山にとって快楽の要素なのか・・・それとも『彼』にそう作り替えられたからだろうか・・・

「痛くしてイイ・・・この手でされてることって思ったらもうそれだけで気持ちイイから」

山本は真山の言葉で体を起こし、乳首に唇を寄せるが真山の手が山本の額を押し退けて布団へと押し戻される

「約束守れないならここでおしまい」
「・・・はい」







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