FC2ブログ

透き通るブルー26 - 06/30 Fri

trackback (-) | comment (0) | 透き通るブルー
「それ・・・で・・・さっちゃん・・・とは・・・どうなってんの」

歯切れの悪い高尾らしくない言葉に思わず吹き出した巴は今、自分が心の底から笑っているのだろうと感じながら高尾の背中を叩く

「なんともない」
「・・・笑ってたじゃん」
「ホントに?」

高尾が巴を見上げると高尾も思わず笑う
榎本と一緒にいるときの巴の笑顔とは違うことがはっきり判る・・・でも、高尾自身も久し振りに見た気がする巴の嬉しそうな笑顔

「巴、最近なんかどっか冷たかったもん」
「ん・・・まぁ、高尾を邪魔してた」
「えー?オレ?」
「榎本と付き合うのかと思って」
「え!なんで?!」
「なんか噂聞いたから」
「さっちゃんは巴ひと筋だし・・・」
「オレも高尾ひと筋だけど」
「っ・・・だ・・・から・・・それはっ」

首を振って立ち上がった高尾は巴を見つめて何度も何度も首を振る

「勘違い・・・ホントに思うか?」
「だって・・・だって・・・恋愛感情ってもっと、こう衝動的に・・・性的っていうか、もっと、こう・・・判んないけどっ!上手い言葉が出て来ないんだけど、違うと思うから」
「じゃあ、高尾はどうして友情だって思う?オレは他の奴が誰と仲良くしてようが関係ない。どうでもイイ。もちろん彼女ができてもなんとも思わない」
「っ・・・」

確かに、高尾だって同じ。友達は多いけれどその中で特別仲がイイ友達が自分以外の誰かと仲が良くても
、彼女ができてもなんとも思わない。山辺だってその中のひとりだけれど誰と仲が良くても気にしないし、彼女ができたとしたら喜んであげられると思う。でも巴は違う・・・でも、これは友情。恋愛感情じゃない。友情・・・
でも、性的な衝動は起こらないから。巴が誰かと話していると自分以外と話していると嫉妬に似たもやもやとした感情が生まれるし、彼女ができて、その彼女に触れるのも考えると苦しくなる。けれど、巴に触れたいかと思うとまた別の話

「オレは色々考えてたけど、高尾も同じように思うなら遠慮しない。遠慮してたらお互い勘違いして距離遠くなるって判ったから・・・」
「え?」
「今、もしかしたらオレは勘違いしてるかもしれない。でも、高尾も同じならとりあえず付き合おう。付き合うってことはお互い他に彼女も作らないし、今はそれでイイだろ?それで、これからこれが本当に友情なのか恋愛に発展するのか、一緒に考えよう」

普段の巴からは想像できないくらい強引な話。でも、高尾はそれに反論する言葉が出て来ない
否定したいのに、否定できなくて

「だ・・・けどっ」
「オレは高尾が誰と付き合うのが嫌だ。オレの知らない所でデートとかするの嫌だ。それはホント。できたら他の誰とも話してほしくないとか思ってる」
「・・・」

高尾はクシャリと自分の髪を掴む
どう考えてもおかしい・・・自分が好きなのは女の子で、今まで付き合ってきたのも女の子で、男の巴と付き合うなんておかしい・・・でも、巴の言っている独占欲は自分と全く同じもので・・・

「性衝動だとかそういうのはよく判らないけど、これからこれが本当に恋愛感情じゃないって判るかもしれないけどそれは高尾の傍で考えたい」
「・・・ずりぃ・・・巴、ずりぃ・・・」
「高尾が他の奴と付き合わないならオレはずるくていい」
「・・・だって、それ、オレに断れないようにしてる!」
「高尾だってオレに彼女とか作ってほしくないって思ったんだろ?」
「思ったっ!思ってるっ!」
「じゃあ、お互いにメリットあるだろ?付き合えばイイ」
「・・・つ・・・きあうって何するんだよ・・・」

巴は「そうだな・・・」と考えてふっと笑うと高尾の腕を掴んで引き寄せ、手を握る

「・・・基本変わらないけれど、お互いに大丈夫なことを増やしてちゃんと恋愛に発展するようにする・・・とか?」
「と・・・巴っ!なんか違うっ!こんなん巴じゃないっ!」

握られた手には嫌悪感はない。熱い巴の手がじわじわ高尾の冷たい手に熱を与えて全身熱くなってくるような感覚に顔を赤くする

「隠し事、しない方がイイんだろ?」
「っ!!!そうだよっ!あーもーっ!!!判ったっ!付き合うっ!」
「ふっ・・・なんか、今泳いだらきっと気持ちよく泳げる」
「あーあーそうですかー!」
「オレ、付き合うとか初めてだから」
「え!・・・あー、そっか・・・そうだった・・・」

さっきケンカしただなんて信じられない程穏やな表情の2人の手は暫く握り合ったままだった














にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ


にほんブログ村

    ≫ read more
スポンサーサイト



透き通るブルー25 - 06/29 Thu

trackback (-) | comment (0) | 透き通るブルー
その翌日も翌日も、学校にいる時間のどこかで巴と榎本が一緒にいる姿を見かけてもやもやは消えないまま大会の前日・・・

「じゃあ、いよいよ明日が本番。そういう訳で今日は練習自体は控えめにリレーメンバーは引継ぎ練習とスタート練習メインにしよう」

副部長の野原の言葉に各自、スタート練習を始めるが、巴は野原の元へ行く

「どうした?」
「ちょっと・・・泳ぎたいんで、1コース欲しいな・・・と」
「お・・・おう・・・そうか・・・じゃあ、泳ぎたいヤツ用に1コース作るか」
「っす」
「あー、でも今、埋めちゃったところだからもうしばらくしてからでもイイか?」
「あぁ、はい」

巴が頭を下げるとスタート練習のために列を作っている後ろへと並ぶ

「・・・副部長さんに何言ってたの?」
「あぁ、別に」
「別にってことないだろ」
「ただ泳ぎたいからコース欲しいって言いに行っただけ」
「やっぱり別にじゃないじゃん!」
「はぁ?」

妙に突っかかって来るような物言いに巴は眉を顰める
高尾への感情が消えなくて、それどころか毎日ずっと一緒にいて募る想い。苦しくて苦しくて仕方ないのにそれを判ってもらえるわけもなくて、想い自体を否定するのだから判ってもらえるはずもなくて泳ぎに集中できず、大会前日になってしまってなんとか調整したいのにプールも自分の自由に使えない苛立ちも加わって睨むように高尾を見下ろす巴

「大体なんだよ!お前、最近付き合い悪いしさっちゃんとは仲イイしっ!」
「・・・それ、お前に関係ないだろ」
「なんだ・・・よ・・・それっ!」

高尾が巴を睨み返し、巴の肩をドンと跳ね除けると列からはみ出た2人は急に注目を浴びる

「オレに彼女作ってほしいんじゃないのか?あぁ、相手がお前の好きな奴だったから怒ってんのか?あ?」
「ふざけんな!んなこと一言も言ってないっ!」

取っ組み合いになる前に事態に気付いた盛谷と野原に体を掴まれて2人が離され部室へと連行される

「お前ら何考えてんだよ!普段仲良しなのに何突然ケンカしてんだ?!」
「明日、大会だぞ?」
「・・・オレは悪くないっすー」
「どっちも悪い」
「え!悪いの巴だしっ!」
「高尾も巴もしばらくここで反省してろ」
「・・・」
「で、またケンカしだしたら明日来なくてイイから」
「は?!」

野原の言葉に顔を青くする高尾。待ちに待った大会。出られなくなるなんて中学までのことを思い出して唇を噛む。自分は悪くない。そう思うけれど巴の澄ました横顔を見ると俯いて拳を握る

「頭冷やせ・・・で、練習戻って来い」

2人が部室を出て行くと濡れた髪をくしゃりと握る高尾
巴が判らない。彼女を作ってほしいだなんて言った覚えはない。そんなつもりもなかった・・・

「・・・巴・・・さっきの何・・・意味わかんないんだけど」
「何のコトだ」
「彼女・・・作ってほしいとか・・・オレ、言ってないし」
「・・・そうか?佐々木に勉強教えてもらえだとか昼飯に女の子呼んだりだとか?オレが好きなのが気持ち悪いのは判るけどさ・・・女作ればイイとか笑顔で残酷なことしてくるよな」
「っ?!・・・待って・・・え・・・待って!違うしっ!」
「何が?」

佐々木は休み時間、本当に律義に勉強を教えてくれるイイ子だったけれどそれ以上のことは何も感じなかった。昼休み、最近高尾の所へやって来る女の子たちの名前はぼんやりとしか覚えられなかったし、ただ一緒にいる高尾が女の子たちに向ける笑顔に胸が痛かっただけだった

「佐々木ちゃんのことは・・・なんていうか悪かった・・・確かにお前、利用したけど・・・違うし・・・」

『利用』その言葉にやっぱり自分を好きな同性がいるというのが気持ち悪かったのだと自嘲する

「巴の隣の席さ・・・山田じゃん・・・」
「・・・?」
「佐々木ちゃん、山田と中学ん時から付き合ってんだけど・・・山田が最近、別れたがってるっつーか・・・佐々木ちゃんのコトどうでもイイみたいに言うからだったらイケメンのお前と仲よくされたら復活するかなーっていうか・・・巴と佐々木ちゃんくっつけようとか全然考えてなかった・・・っていうか・・・」
「は・・・?」
「だからっ!山田にヤキモチ妬かせたかった!だって佐々木ちゃんイイ子だしっ!正直山田には勿体ないって思うくらいイイ子だしっ!でも、付き合い長くてそれ判んなくなってきてんのかな・・・っていうか」

高尾の言葉にただ目を丸くする巴

「ぁ・・・んなのっ・・・お前が佐々木と仲良くすれば」
「あー、ムリムリ。オレ、佐々木ちゃんの嫌いなタイプらしいから!まぁ、普通には話してくれるけど・・・それに山田、妙に自信持ってるからオレ以上にイケメンぶつけないと!」
「・・・」
「それで・・・そこはなんていうか上手く行って山田が巴の前で笑ったりしてる佐々木ちゃん見て慌てて佐々木ちゃんに尽くすようになったんだけど・・・さぁ・・・悪かった・・・」
「・・・じゃあ・・・昼休みは・・・」

佐々木のことは違うとしても昼休み来ていた女の子たちはまた別の話

「あー・・・あれは巴のファンっつーか・・・オレと一緒にメシ食えば巴と話せるとか思ってる子たちで・・・」
「はぁ?」
「いや!でもあれだよ?別に巴と仲良くなって欲しいとか巴に彼女作ってほしいとか思ってないよ。もし作るならもっともっとイイ彼女・・・まぁ・・・その点、さっちゃんはなんていうか・・・合格なんだけどさぁ・・・」

高尾は別に自分に彼女を作ってほしいわけじゃなかった・・・巴の勝手な思い込み・・・どんどん胸のつかえて解けていく感覚

「確かにさっちゃんは・・・可愛いし、イイ子だし、頭も悪くないし・・・でも、でも・・・勝手だけど嫌だよ。嫌だって思った」
「え?」
「巴言ったじゃん・・・オレを独占したいって・・・で、それ、オレも一緒だって言ったじゃん・・・」

独占欲・・・告白したあの日、自分の想いを初めて言葉にした日、高尾にその言葉で全部片付けられた。高尾も同じように独占欲があると言われた・・・

「それ、女の子にも思うっぽい・・・巴がオレ以外の友達作らなきゃいいのに。オレ以外に笑わなきゃ、オレにだけ頼ればいいのに。でも、その反対に巴がすげぇって、イイ奴だってみんなに知ってほしくて。矛盾だらけなんだけどさ・・・それで、彼女できたら喜ぼうって思った。でも、彼女できたら彼女優先にする日とかあるんだって思ったら絶対嫌だって・・・だから、だから・・・」

独占欲・・・その言葉で本当に片付けてしまってもいいのだろうか・・・友達もほとんどいなかった巴にとってはこれが正しいのか判らない。でも、高尾も自分と同じような気持ちなら、これは友情だけだとは言えないのではないか・・・そう思ってしまう







にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ


にほんブログ村

    ≫ read more

透き通るブルー24 - 06/28 Wed

trackback (-) | comment (0) | 透き通るブルー
「あれー?巴はー?」

昼休み、巴と昼ご飯を食べようと思ったのに巴の姿がないことに気付きキョロキョロと周りを探す高尾にクラスメイトがニヤニヤと笑いながら廊下を指す

「・・・」

そこには巴と高尾の想い人だった榎本がいて、談笑している様子に暫く2人を見ながら立ち尽くす

嫉妬するのはおかしくない。榎本は高尾が好きな相手で、巴は高尾の友達なんだから・・・

「高尾ー」

名前を呼ばれて振り返ると吉永がおいでおいでと手をこまねいていて購買で買ったパンを持ったまま吉永の席へと近付く

「あれ、急に何?」

吉永が「あれ」と呼んだのが吉永の視線の先にいる巴のことだと判ったけれど何と聞かれても高尾こそなんなのか聞きたいところ

「さっきさー、沙千恵が一緒にご飯食べようって呼びに来たんだけど、巴が沙千恵呼び止めたからあたし、気を利かせて2人にしたんだけどさー・・・今まで呼び止められることなんてあり得なかったのにさー・・・高尾、なんか聞いてない?まぁ、沙千恵が幸せなのはイイんだけど」

弁当箱を開いて食べ始めた吉永を見て高尾もパンの袋を開ける
何も聞いていない。聞いていないどころか、巴が好きなのは高尾だと聞いたばかり・・・それは勘違いだと制したけれど、巴の中では高尾が好きだということになっていたハズで・・・

「ちょっとー?高尾、まだ沙千恵のコト諦めてなかった?なんなのその微妙すぎる顔ー!」
「・・・んー・・・さっちゃんは可愛いけど・・・オレに興味がないってのは判ったし・・・」
「じゃあ、巴に沙千恵のコト勧めたりしてくれたわけ?」
「いや、してない」
「へぇ・・・」
「さっちゃん・・・笑ってる・・・」
「巴もね」
「・・・笑ってる・・・」

まるで珍しい物でもみるかのように2人は暫く巴と榎本を眺めながら味もよく判らない昼ご飯を嚥下していく
もし、巴が友情と恋愛の差を明らかにするために榎本と付き合うことにしたとしたら・・・そう考えてパンを口に運ぶ手を止めて吉永の顔を見つめる

「・・・何・・・」
「巴がさっちゃんと付き合うことになったらどうする?」
「どうするも何も・・・沙千恵が好きな人とつきあえるんだからおめでとうー!でしょ」
「・・・そ・・・か・・・そうだよな・・・」
「まぁ、あんたは複雑だろうけどー」
「え?」
「高尾、最近急に巴と仲イイじゃん。前まで全然だったのに・・・そんな巴ともともとあんたが好きだった沙千恵が付き合うっつーのはやっぱり複雑っしょー?部活も一緒なんじゃん?」

高尾は「ああ」と頷いて再び視線を巴と榎本に戻す

「・・・複雑・・・だな・・・」

巴の相手が榎本だから・・・?いや、巴の相手が榎本じゃなかったとしてもきっと同じ気持ちになる。自分に彼女がいないからじゃない。巴に彼女ができるということが複雑・・・

「・・・お待たせぇー!あれ?高尾ちんも一緒にご飯食べる?あ、っていうかお邪魔だったぁ?」
「「いやいやー全然」」
「息ぴったりかよっ!」

同時に発言したことで榎本にクスクス笑われたけれど高尾は笑顔で立ちあがると「オレがお邪魔だよな」と榎本に告げる

「いやぁ?京香と高尾ちんが2人ラブラブってーなら私がお邪魔だよー!」
「えー?京香とー?ないだろーそれー」
「ないない」

高尾と吉永が首を振るが、榎本は「そうかなぁ?」と首を傾げる

「だってさー、もし、私が上手く行って巴くんと付き合えて、京香と高尾ちんが付き合えたらずっと一緒に遊べるじゃん」
「・・・ぇ・・・えー!なんだよそれー」
「友情と恋愛どっち取るかーとか言うじゃんー?相手にもよるけど巴くんだったら京香より優先しちゃうかもだしー・・・でも、京香も高尾ちんと付き合えたら彼氏も親友もどっちとも遊べるー!」
「・・・さっちゃん・・・それはないしー」

痛い。痛かった・・・それが、榎本への恋心がまだ残っているせいなのか、それとも親友が榎本と付き合うことを想像したせいかは判らない・・・でも、とにかく胸が痛くて潰れてしまいそうだった








にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ


にほんブログ村

    ≫ read more

透き通るブルー23 - 06/27 Tue

trackback (-) | comment (0) | 透き通るブルー
授業後、掃除を済ませて高尾の姿を探したが、見つからなくて先に行ったかとカバンを持ち立ち上がる

「なぁなぁー、高尾の奴見たかー?」
「あー!もしかして2組の榎本?」
「そうそうー」

高尾という名前と榎本と言う名前に足を止めてカバンを下ろし、机の中を覗きながら耳を澄ませる

「でもさー、高尾って榎本にフラれたんじゃなかったっけ?」
「そう!だから意外っつーか」
「っつか、それに高尾って榎本にフラれてから吉永なんじゃねぇの?前から仲良かったけど最近またよく連絡取ってるっつって聞いたけど」
「へぇー。じゃあ、榎本とどっか行ったのなんだったんだろーなぁ?」

榎本とどこかへ行ったのか・・・と思いながら机の中から必要のない教科書を出してカバンへ入れて再びカバンを手にすると唇を噛む
こんな気持ちは自分勝手なもの。好きだから嫉妬してしまう。それは仕方ない。高尾になんと言われてもフラれたのも判っているけれど好きだという感情はすぐに消して失くしてしまえるものではなくて。できれば巴も今すぐにでも失くしてしまいたい。でも、嫌いにはなりたくない。友達だから・・・そう。友達だから・・・

嫌いになんてなれないし

嫌いにもなりたくない








「ごっめーんっ!巴ー!待ったー?待ってたー?」
「いや・・・」

部室へ向かう途中、後ろから追いかけてきた高尾が巴の背中を叩いた。そもそも、もう巴は部室へ向かっていたのだから待っていたわけじゃないのは判るハズである

「・・・巴?」

榎本と付き合うことになったのか、イイ雰囲気になっているのか・・・聞きたいけれど聞き出せない。もし、付き合うことになったと言われたらどんな反応をしたらいいのか判らないから

「掃除・・・サボったな?」
「え!サボってないしー!さささーっとちゃーんとやったしー!」
「へぇ・・・?」
「ウソじゃないってー!」

高尾に彼女ができたらどうしたらイイのか・・・自分たちの関係は・・・いや、自分たちの関係は変わらない。ただ巴の心が苦しくなるだけ。高尾への感情が友情だけになるまで苦しいだけ

「もー今週だなー!」
「・・・大会のことか」
「ん!そー!すっげぇ楽しみにしてんの!オレっ!」
「そうか・・・」

大会が数日後に迫っているというのに。こんな感情に心を乱されている場合じゃないのに・・・頭の中は高尾でいっぱいで、高尾に彼女を作ってほしくないと思っている

「あー・・・そうだー・・・さっきさぁ・・・さっちゃんから言われたんだけど」
「・・・」

付き合うだなんて今言わないでほしい。付き合うだなんて・・・言わないでほしい・・・また逃げ出したくなるから。大会直前なのに高尾と会わせる顔がなくて練習できなくなってしまうから

「今度の試合行っていい?だってー」
「・・・」
「イイ?」
「なんでオレに聞くんだ。お前が聞かれたんだろう?」
「あー・・・うん。まぁ、そうだけどー・・・一応?」

一応・・・その言葉に巴は唇を噛む

「榎本が来ても来なくてもオレには関係ない。ただ泳ぐだけだから」
「あー・・・そ・・・っか・・・ん。じゃあさっちゃんに言っておくね」
「・・・あぁ」

苦しい。胸が痛い。呼吸が上手くできない気がする。酸素が上手く取り込めていないような感覚。苦しくて苦しくて・・・諦めなくちゃいけないのに高尾が必死に諦めさせようとしているのにこんなにも心が高尾を求める・・・だから判る。これは友情じゃない・・・高尾に彼女なんて作らせたくない。友達としての独占欲ははるかに超えたもの・・・

高尾に彼女が今できるのは嫌だった・・・そう。今はダメだ・・・せめて心の整理がつくまでは阻止したい。そう。阻止・・・阻止してしまえばイイ・・・









にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ


にほんブログ村

    ≫ read more

透き通るブルー22 - 06/26 Mon

trackback (-) | comment (0) | 透き通るブルー
恋に気付いてそれが終わるまであっという間だった
けれど、そんなに簡単にこの想いが消せるものだったなら、この数日、こんなにも悩まなかっただろうし、高尾のことを避けることもなかっただろう
簡単に消せなかったからこそ悩んだのだから・・・

「・・・」

高尾からの返事は想いに対する拒絶だったけれど、本当に好きだとしてもそれはそれでイイ・・・そのハズだった。少なくとも、巴はそう受け取っていた。だから、心の整理をきちんとつけられるまではこの想いを、自分の想いを否定しなくてイイ。このまま高尾の傍にいていいのだと思っていた

「巴、こないだのテストで赤点だったっつったじゃん?だからさー、学年トップの成績の委員長に教えてもらおう!な!?」

高尾が巴の席に連れて来たのは学年トップの成績だという女生徒で、ぺこりと頭を下げられて巴もつられて頭を下げる

「私、委員長じゃないけどね」
「イイじゃん!委員長っぽいもん」
「っぽいだけで委員長とか決めないでくれる?」
「佐々木ちゃん怖いなぁー・・・でも、ホント成績は優秀だし!巴!追試とかあるんだろ?それ、ちゃんとクリアしないと部活に支障出るかもなんだろ?!」
「・・・まぁ・・・」
「そんなわけで!佐々木ちゃん!オレら放課後は部活で忙しいからさー、休み時間になんとか巴に勉強教えてあげることできないかなぁー?」

お願いポーズで佐々木に頭を下げる高尾に戸惑いながらも佐々木が「いいけど」と頷く

「よしっ!巴!お前からもお願いしろよ!」
「え・・・いや、別に」
「はぁ?!何言ってんの?!佐々木ちゃんにわざわざ頼んであげたのに!なにそれ!」
「・・・余計な・・・」

お世話・・・そう言いかけて困った顔をしている佐々木に口を閉じる
佐々木は悪くない。強引な高尾に連れて来られたのに、教えることを了承したのに肝心の本人に断られては彼女の立場がない・・・

「あー・・・うん・・・正直、何が判ってないかが判ってないから・・・すぐにどうこうなるようなもんでもないっていうか」
「え!何それ!巴そんなバカなの!?」
「うるさい。お前に言われたくない」
「うん?オレ、クラス順位3番だよ?」
「は?!」
「頭イイの。オレ。知らなかった?」

だったら高尾が教えてくれればイイはずで・・・なのに、佐々木を呼んだのは馴れ馴れしい女子じゃなければイイのではと考えたからじゃないかと邪推してしまう。高尾への気持ちを打ち消すように新しい相手を宛がおうとしているんじゃないかと考えてしまう

「それで私は」
「うん。そうだね!オレ、教えるの超下手だからさー、だからさー・・・うーん。そうだなぁ・・・巴の苦手そうなところオレが聞いたり見たりして佐々木ちゃんに言うからそこを重点的に教えてやってくれるー?」
「まぁ・・・うん・・・それなら・・・うん」
「さーすがー!佐々木ちゃん、発表のときとかすごい判りやすいし教えるの絶対上手いと思うんだー!」
「あ・・・ホント?」
「うんうん。ノートもこないだ見せてもらった時、キレイにまとめてあったし!超見やすかった!すごいよ!」

高尾の言葉に恥ずかしがりながら微笑む佐々木・・・高尾がモテるというのはこういうところだろう・・・相手をちゃんと見ていて、良いところを素直に褒められるところ。そう思いながら頬杖をついてぼーっと2人のやり取りを見守った






昼休みにやってきたのは佐々木とは全然違う2人組の女生徒・・・

「高尾ー、一緒にご飯食べよー!」
「よかったら巴くんも一緒に食べようよー」
「・・・いいけど」

高尾が振り返って頷くが、どうせなら自分に了承を得て欲しかった巴。できれば自分は遠慮しておきたかった

「こーら。巴も一緒にって誘われてんじゃん!」
「高尾だけで行って来いって」
「いやー、巴くん。巴くん。色々察しなさいよ!」
「はぁ?」
「・・・まぁ、イイや。あー、何その弁当すっげぇおいしそー!」
「高尾、卵焼き好きでしょー。あげるー」
「マジ?!やったー!いただきまーす」

本当に誰とでも仲がイイのだと思いながら、やたらと女の子と絡んでいるのを見せつけてくるのはきっと高尾の隣には女の子がいるのが正しくて、自分の隣にも女の子を座らせておこうと思っているのだろう。それが正しいから・・・そう思わせたいのだろう・・・








にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ


にほんブログ村

    ≫ read more

お休みしております - 06/13 Tue

trackback (-) | comment (0) | 雑記
突然更新止まっていて楽しみにしてくださる方には申し訳ない状態です
体調崩したのもあって、書いても書いても気に入らなくてこんな気に入らないものはアップできない、!!という状況('A`)

少しでも楽しんでいただくにはやっぱり自分が納得して萌えられなけりゃダメだと思うのです
来週になれば忙しさも落ち着くので多分更新は来週以降になってしまいそうです(・・;)

また戻って来るので!色々蓄えて戻って来るのでっ!!!中途半端なところでお休みになってしまうけれど少々お待ちいただければ幸いです


水尾 央

透き通るブルー21 - 06/11 Sun

trackback (-) | comment (0) | 透き通るブルー
「好き・・・って・・・え、あー、オレも好きだけど」
「違う・・・そうじゃない方・・・だけどっ・・・だからっ・・・ごめん・・・」
「え!や!えー?謝るー?謝っちゃうのか・・・」

こんな状況、高尾にとって初めてではない・・・ずっと仲が良くて友達だった子からの告白。でも、それが男だったのは初めてのコト。そして、親友だと、もっともっと仲良くなりたいと思った相手からは初めてのコト
戸惑うことで巴が困るのも判っていたけれど、戸惑わずにはいられなくて掴まれたままの腕を見ると腕を掴む手が震えているのが判って、それでも離さない巴の手をそっと撫でる

「っ!!!」
「どう・・・言えば1番イイんかなぁ・・・勘違い・・・だよ」
「な・・・」

できるだけ傷つけないように、笑顔を作って巴の手を握る

「でもっ、オレは・・・山辺に聞いてっ」
「山辺に、どう聞いたんだよ・・・もー、山辺って早とちりするしさー・・・」
「触れたいって思ったり、嫉妬したりするのはっ、一緒にいたいと思うのは・・・好きだからって」
「うん・・・オレも巴に嫉妬したりするし、一緒にいたいと思う。巴のコトすげぇ好きだけど、恋愛じゃない」

全部勘違いだと思う。高尾も初めての親友に巴と同じように嫉妬し、一緒にいたいと思うから。でも、高尾は知っている。これは恋じゃないと知っている・・・そう思っている
そう思いたい。触れたい。そう確かに巴は言ったのは聞き流したい

「高尾が嫉妬するのは榎本の件だろ?オレに泳ぎで勝てないからだろ?!」
「・・・それはぁ」
「聞けよっ!・・・オレは・・・夏が終わってもお前を独占したい・・・他の友達と楽しそうにしてる高尾にもやもやする」
「それ、ただの独占欲だから。オレもあるから!」
「・・・ただの・・・独占欲・・・お前はそうしたいわけだな・・・」

高尾の手を振り払うと俯き、唇を噛む
悩んだ。高尾の言うようにただの子どものような独占欲だと思いたくて、でも、山辺に言われたあの日からただ友達としての独占欲だとは思えなくて悩んだのに高尾はやっぱり自分の想いをナシにしたいのだと思うと悔しくて・・・

「気持ち悪い・・・んだろ?」
「え?」
「オレが・・・友達だと思ってたオレがお前のコト好きだとか言い出して。やめさせたいんだろ」
「違っ・・・違うっ!でも、巴!違う!」

高尾に背を向けて歩き出した巴を慌てて引き留める

「イイ・・・これで、諦められると思うし・・・お前の言う通り、言ってよかった。勝手に悩んだけど、はっきりしたから」
「・・・巴、巴っ!・・・ホントに、ホントにオレのこと・・・好き・・・だとしてもっ!オレ、気持ち悪いとかじゃないけどっ!だって!巴、オレのコト友達としても好きだろ?!もし、恋愛でも好きだとしても友達として好きってのも消えないよな?!でも、巴違うよ?巴はオレのコト、独占したいんだと思う!オレも同じだから!巴が今のままオレ以外友達作らなきゃいいって思ってるから!」
「・・・」

巴が足を止めて振り返り、高尾を見る。困ったように見上げてくる高尾は確かに嫌悪感など持っていなさそうな表情で、確かに高尾の性格から巴を気持ち悪いと拒絶するとも思えなくて

「どう、証明すればいいんだろうな・・・その違い」
「え?」
「いや、イイんだ・・・悪い。オレ、勝手すぎたな」

巴が優しく微笑んで高尾の頭に触れてくしゃくしゃと髪を乱す

「友達も恋愛もお前の方が多いもんな・・・だから・・・変なこと言って悪かった。逃げるような真似して悪かった・・・明日からも今まで通りでいてくれるか?」
「バーカ・・・当たり前じゃん」

ニッと笑顔を見せた高尾が巴の胸にごつんと拳をぶつける
きっとこうされて不快感が沸かないのは高尾だけ。けれど高尾に無理に認めてもらう必要はない・・高尾はもし、巴の気持ちが本当に恋愛感情だとしても拒絶しないと言っていたからそれで充分だった。今はそれで充分・・・
この感情をすぐに消し去ることができなくても問題ないということ。気持ちを今すぐはっきりさせなくてもイイということ









にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ


にほんブログ村

    ≫ read more

透き通るブルー20 - 06/10 Sat

trackback (-) | comment (0) | 透き通るブルー
次の日も次の日も巴の拒絶は続いていて「もうイイ!知らない!」そう自分で言ったはずなのに全然どうでもよくならない巴の存在
どうにかまた自分を見てほしくて・・・

せめて部活だけでも・・・上級生たちも1年の険悪なムードに戸惑っているし、大会間近な今のこの空気をどうにかしたくて・・・

「巴、話あるから鍵、返しに行ってくるけど、ここで待ってて」
「・・・」

返事も聞かずに高尾は走って鍵を返しに走る。鍵を返して校舎からプールを見ると巴がカバンを肩に掛けて帰ろうとする姿が見える
ブチッ・・・そう高尾の中で何かが切れる音がした・・・

「巴っ!巴 宏海っ!!!!」

ビクッと肩を震わせて声の方角を見た巴が歩く速度を早めようとする

「言っただろー?!覚えてっかー?お前が無視し続けんなら!また同じことするって!」

高尾の声に足を止めて振り返って校舎を見上げると恐怖心で体を硬直させて高尾の名前を呼ぶ
高尾は窓に足を掛けて窓から飛び降りようとしていて・・・あの時、階段から飛び降りたけれど、あの時の高さよりも明らかに高い校舎の窓

「無視するお前が悪い!」
「違・・・やめっ・・・判った!待ってっ!待ってっ!!!待っててっ!!!」

焦った巴が慌てて校舎へと駆けていく姿を見下ろしてニヤリと笑うと後ろから羽交い絞めにされて窓から下ろされる高尾

「バカ!何やってるんだお前はっ!」
「あぁ、センセー、すんませーん。ホントに飛び降りるつもりはなかったすー」
「だからって危ないだろう」
「すんませーんっ」

高尾の大きな声で職員室から出てきた教師に窓から下ろされた高尾の所へと青い顔で駆け付けた巴がやってきて高尾は「よぉ」と手を挙げる

「・・・バカ・・・ヤロウ・・・」
「んじゃ!センセー!迎えも来たから帰りますー!」
「もう絶対やるなよ?」
「それ、こいつに言ってー!」
「お前だ!バカ尾!」
「ひっでぇー!」

ケラケラ笑う高尾が飛び降りなくて済んだことに胸を撫で下ろす

「・・・ん」

廊下に腰を下ろしたままの高尾に手を差し出されてそれを掴んで引き起こすとすぐに高尾に背を向けて歩き出す巴

「なぁ」
「なんだよ・・・」
「無視、すんな」
「してない」
「拒絶、すんな」
「して・・・ない」
「あー!戸惑ったー!今躊躇したー!やっぱり拒絶してんのか?何でー?なんでぇー?!」

無視したかった。答えたくなくて無視したくて。でも、無視したらまたとんでもないことをしそうな高尾にもう無視はできなくて

「・・・拒絶してない・・・」
「してるってー!なんかバリアーみたいなの感じる!こう・・・殻に引きこもってる!みたいな?」
「・・・っ・・・お前には判らない」
「はぁ?なにそれ」
「だからっ」

判るはずない。この気持ちの葛藤なんて、言ったら気味悪がられるだろうし、言ったら言ったで拒絶するのは高尾のほうだし

「そもそも巴が考えてることなんて何も言われてないのに判るはずがないし!それともあれ?オレがバカだから?オレに巴が悩んでること話したって理解されないって話?それとも、オレには判ってもらいたくもないって話?!」
「・・・」
「オレはもっと巴のコト知りたいし、お前のコト判れば一緒に考えることだってできるし悩んでるなら一緒に悩むことだってできる!でも、それをオレと一緒にはしたくないっつーこと?」
「違うっ!」

判ってもらえるならば判ってもらいたい。どうしてこんなことをしたのか言いたい。でも簡単に言えるわけがない

「オレに話してくれるんじゃねぇの?オレ、なんでもお前に話すつもりだったよ?お前は違ぇの?山辺のほうが相談相手に丁度いい?」
「違う・・・山辺は・・・別に・・・」
「じゃあオレに言ってよ!自慢じゃないけど恋愛相談なら山辺よりもオレの方が役に立つって!」
「・・・」

山辺に恋愛相談をしたつもりもない巴はただ黙って高尾を見つめるけれど「うん?」と見上げてくる高尾を見てすぐに目を逸らす
この感情が恋愛感情だと名前を付けてしまってから高尾を見つめることができなくなっていた。高尾と目が合えばドキドキ心臓が自分の意思とは全然関係なく速く打つし、ぎゅっと胸が締め付けられる気がする

「巴ー」
「っ・・・言えない」
「・・・そ・・・か」

高尾の悲し気な瞳が見えて高尾の腕を思わず掴む
本当は掴むつもりなんてなくて、でも反射的に高尾の悲し気な瞳に腕が伸びていた

「巴・・・?」
「オレは・・・っ・・・お前とずっと・・・」
「ずっと?」
「昼休み、一緒にいたり・・・部活がなくても高尾と遊んだりっ・・・したいから」
「?・・・おう」

高尾は自分もそのつもりだけど。という顔をしながら巴の不安に揺れる瞳を不思議そうな顔で見上げる

「困らせたく・・・ないし・・・怖がらせたくもない・・・嫌われたく・・・ないから」
「はぁ?オレ、巴のことで困ってるけど!今っ!巴が冷たくてっ!」
「・・・困って・・・」
「そりゃ、嫌ってないし、嫌いになる予定もそんなつもりも全然ないし、巴のコト怖いとか思ったこともないけど、ずっと拒絶されてる感じじゃオレ、色々嫌になりそうだし・・・っていうかすっごい嫌だったっ!嫌いになってないけど嫌だったっ!すっごい気分悪かった」
「・・・もう少し・・・したら、色々解決するかもしれないから・・・それまでは」

掴んだ場所から高尾の体温を感じるじわじわと感じる熱にどんどん放したくなくなって、離れたくなくなってくる感覚

「・・・いつ解決すんだよ。明日?明後日?1週間後?1ヶ月後?」
「・・・判らないけど・・・」
「じゃあ、自己解決できないかもしれないだろ!どうして無視したの!拒絶したのっ!巴、昼休み一緒にメシ食ったりしたいんでしょ?部活なくても遊んだりしたいんでしょ?でも、どう考えても巴がそのままじゃそれ、できないだろ!」

確かに、自分の言っていることは矛盾しているのかもしれない。だからこそ高尾に判ってもらえないと思うのだ

「巴ー、オレ、巴とメシ食ったりしたいよ?できたら明日も」
「・・・」
「巴っ!」

目を瞑る。高尾を見ないように脳内から消したくて。でも、掌から感じる高尾の体温が消えなくて離せなくて高尾が頭から消えなくて

「高尾・・・逃げないでくれ・・・」
「はぁ?逃げてるのは巴」
「好きなんだ」

ザザッと風が2人の洋服を靡かせる
夜風もだいぶ温かくなってきて、巴がコンビニへ温かい飲み物を買いに走ることもなくなった・・・そんな夏が近づいた夜。苦しそうな巴の風に消えそうな声が高尾の耳に響いて伝わった












にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ


にほんブログ村

    ≫ read more

透き通るブルー19 - 06/09 Fri

trackback (-) | comment (0) | 透き通るブルー
授業が終わっても巴の警戒心は解かれることがなくて、それでも部活へ行こうと巴を誘う高尾

「悪い。テスト返ってきた奴で聞くことあるから先、行ってて」
「じゃ、オレもそれ付き合うし!」
「赤点。引っかかってた」
「ふ・・・うえっ?!マジで?!じゃ・・・じゃあ」
「だから、先行ってろ・・・」
「あー・・・ん・・・判った。んじゃ先行くな?」

ヒラヒラと手を振りながら目が合わない巴にモヤモヤを感じる
テストの点が思った以上に悪かったことに凹んでいるのかだとか、体調がまだ悪いのかだとか、それならなんで部活に出る気なのかだとか、色々考え出すとキリがない。この間、逃げる様にして無視した時よりも質が悪い。無視はしない。でも、拒絶される・・・高尾には意味が判らなかった





「あれ?高尾、巴はー?」

一緒に来るものだと思っていたのにやってきたのは高尾ひとりで脱いだシャツを丸めながら山辺が巴の姿を探す

「・・・赤点だったって」
「え?」
「赤点あったから先生の所行くとかなんとか」
「赤点だと先生の所・・・行くっけ・・・?」
「知らない」
「あぁ、だろうね」

平均点以下を取ったことがない高尾が知るわけもないか・・・と山辺は察してベルトを外す

「巴が変」
「・・・もしかしたらさー、オレと同じかも」
「あぁ?巴と山辺は違うだろ」
「何が違うの!・・・っていうかさ、オレ、中学の時好きな子いたじゃん?その子と仲良くなったけど仲良くなったらその子の好きな子の話も聞いちゃって、すっっっっごいショック受けてたの覚えてない?」
「全然」
「あー、そう。うん。だろうね・・・いや、もうね、超ショックだったんだよなぁ・・・あの時さー・・・だからさー、もしかしたらさー、巴の友達?に好きな人?いること知ってるのに自分もその子のコト好きだったなんて知ったらさ・・・」
「・・・想像をオレの頭が拒否してる」
「巴だって人間だぞ?」
「あぁ?当たり前だろ!でもさ・・・でもさぁ・・・」

どう説明したらいいのか判らないけれど、あの巴が誰かのことを好きで、それを病む・・・なんて考えられなくて

「もーーーー!知らないっ!もー知らないっ!」

最終的には拗ねた高尾が全部を放り出すような発言をして山辺を苦笑させる
高尾は楽しいことが好き。めんどくさいことは考えたくない












結局、練習が終わればさっさと帰った巴と話せないまま山辺と帰宅した高尾は巴にもう1度メールをしてみる。でも結果は同じ。返信ナシ

トントン

「はい」
「あれ?アイス買ってきたけど要らなかった?」
「いる!!!」

機嫌が悪そうな弟にコンビニで買ってきた袋をちらつかせながら兄、岳が部屋へと入って来る

「どしたー?」
「んー?」
「母さんが陸斗がおかわりもしないで機嫌悪そうな顔して部屋に籠ってるって心配してた」
「あぁ・・・」

兄が買って来てくれたアイスのフタを開けると巴の顔を思い出してイライラする高尾

「巴・・・」
「うん?」
「あいつ、なんか急にそっけない?いや、冷たい・・・?いや違う・・・拒絶!そう拒絶してくる!」
「・・・拒絶・・・」

人を寄せ付けなさそうなタイプには見えたけれど、高尾に対しては気を許していた様子だったハズで岳は首を傾げながらアイスを頬張る弟を見つめる

「っていうかさー、大体、友達いないとかオレしかいないとか言っておいてさー、山辺に恋愛相談するって何事だよ!」
「・・・あぁ・・・」

女絡みかと理解して岳は高尾の頭を撫でる

「でもさ、お前、女の子の友達多いだろ?」
「多いよ!でもさ!でも・・・一緒に遊びに行った時、その子たちのコト苦手っつってたし」
「仲イイ子全員連れてったのか?」
「そりゃ全員・・・じゃないけど」
「じゃあさ、陸斗、お前、逆だったらどうだよ」

高尾は榎本が巴のことを好きだと知った時、巴に対してどんな態度だったのかを思い出す。でも、相変わらず、榎本を可愛いと思っているけれど今は榎本が巴のことを好きだと思うのもどうだってイイ。友達だから。確かに、榎本に好かれていて羨ましいとは思うけれど、巴なら当然だと思えたし、もし、巴が榎本のことを平気になって付き合うことになっても喜んであげられると思う

「どうだ?」
「実際、オレの好きな子は巴のコト好きだってフラれたけどさ・・・」
「え!」
「今、全然巴にムカついたりしないし!だって巴、親友だから」
「あー・・・うん。そっか・・・親友だったら好きな子とられても平気・・・か」
「最初は巴のコト知らなかった時はそりゃムカついたし、ケンカ売りに行ったくらいだけど・・・でも、今は・・・全然・・・さっちゃんが巴のこと好きなことより、巴に無視されたり拒絶される方がキツいし」
「・・・そっか・・・よし。陸斗のイイところはなんだったっけー?」
「・・・納得できるまでやるとこ」
「そう!ホント諦め悪いもんなぁ?うんうん。昔から何度勝負挑まれたことかー」
「おかげさまで水泳だけは勝てましたー!」
「アハハ。だなー。だから水泳やり続けてるんだもんなぁ」

クシャクシャと頭を撫でられながら、初めて兄にスポーツで勝った時の感動を思い出していた
年が離れているのもあるけれど、運動神経がイイ兄には何も敵わなくて。野球もサッカーも陸上も。何もかも敵わなくて悔しかった・・・そして、唯一勝てた水泳。これは永遠に兄に勝っていたい。そう思って続けた。そんな水泳が今、もっと楽しくなっていたのに・・・巴に拒絶されたままでは面白くもなんともないスポーツに戻ってしまう・・・それは高尾にとって寂しいコトだった









にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ


にほんブログ村

    ≫ read more

本日休載です - 06/07 Wed

trackback (-) | comment (0) | 雑記
いつも訪問ありがとうございます。
楽しみにしてくださる方には申し訳ないですが、本日はお休みさせていただきます(´;Д;`)

書けていないのも事実だけどなにより家族がちょいと病気でしてー世話に追われている水尾です

明日こそは!!!明日こそはっ!!!