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つれないキミと売れてる僕11-24 - 07/31 Mon

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仕事をする手を止めて先日、春子に見せてもらった動画を検索し、再生する

里見が書いた詩。多少手は加えられていたけれど、里見の言葉を邪魔しない編曲に満足しながらカチカチと動画に寄せられたコメントを少し読む

「・・・おーっと・・・やべ」

『昔の曲と比べて並べてみたけど、メイ レイって皐月 光だと思う』
『皐月 光の小説の組み立てと似てる!』
『名前的に5月光で皐月光で決まり』

集められたコメントの中にいくつか里見が書いたのだと予測するものがあって小さく笑う里見
自分の癖はそんなに判りやすいものなのかと考えたけれど、須野をモデルにしたものは確かに重過ぎる狂気的にも思える愛がテーマで似てしまうのも無理はないと頷いた
でも、幾つか試作で書いた詩で彼らが選んで曲として形にしたのは須野をモデルにしたものではなかったハズだけれども・・・

「・・・里見ー?」
「んー」
「仕事・・・終わった?」
「いや?」
「あ・・・そ・・・っか・・・じゃあ、終わったらまた教えて?ちょっと部屋片付けてくる」
「んー。携帯、電話してやる」

里見が新しい携帯を見える様に上げて少し振ると須野が嬉しそうに笑う
新しい携帯は最新機種の白い携帯。須野だけしか番号を知らない携帯

「新しい曲もイイ歌だね」
「んー。オレが書いたからな」
「うんっ」

当然だという里見に須野も当然だと頷いて自室のドアを開ける。春子の店で聞いてから何度か須野も検索し、再生した曲
以前に書いた曲が須野をモデルにして須野の気持ちを代弁したものなら、今回のものは須野の愛を受け入れてくれた里見のものな気がして何度聞いても嫉妬よりも幸せな気分が先立つ

須野も携帯で動画を検索すると再生し、曲を流しながら部屋を片付け始める




『愛され愛したのを運命というならば
      今すぐにお前なんて捨ててやる
運命だなんて神か自然が決めたものならば
      今すぐにこんな想い捨ててやる

簡単じゃない 受け入れたのはお前だから
簡単じゃない 受け入れたのは愛してるから

愛を育てたのはお前だから』









須野の携帯が鳴る。里見が新しい携帯でかけてくれたのかとすぐに飛びついたが、画面を見て友人のひとりだと判って小さくため息を吐いた後、俳優としての普段の須野 寛人の声で電話に応答した

「もしもし。須野です」
『あ、オレです。遠田です』
「うん。どうしたの?珍しい」

同じマンションに住む遠田とは1度共演したことがきっかけで交流が続いていた

『うん・・・あ、ちょ!待てって!ごめんっ!須野くんっ!須野くんとどうしても話したいってやつが今来てて』
「え?あ、じゃあ、遠田くんの部屋行こうか?」
『え!マジで?いや、要らない?お前、何なんだよ!成正!』

遠田が電話の向こうで呼んだ名前に驚いて目を見開く須野

「神尾・・・くん来てるの?」
『あ、うん。そう。でも面識ないんだよね?』
「うん。でも・・・でも、もしかして、里見のコトなんじゃないかって」
『あ、ちょっと待って・・・あぁ、そうなの?はぁ?無理だって』

遠田が電話の向こうで成正とやり取りしているのが気になってジャケットを掴むと部屋を出る

「遠田くん。今、遠田くんの部屋向かってるから。ちょっと待ってて」
『あ!はいっ!すみませんっ!』

エレベータを押すと小さく深呼吸する
須野のように売れっ子俳優ではないけれど、それでも活動をしている遠田。そして若い女性に人気がある成正。接点があってもおかしくない・・・里見の携帯を水没させ、壊したのは自分のせいだと思っている須野には里見との連絡役になりたい。そう思って遠田の部屋へと急いだのだった











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つれないキミと売れてる僕11-23 - 07/30 Sun

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タイルに囲まれたバスルームに響く音。唾液が混じりあう水音も時折漏れる甘いため息も小さな喘ぎ声も全部大きく反響して鼓膜をくすぐっていく

「舌、出して」
「ん・・・こう?」

舌を出した須野の舌を舐め上げると出した舌で懸命に舐め返そうとする須野

「一生懸命でそれ、すげぇ可愛い」
「っ・・・里見ぃ・・・」
「次は何したい?」
「舐めたい」
「どこを?」

どこを・・・聞かれても全部としか言えなくて困った顔で里見を見上げる

「唇も、顎も鎖骨も胸も・・・ここも、ここも・・・」

須野と違ってまだ半勃ちの雄を撫で、指でお尻に触れた須野の頭を撫でると「ベッド行くか」と囁く

「体拭くのか押し付けながら擦るのかどっちだよ」
「っ・・・ごめ・・・なんか・・・僕」
「まぁ、成長したな・・・」
「え・・・そう・・・かな?」
「そっちの成長じゃねぇよ・・・っつかこれ以上成長してどうすんだよ。お前」

須野の額をつつくとじゃあなんの成長かと首を傾げる須野

「お前、最初から枯れてんのかっつーぐらいの忍耐力だったもんなぁ・・・」
「・・・ごめん・・・どうしたんだろ・・・最近」
「おい・・・折角風呂入ったのにもうお前の先走りでケツ濡れてんだけど」
「ごめん・・・ドライヤー・・・後でもイイ?」
「後ー?お前、髪の毛乾かない速さで終わらせんのか?」
「あ・・・あのっ」
「イイっつってんの。ベッド、行こうぜ?」

成長したとはいえ相変わらずの須野にタオルを素早く腰に巻いた里見が須野の腕を掴んで脱衣所を後にする。もっともっと求めればいい。須野からの愛は言葉受け止めてやっている。なのに相変わらず性に対しては遠慮気味の須野はもっと貪欲に自分を求めればいい・・・そう思う





パタン・・・寝室のドアが閉まると後ろから抱き寄せられて昂ぶりを腰へと押し付けられる。腰に巻いたタオルが邪魔・・・でも、これは里見の演出。妖艶にタオル1枚を剥ぐ演出・・・須野を煽るための演出

「あ・・・里見ぃ・・・ダメ・・・僕、も・・・優しくしたいのにっ・・・」
「お前、さっき優しく中、解してくれたんじゃねぇの?」
「っ・・・里見っ・・・イイの?こんなっ・・・許してくれるの?」
「何を許すっつーんだよ・・・バーカ」

里見の余裕の笑顔に導かれてベッドへ倒れる須野
里見の形のイイ唇を貪るようにキスをすると背中に回される里見の腕にうっとりしながら後孔へと昂ぶりを擦りつける

「ぁ・・・や・・・何これっ・・・ふっ」
「だから、早くっつってんだろ」
「中っ・・・吸い寄せられるみたいにっ・・・」
「うっせぇ。黙れっ」

須野を煽るようにワザとしているのに戸惑い、恥ずかしい言葉ばかり漏らす須野の唇を無理矢理塞ぐと足を須野の腰に絡めて自ら腰を浮かして挿入させる

「っ・・・」
「ぁ・・・里見ぃ・・・っ・・・痛くない?大丈夫っ?」
「でっ・・・かいっつーんだよっ!てめぇのはっ・・・」
「ぅ・・・誰かと比べてる・・・じゃないよね?」
「萎えるっ!黙れぇ・・・っ」

両腕で踏ん張ると里見の中へと腰を進める。震える里見を心配しながら、里見の顔色を窺いながら

「僕だけだもんね・・・里見のここ、知ってるのっ・・・あ、気持ちイイ・・・どうしよう・・・里見、イイ?イイ?」
「なっ・・・にがっ」
「動きた・・・っ・・・中っギューギューしないでっ」
「うっせっ・・・黙って・・・悦くなれっ!」

須野の頭を掴むと抱きかかえるように抱きしめる
里見の体を、中まで知っているのは須野だけ・・・過去に1度だけあったのはカウントしない。比べるものでもないから須野も里見もなかったことにする・・・須野の言葉は疑いじゃなくて確認作業。自分だけだと言ってほしくて。自分だけだという言葉を求めてのコト

「光・・・愛してるっ・・・愛してるよっ光」
「んっ・・・知ってるっ・・・」

今まで「知ってる」という言葉だけだった。でも、今は違う。抱きしめられて里見からも返事を貰える・・・それが幸せで何度でも囁く

「好きだよ。愛してる」
「っ・・・しつこいっ」

言葉は冷たいように聞こえるけれど幸せ。抱きしめられて背中に回された腕に何度でも力が入るのを感じるから。里見に愛されている。全身で愛されているのを感じるから










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つれないキミと売れてる僕11-22 - 07/29 Sat

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満腹になった腹を摩りながら部屋に戻ってソファに体重を預ける里見と床に膝を付く須野

「まーた何だよ」
「僕が携帯壊したから」
「壊したのはオレだろ」
「里見が壊すことになったのは僕のせい」

頭を下げる須野の胸を足で押す

「んで?壊れたから?別に困ってねぇし」
「だから・・・神尾くんは里見に連絡できないんだよね」
「あー?んなのその気になりゃ連絡ぐらい取れるだろ」
「だって」
「イイんだっつーの」

胸を押している里見の足に触れて戸惑いながら靴下を脱がせて爪先にキスをする

「オレだってあいつに連絡取りたきゃどうにかするし」
「怒ってないの?」
「怒ってたらお前が足にキスするの蹴り倒して止めてるだろ」
「ん・・・うん・・・」
「変態」

里見が楽しそうな顔で須野の口内で足の指を動かして舌を抓む

「うんっ・・・む」
「あー、すげぇ顔するよなぁ・・・口ん中、汚ねぇ足で掻き回してるだけなのに勃たせやがって」
「んはぁ・・・汚くない」
「あぁ。オレは完璧。でも人間だ。皆と同じように汗も掻くし汚ねぇよ」
「汚くっ・・・はっ」

空いた足で須野の下肢を踏みつけると須野が体を捩って悶える

「うわー、すっげぇガチガチだったんだけど!お前、どんだけマゾなんだよ」
「里見がっ・・・触るから」
「触ったんじゃねぇよ?踏んだんだ」
「里見が、踏むからっ」

足を踏み鳴らすように須野の下肢を弄ぶと微笑む里見をうっとりと見上げる須野

「里見ぃ・・・」
「んー?」
「すごいっ・・・キレイっ」

里見が楽しそうに微笑むから。里見から与えられる痛みも快楽も全部須野を幸せにするもの

「なぁ、風呂連れていけよ」
「んぁ・・・うんっ・・・うんっ」
「何1人で気持ちよくなってんだよ・・・早く風呂連れてってオレも気持ちよくしろよ」
「ぁ・・・じゃっ・・・待ってっ・・・里見っ、足っ、待ってっ」
「あー?やめて欲しい?」
「ふっ・・・あっ・・・やめてっ・・・欲しくないっ」

里見が楽しそうに口角を上げて笑う
快楽を追う須野が可愛くてもっともっと快楽で顔を歪ませてやりたい・・・でも、一緒に悦くなるためにはこの楽しさを中断しなくてはならない

「あ・・・んっ・・・里見ぃ?」

止められた足に須野が里見を見上げると伸びてきた里見の手に捕まえられて抱き寄せられる

「ぁ・・・」

ぎゅっと抱きしめられて身動ぎして里見を見上げると鼻先にキスをされる

「汚ぇオレの足舐めたから風呂行ったあとでキスな?」
「んっ・・・うんっ」

須野がよろよろとした足取りでバスルームへ消えていくのを見ながらさっき須野を抱きしめていた手を見つめる。抱き締めることで愛情表現をして欲しい。そう言われてから抱き締めてもらえる回数が多くなった。言葉にするのは恥ずかしくて照れくさくてなかなかできないけれど、抱き締めることは里見にとって簡単なこと

「里見っ、お風呂、準備した」
「前屈みっ!10代のガキかよ」
「歯磨きも今っ、したからっ」
「じゃあ、おねだりしろ」
「キスっ、して下さいっ!」
「素直でよろしい」

里見がソファから体を起こすと頬を赤く上気させた須野の待つバスルームへと足を向けた







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つれないキミと売れてる僕11-21 - 07/28 Fri

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「ホント!毎回言うけどねぇ?来るなら連絡しなさいってば!」

春子の店へやってきた須野と里見はいつも通り春子の小言を聞きながら彼らの専用席になっている奥の小部屋へと足早に入っていく

「それで?食べたい物は?」
「適当にー」
「またそれ!」
「アハハ。今日、お店忙しくなさそう?」
「まぁ、見ての通りよ。そもそもあんたたち来るの遅すぎ」

忙しいときは部屋の椅子に座ることなんてない春子がビールを2人の前に出してから座ったのを見て須野が聞いて春子がため息を吐きながらそう答えた

「じゃあ、もう店閉めて一緒に飯食えばイイだろ」
「何。光が言うなんてあんた、熱でもあるの?」
「ねぇよ」
「ふふ。春子さん、どう?」
「そうね・・・じゃあ、お店閉めてこようかなぁ」

春子が笑って看板を下げに外へ出ると里見と須野も小部屋から出て店内の1つの席へと座る

「寛人、何食べたい?」
「えっと、あるものでイイよ?」
「お前の食べたい物作りたいんだけど!」
「オレ肉じゃが」
「あ、じゃあ肉じゃが」
「それ、光の食べたい物でお前のじゃないだろぉぉぉー」
「だって・・・」
「肉じゃが」
「あー!もー!はいはい」

大将がため息を吐きながら大皿に乗った肉じゃがを温め直す為に下げる

「寛人は甘え方知らないものねぇ?」
「え!僕?」
「あぁ、光も!あんたはわがままは得意だけど同じように甘え方ヘタクソだもの・・・ホント手の掛かる息子たち!」
「別に春子に甘えたいわけじゃねぇし」
「僕たち大人だし」
「何言ってるのよ!優子が私に託した寛人は私の息子だし、光だってもう私の息子みたいなもんじゃない」
「違ぇし!」

春子が「はいはい」と言いながらグラスに注いだビールを2人のグラスにカチンと合わせる

「お疲れ様?春子さん」
「ありがとう」

春子が微笑むと大将が温めた肉じゃがといくつかの小鉢を持って現れる

「おー。美味そう」
「なんか光の成長を感じる」
「食べ物の味判るようになったのね」
「うっせぇし」

里見が悪態を吐きながら肉じゃがをつつくと店内で小さくかかっていた音楽に須野が「あ」と声を漏らす

「どうしたの?」
「いや、この曲・・・」
「あぁ、最近また注目されてるものねぇ?お店閉めたから消してくるわ」
「あ、イイの。そのままで」

席を立とうとした春子を止めると音楽に耳を傾ける
友人がカラオケで歌った時はヤキモチばかり先に立っていたけれど、里見が作った詩だと聞いてからはこの曲に愛しささえ感じるくらいになっていた

「何、注目されてるって」
「話題じゃない」
「だから、どういうことだよ」
「若者が知らないっていうの?活動再開が動画サイトで話題になってるじゃない」

里見がわけが判らないという顔で春子を見ると春子が携帯を出して少し操作して里見に画面を見せる

「・・・はぁ?」

春子が出した動画には神尾兄弟が歌っている姿

「カミサマのシッポ?」
「・・・だな」
「新曲?」
「・・・だな」

活動再開したとはいえ、簡単に曲をCD化してくれる場所がない・・・そう神尾が嘆いていたのを思い出す。やる気はあるのに出してもらえないなんて・・・と・・・

「寛人はお友達だったりするの?」
「え?」
「カッコいいじゃない?神尾 成正!お友達ならサインほしいわぁ」

微笑んだ春子に苦笑した須野が首を振る

「あ、でも、里見は友達だよ?」
「え!なんであんたが!」
「あー?成正っつーよりも兄貴の芳成の方な・・・まぁ、成正もサイン持って来いっつったら持ってきそうだけど」
「だからなんでよっ!」
「あー、なんでもいいだろ。まぁ、連絡・・・あー、連絡なぁ・・・そのうち、向こうからどうにかして連絡して来たら言っておいてやるって」

連絡する理由もあるのだから・・・と思いつつ、連絡しようとしたかもしれない・・・と気付いて須野を見ると須野は肩を窄めて「ごめんなさい」と呟いた










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つれないキミと売れてる僕11-20 - 07/27 Thu

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里見の故意に水没させた携帯は須野がマグカップから出して乾かしたけれど復活しないまま里見のデスクに置かれていた

「・・・里見」
「あ?」

パソコンに向かっていた里見に声を掛けることはほとんどない須野だったけれど、声を掛けずにはいられなかった。里見が壊れて動かない赤い携帯を見つめていたから
本当は沈めて壊すなんてことしなくたって良かったはずの携帯
里見は仕事だと言って、それを疑ったのは須野。勝手に嫉妬して、浮気を隠しているのだと思った。でも、仕事だと言っていたのは事実で・・・須野の不安の元にはなったけれど何の罪もない赤い携帯

「あのね・・・それ、僕が買い直すから」
「あぁ?何が」
「僕、ホントは里見が誰かと話しているだけで嫌だし、嫉妬すると思うっ!だって!葛西と話してるだけでも僕イヤだもんっ!だけど、だけどね・・・里見が実体験だとか実際に仲良くなった人をモデルにしたほうが執筆が進むの知ってる・・・だから・・・だからね、大事だと思うの。新しい出会いも里見には大事」
「・・・いや、別にオレは」
「買い直させてください。もう、疑わないっ!だって・・・里見・・・僕を抱きしめてくれるでしょう?」

抱きしめる・・・好きだという証拠

「・・・じゃあ、買い直せ」
「うん」
「でも、新規で買え。番号も全部新しいのだ。んで、それには1つの番号だけしか登録しねぇ」
「・・・」
「お前専用機」
「っ・・・え?」
「そのほうがお前は嬉しいだろ?」
「・・・ぁ・・・ぇ」
「その他大勢よりもお前だけ特別っつーならお前は幸せで病気にもなんねぇだろ?」

里見の特別になりたかった。ずっとずっと特別に
里見の申し出は特別にしてもらえるというもので・・・

「う・・・れしいっ」
「フハッ!泣いたし!」
「だって・・・だってっ・・・」
「お前専用だっつったって仕事中だったら出ない時だってあるしメールの返信だって今までと同じ。それでもいいだろ?」
「イイよ・・・イイっ・・・僕、僕しか知らない番号・・・っ・・・」

里見を抱きしめて何度もありがとう、幸せ、嬉しい・・・そう言う須野の頭をそっと撫でる

「お前、ホント重いっつーの」
「・・・他の愛し方なんて僕知らないもん」
「おー。オレだけだもんなぁ」

今までにも「あなただけを愛してる」「光だけしか見えない」そう言ってきた女性はいた。でも、それは全部ウソ。だから信じるも何も気に掛けたことすらなかった言葉たち。でも、須野の「里見だけ」という言葉だけは本物だから・・・須野は里見だけを見ているから。ずっと里見だけを見てきたから。そして、これからもずっと里見だけを見ているのが判ってしまう。須野の愛が重いのは他に分散されないからこそ。須野の愛の配分は100パーセント里見へだから

「里見はね、僕の全てだから」
「おう」
「僕が仕事するのも息をするのも里見がいるから」
「だな・・・お前の命もオレのだもんな」
「うん。そう・・・ね、里見、仕事ひと段落したら教えて?携帯、買いに行こう?」
「お前が払ってくれるなら最新機種にしてやろ」
「うん。イイよ。何だってイイよ!」
「うわー・・・さーすが売れっ子だなぁー」

里見は笑うと背中をポンポンと撫でて1度ギュッと抱きしめ返してやる
須野がまた嬉しそうに笑って溜まった涙がほろりと頬を伝った







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つれないキミと売れてる僕11-19 - 07/26 Wed

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「あの、あの・・・」
「いいじゃないか。別に。お前が幸せにしたい相手で、幸せになれる相手が彼だというのなら」
「えっと、あの・・・あの・・・」

恥じているわけじゃない。でも、里見のことを言ってしまっても里見は困らないだろうか。里見は

カタン・・・

音のした方へ須野と高砂が視線を移すとそこには頭を下げる里見の姿
里見が頭を下げていることに慌てて須野は里見へ近付いた

「初めまして。里見 光です。親友というのを隠れ蓑にしながら本当は須野と付き合っています」
「え・・・ぁ・・・里見」
「自分の中では真剣で、須野にとっても真剣だと思います」
「・・・里見・・・」

じわじわと胸に広がる多幸感
里見が、父に対して自分と付き合っていると真っ直ぐな目で真っ直ぐな言葉で告白してくれていることに幸せを感じる。自己紹介だって普段は作家の皐月 光と紹介するのに今日は里見 光と言った・・・作家ではなくて、里見 光だと・・・

「お父さん・・・僕、里見が好きなんだ・・・ずっとずっと里見だけが好きだった。里見がどれだけすごい人間か、素晴らしい人間かは今までも言って来たけれど、初めて里見に出逢った時から里見だけが好き」
「うん。聞いているよ・・・里見くん、確かにね、オレは寛人の父親。でも、存在自体ずっと知らなかったし、父親らしいことは何ひとつして来られなかった・・・でも、それでも彼の幸せを願わずにはいられない」
「須野のことは今までもずっと泣かせてきたし悲しませてきた。きっとこれからも泣かせると思うけれど、それ以上に須野を幸せにできるのはオレだけだって思ってます」
「当たり前だよ・・・僕の幸せは里見の存在だもん」

ふにゃりといつも里見に見せる笑顔になった須野を見て高砂は微笑むと須野と里見の肩を叩く

「楽な道じゃない。でも、2人が選んで幸せなら、それを壊す理由なんてどこにもない」
「・・・お父さん」
「優子さんのことも体裁だとか構わず追いかければよかった・・・優子さんに好きな人がいてもずっとずっと優子さんを追いかければよかった・・・今でもそれだけは後悔していること。だから、後悔しないように・・・後悔だけは・・・しないように」

過去を思い出したように目を細めながら口元を押さえた高砂に須野は微笑む
愛されていたのだ。母は。ずっとずっと愛されていた。もう、母と同じように愛され続けないのではないかと不安になることはない。母と似ているのならば自分も愛され続けることができるのだ
そして、愛が続くために自分が努力することが大切なのだ





「・・・里見」
「あー?」
「ありがと・・・」
「・・・別にお前が言いたけりゃ言えばイイ・・・お前が言ってもイイと思ったら、言いたい相手なら・・・」
「え・・・でも」

里見は「ふぅ」と息を吐き出すと何かを言いかけて困ったように笑う
そして、須野の体を引き寄せると須野をただぎゅっと抱きしめてやる

「・・・里見?」
「・・・抱きしめりゃイイんだろ。判るんだろ」
「・・・」

里見が好きだと思うのなら抱きしめて・・・撫でて。そう須野が言ったことを実践してくれているのだ

「愛してるよ。里見。僕の里見・・・愛してるよ・・・この世で1番・・・ううん。僕には2番も3番もない。里見だけを愛してる」










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つれないキミと売れてる僕11-18 - 07/25 Tue

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「今、オレが何を言っても信じられないかもしれないけれど、オレは息子に嘘を吐きたくない。そもそも、寛人さえよければオレはお前のことを公表したいんだ」
「・・・僕は・・・」
「あの日、オレはある写真を見せられた・・・優子さんが仲良さそうに男性と買い物をしている写真・・・」
「え・・・?」

高砂は苦しそうに笑って「すまない」と須野の肩を撫でる

「事務所が優子さんとの交際を良く思ってないのは知ってた・・・けれど、あれは酷い嘘だった・・・」
「嘘・・・」
「写真を見せられて、言われたんだ。彼女は不安定な仕事の自分よりも一般人の彼女には同じように生活が安定していている相手の方がイイと」
「待って・・・待ってっ!違うっ!」
「あぁ・・・うん。優子さんも、週刊誌に撮られた写真を見せられたんだろう・・・?彼女とは何もなかった。ただの仕事仲間で・・・多分、その写真も話題作りに必要だったんだろうな・・・その後、増えた仕事のせいでなかなか会いにいけない間に、優子さんはオレの前からいなくなった」

高砂に裏切られ、それでも元々住む世界が違ったのだと優子は去った。高砂が成功するならばその方がイイと・・・

「じゃあ・・・」
「今と違って携帯なんてなかなかないしね・・・でも、オレは弱かった。探そうと思ったら探せたのにあの男性と一緒になることが幸せなのかもしれないと諦めたんだ」
「・・・」
「それからオレは彼女を忘れる様に遊び歩いた・・・そこら辺は噂通りの話さ・・・そして、今の妻と結婚し、要が産まれた・・・散々忘れようとしたのに、結婚したのに今でも優子さんを想い出す。寛人、お前の母さんは愛されなくなったとかじゃない。多分一生オレの心を捕らえたまま・・・そもそも愛され続けるだとか愛されなくなるだとか、そんなのは遺伝の問題じゃないけれど、もし寛人が母さんがそうだったからだと思うんだったらそれは違う。これだけは言いたくて・・・」

母は愛を失ったわけじゃなかった・・・自分もきっとそうなると思っていたのに、2人はある意味擦れ違いで、人為的な勘違いで離れた・・・じゃあ・・・

「寛人・・・どうだ?」
「・・・うん・・・僕、愛され続ける自信はなかったけど・・・それ、ちょっと解決したんだ・・・でも、今の聞いて、もっとすっきりしたかもしれない」
「そうか・・・うん。よかった・・・それで、お前の恋人にはいつ会わせてもらえるんだろうか?」

高砂の言葉に身を硬直させる須野
紹介・・・できるものならしたい。もちろん、須野にとって里見は完璧すぎる恋人だったし、皆に自慢したい。でも、それはきっと里見のためにならないし、里見が嫌がるだろうから

「あ・・・の」
「会わせてもらえないのか?」
「・・・今度・・・急に言われてもすぐに呼んだりできるわけじゃないし」
「今度か・・・ホントに会わせる気はあるのか?」
「っ・・・あ、あのっ、あの」

高砂がカバンから出した本を見て須野は高砂を見つめる。里見の本・・・どこまで気付いているのか判っているのか・・・

「サイン、貰いたかったんだ。2冊程」
「・・・あっと、光のコト?なら、彼ならっ隣に住んでるし・・・でも、どうかなぁ、いるかなぁ」
「部屋はいつもきれいなお前が寝室はいつもあんな情事後のようにぐしゃぐしゃなのか?ここに恋人の姿がないけれど慌てて隣の部屋には帰れるんじゃないのか?」
「え・・・や、あの・・・え?」

チラリと寝室へ目をやると寝室のドアが開いていることに気付いて言葉にならない声を漏らした






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つれないキミと売れてる僕11-17 - 07/24 Mon

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幸せすぎる1日になった・・・須野は幸せのため息を吐きだすと寝息を立てて眠る里見の髪にキスをする
仕事をすると言ってたはずなのに、無理をさせてしまったと反省しながらも愛されてきた事実に酔いしれる

「愛してるよ・・・」

この愛を続けるためには保ち続けるためには自分が努力したらイイ。里見の心が離れそうになったら引き戻すようにその時努力したらイイ・・・

ピンポン・・・

インターホンの音に顔を上げて里見を起こさないようにそっとベッドから抜け出すとモニターを覗いて「え」と声を漏らす
来客予定はなかったから宅配便か何かだと思ったのにそこに映っているのはまさかの人物で慌ててモニターで応答する

「どうしたの?」
『・・・話があったから来た』
「あ・・・はい・・・」

須野はエントランスの開錠を押すとハッとし、慌てて寝室へと戻って里見を揺り起こす

「ん・・・あぁ、寝てたか・・・」
「ごめん。起こしてごめんね?体大丈夫?」
「あぁ・・・腰だる・・・」
「ごめんね。ごめん」

里見の体を早急に起こしてきた須野を不思議に思って顔を見上げる
いつもだったらこんなに急がせることはしないのに何を焦っているのかとため息を吐きながら下着に足を通す

「あ、これ。服」
「何だよ」
「え?」
「さっきなんか聞こえた気がしたのインターホンなんだろ・・・っつか、急がせるなら起こしてから下開けろっつーの」
「ごめ・・・だって・・・予定なかったしっ!驚いてそのまま開錠しちゃったんだもんっ!」
「・・・誰」
「お父さん」
「・・・は?!」
「全然予定なかったし連絡もなかったのにっ・・・なんで・・・もうっ」

須野も焦るわけだと納得した里見は急いでスラックスを引き上げる

ピンポーン

「・・・あ・・・あ・・・どしよ・・・来ちゃった」

里見は上半身裸のままシャツを掴むと寝室を早足で出て自室への扉へと走る

「ごめんね?!」
「うるさい。早く出ろっ」

小声でそう文句を言った里見が部屋へ入る音を聞きながら須野は玄関のドアを開く

「突然で悪いな」
「あ、どうしたの?なんかあった?」
「要から聞いて・・・ね」

須野の父である俳優、高砂 寛が優しく笑って紙袋を須野に差し出す

「要くんから・・・?」
「あぁ。だから、寛人の誤解を解いておこうと思って」
「・・・誤解?」

小さく首を振りかけた須野が先日、伊月に話したことを思い出して「あ」と高砂を見つめる

「お前のお母さんのコト」
「あ、あのねっ、僕」
「優子さんが愛され続けなかったから、捨てられたからお前も恋人に対していつも不安になる・・・そう言ったらしいなぁ・・・違うんだよ寛人」
「え?」

何が違うのか・・・いや、責めていたわけじゃない。人の気持ちなのだから父を責めたいわけじゃない

「・・・優子さんのことは、今のやつも知ってる」
「・・・うん」

須野と高砂が血縁関係だということを伊月も知っているのだから高砂の現在の妻が母、優子のことを知っていてもおかしくはないと小さく須野は頷く

「優子さんとオレが離れることになったのはな・・・当時の事務所の嘘だった」
「・・・え?」
「俳優としての仕事がぽつぽつ増えてきた頃だな・・・このまま仕事が軌道に乗れば結婚できる。そう思ってた・・・若かったんだな。オレも・・・今考えればそんなの簡単なことじゃないと判るのに。あの時はそう信じて仕事していたんだ」
「・・・でも、他の女性と」
「そこが、誤解・・・なんだ」

誤解、そう言われても、実際に高砂は母の元を去った。突然姿を消したのだ








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つれないキミと売れてる僕11-16 - 07/23 Sun

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里見が須野から離れて何かのケースで須野の頭をコツンと叩く

「やる」
「何?プレゼント?!」

ワクワクした表情で里見からケースを受け取った須野がケースの文字を見て胸が締め付けられるように感じる。嫉妬。昨日見た里見と腕を組んでいた青年の顔が頭に浮かぶのだ

「お前のさ、その嫉妬隠しきれねぇ顔、嫌いじゃねぇよ?でもオレの浮気疑うならマジで男相手はやめろ。気持ち悪いから」
「・・・だって・・・僕、里見と腕組んで外歩くなんて」
「そいつ、それ歌ってたの知ってるか?」
「・・・昨日友達がカラオケでこれ、入れてたから・・・」
「・・・お前、カラオケ行ったの?!歌とか歌えんの!?っつかお前、すっげぇ音痴だったのに!マジで?!超ウケる」
「・・・歌わない・・・けど」
「だって!お前っ!昔っ・・・ふはっ。歌!ぷっ」
「笑いすぎ!・・・そりゃ僕・・・それでっ・・・神尾くんがなんなの?この曲聞けって何?」
「ん?それ、オレが作った歌」
「・・・」

キョトンとした須野に「気付けよ」と小さく呟く里見

「え・・・待って・・・何?作るって・・・何?」
「中にそこに名前あんじゃん。作詞メイ レイって」
「・・・え・・・え?」
「あ?まだ判んねぇの?5月に光線だろ?」
「・・・皐月・・・光?」
「ん。そ・・・」

CDのケースを抱えたまま里見を見つめる

「・・・じゃあ・・・」
「こないだ?葛西のあの交流会で神尾と再会してなぁ・・・」
「・・・これ・・・里見が・・・書いたの」
「ん」
「・・・僕・・・?」
「あ?」
「みんな重いって・・・でも、僕、判るからっ」

里見は鼻で笑う
当然。須野には理解できるだろう・・・他の小説のモデルにもなった須野は歌詞のモデルにもしたから。須野の重過ぎる愛は里見の手によって命を与えられる

「里見は・・・ずっと僕を知ってた・・・ずっとずっと僕を判ってくれてる」
「・・・ネタには丁度いい」
「違うの・・・ごめん・・・なんかね、僕、今、すごい胸の辺りがね・・・つっかえが取れたみたいに・・・」
「・・・あ?そりゃ・・・」
「・・・ね、里見」
「あ?」

須野の体が近い・・・さっきから隣にいたのだから近かったけれどそれがもっと距離を縮めて・・・そう。キスの距離

「ね、今から仕事する?」
「あ?・・・あぁ・・・?」
「少しだけ・・・少しだけ・・・ダメ?」
「なんだよ・・・盛ってんのか?」
「ん・・・だって」
「あぁ、そういや、約束してたな」

ふっと鼻で笑うと須野の頬を撫でる
出掛ける前、約束したことを思い出して

「挿れたい?」
「っう・・・」
「ホント、お前わけわかんねぇけど・・・でも、喜んでるのは判るからまぁ、イイか」
「ん・・・だって・・・里見はホントに嘘なんてついてなくて仕事だったし、里見に想いが通じたのは付き合えるようになってからだって思ってたけど、違うんだもん・・・里見はずっとずっと僕を1番に判ってくれてた。愛しい里見・・・愛してるよ。里見」
「・・・ん・・・」

須野のキスを受け入れる。須野のことが可愛いと思う。どうにもできないと思っていた性格も須野のお陰でまともになってように感じるし、ここまでずっと想い続けられ、愛を繰り返し紡がれれば感情が揺れないわけもない

「愛してるよ・・・光。僕、頑張るから・・・光に明日も来年も10年後もその先もずっと好きでいてもらえるように頑張るから」
「ふは・・・ホント頑張りそう」
「うん。だからね・・・光」
「んー?」
「光が僕を好きって思えたら僕を抱きしめて?頭撫でて?」
「クソ・・・調子・・・乗るなよ・・・」
「・・・!・・・うん・・・うんっ」

悪態を吐きながらも里見の腕が須野の背中に回るのを感じて恍惚の表情で里見にキスを何度も落とした






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つれないキミと売れてる僕11-15 - 07/22 Sat

trackback (-) | comment (4) | つれないキミと売れてる僕
重たい頭を抑えて起き上がるとズキズキと痛む頭が二日酔いだと教えてくれているようでのそりとベッドから足降ろす

「・・・」

よろよろとキッチンへ向かうと水を飲み、数時間前のことを思い出しながら頭を抱えた

あんなこと言うつもりなんてどこにもなかった。里見に叩かれた頬は大して強く叩かれたワケじゃないのにまだじんじんと痛む気がする・・・きっと心の問題
里見は須野にとって絶対的な存在でたとえ里見が他の誰かと仲良くしていても嫉妬はしても口出しできなかったのに

嘘吐き

本当に嘘を吐いていても須野には問題なかったはずなのに
何故あんな風に・・・

謝ろう。土下座して酔ってあんなこと言って申し訳ないと言おう。そう決心してグラスに入った残りの水を飲み干すと里見の部屋をノックした

信用している
信用できないのは里見じゃなくて愛という不確かなもの




「開いてる」

里見の声にホッとしてドアを開けると机に向かう里見の姿
まだ入室することを許されているという事実が須野にとって安心できた

「・・・」

いつも通りの里見。須野の言葉に怒っているはずなのにただ美しい里見の姿は変わらない。すぐに膝をつくと額を床につける

「ごめんなさい」
「何が」
「嘘吐きとか。僕、ホント里見に酷いこと言ったから」

里見は手を止めて土下座する須野に視線を移す

「立て」

里見の言う通り立ち上がると里見の指の指示通り里見の近くへと寄る

「この酔っ払いめ」
「え・・・あ、ごめ・・・ごめん・・・え?」

里見のデスクには何故かマグカップが2つあって1つは片付けるべきなのかと中身を覗いてギョッとした

「何?」
「さ、里見っ、これ、これっ!!!」

赤い携帯がコーヒーに沈んでいるのが判る
ほんの少ししか本体は見えないけれどこれは確実に新しい里見の携帯

「これでお前は安心か?」
「っ・・・」

じわじわと胸に広がる想い

嬉しい
怖い
幸せ
怖い
愛してる

愛しさと同時に里見に携帯をこんなことさせてしまったという恐怖

「ごめ・・・ごめ・・・なさ・・・」

里見はため息を吐くと震える須野の頭に手を置く

「あー、なんか半分予想通りで半分ハズレかー」
「・・・里見っ」
「泣きながら喜ぶと思ったんだけどなぁ・・・お前は。喜べよ。お前を不安にしてる携帯はもうなくなった。これのせいでお前、オレのこと嘘吐き呼ばわりしたんだもんな」
「っ・・・里見、僕・・・僕」
「必要なやつの連絡先はこっちにあるからなぁ。見事に仕事関係と・・・残るは数人の友達、あとお前」

ブワッと湧き上がる感情が涙とともに溢れ出す

「愛してるっ・・・」
「ん、判ってる」
「僕、里見に」
「・・・ここまでしたんだから判るだろ・・・お前はオレがお前を大して好きじゃねぇとか思ってるかもしれないけど」
「っ・・・」

里見に想われている実感・・・
本当に里見に愛されているのだという実感・・・でも、それは感じれば感じる程恐怖に変わってしまう

「お前は強いだろ・・・ずっとオレに告白して玉砕すんのに次の日も懲りずに告白してきたくらいに・・・じゃあお前を病気にするくらい悩ませてるのはなんだ?やっぱオレ?」
「怖い・・・里見が、僕のコト・・・好きって・・・言ってるみたいで・・・」
「お前、ふざけんなよ」

これでも不安に、そして里見の感情を信じないのかと里見が整った眉を顰める

「だってっ!今日はっ・・・今日は、そうでも、明日は・・・明後日は?」
「あ?」

須野が震えながら首を振る。バカらしいと自分でも判っている。でも怖いのだ

「僕、ずっと里見が手に入らないと思ってきたから・・・今、里見が僕と付き合ってくれてるのすごくうれしくて幸せで・・・この間まで里見がっ・・・里見に好きな人ができたらまた僕を好きになってくれるように頑張ろうって。里見が僕を好きじゃなくても僕が里見のコト大好きだから関係ないって・・・でも・・・今違う・・・怖いんだよ・・・里見が急に離れていくのが」
「・・・意味判んね・・・」
「だってっ!だって・・・お母さんだって・・・」
「なんで急に優子さんの話出てくんだよ」
「っ・・・お母さんは・・・永遠だって思えた愛だったのに・・・でも、ダメだった・・・それでも僕がいたから寂しくなかったって言った・・・離れていっても僕がいたから追いかけることもしなくて済んだって」

須野が突然母親の話をし始めた理由もなにも判らずただ里見は黙ってタバコを咥えると須野の話に耳を傾ける
須野の父親とは直接会ったことはないが、どんな人間なのかはメディアの情報だけではあるが知っている・・・結婚はしていて、子どももいるが変わらずモテ、女性に人気のある大物俳優だということ

「僕は男だから・・・だから、里見が、里見が僕を好きじゃなくなることなんて当然来ることなのに!僕はもう・・・里見を前みたいには・・・怖いんだ・・・怖い・・・」
「・・・お前の言ってることは全然判んねぇけど・・・とりあえずお前がオレに嫌われなきゃ済むっつー話だろ」
「・・・でも、目の前に魅力的な女性が現れたら!?」
「それよりもオレが惚れ続けるような須野 寛人であり続けりゃいいんだろ」
「そんなの・・・そんなの・・・」

紫煙を吐き出すとタバコを灰皿に押し付ける
須野の頬を片手で掴むと自分を無理矢理見つめさせる

「オレは?」
「・・・きれいだよ・・・」
「完璧だろ・・・だから、お前はオレが好き」
「里見は昔からずっと完璧・・・」
「確かに最初から完璧。でも、なにもしなかったら完璧に歪もできるだろうなぁ」
「・・・里見は・・・」
「ずっときれいで完璧なオレを見たいだろ?んで、オレだって・・・多少は・・・なんつーか・・・」

里見は言葉に詰まる。どう言えばいいのか判らない。いや、判る。でもこれを須野に伝えるのは照れくさくて恥ずかしくて・・・1度唇を噛むとガシガシ頭を掻き毟る

「昨日っ!なんでお前の部屋に行ったと思ってんだよ・・・」
「・・・」

須野は「あ」と声を漏らすと里見を引き寄せて抱き締める

「僕の・・・ため・・・?」
「っ・・・だよ・・・クソ・・・言わせんな・・・お前が喜ぶかと思って・・・オレだってなぁ・・・」
「・・・そう・・・だね・・・僕、里見にずっとこうしていられるように僕が頑張ればいいんだ・・・僕の努力・・・だね」

須野が笑ったから里見は須野の額に額を付ける

「そうだ。オレを飽きさせんな。他の女見るような好き与えなきゃいい・・・今みたいに最上級の愛をぶつけて来い」
「うんっ・・・」







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