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青春はプールの中で11-16 - 01/31 Wed

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「・・・ちゃん・・・流ちゃんっ!!!流ちゃんってば!」
「・・・あ」

何度も呼ばれていたことに気付いてゴメンと呟き持っていたゲームのコントローラーを持ち直す

「気になるんだよね?」
「うん?」
「柿内」
「・・・」

澤口の部屋に来たのは柚木の意思で。でも気になるのは柿内のことばかり

「流ちゃんから別れ話するのは柿内が傷つくと思ってるかもだけど何しても傷つくよ?だから」
「違うんだ・・・別れないとオレがダメ。でもオレからは嘘でもあいつに別れるとか言えないだけ」
「・・・流ちゃん」
「あいつも簡単にオレと別れようとか思わないからさ、このまま続けるのはもう無理だってあいつに言ってもらうにはあいつの嫌がることし続けるしかない・・・んだけどなぁ。あいつのメシ食いたいし、あいつに触れたいし、あいつに甘えたい」

柚木の想いも尋常ではないほど大きいものだと判って澤口はコントローラーを置くと柚木を抱き締めた

「アヤ?」
「流ちゃん、私と寝よっか」
「・・・」
「それとも私には魅力」
「あるよ。アヤは魅力的。でもオレは」
「あ、ほら、みる?!」

ガサガサと大きなカバンを漁ると中から出て来た大きめなポーチを開いてひっくり返す

「・・・や、えぇー・・・」
「あ、新品だよ?!これ自分用とかじゃないし!もし自分用だったとしたら流石の私だってこんな出したりできないってばー」

ポーチの中身は所謂大人のオモチャというもので様々な形状が揃えられていることに柚木はなんとも言えない表情をする

「あのねー、あり得ないけど、あり得ないけどっ!もし、球ちゃんがなんか凹んでて私とそんな間違い起こしそうになっても私は女だしさ、球ちゃん喜ばせることできないなーって揃え始めたんだけどさ・・・球ちゃんどんなのがいいかなぁ・・・とか揃えてたらまぁ・・・コレクションがここまで・・・」
「・・・」
「ほら!だって球ちゃんって女の子じゃダメじゃん?だから」
「オレは違うんだけど・・・さ。まぁ、そりゃあいつと付き合ってんだけどその前は普通に女の子と付き合ってたしそれなりにやることやってきたわけだし」
「あ、そ・・・なんだ・・・じゃ、じゃあ見なかったことに!!!」
「ふっ・・・アハハ!」

慌てて片付ける澤口を見て笑いだした柚木は澤口の手を握る

「オレと寝て、アヤは満たされるのか?」
「・・・そりゃ」
「オレは球じゃねぇよ?球と似てる秀でもない。それでもオレと寝たいと思う?オレは柿内を傷つけてるモヤモヤを消すためだけかもしれないのに?」
「っ・・・流ちゃんが球ちゃんでも秀ちゃんでもないのは判ってる!でも!ここしばらく流ちゃんと一緒にいて私はっ」

澤口の言葉を遮るように唇を塞ぐ
キスは何度かした。でもそれ以上のことは何もなかった。超えてはいけない一線だと避けていたこと。澤口の部屋を何度訪れてもゲームをしたり食事をしたりしただけ

「後悔・・・はすると思うぞ?お互いにな」
「うん・・・だね。でも、私は一瞬でも球ちゃんを忘れられる。流ちゃんも一瞬は柿内を忘れられる」
「・・・かもな」

忘れられる?

今、抱き締め、キスしている体は柿内よりもずっと小さくて肌も唇も柔らかい。そう比べているのに忘れられる?


判らないまま柚木は目を閉じて澤口のブラウスの裾から手を差し入れた







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青春はプールの中で11-15 - 01/30 Tue

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ひとり無言で酒瓶を傾ける柿内の前でいつも通り軽いケンカのようなやり取りをしている沙耶と神田。2人の関係はまるで普段の自分たちのようで柿内は飲む速度を上げる

苦しい。羨ましい。見たくない。柚木とこうしたい

「ひとりで飲みすぎだからね!」

柿内の手から酒瓶を取り上げた沙耶が神田のグラスにその酒を注ぐ

「んで、どーしたわけよ?」
「あ?」
「いやぁー、柿内いつも以上に怖い顔してっし、いつも以上に無言だし!何へこんだような顔してんだよ」
「うるせぇ」
「・・・うるさいよ!っつかオレは今日沙耶とデートだったのにお前の所行くっつって聞かない沙耶に付き合う羽目になったわけ!だからうるさく聞く!」
「梅ちゃん、酔ってる?ねぇ、酔ってんの?いつも以上にうざい感じあるよ?」
「酔ってない!」

酔ってない奴こそそう言うんだ。と柿内は小さく溜め息を漏らすと酒の代わりに水の入ったグラスを差し出した

「・・・柿内さ、優しいじゃん?オレ、沙耶と仲良い柿内のことはっきり言ってまだそんな好きになれないけどさ、お前が悩んでたり暗い顔してたりするとこいつが心配すんじゃん。きっと他にも心配する奴実はいんじゃん?だから」
「・・・自分のガキさ具合に嫌気がさしてるだけだ」
「あー?お前がガキっていうならオレは」
「梅ちゃんは赤ちゃんだね!」
「はぁ?!そこまでじゃないし!」

辛い。苦しい。柿内は目を閉じる。見たくなくて目を閉じ、頭を抱える

そんな柿内の様子を見て沙耶が柿内の肩を叩いた

「柿内、あのさ、あんた、無理して大人のフリしなくていいよ?」
「・・・」
「だ、だってさ!無理して作ってるならやっぱ大人じゃないじゃん?!だから」
「じゃあ、ガキのオレはどうあの人を支えりゃいいんだよ」
「・・・ずっと傍で支えてきてたじゃん!知ってるよ?」

ゼミを辞めた理由も学校を選んだ理由も全部全部柚木のためだった。柚木を傍で支えたいからだった

「見返りが欲しいわけじゃねぇ・・・でも、でも・・・」

柚木の変化についていけないだけ

女の影に嫉妬してるだけ

嫉妬しているのにそれを言えないだけ

ホントはずっとずっと自分だけ見ていて欲しくて自分だけの柚木でいて欲しい

「柿内ー、私はさ、好きな相手からの嫉妬とか嬉しいっていうか、全くされなかったら逆に不安になるかも」
「あ?」
「まぁ、この梅はお子様で加減ができないから別れるー!ってなったけどさ、柿内との仲に嫉妬してくれてたんだなーって私の話聞いて私のこと考えてくれてたんだなーって」
「沙耶ぁ・・・」
「あ、梅、今はそれ要らない」

沙耶に抱きつこうとした神田を腕で退けると柿内の背中をペシリと叩いた

「試されてるのかもよ?柚木さんに」
「・・・」
「柿内は柚木さんが女の人と結婚しても友達として見守りたいとかなんとか言ってたけど違うでしょ?ホントは違うよね?」
「・・・」
「柚木さんをそう簡単に手離せないでしょ」

手離せるわけがない。でも、頭で柚木が幸せな家庭を築くことを強く望んでいるのも事実

「・・・女」
「「うん?」」
「多分、今日、女の所・・・あの人が幸せならそれでいいと思わなきゃいけねぇんだ。ずっと一緒にいたいなら」
「ちょ・・・え?ないない!!!ないって!柚木さんだよ?!それ、流石に」
「・・・」
「え、マジ・・・?」

沙耶と神田が顔を見合わせる。大して柚木のことを知っているわけではないけれど浮気をするようにも見えなくて思えなくて。でも、柿内の様子はただ疑っているだけのようにも見えなくて

「よし!おいで!」
「・・・なんだよ」

沙耶が胸を叩き両手を広げる

「ギュってしてあげる!こういう時は誰かに抱きしめて欲しいもんでしょ?!恋人が浮気してるとか!慰めてあげる!」
「はぁ?」
「っ!!!柿内!オレの所来い!沙耶の胸はオレのだからオレがギュってしてやる!」
「・・・ふ・・・お前らバカだろ」

2人が真剣な顔で両手を広げているのがおかしくて笑いがこみ上げてくる
心のつっかえが少しほぐれた気がした

「ほら!いいからっ!」

沙耶に引っ張られて神田と沙耶の2人に不恰好な体勢で抱きしめられて背中を優しく撫でられる
人の温かさを全身で感じる
柚木だけじゃない。自分を理解し、受け入れてくれる人間は柚木だけじゃない

沙耶も神田も、そして心配してくれる但馬もいるのだと熱いものがこみ上げてきて恥ずかしくて2人を引き離す

「こ、の酔っ払い共!お前ら恥ずかし・・・」
「ほーら効いた!」
「あ?」
「いつもの柿内だな」
「うん。いつもの柿内!」

いつもの・・・体温で尖っていた心が溶かされたようでモヤモヤしていた気持ちが晴れたようで柿内は俯く
何も解決はしていない。でも、さっきまでの気分よりずっといい

「しっかし、あのかっこいい柚木さんが浮気ってオレの中でかなーりショック」
「あ!私も!なんかかなーりの衝撃ー。柿内、あんたも浮気しちゃいなよ!紹介してあげよーか?」
「バカか」

そして今度は神田がひとりで柿内を抱きしめる

「は、はぁ?!」
「女の所出掛けるの止めていいんだからな?!お前、彼氏なんだから止めていいんだからな?!」
「・・・」

判ってる。でもできない性格が憎い

「それは大人ぶってるのとはまた違うからな!」
「・・・送り出しといて凹んでる所がガキなんだ。オレは」
「柿内」
「ちょ!なんなんだよ!この酔っ払い!!!」

柿内の言葉を聞いて沙耶が2人を抱きしめると柿内はいつものようにツッコミを入れた

凹んでいた。でも友人たちに励まされ、慰められ荒ぶった気持ちが落ち着くこの感じには幸せを感じていた








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青春はプールの中で11-14 - 01/29 Mon

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最近リハビリに行くと帰りが遅い柚木を柿内は少し不安になっていた

それだけ頑張っているのだと初めは納得していたけれど連絡もなく突然友人と食事を済ませてくることや、時折強く感じる女性物の香水の香りが柿内を不安にさせた
何かしたかと考えても思いつかない。ゼミを辞めたのを隠していた。それを引きずっているのかだとか考えても答えは出てこない

「ただいまー」
「・・・おかえり。遅かったけどメシは?」
「食うよー」

今日は食べるのだとホッとしたけれどすれ違った瞬間に匂う甘い香り

「・・・ユズ」
「ん?」

振り返った柚木に唇を寄せるとそれを避けるような仕草の柚木

「び、びっくりしたー・・・何?」
「な・・・んでもねぇ」

避けられた。キスを避けられた・・・急にキスをしたとしても今までだったら驚きながらも受け入れてくれたはずで、でも、今日は避けられた

柚木からの拒絶

「あー、風呂ももう入れるの?んじゃ、オレ汗かいたし先風呂入るわ」
「・・・ん」

食事を目の前にしているのに風呂へ行く柚木なんて今までじゃ考えられないこと。だからこそ疑ってしまう。風呂へ急いで入るのは『痕跡』を消したいから?・・・と











沙耶が幼馴染で恋人の神田と歩いていると神田に突然腕を引っ張られて怒りを露わにする沙耶

「痛いしびっくりすんじゃん!」
「や、あれ」
「ん?」

神田の指す方を見ると友人が買い物袋を持って歩いていて、普段だったらすぐに追いかけて声を掛けるのに友人の目があまりにも虚ろで躊躇する

「ヤバくね?あいつ」
「っ・・・柿内っ!」

それでも放っておけるわけがなくて声を掛けて駆け寄ると振り返る長身の青年

「あぁ。よぉ」

近くに寄るとどこか酒臭い友人に眉を顰める

「柿内、パーティでもすんの?」
「あ?」
「酒、大量だから」
「あー」

柿内の持つ袋に入っている酒瓶を指す神田。柿内は少し頷いて首を振った

「少し酔おうと思って」
「ひとりで?!」
「悪いか?」

沙耶は唇を噛む。酒に強いのは知っていた。けれど、飲んでも酔わないから飲むだけ無駄だといつも酒を飲まない柿内が酔いたい。それは尋常じゃないことで・・・

「っ・・・梅!柿内ん家お邪魔しよう!」
「え?!なんで!」
「飲むっつってんだからみんなで飲んだ方が楽しい!」
「や、でも」
「梅っ!決めたー!柿内ー!いーよねー!」
「こうなったらお前とめられないからいいって言うしかないじゃんっ!」

どうでもいい。その思考回路は酔っていないと思っていても実際、酔っていて正しい判断ができていないからなのかもしれない

柿内の部屋を訪れた2人は一緒に住んでいるはずの柚木の気配がないことを「やっぱり」と顔を見合わせた

「柚木さんはー?」
「う、梅っ!あんたホント空気読めないっ!」
「泊まりで出掛けた」
「友達とかー!だから柿内は羽伸ばして昼間から飲んでたわけだ?」

神田の言葉に一瞬神田を見ただけで柿内は酒瓶をキッチンに置く
リビングのテーブルには空いた酒の缶が転がっていて沙耶はひとつため息を吐くと「お腹空いたなー」と柿内に声をかける

「残り物でもいいなら」
「いいよ!なんでもっ!」

残り物。その言葉に声が詰まりそうになる。いつだってたくさん食べる柚木がいるせいで料理が残らない。そう幸せそうにボヤいていたのを思い出したから

すぐに温められて出された料理を見て神田が歓声をあげる

「なにこれ!ホントパーティでもやってたの?!」
「梅吉ホント空気読めなくて腹立つ」
「味の保証はしねぇ」
「なーに言ってんの!あんたのご飯美味しいって聞いてるし!」
「・・・あの人が食わなかったんだから不味いんだろ」

グラスにひとり酒を注ぎ出した柿内に胸を痛めながら沙耶は手を合わせると食事に手をつける

「美味しいしっ!」
「・・・そうか」
「柚木さんは舌が肥えてんじゃないか?!っつかお前が作ったとかビビる!」
「・・・唯一、自信だった。オレのメシ・・・あの人が美味そうに食ってくれるから・・・でも、スナック菓子のがいいみたいだ」

柿内が自嘲しながらゴミ箱に捨てられたスナック菓子の袋を見る
何があったというのか・・・先日ここへ訪れた時は辛くとも幸せを感じる柿内がいたというのに






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青春はプールの中で11-13 - 01/28 Sun

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柚木と澤口はたまたま会ったその日以降、約束をしては何度もコーヒーを飲んだり散歩したり、たまには夕食を共に食べたりを繰り返していた

柚木は部屋で食事の支度をして帰りを待つ柿内に罪悪感を感じながら
澤口は恋人のいる柚木と楽しくデートしていることに罪悪感を感じながら

罪悪感をお互いに感じつつも繰り返し会ってしまうのは居心地がよかったから

「あー、いいオトコいないかなー。球ちゃんよりも素敵な人!」
「今まで球以外にはいなかったのか?」
「んー?」

澤口は少し考えて笑う

男は手段として使ってきた。人に自慢できることじゃないが、球以外の男に心を動かされたことなんてなかった。球以外には考えられなくて、でも、球が自分と付き合ってくれるだなんて絶対にあり得ないとも判っていて・・・澤口は「あ」と小さく思い出したように呟く

「私、柿内には惚れかけた」
「え?」
「っていうか、私さー、柿内に付き合ってって言ったことあるんだよねー。速攻振られてめちゃくちゃ説教されたんだけどさ」
「・・・」

知らなかったこと。柿内は澤口は友達でそれ以上のことは絶対にあり得ないと言っていたのに告白されていただなんて

「まぁ、その時は下心アリだったけど、真剣に説教してくれる柿内はちょっとカッコよかった」
「・・・そうか」
「ちょっとだよ!ちょーーーーっと!」

澤口は人差し指と親指の間に小さく隙間を作って繰り返した

「・・・あいつ、なんかモテるんだよな」
「んー?そーなの?あれで顔がよけりゃすっごいモテただろうとは思うけどー」
「そりゃ球とは似てないけど、好みの問題だろー?それにあいつの顔だってそんな悪くないと思うけど」
「うん・・・かもねー・・・あのさぁー、流ちゃんさー・・・今日、最後にしよっかー」

突然の言葉に柚木は澤口を見る

「ごめんね。少し前にそうじゃないかなーって思ってたんだけど最初に私の聞き方が悪かったんだろうなーって・・・流ちゃんの恋人、やっぱ柿内なんだよね?」
「え・・・」

困ったように笑う澤口がごめんねと呟く

「私が最初に彼女どんな人とか聞いたから言い辛くなったんだよね。ごめん」
「いや・・・隠してたわけじゃないんだけど」
「あ、違うよ?!嫌とかそんなんじゃなくって!!!柿内はほら、私も友達だから・・・高校からずっと付き合ってて尽くしてくれる人って聞いてあれー?って思ってたんだけど、今の流ちゃんの表情で確信しちゃった」

今、澤口の話を聞いてどんな顔をしていたのかと柚木は首を傾げる

「柿内も流ちゃんの話するときすごい優しい顔してた。流ちゃんもそう。で、今、私が柿内に告白した話ししたら流ちゃんすごく驚いて、どこか悲しい顔したもん」
「アヤ、オレは」
「私、柿内がどれだけ流ちゃんに尽くしてんのか知ってるし、柿内は離しちゃダメだよ。絶対ダメ」

判ってる。柚木だって離れたくない。離したくない。でも、このままではいけなくて柚木は首を振った

「たけちゃんだってさ、球ちゃんのために色々犠牲にしてるけど幸せそうに上手くやってるでしょ?だから」
「オレは無理」
「・・・」
「ごめん・・・アヤを困らせたいわけじゃなかった。でも、あいつ以外の前で始めて素直に弱いところ話せた気がするから楽しくて」

澤口は迷って柚木の体を抱きしめる

「私も流ちゃんといっぱい話せて楽しかった。球ちゃんとは似てないけど話してるとね、たまにすごく似てるとこもあったし」
「・・・アヤ」

見つめ合う2人。どちらからというわけでもなく、自然に唇が重なりすぐに離される

「・・・ダメ・・・だよ!だって私はっ!」
「ダメ・・・だな」
「私っ、流ちゃんといるのホント楽しいけど、きっと心のどこかで利用しようとしてるし!球ちゃんに少しでも近いところにいたいって願望あるよ!だからっ」
「オレもきっとお前を利用してるよ。あいつに嫌われようとしてる。アヤといると楽しいし心のつっかえも取れる気がするけどやっぱりそれ以上にオレは」

柿内のことが好きなのに。柿内のことばかり考えるのに。もどかしい気持ちをどうにもできずに再び唇を重ねる2人

いけないことだと思うのに止められない衝動が2人を動かしていた








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青春はプールの中で11-12 - 01/27 Sat

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「流ちゃん・・・?」
「あ・・・」
「あ、ごめっ!声かけたのは初めてだっ!!!初めまして!あたしっ」
「あぁ、喋りかけてきたのは初めてだなアヤ」

目の前に現れたのはよく見る顔。知ってる女性
兄の大ファンでスイマー喰いのアヤと呼ばれていた女性

「そっか。うん。だよね。知ってるよねー自己紹介は要らないかなー」

眉を下げて笑ったアヤは「ここいい?」と柚木の向かいの席を指す

「いいよ。空いてる」

礼をひとつ言ったアヤは柚木の向かいに座ると灰皿を指した

「吸うの?」
「あぁ、でも女の子の前じゃ止めとく」
「アハハ。ホント噂通りの紳士ー!いいよ!気にしない」

そもそもここは喫煙席だったし、周りにも吸う人間がいたから気にもしないが、柚木は首を振った

「ごめんね。たまたま見かけてつい声かけちゃって」

柚木が事故に遭った事は聞いていた。お見舞いに行こうかと悩んだけれど球の追っかけをしているだけの自分が突然お見舞いに行っても迷惑だと断念していた。そんな時、偶々見かけたからつい追いかけて店に入って声を掛けてしまった

「流ちゃん大変だったんだってね・・・や、今もまだ大変だよね」
「あぁ、ありがとう。でもなんとかやってるしほら、こうやってひとりで店入ってカフェオレも飲めるくらいだし」
「うん。退院おめでとう」

初めて話す2人。お互いに存在は知っている相手
柚木のことは球や竹市、そして柿内からよく聞いていたし、アヤのことは兄や竹市、そして競泳部から噂も全て聞いていた

「あ、別に流ちゃんとって食おうとかそういうんじゃないよ?!そういうのもうしてないから!前に柿内に言われてからずっとやめてるから」

柿内の名前が出て澤口の顔を見る
そういえば柿内とは友人だったと、一時は仲を疑ったと思い出して小さく笑う

「あいつ曲がった事嫌うからなー」
「んー?流ちゃんもでしょ?柿内は流ちゃんの影響みたいなことも言ってたよ?」
「オレー?」

柚木は少し考えて首を振った
柚木の場合、正義感はあるけれど偽善だと思っていた。皆に憧れ、好かれるための正義感
でも、それは丸く収めるためには見て見ぬ振りもする正義感

「球ちゃんのこと、ホントにホントに好きなんだけど、そろそろ諦めて前向かなきゃなーって最近すごく思うんだけどねー・・・球ちゃんが私を嫌ったり拒絶してくれたら諦め簡単なのに球ちゃん優しいでしょー?だから私が好きでいるの自由だよ。みたいなーあー、ホント好き!」

嫌ったり拒絶してもらえたら諦めがつく・・・?でも、尽くしてくれる柿内を嫌ったり拒絶するだなんて柚木にはもう難しいことで

「流ちゃん?」
「あ、ごめん。アヤの言葉、今すごい考えちゃって」
「何?流ちゃんも恋に悩んでる感じ?」
「恋・・・か」

恋だなんて甘いものか判らないけれど、柿内との関係がこのままでいいとも思えなくなっているのは事実
柿内が自分を嫌ってくれれば。そう思うのに柿内が嫌うことなんてないんじゃないかとも思う自信

「流ちゃんの彼女ってどんな人ー?」
「え?」

柿内との関係は聞いていないのだと気付いて小さく微笑むと「すごく尽くしてくれる」と答える

「あー、だよねー!流ちゃんいいオトコだもんー」
「そうかな・・・ズルい人間だけど」
「いやいやー!でも人間だもん。ズルくていいよ」
「・・・尽くしてくれるのが嬉しいのにそれじゃあいつの人生潰してる。だけどさ、好きなんだよな」
「なんか流ちゃん!今、私それ聞いて泣きそうなんだけどっ!」
「え!なんで?!ごめん。おかしいこと言った?」
「言ってないー!でもなんか流ちゃんの彼女さん羨ましくて」
「・・・オレに引っかかって可哀想なヤツだとオレは思うけど」
「そうかなぁー?それだけ尽くせる相手に出逢うって幸せだよー?私も球ちゃんに尽くしたい!・・・流ちゃんはさ!みんなに影響与える人なんだよ。球ちゃんもだけど流ちゃんのことすごい褒めるし尊敬してるし柿内だって流ちゃんに尽くしたいって言うじゃんー?」

柚木は微笑む

柿内は恋人ということは言わなくても柚木に尽くしたいという話はしていたのだと

「尽くされてるのは嬉しいよ。でも、そんな自分が許せない」
「・・・別れたいの?尽くしてくれる彼女と」
「離れなきゃいけないとは思うけど・・・別れられないな。オレからは」
「・・・まぁ、まだ若いもんね。今から人の人生も背負うってなると重いしー」
「・・・」

柚木にとって重さは関係なかった。柿内の人生を丸っと背負って生きていくのはできないわけじゃない。でも柿内も自分と同じ男で働く意欲もある。だからこそ柿内にも柿内の人生を自分で選んで歩いて欲しくて

「今の好きな相手の存在が大きければ大きいほど次に恋なんてできないってなるよねー」
「・・・だな」
「そこら辺流ちゃんと一緒ー!球ちゃん以外にも私好きになれる人いるのかなー」
「球、そんなイイか?」
「え!兄弟なのに球ちゃんの魅力判んない?!え!なんで!」
「いや、球、弟や妹より手がかかるしめんどくさいしかなかったけど」

澤口は「えー」と言いながらも「兄弟だからこそそんな感じかー」と頷いた

「好きなのに嫌われたい・・・好きだから手放したい。矛盾しまくりのこの感情、どこで折り合いつけるのがいいんだろうな」

柚木はそう言って遠くを見つめた






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青春はプールの中で11-11 - 01/26 Fri

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柿内と沙耶が世間話を始めて話を陰で聞いていた柚木はひとり早足で部屋に戻る知らなかった。柿内が大学を選んだ理由も、ゼミを選んだ理由も全部柚木のためだったなんて知らなかった

そして今、また柚木のために柿内は将来を変えようとしている

その事実がどうしようもなく重くて、それでも嬉しい自分が許せない
柿内の全てを柚木が変えている。柿内の全てを柚木の存在で動かしている
愛されているから。だから幸せ。重い愛。でもひとりの好いた男にそこまで愛されている事実

「最悪だ」

嬉しくて喜んでいる、幸せを感じている自分が信じられなくて柚木はそう呟いた
本当なら柿内の1番いい道へ進めと言うべきで。でも自分から離れて行くのが嫌で言えない。そんな自分が許せなかった









「ただいま・・・悪い。遅くなった」
「おかえりー。あれ、沙耶ちゃんは?」
「帰った」
「夕飯一緒に食うのかと思った」

柿内が戻ると柚木は普段通りに振る舞った

「・・・飯、食ったらすぐにあんたと2人で話したいから」
「そ・・・だな」

きっと柿内がゼミを辞めていたという話だろうとすぐに判って柚木は頷く
どう反応したらいいのか悩む。きっと柿内は本当の理由を隠すから。怒ればいいのかそうか。と肯定するだけでいいのかそれとも・・・


「っつかあんたケーキも食ってなかったのか。腹減ってんだろ?夕飯支度急ぐから」
「あ・・・だってさ!沙耶ちゃんとすぐ戻ってくると思ったし!せっかく持ってきてくれたんだから一緒に食えると思ったから待ってたんだっつーの」
「んじゃ、それ、デザートな」
「おう」

柚木は笑顔を柿内に向ける。本当にいつも通りに笑えているかは判らないけれど、考え事があっても辛くても笑顔を作るのは得意なことだから







夕食を終えてケーキとコーヒーが目の前に置かれる

「・・・これ、食いながら話していい?」
「ん・・・聞く」

柚木はフォークを下ろそうとしたけれどいつも通りを振る舞うなら食べながらの方がイイとケーキを口に運んだ

「さっき、沙耶が言ってたの聞いたと思うけど」
「ん」
「ゼミな、辞めたんだ」
「あんなに頑張ってたのになんで?」
「・・・教授に気に入られて、内定出た場所が遠くて最初は就活やらなくていいって嬉しかったけど内容がかなりキツかったから卒業しても今と変わらねぇ生活って先が見えねぇし無理だろって思ったから」
「甘いなー!お前ー!楽な仕事なんてないぞー?」

やっぱり隠された。そう思いながらも柚木は柿内を正当に諭そうとする

「あんたはどうすんだよ」
「オレー?オレは営業職希望かな」
「ふはっ。あんたは動いてないとダメな人だもんな」
「んー。だからそれまでに走れるにまでしときたいとこ」
「・・・どこで就職すんの?地元帰る?」
「あー、一応こっちでも向こうでも探そうってエントリーはしてる」

柿内は「そうか」と頷くと自分も地元とここで就職活動を始めるべきだと考え始める

「柿内ー」
「何?」
「就職して、遠距離なったら?」
「・・・ならねぇようにするって言ったらあんた重いって怒る?」
「・・・そんな上手く行くかぁ?就職したとしても転勤とかあるかもしれないだろ」

転勤。そう言われて柿内はため息を吐いた。そこまで考えていなかったから・・・これからはひとつの土地でずっと一緒にいるのは難しくなるのだと改めて感じたのだ。お互い仕事を始めたら優先順位も今以上に変わる。途中でついてきて欲しいだなんて簡単に言える訳もない

「遠距離、キツいけど、頑張る」
「ふはっ!何をだよ!」
「あんたに会えねぇのはキツい」
「っ・・・」

いつものように茶化してくれれば軽く言ってくれれば柚木も聞き流せたのに柿内は真剣な目で柚木を見ていてどうしようもなく愛しさを感じて持っていたフォークを柿内の皿に突き立ててケーキを奪う
嬉しい。柿内に想われているのが判って酷く幸せに感じる。けれどそんな自分が許せない・・・嫌で嫌いで仕方ない

「あ!おいっ」
「・・・食べてないからいらねぇのかと思って」
「まぁ、いいけど」

優しい柿内の表情。きっと普段他の友人たちには見せない笑顔。自分に向けられている笑顔。恋人の自分だけの笑顔

「残り、早く食べろ」
「あぁ?」
「そしたらベッド、行こう」
「・・・おぅ」
「きっと最後までできるから」
「・・・でも」
「ダメだ!やんの!決めたからっ!」

こうなると柚木に逆らうことはできないから柿内は苦笑してケーキを口に運んだ






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青春はプールの中で11-10 - 01/25 Thu

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柚木と柿内はお互いに触れ、お互いの気持ちを再認識した後、柚木が柿内の前で弱音ばかり吐き出すことは少なくなった。相変わらず泳ぐことは辞めた。これから治ってももう戻らない。そこだけは頑なだったが、それでも前を向いた柚木に柿内は安心していた

変わらない毎日。柿内が大学から戻ると夕食を準備し、柚木もできることを手伝う。そんな毎日

「かっきうちー!今日の夕飯何ー?!今日リハビリ頑張ったから腹減りまくってる!」

元々身体能力が高かった柚木は前向きにリハビリを始めると自由に動く片足と片手で大抵のことを今までのようにできるようになり、こうして柿内の体に抱きつくことも簡単にできるようになっていた
抱きついてくる柚木に柿内は満更でもない表情だった

その日、柿内が夕食の準備を始めるとインターホンが鳴り響く

「あ、オレ出る」
「ん」

杖を手にした柚木が玄関へ向かい、ドアを開くとすぐにケーキの箱を目の前に差し出された

「え、あ、沙耶ちゃん?!」
「遅くなりましたがっ!退院おめでとうございますっ!」
「あ、ありがと・・・」
「柿内、います?」
「あー、うん。入って」

沙耶を中に入れるとそのままキッチンに向かった沙耶が柿内の胸ぐらを掴む

「なんだよ!危ねぇ!」
「はぁ?!こうされる理由くらい予測してたでしょ!」
「判んねぇし」
「なんだよ!内定蹴ってゼミ辞めるだけじゃなくて教授裏切ってあんなやつのゼミ入るって!研究内容そっちで書き上げるとかなんだよ!」

内定を蹴った・・・?ゼミを辞めた・・・?その言葉に柚木が目を見開く

「沙耶、ここでは止めろ」
「・・・」

沙耶がハッとした表情で柚木を振り返ると驚いた顔の柚木に柿内のシャツを離す
柚木も知っていると思っていたのに知らなかったのだとバツの悪い表情で目を伏せた

「・・・ちょっと出れる?」
「ん、柚木さん、ちょっとメシ遅くなるわ。腹減ったらそのケーキでも食ってて」
「あー・・・あぁ」

柿内と沙耶が部屋を出て行くと1人になった部屋で考える

ゼミを辞めた

柿内が頑張っていたのは知っている。すれ違いでケンカもたくさんしたけれどそれでも必死にやっていたのを知っている
そういえば入院中も退院してからもずっとそばに居てくれたし、帰りもいつだって早かった。おかしかった。考えてみればおかしすぎた

柚木は杖を掴むと柿内と沙耶の後を追った









「ゼミを辞めたのは柚木さんのそばにいたいから・・・判ってるけど頑張ってたじゃん。あんた」
「頑張ってた理由もあの人だからな」
「何それ」
「オレが内定もらえたとこ・・・あそこ、国内じゃ数少ない水球チームあるとこって知ってたか?」

沙耶は首を振り、柿内が今までどんな無理難題を課されても睡眠時間も柚木との時間も犠牲にしてやり遂げてきた理由を知る

「内定貰えて、あの日、プロポーズじゃねぇけど、あっち、一緒に行こうって言うつもりだった。けど、あの日、あの人があんなことになって、でも、またあの人のことだから復活してすげぇ奇跡見せてくれると思ったからゼミに顔出す時間減らしたけどなんとかやってたんだけどな・・・もう戻る気がないって判ってきて、これじゃオレもあのゼミでやりれる気がしねぇし、就職だって・・・な」
「でも、だからって」
「ゼミの単位はでけぇから。ゼロになると授業詰めなきゃって考えてる時に打診された。去年の研究論文手直しすりゃいいって言われたら単位も助かるし受けるだろ。そりゃ、教授には申し訳ねぇ気持ちもあったけど」

今までの柿内よりもどこか寂しそうで諦めたような表情で沙耶はそれ以上強い口調で言えなくなる

全て柚木のためだった。大学も柚木を追うように来たのは知っていたけれど、大学へ来たのも、教授のゼミに入ったのも、そこで頑張っていたのも全て柚木とのその先を考えてのことだったなんて初めて知ったこと。改めて柿内の柚木に対する想いを知る

「あの人には言うなよ?」
「・・・うん」
「ゼミ辞めたのはバレたし今から話すけど、他のことは黙ってろ。あの人、気にする人だから」
「・・・いいの?」
「いいってお前、そんなの当たり前」
「違う!」
「あ?」
「柿内はっ!柿内はそれでいいの?!」

沙耶の言葉に小さく笑う

それでいいのか。そう聞かれると判らない。今までたまたまうまくやれて来た。大きなケンカもなかったわけじゃない。それこそ覚悟した時もある。でも乗り越えて来た。でも、これからは判らない。柚木が柿内の恋人じゃなくなる日も来るかもしれない

「オレは、あの人と関係が変わってもあの人に嫌われねぇ限り隣にいるつもりだしな。んで、あの人が結婚して子ども産まれたらそいつめちゃくちゃ甘やかす予定。あの人に甘やかしすぎって怒られても甘やかす」
「・・・それで幸せ?」
「ん・・・だな」
「強いね。柿内」

柿内は鼻で笑って空を見上げると「バカか」と呟く

「弱ぇからあの人のそばから離れられねぇんだろ」

柚木がいれば強くなれる。柚木の存在が柿内を強くしてくれるから






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青春はプールの中で11-9 - 01/24 Wed

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熱を解放するとしばらく呼吸を整える様に肩で息をした柚木は立ち上がろうとする柿内を止める

「何?」
「や、あの」
「やんねぇの?」
「いや、流石にムリだろ」

足の痛みもまだあるはずで、満足に足を曲げることも動かすことも困難な柚木にこれ以上はムリだと首を振る

「だからって何?それ、自分でやる気か?」
「じゃあ・・・イイの?」

そっと柚木の唇に触れる柿内の表情は色気を放っていて柚木は柿内の指先を舌で舐める
きっと誰も知らない柿内の雄っぽい表情に興奮を煽られる。同じ男なのに興奮してしまう自分が不思議だったけれど相手が柿内だから。好きな相手だから

「ダメなわけないだろ。オレだってお前を気持ちよくしたい」
「っ・・・」
「あー、すげぇ先走りだし!なんでこれを我慢すんだよ」
「いや、あんたの負担んっっっ」

話の途中だったのに口を開いた柚木に根元まで咥えられて柿内は思わず出た声を抑える

舌先の刺激も快楽を感じたけれどそれ以上に柚木が咥えているという視覚的な刺激がいつも大きかった。他の誰にもしない行為に唇を噛み、必死に快楽で漏れそうな声を堪える


「気持ちイイ?」
「イイ・・・」
「どうしたらもっと気持ちイイ?」
「・・・」
「言えよ。やってやっから。遠慮なんてすんな」

見上げてくる柚木の顔に甘い吐息を小さく漏らしながら口を開く

「先っぽ・・・も、少し強く吸って」
「こう?」
「んっ・・・はっ」

チュッと音を立てながら吸い上げると柿内の体が大きく震えて透明な体液が漏れ出すのを口内で感じる

「可愛い。ヤバい。すげぇ可愛い!もっと言えよ。して欲しいコト言って?喘げ。お前が気持ちイイのなんかイイ!」
「っ・・・」

柿内は何度か頷く。与えられる強い刺激にそれが柿内にできる精一杯の肯定。好きな人の感じる姿を見ると得られる満足感は柿内にもよく判るから

「も、充分っ・・・すっげっ・・・気持ちイイっ」

柿内の言葉に気分を良くした柚木は夢中で柿内の雄を唇を絞りながら扱き舌先で味わうように舐めとると柿内の口から漏れる甘い吐息

「っく・・・ヤバい、も、ヤバいから」

柿内の苦しそうな声に柚木は強く吸いあげた

「っぁっ・・・」

強い刺激に柚木の頭を強く引くと口から水音を立てて離された雄から白濁が放たれ柚木の顔にかけられた

「・・・っ・・・ごめ」
「・・・ひっでぇ悪趣味ー顔射とかー」
「違ぇ・・・いや、まぁ、悪くないと思ってたりもするけど」

ニヤリと笑った柚木に柿内も笑って頬にかかった精を指先で少し伸ばしてみる

「もー髪にまでかかった」
「ん、も1回風呂連れてく」
「柿内ー」
「ん?」
「オレもお前のことすげぇ好きだから」
「っ?!」

白濁で汚れた柚木の瞳はまっすぐ柿内を見つめていてそのギャップに言葉を詰まらせる

どんなに困難にぶつかってもこんな性的に汚されても変わらない柚木のまっすぐな瞳。好きで好きで心が締め付けられてしまう

「んー?柿内どしたー?また勃ってんだけど」
「うっせぇ!」
「っつかさーっつかさー!風呂行ったらオレもお前に顔射したい」
「っ・・・」
「なんつーの?男のロマン?」
「っ・・・クソ」

柿内は柚木を抱きかかえると黙って部屋を出てバスルームに向かう。ふざけ合いながら楽しい毎日がまた続くのだと、柚木がケガで動けなくなっても以前と変わらない毎日がまた戻ってくるのだとこの時は2人とも疑いもしなかった







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青春はプールの中で11-8 - 01/23 Tue

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テーブルの上の皿から料理がなくなり柚木が箸を置くと柿内は片付けをしようと立ち上がり空いた皿を持ち上げるがそれを柚木が手で遮る


「まだ足りね?」
「片付け、後でにしねぇ?」
「・・・後って・・・」
「洗い物ぐらいだったら、オレも手伝えるから・・・だから、代わりに一緒に風呂行ってお前が手伝ってくんね?」
「・・・っ・・・それって」

柚木の言いたいことを察した柿内は顔を赤く染める『準備』を手伝えと言う意味で少し触れ合えればと思っていただけの柿内は戸惑う

「手、まだ自由に動かないっつーかやっぱ利き手ダメだとちょっと・・・」
「柚木さん・・・オレ別にそこまでっつか」
「お前とやんのに中、触ってくれないわけ?」
「あー!もー!!!」

柚木の体が宙に浮く。柿内に抱えられていつもだったら軽く抱き上げられることに不満を漏らす柚木も小さく微笑んだ






「痛くねぇ?」
「どこが?」
「足とか手とか」
「それは平気」
「それはって・・・あ、キツくしすぎたか?悪い」
「いや、痛くねぇしっ!」

泡だらけにされた柚木はふふっと笑う
久し振りに気持ちが満たされている気がした。尖った気分がどこにもない。まだ満足に動かない体にいつも苛立ちを感じていたのに今日は久々に柔らかい気持ち。柿内にまだすごく愛されているのだと再認識したからなのかもしれない

「なんだよ」
「いや、オレ、お前に甘え方間違ってたなーって」
「はぁ?」

泡だらけの柚木にシャワーを掛けると笑っている柚木に柿内も笑顔になる

今まで見たかった笑顔。強く、皆に見せている笑顔は傍から見ていたけれどこの笑顔は自分にだけ見せてくれる、恋人の自分に向ける笑顔

「オレは愛されてるなーって」
「・・・ん」

照れる様に口を結ぶ柿内にまだまだ大丈夫だと自信を持てた。自然に湧き上がる力。諦めたものへまた向かっていける気までしてくる

「オレはお前でよかった」
「ん」
「なー、柿内ー」
「できた!上がるぞ」
「なんだよ。まだ照れてんのかー?」
「黙れ」

これもいつもの柿内。忘れていたこんなやりとりが愛しい。柿内が愛しい・・・

バスルームから出ると乱暴に、それでもどこか優しくタオルで拭かれて再び抱えられて柿内の自室へと連れて行かれる柚木


「柿内の部屋ぁー?」
「あんたの部屋、今タバコ臭ぇ」
「あー、うん」

ベッドに降ろされると今度は優しくタオルで全身を撫でる様に残った水滴を吸い取られていく

「あんたはこれからもキツいことも色々あるかもしんねぇ・・・でも、オレの気持ちだけは信じていいから。これだけは信じていいから」
「え?」
「・・・愛されてるんだよ!オレに!!!恥ずかしいこと言わせんな」
「・・・ん・・・」
「同情だとか体目当てとか罪悪感!どれも違ぇから!マジで。それは疑うな」

柚木はそっと柿内の頬に触れて額にキスを落とす

「ごめん・・・な?」
「いい・・・別に、今までみたいなのも。そりゃ多少・・・気持ち的にキツかったけどオレにしか言えねぇとか判ってたし」
「ん、ごめん。ごめん」
「だからっ」

顔を上げた柿内に唇を寄せる。柿内以外にこれ以上自分を受け入れてくれる人間なんていないと思う。出逢えて良かったと思う

「キス、久し振りだな」
「ん・・・」
「なんかちょっと照れる」
「言うな。余計照れる」
「なんだよー柿内もやっぱり照れてんのかー」
「うっせぇよ!」

柚木がふわりと笑うとベッドに押し倒されてキスをされて柿内の指先が柚木の白い肌に優しく触れるのを感じた

「っ」
「あ、痛い?」
「バーカ。お前がオレの乳首擦ったからだろ?もっと強く触っていい」
「・・・ホントあんたは・・・」
「柿内の当たってる」
「あんたのだって当たってんだよ」
「早く触れって当ててんだけど!」
「あーもー!」

柿内はくしゃりと困った様な笑顔で再び柚木の唇に唇を押し付けると柚木の体に触れ始める

好きで好きでどこが好きだとかもう判らない。柚木の薄くて細い体のどこにこんな劣情を感じるのかも判らない。でも、確実に柚木の体を求めて昂ぶっているのだ

「っあ・・・柿内っ、中もっ」

柚木の懇願に手を伸ばしてローションを取り中身を掌に出す

「柿内、早く」
「あんた、どこまでエロくなんだよ」
「お前のせいだっ・・・っん」

バスルームで蕩かされた場所は柿内の長い指を飲み込んでいき、内部から与えられる刺激に甘いため息を漏らす柚木

「ノリ・・・」
「っ・・・クソっ」

耳元で呼ばれて柿内は柚木の声から逃げる様に柚木の昂りに唇を落とす

「ぁ、両方っ、それっ・・・気持ちイイっ」

柚木の歓喜の声が耳をくすぐるのが気持ち良くて柿内は柚木を快楽に追い詰めていく

「ノリっ、ノリっ!それっ出るからっ」

柚木の声に何度か頷くと柚木は体を震わせて熱を解放した





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青春はプールの中で11-7 - 01/22 Mon

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柚木が退院して部屋に増えたものがいくつかあった



車椅子、杖、薬。柚木の新しく必要になったもの。そしてタバコと酒・・・

「臭ぇ・・・」

柿内は部屋に入ってそう悪態を吐き捨てる。酒は前もたまには飲んでいたけれどそれは本当にクリスマスや誕生日といった特別な日だけ。飲めないわけではなかったけれど特別を祝うための儀式的なものだけで普段は特に必要としてなかったもの

タバコは柚木も前は嫌がったのに退院し、しばらくすると突然吸い出した。アスリートを止めたと宣言するようで柿内は部屋でタバコの香りがする度に気持ちが苦しくなる

「おかえり」
「ん・・・」
「今日のメシ何?」
「もやし炒めと豚肉安かったからトンカツ」
「おー!いーねー!」
「それ、消せよ。似合わねぇもん吸ってんじゃねぇ」

柚木は指に挟んだ火の点いたタバコを咥える

「ほっとけ」
「・・・」

身体にまとわりつくような臭いが柿内を苛立たせる。柚木の喫煙に驚いたのは柿内だけじゃない。この部屋にやってきた新井や但馬も驚いたけれど泳げない柚木の苦しみから一時的なものだと笑っただけだった

「・・・」

柿内も泳げなくなった柚木の苦しさは理解しているつもり。もう戻る気がない。口でそう言っていてもいつかは戻ると思っていたのにこの臭いがそれを否定するようでただ苦しんでいた
もちろん、タバコだけでそう感じるのはおかしいのかもしれない。でも、柚木のいつも論じているアスリート論ではタバコは禁忌だったから

「なぁ」
「んー?」

顔を上げた柚木を見て「いや、なんでもない」と言葉を濁す柿内

「なんだよ」

タバコを灰皿に押し付けると杖を使ってキッチンへとやってくる柚木

「・・・油、危ねぇから」
「何?」
「・・・足とか、どう・・・なの」
「はぁ?」
「いや、だからっ・・・っ・・・痛みとか!そろそろあんたに触っていいのかっつーか」
「え?」

柚木が目を大きく開ける

それは驚いて。柿内から言われると思わなかった言葉だから

「え・・・ってなんだよ。嫌ならイイっつーの。忘れろ」
「や、イヤっつーか・・・お前、まだオレとしたいの?」
「は?」

恋人に触れたいと思うのは普通ではないのか。それとも、もう柚木は自分を恋人と思ってないのかと眉を顰めた

「あ・・・だって、オレもうお前の好きっつってたオレじゃないし、体だってこんなだし・・・や、でもそうか。柿内、ガリってるのが好きなんだよな。よし。イイよ!こんな体でお前満足できるならヤろう!」
「・・・ふざけんなよ」
「あ?」
「オレの好きを勝手に決めんな!あんたの体目当てとか言われんの腹立つ。もういい。あんたが嫌なら忘れろって言ってんだろ。無理にしてぇとかじゃねぇっつーの!メシ作ってるから座ってろ」

柿内が柚木から目を反らす様にキッチンでの作業を進め出して柚木も目を伏せると先程までいたソファに戻る

柿内は罪悪感でずっと傍にいるのだと思っていた。走り回って、みんなから頼りにされる、泳ぐのに真剣な自分が好きでもうどれも出来ない自分がまだ柿内に想われていて、そういう対象になっているなんて思っていなくて・・・

柚木は机の上を片付けるとキッチンに立つ柿内を見つめる

好かれているのか。こんな自分でも・・・そう思うとじわじわ胸が熱くなる気がした。柚木だって気持ちがないわけじゃない。もう嫌われてしまえばいい。そう思っていてもずっと嫌な顔もしないで付き合ってくれる柿内のことが好きなのだから





柿内が作った夕食が湯気を立てて並ぶ。柿内も座って手を合わせると無言の夕食が始まった

「・・・柿内」
「あ?あー、ソースもっといる?」

差し出したソースを首を振って拒否すると立ち上がって柿内の隣へ座る

「なんだよ」
「・・・したいのか?」
「・・・忘れろって言った」
「違ぇよ。聞いてんの」

柚木の見上げてくる瞳が熱を持った様な熱い視線で柿内は目を反らす

「その顔、勘違いしそうだから」
「勘違いじゃない」
「・・・オレ、あんたのこと同情とかしてねぇから。好きになるきっかけと今好きな気持ちはまた別でもうあんたのどこが好きとか上手く言えねぇけど好きで一緒にいんだよ」
「柿内」
「メシ、冷めるぞ」
「食うよ。でもお前の隣がいい。お前の体温感じたままがいい」
「っ・・・煽るの上手いよな。相変わらず」

柿内は箸を置くと柚木の脇に腕を入れて支えながら立ち上がりソファへと座らせて自分も隣へ腰を下ろす

「柿内」
「ん?」
「オレがこうやって甘えるとお前なんかいつも以上に優しく甘くなる」
「うっせぇ!好きな奴に甘えられて嬉しいに決まってんだろ」
「ん・・・好きなんだな」
「・・・好きだ」

そこからは相変わらず無言の食卓になったけれど先程とは空気が全く違うものになったのを2人とも感じていた







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