青春はプールの中で12-17 - 02/28 Wed
もともと柿内は本人もはっきりとは気付いていないが愛情に飢えた男だった
家族からの愛が欲しくて頑張っても望んだように貰えないことが判ると次第に尖っていった心。友情も愛情も欲しいなんて望んだところで自分が望むようには手に入らない。ならば最初から望みたくない。そう思って悪くなっていく態度と口調
恋心を抱きそうになると自らそれを破壊した。拒絶が怖くて、仲良くなることさえも怖がり、人を寄せ付けないように
そして高校で出逢った体が小さく大きな男。いつもの態度だったのに受け入れてくれて、好きになんてなるわけがないと思っていた人へいつのまにか恋をしていた。やっぱり拒絶は怖かったけれど初めて止まらない衝動というものを知ってしまった。もっともっと近付きたい・・・そう望み、その通りになった。仲の良い後輩という立場。それ以上を望むのは贅沢だと思いつつも止められなかった想い
初めてまともに恋をした。それまでにふとした瞬間に好きだと感じていた感情なんてまるで偽物に感じる程の恋心
叶うわけがない。そのつもりだったのにそれまでも受け入れられて憧れて柚木のようになりたいと、皆を甘やかし、頼られるような男になりたいと望んだ
人を甘やかし、自分は誰にも甘えない。そんな男を甘やかしたくて甘やかし、愛情を注ぎ、愛情をもらった
嬉しくて幸せな日々
柚木と接し、付き合うと増えていった友人。受け入れてくれる人間がいるという幸せを知った
柚木と出逢ったからこそ出逢い、仲を深めることができた友人たち。柿内を優しく包んでくれ、自分も息子の1人だと言ってくれた柚木の家族。全て、柚木のお陰だと思っている
こんな幸せを与えてもらえたのだから彼の望む幸せのためならば身を引ける。そう思って迎えた終結
残ったのは愛に飢えた男だけ。愛が欲しくて愛をもらった日々を思い出す男だけ
「・・・っ・・・」
包丁を持っていた手を止めて頭を抱える
忘れなきゃいけないのに忘れたいのに頭に浮かぶのは柚木の姿ばかり
柚木の体温、柚木の香り、柚木の感触
鮮明に覚えている。柚木しか知らないから。柚木だけだったから
新しい恋でもしなければダメだ。そう同僚に言われた。忘れられないのはそれだけ真剣だったのだからきっと次の恋だって真剣になれる・・・と
けれど踏み出せる気がしない・・・
そう思うのに人を甘やかし、もっと求められたいという欲求
求められたい。こんな自分でも求めてくれる人がいる。そう思いたくて
そんな中、栗山からの告白は心が動いた。甘やかして欲しい。そう言われて久々に心が動く感覚を感じたのに、こうして思い浮かぶのは柚木のことばかり
比べているわけじゃない。栗山のことも甘やかしたい。それは本当なのに柚木じゃないことに違和感を感じてしまう
「会いてぇ・・・」
恋人としてじゃなくても。友達として、こんな時柚木に会って相談したり、相談されたりしたかった
「柚木さん」
今何をしているのか。どこにいるのか
知りたい。声を聞きたい。話したい。顔を見たい
終わったのに。終わらせたのに

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家族からの愛が欲しくて頑張っても望んだように貰えないことが判ると次第に尖っていった心。友情も愛情も欲しいなんて望んだところで自分が望むようには手に入らない。ならば最初から望みたくない。そう思って悪くなっていく態度と口調
恋心を抱きそうになると自らそれを破壊した。拒絶が怖くて、仲良くなることさえも怖がり、人を寄せ付けないように
そして高校で出逢った体が小さく大きな男。いつもの態度だったのに受け入れてくれて、好きになんてなるわけがないと思っていた人へいつのまにか恋をしていた。やっぱり拒絶は怖かったけれど初めて止まらない衝動というものを知ってしまった。もっともっと近付きたい・・・そう望み、その通りになった。仲の良い後輩という立場。それ以上を望むのは贅沢だと思いつつも止められなかった想い
初めてまともに恋をした。それまでにふとした瞬間に好きだと感じていた感情なんてまるで偽物に感じる程の恋心
叶うわけがない。そのつもりだったのにそれまでも受け入れられて憧れて柚木のようになりたいと、皆を甘やかし、頼られるような男になりたいと望んだ
人を甘やかし、自分は誰にも甘えない。そんな男を甘やかしたくて甘やかし、愛情を注ぎ、愛情をもらった
嬉しくて幸せな日々
柚木と接し、付き合うと増えていった友人。受け入れてくれる人間がいるという幸せを知った
柚木と出逢ったからこそ出逢い、仲を深めることができた友人たち。柿内を優しく包んでくれ、自分も息子の1人だと言ってくれた柚木の家族。全て、柚木のお陰だと思っている
こんな幸せを与えてもらえたのだから彼の望む幸せのためならば身を引ける。そう思って迎えた終結
残ったのは愛に飢えた男だけ。愛が欲しくて愛をもらった日々を思い出す男だけ
「・・・っ・・・」
包丁を持っていた手を止めて頭を抱える
忘れなきゃいけないのに忘れたいのに頭に浮かぶのは柚木の姿ばかり
柚木の体温、柚木の香り、柚木の感触
鮮明に覚えている。柚木しか知らないから。柚木だけだったから
新しい恋でもしなければダメだ。そう同僚に言われた。忘れられないのはそれだけ真剣だったのだからきっと次の恋だって真剣になれる・・・と
けれど踏み出せる気がしない・・・
そう思うのに人を甘やかし、もっと求められたいという欲求
求められたい。こんな自分でも求めてくれる人がいる。そう思いたくて
そんな中、栗山からの告白は心が動いた。甘やかして欲しい。そう言われて久々に心が動く感覚を感じたのに、こうして思い浮かぶのは柚木のことばかり
比べているわけじゃない。栗山のことも甘やかしたい。それは本当なのに柚木じゃないことに違和感を感じてしまう
「会いてぇ・・・」
恋人としてじゃなくても。友達として、こんな時柚木に会って相談したり、相談されたりしたかった
「柚木さん」
今何をしているのか。どこにいるのか
知りたい。声を聞きたい。話したい。顔を見たい
終わったのに。終わらせたのに

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