FC2ブログ

青春はプールの中で《番外編3》 - 08/31 Fri

trackback (-) | comment (2) | 青春はプールの中で 番外編
料理以外の家事はやれる人がやる。それは以前からのことで、苦にもなっていないこと。柚木は畳んだばかりの洗濯物を見て腕を組んで企みを思いついたような笑いを浮かべて立ち上がった







玄関の鍵を開けると呟くように「ただいま」と言いながら部屋へ入る
「ただいま」だなんて昔は言えなかった気がする。そもそも言う相手だって子どもの頃からいなかった。でも、柚木のおかげで習慣になった言葉
当然が当然のように出てくる。柚木のおかげ

「おっかえりー!」
「・・・ぶっ・・・ハハ!なんだよ!その格好」

「おかえり」と出てきた柚木が着てたのは柿内のジャージ。小さな柚木の体に大きすぎるジャージで柿内は思わず吹き出す

「・・・なんだよ。見て判んだろー?彼ジャーじゃんかー」
「彼ジャー?」

聞き慣れない言葉に首を傾げたが着ているジャージを見て納得する。彼氏のジャージ。か

「こないだグラビアでやってた」
「あー、萌え袖とかそういうやつな。あんたの場合、ただのぶかぶかで笑えるけど」

そもそも、それは彼女が少し大きめのジャージを着てるのがイイのであってただぶかぶかなのとはわけが違うのではないかと柿内は再び笑う

「なんか違ぇなってオレも思ったけど!でも笑うことないだろー」

柚木が精一杯考えたものだったのにただ笑われただけで悔しい

「っつかそこまで大きいってどうなんだよ」
「オレも着てみて体格差思い知らされて腹立った」
「バカか」
「うっせぇー!」

クシャクシャと髪を撫でる柿内の手を振り払うと手を離したズボンが膝下まで落ちる

「・・・」
「フハッ!手で押さえねぇと脱げるとかあんた・・・」
「うるさ・・・ん?」
「それ・・・オレの水着?」
「・・・2段仕込み・・・流石に水着は着るなって?悪かっ・・・お?」

柚木の姿を黙って見つめていた柿内は怒ったのかと思ったのにジャージを捲られながら抱き締められて驚き、そしてニヤリと笑う

「なんだー?これは良かったー?」
「・・・オレの妙な性癖色々目覚めさせんな」
「フハッ!ヤダねー!」
「どーしてくれんだよ。自分の水着ズラして触りてぇとかどんだけ変態だっつーの」

ポンポンと柿内の背中を叩くとそのまま胸に頭の重さを預ける

「ベッド行こー?」
「誘ってんのかよ!クソっ!」
「オレがなんでこんな格好してると思ったんだよ」
「笑わせるためかと」

顔を上げた柚木が「グラビア見て思いついたっつったじゃん」と悪戯っぽい顔を見せる

「クッソ。ホントあんたに一生勝てねぇ気がする」
「おう!オレに勝たなくていいー!お前後輩だからー!」

ベッドへ移動してジャージのファスナーを開けるとジャージとは違って伸縮性のある水着の隙間から手を入れる

「お前自分の水着汚すわけー?」
「・・・昔、ちょっと考えたことあったの思い出した」
「うわぁ!柿内くんへんたーいっ!」
「うっせぇ!」

悪態は吐くけれどそこに愛があるのを知っている。ずっとずっと判っている

「お前、なーんにも変わってないから!安心しろ」
「あ?」
「新たな性癖ー?んなの変わってないって」

いや、今、自分の大きすぎるジャージに自分の水着を身につけた柚木に性衝動を感じてるのは事実

いや、確かに高校時代、付き合うことになってから似たようなことを妄想したことはあったのだから変わってはいないのか

「お前の性癖ー、まぁ、頭おかしい気がするけど」
「ケンカ売ってんのか?あ?」
「お前の性癖、オレだって」
「あ?」
「だからー・・・柚木 流。お前の性癖は柚木 流」
「・・・」

ストンと腑に落ちる感覚。確かに全部柚木な気がする

「細いのが好きっつーのは元々のタイプなのかもだけどさー、オレのこの骨だらけの体とかーオレの匂いとかー?オレのシャツに欲情できんのってただの匂いフェチとかじゃなくてオレなんじゃない?」
「・・・クソ。ホント、あんたっ」
「好きだよ?紀行」
「っ・・・」

素直な言葉がすぐに出てくる柚木はやっぱり苦手。恥ずかしくていい年して、付き合ってもう長いのにいつだって舞い上がりそうになる

柚木の首元に顔を埋めて「オレも」と吐き出すのは柿内の成長。言わなくたって理解してくれているけれど言葉にすると嬉しい気持ちになるのを柿内も判っているから

「紀行ー」
「んー」
「オレの顔見ながら言えよー」
「うっせぇ!」

照れた柿内も可愛い。愛しい。大好き

グラビアの真似事なんてしないでも抱き締めてもらえる。愛してくれる。判っているけれどこんな風に新たな性癖を知ったと照れる柿内を、衝撃を受ける柿内も見たいから柚木はいつだって柿内を挑発する

「ズラし挿入したら流石に伸びそうじゃね?まぁ、そこら辺は夢があるのはオレもなんとなく判るけどさー」
「・・・」
「うわー!マジでやる気だったのかよー柿内くんへんたーいっ!」
「うっせぇよ!明日休みだろ!新しい水着買いに行くの付き合え!」
「ふはっ!オッケー!」

最初笑われただけで終わるのかと思ったけれど結果を見たら大成功じゃないか!と柚木は笑いながら柿内の暖かく、優しく触れてくる手に笑った







にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ


にほんブログ村


    ≫ read more
スポンサーサイト



アイスクイーンとの恋はホワイトアウト43 - 08/30 Thu

trackback (-) | comment (0) | その他SS
「で、何?ホントにオレと住みたいわけー?」
「いや、まぁ、なんていうか貴文引越したいって言ってたし」
「まぁそーだけど一緒に住みたいとは言ってないよー?それに今まで自由な一人暮らしだったから今更誰かとーってのもなーって。あ、ナナが嫌だとかじゃないんだけど」

だよねぇー!断られるの覚悟してたー!でも、正直1人でこの家賃、相当切り詰めて無理しないと借りられないし。だったら他を探せばいいって話かもだけどさー・・・うーん

あぁ、うん!そーだよ!未練たらたらだよ!諦めたけど諦めきれてないオレがいるよ!!!ほら!だってさ?だって寺島はそのうち海外じゃ?話によると半年後らしいじゃん?そしたらさ!そしたら・・・半年後に薫がやっぱりって来たら半年くらい切り詰めていけばオレの初任給でもギリギリ、ホントギリッギリやっていけんじゃないのー?みたいな

「もう契約しちゃってんの?」
「んー、契約するー・・・しに行ってくるー」
「するの?!もーナナホント諦め悪ーい」

あぁ、貴文にも言われたー判ってる!判ってんだよ!でもさーでもーでもぉぉぉ条件いいし今更手放すのもなーっていうのもあるしー

「・・・っていうかさー、ナナ、薫くんと旅行に行くー!春には付き合うー!同棲するー!とかなんとか言ってオレと連絡取らなくなったんじゃなかったっけー」
「う・・・だってさぁ!だって!」
「あはは!ごめーん!意地悪言っただけー!でも、ナナがそれだけ真剣ならさー、やっぱ諦めたくないよねー。オレよりもナナの方が真剣だー」

真剣・・・っていうのかなー

っつかなんでオレは諦められないわけ?もーはっきりフラれたじゃん。薫は好きな人と付き合えて、オレのことなんて忘れてるって。頭では理解してんのに判ってるのにダメだ。前に進めない。全然前に進めない

「貴文ー・・・オレと付き合って」
「ヤダー!慰めるだけ慰めて傷が癒えた頃にあ、別に好きじゃなかった!ってなったらオレがかわいそうー」
「そんなの」
「んー判んないかー。判んないよねぇ。ナナ鈍感だもんねぇー」
「鈍感って・・・優しくしてよ」

オレ、かなり凹んでる。寂しい。愛されたい

「オレ充分優しいよ?」
「もっと甘えたい」
「なーに可愛い子ぶってんのー!」

薫には言えなかったこと。でも甘えたい。優しくしてほしい。貴文になら言えるのはなんでかな。年上だから?ううん。多分カッコつけなくてもイイから

「ナナ優しすぎるんだよねー」
「うん。優しくするから貴文付き合って?」
「ヤーダ」
「大事にするから」
「うん。知ってる。でもオレは次はオレのこと好きな人と付き合うって決めてるから」
「そんなの・・・」

貴文のことだって好・・・?

なんででてこないの!なんでっ!なんでオレはっ!

薫には散々言えたのに!元々好きだとか軽いノリで言える方なのに!

「ナナはさ、本気だったんだよ。自分で思ってる以上に惚れてたの真剣だったの。だから、今は寂しくて悲しいかもだけど立ち直ったらまた新しく恋できると思う。本気で好きになれると思う」
「・・・」
「その時にさー、オレがイイってなったらその時はよろしくね?」
「貴文?」

どういう意味?だって貴文さっき嫌だって言ったじゃん。オレと付き合えないって言ったじゃん

薫のこと忘れて新しく恋?そんなの考えられない。忘れられるの?この痛み、忘れられるの?今こんな未練たらたらのオレが忘れられるの?

あー、うん。判ってる。時間はかかるかもだけど忘れるよね。忘れられる

大体、薫のことだって再会するまで忘れられてたんだから。あれだけ熱を上げてたって言うのに忘れてたんだから






にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ


にほんブログ村

    ≫ read more

アイスクイーンとの恋はホワイトアウト42 - 08/29 Wed

trackback (-) | comment (0) | その他SS
優しく頭を撫でてくれた寺島さんと別れてその足で七瀬さんの部屋に向かった僕は七瀬さんに言わなきゃいけないことを伝えてすぐ帰るつもりだった。でも、七瀬さんに抱き寄せられて僕のことをまるで愛しいみたいに包まれてすぐに跳ね除けられなかったんだ

僕は最低。そんなの知ってる。暗くてつまらなくて最低なんだ

七瀬さんを最後まで傷つけた。ルームシェアはそのままするつもりだった僕はホントに最低なんだって知った

七瀬さんへの言葉がそのまま返されるとは思わなかった。七瀬さんに今までどれだけ甘えていたのか初めて身に染みた

「ごめんなさい」

閉じた扉にそう言ったけど聞こえるわけがない。もっと詰られるべきだったんだ。僕は七瀬さんを傷つけた。傷付きたくないから傷つけた
七瀬さんの言葉の意味くらい判る。僕がずっと言ってた言葉。七瀬さんから離れたくないくせに付き合うのが怖くて言っていた言葉。僕が寺島さんと付き合えるだなんて思えないから、今だって信じられないから言っていた言葉。好きな人と付き合えるのがズルい。って自分でもよく判らない言葉
そんな僕の訳の分からない言葉で七瀬さん傷ついてたんだよ・・・僕は最低でイヤな人間。どうしようもない人間

あの部屋、2人で決めたあの部屋も僕のものじゃなくなったんだな。あ、部屋探さなきゃ。でもどうやって探せばいいの?僕ひとりじゃ判らない

旅行は?僕、バイト増やしてたけど旅行も行かない?行かない・・・よね。そもそも僕と行っても楽しくないだろうし

もう少しバイト代貯めて引っ越し資金にしよう

あと、七瀬さんに何か謝罪のもの送りたいけど何がいいの?僕からのもの、要らないかな。要らない・・・よね

あの部屋にはあの美人の人が・・・買ってたものもセンスが良さそうだったし。僕からのものなんて何ひとつ必要ないよね

あの部屋、七瀬さんと選んだのに・・・僕はひとりでまた部屋探さなきゃいけない・・・
ずっとひとりだった。だから大丈夫。誰も僕なんて気にしてない。誰も僕なんて気に掛けない。そんな存在なんだから






「・・・よし!じゃあオレが七瀬に言ってやる!」
「いや、やめて下さい」
「えー!だって薫とのルームシェア突然ナシにするとかあいつダメじゃん!」
「僕が悪いんで。それに、無理にルームシェアすることにしたって問題起きると思います」
「あー・・・んーーー!だよなぁぁぁーーーそれもそうだよなぁぁぁぁーーー」

部屋探し、どうしたらいいのか迷って結局、神崎さんを頼った。こういうこと得意そうだし、頼れるって言ったら神崎さんと寺島さん。でも、僕のくだらないことで寺島さんを困らせたくないから

「七瀬怒らせるとか薫何したわけー?相当じゃんー?」
「・・・」

寺島さんと付き合うことになったからだとは言えない

「七瀬と上手いこといけそうだったろー?サッカーでも息ぴったりだったし!」
「関係ないです」
「だーなぁー!でもこの時期に部屋かーイイトコもう押さえられてんぞー?ツテがないわけじゃないけど」
「大学通える範囲で今の家賃と変わらないならどこでもいいです」
「ダメでーす!治安とか色々心配でーす!」

いつまでも僕を子ども扱いする。2つしか変わらないっていうのに

「だーって薫ったらこーんなに美人なのに鈍感じゃーん?」
「どういう意味ですか」
「んーんー?薫は薫のままでいいよー!」

神崎さんはホント読めない人だ。僕に言われたくないって言われるかもしれないけど、僕の場合、ただ単純に捻くれてるだけ

「ただ、オレは七瀬ならいい奴だしオレらがいなくなっても薫を任せられると思ったのになーって」

任せるって何。僕は子どもじゃない。神崎さんと寺島さんがいなくなっても七瀬さんなしで生きていける。そう。僕は寺島さんに思い出貰ってるから。好きだよって言われたから







にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ


にほんブログ村



    ≫ read more

アイスクイーンとの恋はホワイトアウト41 - 08/28 Tue

trackback (-) | comment (0) | その他SS
「オレも好きだよ」

違うんだ。でも、嬉しくて頭を下げる

寺島さんに後輩のひとりとして好きって思ってもらえてるのが判っただけで、言葉にしてもらっただけで充分だよね

僕の人生じゃ欲張りなくらいだよね

「薫?」
「・・・?」
「泣いてるのか?」
「え・・・」

嬉しくて出た?!ヤバい。これじゃ、寺島さんを困らせる。この歳の男が泣いたってダサいだけ。カッコ悪いだけ

なのになんで止まらないの?なんで?次から次へと溢れてきて目にゴミが入ったって誤魔化せないくらい溢れてくる。ヤダ。嫌われる。絶対変な奴だって思われて嫌われてっ

・・・え・・・何?

なんで僕は今、人の体に抱き締められてるの?頭撫でてくるのは誰?

寺島さんがさっきまで隣にいて・・・そんなわけないのに!そんなハズないのに!寺島さんの匂いがするなんておかしい

「あーやっちゃったー。神崎さんにはナイショなー?」
「・・・」
「あのなー・・・薫の気持ち嬉しいけど付き合えるの留学行くまでだろー?そんな期間限定ってなぁ?」

意味が判らない

寺島さんの声なのに寺島さんの匂いなのに寺島さんが言うはずのない言葉で意味が判らない

付き合う?だって寺島さんには許嫁がいて。それは心に決めた彼女で・・・女の子から告白されても全部断ってた寺島さんが?女の子の話題になるとその場から離れてた寺島さんが?

誰?僕を抱き締めてるのは誰?

「ずっと知ってた。でも、気付かないふりしてた。ごめんな?」

そんなハズない。そんなハズあるわけない

「でもさー、協定破るわけにもいかなかったっていうかー」

なんで?なんで?どういうこと?意味が判らない。意味が全く判らない。寺島さんの言葉が急に外国語になったみたいに理解できないんだ。どうして?何を言っているの?

「あ、泣き止んだ?」
「・・・知ってたって?」
「いや、知ってたっつーかそうなのかなーそうなのかもなーそうだったらいいなーくらいの」
「・・・」
「神崎さんは絶対自分だって言ってたけど、オレだろ?」
「・・・なんで」

僕そんなにわかりやすいの?あぁ、そうだ。七瀬さんにもバレたくらいだもん。判りやすいのか。じゃあ、揶揄われてる?男に恋してるんだって・・・でも寺島さんがそんなこと・・・神崎さんも少し茶化しても揶揄ったりしない。寺島さんは絶対にそんなことしない。茶化すことも揶揄ったりすることも騙したりすることも・・・

「僕は・・・」

思い出でも過ちでもなんでもいい。寺島さんが僕を求めてくれたっていうひとつでもあればこれから我慢できる。きっと寺島さんの思い出だけで大丈夫。期間限定なら失うって心の準備もできる。だって、何もしなくても遠く行って離れちゃうんだから思い出ができるなら。僕の人生でたった1度でもそんな思い出ができるなら。辛くない思い出が作れるなら

僕に勇気を下さい。一生分の勇気を

最初で最後の告白だから

「留学までの時間、下さい」
「・・・いいよ」

許嫁いるのに?こんな軽いの寺島さんじゃない。でも、僕は思い出が欲しい。寺島さんとの想い出が欲しい

縋ってもイイですか?寺島さんの同情っていう優しい感情に縋ってもイイですか?僕の想い出作りのために寺島さんに、ずっとずっと好きだった寺島さんに縋ってもイイですか?







にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ


にほんブログ村

    ≫ read more

アイスクイーンとの恋はホワイトアウト40 - 08/27 Mon

trackback (-) | comment (0) | その他SS
神崎さんと寺島さんと他にも数名神崎さんと仲の良かった人たちに連れられて2次会へ向かった僕

行きたくはなかった。でも、神崎さんに言われたら選択肢なんてなくなる。神崎さんに誘われるのは寺島さんから誘われるのと同じくらい嬉しい。だって神崎さんみたいにすごい人に構って貰えるって嬉しいから
だから、神崎さんに言われたら僕は予定があってもできるだけ言うことを聞く。その通りにする

「薫、大丈夫?」
「ぇ」

僕はつまらなさそうな顔していたのだろうか。寺島さんが心配そうに顔を覗いてきて思わず顔を背けてしまう。神崎さんも寺島さんもいなくなる。そんなの今日まで聞いてなかった。僕は何度も一緒に遊んだのに構ってもらってたつもりなのに僕は初耳だった。そのことが寂しくて寺島さんの顔をまともにみることができない

「言えなくて悪かった」
「・・・別に僕は」
「神崎さんに口止めされててさ」

サプライズでもしたかった?でも、今日このために集まったみんなは聞いてたんでしょ?僕なんてただの後輩以下。こうやって誘ってくれたり声掛けてくれたりするけど僕じゃなくたってイイんだ。たまたま近くの大学だからって程度なんだ。きっと

「オレ、そろそろ抜けようって思うけど薫も一緒に帰る?」
「・・・はい」

みんな楽しそうに笑ってる。僕がいない方がきっと楽しいハズ。なんで僕は暗いんだろう。なんで僕はみんなみたいに笑えないんだろう。楽しいことのひとつも話せないんだろう。なんでつまらない人間なんだろう

「神崎さん、お先にっス」
「えー!なんだよ!寺島帰んのー?!っつか薫もー?!ないわー!ないないー!オレのガーディアンとクイーンが帰るとかムーリー!」
「いや、そのノリまじオレらにキツいんで」
「寺島ぁぁぁぁー!」

駄々をこねる子どもみたいな神崎さんを周りが宥めるのを見ながら僕らは店を出て歩き始めた。駅から離れた店。人通りも少ない時間

この世界に僕たちだけ。なんてこと考えると少し幸せになるのは秘密

「薫ー、さっき言ってたのマジだから」

何を言われたんだったか・・・僕は寺島さんに何を?

「サッカー。また始めろよ。部活に捉われなくていいから。好きなチーム所属してやり込めよ」
「いや・・・僕は」
「神崎さん卒業してからも薫はあの中でズバ抜けてた」
「それは」
「オレが卒業してもお前の噂聞こえてた」
「・・・」

だって僕は友達もいないから。強くないとまたいじめられるかもしれないから

「今日、オレらがいないチームでもやっぱり上手かった」
「・・・でも」

あ・・・寺島さんの手、大きな手あったかい。頭を撫でられると気持ちいい

「就職、地元戻るならあの高校、コーチ探してるよ?」

首を振る。戻っても寺島さんも神崎さんもいない。戻る意味なんてない

そう。もう意味なんてない

僕はこれからどうしたらいいんだろう。神崎さんと寺島さんがいないと僕は、僕は誰にも求められなくて構ってもらえない道端の石で気が向いた誰かに蹴られるだけの石っころ

七瀬さん?七瀬さんと付き合うって話になってるけどいつまで?寺島さんたちみたいに急にいなくなるんじゃないの?

「薫、戻れよ。オレはお前が頑張ってるの見たいよ」
「寺島さんは・・・」
「うん」
「海外行くなら見てくれないじゃないですか」
「そんなこと」
「それじゃ意味ないんで」
「いや、オレじゃなくたって」
「寺島さんじゃなきゃ・・・や、なんでも・・・」

その時、不意に七瀬さんとの賭けを思い出した。寺島さんに告白?あぁ、でもどうせ居なくなっちゃうんだ。会えなくなっちゃうんだ

「・・・僕、ぁの・・・僕っ」

夜風が僕らの間を通って僕はその風に乗せて小さく長年抱えて来た気持ちを吐き出した






にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ


にほんブログ村

    ≫ read more

アイスクイーンとの恋はホワイトアウト39 - 08/26 Sun

trackback (-) | comment (0) | その他SS
オレの苦しみなんて隠しちゃえばいつも通りふざけて騒いでの飲み会。帰れば騒いだ分静かな部屋が待っている

「はぁ」

薫は神崎たちと消えた。まぁ、それも予想通り。じゃあオレも!って沢村誘ったのに「明日朝イチでバイト」とか言われて振られたオレー!超寂しい。部屋に帰りたくないから他の奴らが遊びに行くってのに付いてったけどそこまで仲良いやつらじゃなかったし普通にバイバイして帰ってきたらこの静けさったらー!あー!静かすぎるー!!!こんな静かだと色々考えちゃうじゃん

薫のこととか

薫のこととか

薫のことーーー!!!

ゴールは決めた。はっきり言ってこのために頑張ってきたじゃん?んで、色々妄想してきた。まぁ、無理だろうって思ってたことが現実に起こってパニックになってんだろうけどこれで付き合うっつーのはどーかなっていうね。いや!付き合いたい!でも、それ、無理強いっぽいしさ・・・

オレ、どーしたいわけ?薫がこれからどうしたいのかも判らないけど自分がどうしたいのかもわかんなくなってきた

そういえば薫は神崎たちといなくなったけど告白どーすんだろ。もし、もし、寺島に告白して振られて凹んでたらやっぱり慰めて!とか来るのかなー

あ、それめっちゃ可愛くない?んで、おいしいよね!

慰めるオレ!凹む薫!七瀬さん優しい!好きーーー!

ってほらもー何これ最高じゃん?これが1番なんじゃん?

トントン・・・

控えめなノック。これねー、騒いでる時だったりテレビつけてたりゲームしてたら気付かないと思うんだー。でーもー!オレは判りますー!薫だもん!薫だもーん!

ってこのドア開けたらオレの妄想現実になるかもー?!なるかもなるかもー!!!ってヤバいよね。こんなこと、望んじゃダメなのに期待しちゃダメなのにドキドキ期待しちゃってる。薫が不幸になるのを期待してドキドキしちゃってる

「ぁ・・・いたんですか」

あれー?!もしかしてオレの邪魔になるようなら帰ろうと思っていつも控えめなノック?!もしかしてオレが気付かなかったこともあったりすんのかなー・・・なんて勿体ないー!

「いたよ。お疲れー!」
「・・・僕・・・」

あぁ、薫。傷心の薫ぅぅぅーーー!腕を掴んで引き寄せて抱きしめてやると背中に回って来る手。あー、ヤバい。慰めてあげるからこのままオレのになって?

「七瀬さん・・・」

上目遣い最高だよねー!あー薫より少しでも背が高くてよかった!
潤んだ瞳に引き寄せられるようにキスを落とす

「・・・ぁ・・・っき・・・合うんですか?」
「薫はイヤ?ホントにイヤなら突き飛ばして?」
「っ・・・七瀬、さんっ」

困らせてる?困らせてるよねー判ってるけどさー・・・判ってるけどぉーーー

「・・・付き合えません」
「ぇ・・・でもっ」
「七瀬さんはっ!七瀬さんは・・・得点したし、凄かったと思いますけど」

じゃあこの背中に回された手は何?!薫オレのこと好きじゃん。賭けをナシにしよっかって言った時ナシにしないって言ったの薫じゃん

「それは、好きな人と付き合えるのがオレだけでズルいってまだ言うの?オレじゃダメ?どうしても?」

オレ、しつこい?迷惑?困らせてるのは判ってるけどホントにイヤなら背中に腕回さないでしょ

「・・・寺島さんに告白、しました」
「あ、うん。そっか・・・じゃあ」

小さく頷いた薫。問題なくない?彼女がいる寺島にちゃんとフラれて、その寺島はそのうち留学に行く。寂しいのオレで少しは埋まらない?

「・・・付き合って・・・もらえるそうです」

耳の奥で高い音がする。キーンって音。他の音が聞こえない。薫が今話ししてるのかも判らない

何?寺島が付き合うって?

最悪のパターン

想像してなかった。いや、拒んでた。オレがゴール決めて薫がノーゴール。告白した薫がOKされて、付き合える権利を得たハズのオレがそれを拒否される

「・・・僕、でも、僕・・・どうしたら」

手を離す。諦めつくじゃん。これで。これで諦められるじゃん

今までもフラれてきたけどホントにフラれたんだよ

「七瀬さん?」
「・・・なーにしてんだよ!薫ー!じゃあ背中に手なんか回しちゃダメだって!」
「七瀬さんっ」
「よかったじゃん!な?!薫ー!じゃあ春からの同居もナシにしよ!元セフレとルームメイトだなんて寺島に悪いじゃんか!」
「ぇ・・・でも」
「まぁ、更新しなかったから部屋は新たに探さなきゃかもだけど寺島のところでゆっくり探すってのも手じゃん?」

何を話してる?オレにも判らない。でも、口が勝手に動いて話ししてる。自分がこれ以上傷付かないように明るく平気なフリしてる
ずっとオレが得意だったこと。でも、薫に対してしたことなかったこと。する必要もなかったこと

「・・・七瀬さんは?」
「オレー?」
「あの部屋、押さえてる部屋」
「あー、まぁ、確かに1人じゃキッツイけど別に探すし!引っ越ししたいって言ってた貴文に聞いてみるってのも手だし!」
「・・・僕は」
「さ、ほら!帰りな?じゃないと襲っちゃうぞー!」

ポンポンと背中を押すとドアを開いてまだ何か言いたげな薫を外へ追い出す

「七瀬さん」
「・・・でも、薫ズルイよね」
「ぇ」
「好きな人と付き合えるんだもんね」

ドアが閉まると最後に言った言葉がどれだけ最低で薫を傷つけるのか考えて頭を抱えながら長い溜息を吐き出した








にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ


にほんブログ村

    ≫ read more

アイスクイーンとの恋はホワイトアウト38 - 08/25 Sat

trackback (-) | comment (0) | その他SS
プラスに考えればさ、邪魔者がいなくなって晴れて春から同棲生活!だよ。でも、薫の大好きな神崎と寺島が2人ともいなくなるって、それ、薫にはすごい辛い、キツイことでしょ
だって、逆に考えたらすっげぇキッツいもん。薫が急に海外行っちゃったらとか・・・あぁ、マジで凹む。想像だけで凹める。だから薫、相当なダメージだよね

「七瀬なんか静かじゃね?」
「ぅえ?!オレ?!」

やっばいっ!オレってば薫のことばっか気にし過ぎてた?!

「あー!あれだ?自分だけゴール決められたとか余韻に浸ってたとか?」
「いや、そういうわけじゃ・・・まぁ、そうだけど」
「ふはっ!やっぱ!!!」

危ない危ない。でも誤魔化せたよね?

「七瀬もっと早くに連絡くれてりゃお前ともっと試合できるように仕向けられたのになんだよー」
「いや、オレととかなんだよそれ」
「七瀬、自分が思ってるよりかなり上手いの判ってないもん」

うわぁぁぁー神崎の余裕さったら!オレを褒める余裕がある男!やっぱかっこいいやつは違うよなー

「上手くてもやる気ないっていうか諦めちゃう奴多すぎー!そこのアイスクイーンとかさー」「僕に話振らないで下さい」
「あ、でも確かに薫すっげぇ上手かったの思い出した!」
「あぁ、上手かった!っつか七瀬のゴールもアイスクイーンのおかげだろ?」
「その名前、広めないでください」

薫ったらー照れてるよー!これっ!超照れてるー!薫が覚えてないだろう奴らからも褒められて照れてるぅー可愛い。照れて悪態吐いちゃうところも可愛いーっ

「薫上手いだろー?オレのアシストなくたって上手いの判ったー?自信持てよぉー!残りの大学生活サッカーに捧げろよぉー」
「僕のところ弱いんで」
「だーからぁぁぁ」
「無理に言ったって薫は聞かないですよ。でも、ホント勿体ない。高校の時はもっとサッカー打ち込んでただろ?」
「・・・他にやることもなかったんで」

神崎と寺島が近くにいる時の薫はホント幸せそう。楽しそう。それを見てて苦しい。すごく苦しい。神崎と寺島がいなくなったって薫が今の表情をオレに向けてくれるわけじゃないって思ったら苦しくて悲しくて切なくて・・・

賭けに勝ったって薫がオレを好きだって結局薫はオレのものにならない事実を突きつけられているみたいでただただ虚しくなってきた

そうだよね。オレのことも好き。それがオレの思い込みだけじゃなくて事実でもあの2人に向けてる表情はあの2人への表情で、オレへの態度も表情もきっと変わらない。今まで変わらなかったのと同じように変わらないんだ







にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ


にほんブログ村

    ≫ read more

アイスクイーンとの恋はホワイトアウト37 - 08/24 Fri

trackback (-) | comment (0) | その他SS
突然皆のわぁぁぁって声が聞こえて何が起こったのか判らなかったけど、その声に脳も理解し始めた

「七瀬っ!」
「七瀬ぇぇ!!!」

あ、マジで?いや、マジで?オレ、今ゴール決めちゃった?!

寺島から?
あのガーディアンって呼ばれる寺島から?

そう!寺島からっ!!!

薫を振り返ると小さく笑って頷く薫にガッツポーズを決めたオレ。今の「うん」は付き合いましょうな「うん」だよね?!判りましたの「うん」だよね!

「よっしゃぁぁぁぁーーー!!!」

みんなはゴール決めたオレの雄叫びだと思ったかもだけど違うから。寺島からゴール決めたオレは薫と付き合って貰えるんだっていう喜びの雄叫びだからっ!そこんとこ誰も判らないだろうけど大事だから。重要だからっ!

そんでボール持って戻ったところでセットしたアラームの音

試合終了。うっわーギリギリだー!でも決めたー!負けたけど!完敗だけどー!でも試合に勝つとかそんな約束じゃないもーん!寺島からゴール決められたら付き合って貰えるんだもーん!うっひゃひゃー!

「お疲れー!っつかまーさか七瀬に決められるとかー!寺島もショックだよなぁー」
「いや、七瀬さんがあそこで突っ込んでくるの判ったのに止められたなかったのは七瀬さんの実力でしょ」

いやぁー照れるぅー。寺島にそんなこと・・・いや、待って。超浮かれてたけど薫は結局ノーゴールだ。っつか、今オレが入れたのがオレたちの初得点だからね
まぁ、そんぐらいの実力の差があったっていう話

「薫ぅー!お前そっちに行かせたのオレらの味方してワザとゴール決めさせないようにしてくれるかもーって思ったからなのにー!」
「あぁ、戦力外通知かって思ってましたけど違ったんですか」
「なーんで可愛い可愛いお前に戦力外なんて出すと思うんだよー!」
「戦力外だって思われたの悔しいんで必死になっちゃいましたけど」

悔しくてあんなにギラギラした顔でゴール向かってたの?賭けのことはナシで。あ、だよね。だったらゴール前でオレにボール託すなんてないよねー。自分でゴール決めるよねー

あそこで突っ込ませたんだからオレと付き合うって賭けとか忘れてたよねー。いやいや。でも頷いたじゃん?あれはー?あ、もしかしてよく決めた!的な「うん」だった?!マジでー?いや、賭けは賭けですからね!付き合ってもらいますよ!




「あー楽しかったー!みんなオレのわがまま付き合ってくれてありがとなー!」

クラブハウスに移動して持ち込んだ飲み物とかつまみで乾杯する
あーホント神崎いいなー。オレも人望欲しいなー

「もう伝えて知ってる奴もいるけど、オレ、春から海外勤務だからさー!3年は帰って来られないらしいし、その間、こいつが留学する見送りもなーんにも参加できないのが寂しいからさ。オレが海外行ってる間はみんな結婚とかすんなよ?!日本帰ってきてからオレ呼んで結婚式して!!!」

・・・海外勤務?留学?神崎から初めて聞く話に目を丸くしたまま配られた飲み物を飲むことも忘れて固まってしまう

神崎は海外勤務。で、寺島は留学?どこに?留学って何だっけ?寺島も外国行くってこと?薫はどーすんの?だって・・・薫は・・・







にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ


にほんブログ村


    ≫ read more

アイスクイーンとの恋はホワイトアウト36 - 08/23 Thu

trackback (-) | comment (0) | その他SS
戦略を立てる。っつってもそんな大したものじゃないんだけど。でも、でもね、戦略立てる前に薫に声掛けられたんだ

「七瀬さん」
「お?おう?」
「ボール、僕に回してください。僕が決めますから」

痺れるーーーっ!!!カッコいいよカッコいいーー!かーおーるーーー!!!超カッコイイっしょ?!よし。なんとしても寺島からゴール奪って得点してやるって思うよね!

「リョーカイっ」

薫も必死なのかな。オレとの賭けのために・・・薫、あの寺島からゴール決めなきゃ告白とかさ!オレなんて酷な約束しちゃったのかなー。オレ?オレは最初から付き合ってもらえてないしゴール決められたらラッキーくらいの・・・いやいや、決めるよ?決める。そんで薫と付き合う!まぁ、そんなことがあったから薫中心で行くっつーのが戦略。アイスクイーンの力覚えてた奴らはまぁ、敵だけど今回は味方だから反対もしなかった

試合開始。ぶわって緊張感を感じる。そのイイ感じの緊張感、誰からかってのはすぐ判った

薫。薫だ

すっげぇ今あの時のアイスクイーンの表情。ヤバい。超かっこいい。超かわいい。超美人!!!

なんていうの?凛々しい?そんな感じ。勝負挑む男の顔。クッソ!カッコいいよ!薫!オレがあの時恋に落ちたあの瞬間の顔してる!あぁ、そうだよ。初恋のあのドキドキ。今思い出してる。今でもずっと好きでドキドキしてるけどあのときは違うドキドキだったよね。初めて恋に落ちたのはこの薫へだった

ピリピリと伝わる緊張感。傍に居るだけで伝わってくる熱量。あぁ、オレは何度同じ人に惚れるんだろう。薫以外にこんな感情を揺さぶられることなんてなかった。初めてオレに恋を教えて熱くさせてくれた男。それがアイスクイーン

力対等にしたとかなんとか言ってたけど神崎のいるチームはやっぱ半端ないわけ。姉妹校だったけど力の差は歴然だったからまぁ、判ってたけどさ。開始3分で点数入れられちゃってるっていうね

それでもやっと奪えたボールを薫にパスすると薫の華麗なドリブルに息を飲む


みんな薫の姿に見惚れるようにして固まってた。うん。走ってはいる。みんな、走ってるけど薫に気持ち的に引き込まれてると思う。オレだけホント止まってるのかもだけど。いや!走らなきゃ!薫をアシストすんだから!

なんで薫、サッカー強いところ行かなかったわけー?もっともっとみんなを魅せるべきでしょ!


あっという間にゴール前まで上がった薫が寺島に小さく微笑んだのが見える。あーずりぃ。寺島に向けるその顔もオレのにしたい。悔しい。オレもゴールキーパーやればよかった!そしたらあの顔オレも向けてもらえたんじゃないのー?!

薫がゴールの右上を狙って蹴ったボールはギリギリで寺島のパンチングに防がれてしまう

「クソっ!惜しい!」
「ボールまだ生きてる!神崎さんに行かせない!走って!」

薫ー!冷静なその顔もステキーーー!!!

神崎、マジで感謝してるよ?お前の思いつきで学生最後にサッカーやりたいっていつものワガママだったのかもだけど、オレはこんな風に薫のサッカーしてる姿また見ることができたのは神崎のおかげだから。もうまともにやって来なかったの後悔するほどもっともっとサッカーやっていたいって思った。まともにやって薫も誘って試合することがあったら最高だったはず。最高にカッコよくて美しい薫の姿。惚れるに決まってんじゃん。付き合おう!オレは薫でもゴールできなかったあのガーディアンのいる場所にボールを蹴り込んでやるんだ!






にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ


にほんブログ村

    ≫ read more

アイスクイーンとの恋はホワイトアウト35 - 08/22 Wed

trackback (-) | comment (0) | その他SS
当日、集まった久々の面々に懐かしさを感じたけどそんなセンチメンタルな気分は神崎の集めた人数を見て吹き飛んだ

こっちは地元だよ?もっと集められるはずじゃん?確かに県外行ってる奴らもいるけど地元なのになーのにーーーー地元じゃないあいつらのが人数多いってなんなの?サッカーやるぞって声掛けるだけでそんなに集められるの?地元から集めるって最初に聞いてたけどこんなに?神崎の卒業旅行代わりって言ったらみんな来るの?!それともこんな数こっちの大学来てんの?!いやいや、いやいや・・・なんで?やっぱり神崎の人望?!イケメンだからとかそれだけじゃないでしょ。これ。キングの名に恥じない神崎に言いようもない嫉妬を感じてしまう

「うぃーっすー!七瀬ぇー」
「あぁ。すごいな。そっち」
「んー?あぁ!だろ?でも七瀬もオレの無茶振りの急な招集にしては頑張ってくれたな!ありがと!」

嫌味か!嫌味だよな?!

いや、神崎だから嫌味じゃないんだな。きっと。悔しい。羨ましい。カッコイイ

神崎は人を羨ましいって思うことあんのかなー。少なくともオレを羨ましいとか思わないんだろうなーあー凹むーーーっ!!!

「で!これメンバー表!」
「・・・いや、え?」
「ん?言ったろ?はっきり人数決まったら教えてって」
「言った・・・けど、これ」

好きな人の名前って名前の羅列の中ですぐに見つけられるよねー。なんかの特殊能力なんかなー
もらった紙に書かれた薫の名前、誰よりも早く見つけちゃった。みんなに配られたその紙に薫固まってんじゃん

「あー!寺島はやらないよー?そりゃー渡さなーい!そこだろ?七瀬ぇー」
「いや、そうじゃなくって」

寺島と対決できなきゃオレの賭けの意味もないし寺島からゴール奪うために一応オレ頑張って走ったり1人ボール蹴り込んだりしたんだし!そこはどーだっていいさ。でも薫は・・・あ、賭け・・・

薫がノーゴールだったら寺島に告白・・・寺島からゴールできなきゃとかいきなりハードルが超上がっちゃうじゃん。オレ、別に薫に告白させたいわけじゃない

そりゃー吹っ切れるなら告白もいいーとか思ったのは事実だけど!っていうかそもそもあれは薫のやる気を上げるための賭けっていうかー

「薫」
「・・・同じチームみたいですね。よろしくお願いします」
「・・・あの、例のあれ!無しにしよう」

うん。やめだ!やめーーー!ただでさえ薫のテンション下がってんのにさー

「僕が寺島さんからゴールできないって思うんですか?」
「え・・・いや、だって」
「寺島さんだからやめようって?七瀬さんが怖気付いたんじゃないですか?だから理由つけてやめようって言い出したんじゃないですか?」
「はぁ?オレはっ!」
「勝ちたいでしょ?神崎さんに」

寺島じゃなくて神崎に。あー薫にもバレちゃってんのかなーオレの神崎への嫉妬心

「僕が勝たせてあげますよ」
「・・・言ってくれるじゃん。アイスクイーン!」
「ホントそれやめて」

薫、ショック受けてたんじゃないの?それどころか薫・・・すごいやる気。薫の周りの空気が変わったような気すらする

そうだ。やる気なさそうに見えて薫はサッカーには真剣だったよな






にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ


にほんブログ村



    ≫ read more