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つれないキミと売れてる僕12-42 - 11/06 Tue

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背筋が凍る気分だった。須野との関係がバレるのは致命的・・・須野は有名な人気俳優で、自分も名前が知れてる作家

近しい信用のおける友人にしかバレていないことなのに仕事で数回会っただけの得体の知れないこの男が簡単に判ってしまう程判りやすいのかと自分たちの軽率さを悔いる

「そうってなんだよ」
「待って!そんな警戒しないで!いや!大丈夫!誰にも言わない。山本さんにだって言わない!オレ、言わない!ホント!絶対!」
「・・・はぁ・・・違ぇ・・・ネットでもそうだけどどうしてオレと須野や葛西をお前らは皆くっつけたがるんだよ」

真剣なハルの目に里見は溜め息を吐き出す
言わない。そう言われたけれど、多分言わないのだろうけれど、やっぱり否定はしておきたくて

「・・・じゃあ須野 寛人の片想いなの?」
「あ?」
「・・・オレと須野 寛人、似てる気がして」

似てる?

顔なんて似ても似つかないし、タイプすら違う2人がどう似ているのかと首を傾げる
どちらかといえばハルの系統は自分寄りだと思う

「なんていうか、好きな人に全て捧げて尽くす感じが・・・なんか、うん。こないだ見ててさ、思っただけ・・・光くんに言われたこと嬉しそうにするところとか・・・なんていうか好きが溢れてたから」

判りやすいのは須野か・・・と思いながらそれでもハルの目の前ではセーブしていたはずなのにと思い返す

「オレねー、山本さんのことすっげぇ大好きなんだー」
「恋人になったばっかりかよ・・・そのうち飽きるっつーの」
「んーん?山本さんは最近本気の恋人ができてラブラブー」
「・・・」
「もーかれこれ10年・・・いや!嘘!10年どころじゃないや!えー!やばーい!オレそんな歳取ったー?!」

ハルの恋も10年以上なのだと聞いて須野との共通点を見つける

須野も10年以上里見に恋してきたから。里見に彼女がいた時もずっと思い続けてくれたから

「でもね、これからもきっと想い続けると思うんだー」
「・・・なんで」
「山本さんはオレに全部与えてくれたからオレは山本さんのなの!」
「・・・」

「里見は僕の全てなんだ。里見と出逢ってから初めて僕の時間は流れ始めたんだよ」そんな須野の言葉を思い出して須野とハルを重ねる

「山本さんはオレを救ってくれた人。ゴミみたいなオレを命懸けで救って名前も生きる術も全て与えてくれた人」
「命懸け・・・そりゃロマンティックなことだな」
「ロマンティックー?いやいやー血塗れにそんな要素あるかなぁー」
「スプラッタかよ」
「まぁ、オレ身体中にピアス開けられてたし?ケツも崩壊しそうだったし。山本さんは刺されるしー」
「・・・壮絶っつーのが正しいか・・・」

痛そうだとかそんな興味は湧かない代わりに里見は頭の中で勝手に組み立てられていくストーリーに集中し出す
狂愛。担当者に言われた狂愛・・・須野のようなあまりにも大きい愛。狂っているように見え、周りにはおかしいと後ろ指さされる程の愛・・・狂おしい愛
でも本人は至って普通に相手を愛しているだけ・・・おかしいだなんてこれっぽっちも思っていない

「光くん?」
「山本は恋人いるって?」
「ハハ・・・もしかして仕事モード?!そっか。いーよいーよー。山本さんはねぇ、この10数年、彼女もいたし別れたけど婚約者もいたし今は本命の彼氏ができたところ」
「・・・しかも彼氏かよ」
「そー!オレの事年下すぎるから無理って言ってたのにオレより年下の若い子!酷くない?!酷いよねー!」

それでもハルの表情は暗くはなくて何故そんな顔で話せるのかと疑問になったが、須野を思い出して「好きな人のことを話しているから」だと気付く
須野もそう・・・いつだって里見の話をするときはただ話をしているだけなのにどこか幸せそうだった

「ピアスが役立ったって?」
「山本さんの彼氏がさ、ストーカーに付きまとわれてたのをオレがこのピアスで誘って撃退ー!みたいな。他にもねー・・・」
「いいように使われてんじゃねぇか」
「え?」
「山本はお前の好意をいいように使って悪いヤツだろ。お前をヤったヤツらと何も変わらな」
「黙れ!」

ハルの言葉に里見は顔を上げる。当然、皆思うことだと思うのに、ハルがこんなに怒っているのは何故だろうか・・・あぁ、須野と同じだ。須野も里見のことを悪く言った者にわかりやすい敵対心を露わにする

「・・・なぁ」
「何?」
「そんだけ山本が好きなのな?」
「・・・好きだよ」
「でもやっぱ山本は嫌なヤツだ」
「光くん!それ以上言うならオレは」
「・・・オレと同じ。嫌なヤツだ」

里見はそう言ってソファに倒れこむ

須野が自分を好きなのを判っているから須野を悲しませ、苦しませる。須野に変えられてきたとは思うこの性格も根本的なところはやっぱり何も変わらない。変われない。須野はきっと想い続ける。こんな歪んだ自分を愛し続ける

「光くん」

体に重みを感じてハルが自分に跨っているのを退ける

「痛いー」
「勝手に何乗ってんだよ」
「なんか寂しそうだったから・・・山本さん、嫌な人じゃないよ?だから光くんも嫌な人なんかじゃないよ?」
「お前に何が判る」
「オレー?・・・んー、オレ、義務教育もまともに受けてないからさぁバカなんだけど、旅とかね、色んな人には触れて来たんだー。だから人を見る目はあるつもりっ!」

人を見る目・・・自分を嫌な人間じゃないだなんて言うんだから見る目ないんじゃないかと思いながら体を起こすとポンとハルの頭を撫でる

「お前をネタに書きたいけどやっぱ山本は悪いヤツみたいになってお前ブチ切れしそうだな」
「アハ!山本さんに会ったらぜーったい悪い人じゃないって判るってー!超カッコいいし優しいんだー!」
「・・・なぁ、これ、ちょっと引っ張ってみたい」
「・・・いいよ」

ハルの了承を得てリボンを掴むと軽く引く
同性だから言えたこと。これを女性に言ったならば、紐を引くことは了承したってそのあと見返りに求められるものが大きい気がして怖くてできないから・・・でも、同性のハルになら言えるし行動に移せる
引っ張られた分、ピアスで繋がった皮膚が伸び、ハルの甘い吐息が漏れる

「お前感じてんの?」
「だって・・・体がそう言う風に覚えちゃったから」
「お前はきっと黒も似合うな・・・」
「だよねぇ」
「こんな血みたいに赤いリボンだと、もっと酷ぇことしたくなる」
「ふふ・・・光くん、なんかねー、判ってたけど加虐趣味あるよねー」

クスクスと笑うハルに「ねぇよ」と呟いたが、虐めて震えるように泣き、懇願してくる須野の姿に興奮するのを思い出してハルの言葉が間違っていない気がした

「里見ぃー!里見!ただいま!・・・ご、め・・・ごめんっ!邪魔したっ!」

突然の声と扉が開く音で里見とハルは須野を見つめるが、2人の姿を見て慌てた様子ですぐに扉を閉めた須野に里見は掴んでいたリボンを離す

「あー・・・ヤバイね?」
「あ?」
「いや、彼、誤解したよね」
「何を」
「だってオレ半裸だよ?」
「・・・」
「光くん、確かにねー、光くんポーカーフェイス。でもさー、内心焦ってんの判るよ?」
「はぁ?」
「ほら、行って。やっぱり光くん嫌なヤツだなんて嘘じゃん!オレも帰るしさー!」

ポンと背中を押されて「はぁ。めんどくせぇ」と言いながら立ち上がる

「恋人じゃないだなんて可愛い嘘までついてさ。大好きじゃん?」
「っざけんな」
「アハハ!ホント可愛いー!」

ハルに再び背中をポンと叩かれて里見は部屋を出て行くハルを見送ると頭を掻きながら須野の部屋のドアを開いた









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つれないキミと売れてる僕12-41 - 11/05 Mon

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「なんか私服でここ来るの変な感じ」
「あぁ?」
「いや、仕事抜きで光くんと2人ってさ」
「葛西とは会ってんだろ」
「いやいや!じゃなくってさー・・・オレ、自分以外の他の男に美人って思ったの光くんが初めてなんだよねー。そんな美人と2人きりでピアス見せるとかなんか妙に緊張するっていうかさぁーあ!なんかこれ慎吾くんとは何の気も起こらないって話になる!?いや!違うよ!?っていうか光くんなら判るっしょ?!」

ハルを部屋に迎え入れたのは葛西とのイベントがトントン拍子に進み、プレイベントの日程や招待者が決まりつつあった頃。ハルがここへ来たのは仕事じゃない。例の約束のため

背中のコルセットピアスを見せてもらう約束。そして、ハルの話を聞くため

里見の次の小説のネタになるかは判らないけれ世界を広げたくて
身近にいる狂った愛はもう書きつくしたはず。須野だったらこうする・・・そんな話はもうこれ以上思いつかないから

「あー・・・まぁ、オレは特別に美しい存在だからな」
「強気ぃー!でもうん。判る!でもさ、今まではもっと美しかった。違う?」
「・・・なんだよ。それ」

キズのことを言っているのかとメガネを押し上げる

「あぁ、そのキズじゃなくってさ!」

見てもいないのに知っているのかと里見は唇を噛む

「オレも美人じゃん?」
「あ?」
「あれー?ヤダ!自意識過剰ってやつ?マジかぁ・・・若さが足りなくなってる分もー美人とか自分で言うなってことかー。あーヤバい!年取るの怖いー!光くんどうやってアンチエイジングしてんの!?」
「いや・・・まぁ、お前も美人ではあるだろうな」
「あ、でしょー?!ありがとー!」

微笑んだハルは確かに美しくて首元が空いたシャツから覗く編み上げたリボンも色気のあるものだった

「オレはこの体に自信持ってる」
「・・・」
「アハ。これね、同級生が制服着てる頃?レイプされて暴力振るわれたときにあちこちに開けられたものなんだよね」

そっとハルが自分の背中に手を伸ばし、触れながら微笑む

「ピアスってさー、定着しにくい場所っていうのがあるわけー。どこにでも開ければいいってもんじゃなくってさー・・・こんな背中だと引っ掛けたり取れちゃったり治り悪かったり。だから手入れめっちゃいるの。でも、オレは外さなかった。乳首とかのは外したのにねー。逆に乳首とかヘソとかのほうが背中よりは定着するハズなのにさー、今よりは色眼鏡で見られたりしなかったはずなのにねぇ・・・あ、乳首とかにも開けられてたの!合計いくつだったのか数えてもないけど、舌と背中は外さなかったんだー顔もなまえも覚えてないような奴らに開けられたものだけどこれを自分のものにしてやろう!みたいな?まぁ、判んないかもだけど」
「判んねぇ」
「だよねー!でも、これのおかげで山本さんを助けられたこともあったし、自分のものにして強みにできてよかったー!みたいな」

人に傷つけられた体を強みに?

「ね!光くん!ちょっとキズ見せて」
「はぁ?!」
「そしたらオレすぐにシャツ脱いで背中見せるから!っていうかさ、オレのほうがこれを傷口って例えるならえぐいし、そもそも結構あちこちキズあってもっとえぐいと思うよ?」
「・・・」
「ボタン2つ開ければいいから」

恭子が選び、葛西が血で汚れた洋服のお詫びと持ってきたシャツのボタンを外す

「まーたすごい位置だねぇ・・・まぁ、うん。ショックだっただろうけど完璧な位置じゃない?」
「・・・完璧?」

ハルの顔が嘘を吐いているようには見えなくて里見はキズに触れてくるハルの手を振り払わない。普段なら同性に触れられるなんて気持ちが悪いだけなのに・・・

ハルの完璧の意味を知りたくて。完璧だったものが完璧じゃなくなったはずのこのキズを完璧だと言う意味が判らなくて

「これだけシャツ開けて初めて見えるキズ。色っぽくない?」
「全然」
「いやいや!だって普段は見えないんだよ?美しい男のシャツ脱がせたらなんか判んないけど男らしいキズが見えるとかさ」

里見は想像する。女性の洋服を脱がせていき、脱がせて初めて傷が見える様子を・・・

「いや、萎えるな」
「萎えるとか!じゃあ、女の子想像してんならホクロとかは?」
「あ?」
「見えないところにあるホクロ」
「いや、ホクロとかオレには萌える要素ねぇし」
「光くん難しいー!」

里見の頭に突然須野との情景が思い出される

「何?里見ー?」
「お前、足の付け根、ここ、ホクロあんだな」
「えー?あー、そうだね。っていうかそんなところ凝視しないでっ!恥ずかしい!」
「恥ずかしい?お前がガッチガチに勃たせてるほうが恥ずかしいだろ」
「だって里見に見られてるっ!全部見られてるんだよ?!恥ずかしい・・・」
「恥ずかしい?てめぇはオレに見られて興奮する性癖っつーことだろ」

このホクロはきっと誰も知らないのだ。そう思ったら確かに興奮した。ホクロに興奮したんじゃなくて誰も知らない所を自分だけが見て知っているという興奮・・・あぁ、女の子を想像しても判らなかったことを須野を想像したら納得してしまうだなんて末期だ。と思いながらそれを口に出せるわけもなく唇を結ぶ

「まぁ、いいやー。じゃ、オレの番!」

バサリとシャツを脱ぎ捨てたハルは色っぽく背中を捻りながら見せる

「・・・触る?」
「あぁ」

そっとピアスと皮膚の継ぎ目に触れる

柔らかい肌に硬い金属。そしてハルの白い肌に映える真っ赤なリボン

「・・・お前はこれを武器にしてんだな」
「そうだね」
「・・・武器・・・っつーもんにもならねぇな。このキズじゃ」
「なるよ」

ハルが微笑んで手を伸ばし里見のキズにそっと触れる

「美しい男に男臭いキズ。ギャップがたまんなくセクシーだ・・・大体、これ、慎吾くんの奥さん守るためにできたキズでしょ?聞いたよー!っていうか慎吾くんってさ、光くんのコト大好きすぎだよねぇ?奥さん守ってくれたからとかじゃなくてその前からっしょ?!っていうかイケメンで親友の奥さんも守りますってなにその男気満載!みたいなやつ」
「・・・んな今、色気全開にしてるやつに言われてもなぁ」
「そんなオレだからこそ言えるのかもよ?」
「誘惑すんな。気持ち悪ぃ」
「そんなこと言ってーちょーっとはその気になってんじゃない?」
「ねぇよ」

須野が仕事でずっと家を空けているから欲求不満。それはあるけれど目の前にいるのは色気全開で里見も認める美しい人間。でも男だ。そう同じ男

いや、もうハルが女性でもその気は起こらないかもしれないけれど

「まぁ、オレと彼じゃ全然違うし食指も動かないかぁー」
「あ?」
「・・・だって・・・光くんと須野 寛人ってそうなんでしょ?」








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