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青春はプールの中で13-10 - 05/14 Mon

trackback (-) | comment (2) | 青春はプールの中で
身支度を整えた柿内が時計を見上げると「そろそろイイか」と立ち上がる

「買い物かー?」
「いや、不動産屋」
「・・・部屋探しか」

柿内が頷くとポケットに携帯を押し込む

「やっぱ部屋探すのな」
「まぁ、いつまでも世話になってるわけにもいかねぇし」
「それ、柚木さんは?」

部屋を出て鍵を閉めると首を振る

柚木には言っていない。でも、仕事も落ち着いて来たし、失恋の傷も癒えている
もう引き摺っていないかと問われればそれはまた別だったけれど

「目星はつけてんのかー?」
「まぁ、いくつかはなー。でも柚木さんの部屋立地条件良すぎてなかなかここだっつーの見つからねぇ」
「だよなぁ」

立地条件もだけれど、それ以上に柚木と暮らすことが大事なのではないかと思ったが、口に出すのは止める

「車あるし、駐車場も条件に入れるとやっぱ予算的にキツいっつーのもあんだよなー」
「場所は?」
「××駅辺り?」
「それ、瑞樹の住んでるとこ」
「マジかー・・・新井さんとこ近いと入り浸るだろ!あの人ーそれは厄介だよなぁー」

但馬は「そうなるかもね」と笑う
恋人が柿内の部屋に入り浸ることを考えても嫉妬ではなく、どこか柿内に同情してしまうのは柿内を信用しているから

「でもさー、柿内ー」
「あー?」
「瑞樹が入り浸るのもあるけど、柚木さんの部屋から結構離れるよ?」
「・・・だから?」

目当ての不動産屋に入る直前、そう聞いて来た但馬に柿内は足を止める

「いや?ただ事実を言っただけ」

事実。部屋を探すということは柚木と離れるということ。今までとは違って会おうと思えばすぐに会える距離だけれど会おうと思わなければ会わなくなる
新井は柚木と同じ野球チーム、フットサルチームに入っていて、約束しなくても定期的に会う理由はあるけれど、柿内は違う

「・・・本当に部屋探す?」
「当たり前だ」

不動産屋へ入って行く柿内を溜息を吐きながら追いかけた
柿内が傷つくのは見たくない。でも、柚木と一緒にいて幸せな柿内を見ていたい
近くにいれば傷つくかもしれない。でも、近くにいなければ味わえない時間もある

どちらがイイのかだなんて判らないけれど傷つくことを恐れていては幸せなんて手に入らないことは判っている。矛盾だらけの感情




「あー、ヤバい。疲れた」
「なんだろうなーめちゃくちゃ歩いた!とかじゃねぇのにこの疲労感」
「っつか、あの担当者テンション高すぎだろ」
「ハハ!だよなー!瑞樹で慣れてるはずのオレがもーお腹いっぱいって感じだし」

柚木の部屋に戻って来たのはもう夕方に差し掛かった頃だった

「あー!遅いー!」
「あれ?瑞樹早かったね。フットサルメンバーで遊びに行ったのかと思った」
「カズくん待たせてると思ったから試合終わったら急いで流ちゃんと戻って来たっていうのに!何それ!」
「瑞樹が佐久間のことイケメンだお尻がカッコイイとかいっつも連呼してっからヤキモチ妬いてんだろ」
「えー?カズくんヤキモチぃー?」
「違うし」

但馬は小さく溜息を吐くと新井の小さな頭をポンと叩く

「オレは瑞樹が本気で惚れなきゃ目の保養くらい許す心の広ーい男だからね」
「嘘吐け。お前は悩んで胃潰瘍になるタイプだ」
「なっ!オレはオトナになったの!柿内とは違うんですー!」
「バーカ。オレは元々お前らよりオトナだ」

こんな馬鹿みたいな言い争いをしているところは2人ともオトナじゃないな。と思いながら柚木は笑う

「あ、お前らメシどーすんだよ。2人で出掛けるのか?」
「いや、特に決めてないけど」
「柚木さん、但馬たち一緒でいいだろ?」
「・・・いいよ」

1番のガキは自分だと実感する。今日朝からテンションが高かったのも、練習でも試合でも調子よく体が軽くて動かせたのも柿内との予定を考えていたからなのに、2人きりの予定が親友が入ることで崩されて一気に下がったテンション

「流ちゃん、イイの?」
「何言ってんだよ。大勢の方が賑やかだろ?っつか瑞樹はいいのかよ。折角但馬こっち来てんだろ?2人きりになりたいんじゃないのか?」

あぁ、性格が悪い。恋人といなくなれだなんて親友に心の底で思っているだなんて。最低だ。そう思いながら笑顔で新井の肩を抱く柚木

柿内が誘ったのだ。2人を。2人で、2人きりで外食するのを望んでいたのは柚木だけ

「カズくん、オレたち」
「柿内ー、さっき通りかかった新しい店あんじゃん?」
「あー、洋食料理店とか書いてあったとこか」
「あそこどうだろ?」
「洋食料理店ってあるくらいだから新井さんの好きなオムライスもあんじゃね?」
「あー、ハンバーグとかもな!」

2人きりで柿内に教えたい店へ行ってご飯を食べてくだらない話をしながら笑って・・・全て崩れる予定

「柚木さん、ハンバーグとかありそうだけどそこでいい?」
「あぁ、ハンバーグ好きだし」

柿内の作るハンバーグが1番好き

2人きりで過ごしたい

今日は朝から、いや、昨日から、柿内が誘ってくれたあの日からずっと楽しみにしていたのに

でも柚木の性格上、そんなこと言えるわけがない

「あぁ、そういえば試合はどうだった?」
「流ちゃんが大活躍」
「いつものことかー」
「オレだってねぇ!オレだって・・・うーん、今日は何も目立たなかった。悔しい」
「でも頑張ったんでしょ?お疲れ。楽しかった?」
「うん。楽しかったよ」

羨ましい。昔の自分たちだったらきっと・・・きっと・・・

「カッキー、今日どこ行ってたのー?買い物かと思ったけど荷物何もなかったよねー?」
「あー、部屋探し」
「え?!」
「但馬に付き合ってもらって部屋見せてもらってた」

低くなったテンションはこれ以上下がることはないと思ったのにずーんと重い鉛が胃に落ちてくる感覚

柿内を失ったあの日から感じていて、最近感じなくなった胃の中の鉛を再び感じると食欲なんて何もなくなっていく

柿内の傍にいるだけでよかったのに。柿内はこの部屋も出て行こうとしている

「柚木さん?」
「うん?」
「顔色悪い・・・あんた、水分ちゃんと取ってたか?今日結構暑かったから熱中症とか」
「バーカ。ちょっと疲れただけだ」

疲れた。さっきまで感じていなかった疲労感。でも、今は足が重い。体が重い

辛い。苦しい。逃げ出したい

でも、そんなことできない

柚木は無理矢理笑って3人の会話に頷き、時にはツッコミを入れながら笑い続けた。皆の知る『柚木 流』で在り続けた







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あのーーーあのですねぇ・・・

記事数1000越えてたぁぁぁぁぁぁっ!!!!

まぁ、雑記とかも書いてるから記事数=物語数じゃないんだけど、1000って多分開設当時冗談で目指していた数字だったんだよね。冗談だったわけ。もー、自分でびっくりしまくりです。支えてくださる心優しい皆様のお陰だと思っております。だってさだってさ、コメントとか拍手とかランキングポチに支えられてなかったら1人ぼっちだったらきっとこんなに続けようって思えなかったはずだもん。ありがとうございます。ありがとうございますっ!!!
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2018/05/14 Mon 02:38:41
Re: タイトルなし : 水尾 央 @-
>えりこ様
コメントありがとうございます^^
1000記事達成にお祝いのお言葉いただけて嬉しいですーありがとうございますっ!って次10,000ですか?!えー!!!せめて5000・・・いや、それも結構キツイwでも、力尽きるまで頑張りたいと思います^^

柿内の心はどこにあるんですかねぇ・・・(他人事)もうね、なんていうか拗らせすぎてる2人なので、どう動くにしても時間がかかるんじゃないのかなぁ・・・ってことは話が全然進まないっていうーーーw
2018/05/15 Tue 21:31:29 URL

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