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青春はプールの中で13-19 - 05/23 Wed

trackback (-) | comment (0) | 青春はプールの中で
本当に部屋の前まで送ってくれた柿内に近田は1人になってから甘いため息を漏らす

優しい人。今までもそんな人と付き合ったことはある。でも、どこか表面的で近田の付き合った男は皆、裏があった。暴力的になる人、ヒモみたいな人、合鍵を渡されて舞い上がっていたところにすぐ本命がいるから返せと言った人

彼らの優しさと柿内は全く別の優しさを持っていた。冷たい、雑、言葉はキツい。でも、混み合っているはずの電車で他の人に触れられないようそっと守るようにしてくれた柿内。道で道路側を譲らなかった柿内。部屋に入るまで外で見張るように待っていた柿内

女じゃないのだからそこまでしてもらわなくても構わなかった。でも、柿内は特別女扱いするような素振りもなく、ただ、怖がっている人間を守るように近田に接してくれた

「本気で惚れそう。ヤバい」

柚木が柿内に惚れていたのが判る。恋人にはきっともっと優しくなるんだと思うと胸に湧き上がる恋心が止められなさそうでベッドに転がるとバタバタと足を動かした



「帰り、誰も一緒に電車乗る奴居なけりゃオレに連絡してもいい」
「え?」
「まぁ、お前の職場からここまでだったら通り道だし」
「いいの?」
「だからって毎日連絡してくんな。色々条件が重なりゃ一緒に電車乗ってやらねぇこともねぇっつーだけだから」

帰り際に言われた言葉を何度も何度も頭の中で再現する。柚木が忘れられないのも頷ける。親身になって相談に乗ってくれる柚木が惚れた男。最初見た時はいい体。としか思えなかったけれど惚れるに決まってる









「流ちゃーん」
「また来たのか・・・っつか今日も柿内いねぇよ?」

柚木が部屋のドアを開けると安田の姿があって苦笑しながら中へと促す

こんな風に毎日のように新井や弟の秀がやって来たのを思い出す。柿内がいて嵐のような新井に2人でため息を吐きながら笑って、秀を2人で甘やかしたりして笑って・・・もうずっと前のコトなのに昨日のことのように思い出せるのは再び柿内と共に暮らすようになったから

「最近1人なのは光多にフラれっぱなしなのかよ」
「うん?」
「統一と光多っていっつも一緒だろ?」
「まぁ、職場が同じビル内だし?」
「だろ」

持ってきたワインボトルを机に置くと「これも買ってきた」と言いながらワイングラスのセットを並べる

「入り浸るつもりでとうとう持ってきたか。いつかはやるだろうと思ってたけど」
「やっぱりワイングラスじゃないとさー」

柿内と顔を合わせる時間が少ない生活になってから反比例するように部屋を訪れる回数が多くなった安田。しかも1人で。それが気になってあんなに仲の良かった近田と何かあったのかと邪推し、あまり深く聞くに聞けない状態が続いていた

「柿内さん、今日も遅いのー?」
「まぁ、遅いっちゃ遅いけど」
「そっかぁ」
「柿内に会いに来てんのかよ?」
「流ちゃんとワインを楽しむため!」

ふわりと微笑んだ安田にワインを注がれたグラスを渡されてそれを受け取る

「オレさー、就職してから結構すぐゲイバーで光多に会って「あ!こいつ同じビルで働いてる奴だー」って意気投合してそれから結構ずっといつも一緒だったんだよねー。まぁ、職場同じビルだし、家も結構近いし」

今日は近田のことを話したい気分なのかと柚木は黙って安田の話を聞きながら頷いた

「光多に彼氏できてもオレに彼氏できても毎日会ってたし、あ、今でも朝一緒に会社行くから会ってるには変わりないんだけど」
「あぁ」

痴漢に遭ってから1人で電車に乗るのが怖いと言っていたのは覚えている

「でも、帰りは別のことが多くなったわけー」
「・・・」

ああ、彼氏ができたのか。と思いながら安田を見ると優しく微笑まれる

「本命できたみたいよ?どうする?流ちゃん」
「なんでオレ」
「相手、柿内さんだから」
「そ、そうなのか・・・でも、こないだ少し会っただけ・・・?」

そこまで口にしてハッと気付く。本命が柿内ならば安田と共にここへやって来るはずで、一緒に帰らないという理由にはならない

「光多さー、ストーカーされてんじゃんー?同じビル内の奴にー」
「あぁ、まだ解決してなかったのか」
「うんー。たまたまオレが直帰の日にさー、そいつにつけられてただでさえも電車苦手なのに追われて逃げるために逆の電車乗ってった時、たまたま降りた駅で偶然柿内さんに会ったらしくてさー」
「・・・」

聞いていない。近田と会っただなんて。いや、そもそも報告は必要か?

「優しいよねー。柿内さん。オレが一緒に帰らない日は柿内さんに送ってもらえる日なんだとさー」
「・・・そうか」
「どーする?流ちゃん」

どうするも何も、何もない

逆に本気になったところで叶わない恋を同情するだけ。自分と同じ想いを抱える人間が増えただけ

「あいつは・・・オレがあいつを傷付けたからもう誰とも付き合わないって言ってたからな・・・光多に教えてやったほうがいいのかもなぁ」
「何それ」
「オレはあいつを傷付けた。裏切って拒絶して・・・次のやつで癒されたのにまた失ってボロボロになるのが嫌だからもう恋愛しないらしい」

安田は鼻で笑う

いい歳して恋だの愛だのキレイなことばかり言う柚木がおかしく見えて

「流ちゃん男でしょ?」
「は?」
「柿内さんも男じゃん」
「だから?」

柚木のグラスにワインを注ぐ

「心と身体は別問題」
「いや」
「恋はしない?そんなこと言ったって目の前に美味しそうな物件が口開けてたら突っ込むでしょ」
「・・・そう言うやつじゃ」
「何?信じるねー!信じたいのは判るけどー」

どんな綺麗事を言ったところで肉欲には敵わない。そう思っている

「あいつはそんなやつじゃない。昔からあいつを知ってるから」

柿内は性欲よりも精神的な繋がりで相手を求める人間だから

「昔はそうかもだよねー?だってそれ、学生時代の話でしょ?いい大人が綺麗事だけで何年も生きてなくないー?それに、流ちゃん柿内さんと離れてた期間あったんでしょー?人間は環境でも付き合う人間でも変わるって」

変わる?変わった?柿内が?

確かに話していて知らない柿内もいた。でも、それでもやっぱり柿内は柿内で、知らない間を話すことで埋めたかった。少しずつ埋められてきている。そう思っていた

「流ちゃんは見た目がそこそこタイプの人に抱きたいとか抱かれたいって迫られたら?」

でも柿内は自分とは違う

「あ、もしかして!そもそも柿内さん、光多のことタイプじゃない?!」

タイプ?柿内のタイプ?知らない。でも近田を思い浮かべると栗山の姿がチラつく。似ている。どこが、ではなくてタイプ的に似ている

「アハハー!流ちゃんどーすんのー?」

安田に言われて苦笑しながら首を振る

「どうするもなにもなぁ・・・」

友人の恋は応援したい。でも、相手が柿内だったら?

誰とも付き合わない。そう言った柿内だけれど栗山のように柿内の傷を癒す存在になったら?

愛されることで柿内が心を開いて甘やかし、愛するようになったら?

嫌だ。友人の幸せも柿内の幸せも望みたいのに望んでいるのに心が否定する
柿内の隣で1番近い存在が自分じゃないなんて嫌だった









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柚木はもっとさー、こう・・・男前ー!でいてほしいんだよねぇ・・・うちの受は皆男前でいてほしい。じゃなきゃ受にできないの(水尾が)
でも、とりあえず、もっともっと柚木は柿内のコト好きーーーーーー!!!!!をもやもやしてもらいます。えぇ!もう今まで柿内が柚木のコト好きーーーーー!!!で来たのを取り返すくらい柚木が柿内のコト大好きだーーーー!!!ってので。最終章なので。えぇ。最終章なので
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