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青春はプールの中で13-29 - 06/02 Sat

trackback (-) | comment (0) | 青春はプールの中で
近田と安田が帰った後、ひとり片付けをしながら、帰りがけに近田に言われたことを思い出す









「流ちゃん」
「うん?」
「オレ、柿内くんが好きだよ」

告白したのも聞いた。だから、近田の言葉はそんなに驚くものでもない

「流ちゃん、応援してくれる?」

応援・・・

今まで相談に乗ったり背中を押したりしてきた。近田だけじゃない。他の皆にしてきたこと

でも、柿内への想いに?

「流ちゃんの元カレだけど今は違うでしょ?」
「光多!お前、酔ってんな?流ちゃん、ごめん。連れて帰るから」
「応援して、もし上手くいったら喜んでくれる?」

喜ぶ?どうやって?

柿内と近田が付き合うことをどうやって?

ぐるぐると感情が心の中で渦を巻く

自分らしく、皆が求める柚木 流としては笑顔でもちろんだ!と背中を押す。そうしなきゃいけない。でも・・・でも

「流ちゃん?」
「できない」
「「!!!」」

柚木の答えに近田も安田も驚いた

「柿内じゃなかったら応援できた。でも、あいつだけはダメだ。女でも男でもあいつの隣に誰もいて欲しくない」

初めて本当の柚木を見た気がした。強い独占欲。なんでも仕方ないな。と笑ってくれるでも、正しい方へと厳しく導くでもない本当の柚木 流

「そ・・・か!」
「・・・光多だから応援できないわけじゃない。もし、光多があいつと付き合うことになってもオレは心から祝福できないと思う」
「うん。だよね!すっきり!」
「ごめん」
「いいよぉー!流ちゃんの本音聞けたー!ありがとー!でも!でもね!諦めるつもりないから」

近田の真っ直ぐな目に柚木は頷く

近田の気持ちを柚木が勝手にダメだと拒否することはできないから

同じ人間を本気で好きなだけ

「よーし!統一!これから作戦会議だ!」
「いい加減眠いんだけど」
「いいの!明日休みでしょ!付き合って!!!」
「じゃあ流ちゃんまたねー」
「またねー!」
「あぁ」


本当の自分。今までは人に見せたら弱くなる気がした。甘えたくて甘やかしたくて独占欲の強い自分。見せたら弱くなる気がした。でも、違う。きっと気持ち次第

本当に欲しいもの、大事なものを欲しいと言うのが悪いはずがない。たったそれだけで弱くなるなんて違う

柚木は小さく頷くと背伸びをして「よし。寝るか」と呟いた









朝、起きてリビングへ向かうと柚木はもう出掛けたのだと気付く

脱ぎっぱなしの部屋着、流しに洗ってない飲みかけのコーヒーが入ったマグカップ。きっと時間がなくて慌てて野球だかサッカーだかの練習に出掛けて行ったのだろう

柿内も手早く身支度を済ませると部屋を出る



「おはー」
「おう」
「昨日寝る前に思いついて夜明けとともに会社来て完成間近にまで仕上げた上津様を褒め称えろ!」
「へぇ。よかったな」
「違ぇよ!褒め称えんだよ!」
「褒めただろーが。オレのは終わってねぇから終わったならさっさと帰れ」
「いやいやー!帰ってもすることないしー」

折角の天気のいい休日に寂しいな。と思いつつ、やることも特になくて職場へ来た自分も同じだと柿内は気付いて口を閉じたが、、ふと思い出して口を開く

「相方とやらは?」
「あー?あー・・・昨日夜勤だったから今日はねぇー」
「・・・へぇ」
「んじゃ暇だから上津様のコイバナ聞いてけよ」
「いや、だからオレは仕事しに来たんだっつーの」

そんな柿内に御構い無しで話を始める上津

柿内もため息を吐くと仕事をしながら適当に聞いてやるかとパソコンを立ち上げた

「上津さん、大学の時に家庭教師のバイトをしておりました。手のつけられないバカでヤンチャな高校生。親に無理矢理つけられた家庭教師に彼は嫌々ながらも時折脱走を繰り返しながらも続けておりました
上津さんはバイトなのでお金のためにも彼のためにも少しでも成績を上げてやろうと躍起になって彼が勉強に興味を持てるようあの手この手で攻めました
次第にさ、打ち解けてあたしが行く時はちゃんと家にいるようになったし、成績も少しずつ上がってほんと学年最下位みたいな子を大学受かるまで面倒見たんだよね」

途中から面倒くさくなったのか口調をいつもの調子に戻した上津

「んで、彼が大学行き始めてから連絡が来たわけ。告白とかさ、このあたしがだよ?されるわけないじゃん。イケメンだよ?高校から髪染めてバイトしに行ったら女の子といちゃついてたこともあったやつだよ?!信じられねぇっしょ。イケメンに告られるブスってシンデレラに憧れる女の子が喜ぶ話だろ?」

上津の表情はいつもよりも柔らかく見えた

「でも、まぁ、付き合ってみたらさ、浮気はするわ酒もタバコもやるしパチンコも行くわでホントめんどくさいガキだったんだけどさ」
「・・・」
「あたしじゃなくたって見た目もいいし背も高いし面白いから優しくしてくれる彼女はできると思うんだ」
「・・・でも別れねぇのな」
「ふはっ!だってあいつを正せるのあたしだけだと思うし!優しいだけならみんなできるけどあいつを叱って正しい道行かせられるのそんないないと思う」

正しい道・・・

「なんでかあいつ就職先あたしの地元にするって言うからあたしも転職して戻って来たわけ。っつかあたし健気じゃね?すっげぇ健気!」
「・・・怖くねぇの?」
「え?彼が?まぁ、見た目は派手だし」
「いや、じゃなくて・・・」
「何が?」

柿内は手を止めると椅子を回転させて上津の顔を見る

「拒絶」
「あ?」
「だから」
「あー、あれか。厳しいこと言って嫌われるのが怖いってー?そりゃー、確かにあいつもキツいこと言う女より優しくしてくれる女の方がいいわなー。でもあいつも冷静になったらあたししかいないんだって判ってくれた。あいつが離れるのが怖いとか考えてたらこの先ずっと付き合っていけわけないし」

この先ずっと・・・拒絶されたらその先すらなくなるのに

1度拒絶された柿内には、苦しく辛い道









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ユーーーーズゥゥゥゥゥゥゥゥーーーーっ!!!!
最近、水尾名義のアカウントでTwitter更新しているのは本業としていたものを休業したからなのねー
小話も唐突に書きたくなった時に投下できるところがイイところ
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