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つれないキミと売れてる僕12-8 - 09/25 Tue

trackback (-) | comment (0) | つれないキミと売れてる僕
元々心が強い方ではないと自分でも判っていた。虚勢を張り、自分は美しい。皆よりも秀でている容姿だけが里見の誇りで強さだったのにそれを失った今、里見を支えるものが里見の中に何もなかった

恭子に貰ったメガネは里見を完璧に戻してくれているようだったけれど、隠していても自分はそのキズを知っている。見えてしまう。その事実が里見をゆっくり眠らせてくれない
たとえ、キズがあっても自分はそれでも美しい。でも美しけれど完璧ではない・・・キズがあるから。見たくない。キズのある自分の完璧だった美しい顔に傷があるのを見たくない。起きてメガネがない状態でそれが見えてしまうのが恐ろしい。だから眠れない・・・

睡眠不足からの苛立ち。元々そんなに長い睡眠は必要ではなかった。でも、そんな里見でも足りない睡眠時間

深夜、携帯を取り出し、今まで眠れない不安な時のように誰かと連絡を取って美貌を讃えられながら性を満たし、心も満たせれば眠れたのに今は簡単に連絡できることのできる相手なんていないことに気付き再び苛立ち携帯を投げ捨てる

「・・・っ・・・」

須野に連絡しようか悩み、でも須野に弱音を吐くことが同じ男としてプライドが許せなくて、そして、完璧じゃなくなった自分を完璧だと言うわけがないと頭を振る
須野ならばこんな自分に完璧だというかもしれない。でもそれは嘘だから。自分はもう完璧じゃないのに、完璧だと言われたところで信じられるわけがないから

それに、電話したところですぐに戻って来られるわけでもない。仕事もあるし、距離もある。性を満たし心を満たせる相手が今すぐに欲しい

須野が好きだというそれだけは信じられていたのに里見が完璧でなくなったと感じる今ではそれすらもなくなった。今まで確実なものだったのに、それがなくなるなんて考えたこともなかったのに・・・
人がこんなことで、自分がこんなことで不安で胸が押しつぶされそうになるだなんて考えたこともなかった。考えられるわけがなかった・・・須野に愛されなくなる不安。それだけ須野を愛している自分にも理解できなかった

ピリリ・・・ピリリ・・・

投げ捨てた携帯に視線を動かす。手を伸ばして携帯を掴むと溜め息を吐き出しながら電話に出る

「何」
『ちょ!っ!今っ!そっち行くから!!!聞いて!』
「あ?」
『今っ!外っ!でも!もうじき着くから!!!開けて待ってて!!!』
「はぁ?」

いつもなら事前に連絡なんてすることなく部屋にやってくるのにわざわざ電話をする理由が判らなくて里見はそのうち乱暴に叩かれるだろう玄関の鍵を開け、リビングのソファーへ腰を下ろす

電話をしてきたのなら今、要件を話せばよかったのではないか。そもそも、こんな深夜に電話して部屋に来るというのだ・・・そこまで考えるとイヤな予感がして玄関の鍵を掛けに戻る

「光ーーー!」

一歩間に合わなかったか。と里見は舌打ちをすると迷惑そうな顔をしながら葛西の肩を持ち、入ってきたばかりの葛西を帰らせようとする

「何ー?!ちょっとー!聞いてよ光!!!」
「帰れ」
「ダメー!オレ今超テンション上がってんだから!!!」
「だからだ!うるせぇ」

葛西のこのテンションは里見にとってロクなことがない

無茶苦茶なことを言っていつも里見を困らせる葛西の状態

「とあるアミューズメントパークで大規模体感型謎解きミステリーイベントがあります!」
「・・・」
「あった。と言うべきかー!広告に詳細出す直前に企画してた会社が資金繰りだかなんだか詳細よく分かんないけどなくなって逃亡して白紙に戻ったんだって!でも今更何もなくなりました!ってわけにはいかないからーーーオレの知り合いの会社に・・・あぁ、そこ、ゲームとかイベントとかやったことなかったけど主に関わってたプログラマがいるからってだけでそこに無理矢理依頼通したらしいんだけど当然シナリオ担当とかがいないからーーーーー今から特急でシナリオと監修できる人求めてるらしいの!」
「お前・・・」
「ネームバリューもそれなりにあるオレらこそ適任じゃん!!!特急で書けるのって光じゃん?!んで!オレすぐに光の書いた奴なら監修だってなんだってできるじゃん?!今!それ聞いて受けて速攻こっち来た!」
「は、はぁ?!」
「まぁ、時間ないから深く練ることはできないかもだけど光、ミステリーやりたいって言ってたじゃん?」

確かに言ったけれどそれは本業の小説での話で葛西の持って来る短編ドラマの脚本だとか今回のようなゲームのシナリオじゃない

「やろう!な?!皐月 光のシナリオがオレには必要なの!!!」
「・・・」

自信のあった容姿はもう完璧じゃない。けれど、小説家として、皐月 光として求められるならば自分の中の自信もまた湧いて来るかもしれない

「・・・なんか今の体感型っつーとプログラムで動くゲームみたいなやつだろ。んなの」
「途中までそこに関与してたプログラマーもオレの友達なの!!!だから!色々縛りはあるけどまぁ、ぶっちゃけかなーり縛りあるんだけど!光なら元々のシナリオより面白いのできるっ!オレたちならできるっ!」
「・・・」

このテンションの葛西に何を言ったってやることになるのだ。どうせ裏でも色々もう動いているに違いなくて里見は溜め息を吐き出しながら葛西の頭を軽く叩くと「詳細よこせ」と吐き捨てた








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