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つれないキミと売れてる僕12-37 - 10/25 Thu

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葛西が電話を取って須野に里見の傷を見たことを報告してしまったと聞いて電話をかけ直そうか迷って辞めた

わざわざ電話をして誤解を解くのもどこか違う気もしたし、何よりも癪だったから
なんだか負けたような気がするから・・・恋愛には勝ち負けなんて存在しない?里見にとってはいつだって駆け引きのゲームのひとつで勝ち負けが常に存在してきた。だから、謝るのは負けだと今でも謝るのには抵抗がある

そして、掛け直しても来ない須野は怒っているか拗ねているのだと察し、これが里見が電話し、素直に甘い声で理由を話せば機嫌も直るものだとも判っていたけれどそれもできなかった

素直になれない。今まで帝王のように、女王のように振舞ってきた里見は素直だっただろう。自分の思うように、欲望のままに突き進んできた里見。でも須野に対してだけは素直になれない

これが本気で人を愛することだとするならば知りたくなかった。いや、知ることができてよかったのだろう

今まで散々書いてきた文章が現実を帯びるはず。人の愛し方じゃなくて須野がどう人を愛するかじゃなく、嘘ばかりだった自分の本当の愛し方が書けるのだから



「もーじき着くよー!あー人の現場って緊張するぅー」
「・・・後ろの積荷は差し入れか」
「そー!ShinGo監督太っ腹ぁ!」

差し入れの量だとか、葛西はこの現場の監督らと知り合いなのかとかはどうでもよかった。ただ、須野と顔を合わせたとき須野はどんな顔をするだろうかということだけ考える

いつものように信じられないという顔をして喜び微笑むのか。それとも須野に見せられないキズのことを引きずって避けられたりするのだろうか





撮影現場の付近で車を止められ、スタッフに説明をするとスタッフはなにか話し合って誰かを呼んで戻ってくる

「こんにちは!陣中見舞いってやつ!」
「ShinGo監督・・・ホントに来たんですね。じゃあこれはありがたく頂きます」
「邪魔しないようにするからちょっと見てってもいいですか?親友の顔も見たいし」
「あぁ、須野くんね。どうかなぁ。ちょっとピリピリしてるんだよね。現場」
「何かありました?」
「自分も了承した1人だけど須野くん、昨日の夜、ドッキリに引っかかってからそのあと様子がおかしいんだ。まぁ、ミスするとかそういうんじゃないんだけど」

葛西は「昨日の夜」という単語に眉を顰めた

それはきっと自分のせい

里見と須野専用の電話に出た自分のせい・・・

顔色を曇らせた葛西の頭を里見が叩く

「お前じゃねぇよ。オレらの問題だ」

里見の言葉に葛西は俯く

親友から恋人になったことで自分だけが置いていかれた気分になるのはこんなとき。里見と須野の問題。確かにその通りなのかもしれないけれど自分だけがシャットアウトされるのは寂しすぎる

「んで?帰るか?オレはどーでもいい」
「えー!せっかく来たし須野ちゃんに会いたいぃぃぃーーー」
「ハハ。じゃあ、少し待っていてもらえる?とりあえず今のシーン終わったら声掛けるよ」
「ありがとうございます」

待っているように言われたから車で静かに待機する里見と葛西

「光は、須野に言うの?」
「あー?」
「須野ちゃんは完璧な光が好きだからとかなんとかー」
「言うわけないだろ」
「じゃあ須野ちゃんはオレと光の仲を疑い続けるし不機嫌なのも治らないんじゃなーい?やっばーい!オレのせいで光と須野ちゃんがケンカして人の撮影に支障をきたしてるぅぅぅーーーー」
「撮影に影響はねぇっつってたろ」

里見は車の天井を見上げながら「それに機嫌は簡単だろ」と呟く

「何が」
「あいつが喜ぶこと囁いてやりゃそれで満足だ」
「光さぁ・・・簡単に言うけどなんかそれ愛がない」
「あー?」
「他の女の子たちにしてきたことと同じこと須野ちゃんにするってことでしょ?でも、光って須野ちゃんには違うじゃん」

色っぽい顔で甘い言葉を囁けば万事解決。それが里見の今までしてきたことだった。簡単。須野にも何度か同じことをしたけれどその度に須野は複雑な顔をしてそのあとすぐにいつもの照れた顔でふにゃりと笑って「大好き」と機嫌も戻ったのだ。今回だって・・・

「根本的なことは解決しないでしょ。誤魔化してるだけで」
「・・・」

須野が今まで複雑な顔をしていたのは一瞬葛藤しているからなのか・・・と里見は溜め息を吐き出した






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信じられますか・・・まだエンディングは遠いんですよ・・・12幕・・・長くないですか?え?普通?
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