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つれないキミと売れてる僕12-38 - 10/26 Fri

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コンコン



車内で待ち続けるのも飽きてきた頃、車がノックされて顔を上げた葛西は顔を輝かせて里見の腕を引っ張りながらドアを開く

「どうしたの?旅行じゃなかったの?スタッフさんに言われてびっくりしたよ」
「1泊2日のね!それで寄ったんだー!須野ちゃんに会いたくてー!」

里見は車から降りると不機嫌な顔を隠そうともせず、須野を睨む

いつもなら迷わず自分に話しかけるのに葛西にばかり話しかけるのはまだ拗ねているのかとイラついた。付き合っていない時から須野は自分しか見ていなかったというのに、わざとらしい程里見を見ない須野は須野じゃないようで・・・別に来たいと言っていた葛西だけ来ればよかったのに自分も来たのだ。須野が自分を見ようともしないのは許せない

「あ、差し入れありがとね!皆で頂きます」
「うん!どう撮影ー?」
「順調かなぁ。って僕が思ってるだけだったり・・・」
「おい」
「里見・・・あ・・・っと・・・ごめん。随分車で待たせちゃった・・・よね」

いつまで自分を放っておくつもりなのかと声を荒げると須野が眉を下げて申し訳なさそうに謝る。でも、違う。謝ってほしいわけじゃない・・・いや、謝ってほしかったのだろうか・・・里見は自分の感情すらよく判らない。苛つくのは須野のせい。でも、謝罪が欲しいかと言われたらそうでもない気もする・・・

「・・・オレちょーっと散歩しながら挨拶して来るねー」

不機嫌な里見の可愛い嫉妬姿に葛西は苦笑するとそっとその場から離れていく

「・・・」

黙って車へ戻る里見に戸惑い、俯く須野
苛ついているのは見たら判ること。だからもう、折角顔を見ることができたのに自分が里見に嫌な態度を取ったからもうこれでおしまいなんだと・・・寂しくて抱きつきたくて。でもできなくて

「乗れよ」

そう里見に言われて顔を上げて頷き、葛西の車に乗り込んだ

「・・・」
「・・・」

沈黙が続く。いつもなら煩いくらいの須野が何から話せばいいのか迷った様子で里見の顔色を伺いながら口を結び俯き、顔を上げてはハッとしてまた俯いた

「・・・電話」
「え?」
「掛け直して来ないっつーことはお前、怒ってるか拗ねてんだろ・・・さっきオレがいるの判ってて葛西んとこ行ったのもそういうことか」

里見の言葉に首を振る。けれど、少し考えてコクリとひとつ頷いた

「くだらねぇことでまたお前は悩んで考えてんだろ」
「・・・くだらない?」
「葛西の方が特別だとかあいつの方が好きだとか」
「・・・それもある」
「あいつとはキスだってしたことねぇ。男とはお前だけなの判ってんだろ」
「それは・・・うん。うん・・・」

また何か自分の中で消化して納得しようとしているのが判る。甘い言葉で誤魔化してもそれは愛がないと葛西に言われたことが頭で繰り返される

愛がない?誤魔化すけれど須野に対して愛がない?愛がなければこんなめんどくさい相手とっくに終わりにしていたはず。誤魔化すために愛を囁くのだってそこに愛があるからじゃないのだろうか・・・愛を失いたくないから誤魔化す・・・違うのだろうか

「くだらねぇ」
「くだらなくないっ!」
「あ?」
「っ・・・っ・・・判ってる。里見は僕を愛してくれてる。嬉しい!判ってる。同時に葛西がすっごい大事なのも判ってる!でも・・・でも・・・判ってるんだけど・・・」
「だからそれが」
「くだらなくないのっ!」

声を荒げた須野が首を振りながら「僕にとっては大事なの」と里見の手に触れた

「・・・スモーク貼ってあるからって軽率なことすんじゃねぇよ」
「僕は里見の言うこと聞く。なんでも聞く」
「あ?」
「里見も僕のお願い、聞いてくれてる・・・判ってる。里見は優しくしてくれる・・・僕のコトちゃんと考えてくれてる。だから、だけど・・・僕って何?」
「・・・お前は」
「親友で恋人・・・で合ってるんだよね?」

須野の苦しげな表情に息を飲む

素直になれないから須野を悩ませ、こんな顔をさせてしまう

素直になれないから須野を不安にさせる

親友で恋人・・・そんなの判っているハズなのにどうしていつも不安にさせてしまうのか・・・

「葛西は親友・・・で、僕も親友で・・・恋人だから里見は見せてくれないの?親友なだけだったら見せられるの?僕は・・・どうしよう。ごめん。僕、何言ってるのか判らない」
「・・・須野」

須野が顔を上げると里見の手が握り返してくれるのを感じて視線を手に移す

「お前はオレにどうしてほしいわけ」

体も許し、暴かれ、自分のよく知らない場所まで知っているのにこれ以上どう特別だと言えばいいのか

「里見の裸が見たい」
「・・・っ・・・お前と別れてただの親友に戻ったとしてもお前には今まだ見せたくない・・・そう言ってんだろ」
「わ、わかっ・・・ヤダ!僕そんなつもりでっ」
「てめっ・・・クソっ!判んねーならイイっ!」

里見の精一杯の『素直』だったけれど須野に伝わらなくて里見は手を振り払うと窓の外を見つめる

どうして自分はこうなのか。嘘なら、取り繕うだけならいくらでも言えるのに本音を正直に言えない。カッコ悪くて完璧じゃないから

もう完璧じゃないと思うのに言えない

「別れるの・・・嫌だ」
「言ってねぇだろ」
「言っ・・・た・・・判んないっ!里見は僕のこと愛してくれてると思うけどっ!でも!僕は里見のなんなのか判らない!里見が僕をなんだと思ってるのか判らない!僕は里見だけが特別なのに里見は僕を・・・ごめん。ごめん。なんでもない。だから、こっち見て?」

あぁ、また須野の中で感情を消化させてしまった・・・そう感じながら須野の腕を引くと体勢を崩した須野を押し倒し唇を押し付ける

さっき軽率なことをするなと言ったのに、誤魔化すようなことをするのは愛がないと言われたのに里見にはこうするしかなかった。誤魔化すのは須野が大事だから。失いたくないから・・・

「んっ・・・ぅんっ・・・」

舌で口内を蹂躙し須野の体の力が抜けるのを感じると体を離す

「里見ぃ・・・」

ほら。簡単。こっちの方が向いている。ギスギスした空気もなくなるし何よりも須野が幸せそうに蕩けた顔を里見に見せるから

「これ以上はムリだけどな?」
「ん・・・」
「物足りねぇ?こんなことオレがすんだからお前はオレのどんな存在か判んだろ?」
「・・・うん」
「仕事と終わって部屋、帰ってからな?」

帰ってから・・・その単語に須野は照れたように笑って里見の手を握りながら目を伏せる

「すごい・・・の」
「あ?」
「里見、僕、約束守ってる」
「あー、あぁ。すげぇのな?」
「うん。すげぇの・・・ね」

須野が微笑むと里見の頬に触れて「愛してる」と呟き、里見は「知ってる」と笑った










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手直しに時間がかかりすぎてリアルタイム更新でございます・・・時間がどーしてもないの!(ヨガ行く時間を書く時間に充てれば解決)


須野は悩んでも辛くてもやっぱり里見のことが大好きだから色々我慢しちゃうんだと思うんですよね・・・我慢すれば里見が笑ってくれる・・・なら我慢する!みたいな
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