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ふたりのバレンタイン4 - 03/03 Sun

trackback (-) | comment (2) | 青春はプールの中で 番外編
バレンタイン前日から柿内は今までの浮かれた気分とは変わってピリピリし始めていた。何としても帰らなくてはいけないから。目の前に来た柿内中心でやってきたプロジェクトの本稼働。上手く行っていたはずなのにここに来てトラブル発生という最悪の事態

「そっちの数値見てくれ」
「了解」
「上津!ここ、合ってるか?」
「合ってるー」
「クソっ!なんでだよ!」

1分でも早く帰りたくて、柚木がプレゼントを用意してくれるかもしれないのに自分が何も用意できないだなんて柿内には考えられなくて帰れなかったらどうしようかと頭を抱えた

最初、初めて柚木と付き合うことになったとき柚木に言ったこと。バレンタインとかチョコを渡すのは自分の役目。柚木にしろとか強要しない。強要はしていないのにしてくれそうなのに、自分がやると言ったことを守れないことが柿内は許せない

「柿内帰ればー?」
「ああ?」
「んー、あっちでミス気付いたっぽー!」
「っ!早く言えよ!」
「んでー、直してる!あたしの指示ー!さーすが上津様ぁー!」
「だから」
「あんた帰った方が上手く行くんだって言ってんの」
「なんてだよ!だってこれは」
「イラついてるお前がいたら邪魔」

上津に言われて「クソ」と悪態を吐くと自分がイラついていたことを反省し、両頬を叩く

「ちょっと一瞬手を止めてくれ」

柿内の声に残っていた者たちが反応して顔を上げる

「1時間で回収する。時間は決めるけど焦るな。解決できるはずだから。ミスを直して新たなトラブルは避けたい。だから落ち着いて皆で作業に当たろう」
「へー。さーすが柿内ぃーかっこいー」
「っせぇ!」
「んじゃあみんなでやりますかぁ」







帰宅時間は遅かった。部屋に戻ると真っ暗で冷たい部屋。柚木は当然のように部屋で寝ている時間。でも今からでもまだ作れるものはある。そりゃあ後何時間かしたらまた出勤だし、時間はない。でも、何も作れないわけじゃない

柿内はジャケットソファへ投げると腕をまくって冷蔵庫を開けて牛乳を取り出し鍋にかけるとコンロの火を点けた








携帯に設定したアラームよりも早くに柿内は起こされることになる

「おーいっ!起きろー」
「ん・・・今何時」
「5時半」
「あと30分寝かせろ・・・」

まだ朝食の時間にも余裕があるはずと柚木を避けようとする

「あーん?」
「・・・」
「あーん?」

柿内は眠るために静かにさせたくて言う事を聞くように口を開ける

「・・・」

サクッという音と口の中に広がる甘さに目を開ける

「おはよ?」
「・・・」

歯ごたえと甘い香りでハッとした。今日はバレンタイン。疲れて忘れてしまっていたけれど、今日が待ちに待ったその日で、これが柚木からのプレゼントだと理解して目を開けた

「お、起きた」
「あ・・・ありがとう」
「おう!でもまずおはようじゃね?美味いかー?でも実は失敗なんだよなー。サクサクすんだもん。これ」

失敗・・・?何がかとまだ眠い頭で考えて柚木の手元の皿に手を伸ばす

「ちょ、はぁ?!・・・て、手作り?」
「そうだけど?」
「っ!!!」

貰えるのならスーパーの特売板チョコでよかった。寧ろそれだと思っていた。でも、もしかしたらどこかのお取り寄せチョコでも貰えるかもしれない・・・そう期待した。でも、目の前のクッキーは形も不揃いで、所々に焦げた後すらある市販品とは程遠い代物。でも、柚木が自分のために作ってくれたことがこの日のために作ってくれたことが嬉しくてそして恥ずかしい

「美味い・・・です」
「ふはっ!なんで突然敬語っ!びっくりしたか?オレがお前のためにクッキー焼くとか思ってなかったな?」
「思ってねぇ・・・すげ・・・嬉しい・・・」
「ん、よかった!」
「ありがと・・・」

新井の言う通りだった。初めてバレンタインに人にプレゼントを渡したけれど、しかもクッキーなんて焼いてガラじゃないことをした。でも、本当に喜んでいる柿内を見られてそっと柿内の頭を撫でる

「お前、今日遅いんだっけ?」
「ん・・・分かんね・・・それ、全部貰ってもいいか?」
「おう。お前のだし」
「仕事頑張る」
「ふはっ!すげぇ素直っ!んじゃついでに何としてでも今日中に戻って来い。クッキー食いながら頑張って帰って来い」
「何・・・クソ」

何でと言いかけて柚木がポケットから出して見せびらかしてきたものに溜息を吐く。あぁ、本当に勝てない。永遠に勝てる気がしない

「チョコの香りのローション!これ、使いたくね?バレンタインに使いたくねぇ?」
「今っつー選択はねぇの?」
「アハハ!ねぇよ!今から仕事だろー」
「今日中に帰って来られなかったら?」
「来年までお預けー!それはそれでありなんじゃねぇのー?来年もオレからプレゼント確定すんだぞ?」
「バカ。待てねぇよ。何としてでも帰ってくるしかねぇな」

柿内がクッキーを喜ばなかった時の保険として用意しておいたもの。喜んでくれたから出す必要もなかったけれど柿内を煽ることには成功したし、必死な様子の柿内を見られたことが嬉しくて楽しくて柚木は笑った








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えー・・・3月・・・そう。3月なのね!
3月といえば・・・


このブログ開設記念日が3月7日じゃないですかぁぁぁぁぁぁぁ!!!うわぁぁぁぁ!!!なーんでこんな時間ないのにしかも全然更新もまともにできてないのに1年経っちゃうんだよぉぉぉぉぉ!!!!!


何かやりたい・・・やりたいけど時間がない・・・むむむーーーーー
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2019/03/03 Sun 07:08:41
Re: タイトルなし : 水尾 央 @-
>ちぃ様
コメント返すの遅くて申し訳ないですー。もちろん以前コメント頂いたことも覚えておりますともー^^ありがとうございます
青プの最終章はやたらと辛い気分にさせてしまったようで、皆さん、短編でイチャラブな内容だったのに最後までドキドキしていたようで・・・w番外編では基本、ただ幸せなワンシーンを切り取ってお届けしている水尾です。多分、この番外編ひとつのネタも掘り下げていったら不安だとか辛いこととか書けるんだろうなぁ・・・と番外編ってなんか勿体ない・・・とか思ってしまうくらいですが、皆さん幸せなお話を待っているようなので(まぁ、当然だろうけれど)
つれキミ売れ僕のネタはまだまだ暫くあるのでそちらもそのうちちゃんと形にしてUPしていきたいと思っております・・・これからはできるだけ須野ちゃんも幸せになるように・・・いや、須野は幸せだと思うんだけどなぁ・・・ただ里見に対してマイナス思考すぎるだけで・・・w
2019/03/10 Sun 22:55:35 URL

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