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恋して落ちて閉じ込められて6 - 03/16 Sat

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殴った友人とは疎遠になった。ゼミ内でも、いや、大学へ行けば皆腫れ物に触るみたいに接してきたし、居場所なんていよいよ本当にどこにもなかった

あんなに嘘を吐いてでも言い訳してでも行きたかった合コンだって楽しくなかったし、溜まっていく洗濯物も朝起きられなくて捨てられないゴミも不快で部屋にもいたくない。居場所のない大学にも行きたくない

寂しさは人を殺せるとまで思いながら過ごす日常



「やった!予約取れた!」

夏休み前、期末試験の頃、中林がテンション高く友人らに見せている雑誌を横目で盗み見た







「何?お前そこ行きたいの?こないだもそこ見てたよな」
「んー?あぁ、綺麗だろ?憧れてるだけ」

そう雑誌を見ながら笑った島原にできもしない約束をした

「じゃあ金貯めて行くかー」
「え?」
「ん?来年の夏休み」
「ホント?」
「おう」

島原が「楽しみ」と笑ったのが美しいと思った。ただ、純粋に美しいと思った





島原が行きたがった場所。それは中林の持った雑誌に映っているところ

自分と約束したあの場所へ中林と・・・

もう別れを告げられてだいぶ経つのにまだ吹っ切れていない。日常は戻らないのに変わっていく季節。自分だけが世界に取り残されて進んでいく時間

「・・・だ」

もうダメだと周りも聞こえない声で呟いて久野は日常を取り戻したくて島原の部屋へ向かう

時間が巻き戻ればいいのに。楽しかった、充実した日々のあの頃に

「・・・ホントに学生課報告しにいくけど」
「ごめ・・・なさい」

ただ謝ることしかできない。島原がいないと生きていけない。独りぼっちのこの世界では生きていけない

久野が額を地面につけて再び「ごめんなさい」というのを聞いて流石にギョッとする島原

「や、やめろ」
「お前なしじゃムリ・・・生きていけない」
「な・・・んなこと言ってお前すぐに浮気すんだろ」
「中林と行くんだろ」
「あ?」
「も、ムリ・・・お前が他の男に優しくしたり尽くしたり遊びに行ったり!見てるのキツい」
「関係ないだろ・・・んな・・・引きずってかっこ悪」

また言われた関係ない・・・関係、ない・・・?今もこんなに苦しいのに?関係ない?

苦しくて寂しくて仕方ないのに、日常がどんなだったのか、こんなに苦しいのが日常だったのかも思い出せないのに。前へ踏み出せばいいのに前への踏み出し方も判らない

かっこ悪い・・・判っている。そんなの言われなくても判っている。でもかっこ悪くても今の久野には縋ることしかできない

島原は優しくて、面白くて、、甘やかしてくれて、初めてをたくさん教えてくれて・・・あぁ、こんな苦しみも初めてだったと気付いた。今までみたいに驚きはしないけれど失ってこんなにも苦しいのは初めてのこと









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単発もですね、もっとちゃんと練れば長編になるんじゃないかって思うとあぁ、なんか勿体ないなぁ・・・という気分にはなるw
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