15センチ 前 - 03/10 Tue
「キャー!穂波くんカッコイイーーーー!」
「穂波くん頑張ってー!」
グラウンドに向かって黄色い声を上げているのは女子生徒たち
その視線の先には
穂波 涼
アイドルのようにかわいらしい顔とそれに反して剛速球を投げる彼の中学野球部最後の試合が今、行われていた
引退後行われる卒業試合。それも、あとアウト1つで試合終了・・・
キンッ・・・
サード方向へ飛ぶライナー
「まずい」そう思った瞬間・・・
パンッ・・・
穂波が目で追うとサードライナーはしっかりサードによって捕球されてこれでゲームセット・・・
よりによって最後、彼に捕られて助けられるなんて・・・とため息をつくと空を見上げる
青空・・・
あとは卒業だけなのに・・・
今日も素直になれそうもない
「穂波くんっ!お疲れ様!!!!」
「穂波先輩っ!これよかったら!」
「穂波くんっ!」
「穂波くんこのタオル使って!」
グラウンドを出ると女の子たちが一気に押し寄せてきた
タオルやドリンクやマスコットなどまで差し出されたものをいつものように笑って受けとる穂波
引退直前よりも囲んでくる女の子が増えた気がした・・・
その時、丁度目に入ったものを見て「あぁ・・・そうか」と納得する
「おーい、ヘッポコピッチャー!高校行ってそんなんだったらついていけねぇーぞ」
「うっせー!お前だってなーにがホームランバッターだ!そんなでかい図体しといて今日凡打ばっかじゃねーか」
彼こそ、さっきサードライナーを止めたサード
東谷 一弥
この野球部の人気を二分していた彼が夏に特定の彼女を作ってから、そのファンが穂波に流れてきていたのだ
「一弥、あたし先行ってようか?」
「いや、行く」
穂波の頭をくしゃくしゃとしていた東谷だが、彼女にそう言われてその手を止めてポンポンと頭を叩いて彼女と去っていく
その背中を見て心が痛くなる・・・
ずっと恋をしてた
彼に
素直になりたくて、でも拒絶が怖くて
ずっと言いたくて、でも言えなくて
苦しかった
でも苦しみ続けよう・・・
ただ、伝えられなくても悪態ついてしまうのをやめたかった
試合が終わるとすぐに卒業式がやってくる
穂波にとっては恐怖の卒業式・・・
「穂波くんっ!高校に行っても応援に行くからねっ!」
「穂波先輩っ!来年は先輩の学校受験しますからっ!」
「私のこと忘れないでね!!!!!」
卒業式終了後、体育館から教室に帰るまでにまずボタン戦争に巻き込まれた・・・
毟り取られ袖のボタンまで引き千切られたが、教室で終わりのあいさつをし、ドアから出た瞬間また女子の襲撃に遭う
しかし、もうすでに学ランのボタンは全滅・・・というわけで、今度はカッターシャツからボタンを千切られ、最終的には髪の毛を抜かれるという酷い目に遭う
「・・・ズボンのボタンとベルトまで持って行かれた・・・」
穂波は誰もいなくなった廊下をズボンを手で押さえながら立ち上がる
「女の子怖い・・・」と泣きそうになりながら、想い出の地に最後の挨拶へ歩き出した

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「穂波くん頑張ってー!」
グラウンドに向かって黄色い声を上げているのは女子生徒たち
その視線の先には
穂波 涼
アイドルのようにかわいらしい顔とそれに反して剛速球を投げる彼の中学野球部最後の試合が今、行われていた
引退後行われる卒業試合。それも、あとアウト1つで試合終了・・・
キンッ・・・
サード方向へ飛ぶライナー
「まずい」そう思った瞬間・・・
パンッ・・・
穂波が目で追うとサードライナーはしっかりサードによって捕球されてこれでゲームセット・・・
よりによって最後、彼に捕られて助けられるなんて・・・とため息をつくと空を見上げる
青空・・・
あとは卒業だけなのに・・・
今日も素直になれそうもない
「穂波くんっ!お疲れ様!!!!」
「穂波先輩っ!これよかったら!」
「穂波くんっ!」
「穂波くんこのタオル使って!」
グラウンドを出ると女の子たちが一気に押し寄せてきた
タオルやドリンクやマスコットなどまで差し出されたものをいつものように笑って受けとる穂波
引退直前よりも囲んでくる女の子が増えた気がした・・・
その時、丁度目に入ったものを見て「あぁ・・・そうか」と納得する
「おーい、ヘッポコピッチャー!高校行ってそんなんだったらついていけねぇーぞ」
「うっせー!お前だってなーにがホームランバッターだ!そんなでかい図体しといて今日凡打ばっかじゃねーか」
彼こそ、さっきサードライナーを止めたサード
東谷 一弥
この野球部の人気を二分していた彼が夏に特定の彼女を作ってから、そのファンが穂波に流れてきていたのだ
「一弥、あたし先行ってようか?」
「いや、行く」
穂波の頭をくしゃくしゃとしていた東谷だが、彼女にそう言われてその手を止めてポンポンと頭を叩いて彼女と去っていく
その背中を見て心が痛くなる・・・
ずっと恋をしてた
彼に
素直になりたくて、でも拒絶が怖くて
ずっと言いたくて、でも言えなくて
苦しかった
でも苦しみ続けよう・・・
ただ、伝えられなくても悪態ついてしまうのをやめたかった
試合が終わるとすぐに卒業式がやってくる
穂波にとっては恐怖の卒業式・・・
「穂波くんっ!高校に行っても応援に行くからねっ!」
「穂波先輩っ!来年は先輩の学校受験しますからっ!」
「私のこと忘れないでね!!!!!」
卒業式終了後、体育館から教室に帰るまでにまずボタン戦争に巻き込まれた・・・
毟り取られ袖のボタンまで引き千切られたが、教室で終わりのあいさつをし、ドアから出た瞬間また女子の襲撃に遭う
しかし、もうすでに学ランのボタンは全滅・・・というわけで、今度はカッターシャツからボタンを千切られ、最終的には髪の毛を抜かれるという酷い目に遭う
「・・・ズボンのボタンとベルトまで持って行かれた・・・」
穂波は誰もいなくなった廊下をズボンを手で押さえながら立ち上がる
「女の子怖い・・・」と泣きそうになりながら、想い出の地に最後の挨拶へ歩き出した

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