5センチ1 - 07/09 Thu
土曜日、朝からずっとそわそわして落ち着かなかった
出掛ける予定は明日。なのにずっとそわそわしている
「涼、明日どこか行くの?」
「え、あ、うん。東谷と」
「そっか。誠と映画行くけど・・・夕飯は?」
「あー・・・要らないかも」
「じゃあ誠と食べてくるから。食べてきてよ」
テレビを見ていると母にそう聞かれて頷くと「夕飯代」とお小遣いを貰う
明日は1日・・・東谷と過ごせるんだ・・・そう思うとまたドキドキしてそわそわしてしまう
明日の洋服をどうしようかなんて乙女チックなことを考えながらタンスから洋服をベッドに並べて首を傾げる
そもそも、東谷はどんな服装なのか・・・自分ばかり張り切ってジャージ姿の東谷だったらまたおかしすぎる
穂波が何度か首を傾げながら唸っていると携帯が震えて着信を知らせる
「もしもし」
『おう・・・明日、迎え行く』
「あ、うん。何時?」
『朝・・・10時くらい?っつかどこ行く?』
どこへ行くかも考えてなかったことに気付いて穂波はまた悩む
『考えとけよ。バカ』
「お前だって考えろよ」
『・・・映画見る?』
「・・・映画、明日うちの親が行くって言ってた・・・」
『マジか!すげぇ。シンクロ?っつか、今やってるアクション、見たいんだよな・・・』
「じゃあ映画にする?」
『おう。んじゃーまた明日』
「うん。おやすみー」
電話を切ってもまだ耳のそばで東谷が喋ったような余韻が残る
ジンジンと熱い耳と心臓・・・東谷と初めてのデート。普通に遊ぶだけ。けれど、デート。付き合っているのだから・・・そう思うとドキドキが止まらない
朝、朝練のある日と同じ時間に起きてしまう。張り切りすぎだ・・・と自分でも思いながら東谷はジャージから着替えだす
「おはよう・・・めっずらしい・・・一弥、あんたが休みの日に早起きって・・・」
「ん・・・目、覚めた」
「私、今日も仕事で遅くなるけど、あんた出掛けるんでしょ?ご飯作ってないからね?」
「んー。食ってくる」
リビングへ向かうと母がもう身支度をして出かける直前だった。普段から忙しく飛び回っている両親となかなか顔を会わせる時間もない。
「じゃあ、行ってくるー」
「いってらっしゃい」
手を振るとあくびをしながらテレビをつける。別に見たくもないニュースを流しながらパンを焼く
今日の天気は晴れ・・・か・・・と思いながら冷蔵庫から牛乳とジャムを取り出して朝食の準備をする
穂波に早く会いたい・・・昨日のことをきっと気にしている穂波に会って安心させてやりたかった。穂波の視線に気付いたのは3年になってから。気付くとまっすぐな目で自分を見ていて、視線に気づいて振り返ると何事もなかったように視線を逸らす穂波。それが何度も何度も続いて視線を合わせたいという欲求にすぐ変わった
好きなのか・・・そう自分で認めるのが怖くて好きだと寄ってきた一人と付き合うことにしたが、彼女は穂波とどこか似ていても穂波ではなく・・・余計に穂波への恋心を認めるしかなくなった
「お、おはよう。一弥、早起きだな」
「おはよ・・・パン、食う?」
「あぁ、食べる」
父親が新聞を手にリビングへやってくると東谷はトースターにパンを突っ込み、またぼーっとテレビを見ながら焼いたパンを口に運ぶ
「母さんはもう仕事行った?」
「んー。親父は?仕事?」
「昼からなー」
「そっか」
「お前はデートか?」
「・・・友達と遊びに行くだけ」
そう言って『あ、デートか?』と気付いたが、訂正もすることなくパンを牛乳で流し込んで席を立つ。普段会話らしい会話をあまりしてこなかったからこんなとき、父親と二人きりだとどうしたらいいのか判らずつい逃げてしまう
「一弥」
「ん?」
「部活、どうだ?」
「どう・・・って・・・」
「すぐに背番号は貰えそうなのか?」
「あー、んー、まだわかんねぇけど、内野でも外野でもどっかには入り込めるように努力はする」
「そうか」
父が自分のやっている野球に興味なんかがあったのか・・・と少しだけ嬉しくなると東谷は焼けたパンを皿に載せて父の前に置いた
「今度、休みが合ったら試合とか見に行くな」
「あぁ・・・」
今まで見に来たためしはない。だが、それでもその気持ちで充分だった・・・

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出掛ける予定は明日。なのにずっとそわそわしている
「涼、明日どこか行くの?」
「え、あ、うん。東谷と」
「そっか。誠と映画行くけど・・・夕飯は?」
「あー・・・要らないかも」
「じゃあ誠と食べてくるから。食べてきてよ」
テレビを見ていると母にそう聞かれて頷くと「夕飯代」とお小遣いを貰う
明日は1日・・・東谷と過ごせるんだ・・・そう思うとまたドキドキしてそわそわしてしまう
明日の洋服をどうしようかなんて乙女チックなことを考えながらタンスから洋服をベッドに並べて首を傾げる
そもそも、東谷はどんな服装なのか・・・自分ばかり張り切ってジャージ姿の東谷だったらまたおかしすぎる
穂波が何度か首を傾げながら唸っていると携帯が震えて着信を知らせる
「もしもし」
『おう・・・明日、迎え行く』
「あ、うん。何時?」
『朝・・・10時くらい?っつかどこ行く?』
どこへ行くかも考えてなかったことに気付いて穂波はまた悩む
『考えとけよ。バカ』
「お前だって考えろよ」
『・・・映画見る?』
「・・・映画、明日うちの親が行くって言ってた・・・」
『マジか!すげぇ。シンクロ?っつか、今やってるアクション、見たいんだよな・・・』
「じゃあ映画にする?」
『おう。んじゃーまた明日』
「うん。おやすみー」
電話を切ってもまだ耳のそばで東谷が喋ったような余韻が残る
ジンジンと熱い耳と心臓・・・東谷と初めてのデート。普通に遊ぶだけ。けれど、デート。付き合っているのだから・・・そう思うとドキドキが止まらない
朝、朝練のある日と同じ時間に起きてしまう。張り切りすぎだ・・・と自分でも思いながら東谷はジャージから着替えだす
「おはよう・・・めっずらしい・・・一弥、あんたが休みの日に早起きって・・・」
「ん・・・目、覚めた」
「私、今日も仕事で遅くなるけど、あんた出掛けるんでしょ?ご飯作ってないからね?」
「んー。食ってくる」
リビングへ向かうと母がもう身支度をして出かける直前だった。普段から忙しく飛び回っている両親となかなか顔を会わせる時間もない。
「じゃあ、行ってくるー」
「いってらっしゃい」
手を振るとあくびをしながらテレビをつける。別に見たくもないニュースを流しながらパンを焼く
今日の天気は晴れ・・・か・・・と思いながら冷蔵庫から牛乳とジャムを取り出して朝食の準備をする
穂波に早く会いたい・・・昨日のことをきっと気にしている穂波に会って安心させてやりたかった。穂波の視線に気付いたのは3年になってから。気付くとまっすぐな目で自分を見ていて、視線に気づいて振り返ると何事もなかったように視線を逸らす穂波。それが何度も何度も続いて視線を合わせたいという欲求にすぐ変わった
好きなのか・・・そう自分で認めるのが怖くて好きだと寄ってきた一人と付き合うことにしたが、彼女は穂波とどこか似ていても穂波ではなく・・・余計に穂波への恋心を認めるしかなくなった
「お、おはよう。一弥、早起きだな」
「おはよ・・・パン、食う?」
「あぁ、食べる」
父親が新聞を手にリビングへやってくると東谷はトースターにパンを突っ込み、またぼーっとテレビを見ながら焼いたパンを口に運ぶ
「母さんはもう仕事行った?」
「んー。親父は?仕事?」
「昼からなー」
「そっか」
「お前はデートか?」
「・・・友達と遊びに行くだけ」
そう言って『あ、デートか?』と気付いたが、訂正もすることなくパンを牛乳で流し込んで席を立つ。普段会話らしい会話をあまりしてこなかったからこんなとき、父親と二人きりだとどうしたらいいのか判らずつい逃げてしまう
「一弥」
「ん?」
「部活、どうだ?」
「どう・・・って・・・」
「すぐに背番号は貰えそうなのか?」
「あー、んー、まだわかんねぇけど、内野でも外野でもどっかには入り込めるように努力はする」
「そうか」
父が自分のやっている野球に興味なんかがあったのか・・・と少しだけ嬉しくなると東谷は焼けたパンを皿に載せて父の前に置いた
「今度、休みが合ったら試合とか見に行くな」
「あぁ・・・」
今まで見に来たためしはない。だが、それでもその気持ちで充分だった・・・

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コメントありがとうございます
あわわわ!素晴らしい案ありがとうございますー!!!!考えておきますっ!
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