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つれないキミと売れてる僕9 - 03/15 Sun

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夕食の後、もうじきオフも終わるなぁ・・・と思いながら須野はビールを机の上に置く

それを受け取った里見はビールを開けると一度深呼吸する


「須野・・・」
「ん?」
「お前・・・聞かないけど・・・気にはしてたんだよな?」
「何を?」
「・・・オレがひきこもった理由」

須野の手が止まる・・・

聞きたかった
気になっていた
ずっと
ずっと・・・


「オレさー、人殺しかけた」
「・・・え?」
「あー・・・直接的にじゃねぇけど・・・殺しかけたのはホント」





小説家というのを隠しながら働いていたあの頃・・・

相変わらずモテている自分を理解しながら付き合ったりかわしたりの毎日を送っていた
彼にとって告白されるというのも日常的・・・この時もそんな日常的なことから始まった

「里見くんが好き・・・できたら付き合いたい」

彼女からの告白はとても衝撃的だった。
彼女は友人。そして同期の彼女・・・
3人で食事や飲みに行くことはあっても彼女と二人きりになるなんてこれが初めてのこと

「・・・いや、橋本さんはあいつの彼女だし、それ以上には見れない」
「・・・彼よりも里見くんのほうが趣味もあうし、話も弾むからつい・・・気持ちが抑えられなくなっちゃった・・・ごめんね。また今度一緒にご飯行こうね?」
「うん。ごめん・・・」

そう言って断る。
それで終わったはずだった・・・


しかし、翌日から周りの目がおかしくなってくる
里見を見るとヒソヒソ・・・見られるのは慣れている里見も冷ややかだったり判りやすいモーションを掛け続けられるとおかしいと思うようになった

「里見!」
「あぁ、吉田」

同期の、昨日告白してきた橋本の彼氏である吉田に呼ばれると人気のない階段の踊り場に引っ張られ、突然殴られる

「痛って・・・なにすんだよ!」

突然の顔の痛みに驚くとすごい剣幕で胸ぐらを掴まれ、また殴られる・・・と身構えると

「どういうことだよ!人の女に手を出すって!」
「・・・は?」

そしてまた殴られる・・・痛みと意味のわからない言葉に怒りを覚えていると吉田は壁に里見を押し付け頭を打ち付ける

「依子と寝たんだろ?」
「寝てねぇっ!」
「友達だと思ってたのに・・・裏切るなんて!」

ダンッとまた頭を打ちつけられて痛みで視界がゆがむ・・・
何を言われているのか全く分からない・・・
確かなのは自分は彼女と寝ていないということだけ

「お前のそのきれいな顔にだまされたって依子も泣いてる!クソ野郎」

そう言うと里見を離した吉田は階段を下りて行く
その場で殴られた頬に手を当て、切れた口元をその手で拭った

何が起こったのか・・・さっぱり判らなかった
告白されてすぐに断ったのに寝たことになって・・・
二人きりになったのも一瞬のことだったのに


それから女性たちのよそよそしい態度に加えて、里見の作成した報告書、プレゼンテーションの資料が消去されたり紛失したりといったことが多発する。
もちろん、里見には身に覚えのない紛失やデータの消去・・・


「里見くん、キミ、最近集中してないからじゃないか?女性関係も程々に・・・と勧めるよ」

と上司に言われてからは同僚からも冷たくされるようになる。
会議の時間も開催さえも教えてもらえず、客からの電話も取り次いでもらえない・・・そんな状態が続くがそれでも仕事を続けるしかなかった

ある日、消されたプレゼン資料を作成するために1人残業をしていると

「里見くん、差し入れ」

と女性が入ってくる

「あぁ・・・ありがとう」

里見がコンビニの袋を受け取るとサンドイッチと温かいコーヒーを取り出して口にする
疲れていた
毎日が疲れる・・・

「あの・・・さ、橋本さんのことやり捨てしたって嘘だよね?」
「え?」

それは身に覚えのない話・・・

「や、私は信じてないんだけど・・・すごい噂になってるから・・・ほら、里見くんカッコイイからあの顔で迫られたら彼氏いても断れないよねー・・・とか」
「してない・・・そんな関係になったことないよ」
「そう、だよね!だと思ったー!私は信じてたけどあんまりにもみんな噂するからー」
「そっか・・・だからみんな変な目でオレのこと見てたんだなぁ・・・教えてくれてありがとう福山さん」

里見がそう笑う「みんな見てくるのに教えてくれないから・・・」と言いながらコーヒーでサンドイッチを流し込む
全てが納得できた

振られた腹いせにありもしないことを言い振らされるということは今までにもあったが、今回のは酷い。
それならば須野と付き合ってるからだ、ホモだと言われていたあの時の方がマシだっただろう

「私の名前・・・知ってくれててびっくり」
「あぁ、オレ、この会社の美人の顔みんな覚えてるから」

きっとこの性格も誤解を招く原因なのだと言いながら自分でも理解した

「ふふ・・・嬉しいなぁ・・・里見くんから嘘でも美人って言われてー・・・私も里見くんのことが好きな1人だから」
「ありがとう」

この展開になるのは判っていた
自分の魅力を理解したうえでの行動・・・
疲れていた
もう毎日に疲れていてどこかに救いを求めたかった・・・

「あ、あのさ!もしよかったら私と付き合わない?そしたら噂も消えるかなぁー・・・なんて私ズルいね」
「福山さん今フリーなの?」
「半年前に彼氏と別れてからフリーですっ!」
「そっか・・・なら付き合おうよ」

基本は来るもの拒まずの里見。今回は仕向けた分、当然の結論・・・
橋本も彼氏がいなければきっと里見は拒まなかった・・・同期の彼女じゃなければ・・・

「オレ、別にやり捨てとかしないよ?」
「うん!っていうか噂がホントでも里見くんなら全然オッケー!想い出くださいっ!」
「オレ、そんな悪い男じゃないって」

そう笑うが、本当は悪い男・・・
散々虜にして嫌われるように仕向ける・・・
すぐに飽きてしまう・・・どの女も邪魔になる

寂しい時だけ
辛い時だけ
自分が必要な時だけ傍にいてほしい


しかし、目の前で喜ぶ福山を見ていると本当に可愛いと思ったし、笑顔にしてあげようとも思えた。
・・・この笑顔が二度と見られなくなるなんてその時は全く予想もしてなかった・・・





「里見くん!お昼行こー」
「ちょっと待ってて・・・ここが終わったら行ける」

あれから毎日昼休みに里見を呼びに来る福山・・・二人が付き合っていると噂になるのはすぐだった。
付き合っているとなると、橋本をやり捨てしたという話が狂言だったのではとすぐに噂を呼び、里見を見る周りの目も静かになり、嫌がらせも減ってきた頃・・・それは起こった



「里見くん・・・なんでこいつなの?」
「・・・橋本・・・さん?」
「なんで?!」

突然現れた橋本の手にはカッターナイフが握られていて、社内が緊迫した雰囲気になった瞬間にカッターナイフが彼女の顔に振りおろされた

「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」

社内に響き渡る悲鳴・・・
飛び散る血

里見のワイシャツが赤く染まる・・・

「きゅ・・・救急車!!!誰か!!!!!救急車!!!!」

慌てて福山を抱きしめ血の噴き出る顔を止血しようとハンカチで押えるが止まらない・・・

「里見くんが悪いの。私を振るから・・・こんな女と付き合うから・・・」

そう言ってよろめくと手に触れたノートパソコンを持ち上げて里見めがけて振りおろす

何度も何度もノートパソコンで殴られて里見は意識を失った



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やっと里見の過去まで到達・・・まだまだ一章なのになぁw
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