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青春はプールの中で2-6 - 07/27 Mon

trackback (-) | comment (0) | 青春はプールの中で
柚木は柿内を駅まで送ると戻った部屋に球も戻って来る

「さて、流ちゃん?」
「何?」
「春休み、泳ぎたくない?」
「え?泳ぎたい」
「よし!決まり!」
「何が?」

球からのその話は突然。今まで出たこともない話

「うちの大学おいでー」
「え!」
「泳げるよ」
「え・・・ホント?!」
「うん。先輩に話通しておいたー。オレの部屋で泊まればいいだろ?インターハイ予選に1500間に合わせるには春の練習は必須だよなー。毎年早ぇんだよ。予選」
「マジで?イイの?」
「雑用とかやらされるだろうとは思うけどそれくらい流ちゃんできるっしょ?」
「やる!なんでもやるっ!」

柚木は何度も頷く。嬉しくて嬉しくて仕方ない。春休みは市民プールで春の水泳教室があるから自由に泳げないし、どうしようかと柿内とこの間話していたところだった

「あ・・・」
「ん?」
「柿内も・・・ダメ?」
「え?!」
「柿内ももう少し泳ぎこませれば標準タイム切れると思うんだ!柿内も一緒に!ダメ?!兄ちゃん!」
「ちょ・・・今、今ここで兄貴じゃなくて兄ちゃんとか天使みたいに呼ぶ?!あーもー流ちゃんかわいすぎるーーー」

球はたまらず抱きしめる。ただ、可愛くて。弟の願いをなんでも聞いてやりたくなる
似ていない弟。体型も顔も自分や秀とは違って、妹とも違って・・・1番可愛くて仕方がない弟が彼だった

「でも・・・な、オレの部屋、狭いわけよ。流ちゃんくらいしか泊めてやれないかもなぁ・・・って」
「・・・竹市さんは?そっちにいつ引っ越すの?竹市さんに頼むのは無理?」
「あぁー・・・あぁ・・・そっか。たけちゃんがいるか・・・卒業式終わったらいろいろ準備するって言ってたけど・・・早めに部活合流して入学式前から泳ぐ予定だし・・・」
「竹市さんに頼んでもイイ?オレ、柿内にインターハイ出てほしい」

弟の口から何度も繰り返される柿内の名前に嫉妬する。やっぱり好きなのか・・・と思うとなんとも言えない気分になる

「・・・カッキーが大事なんだな?」
「うん」
「え・・・」

さっきまで否定していたのが肯定に変化する・・・

「好きかどうかっていうのは恋愛感情なのかまだあやふやな部分もあるけど、大事。これはホント。確実に思ってる」
「そっか・・・」
「だから、一緒に泳いで上を目指したい。種目も違うし、オレはリレーのメンバーですらないけど、オレは1500ならインターハイ目指せるし、柿内ももう少しで標準タイム切れるから。行くなら一緒がイイ」

球は弟の頭を撫でる。強い意志・・・今までも強いとは思っていたが、今まで以上に強くなった。きっともう兄や弟と比べられてひっそりと涙する柚木 流はどこにもいない

「うん。だね・・・じゃあ、お兄ちゃんはたけちゃんにお願いしてあげる。お母さんにも言っておくよ」
「うん」
「お母さんに先に食糧大量に送っといてもらわないとな・・・お米とか・・・」
「あぁ、それ必要!」

柚木は笑うと球にまた頭を撫でられる。子どもみたいにされているようで頭を撫でられるのは嫌いだった。それでも今、大きく温かい兄の手が心地よく感じたのだった







「ってわけなんだよねー」
「・・・」
「だから、カッキーの春休み中、預かってくんない?うちは流ちゃんだけで手一杯ー」
「・・・2週間くらいだっけ?」
「うん。そう」
「球さん、入学式終わったらなんかの合宿でしばらくいないんじゃなかったっけ?」
「うん。強化合宿ある」

球は春休みの話を竹市に初めて話す。渋ってはいるがきっと了承してくれるものだと信じて・・・なんだかんだ言っても竹市は球の言う通りにしてくれてきたのだから

「じゃあ・・・あれだな。しばらくおあずけ?」
「・・・は?」
「あぁ、だってそうだろ。折角独り暮らしすんのにすぐに柿内が家に来て、あんたとしばらくゆっくり過ごせると思ったのもおあずけっつーことな?別にいいけど」

球は青い顔で首を振る

「ヤダ」
「でも、そういうことだろ」
「・・・ムリ」

球が竹市のTシャツを掴むが竹市は目も合わせてくれない。帰るまであと時間はほんの少ししかないのに、これが終わったら卒業式まで会えないのに。またしばらく遠距離になってしまうのに・・・

「たけちゃん・・・こっち見てよ」
「あーあー・・・ホント勝手だよな。球さん・・・オレ、たまにイライラすんだよね・・・今もだけど」
「え?」
「いっつも我慢してんの自分だけだとか思ってるところとか?オレが怒ってるとそうやって可愛く縋って許されると思ってるところとか?」

竹市はため息を吐くと球に掴まれたシャツを引っ張る
今日だって、午後からの登校にしたのは球のため。大学だって球のいる大学にしたし、ずっと水泳でも頑張ってきた・・・いつの間にか全て球のために動いている自分の人生。たまにこのままでいいのかと思うが、それでもどうしてもついて行ってしまう。引き寄せられてしまう・・・

「たけちゃん、怒ってる・・・よね」
「うん」
「あの・・・でも・・・流ちゃんをどうしても喜ばせたくて・・・どうしたら・・・」
「・・・あんたがうち来て、ユズと柿内をあんたの部屋に泊まらせたら解決・・・かもな?」
「それもダメ!」

球は頭を振る。弟のことが好きだという柿内を一緒の部屋に泊めるだなんて。しかも、その間監視がないだなんて・・・

「ふーん・・・あぁ、そう」

竹市は冷たい目で球を見ると立ち上がる

「なんか、やっぱり学校行くわ」
「え・・・」
「ちょっと今、あんたに優しくできないし。余計イラつきそう」



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竹市は球にだけ結構冷たい・・・ように見せかけて球が大好き!っていうのが竹市だったりする。多分球がドMなんだと思う。
柚木や柿内にとって竹市は結構いい先輩だったハズ・・・書ききれてないけども。基本は面倒見いいはず
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