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それは鬼門5 - 07/29 Wed

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3年から4年に上がる・・・そんな間に、日置のプロ入りは確定したし、引田のほうも話は進んでいるような噂を耳にはしたが、直接ははっきり聞いてはいない・・・それどころか、最近では休みが合ったとしても予定を合わせたり飲んだりはしていないし、講義ももう消化分でほとんど入っていなくて、ほぼ毎日体育館と部屋との往復だけ・・・

「なぁなぁ、聞いたー?」
「何が?」
「ほらー、バスケ部のー・・・うーん?お前の友達!」
「・・・誰?」
「えええー!お前バスケ部の友達いんじゃんっ!よく一緒にいた奴だってー」

バスケ部の友達なんて引田以外にいない・・・でも、それでも今は友達だなんて思えない
忘れたい。忘れたい。バスケ部なんて存在も忘れてしまいたい

「まぁ、いいや。あいつさー、海外のプロテストこの間受けたらしいよー!」
「・・・へぇ・・・」

海外・・・それすらも聞いていなかった
自分からどこへ行くのかも言わなかったし、言わないから聞くこともなかった。それがまさか国外のものだなんて思いもしないことで・・・

「あいつ試合とかすげぇらしいよー。見たことあるー?」
「ない」
「ふーん・・・オレ、今度バスケ部の試合見に行こうかなぁ・・・お前も行かね?」
「行かない」

日置はそう言って練習着のまま学校を出る。海外・・・?卒業してもたまに、本当にたまにだったら会えるかもしれない・・・なんて希望はどこかへ消える。今よりもずっと会う機会は減る。そんなのは予想していたが、海外だなんて・・・



ダンッ

引田がぼーっと食事を摂っているところに玄関のドアが大きく鳴って思わず大きな体を飛び上がらせた

ダンダンダンッ

誰かの悪戯かなにかかとも思ったが、これはどうやらノックのつもりらしい・・・

「はい・・・?」

ドアを開けると・・・

「・・・竜馬・・・?」

なぜか怒った顔の日置で・・・日置は無言で開いたドアから中へ入っていく

「え・・・何?今日約束してたっけ?っていうか・・・久し振り・・・」
「・・・バスケ部が嫌いだ」
「・・・うん」

それは判っているとでも言うように微笑んで頷く。聞きなれた言葉。毎回ショックを受けていたら心がきっと壊れるから聞き流すことにしたその言葉。いくら日置にバスケ部が嫌いと言われても自分はバスケがやっぱり好きだし、それは変えられないから・・・好きで好きでどうしても好きで、一度だけ触れたいと願っていたら歯止めが利かなくなったあの日・・・触れたら止まらなくて・・・縋るように謝り続けたら快楽に流されてくれた日置に感謝し、わざと距離を少しずつおいていった想い人
嫌いと言われ続けてきっとどこかが壊れてしまったのだと今は思える。壊れてしまったから手を伸ばさずにはいられなくて。そして、離れた・・・

「オレはバスケ部のやつ嫌いだ」
「・・・知ってるってば・・・」
「でも、お前は別だった・・・ホントに特別だった!」
「・・・ごめん」

「特別」だったのにそれを他と同じように「嫌い」したのは自分自身・・・引田の心をギュッと締め付けるその事実

「でもやっぱりオレはバスケ部が」
「もうっ・・・嫌いって言うな!」

怒鳴ってしまったのはもう聞きたくないから。心が拒むから・・・

好きな人から否定される・・・否定され続けるのは苦しすぎて壊れる・・・とっくに粉々になった心を更に痛めつける

「っ・・・アメリカ?」
「え?」
「海外・・・」
「あぁ・・・あれ・・・ヨーロッパの方・・・かな」
「・・・聞いてねぇけど・・・」
「言ってないから」
「・・・オレ・・・ら・・・友達だったよなぁ?お前がオレのことを好きだっつー時点で友達じゃなかったとかそういうこと?」

そういえば、練習着のままだと思いながら日置を見つめる。外周のときにそっと覗いたバレー部・・・いつもこの姿で真剣にコートに立っていた日置・・・恋い焦がれ。甘い胸の痛みを感じながらそっと隠してた夏の熱いランニングのオアシス・・・

「もし、言ってたら・・・どうした?」
「は?」
「言ってたら・・・竜馬は優しいから海外行くやつだしもう会わないから・・・って割り切って卒業まで付き合ってくれてた?」
「・・・な・・・?」
「何も変わらないだろ?関係の発展が望めないから避けたんじゃない・・・いつもバスケ部が嫌いだって言われるのがきつくて・・・矢島連れて来た時、もうダメだって思った・・・あれ以上聞いてたらオレ、泣く。マジで・・・」

あの日、日置が見た顔はホッとした顔でもなく、行かないでほしいという顔でもなく・・・泣く寸前の顔

「じゃあ、もし付き合ってやるっつってたらどうしてたわけ?そしたら海外行くとかオレに話したし、もっともっと話したか?っていうか話したかったか?」
「・・・そんなの・・・」

もしもなんてもう存在しない。過ぎ去った時間は元に戻せないのだから・・・でも、もし、付き合っていたら・・・?きっと・・・

「海外のプロテストなんて受けなかった」

そう。きっと受けなかった・・・幸せでここに留まりたくて・・・その幸せが一分でも長く続くのならばいいと思ったかもしれない

「・・・バスケ部なんて嫌いだ」




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あ、あれですよ。日置にやたらとバスケ部が嫌いだとか言わせてるけど水尾、バスケを目の敵にしてるわけじゃないからねっ!
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