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1回の表3 - 08/11 Tue

trackback (-) | comment (0) | 野球少年恋をする
昼ご飯を食べたら集合・・・とは言ったものの、各家庭の昼ご飯事情なんて知る由もなく、泉は時計を見て家を出る時間を見計らっていた
泉家の休日昼食は早い。そもそも、朝が早いから自動的に昼食も早くなってしまうのだ

「・・・何、あんた予定あんの?」
「あ?あぁ、安曇と昼飯食ったらって約束したけど普通の昼飯って12時?」
「・・・さぁ?13時の家もあるんじゃないの?っつかそんなの連絡すりゃいいじゃない」

あまりにも時計を見てため息を吐く息子に母がしびれを切らしてそう聞いたのだが、また呆れるようなことを言われて今度は母がため息を吐きながらそう言った

「まぁ、そーなんだけど・・・さ」

こちらから連絡をするのは楽しみにしているようで癪でなんだか嫌だったが、時間がはっきりしないのも道のど真ん中で待ちぼうけするのも恥ずかしくて携帯を掴むと部屋へ向かう

「・・・」

道のど真ん中で・・・あぁ、昨日、安曇はずっと待っていたのか。と気付くと携帯の画面に安曇の名前を表示させる

電子音がしばらく続いて

『もしもし』

聞きなれた声が電話から聞こえた

「あー、あのさー」
『あ、もしかして、ダメになった?』
「あぁ?」
『や、無理しなくていいよぉー』

何か勘違いでもさせたのか安曇はずっとへらへらと「いいよぉ。また遊ぼうよぉ」と言い続けている

「じゃなくって」
『んー?』

その時、電話の向こうからクラクションのような音が聞こえて泉はハッとした

「お前、もしかしてもう外?!」
『うん?あー、うん、そー』
「ずっと待ってんの!?」
『ずっと・・・じゃないけど』

泉は「待ってろ!」と叫ぶように短く言うとグローブを掴んで財布をポケットにねじ込んで部屋を飛び出す

「行ってくる!」

母にそう言うと走って外へ出て、いつもの分かれ道へと急いだ



「あー、何?走ってきたの?のんびり来ればよかったのにー」
「・・・お前・・・いつから・・・っ」

電柱に寄りかかっている安曇の姿を見つけて息を切らしながら泉は謝る

「だってさぁ、泉ん家、昼飯いっつも早いじゃん?」

笑顔でそう言った安曇を見てなぜか胸が痛んだ

「んじゃー、キャッチボール日和だし?キャッチボールしに行こうかぁ」
「安曇」
「うーん?」
「・・・いや、なんでもない」

何を言いかけたのか自分自身にも判らない。でも、何か口から勝手に飛び出しそうになった言葉。なぜそれを押さえたのかも分からない。飛び出しそうになった言葉も判らない。脳より早く、口が勝手に何かを発しそうになったから・・・
グラウンドがある河川敷。丁度、野球をやっていてそれを眺めながら近くの空き地で少し距離を取る

「うっわーなんか懐かしいねー。この感じー。昔、お父さんとやったかもー」
「・・・だな」

ボールが弓なりになりながら落ちてきて、それを受ける。いつもと違うキャッチボール。泉が持ってきたグローブもいつも部活で使っているキャッチャーミットではない。それでも使い慣れたグローブ

「泉ー」
「あぁ?」
「この後さー」

ボールが投げられ、それを受ける

「オレん家来ない?」

泉はボールを握ったまま少し離れた安曇を見つめる

「なんで?」
「親いないからー・・・んで、ピザでも食べろってお金置いてったからー」
「・・・そうか」

握ったボールを投げ返して「いいよ」と短く言うとボールをキャッチした安曇が笑ってまたボールを投げ返してきた


散々キャッチボールをした後、それを見ていた河川敷のグラウンドで野球をしていた人たちが「一緒にやらないか?」と声を掛けてきて何故か飛び入り参加して野球をした後、汗をかいて少し汚れたお互いを見て笑いながら安曇の家へと向かう

「なんでオレらオフの日までこんなドロドロになって野球やってんのぉー?」
「っつか、お前が言い出したからな?」
「えぇー?!でも、声掛けられた後、笑顔で混ぜてください!って言ったの泉じゃぁーん」

部活とは違う野球。普段使っている硬式ボールでもなかったし、ユニフォームもなかったけれどそれでも確かに楽しかった

「ピザ何食べよーかー・・・っつかあれだね!シャワー浴びなくちゃだー・・・洋服貸すよぉー」

安曇の家へ入ると久し振りすぎる安曇の家の匂いに懐かしさを感じる

「あー、オレ、頼んでおくからさぁ、泉、先にシャワー浴びたらー?ジャージならサイズ大丈夫だよねー」

安曇が差し出したジャージとTシャツを受け取るとピザのチラシを見つめる安曇に「オレ、これ食いたい」と伝えてシャワーへと向かった

さっぱりした泉が戻ると今度は安曇が入れ替わりシャワーへ向かい、安曇が戻った頃に丁度ピザが届く

「今日はなーんか充実したオフだったなぁー」
「・・・まぁ、あの試合、めちゃくちゃで楽しかったけどな」
「あぁ、そう!あの代打で出てきたあのおっさん・・・ウケたぁ」

ピザを頬張りながら試合を思い出して笑う安曇。それを頷きながら微笑む泉

「・・・」
「?」

笑ったかと思ったら急に泉を見つめたまま真顔になって少し俯いた安曇に首を傾げる

「・・・どした?」

黙ったままの安曇にノドに何か詰まったのか心配して飲み物を差し出しながら顔を覗きこむ

「何でもない・・・ごめん。大丈夫」
「安曇?」

また笑顔の安曇に戻る。でも、何か・・・何かが・・・

「っ・・・」
「なんだよ・・・」
「ダメ・・・だぁ・・・やっぱりダメ・・・」
「何?」

また目を伏せた安曇の長い睫毛が震えている気がした


「・・・泉のこと、やっぱり好き」





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泉←安曇な表です

絶対に昔よりも暑くなってる・・・年々暑くなってる。
水尾が学生時代こんな暑くなかったってばー・・・こんなん学校行くだけで干からびるじゃん
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