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青春はプールの中で3-2 - 09/02 Wed

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「ユーズ!」

昼休み、教室で部活のメニューを考えていると呼ばれたことに顔を上げる

「キリちゃん、どしたー?」
「クラスのやつがさー、お前に渡してっつーから持ってきた」
「・・・」
「調理実習のやつ?『ユズくんってすっごい食べるよねー可愛いー』とか言われてたけどお前の人気に嫉妬するわー」
「・・・あ、旨そう」

タッパーを開けるとふわりとベーコンの香り。その香りにつられて手でつまむ

「あぁ、こっちがメインだったかなーラブレター?」

桐井がポケットから手紙を取り出すと柚木の前でペラペラ揺らす

「・・・返すってわけにはいかないのかー。食っちゃった」
「なーに?ユズ、今、彼女いねぇじゃん?っつか1年の時はムカつくくらい彼女いたのに」
「今は部活に夢中っつーかさー」
「あー?お前1年の時から部活に夢中だったじゃんー」

桐井の疑問はもっともだと思う。柿内のことが恥ずかしいわけじゃない。別に言っても構わないとも思うけれど一般的には秘密の関係

「まぁ、とりあえずさー、読んでやってよー。こいつに宿題手伝ってもらったりしてオレは恩があるわけなのよー」
「・・・それ、オレに関係あるか?」

桐井は「友達じゃん」と言って立ち上がる。残されたのはタッパーに入ったジャーマンポテトとラブレター。柚木はため息をつくとラブレターを手にして席を立った



『柚木くんのことがずっと好きです。もしよかったら今度の大会応援行かせてください』


人気のない渡り廊下で読んだ中身。久し振りに受け取ることになったラブレターは可愛い女の子の字で差出人の顔を思い浮かべる。1年の時に同じクラス。去年は選択授業が同じで何度か話したこともある可愛い子・・・
断るのが苦手でそういう雰囲気になるのも避けていたし、バレンタインは本命も避けたくらいなのに不意に訪れた苦手なこと

「あー・・・あぁ・・・はぁー」

手紙を握りしめて盛大にため息を吐くと

「でけぇため息だな。おい」

そう言われて聞きなれた声に慌てて顔を上げてポケットに手紙をねじ込む

「・・・隠すなよ。ラブレターだろ?それ」
「・・・」
「オレの席さー、あそこなんだ・・・寝ようと思ってたらあんたが見えたから来てみたんだけど」

柿内が渡り廊下から少し身を乗り出して指さす校舎

「・・・可愛い子?」
「まぁ、可愛い・・・かなー」
「ふーん」
「勘違いすんなよ?」
「してねぇよ・・・けど・・・苦手だろ?」

なんでもお見通し。そんな顔をして柿内が言う
気まずい・・・

「なー・・・もしかしてさ」
「何?」
「オレのことも断り辛くて・・・とか」
「なっ・・・」
「や、悪ぃ。なんでもねぇ・・・邪魔して悪かった」

いつもこんなことで謝る柿内じゃないのに謝って立ち去ろうとしている柿内の腕を思わず掴む

「・・・何?」
「・・・お前は・・・違う」

そう言って柚木は少し考える

ホントに?

何が違う?

告白されて断るのが苦手で流された・・・?

「また後でなー」

腕を払ってヒラヒラと手を振る柿内の背中を見て柚木はその場に立ち尽くしてポケットに手を入れる
カサリと触れた紙の感触がラブレターの存在を思い出して唇を噛んだ




苦手なものは後回し・・・そんなことをしていたらインターハイ予選のオーダー表を出さなくてはいけない時期に来て、ますます後回しにされる告白の返事

「メドレーリレーのメンバーは今回、さっき発表した通りにする・・・フリーリレーは明日全員タイム計って決めたいと思うから、もし明日外せない予定があるって奴はこの後オレの所に来てくれ」

昼休みを利用した部活ミーティングでそう発表した後、栗山が柚木のもとを訪れる。ここの所毎日のように部活に来ている栗山が欠席なのか・・・?と顔を上げると満面の笑み

「オレ、柚木先輩とリレー出たいですー」
「・・・え?」
「いやぁーだってー、柚木先輩と一緒に泳ぎたいもん」
「・・・いや、でもオレはリレー出ないけど?」
「はぁ?!」

柚木が出ないと言った直後、曇った顔の栗山の後ろで大きな声を上げる柿内
聞こえてしまった声。聞きたくなかった言葉・・・実力はついた。遅い開花だと思った。柚木は今、速い・・・確実に速くなったのに・・・リレーに出ない・・・

「あんたはっ!!!・・・あぁ、そうか・・・もう競泳どうでもいいのか」

柿内はひとり納得して教室を出て行く





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あと、今回の青プは・・・多分1話1話長め・・・(テキストファイルのサイズから見て判断)
そう。ばばばーっと書きすぎて3話分くらいの長さになったファイルもあったっていうねwこりゃいかん!と削ったり分けたりするのが意外と大変でした
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