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青春はプールの中で3-3 - 09/03 Thu

trackback (-) | comment (0) | 青春はプールの中で
「競泳に・・・?」

柿内の言葉で栗山が柚木に詰め寄る

「いや・・・あいつなんか勘違い・・・」
「柚木先輩って高校で泳ぐのもう辞めちゃうんですか?」
「いや・・・あー・・・うん・・・えっと・・・オレ、大学入ったら水球やろうかなぁとか・・・」
「ええええ!!!!じゃ・・・じゃあ今年がラストなんですか?!大学入ったら大会も出ないんですか?!」

栗山の大きな声に振り返る部員もいたが、大抵は興味のなさそうな顔でそのまま部屋を出て行く。そのうちに予鈴が鳴って柚木は栗山の背中を押しながら教室に戻らせる

「ユズー」
「あ?あー、キリちゃん」
「来年は大会でも会えないのかー」
「あー、っていうかあれじゃん。キリちゃんって大学県内じゃん」
「あぁ、そっか。そうだった。お前県外行くんだったな・・・兄貴と一緒のとこだっけ?」

桐井の進学希望は前に話した時に聞いた。柚木とは違う進学先。いつもの会話なのに急に来年のことが寂しく感じる。もう来年はこのメンバーで泳ぐことはない・・・泳ぐどころかこうやって話すことも・・・

「じゃあ今年ラストかー」
「ん。そう・・・ラスト」
「頑張ろうな」

桐井に肩を叩かれてひとつ頷いた柚木は笑って教室に入っていく桐井を見送った



部活でも一度も目が合わず、部活後、隣にいても話ひとつすることのない柿内の肩に触れようとするとそれを振り払うかのように、逃げるように部室を出て行く柿内。いつだって待っててくれるのに。途中まで一緒に帰るというのに・・・

「柿内?・・・待てよ・・・待って!悪い!キリちゃんっ!鍵返しといて!!!」

柚木は慌ててTシャツを着ると濡れた水着をカバンに突っ込み部室を出て柿内を追いかけた



「柿内!」

学校を出て歩いていると後ろから声がして柿内は肩に掛けたカバンを掴み、走り出す

「なんっ!逃げるな!」

柚木と一緒に。2人で見ていたものをひとりで見続けられる気はしない。元々この高校を選んだ時点でインターハイなんて目指してなかった。ただ、泳げればいいと思っていた。だけど柚木に焚き付けられて。春休みに球の大学まで行って練習し、インターハイを目指すようになった・・・でも。それは柚木と共に目指す夢で柿内ひとりでは重すぎる夢

「お前オレに陸上で勝てるとまだ思ってんの?」

結局、すぐに追いつかれて速度を落とす

「何?っつか、今日、家来ねぇ?って言おうと思ったのに」
「・・・なんで?」
「なんでって・・・今日がカレーだから?」

夕飯の支度をさせるためなのかと一瞬疑った。便利屋なのだと卑下した。でもそれは杞憂

「なー、母さんもさー、柿内呼べってうるさいんだよなー」
「なんで・・・」
「竹市さんも向こう行っちゃって来なくなったからかなー」
「はぁ?」
「あれ?カレーんとき結構、竹市さんうち来てたって言わなかった?」
「聞いてねぇよ!っつかひとりで?!」

恋人と一緒になら柿内も理解できたが、ひとりで。確かに竹市のコミュニケーション能力は高くて大会会場でもいつも驚かされたが、まさか恋人不在の恋人実家へひとり行けるなんて思わずため息が漏れる

「母さん、竹市さんと結構メールしてたからなぁ・・・で、来る?」
「・・・行きますよ」

恋人として認められているようで嬉しいから。さすがにひとりでは行けないが、柚木がいるから・・・




「で、なんでお前今日逃げたの?」
「な・・・今聞く?!」

柚木が切り出したのは食卓を囲んでいる時。母も秀も妹の舞までが口を揃えて「逃げた?!」と聞き返し柿内に注目して気まずい

「・・・あんたが・・・競泳もうどーでもいいのかと」
「はぁ?!」
「カッキー、それはないっしょ」
「ないない」
「ないない」

柚木家全員に否定されて柿内は怯む

「だ、けどっ!リレー出ないっつったんですよ?!柚木さん」
「あー、それか・・・」
「流ちゃんリレー出ないの?!」

柚木が皿を空にして席を立っておかわりをよそいにいく

「お前、1500全力で泳いだ後100のタイムどうよ?」

背中を向けたまま柚木がそう聞いてきて柿内は「泳げない」と言う
また山盛りのカレーをもって席に着いた柚木が「だろ?」と言いながら大きな口でカレーを頬張った

「あー、オレは泳げるよ。泳げるけどやっぱタイム落ちる」

柚木はちゃんと考えていたのに何も考えなかったのは柿内のほうで恥ずかしくなる

「タイムトライアルさー、多分、オレ速くなってっからリレーメンバーなれるよ。でもさー、やっぱオレのせいでリレー遅くなるのイヤじゃん?タイム見たらみんな何言っても聞かないだろーしなぁ」
「悪い」

柚木が優しく笑いながら「謝った!珍しい!」と揶揄う

「でも、柿内くんは流とリレー出たかったんじゃない?」

祥子にそう微笑まれると顔を赤くした柿内がひとつ頷く。最後。柚木の高校最後の部活。一緒にリレーで共に戦いたかった

「インハイ予選は無理だけどどっかでリレー出られるようにはするから」
「・・・ん」
「どーせなら公式試合にしよーよ!オレも出るやつね?!兄弟対決!」
「バカ。お前に勝てるか!!!!」

秀の足を蹴ると「痛いー!流ちゃんが蹴ったぁぁぁ!」と騒いで騒がしい柚木家の食卓にただ祥子は微笑んだ



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BLっぽい展開・・・は・・・どこにあるのか・・・という悩める青プ

あぁ、そろそろ本業(まだ辞めてない)のほうやらないとチクチクチクチク攻撃が・・・ううう・・・
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