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青春はプールの中で3-5 - 09/05 Sat

trackback (-) | comment (0) | 青春はプールの中で
翌日、普段あまり部活に来ない人間も集まって「こんなにいたのか」と並んだ全員を見て柿内はプールサイドから皆を見回した

あまり見たことのない名前も知らない1年もちゃんと名前で呼ぶ柚木をまた尊敬する。そういえば竹市も大体の名前を覚えていたし、もし忘れていても自然なトークでその場をやり過ごし、恨まれることもなく名前を確認していたことを思い出して自分にはできないと小さくため息を吐いた

「柿内くん、オレ、柿内くんの隣泳ぐよー」
「まぁ、いいんじゃね?」
「オレに触発されていいタイム出るんじゃなーい?」

またカチンとくる言葉を並べられてゴーグルを握りしめて装着すると余裕の表情の栗山を見る

「オレだって春休み遊んでたわけじゃねぇ」

そう。柚木と練習するためにわざわざ球の大学まで行った。練習した・・・球の作ったメニューを毎日こなしたあの日々を思い出して柿内は口を結ぶ。あの時、積み上げた練習は確実に柿内を速くし、自信を持たせてくれた・・・それを思い出して柿内は飛び込み台に片足を掛けてストレッチする

柚木が手にした笛が鳴る。飛込み台に足の指を掛けると部内でのリレーを決めるタイムトライアルだというのに4コースと5コースの2人の緊迫した空気はまるで大会の時の空気で柚木も2人を見て少し緊張が移る

笛が鳴った瞬間全員が飛込み台を蹴る

そのレースを見守る人間は息を飲む。速かった。今まで泳ぎ終わった部員で自信を失った者もいるくらい
柿内の得意としている種目ではない。柿内の種目はブレストだから・・・なのにこの速さ・・・自由形競技に出ようとしている人間が自信を失うのも判る気がした

「柿内先輩って速かったんだ・・・部活だけなのに」

1年の声が聞こえて柚木は少しだけ視線を声に移動させる。1年が真剣な顔で泳ぎを見ているのを嬉しく思った。速い人間に憧れ、惹き寄せられるのはいいこと。どんどん後に続けばいいと願う

そして2人の手が壁に叩きつけられる

「クソッ!!!!」

コースの壁を叩く栗山を見て柚木はそっと栗山のコースに近付くとしゃがみ込む

「速くなれ。お前ならもっと速くなれる」
「柚木先輩」
「悔しい気持ちは大事だ」

柚木の笑顔を見て栗山は静かに頷いてクールダウンするように潜って軽く泳ぎ始めた

「・・・オレには?」
「あ?」
「・・・なんでもねぇよ。バカ」

柿内のヤキモチだと気付くのに少し時間が掛かったが柚木は少し笑うと柿内の近くで

「お前にはみんないなくなってから褒めてやる」

と小さく呟いた



全員が帰った後、いつものように自主練習を始める前に柚木は柿内に「計って欲しい」とストップウォッチを差し出して飛込み台に上がる

柿内の声で飛び込むと同時にストップウォッチが動き出す



「くそ・・・あんたやっぱリレーメンバー入れんじゃん・・・」

柚木が泳ぎ終わった後、柚木が全員分のタイムを書いたノートと手元のストップウォッチを見比べて柿内は頭を抱える

「やっぱー?オレ、ホント速くなったよなー」
「・・・柚木さん・・・やっぱオレあんたとリレー出たい」
「オレも出たい」

プールに浮かびながら空を見上げる

リレーに出てみたかった。ずっと。ずっと出てみたかったけれど出られなくて・・・
出られるタイムになったのに今度は自分の競技が邪魔をする

「柿内ー」
「あー?」
「オレさー、結構ワガママで欲張りだ」
「んなん知ってるし」
「でもみんなは知らねぇだろ」

みんなの前では頼れる優しい柚木。柿内だけ知ってるワガママで欲張りで強引な柚木。特別な気がして嬉しいが、それをみんなに出せないのも不憫だと思う

「出たい・・・お前とリレーに」
「・・・出ればいい」
「でも・・・1500の後でこのタイム出ない気がする」

柚木の悩みはそこだった。自分のせいで遅くなるのは嫌だ。だけどやっぱり出たい・・・インターハイ予選でもリレーで出たい。最後だから・・・最後だから柿内と一緒に力を合わせて泳ぎたい




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もう競技順番とか忘れたしっ!全体的にでたらめ空想設定で読んでやってください

水尾的に柿内が小さなことで拗ねちゃうのが可愛いと思うんだ。うん。
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