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青春はプールの中で3-6 - 09/06 Sun

trackback (-) | comment (0) | 青春はプールの中で
一晩考えて、柚木はホワイトボードに全員のタイムを書いてプールサイドに皆を集める

「・・・ごめん。出ない気でいたけれど、今、オレのタイムここで計って。もし、上位3人の中に入ったらリレーのメンバーに入りたいと思う」

ざわつく部員・・・まさか柚木が出ると言い出すとは思ってなかった2年と3年。去年までの柚木のタイムからリレーを諦めたのだと昨日思い、何も言わなかった。1年は1年でいつも自主練習までしているけれど、見た目からそう速い選手ではないのだと勝手に想像し、部長なのも人がイイからだと思い込んでいてただ驚く

「はーい。柚木先輩ー!なんで3位以内なんすかー?4人だから4位以内じゃないんですかー?」
「・・・オレはリレーの前に1500に出るから・・・だから3位以内・・・4位以下だったらリレー出ない」

栗山はひとり頷いて「わかりました」とストップウォッチを手にする。3位以内・・・それは柿内、栗山に次いでのタイム。柚木にそれができるのかは疑問だが、応援はしようと思った

皆が見守る中、柚木は飛び込み、皆も初めて見る柚木の本気の泳ぎに息を飲む。思ったよりも・・・想像していたよりもずっと速くて・・・キックの強い力強い泳ぎに皆魅了される

右手が壁に触れるとストップウォッチを握っていた栗山がすぐにホワイトボードを振り返り、叫んだ

「3位ですっ!!!!柚木先輩すごいっす!!!!」

柿内は口許を隠したまま笑うと柚木に視線を送り、小さく頷く
昨日、練習が終わった後、自主練前のタイムよりも早い・・・

「柚木先輩と泳げるーーーっ!!!!うおぉぉぉぉぉっ!!!!!」

栗山の叫び声に紛れて

「柚木先輩って速かった?」
「部長っていうだけあって速かったのか」
「人柄だけなのかと思った。小さいし細いしなぁ・・・」

なんて声が聞こえて柿内はそんな1年の背中を叩く

「努力ってすげぇよな・・・あの人、1年ん時お前らよりも遅かったらしいよ」
「マジっすか!?うっわ。部活だけであんな速くなれるのか・・・」
「オレも頑張ってみようかな・・・」

柚木の泳ぎを見て、柿内の言葉で練習にあまり力を入れていなかった人間も気持ちが入る
柚木もプールから一度上がって全員を見ると笑った

「いいかな・・・オレもリレー入るってことで」

全員が頷き「イイと思いますっ!」と声を揃えた。嬉しかった。嬉しくて胸が熱い
ずっと入りたかったリレーのメンバー。認められたくて必死に泳いで練習してやっと認められたことが嬉しくて・・・部長だからリレーのメンバーに・・・ではない。実力でもぎとったこの位置・・・

「よし、練習始めるぞー」

柚木はホワイトボードを全部消すと手早く今日のメニューを書き始める。ドキドキが収まらない。震える手がホワイトボードの字を汚くする・・・

「柚木さん、書くよ」
「あ・・・あぁ」

そんな柚木の背中を叩いて柿内がしゃがんでホワイトボードに柚木の考え書いてきたメニューを書き写す

「全員アップから始めててくれ」

そう叫んでから柿内の隣にしゃがむ
ちゃんとメニューを写している柿内・・・去年、竹市の傍に柚木がいて、仕事を手伝っていたように今、柚木の傍に柿内がいて仕事を手伝ってくれる・・・後輩の成長・・・柚木は微笑むと柿内の頭を叩く

「お前の字汚ぇー!オレが書いた方がマシだったんじゃねぇの?」
「うっせぇ!あんたが・・・まぁ、うん。よかったな」
「おう・・・今日・・・さ・・・」
「いいよ」
「うん・・・」

部活前の全員がアップしているとき、ひっそりした約束。もっともっと褒めてほしくて、喜びを分かち合いたくてした約束。柚木は頷くとプールへと入ってゴーグルをつけると壁を蹴った




「おつかれっした!!!」

練習が終わると居残り練習をする前に少し片付けを始める柚木

「おつかれー」
「おつかれー」
「ユズー・・・速くなったとは思ってたけど抜かれると思ってなかった」
「あぁ、オレも正直キリちゃんに勝てるなんて思ってなかったから泳ぎ終わってタイム見て焦った」

1年の時からリレーメンバーに選ばれていた桐井は今までリレーに選ばれなかった柚木に抜かれていたことに素直に賞賛を述べる
柚木もまさか桐井に勝てるとは思ってなくて。でもリレーに出たくてずっとずっと出たいと思っていたリレー・・・柚木は少し照れながら笑ってホワイトボードを部室へ運ぶ

「お前すげぇよなー・・・」
「うん?」
「いや、オレ、一応スイミング行ってたじゃん?こないだ受験もあるからって辞めたけどさー」
「あぁ、でもさー、春に兄貴の大学で泳いでたよ」
「うっわー・・・本気・・・まぁ、でも去年の1500もすごかったし元々お前はすげぇやつなんだろうけど」

桐井に頭を撫でられる。柿内程じゃなくても桐井も柚木より背が高くて羨ましかった。ずっと悩んできたこの身長。撫でやすい位置にあるというだけでよく撫でられているのはよくあること。でも、最近はそれをやめてほしくて仕方ない。特に部活で・・・彼の目が届くところで・・・

嫉妬のような視線を受けるから・・・そしてその視線に愛を感じて心地よくさえ感じてしまうから




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夜、耳元でプーンとモスキート音・・・クソッ!蚊かっ!と思うけれど

Σモスキート音って20代前半ぐらいまでしか聞こえないんだよねっ!?じゃあ、私って若者なんじゃないっ?!聞こえる!とテンションが上がる水尾です
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