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運命だとか恋だとか3 - 09/27 Sun

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「じゃあ、変わりなしでいいね?」
「はい。あ、しばらく家に戻りたいんですけど・・・」
「うん。判った。ムツキに伝えておくね」

被験者である女性性のΩと話をしてカルテに書き込むと廊下に出ると白衣を纏ったムツキとすれ違う

「・・・お!丁度良かった。ここの子がしばらく家に帰りたいらしいー」
「何?!今投薬テスト中だからしばらく出られないって最初に言ったのにっ!!!もーーー!あ、さっきの子、目、覚めたけど医務室で休ませてる」
「はーい。んじゃー挨拶してこようーっと」

ムツキは眼鏡の奥で怖い顔をしながらタイチの出てきた扉へ入っていった


トントントン

「はい」
「お邪魔しまーすっ」
「・・・?」
「あー、薬効いたみたいねー!ごめんなー。自転車で車ぶつかったの覚えてるー?」

ヘラヘラと笑うタイチの言葉にツカサは気を失う前のことを思い出して慌てて頭を下げる

「ごめんなさいっ!!!!オレっ!逃げてて急いでて!!!」
「あー、いいのいいのー。どっこも痛くないー?」
「はいっ」
「あ、でもココ、キズ出来てる」

目の横に出来たキズに触れるとツカサは「ひぃあっ」と妙な声を上げてすぐ口を塞ぐ

「・・・痛かった?ごめーん」
「や、違・・・」
「・・・?」

治ったはずの熱が体から生み出されていく。じわじわじわじわ

「な・・・んでっ・・・」
「あれ?ヒート?!薬入れて治ったよね?!合わなかったかなー・・・すぐ薬変えてもらおう」
「っ・・・ふっ・・・」
「あー、辛そう・・・」

触れてもないのに下着に染みができる感覚・・・薬を飲めば大丈夫だったはずの体がおかしくなる

「や、助け・・・熱っ・・・こんな・・・オレじゃないっ」

タイチのシャツにしがみつくツカサを見て頭を撫でるとベッドの横に取り付けられているボタンを押す

すぐに「どうしました?」と返答があって、話せる状態じゃないツカサに代わってタイチが状況を説明する
「すぐに薬持っていきます」と言われた後、優しく抱きしめる

「すぐ楽になるからなー・・・えっと・・・誰くん?」
「つ・・・ツカサっ・・・っ・・・やだっ・・・ヤダヤダヤダっ・・・汚しちゃ・・・」
「大丈夫ー。治ったらすぐ着替えようなー」

白衣を着た医師が来るまでの時間は短かったはずなのに永遠の責め苦に感じられて、もうダメだと思う度にタイチの大きな手がツカサの背中を優しく撫でる。安心・・・でもそれすらも快楽に変換されて今すぐに欲しくなる
望んでもないはずなのに欲しくて欲しくて苦しくて・・・

何度も何度も懇願してしまう

「助けてっ・・・熱い・・・苦しいっ」

その度に「頑張ろうなー」と言われて涙目で見上げてタイチの笑顔に騙され頷くしかなかった



「効かない?なんで?」
「わかりません」
「判らないってどういうこと?!」

ツカサに抑制剤が効かないと報告を受けたムツキは「役立たず!」とカルテを投げつける
タイチは遠くから「まぁまぁー」となだめるが、ムツキの怒りは治らない

「じゃあさー、ムツキー、オレ、説得するから新しい被験者になってもらうってのはどーう??」
「・・・」
「普通の抑制剤効かない若いΩ、珍しいだろ?被験者として欲しいよな?」
「・・・欲しい・・・けど・・・」
「よーし!じゃあツカサちゃん説得してやるってー!」

名前をちゃんと覚えないタイチがツカサの名前を間違えずに言ったことに目を見開く
何事にも興味がないタイチが覚えている・・・なにかを暗示するかのようで妙な胸騒ぎがする

「ムツキー?」
「や、うん。説得・・・頼む」
「よーし!んじゃー早速レッツゴー!」

軽快なステップで部屋を出て行くタイチの背中を見送る
運命の番。番に成り得なかった偽りの運命



「ツカサちゃーんっ!どーう?抑制剤少しは効いたー?」

医務室へ入るとツカサはひとつ頷いて「治ってはないですが」と付け足す

「そっか。あのさー、ツカサちゃんって今まで抑制剤効いてた?」
「はい・・・こんな酷いのはなかった」
「・・・え、オレの車にぶつかった拍子になんか体質が変わった・・・とかじゃないよね。怖い」
「ええ!そんなことあるんですか?!」
「いや、知らないけど」

なにかのきっかけで今まで効いていた抑制剤が効かなくなる。それは聞いたこともあったが、事故で、衝撃で・・・などは知らない話

「・・・どうしよう」
「うーん。まだフェロモンも完全に消えてないしねぇ」
「・・・判るんですか?」
「あぁ、うん。オレ、一応αだから」
「え!」

αと聞いた瞬間に身構えるツカサに両手をヒラヒラ上げて「大丈夫ー!」と言うタイチにαの抑制剤を使っているのか・・・と少し胸を撫で下ろす

「オレ、去勢済みだからー」
「えええ!!!・・・あ、そ、それは・・・」

急にいたそうな顔をして股間に手をやるツカサに頭をブンブン振るタイチ

「いや!チョッキンされてないから!ちゃんとあるから!!排泄も性行為もちゃんと自分の使ってできるからぁ!!!」
「・・・え?」

カンナ博士のα去勢は一般的ではなく、ツカサが知らなくてもおかしくない話

「α性を殺してるだけだから・・・だからオレ、そこらのβよりもよっぽど安全な存在だーよ!フェロモンは感じるけどそれを性と繋げる器官切ってあるからー」
「・・・そんなことできるんですか」
「うん。そう。この研究所はねー、αとΩを研究してるからー」
「・・・じゃあ」
「うん。まだ成功もしてないし、方法すら見つけてないけどΩの去勢も研究してるよ」

タイチの唯一人より優れているところ・・・それはきっとこの人たらしの性・・・βの頃から人に好かれることだけは長けていた。それがαになってからより強く・・・
ツカサもタイチの笑顔に全てを信じて頷く

「オレの去勢もしてくれますか?!」

タイチは「まだ研究中だよー」と微笑みながら「でも、手伝ってくれる?」と尋ねる

「なんでもしますっ!しますっ!!!!」

ツカサが叫ぶようにそう言うとタイチは「よかったー」とツカサの手を握る

「っ、あ・・・ダメ・・・またっ」
「ありゃ、触れると発動しちゃうのかー。じゃあ触らないようにだね!

すぐに離されたタイチの熱。手の先から伝わる熱が手から逃げていく
もっともっと・・・もっと・・・

でもそれ以上、タイチが触れることはなかった




「・・・αが触れると薬が効かなくなる・・・ってことか?」
「うーん?判んないー。オレ、専門的なことぜーんぜん判んないしー」
「・・・データが欲しい」
「うん?」
「抑制剤飲ませて時間をおいてαに触れて発動するか脳波調べたい」
「うっわー。それ、結構酷いよねぇ?」

Ωのヒート状態は苦しそうでどうにかしてあげたくなる。そんなとき、フェロモンに左右されないタイチの仕事がやってくる。ヒートを抑える手伝い・・・
男性器を模ったもので慰める・・・そんなのはヒート状態でαを求めるΩには意味のないものであることが多くて、タイチが体を張ってヒートを治めることも少なくはない
Ωが望むαの体だとしても、毎回辛そうで、タイチはその度に心苦しくなるのだ。どう考えても快楽に流されているだけで感情はそこにないから。目の前で乱れるΩの姿は情欲的で、掻き立てられるものはあるものの、愛のない行為で治めるのはどこか違う気がして・・・

「お前の仕事だろ」
「うーん?」
「束の間の夢でも見させてやるのがお前の役目だ」

ムツキに冷たく言われて「はーい」と返事をしたタイチはいつものようにポケットに手を入れて廊下の窓から外を見る

自由に、薬もなしでヒートがやってくる恐怖もなくΩも外に出られればいい。そういつも月に願う






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うっわ!長いな・・・今回;

・・・というか、この話、あれなの。1話1話が長くなりすぎて切れるところでは切って分けたりもしたのだけれど、切り所が判らなくてこうやって長い話も交じっている・・・うう
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2015/09/27 Sun 12:20:50
Re: タイトルなし : 水尾 央 @-
>ラムまま様
コメントありがとうございます♪
この長さイイですかー?!私も長くても全然かまわないんですがw短くても気になるしー長くても気になってしまってー;

私もちゃんとは初めて書くお話なので楽しく書きましたー♪今までもSF的なのとかファンタジーもの(しかもどれも長編)をよく書いていたのでこういう方が向いていたりするのかも・・・???いや・・・っていうかBLっていうジャンル自体ファンタジー・・・と言ってしまえばそれまでだったりするのか・・・(笑)

まだしばらく続きますのでよろしくお願いしますー♪
2015/09/27 Sun 15:56:13 URL

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