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つれないキミと売れてる僕6-2 - 10/10 Sat

trackback (-) | comment (0) | つれないキミと売れてる僕
葛西がキーキー叫びながら部屋を出た後、里見は大きくため息を吐いた

「葛西のパワーは相変わらずだね・・・」
「ホントあいつなんなんだよ・・・勝手に・・・」

里見はそう言うが、葛西の強引さをある程度受け入れているのも須野は知っている
そうでなければきっとここへ住み続けている今はないだろう

「里見は会いたい人とかいないの?」
「あー?会いたくない奴らならたくさんいるけどな」
「それ、みんな女の子でしょう?」

須野が苦笑すると里見は須野の頭を撫でて「かもな」と呟いてまたソファへと座る

「や、妬かないよ?!」
「あー?そんな心配してねぇし」
「うん。でも・・・なんとなく僕の決意みたいな?」
「お前会いたいやついるの?」

須野は微笑んで本に目を落とした里見の首元にそっと腕を回す

「ここにいる人が僕の全て」
「・・・んー」

判っていた。そんな顔をしてそのまま本のページをめくる
2人とも高校時代を懐かしむことも振り返ることも大してない。全てここにあるから。想い出も全て。なにもかも・・・






「あんたたち、来る前に連絡しなさいって何度言えばわかるわけ?!」
「ごめん・・・里見がいつも突然行くからいいって・・・」
「寛人!光のいうことばっか聞いてないで勝手に連絡して来ればいいのっ!」
「春ちゃーんっ!それ無理でしょー!須野ちゃんは光のいうことが絶対だーよー」

馴染みの小料理屋へ訪れた3人はいつもの小部屋に直接向かう

「あれ?須野くん?」
「?」

不意に名前を呼ばれて振り返った須野はいつもの余所行きの笑顔を作ると深々と頭を下げた

「お久しぶりです。今回も無事秋保役できます」
「・・・っ!」

いつもなら須野の知り合いに会ったところでスルーして目的地を見たままの里見がその人物を見て立ち止まり、目を見開いた

「もう原作の設定だけ活きてて私はノータッチだよ。あぁ、君たち、アレでしょ?噂の仲良し3人組」
「ええ。彼が・・・」
「うん。知ってる。皐月先生でしょう?」
「!」

里見が頭を下げてから顔を上げる
目の前にいる男性こそ、太陽の沈む影の原作者、桂城 連司であった

「最近はアイドルみたいに雑誌とかテレビに出てるよね・・・昔の方がよかったよ。最近のは軽いものばかりで気が抜けてるんじゃないのかい?」

里見に対する辛口の批評に須野は口を開けて慌てて取り繕うとするが、里見は余裕の表情でもう一度頭を下げた

「まだまだだね。君も」
「精進します」
「あれだよ。もっと視野を広げたほうがいいよー」

里見は少しだけ笑って「ありがとうございます」と礼まで言ってその場を立ち去った
小部屋に入った2人はいつもと様子の違う里見を不思議な目で見てどう声を掛けようか迷っていた

「なんだよ。お前ら変な顔して」
「や・・・だって・・・」
「お前があんな風に言われてお礼とか・・・」
「バーカ・・・内容はどうであれ・・・あれだろ・・・読んでんじゃん。オレの本・・・」

少しだけ照れたような顔をして里見が春子の持ってきたビールをあおる

「それに・・・まだまだっつーことは伸びしろありそうなんだろ・・・オレ」

想像していたよりも前向きな里見に2人はホッとしながら「乾杯」とジョッキを掲げると冷たいビールを流し込む

「なんか・・・光も真面目に小説書いてたんだなぁ・・・って」
「あぁ?真面目じゃなかったらなんだ?てめぇの映画の原作なんだと思ってんだ?」
「あ!そういう意味じゃないよ?違う違うっ!真剣なのは知ってるってばぁー」
「里見はいつだって真剣だよ・・・ただ、なんでもできちゃうから全部余裕に見られちゃうだけだよね?」

須野が「判っている」という顔をして里見に寄り添うと「バカ」と里見に押し退けられる

「オレも判ってんだよ・・・最近余分な仕事ばっかり増やす奴がいるから文字に重みも何もねぇことぐらい」
「え!それオレのコト?!」
「他に誰がいるんだよ!」
「・・・須野ちゃんに手がかかるとか・・・」
「え!僕っ?!ご・・・ごめん」
「・・・」

須野に手がかかる・・・それはない。確かに纏わりついてくるし、邪魔なハズなのに邪魔だと思わない・・・気を遣われて余計に邪魔なことも須野は邪魔になるどころか仕事が進むような気すらする。それはとても本人には言えないけれど、大事な存在であるのは間違いない

「全部てめぇだ。葛西」
「えーえええええーーーーっ!!!っていうか!あれ!あの!『獣』のDVD特典!まだできてないよ!!!!今度カメラ回すからっ!」
「・・・え、それなんだった?」
「ええええええーーー!前言ったじゃーんっ!3人の私生活をちょっと覗き見っていうー」
「待て・・・それ、映画の内容全然関係ねぇだろーが!普通メイキングじゃねぇの?!」

葛西は人差し指を振りながら「ノンノンノーン」と言うと「3人初めての作品をアピールなの」と続け、須野と里見がうんざりした顔をするまで延々とその需要性を語り続けたのだった




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見直し時間が短すぎて色々と抜けてたりミスってたりしまくってそうで怖い・・・

そして、今回比較的短め・・・かもです・・・
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