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つれないキミと売れてる僕6-8 - 10/16 Fri

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葛西は仕事を終えると須野が撮影をしているという現場へと足を向ける

「あ、山口さーん」
「お疲れ様です。仕事?」
「いいえー・・・ちょっと須野ちゃんに用事あってー」
「・・・寛人、なんかあった?なんかすげぇピリピリっつーか・・・」
「なんかあったー・・・っていうか・・・その件でオレも須野ちゃんに用事っすー」

葛西は笑顔で須野のマネージャーにそう言うと真剣な顔で演技をしている須野を見つめる

いつだって優しくて笑っていて・・・そんなイメージは皆の勝手なイメージ。本当は独占欲の強い男だということは多分葛西だけが知っている。里見も知らない須野の一面・・・
高校の時からそう。初めて里見に話し掛けたとき、笑顔で近寄るなというオーラを出し続けていた須野・・・それをなんとか懐柔して今の場所を手に入れるまでにどれだけ苦労したのか誰も知らない・・・

人に簡単に心を開かない里見よりもその隣・・・ご主人を守る番犬のように目を光らせる須野に取り入るのがどれだけ大変なことか・・・




「お疲れー」
「葛西・・・」
「ちょっとだけ時間いーい?」
「あぁ、うん・・・少しなら・・・」

葛西においでおいでとされて、人払いを済ませた個室へと入る

「えーっと、須野ちゃん、オレがなんで呼び出したか判るー?」
「・・・里見・・・のこと」
「うーん・・・ハズれてないけどーちょーっと違うー」
「・・・?」

須野が顔を上げて首を傾げると少しだけ怖い顔をした葛西が「めっ」と指を突き付けてくる

「部屋勝手に改造したらダーメ!」
「あ・・・」
「もー、あれどうやってつけたのさー・・・っていうかいつつけたのー」
「・・・昨日・・・仕事終わってから・・・」
「うん。だよねぇ・・・そうだとは思うけど・・・ずいぶん静かに作業できるもんなんだなぁ・・・と」
「・・・里見に気付かれないように・・・」
「あれが須野ちゃんの監禁?」
「・・・」

須野は俯きながら静かに首を振る

「・・・ただ、僕は・・・里見にもう他の誰かが触れてほしくない・・・」
「今日さー・・・光、仕事で打ち合わせあったらしいよ?」
「・・・」

ハッとして顔を上げるとさっきとは違って怒った顔じゃない葛西

「うん。光も怒ってはいたけど、何も言わずに閉じ込められたからだと思う」
「・・・」
「大人だからさぁ・・・仕事の勝手な変更とかキャンセルとか結構まずいじゃん?」
「・・・どうしよう・・・」
「それは素直に謝れば光だもん。許してくれ・・・」
「無理だよっ!」

須野がいつもよりも大きい声を出して葛西を驚かせる

「僕、里見に嫌われることした・・・顔、合わせられない」
「・・・え、それ光をあの部屋にずっと閉じ込めておくだけで須野ちゃんも会わないっていう謎の監禁方法?なんか新しい・・・」

嫌われないように今までなんでも尽くしてきた
もしかしたらいつか少しでも自分を好きになってくれる日がくるかもしれないと望んで里見の思うように、尽くしてきた・・・だが、里見の望むことを自分で奪った今、今までの努力も無駄になるのだと思うと怖くて顔を会わせることができない

「里見は誰のものにもならなくてイイ・・・」
「うん?」
「僕のモノにもなっちゃいけない・・・だから僕も会わない・・・」
「・・・閉じ込めてどーすんの?」
「どうするんだろう・・・僕、どうしたいんだと思う?」
「いや、それ、オレが知るわけないし」

須野の頭の中がぐちゃぐちゃになっているのはすぐ判る。どうしたいのかどうしたらいいのか自分でも判らない・・・里見が好きすぎて自分の場所ですら見失ってどこへ向かえばいいのかもわからない・・・

「会いたい・・・里見に会いたい・・・でも会ったらダメ・・・」
「光もお前に会いたいんじゃねぇの?」
「・・・」
「須野ちゃんさぁ・・・自信持っていいって・・・あいつはホント今までどうしようもないダメ男だったけど、須野ちゃんと付き合い始めてからホント変わって浮気らしい浮気もしてないと思うよ?あいつの浮気性なんて病気レベルだったのにそれ、最近ないでしょ!」
「うん・・・でも、僕が気付いてないだけかも・・・」

付き合い始めてデートをした帰り道、誘われた女性と・・・なんて話も聞いたことがあったし、デートの途中なのに別の女性とこっそり連絡先を交換したことも知ってる。でも、最近はそんな話も聞かないし、里見の新しい携帯に新しい女の番号が登録されていないのも知ってる・・・でも、それは須野が幸せで見えていないだけなのかもしれない・・・そう思えば思うほど疑ってしまう

「・・・だから、須野ちゃんで満たされてんだよ。あの男は」

そんなはずがない・・・満たされているならなんで・・・なんで・・・








結局打ち合わせはパソコンがあれば音声チャットとメールでなんとかなるもので里見は手を止めて天井を見上げて息を吐き出す

自分から部屋を出なかったあの時と同じ。なんでもとりあえず上手くやれる・・・


ピリリ・・・

携帯が鳴って画面を見ると恭子の名前が浮かび上がっていて電話を耳に当てる

「はい」
『今日来るんじゃなかったの?』
「あー・・・しばらく行けねぇと思う」
『あ!須野っちに怒られたー?まぁ、こっちはいいけど、ちゃーんと仲直りしなさいよー?』
「んー・・・だな」
『よしっ!じゃあまた来れるようになったら連絡してよ』
「んー」

用件だけの電話。須野を困らせるために恭子と会っていたわけじゃない。後ろめたいことだって何もないから須野に恭子と会ったと言ったし、次の小説に活かそうと取材も進めていた・・・でも、須野は聞かない・・・聞きたくないと言った。じゃあ、どうすることがベストだったのか・・・どうしたらいいのか・・・何をそんなに須野は怒っているのか判らない

恭子とのことを勘違いしているならその誤解を解くべきだと思うし、話をすべきだと思うのに・・・

開かない扉を見つめて里見はひとつその扉を蹴った



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いやー、私も謎なんですよ。須野ちゃんがどうやってマンションの玄関に金属の頑丈なフェンスを作ったかっていうのがー・・・自分の部屋に閉じ込められるっていう図を作りたかったのにその方法が思いつかずこんなでたらめなことに・・・そこは反省しておりますw
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