FC2ブログ

青春はプールの中で4-6 - 11/05 Thu

trackback (-) | comment (0) | 青春はプールの中で
クリスマス当日、柿内はベッドから体を起こすと机の上に置いた紙袋が目に入ってため息を吐く

「・・・くそ」

あの日からまともに連絡が取れていない柚木が連絡を全く取ってくれなくなったのは終業式のあとだった
秀に電話したけれど、特に変わった様子はなくて、ただ自分と連絡がとれないという事実にひたすら頭を悩ませる

連絡が取れなくなってから、栗山にプレゼントを渡せたのか電話してみると興奮した声で受け取ってもらえ、目の前でマフラーを付けてもらえたと言われ、その後には笑顔でマフラーを巻く柚木の姿をメールで送ってきた
だから、連絡が取れないのは・・・避けられているのは自分だけ・・・

「なんかやったかぁ?・・・オレ・・・」

誰もいない家でそう呟いてみるが、誰も答えを返してくれはしない
クリスマスとはいえ、学生以外は普通の平日で、それどころか忙しい年末。柿内の家には今、自分以外誰もいない・・・クリスマスパーティ自体家族でやらなくなって何年も経つ。浮かれた彼女持ちの友人を羨みながら友達と過ごしたのも中学まで・・・今日は久しぶりに入ったクリスマスの予定だったのに、それが自分のせいでなくなろうとしている

何か怒らせてしまうことをしたか・・・


告白をされたことか
ラブレターを捨てずに取っといたことか
交換したTシャツで何度も抜いたことか
それとも栗山とふざけていたことか

思い浮かぶ原因が全部違うようで判らなくて携帯を手にして柚木にかけるのにやっぱり繋がらず、柿内はため息を吐きながら秀に電話をしてみる

何度も何度も秀を頼るのは本当は嫌だった。それでも、今日は柚木の誕生日。そして、クリスマス・・・どうしても、どうしても会って今この目の前にあるプレゼントを渡したい
プレゼントに自信があるわけじゃない・・・それでも、柚木に喜んでもらえるとイイと考えたプレゼント・・・

何度か電話が鳴った後、秀の声が電話の向こうで聞こえる

『カッキー?どうしたのー?あ、今更プレゼントの相談?遅いよー!遅いよカッキー!』
「・・・じゃなくて・・・っていうか、オレ・・・柚木さんに電話に出てもらえなくて・・・」
『え?!ちょ、流ちゃん!どこ行くのー?』

秀の傍に柚木がいるのだと思うと柿内は苦しくなって声を大きく叫んでしまう

「柚木さんっ!」

きっとその声は電話から漏れて柚木の耳にも届いたはずで・・・それでもその後に聞こえてきたのは申し訳なさそうな秀の声

『ごめん。カッキー・・・なんかさー・・・流ちゃん最近機嫌悪いんだよね』
「・・・ん・・・そか・・・」
『ケンカでもしたー?』

冗談でも言うように秀が聞いてくるが、心当たりもないけれど、「そうかもしれない」と呟くと秀が驚いたような声を上げる

『それいつ!?』
「・・・いつって・・・テスト前くらいからまともに連絡取れてねぇけど・・・」
『うっわ・・・流ちゃんがそんなケンカ長引かせるとか何やったのー?』
「・・・それが判りゃオレだって苦労してねぇっつーの・・・あー・・・今日、何時から?」
『それでも誕生日会来ようと思えるカッキーは勇者!っていうかそういうところオレ、好きー!』

秀に好きと言われても・・・と思いながら時間を聞いて立ち上がる

連絡できないなら会いに行くしかないじゃないか・・・そう思って服を着替えると外へと出た





夕方、柚木の家の近くまで行って、本当に来ても大丈夫だったかと悩みながら歩みが遅くなる

インターホンに指を掛けてやっぱり戸惑っていると玄関が開いて2人の体の大きい男が姿を見せる

「柿内?」
「・・・竹市さん・・・」
「あー、秀から聞いたー!カッキー来ちゃダメー!流ちゃん泣かせる奴はムーリー!入らせないよー!」
「泣かせ・・・泣いてたんですか?柚木さんが?」
「なっ・・・泣いてないけどっ!流ちゃんみたいなイイ子を怒らせるってのがオレは許せないー!ほーら帰った帰ったー!」
「・・・っ・・・」

球は口調こそ軽かったが、その目は笑ってなくて、球まで怒っているのだと知る
何をしたのか・・・何がいけなかったのか・・・今まで築いてきた毎日が、関係が崩れるのだと思うと怖くて怖くて球の言う通り柚木の家に背中を向けた

「兄貴!竹市さんっ!母さんがジュースも追加で・・・柿内・・・」

来た道を引き返そうとしていると背中から聞こえた声に思わず振り返る

「っ・・・柚木さんっ!」
「あー・・・ちょっと待ってろ・・・母さんー!オレ、ちょっと出てくるー!」

玄関を開けて上着を手にするとそう声を掛けて出てきた柚木は今にも柚木の元へ駈け出そうとしたのを抑えた球の手を払いのけて腕を引く

「ちょっと話したい事あったんだけど・・・」
「あ・・・ぅん・・・判った」
「流ちゃんっ!イイの!?」
「すぐ戻るから2人は追加買い出し頼んだー!」

腕を引かれて歩く・・・怖い・・・怖かった。ずっと連絡がとれなくて、突然話がある・・・というのは・・・

心当たりがなくても別れる話なのか・・・そう思うと足がどんどん重くなる

「・・・寒ぃな・・・今日」
「ん・・・」
「あー・・・悪かった・・・ずっと無視してて」
「・・・」

ズキンズキンと胸が痛む・・・別れるという言葉が出ても縋ってでも拒否しよう・・・そう思って唇を噛む

「オレ、ずっと考えて悩んでたんだけど」

いよいよ・・・

「栗山に告られた」」
「イヤ・・・は?え?何?」

予測して覚悟していた言葉じゃなかった気がして何を言われたのか把握できない。頭がついていかなかった

「だから、栗山に・・・」
「ちょ・・・え?・・・別れるとかじゃなくて?」
「あ?なんで?」
「・・・」

今まで緊張していた糸が切れたようにその場にへなへなとしゃがみ込む柿内は手に持った紙袋を差し出す




にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ


にほんブログ村

家族に愛されすぎてる柚木なのに秀に認められてる感じの柿内はきっと誠実さがなんとなく伝わってるからなんじゃないかと思う
球は柚木のことが大好きすぎてまだ柿内を認めたくない感じ
関連記事
スポンサーサイト



comment

コメントを送る。

URL:
Comment:
Pass:
Secret: 管理者にだけ表示を許可する