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青春はプールの中で4-13 - 11/12 Thu

trackback (-) | comment (0) | 青春はプールの中で
バレンタイン当日、去年は雨だった・・・

雨の中、気持ちだけでも・・・と姉に教わった簡単に電子レンジでできるチョコレートケーキを手に柚木の家へ走った・・・そして、告白して、付き合えることになった日・・・

柿内は机の上に置かれたクッキーを見てため息を吐く
こっそり誰もいない内に焼いたクッキー。だが、思った以上にその甘いにおいは消えることがなく、帰宅し、ニヤニヤした姉に「ラッピングも大事だぞー」と資材を渡され、ラッピングまでされたクッキーである

「どこまで気付いてんのかなぁ・・・あいつ」

頭を掻いて、これを改めて渡すことを考えるとまた悩む
もっと可愛くて見た目もよくておいしいクッキーぐらい貰うんじゃないか・・・なぜ、手作りにこだわったのか・・・どこかで少しイイチョコレートでも買ってきた方がいいんじゃなかったのか・・・色々なことが頭の中をぐるぐるまわるが、そっとそのクッキーをカバンに入れると柿内は家を飛び出した





「ユズー!」
「キリちゃん・・・う、受け取らないよ!それ!」

休み時間、名前を呼ばれて振り返った柚木はニコニコとしながらおいでおいでする反対の手に紙袋を持った桐井に首を振る

「えー!!!えええー!!!でーもでーもでもでも、義理っつってたよ?」
「キリちゃん、ワイロ受け取ったな・・・?」
「バーレーたぁぁぁ?そーそー!オレもついでにチョコ貰っちゃったわけよー!っつか悔しいですっ!こんなチョコで心惑わされる男心が悔しいですっ!!!」

桐井の反応は至って普通のコト。大体、一昨年までは自分だってチョコの数に浮足立っていたはずなのに、今は義理という名のチョコでも心苦しい

「ええっ!?柚木くん、それ受け取るならこっちも受け取ってよね?」
「や、いや・・・うーん」
「ユズ彼女いるっけ?いないんだよね?っていうかあれ?ずっといなくない?なんで?」

桐井に交じって積極的な女子の攻撃が始まる
こういう時、どう答えていいのかわからない。他校に彼女がいる・・・?桐井の前で彼女がいるとは言えなくて。じゃあ・・・好きな子・・・それも桐井の酷い追及に遭うだろう

「っていうかー、このクラス人少なくない?」
「特進クラス舐めんなよ?みんな最後の追い込みとかだろ。学校来るよりも予備校!みたいな・・・いるのはオレみたいに推薦で決まったやつだけ」
「そっかー。で、これ!」
「んじゃー、キリちゃんのクラス行くか・・・ホワイトデーは卒業後だからさー・・・お返しできなくてもいいのかっていうね」
「あ、そっか!ユズ卒業したら引っ越しか!」

いよいよ近付いて来ている卒業・・・

いくら考えないようにしても時間を止めることも、引っ越しをする事実も変えられないのに、相変わらずの日常で訳の分からない焦りだけが柚木の心に浮かびあがっては消えていく






「かっきうちくーんっ」

昼休み、飲み物を買いに歩いているとやたらと人だかりができている中心から手を振って来たのは会いたくなかった後輩
女子たちに囲まれている姿を見るとやっぱりモテるのだな・・・と思うのと同時にその中の子に決めて柚木にちょっかいかけるのなんて辞めればいいのに・・・とつい思ってしまう

「柿内くん、柿内くんにもこーれあげるー!」
「・・・何?」
「あ、違った!柿内くんはこっちだ!」

最初に差し出されたものより大きなチョコレートを差し出され、首を傾げるとニヤニヤと笑った栗山が柿内の両肩をポンポンと叩く

「これ、友チョコ!みんなに配ってたんだけど、柿内くんのは特別!憐れみチョコ!」
「ふっざけんなっつーの!」

柿内も吹き出しながら手の中のチョコレートを栗山の胸に押し返す

「っていうかさー、器用だよねー、何これー、溶かして入れただけのうちらのチョコよりレベル高いしー!」
「でっしょでっしょー?オレ、やっぱなんでもできちゃう天才ー!みたいな?天は二物も三物も与えちゃったー!ってのがオーレ!」

周りできゃっきゃと騒ぐ女子にウインクする栗山に冷たい視線を飛ばすとその場を足早に立ち去る

「柿内くんっ!待ってよ!」

購買で飲み物を買って空いている中庭のベンチに座ると、後ろから追いかけてきた栗山にまたさっきの大きなチョコレートを差し出され頭にチョップを落とす

「柿内くん専用に作ったのにー」
「・・・」

口を尖らせて拗ねる栗山を見てため息を吐きながらチョコレートを受け取ると栗山はいつものように笑う

「柿内くんはどうすんのー?」
「・・・」

いつの間にか隣に座っている栗山に少し視線を移してからすぐに手元のチョコレートを開けて口に入れる
自分の作ったものが幼稚に思えてしまう少し大人のトリュフ

「ジュース奢ってー」
「自分で買ってこい」
「ケーチ」

作ったクッキーはカバンに入ったまま・・・当然柚木にもこんなチョコレートを渡すのだと思ったらバカらしくなってくる

「柚木先輩に渡したのー?」
「渡すもんなんてねぇし・・・」
「えー?いいのー?オレ、柚木先輩の胃袋掴んじゃうけどー」
「チョコレートぐらいじゃあの人の胃袋掴めねぇよ」
「まぁ・・・柿内くんは料理できるっぽいけどさぁ・・・」

柿内が作ったというあの弁当を思い出しながら呟く

「あー、今日柚木さんきっと部活来れねぇなー・・・高校最後のバレンタインだし」
「あ!さっき、柚木先輩に会いに行ったら囲まれてた!」
「まぁ、それは毎年らしいけど」
「柚木先輩、かっこいいし、優しいし、男前だもんね・・・」

柿内はただ頷く。買った温かいミルクティーが手の中で冷えていくのを感じていた





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意外と女子力まで高かった栗山!
水尾の書く男子って女子力高いのが多い気がする

水尾が女子力欲しいっつーの
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