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青春はプールの中で5-2 - 11/19 Thu

trackback (-) | comment (0) | 青春はプールの中で
「球さん・・・に」
「あの人女からも男からもモテるぞー?あー、くそ。なんでオレわざわざ帰ってきて柿内にこんな話しなきゃいけねぇわけ・・・」

竹市も今の自分がカッコ悪くて嫌だ。いつもの自分でいられなくて。本当はインターハイへ行けなかった柿内に慰めのアドバイスのひとつでもしようと思っていたのに今の自分にはとてもアドバイスなんてできなくて
頭の中はぐちゃぐちゃで整理なんてできそうもない

「好きなんだろ・・・じゃあ・・・ダメでもぶつかれよっ」
「はぁ?」
「遠くにいたらちゃんと言わなきゃ伝わらないって球さん言ってたけど近くにいてもそんなの伝わるわけねぇよ・・・会ってぶつけてそれでもダメなら・・・」

竹市は「バカめ」と呟いてポケットに手を入れると前を歩く

「それが簡単にできりゃ誰も苦労なんてしないんだよ」

竹市の言葉が胸に突き刺さったまま柿内は拳を握りしめて唇を噛んだ





「だからってオレ何してんだ・・・」

翌日、柿内は久しぶりに訪れる場所でため息を吐く
手を上げて目の前のドアをノックするのに少しだけ躊躇したあとノックする

「はい・・・えええ?!」

ドアが開いて出てきた大男は柿内の姿を見て目を丸くした

「・・・お久しぶりです」
「ちょ・・・聞いてないけど流ちゃんと約束してた?!」
「や・・・約束してないし、来るって言ってもない上に携帯忘れたし、柚木さんの住んでるところ知らないっていう・・・」

柿内が少しバツの悪そうに言うのを聞いて球は吹き出してドアを大きく開ける

「とりあえず入れば?」
「すいません」
「すっごいタイミングー!オレ、明日から大会遠征で今日の夕方からいないんだよねー。流ちゃんは明日プールメンテで休みだけどそれで?」
「それも聞いてない・・・」

また球は吹き出しながら柿内に冷えたペットボトルを出してくれる

「何?そんなに会いたくなったとか?連絡してあげるー」

球が柚木に電話をし、「すぐ来るって」と柿内に笑うと柿内は下を向いたまま口を開く

「・・・昨日、竹市さんが・・・部活来て・・・」

球は竹市の名前が出て複雑そうな顔で笑うと「そっか」と呟いた
柿内が部屋を見渡すと前にここへ来て寝泊まりした時と大して変わりはないように思う。けれど、伏せられたままの写真と球の指から消えた指輪が別れを事実だと言っているようで黙ってペットボトルを開ける

「カッキー不安にさせちゃった?ごめんねー!オレ、練習行ったらその後大会会場前乗りするんだけど・・・あ、カッキー泳いでく?」
「いや、水着持ってきてないし」
「えー!流ちゃんの彼氏なら泳ぐ用意はいつだって必要でしょー?」

球は笑いながら洗濯物を片付ける

「球さん・・・」
「うん?」
「竹市さんとは・・・もう」
「ムリだよー」
「新しい人がいるから?」
「は?なにそれ・・・」
「え?」

竹市に聞いた話と違って柿内には見えない。何もわからない

「たけちゃんさー、あー、誤解しないでよ?絶対たけちゃんもそんな気は本当にないんだ。だけど・・・たけちゃんは、言ったんだ。流ちゃんのほうがよかったって。付き合うならオレじゃなくて流ちゃんのほうがよかったって・・・判ってるけど、やっぱり流ちゃんがイイって言われたことが引っかかっちゃってさぁ・・・それをお仲間によく泣きついて相談してたからそれ、たけちゃん勘違いしたのかなぁー」

柿内の頭の中で夢で竹市を呼ぶ柚木が浮かぶ
付き合うことになってもずっと竹市を呼ぶ柚木。1度だけ、たった1度だけ自分を呼んだことがあった。竹市は出てこなくて自慰に耽る柚木が自分を呼んだ以外はいつだって・・・

「カッキー?」
「はい?」
「たけちゃんと流ちゃんは絶対ないよ?」
「あぁ・・・うん・・・」

ない。ないないないないない。でも、もし、心の奥底でずっと想い合っていたら・・・

「・・・」
「カッキー、大丈夫?」
「球さんは?大丈夫っすか?」
「うん?オレ?・・・たけちゃんのことは大好きだよ。すっげぇ好きなの。カッキー1年たけちゃんといてどうだった?落ち着かない?たけちゃんといるとそれだけで落ち着くでしょ」

柿内は首を傾げる。落ち着くというのは好きだからで万人に当てはまることではないのではないのか・・・

「あれー?違う?オレはすっごい落ち着くんだけど・・・でもね、たけちゃんはオレといても多分落ち着かないんだよ。オレ、ワガママだしね。しょうがないけど」
「・・・竹市さん泣きそうだった。あの人がオレの前でだよ?ないだろ・・・普通に考えてないことだろ」
「たけちゃんが・・・?」
「オレが言っちゃいけないことだけど、ホッといたらあんたたちずっとすれ違って離れて行くから!竹市さんはあんたのことまだ大好きだっつーの!」

柿内の叫びにも似た言葉は球の胸に突き刺さる

「でも、たけちゃんは流ちゃんのほうが・・・だって流ちゃんのほうが可愛いし抱きしめたら腕の中収まるし!オレ、でかいから・・・」
「そんなの関係ねぇだろ!好きとか外見だけで惚れるならオレだって柚木さんじゃない人がいいし。そりゃ、柚木さんはかわいいけど・・・」
「えー?だってオレだよ?」
「竹市さんだって球さんの外見とか気にしてたら大学だって追いかけて来ないと思うんすけど」

球の耐えていた涙腺が崩壊する。溢れる涙。まだ泣けるとは思ってなかった。涙で脱水症状起こすんじゃないかというほど、ベッドのシーツが絞れるくらい泣いた。なのにまだ涙が出る

「カッキー、ごめん。今だけちょっと胸貸して」
「・・・どぞ」
「今、流ちゃんと大きさ全然違うって思ってんだろ。でかい男が女々しく泣きやがってって思ってんだろ」
「オレどんだけ性格悪いと思われてんの?!」

泣きながら悪態をつき続ける球の大きな背中をさすった

「たけちゃんじゃない。匂いも胸板の厚さも全然違うー」
「文句言いながらオレのTシャツ濡らしてどーいうことですか」
「もし、流ちゃんがオレみたいだったら好きになった?」
「大きさ?そりゃー、あの人、中身カッコよすぎるからなぁー。きっと好きです」
「球ー!急に来いとか大丈夫・・・は?何・・・」

突然飛び込んできた柚木は目の前の光景に驚き、動きを止めた





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さーて流ちゃんは突然球の部屋で抱き合ってるのを見て勘違いするのでしょーかっ?!っていうところで切ってみた

柚木は柚木で兄弟の中で1人違う体型にコンプレックスを抱いていて、球は球で弟みたいな顔、大きさに生まれたかったとコンプレックスを抱いている・・・人から羨まれることでも当人にとってはコンプレックスになってることってあるよねー・・・っていうのがちゃんと書けているのかどうかー
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