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柚木くんと竹市くん5-2 - 12/04 Fri

trackback (-) | comment (0) | 青春はプールの中で 番外編
それからしばらく、険悪なムードが続く
柚木に心配されたが、球は笑ってごまかすし、竹市も事実が言えなくて口を閉ざす

「球さん、今日・・・」
「・・・」

その言葉は無視されたけれど、部活の後、同じアパートへ向かう球を見てホッとする

「球さん、メシ、食いに行く?何食いたい?」
「行かない」
「・・・そか」

竹市は黙って部屋の鍵を開けると冷蔵庫を開けて簡単なものしか作れない・・・と呟いた

「球さん、チャーハンでもいい?」
「要らない」
「・・・お腹空いてない?」
「っ・・・オレなんかより食べる時もっと幸せそうな流ちゃんに作ればいいっ」
「は?」

竹市は顔を上げて球を見つめる
この間から、女の子と朝を迎えたことよりも柚木のことばかりで意味が判らない

「球さん、なんでユズなんだよ」
「オレと出掛けたって可愛げもないしむさ苦しいだけだろ!どこも行かないっ!」

そんなこと1度だって思ってないし、口に出したことだってない
必死に付き合ってくれとお願いしてきて、大好きだと毎日のように笑顔で言われて、拗ねたり、怒ったり、笑ったり・・・気持ちに素直な球を愛しく思ってきたのにこんなことばかりじゃ愛しい感情よりも怒りが強くなってくる
悪いのは自分。でも、そのことを責められるのではなく、身に覚えのない柚木のことで責められるのは納得いかない

「可愛くねぇ・・・」
「どーせ可愛さなんて最初からないっ!流ちゃんじゃないもん!流ちゃんと付き合えばよかったんだ!」
「そーだな!ユズのほうが顔も性格も可愛いしな!」

竹市がそう言った後、拳を握りしめて、酷く傷ついた顔をした球がそこにいた
涙を目、いっぱい溜めて、それを零さないように唇を結ぶ球が・・・

「あ・・・」

こんな顔をさせたいわけじゃない
いつものように「たけちゃんの意地悪!」と言って叩いてくる球はいない

「っ・・・」
「球さんっ、違う・・ユズなんて」
「別れ・・・る」
「っ」

ひゅっと冷たい空気が肺に満たされた気がする
胸が冷えてその冷たさで心臓までが痛む気がする

「別れたほうがっ・・・いいっ」
「待って・・・オレが悪かったから」
「ムリ・・・もうっ、ムリっ」
「球さんっ」

腕を掴むと振り払われて抱き締めようとしても押し退けられて

「球っ・・・イヤだっつってんの!」
「オレもヤダ!!!流ちゃんのほうがいいって言ったぁ・・・女の子じゃなくて流ちゃ・・・っ・・・」

その瞬間溜めていたダムが崩壊したかのように零れ落ちる涙
情事の時に流す涙じゃなくて、冷たく苦しい涙・・・

「バ・・・バイバイっ」

球がそう言って部屋を出て行くと言い知れない喪失感

別れた・・・別れた?

明日からなんのために学校へ行って部活へ行けばいいのかすら判らない
元々何の目的もなかった。ただ、球と同じ学校で同じ部活で泳いでずっと一緒にいたいと望む球の願いを叶えただけ・・・

「っ・・・クソ」

全ては自分のせい

それは判っているのにどうして全部受け入れて謝り続けられなかったのか・・・謝ってさえいたら、やり過ごしていたら・・・全てはもう過ぎたことで、竹市は空腹だったのも忘れてベッドへ体を預けた






「竹市くん、部活行かないの?」

選択科目が同じ女の子がそう話しかけてきて「しばらく休むことにした」と力なく笑うと積極的にご飯や遊びに誘われる
今まで誘われても部活だとかバイトで断ってきたその誘いに乗る

女の子たちと話すのは球が嫌がるからそれさえも避けていたけれど、もう関係ない・・・ほとんど部活へ行くことはなくなり、球が遠征や大会で行かないときだけ気分転換で泳いだ

顔を合わせたらまた傷つける気がして。傷つく気がして・・・

胸に開いた穴は誰かと遊んでいても埋まらない
喪失感を埋めるために誘われるまま付き合う真似事もしてみたけれどやっぱりその穴は埋まらない

大学に居場所なんてなくなって。こんなにつまらないものなのかと絶望し、テストを終えて夏休みに入った直後逃げるようにして帰省した





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本編で別れてより戻したのは書いていたので結末は判っているのにこの2人の別れてるっていう事実は胸が痛むのですー
なんていうかこの2人はやっぱり書いていて楽しいから大好きなんだろうなぁと思います^^
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