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つれないキミと売れてる僕7-11 - 12/26 Sat

trackback (-) | comment (2) | つれないキミと売れてる僕
コンコン

病室をノックし、顔を出したのは山口で、里見は山口に頭を下げると眠っている須野を見つめる

「山口さんもその手・・・」
「あぁ、オレ?大したことない」

手に巻かれた包帯を見て頭を下げる

もし、あの時被害届を出していれば起こらなかったかもしれない事件
けれど、里見のプライドがそれをさせなかった。男に犯されただなんて誰にも知られたくなかったこと。もし、中津がそれで捕まって『初めて』じゃなかったことをバラされ、追求されるのもイヤだった

「もうじき目、覚ますと思うから」
「・・・そうですか」

里見は椅子に座るとため息を吐く

「里見くん・・・キミ、もしかして」
「・・・?」
「別れるとか言うなよ?」
「!」

心に決めたことを見透かされて里見は顔を上げる
山口は「ダメ!ダメだよ!」と言いながら頭を何度も振って里見の肩を掴む

「別れるとか言われたら寛人は仕事辞めるとか言い出す!」
「・・・いや、どうですかね」
「頼むからそれはホントに・・・」

里見は何も言わず少しだけ笑う
今までの須野ならきっとそう言うだろう。だけれど、須野に触れられるのがキツくなった今・・・須野は自分から別れを切り出しそうな気もした。だったら、里見から別れてやりたかった。それが里見のプライド。須野に別れを2回目の別れを切り出されるのは里見のプライドが許さない

「ん・・・」
「あ、起きるかな・・・じゃあ、オレ、席外すからまた連絡くれるかな?」
「判りました」

須野が少しだけ眉を顰め、起きそうな気配を感じてすぐに山口が病室を出て行く。扉の閉まる音でゆっくり目を開けた須野はボーッと天井を見てハッとしたように体を起こす

「バーカ。寝てろ」
「っ?!さ、里見?!」
「おう」
「・・・里見・・・里見ぃ・・・」

ゆっくりと伸ばした腕を直前で止めて里見を見上げる

「里見、僕・・・」
「なぁ、須野、聞いたんだろ?」
「っ・・・」

ビクリと須野が動いて目を伏せて布団に涙をこぼす

「お前は悪くねぇけど、多分今までみたいにお前といるの無理だしさ・・・別れ」
「ヤダ」

里見の言葉を遮るように強い口調

「でもお前」
「僕のワガママ・・・けど、ヤダ。イヤだ!」
「・・・お前、もうヤれねぇかもよ?」
「僕、里見と付き合えることになった時なんて言ったか覚えてる?」

里見は黙り込む

「そんなのなくたっていい。里見が近くにいてくれれば」
「・・・バカ!お前はオレにも禁欲しろっていうことだろ?できるか!」
「っ・・・でも・・・イヤだ。別れたくない!他の誰にも里見に触ってほしくないっ!里見だって、僕のこと嫌いで別れるとか言うんじゃないでしょ?僕のこと・・・嫌いになってないでしょ?」

須野が捨てられた子犬のような顔で見上げてきて里見は小さく舌打ちする
そんな顔で見られたら言えない
嘘でも「嫌い」だと言えない

「僕、待てるから・・・何年でも10年でも待てるからっ」
「オレが待てねぇんだよ」
「・・・っイヤだ。イヤだっ」

里見に抱きついて縋りたいのにそれもできなくて須野は布団に潜り込む

「須野」
「絶対イヤだ」
「・・・あの部屋出て行くぞ?」
「?!」
「別れても変わんねぇだろ。恋人らしいことできねぇなら。昔みたいに隣に座ってるのはいいから・・・ただ恋人は解消するだけ」

布団から顔を出した須野がそっと手を伸ばしてそっと里見の手に触れる

「ごめん。僕はイヤだ。お願い・・・お願いっ」
「ワガママだな。お前は」
「うん。耐えられなくなったら浮気してもいい。でも、恋人解消はイヤだ」

恋人らしい触れ合いもなし、そして浮気もしていいだなんて付き合っている意味はあるのかと思ったが、里見は「仕方ねぇな」と須野の願いを受け入れる

「里見・・・ごめんね」
「あ?」
「僕のせいで里見が・・・辛い思いさせた」

里見は「そうだな」と呟いて須野の頭を撫でる
嫌いじゃない。それは事実。須野じゃなかったらこんな関係にならなかったと思うし、世話をさせるのも須野にだけ
昔から特別ではあった存在・・・

「帰るわー」
「あ、うん・・・大丈夫?1人で」
「バーカ。舐めんな。ここまでも1人で来たっつーの」

里見の言葉に頷くとまた手を伸ばす

「里見・・・」
「あ?」
「あいつ殺してやりたかった」
「・・・知ってる」
「殺してやれなくてごめんね」
「オレがそんなこといつ頼んだんだよ」
「・・・里見・・・ごめん・・・ごめんね」

須野の謝罪は必要ない。自分はもちろん、須野も悪くない。悪いのはただ1人・・・中津。彼が捕まった今、責める相手はいない

「じゃああんまり山口さんに迷惑かけんなよ?」
「うん・・・里見・・・」
「あ?」
「ううん。ごめんね」

最後まで罪悪感に満ちた瞳で見つめられていい気分ではない・・・

病室の扉が閉まると須野は膝を抱えて涙を拭う
気付けなかった。今まで触れようとして拒むように起こる体調不良は本当に里見の体調が悪いのだと信じ込んでいて、まさかそんなことが起こっているだなんて思ってもみなかった
でも、考えてみれば何かがおかしくて。自分が触れようとさえしなければいつも通りの里見で。葛西には普通に触れさせるのに自分にだけ怯えたような姿。それでも、美しく、自信のあるいつもの姿で・・・最近あまり外に出ないのも季節のせいだ、仕事が忙しいせいだとしか思ってなくて・・・

「寛人ーなんか要るものある・・・か?」
「・・・ない」
「・・・お前、まさか別れ・・・」
「てないっ!でもっ・・・このままでいいのかも判らない。里見を苦しめるのが僕なら別れてあげる方がいいのかもしれない・・・」

涙の跡が残る須野に山口はただ名前を呼ぶ

「でもっ!イヤなんだ!僕のワガママだけどもう手放すのは無理。もう2度と触れられないとしても・・・」
「寛人・・・あのな」
「山口さん、僕の仕事、ちょっとセーブできる?」
「ダメだ。そもそもお前のスケジュールは1年先までもう埋まってる」
「辞めたい・・・もう疲れたし」
「大体!お前は舞台は長期間家留守にするのがイヤだってやらなくなったし、ただでさえも」

須野が頭を振る

「ヤダ!もうヤダ・・・僕っ・・・里見を失いたくないっ」
「・・・」

須野にとって一番恐ろしいこと・・・里見がいなくなること
生きる意味すらわからなくなってしまう
里見がいなければ、なんのために働いて、なんのために食事を摂って、なんのために呼吸するのか判らない





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サンタは水尾にプレゼントの代わりに胃腸風邪を置いて行きました・・・

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2015/12/26 Sat 23:38:09
Re: タイトルなし : 水尾 央 @-
>ラムまま様
コメントありがとうございます♪
今までどんな困難も乗り越えてきた須野と里見なのでそこら辺はきっと強く立ち上がるんだと思うんです♡

サンタさんは胃腸風邪をプレゼントしてくれてー・・・すぐに治る魔法もかけていってくれたみたいです♪ご心配ありがとうございましたー^^
2015/12/27 Sun 00:51:04 URL

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