青春はプールの中で6-12 - 01/18 Mon
「カッキー!!!!!」
そろそろ戻らなくてはと言う柚木に連れられて水泳部の借りている教室へ戻るとやたらとごつい女装をした球が柿内たちを出迎える
「さぁさぁ!カッキー入って入ってー」
教室へ入るとまたガタイのいい男たちが皆揃って女装していて柿内はどう反応していいか悩む
「っ!!!!」
その中でチャイナドレスを着たスレンダーな女装を見て柿内も相手も一瞬固まる
「・・・なにも言うな・・・柿内」
「いや、あー・・・はい」
似合っているとは最初に聞いたが、ここまで美人だとは予想外のこと
元々顔は悪くない竹市が化粧とウィッグでこんなにも変わるなんて思ってなかった
「柿内、腹減ってる?」
「あー、いや・・・減ってない」
「じゃあ飲み物だけ出すなー。後で一緒になんか食いに行こうー」
制服のスカートがひらひら舞う
見えそうで見えない下着にハラハラしてしまう。男の下着なのだからそんなに気を使うことでもないのだと判っているのに柚木の太くない太ももが見える度に羽織ってきたカーディガンで隠したい衝動に駆られる
「カッキー、流ちゃんのスカート短いの気になるー?」
「っ!・・・球さんも気になるんじゃないですか?」
「うーん?っていうかオレは流ちゃんが舞ちゃんの制服着てるだけで興奮してるからなー」
球が柿内の向かいの席に座ってニヤニヤと柚木に視線を飛ばす
「・・・ぴったりっすね」
「っていうか、あれ、舞の中学の制服だけどさ」
柚木の一番下の妹、舞は既に柚木よりも背も高くて、バレーで鍛えた体は柚木よりもずっと大きく見えた
「で、こっからが本題ー」
「え?」
「ねー、流ちゃん拒んでんのなんで?」
「はっ?!・・・ちょ・・・え?」
思わず大きな声を出してしまって慌てて口を押さえる
「カッキー、淡白なほう?」
「・・・なんすか・・・それ」
「したくない・・・わけないよねー。そんなギラギラした目で流ちゃんのチラリズム見てるわけだし?」
柿内は下を向く
触れたい
もっともっと触れたい
抱きしめて、きつくきつく抱きしめて自身を柚木の中に埋め込みたい
でもそれは自分のワガママだと思ってしまう
「・・・柚木さんなんか言ってました?」
「うーん・・・不安になってるかも?」
「・・・オレ、夢見てるままなんじゃねぇかなーってまだ時々思うくらいなんだけどなー・・・」
球は「夢?」と首を傾げる。柿内はひとつ頷くとトレーを持ってドリンクを運ぶ柚木を見る
「あと、柚木さんを・・・その・・・悦く・・・する自信ねぇっつーか・・・あーなんで球さんにこんなこと!」
「・・・それ、間違ってるでしょ」
「え?」
「いや、流ちゃんも気持ちよかったんじゃないのー?じゃなかったらそんな何度もカッキーを誘う?」
「・・・いや、でも」
柿内の頭にチョップを落とすと「自信持てよ」と柿内を睨む
「柚木さん、気を遣う人だから」
「あー、流ちゃん今、オレにヤキモチ妬いてるー。可愛いー!カッキーとこんなに距離近いの気になってるー」
「・・・」
気付けば内緒話をするようにコソコソと顔を近づけあって話をしていて、ヤキモチではなくともどんな内緒話をしているのか気になってしまうだろう
「球さんはオレにどうしろっていうんだよ」
「部屋貸そうか?」
「・・・そんな時間ねぇし・・・もっと柚木さんの楽しそうな顔見たくて来たから。確かに2人になりたいけどそればっかじゃないっつーか」
「あー、カッキーは理想があるんだー?普通のデートとか憧れてるわけだー?付き合って結構経つけどデートとかしたことないんでしょ?」
球に言われて気付く。そう。体の繋がりは確かに欲しかった。でも、それだけじゃない。一緒に楽しく過ごしたい。それが柿内の望み
「・・・2人きりになりたいけど2人きりだとやっぱり触れたくなる」
「うんうん。わかるわかるー」
頭を抱えた柿内の頭をポンポンと優しく叩くと柿内が顔を上げる
「あとさー、エッチが気持ちいいかどうかって上手い下手じゃなくて相性がすごく大事だと思うよ」
「っ・・・相性・・・とか」
「その点カッキーと流ちゃんすごく良かったんじゃない?」
顔を赤くした柿内を「うっわーウブだー」と笑って球は席を立つ
「んじゃーごゆっくりぃー」
そう言われて柿内はため息を吐くとカバンを開けて参考書を取り出す
柚木の担当シフトが終わるまでそうして教室の隅の席で参考書を読むことに没頭した
「ただいまー!」
「おー!おかえり瑞貴ー」
「オレ仕事戻るから流ちゃん上がったらー?」
ニコニコと笑った新井が柚木の耳元で「彼氏待ってるでしょ」と囁いて柚木は新井の胸を殴る
「痛ぁーいっ!流ちゃんがイジメるーーーーっ」
「新井ー、さっき江口が探してた」
「え?江口がー?なんだろー」
「多分彼女と回るから代わって欲しいとかそういうことだろ」
「あー、そっか。うん。江口ラストと片付けだっけー?いいよー。オレ後片付けまでやるからー」
そう笑った新井を見て柚木は複雑な顔をする
「柿内ー、もう少しここで待ってろ」
「あー、んー」
参考書から一瞬顔を上げた柿内がそう言うとまたすぐに顔を戻す
「瑞貴、オレもう少し入るからメシとか行ってこいよ」
「えぇー?!流ちゃん優しいーっ!!!!」
「江口の代わりに入るならお前メシも食えねぇだろ」
「うん。あー、じゃあはーちゃん!ご飯行こうーっ」
顔を上げた新井が先輩たちに囲まれている栗山に声を掛けると栗山は笑って周りのゴツい女装姿の男たちに頭を下げてその場を離れる
「バレー部の焼きそばが辛くて美味しいって聞いたー!タイ風?とかなんとかー」
「ふーん。オレ、そこにあったカレーも気になるんすけど」
「あー、サッカー部!いいねーカレーもいいー!色々買ってどっかで食べよっか」
「っすね・・・あ、ごめん。ちょっと柿内くんに一言言ってくる」
栗山が参考書を広げる柿内の元へ行き、「柿内くんご飯は?」と尋ねると参考書を一旦閉じる柿内
「オレはいいや」
「・・・柚木先輩と行く?」
「んー」
「・・・そっか」
「・・・お前、大丈夫か?」
「え?」
目を丸くした栗山にまっすぐな柿内の瞳
閉ざして隠した恋心がズキンと痛むのを覚える
「あの人、例の人だろ」
「・・・あー、うん。そう」
「・・・大丈夫か?」
「うん。大丈夫。ありがと!ありがとうっ・・・」
胸が痛い
潰れそうに痛い
こんな人のことを考えるような人じゃなくていい
もっと冷たくあしらって欲しい
これ以上こんな苦しい恋心を重く強くして欲しくない
冷たくして嫌いだと言って
素直にすっきり諦めさせて欲しかった

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「さぁさぁ!カッキー入って入ってー」
教室へ入るとまたガタイのいい男たちが皆揃って女装していて柿内はどう反応していいか悩む
「っ!!!!」
その中でチャイナドレスを着たスレンダーな女装を見て柿内も相手も一瞬固まる
「・・・なにも言うな・・・柿内」
「いや、あー・・・はい」
似合っているとは最初に聞いたが、ここまで美人だとは予想外のこと
元々顔は悪くない竹市が化粧とウィッグでこんなにも変わるなんて思ってなかった
「柿内、腹減ってる?」
「あー、いや・・・減ってない」
「じゃあ飲み物だけ出すなー。後で一緒になんか食いに行こうー」
制服のスカートがひらひら舞う
見えそうで見えない下着にハラハラしてしまう。男の下着なのだからそんなに気を使うことでもないのだと判っているのに柚木の太くない太ももが見える度に羽織ってきたカーディガンで隠したい衝動に駆られる
「カッキー、流ちゃんのスカート短いの気になるー?」
「っ!・・・球さんも気になるんじゃないですか?」
「うーん?っていうかオレは流ちゃんが舞ちゃんの制服着てるだけで興奮してるからなー」
球が柿内の向かいの席に座ってニヤニヤと柚木に視線を飛ばす
「・・・ぴったりっすね」
「っていうか、あれ、舞の中学の制服だけどさ」
柚木の一番下の妹、舞は既に柚木よりも背も高くて、バレーで鍛えた体は柚木よりもずっと大きく見えた
「で、こっからが本題ー」
「え?」
「ねー、流ちゃん拒んでんのなんで?」
「はっ?!・・・ちょ・・・え?」
思わず大きな声を出してしまって慌てて口を押さえる
「カッキー、淡白なほう?」
「・・・なんすか・・・それ」
「したくない・・・わけないよねー。そんなギラギラした目で流ちゃんのチラリズム見てるわけだし?」
柿内は下を向く
触れたい
もっともっと触れたい
抱きしめて、きつくきつく抱きしめて自身を柚木の中に埋め込みたい
でもそれは自分のワガママだと思ってしまう
「・・・柚木さんなんか言ってました?」
「うーん・・・不安になってるかも?」
「・・・オレ、夢見てるままなんじゃねぇかなーってまだ時々思うくらいなんだけどなー・・・」
球は「夢?」と首を傾げる。柿内はひとつ頷くとトレーを持ってドリンクを運ぶ柚木を見る
「あと、柚木さんを・・・その・・・悦く・・・する自信ねぇっつーか・・・あーなんで球さんにこんなこと!」
「・・・それ、間違ってるでしょ」
「え?」
「いや、流ちゃんも気持ちよかったんじゃないのー?じゃなかったらそんな何度もカッキーを誘う?」
「・・・いや、でも」
柿内の頭にチョップを落とすと「自信持てよ」と柿内を睨む
「柚木さん、気を遣う人だから」
「あー、流ちゃん今、オレにヤキモチ妬いてるー。可愛いー!カッキーとこんなに距離近いの気になってるー」
「・・・」
気付けば内緒話をするようにコソコソと顔を近づけあって話をしていて、ヤキモチではなくともどんな内緒話をしているのか気になってしまうだろう
「球さんはオレにどうしろっていうんだよ」
「部屋貸そうか?」
「・・・そんな時間ねぇし・・・もっと柚木さんの楽しそうな顔見たくて来たから。確かに2人になりたいけどそればっかじゃないっつーか」
「あー、カッキーは理想があるんだー?普通のデートとか憧れてるわけだー?付き合って結構経つけどデートとかしたことないんでしょ?」
球に言われて気付く。そう。体の繋がりは確かに欲しかった。でも、それだけじゃない。一緒に楽しく過ごしたい。それが柿内の望み
「・・・2人きりになりたいけど2人きりだとやっぱり触れたくなる」
「うんうん。わかるわかるー」
頭を抱えた柿内の頭をポンポンと優しく叩くと柿内が顔を上げる
「あとさー、エッチが気持ちいいかどうかって上手い下手じゃなくて相性がすごく大事だと思うよ」
「っ・・・相性・・・とか」
「その点カッキーと流ちゃんすごく良かったんじゃない?」
顔を赤くした柿内を「うっわーウブだー」と笑って球は席を立つ
「んじゃーごゆっくりぃー」
そう言われて柿内はため息を吐くとカバンを開けて参考書を取り出す
柚木の担当シフトが終わるまでそうして教室の隅の席で参考書を読むことに没頭した
「ただいまー!」
「おー!おかえり瑞貴ー」
「オレ仕事戻るから流ちゃん上がったらー?」
ニコニコと笑った新井が柚木の耳元で「彼氏待ってるでしょ」と囁いて柚木は新井の胸を殴る
「痛ぁーいっ!流ちゃんがイジメるーーーーっ」
「新井ー、さっき江口が探してた」
「え?江口がー?なんだろー」
「多分彼女と回るから代わって欲しいとかそういうことだろ」
「あー、そっか。うん。江口ラストと片付けだっけー?いいよー。オレ後片付けまでやるからー」
そう笑った新井を見て柚木は複雑な顔をする
「柿内ー、もう少しここで待ってろ」
「あー、んー」
参考書から一瞬顔を上げた柿内がそう言うとまたすぐに顔を戻す
「瑞貴、オレもう少し入るからメシとか行ってこいよ」
「えぇー?!流ちゃん優しいーっ!!!!」
「江口の代わりに入るならお前メシも食えねぇだろ」
「うん。あー、じゃあはーちゃん!ご飯行こうーっ」
顔を上げた新井が先輩たちに囲まれている栗山に声を掛けると栗山は笑って周りのゴツい女装姿の男たちに頭を下げてその場を離れる
「バレー部の焼きそばが辛くて美味しいって聞いたー!タイ風?とかなんとかー」
「ふーん。オレ、そこにあったカレーも気になるんすけど」
「あー、サッカー部!いいねーカレーもいいー!色々買ってどっかで食べよっか」
「っすね・・・あ、ごめん。ちょっと柿内くんに一言言ってくる」
栗山が参考書を広げる柿内の元へ行き、「柿内くんご飯は?」と尋ねると参考書を一旦閉じる柿内
「オレはいいや」
「・・・柚木先輩と行く?」
「んー」
「・・・そっか」
「・・・お前、大丈夫か?」
「え?」
目を丸くした栗山にまっすぐな柿内の瞳
閉ざして隠した恋心がズキンと痛むのを覚える
「あの人、例の人だろ」
「・・・あー、うん。そう」
「・・・大丈夫か?」
「うん。大丈夫。ありがと!ありがとうっ・・・」
胸が痛い
潰れそうに痛い
こんな人のことを考えるような人じゃなくていい
もっと冷たくあしらって欲しい
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冷たくして嫌いだと言って
素直にすっきり諦めさせて欲しかった

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あぁ、女装喫茶のほかにも新井と栗山の関係もすごく書きたかったのです
コイゴコロミズゴコロできっと詳しく新井の過去は書きたいなぁ・・・とずっと思っていて、そこら辺はもう書き終わってたりする・・・でもまだUPは先w
とりあえず、コイミズよりも時系列が前のお話なので新井が江口大好き大好きーな状態であります
コイゴコロミズゴコロできっと詳しく新井の過去は書きたいなぁ・・・とずっと思っていて、そこら辺はもう書き終わってたりする・・・でもまだUPは先w
とりあえず、コイミズよりも時系列が前のお話なので新井が江口大好き大好きーな状態であります
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