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青春はプールの中で6-17 - 01/23 Sat

trackback (-) | comment (0) | 青春はプールの中で
冬の寒さがきつくなる頃、柚木の退寮手続きが終わって一時的に球の部屋へと退避する

「流ちゃんー!オレ明日から合宿なのに1人でここで待つの平気ー?テスト科目もう終わったなら実家に・・・」
「何をそんなにビビらなくちゃなんだよ」
「だって・・・発表明後日でしょ?」

柚木はポテトチップスを頬張るとカレンダーを見つめる
印の付いた日付。柚木が付けたわけじゃないその印は柿内の合格発表の日で、球も合格を祈っているのだと感じさせる

「1人の方が楽だろ・・・母さんやら舞が気を遣ってくるのが嫌だし」
「んー・・・まぁそうかもしれないけど・・・たけちゃん呼んであげようか?ほら!受かった時すぐ喜び分かち合いたいよね?!」
「・・・受かったらすぐ帰るし」

冷静な弟の言葉に球は一瞬固まった後笑う

「そっか!そうだよね!受かってたらカッキーのとこすぐ行きたいよね」
「・・・っつか部屋、母さんが幾つか候補上げてくれてるから・・・」
「うん!そうだね!うんっ!」

球は胸をなでおろすとカバンに合宿のための準備を詰める

「なー」
「うん?」
「もし・・・もし・・・あいつこっち来られなかったら母さんの用意してる物件のどれかに一緒に住む?」
「・・・いいよ」
「あー、でも毎日のように竹市さん来るのもなー」
「オレはあんまり家にいないからね・・・」

柚木は「あー」と思い出す
オリンピック開催年。今よりもずっと合宿も多くなる勝負の年

「でも、きっとカッキーは合格してる」
「まぁ・・・そう思うよ。あいつ、やるときはやるからな」

球は信用しているのだな・・・と思いながら柚木を見つめる
優しくて可愛い弟。弟なのに頼りになってなんでも相談したし、話をしてきた。その弟が昔よりもずっと大きく見える。体の大きさだけじゃない。心の成長

「流ちゃん」
「あー?」
「オレにも結果連絡してね?」
「んー・・・そうだな」

ポテトチップスの中身をサラサラと口の中に流し込むとテレビのチャンネルを変える
変えても興味のあるものがなくて結局消すと「走ってくる」と出て行った柚木が見えなくなると球は少しだけ吹き出した

「流ちゃんも落ち着かないんだ」

恋人と一緒に暮らせるか否か・・・柚木でも落ち着かないこと





その日は朝から携帯を目の前において鳴らない電話をただ睨んでいた

発表なんてもう終わっていて連絡ができない結果だったのではないかと思うと自分から携帯を握っては掛ける直前で手を止める
朝から何も食べていないことを思い出してひとつため息を吐くとポケットに携帯と財布をねじ込んで靴を履く
家でじっとしているから余計にモヤモヤするのだと地面を蹴って走り出した



朝と昼兼用の食事を摂った後、コンビニで肉まんを買った帰り道、柚木のポケットが震えた

『柚木さんの実家にもう1度同居の挨拶してきます』

受かったとも何も書かれていない文章
それでも柚木はそのまま走り出す。ポケットの財布の中身が足りるかだとかそんなのも覚えていない。でもそのまま駅へ向かう

『電車乗ったから待ってろ』

そう電車の中で汗の流れる額を拭ってメールを送るとただただ窓の外を見つめて早く着かないかと願い続けた





柚木からのメールを見て柿内は口元を緩める

届いた合格通知。電話をしたらすぐに会いたくなるからわざわざメールにしたのにすぐに電車に飛び乗った柚木も自分と同じ気持ちだと判る

柿内は柚木の実家最寄駅近くにあるファーストフード店に入るとコーヒーとハンバーガーを頼んで席に着く
遅い受験勉強のスタート。まさか本当に受かるだなんて願ってはいたが思ってはいなかったこと

睡眠時間を惜しみながら勉強した日々。追い込み時期には柚木との電話もそれまでの半分以下に控えたし、ひたすら耐えた数ヶ月。それでもきっと甘い方だとは思う。だが、これまでまともに勉強すらしてこなかった柿内にはかなり頑張ったこと

「・・・っ・・・」

突然受かったという事実が体を襲ってきて笑いが込み上げる。口元を押さえて下を向くと体がただ震えて傍から見たら不審人物だろう・・・

『あと3駅!どこ?』

メールが来て今いるファーストフード店の名前を送信する
あと少し・・・少しで会えるのだと思うと嬉しくてまた笑いそうになって下を向いた







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ニヤニヤしちゃう柿内も可愛い。青プも長くなってきたから愛情がどんどん膨らんでいくーーー愛着というか愛情というか・・・
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