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青春はプールの中で7-11 - 03/11 Fri

trackback (-) | comment (0) | 青春はプールの中で
柿内が帰宅するのは深夜。カタンと音を立てた玄関へ視線を送ると「起きてたのか」と呟いた柿内

「・・・あー・・・そうか。オレの部屋で寝ててくれりゃよかったのに」

リビングのソファで寝ている新井を見て栗山に言うと栗山はいつものように皮肉に満ちた笑顔を作る

「柿内くんの匂いがするベッドでー?臭そうだしー」
「あーあーあーんじゃ床で寝ろ」
「柚木先輩のベッド使いたーい!」
「ダメだ」
「ケーチケーチケーチ!」

好奇心で扉に手を掛けた。でも鍵のかかった部屋は開けることができなくて柿内が誰も入れたくないのだと判って苦しくなった。苦しいだなんておかしい・・・柚木を傷つけたくないのに。柿内に告げることすら裏切りだと思うのに・・・

「あー疲れた」

背伸びしてシャワーへ向かう柿内を見てズキンと胸が痛む
認めることが怖かった。認めたところで絶対に叶うわけのない恋で・・・憧れて尊敬する先輩の恋人。だから胸が痛いだなんてことが罪悪感で吐き気すら感じる

柚木が卒業してから1年間少しだけ縮まると思っていた溝は広がりはしなかったけれどあまりにも深い溝だと知って苦しくて・・・柿内の心には柚木しかいないのが判って苦しくて。たまに見せる優しさが諦めきれない要因で。入り込むところなんてないと諦めたいのに諦めきれずに苦しくて・・・

柿内まで卒業すると前に進もうともがいてもがいて苦しくて。柚木の愛した部活を引っ張って守れと言われてそれが重くて苦しくて。成績を残すために必死に部活の後すぐスイミングで泳いでいるときだけは忘れられたのに気を抜くとまた思い出してしまって苦しくて。もがいてもがいてわけのわからない苦しみから解放されたくて電話をしていた・・・

誘ってくれた大学はここから遠い。設備的にも球たちの行く大学と遜色劣らず・・・だったら求めてくれる所へ行ったほうが気持ちよく泳げるのではないかと思っている一方で諦めきれない恋心が邪魔をしてくる。柚木と同じ大学へ行ったとしても変わらないのに・・・この気持ちに決着がつくことがないことは判っているのに・・・それでもきっと大学が離れたらもう会うこともなくて最後に会って話したくて・・・ただの後輩が離れた所へ行ったらもう・・・もう・・・

「っ・・・」

心はもう柚木と同じ大学へは行かないと決めていて。だからこそここへ来たのに・・・会ったらやっぱり揺らいでしまう心・・・だからこそまた口から出てくる憎まれ口

「お前、風呂やってくれてたんだな」
「?!・・・早いね・・・ちゃんと洗ったのー?汚いなぁ」
「ホントうっせーな」
「・・・」

ポタポタと落ちる雫が気になる
柿内の上半身裸の姿なんてずっと見慣れていたはずなのに白くなった肌は見慣れないものでズキズキと熱い胸に思わず顔を歪める

「お前明日大学見に行くのかー?」
「あ、ううん。何も」
「竹市さんに頼めば泳がして貰えるぞ。きっと。新井さんはあんま頼りにならねぇけど。っつかこの人明日の部活どーすんだよ・・・」
「オレ、今回こっち来たの別にそういうんじゃなくて」

柿内は首を傾げながら「まぁいいけど」と呟きながら髪の毛をガシガシとタオルで乾かす

「オレの部屋使えよ」
「柿内くんはどーすんのさ」
「柚木さんの部屋」
「オレだって柚木先輩の部屋がいいー!」

頬を膨らます栗山を叩くと「変なことに使いそうだから嫌だ」と笑う
「そんなの柿内くんこそ」と言いかけて言葉を飲み込んだ。離れた所にいる恋人を想いながら、恋人の持ち物に囲まれながら・・・別に普通だ。当然だ・・・そう気付くと唇を噛む。柿内の胸にはやっぱり入り込む余地なんてどこにもないのが判るから

「明日、お前帰る時間までどっか連れてってやるよ」
「っ・・・」

優しい・・・その優しさが苦しくて胸が痛くて

「おやすみっ!」
「おう。あ、どこ行きたいかとか考えておけよー?」

柿内の部屋に入ると散らかった部屋に苦笑した栗山はベッドへ座ると転がってみる

「こっちのほうが『イケナイこと』しちゃいそうって判んないんだろーな」

柿内の匂い。意識して嗅いだこともないし、そんな近くにいたこともない。精々リレー前に肩を組んだことくらい・・・あの時は塩素の匂いしかしなかった柿内の匂い・・・

「苦しいよ・・・苦しい」

目を瞑ってみても眠れる気すらしなかった
隠して隠して蓋をした想いならばこのまま消えてしまえばどんなに楽だったのか・・・
完全に拒絶されればどんなに楽だったのか・・・嫌われているのならもっともっと突き放してくれれば楽だったのに・・・そればかりが頭を回り続けていた





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柿内のどこがいいんだろう・・・と疑問になるほど私の中で扱いがwww
いや、柿内のことも好きだよ?好きだけど扱いがそういう位置なんですYO!
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